法定休暇とは?種類一覧と取得条件・有給無給の違い・パートアルバイトの場合

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急に休まなければならない事情ができたとき、「この休みは法律で認められているのか」「給料は出るのか」と迷った経験はないでしょうか?

法定休暇とは、法律で取得が保障された休暇のことです。年次有給休暇のように広く知られたものから、育児時間や公民権行使のための時間のように名前すら知られていないものまで、種類は10近くあります。しかも制度ごとに対象者も日数も賃金の扱いも違うため、一覧を眺めただけでは自分が何を取れるのか分かりません。

この記事では、法定休暇の種類を根拠となる法律ごとに整理したうえで、すべての休暇を「対象者/日数・期間/賃金/申し出方法」という同じ4つの観点で並べます。

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法定休暇とは?

労働基準法と書かれたブロック

法定休暇は、労働基準法・育児介護休業法などの法律にもとづいて、労働者が請求すれば取得できる休暇です。会社が独自に設けている休暇とは、根拠も強制力もまったく異なります。

法律で取得が保障された休暇のこと

法定休暇とは、法律が労働者に与えている休暇のことです。就業規則に書かれているかどうかにかかわらず取得でき、会社が制度として設けていなくても、法律上は当然に取得できます

それぞれ根拠となる条文があり、条文で「与えなければならない」「拒むことができない」と書かれているため、会社の裁量で有無を決められる性質のものではありません。

なお、法定休暇であっても就業規則への記載は必要です。休暇に関する事項は労働基準法第89条で就業規則の絶対的必要記載事項とされているため、自社の就業規則を見れば取得の手続きが分かるようになっています。

法定外休暇(特別休暇)との違い

法定外休暇は、会社が任意に設けている休暇です。特別休暇とも呼ばれ、慶弔休暇・夏季休暇・リフレッシュ休暇・病気休暇などが代表例です。

法定外休暇には法律上の根拠がないため、制度があるかどうか、日数が何日か、賃金が出るかどうかはすべて会社が決めます。同じ「忌引き」でも、A社は5日で有給、B社は3日で無給ということが起こります。

つまり法定休暇は「全国どこの会社でも同じ最低ライン」、法定外休暇は「その会社だけのルール」となります。

法定休暇 と 法定外休暇(特別休暇)の違い

法定休暇
全国どこでも共通
根拠
労働基準法・育児介護休業法・男女雇用機会均等法などの法律
制度の有無
会社が設けていなくても取得できる
日数
法律が定める(会社は下回れない)
賃金
年次有給休暇のみ支払い義務、他は会社が決める
年次有給休暇、産前産後休業、育児休業、介護休暇など
法定外休暇(特別休暇)
会社ごとに異なる
根拠
法律上の根拠なし(会社が任意に設ける)
制度の有無
会社次第(無くても違法ではない)
日数
会社が決める
賃金
会社が決める
慶弔休暇、夏季休暇、リフレッシュ休暇、病気休暇

休日・休業との違い

混同されやすいのが「休日」と「休暇」です。

  • 休日
    もともと労働義務がない日。労働基準法第35条で毎週1日、または4週間で4日以上と定められている
  • 休暇
    労働義務がある日に、申し出て労働を免除してもらう日
  • 休業
    本人の申し出や事情により、比較的長い期間まとめて労働義務が免除される状態

もともと労働義務のない休日には、年次有給休暇を充てることはできません。土日休みの会社で土曜日に有給を申請しても成立しないのはこのためです。

1週間の勤務カレンダー(週休2日制の例)
労働日
労働日
労働日
休暇取得
労働日
労働日
所定休日
法定休日
休日(法定休日・所定休日) 休暇を取得した日

また「法定休日」と「所定休日」も別の概念です。法定休日は法律が義務づける週1日の休日、所定休日はそれを超えて会社が独自に設けた休日を指します。

「休業」は、産前産後休業・育児休業・介護休業のように、日単位ではなくまとまった期間で労働義務が免除される制度に使われます。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」

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法定休暇の種類一覧

カレンダーに赤鉛筆で印をつける様子

法定休暇は、根拠となる法律ごとに整理すると全体像がつかめます。

条文番号が分かれば、実際に申し出るときに就業規則のどの項目を見ればよいか、会社と話が食い違ったときに何を確認すればよいかが分かります。

労働基準法で定められた休暇

労働基準法にもとづく法定休暇は次の5つです。働くすべての人に共通して適用されます。

  • 年次有給休暇(第39条)
    6か月以上の継続勤務と出勤率の要件を満たした労働者に、勤続年数に応じて付与される
  • 産前産後休業(第65条)
    出産予定日前6週間・産後8週間の休業
  • 生理休暇(第68条)
    生理日の就業が著しく困難な場合の休暇
  • 育児時間(第67条)
    生後1年未満の子を育てる女性が請求できる時間
  • 公民権行使のための時間(第7条)
    選挙権の行使や公の職務の執行に必要な時間

このうち賃金の支払いが法律で義務づけられているのは年次有給休暇だけです。ほかの4つは、賃金を支払うかどうかが会社の判断に委ねられています。

条文で確認する
労働基準法 第39条第1項
年次有給休暇
「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」
第67条第1項
育児時間
「生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」
第68条
生理休暇
「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」

育児・介護休業法で定められた休暇

育児・介護休業法にもとづく制度は、育児に関するものと介護に関するものに分かれます。

  • 育児休業(第5条)
    原則として子が1歳になるまでの休業
  • 出生時育児休業(第9条の2)
    子の出生後8週間以内に取得できる休業。産後パパ育休とも呼ばれる
  • 子の看護等休暇(第16条の2)
    子の病気やけが、予防接種、学級閉鎖などの際に取得できる休暇
  • 介護休業(第11条)
    要介護状態の家族を介護するための休業
  • 介護休暇(第16条の5)
    通院の付き添いなど、短期間の介護のための休暇

「介護休業」と「介護休暇」は名称が似ていますが、まったく別の制度です。日数も申し出の方法も違うため、混同すると必要な休みが取れません

なお、育児・介護休業法には所定外労働の制限や所定労働時間の短縮措置(第16条の8・第23条)も定められていますが、これらは休暇ではなく働き方を変える制度です。

男女雇用機会均等法で定められた措置

男女雇用機会均等法には「休暇」という名称の制度はありませんが、労働義務が免除される時間を保障する規定があります。母性健康管理措置と呼ばれるものです。

  • 第12条
    保健指導または健康診査を受けるために必要な時間の確保
  • 第13条
    医師等の指導にもとづく勤務時間の変更や勤務の軽減などの措置

第12条は、妊婦健診に行くための時間を会社が確保しなければならないという規定です。名称は「休暇」ではありませんが、申し出れば労働義務が免除されるという点で、実質的に法定休暇と同じ働きをします。健診のたびに年次有給休暇を使う必要はありません。

また同法第9条は、妊娠・出産・産前産後休業の取得などを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止しています。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」

【休暇別】取得できる人・日数・賃金

有給休暇届の用紙とペン

ここからは、それぞれの法定休暇を「対象者/取得できる日数・期間/賃金の扱い/申し出の方法」という同じ4つの観点で見ていきます。

年次有給休暇

対象者は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者です。正社員かパートかといった雇用形態は問いません。

日数は勤続6か月で10労働日、その後1年ごとに増えていき、6年6か月以上で20労働日が上限です。時効は2年で、使い切れなかった分は翌年度まで繰り越せます。

勤続年数別 年次有給休暇の付与日数
0日5日10日15日20日
6か月
10日
1年6か月
11日
2年6か月
12日
3年6か月
14日
4年6か月
16日
5年6か月
18日
6年6か月以上
20日

点線=10日ライン(年5日の時季指定義務の対象)

賃金は、通常の賃金・平均賃金・健康保険法の標準報酬日額のいずれかで支払われます。標準報酬日額を使う場合は労使協定が必要です。

さらに、年10日以上付与される労働者については、会社が本人の意見を聴いたうえで年5日を時季指定して取得させる義務があります。取得率は令和5年で65.3%と過去最高を更新しましたが、政府は令和10年までに70%の目標を掲げています。

産前産後休業

対象者は出産する女性労働者です。雇用形態や勤続年数の要件はありません。

期間は、産前が出産予定日前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後が8週間です。産前は本人が請求して初めて休業になりますが、産後8週間は請求がなくても就業させてはならない強制的な休業です。ただし産後6週間を経過した後は、本人が請求し、医師が支障ないと認めた業務であれば就業できます。

賃金についての法律の定めはなく、無給とする会社が一般的です。無給の期間は健康保険から出産手当金が支給されます。

生理休暇

対象者は、生理日の就業が著しく困難な女性労働者です。こちらも雇用形態や勤続年数を問いません。

労働基準法第68条は「休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定めるだけで、日数の上限を定めていません。そのため、就業規則で「年◯日まで」と制限しても、その日数を超える請求を拒むことはできないと解されています。半日単位や時間単位での請求も可能です。

賃金についての法律の定めはなく、無給とするか有給とするかは会社が決めます。

育児時間

対象者は、生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者です。

日数ではなく時間で与えられる制度で、通常の休憩時間とは別に、1日2回それぞれ少なくとも30分を請求できます。2回分をまとめて1時間として取得したり、始業時刻を遅らせる・終業時刻を早める形で使ったりすることも実務上認められています。

賃金についての法律の定めはありません。申し出は請求ベースで、会社は請求された育児時間中にその労働者を使用してはならないとされています。

復職後に保育所への送迎時間を確保したい場合にも使える制度ですが、名前が知られておらず活用されにくい休暇のひとつです。

育児休業・出生時育児休業

育児休業の対象者は、原則として1歳未満の子を養育する労働者です。男女を問いません。期間は子が1歳になるまでで、保育所に入所できないなどの事情があれば1歳6か月、さらに2歳まで延長できます。1歳までの期間内で2回まで分割して取得できます

出生時育児休業(産後パパ育休)は、子の出生後8週間以内に、4週間(28日)を上限として取得する休業です。こちらも2回まで分割できます。育児休業とは別枠なので、産後パパ育休を使ったうえで育児休業を取ることもできます。

賃金についての法律の定めはなく、無給とする会社が一般的です。無給の期間は雇用保険から育児休業給付金などが支給されます。申し出の期限は、育児休業が原則として開始予定日の1か月前まで、出生時育児休業が原則として2週間前までです。

出生から2歳までの休業タイムライン

出生
8週
1歳
1歳6か月
2歳
産後休業8週間
出生時育児休業28日以内・2回まで分割
育児休業原則1歳まで・2回まで分割
育児休業の延長要件を満たす場合
法律で保障された休業期間
保育所に入れないなどの事情がある場合の延長

子の看護等休暇

対象者は、9歳に達する日以後の最初の3月31日まで(小学校第3学年修了まで)の子を養育する労働者です。2025年4月に対象年齢が拡大されました。

日数は1年度あたり5労働日、対象となる子が2人以上いる場合は10労働日です。1日単位のほか時間単位でも取得できます。取得できる事由は、子の負傷・疾病の世話、予防接種や健康診断を受けさせること、学級閉鎖等に伴う世話、入園式・入学式・卒園式への参加です。

賃金についての法律の定めはありません。申し出は取得する日(時間単位なら開始・終了の日時)を明らかにして行い、会社は申し出を拒むことができません。当日の朝に電話で申し出るような取得の仕方も認められます。

介護休業・介護休暇

この2つは目的も日数も申し出方法も違う別制度です。介護休業は介護の体制を整えるためのまとまった休業、介護休暇は通院の付き添いなど短時間・スポットの用事に使う休暇と考えると区別しやすくなります。

介護休業 と 介護休暇 の違い

介護休業
根拠 育児・介護休業法第11条
目的 介護の体制を整えるためのまとまった休業
日数 対象家族1人につき通算93日
分割 3回まで
単位 日単位(まとまった期間)
申出 原則として開始予定日の2週間前まで
賃金 法律の定めなし
給付 介護休業給付金(賃金日額の67%、93日を限度に3回まで)
介護休暇
根拠 育児・介護休業法第16条の5
目的 通院の付き添いなど短時間・スポットの用事
日数 対象家族1人なら1年度に5労働日、2人以上なら10労働日
分割 日数の範囲で自由
単位 1日または時間単位
申出 取得する日を明らかにして申し出る
賃金 法律の定めなし
給付 なし
どちらも、会社は申し出を拒むことができない

対象家族は、配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。要介護状態とは、負傷・疾病・身体上または精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指します。

賃金についての法律の定めはどちらもありません。介護休業は無給でも雇用保険から介護休業給付金が支給されますが、介護休暇には対応する給付がありません。申し出は、介護休業が原則として開始予定日の2週間前まで、介護休暇は取得する日を明らかにして行います。

公民権行使のための時間

対象者はすべての労働者です。労働基準法第7条は、労働時間中に選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合、会社はこれを拒んではならないと定めています。

「公の職務」には、裁判員として裁判に参加する場合や、証人として法廷に出頭する場合、労働審判員としての職務などが含まれます。日数や時間の上限は定められておらず、必要な時間が保障されます。

賃金についての法律の定めはありません。ただし裁判員として参加した場合は、裁判所から日当が支払われます。申し出は必要な時間を請求する形で行い、会社は権利の行使や職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更できます

法定休暇 早見表

→ 横にスクロールできます

制度対象者日数・期間賃金申し出
年次有給休暇6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者(雇用形態不問)勤続6か月で10日、6年6か月以上で20日支払い義務あり取得日を指定して申し出る
産前産後休業出産する女性労働者産前6週間(多胎14週間)・産後8週間法律の定めなし産前は請求、産後は届け出
生理休暇生理日の就業が著しく困難な女性労働者日数の上限の定めなし法律の定めなし請求(口頭でも可)
育児時間生後1年未満の生児を育てる女性労働者1日2回・各30分以上法律の定めなし請求
育児休業1歳未満の子を養育する労働者(男女不問)原則1歳まで(最長2歳)・2回まで分割法律の定めなし原則1か月前まで
出生時育児休業出生後8週間以内の子を養育する労働者4週間(28日)まで・2回まで分割法律の定めなし原則2週間前まで
子の看護等休暇小学校第3学年修了までの子を養育する労働者1年度に5日(子が2人以上なら10日)法律の定めなし取得日を明らかにして申し出る
介護休業要介護状態の対象家族を介護する労働者対象家族1人につき通算93日・3回まで分割法律の定めなし原則2週間前まで
介護休暇要介護状態の対象家族を介護する労働者1年度に5日(対象家族2人以上なら10日)法律の定めなし取得日を明らかにして申し出る
公民権行使のための時間すべての労働者必要な時間(上限の定めなし)法律の定めなし必要な時間を請求
母性健康管理措置妊娠中・出産後1年以内の女性労働者健診等に必要な時間法律の定めなし申し出

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」厚生労働省「10月は年次有給休暇取得促進期間です」厚生労働省「介護休暇」

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法定休暇は有給or無給?

給与明細書と給与袋

「法定休暇=有給」と思われがちですが、これは誤解です。法律が賃金の支払いまで義務づけているのは年次有給休暇だけで、ほかの法定休暇は有給か無給かを会社が決められます。

とはいえ、無給だからといって収入がまったく途絶えるわけではありません。健康保険や雇用保険から給付が出る休暇もあります。ここでは3つに分けて整理します。

法律で賃金の支払いが義務づけられている休暇

賃金の支払いが法律で義務づけられているのは年次有給休暇のみです。労働基準法第39条第9項が支払うべき賃金の額を具体的に定めており、次の3つから選ぶことになっています。

  • 平均賃金
  • 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  • 健康保険法の標準報酬日額に相当する金額(労使協定が必要)

どれを採用するかは就業規則で定める必要があり、会社が取得のたびに都合よく選び分けることはできません。歩合給や日給月給の方は、自分の会社がどの方式かで手取りが変わるため、就業規則を確認しておくと安心です。

有給か無給かを会社が決められる休暇

年次有給休暇以外の法定休暇は、すべて賃金についての法律の定めがありません。産前産後休業も、育児休業も、子の看護等休暇も、法律は日数や取得の権利を定めるだけで、賃金までは求めていません。

これらは無給としても違法ではありません。実際、多くの会社が無給としています。一方で、子の看護等休暇や生理休暇を有給扱いにしている会社もあり、対応は職場によって大きく分かれます。

無給の場合に受けられる給付

無給の期間を補う公的な給付があります。会社からの給与が止まっても、申請すれば収入の一部が補填されます

無給期間を支える4つの公的給付

給付名対象となる休暇支給元・請求先支給額上限・期間
出産手当金 産前産後休業 健康保険(健康保険組合・協会けんぽ) 標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2 産前産後休業の期間
育児休業給付金 育児休業・出生時育児休業 雇用保険(ハローワーク/事業主経由が原則) 休業開始時賃金日額の67%、開始から6か月経過後は50% 原則1歳まで(延長時は最長2歳まで)
出生後休業支援給付金 出生時育児休業・育児休業 雇用保険(ハローワーク/事業主経由が原則) 休業開始時賃金日額の13%を上乗せ 上限28日分
介護休業給付金 介護休業 雇用保険(ハローワーク/事業主経由が原則) 休業開始時賃金日額の67% 通算93日を限度に3回まで

雇用保険の給付には被保険者期間の要件があります。育児休業給付金・介護休業給付金とも、休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上必要です。

一方、生理休暇・育児時間・子の看護等休暇・介護休暇には対応する給付がありません。これらが無給の会社では、休んだ分の収入は戻らないことになります。

参考:厚生労働省「育児休業給付金|母性健康管理に関する用語辞典」厚生労働省「出生後休業支援給付金|母性健康管理に関する用語辞典」厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」全国健康保険協会「出産手当金」

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会社は法定休暇の取得を拒否できる?

胸の前で腕を交差させてバツのサインを示す女性

「法定休暇は会社が拒否できません」という説明をよく見かけますが、これだけを読んで申請すると、会社の対応と食い違って混乱することがあります。

正確には、申し出そのものを拒否できない休暇と、時季をずらすことが認められている休暇があり、さらに労使協定によって対象から外されている場合があります。3つに分けて整理します。

会社が拒否できないケース

育児・介護休業法は、育児休業・出生時育児休業・介護休業・子の看護等休暇・介護休暇について、「事業主は、当該申出を拒むことができない」と明文で定めています。忙しいから、人手が足りないからという理由で断ることはできません。

労働基準法にもとづく休暇も同様です。産後8週間は本人が働きたいと言っても就業させてはならない強制的な休業ですし、生理休暇も請求があれば就業させてはならないとされています。公民権行使のための時間も、請求自体を拒むことはできません。

年次有給休暇についても、会社に「与えるかどうか」を決める権限はありません。労働者が時季を指定すれば、その日に有給休暇が成立するのが原則です。

時季を変更できるケース

例外が、年次有給休暇の時季変更権です。労働基準法第39条第5項ただし書は、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」には、他の時季に与えることができると定めています。

ここで重要なのは、これが時季をずらす権利であって、休暇そのものを取り消す権利ではないという点です。「その日は困るから来週にしてほしい」は時季変更権の行使ですが、「今月は有給を認めない」は時季変更権ではありません。

また「事業の正常な運営を妨げる場合」は、単に忙しいというだけでは足りません。代替要員の確保が困難であるなど、その労働者が休むことで業務の運営に具体的な支障が生じることが必要と解されています。慢性的な人手不足を理由に毎回変更を求めるような運用は、時季変更権の濫用にあたる可能性があります。

公民権行使のための時間についても、権利の行使や職務の執行に妨げがない限り、会社は請求された時刻を変更できます。

休暇を断られたときの判定フロー

休暇の申し出を断られた・時期をずらすよう言われた
その休暇は年次有給休暇か?
はい
代替要員の確保が困難など、事業の正常な運営を妨げる具体的な事情があるか?
ある
時季変更権の行使。別の日に取得できる(休暇そのものを取り消すことはできない)
ない
時季変更権の濫用にあたる可能性。取得日を指定して再度申し出る
いいえ(育児休業・介護休業・子の看護等休暇・介護休暇・生理休暇・産前産後休業・公民権行使のための時間)
労使協定で対象から除外されている労働者に当たるか(育児休業・介護休業は継続雇用1年未満など、子の看護等休暇・介護休暇は週の所定労働日数2日以下)
当たる
その制度の対象外。就業規則と労使協定の内容を確認する
当たらない
会社は申し出を拒むことができない。取得できる

労使協定で対象外にできるケース

もうひとつの例外が、労使協定による除外です。育児・介護休業法は、会社と労働者の過半数代表等が書面で協定を結んだ場合に限り、一定の労働者を制度の対象から外すことを認めています。

  • 育児休業・介護休業
    引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者などを除外できる
  • 子の看護等休暇・介護休暇
    週の所定労働日数が2日以下の労働者を除外できる
  • 所定外労働の制限
    引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者を除外できる

注意したいのは、除外できる範囲は制度ごとに違い、労使協定がなければ除外そのものができないという点です。「入社1年未満だから」と言われた場合、その会社に本当に労使協定があるのかを確認する価値があります。

なお年次有給休暇・産前産後休業・生理休暇・育児時間・公民権行使のための時間は、労働基準法にもとづく制度であり、労使協定で対象者を除外することはできません。

申し出る前に確認しておきたいこと
  • 賃金が有給か無給かは、就業規則の「休暇」の項目に必ず書かれています
  • 「入社1年未満だから」と言われたら、その除外を定めた労使協定が実在するか確認を
  • 納得できないときは、全国378か所の総合労働相談コーナーへ。無料・予約不要で相談できます
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参考:e-Gov法令検索「労働基準法」e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

パート・アルバイト・有期雇用の場合

オフィスカジュアルの服装で笑顔を見せる20代の女性

「法定休暇は正社員だけの制度」と思い込んで、申請せずに我慢している方は少なくありません。実際には、法定休暇に雇用形態の区別はなく、パート・アルバイト・契約社員も対象です

違いが出るのは、日数が勤務日数に応じて決まる休暇があることと、有期雇用の場合に契約期間の要件が加わることの2点だけです。

年次有給休暇の比例付与

週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または1年間の所定労働日数が48日から216日まで)の労働者には、所定労働日数に比例した日数が付与されます。これを比例付与といいます。

比例付与日数表

単位:日

所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
週4日 7 8 9 10 12 13 15
週3日 5 6 6 8 9 10 11
週2日 3 4 4 5 6 6 7
週1日 1 2 2 2 3 3 3

色付きは年5日の時季指定義務の対象(10日以上付与)

週1日勤務でも有給休暇は発生します。付与の条件は正社員と同じで、6か月以上の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤です。

見落とされやすいのが年5日の時季指定義務です。この義務の対象は「年10日以上付与される労働者」なので、週4日勤務で勤続3年6か月以上の方も対象になります。パートだから関係ない、ということはありません。

なお、週の所定労働時間が30時間以上であれば、週の労働日数が少なくても正社員と同じ日数が付与されます。

育児休業・介護休業の取得条件

有期雇用の方が育児休業・介護休業を取る場合、契約期間についての要件が加わります。

  • 育児休業
    子が1歳6か月に達する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと
  • 介護休業
    休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと

ポイントは「明らかでないこと」という書き方です。更新される可能性が残っているなら要件を満たします。契約書に更新の可能性が書かれていれば、その時点で契約満了が確定しているとはいえないためです。

一方、子の看護等休暇・介護休暇・産前産後休業・生理休暇・育児時間には、こうした契約期間の要件はありません。有期雇用でも正社員と同じ条件で取得できます。

日数が勤務日数に応じて決まる休暇

ここで整理しておきたいのが、日数が勤務日数に応じて決まるのは年次有給休暇だけだということです。

子の看護等休暇と介護休暇は、週2日勤務でも週5日勤務でも1年度に5日(対象者が2人以上なら10日)で変わりません。育児休業や介護休業の期間も、勤務日数によって短くなることはありません。産前産後休業や育児時間も同じです。

つまり「短時間勤務だから日数も少ないはず」という思い込みは、年次有給休暇以外には当てはまりません。

ただし2点だけ注意があります。ひとつは前述のとおり、週の所定労働日数が2日以下の場合、労使協定があれば子の看護等休暇・介護休暇の対象から外れることです。

もうひとつは、1日の所定労働時間が短い一部の労働者は、これらの休暇を時間単位で取得する対象にならない場合があることです。

参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有休があると聞きましたが、本当ですか。」e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」

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2025年の育児・介護休業法改正で変わった点

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育児・介護休業法は2025年に大きく改正されました。施行日が2025年4月1日と10月1日の2段階に分かれているため、改正前の情報を見て「自分は対象外だ」と諦めてしまうケースが起きやすい状況です。

10月1日施行分では、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者向けに「柔軟な働き方を実現するための措置」が導入されました。会社は始業時刻の変更・テレワーク等(月10日以上)・保育施設の設置運営等・養育両立支援休暇(年10日以上)・短時間勤務制度の5つから2つ以上を選んで用意し、労働者はそのなかから1つを選んで利用できます。

施行日:2025年(令和7年)10月1日 対象:3歳から小学校就学前の子を養育する労働者
柔軟な働き方を実現するための措置(5つの選択肢)
1始業時刻の変更
2テレワーク等(月10日以上)
3保育施設の設置運営等
4養育両立支援休暇(年10日以上)
5短時間勤務制度
2つ以上 会社が選んで用意する
1つ 労働者が選んで利用する

子の看護等休暇の対象と取得事由の拡大

まず名称が変わりました。従来の「子の看護休暇」は、2025年4月1日から「子の看護等休暇」が正式名称です。旧名称で書かれた情報は改正前のものと考えてください。

対象となる子の範囲は、小学校就学の始期に達するまでから小学校第3学年修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に拡大されました。小学1〜3年生の子がいる方は、新たに対象になっています。

取得事由も広がりました。従来の病気・けが・予防接種・健康診断に加えて、感染症に伴う学級閉鎖等での世話と、入園式・入学式・卒園式への参加が追加されています。学級閉鎖で子どもが家にいる日に年次有給休暇を使う必要はなくなりました。

あわせて、労使協定で除外できる労働者から「継続雇用6か月未満」が削られ、除外できるのは週の所定労働日数が2日以下の労働者だけになりました。入社直後でも取得できます。

子の看護等休暇の改正前後比較

施行日 2025年4月1日
比較する観点 改正前 改正後
名称 子の看護休暇 子の看護等休暇
対象となる子 小学校就学の始期に達するまで 小学校第3学年修了まで(9歳に達する日以後の最初の3月31日まで)
取得できる事由 病気・けがの世話、予防接種・健康診断 左記に加え、感染症に伴う学級閉鎖等での世話、入園式・入学式・卒園式への参加
労使協定で除外できる労働者 継続雇用6か月未満/週の所定労働日数2日以下 週の所定労働日数2日以下のみ
取得できる日数 1年度5日(子が2人以上の場合は10日)・変更なし

所定外労働の制限の対象拡大

所定外労働の制限は、請求すれば残業を免除される制度です。これも2025年4月1日から対象が広がりました。

改正前は3歳未満の子を養育する労働者が対象でしたが、改正後は小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に拡大されています。保育園から小学校入学前までの期間、残業の免除を請求できるようになりました。

請求は1か月以上1年以内の期間について、開始予定日の1か月前までに行います。会社は事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。ただし労使協定があれば、継続雇用1年未満の労働者は対象から外れます。

介護離職を防ぐための措置

介護については、制度そのものより「制度を知らないまま辞めてしまう」ことが問題視されてきました。そこで2025年4月1日から、会社側に周知と環境整備の義務が課されています。

  • 介護に直面した旨を申し出た労働者への個別の周知と意向確認
  • 40歳などの早い段階での両立支援制度に関する情報提供
  • 研修や相談窓口の設置といった雇用環境の整備

介護に直面していることを会社に伝えれば、利用できる制度の説明を受けられます。これらの申し出をしたことや、意向確認に対する回答の内容を理由に、解雇その他の不利益な取扱いをすることは禁止されています。

また介護休暇についても、労使協定で除外できる労働者から「継続雇用6か月未満」が削られました。入社まもない時期に家族の介護が必要になっても、介護休暇を取得できます。

参考:厚生労働省「法改正のポイント|育児休業制度特設サイト」e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」

まとめ

法定休暇は、法律で取得が保障された休暇です。労働基準法の5制度、育児・介護休業法の5制度、男女雇用機会均等法の母性健康管理措置があり、会社が制度として設けていなくても取得できます。

一方で、労使協定による除外や就業規則の定めによって、実際の運用は職場ごとに異なります。休む前に自社の就業規則と労使協定を確認し、判断に迷う場合は労働基準監督署や都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナーに相談してください。

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この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

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記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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