助産師を辞めたいときに考えること|3つの選択肢と確認事項

助産師を辞めたいときに考えること|3つの選択肢と確認事項 イメージ
  • X
  • Facebook
  • LINE

分娩の緊張感、夜間のオンコール、命に向き合う責任。助産師として働くなかで「もう辞めたい」と感じる瞬間は、決して珍しいものではありません。

ただ、その「辞めたい」が何を指しているかは人によって違います。今の職場から離れたいのか、助産業務そのものから距離を置きたいのか、医療の仕事自体を離れたいのか。

この記事では、助産師が辞めたいと感じたときに整理しておきたい考え方と、辞める前に確認しておきたい実務、そして辞めたあとに戻れるのかどうかを順にまとめました。

1 2 3
希望の雇用形態必須

プライバシーポリシーに同意して

お申し込みを受け付けました

以下からひな形と見本をダウンロードできます。

    「辞めたい」には3つの意味がある

    資料を見ながら考え込む看護師

    「辞めたい」という言葉は同じでも、手放そうとしているものの大きさは人によってまったく違います。

    職場を変えるのか、助産から離れるのか、医療を離れるのかで、これから必要になることは大きく違います。

    いま自分がどこまで手放そうとしているのかを先に決めておくと、情報の集め方が絞れます。

    逆にここが曖昧なまま転職サイトに登録すると、本当は部署異動で足りたケースでも、退職という一番大きな選択肢だけが目の前に並ぶことになります。

    3つの層で「手放すもの/残るもの」を比較

    ①今の職場が合わない ②助産業務から離れたい ③医療の仕事から離れたい
    手放すもの 今の勤務先今の人間関係 分娩に立ち会う業務 医療現場での勤務
    残るもの 助産師としての仕事助産師免許看護師としての働き方 助産師免許看護師としての働き方 助産師免許(失効しない)復職を支える仕組み

    今の職場が合わない

    分娩件数の多さ、オンコールの頻度、教育体制、人間関係。これらは職場ごとに大きく異なります。

    同じ助産師の仕事でも、働く場所を変えるだけで負荷が変わることは珍しくありません。

    厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、就業している助産師は全国で38,721人。最も多いのは病院ですが、それでも全体の6割ほどで、残りの4割は診療所・助産所・市区町村などに分かれています。

    就業助産師の就業場所別構成比

    38,721人
    病院23,054人(59.5%)
    診療所8,672人(22.4%)
    助産所2,905人(7.5%)
    市区町村1,689人(4.4%)
    養成所・研究機関1,534人(4.0%)
    その他867人(2.2%)

    その他の主な内訳:保健所435人・訪問看護ステーション102人・事業所61人・社会福祉施設40人・都道府県35人

    病院以外にも助産師として働く場は広がっています。

    この段階で辞めたいと感じているなら、退職ではなく「別の場所で助産師を続ける」ことが選択肢に入ります。

    助産業務から離れたい

    分娩に立ち会うこと自体がつらい、責任の重さに耐えられないという場合は、職場を変えても解消しないことがあります。

    このとき知っておきたいのが、助産師免許の成り立ちです。保健師助産師看護師法第7条第2項では、助産師免許は助産師国家試験と看護師国家試験の両方に合格した者に与えられると定められています。同法第31条第2項により、助産師は看護師の業務も行えます。

    助産業務から離れても、看護師として働く道はそのまま残っています。産科以外の病棟、外来、訪問看護、健診センターなど、選べる幅は広く、資格を取り直す必要もありません。

    医療の仕事から離れたい

    医療の現場そのものから距離を置きたい場合もあります。この選択も、一度きりの不可逆な決断ではありません。

    免許は働いていない期間があっても失効しません。

    復職を支える仕組みも用意されています(詳しくは後述します)。

    3つの意味を切り分ける質問


    • 職場が変われば続けられそうか
    • 分娩や母子のケアそのものが負担になっているか
    • 医療の仕事から一度離れたいのか

    この3つは重なることもありますが、どれが一番大きいかを自分で決めておくと、次に確認したいことがはっきりします。

    30秒でかんたん登録!
    無料で応募書類テンプレをプレゼント

    参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

    原因がどこにあるかを先に確かめる

    パソコンの前で暗い表情でメモを取る看護師

    辞めたい気持ちの原因は、仕事の内容そのものにあるとは限りません。業務内容・職場の体制・心身の状態のどれが主な原因かで、打てる手はまったく変わります。

    原因を特定しないまま転職すると、同じ理由で再び辞めたくなることがあります。ここは少し立ち止まって整理する価値がある部分です。

    仕事の内容によるもの

    分娩は予定どおりに進まず、急変の可能性が常にあります。

    保健師助産師看護師法第38条では、妊婦や胎児に異常があると認めたときは医師の診療を求めさせなければならず、自ら処置をしてはならない(臨時応急の手当を除く)と定められています。正常を扱う一方で、異常の入り口を見逃せない立場に置かれ続けることになります。

    ただ、負担の中身を分解すると「業務の質」だけではないことが見えてきます。

    厚生労働省の令和7年労働安全衛生調査によると、仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者は67.5%。その内容として最も多いのは「仕事の量」39.5%で、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」32.9%を上回っています。

    強い不安・悩み・ストレスの内容別 割合

    010%20%30%40%
    仕事の量
    39.5%
    対人関係(セクハラ・パワハラを含む)
    32.9%
    仕事の質
    30.7%
    役割・地位の変化等
    17.7%

    ストレスを感じる労働者が挙げた主なもの3つ以内・複数回答のため合計は100%にならない

    人間関係のせいだと感じていたものが、実は業務量の多さから来ていることもあります。

    原因を仕事の質と量に分けて考えると、異動や勤務形態の変更で対応できる部分が見つかる場合があります。

    編集部からのアドバイス

    つらさが強い日と、そうでもない日の違いを2週間ほどメモに残しておくと、原因を絞りやすくなります。特定の勤務帯や担当のときだけ負荷が跳ね上がっているなら、それは伝え方次第で職場に動いてもらえる情報です。

    キャリアパートナー

    職場の体制によるもの

    分娩を扱う施設は減り続けています。令和5年医療施設静態調査によると、9月中に分娩を実施した施設は全国で1,766施設。平成23年の2,378施設から、12年で600施設以上減りました。

    一般病院886施設・一般診療所880施設と、この調査で初めて病院数が診療所数を上回っています。

    分娩を実施した施設数の推移(各年9月時点)

    2,378 2,284 2,139 1,945 1,766 平成23年 平成26年 平成29年 令和2年 令和5年

    施設が集約されるほど、1施設あたりが受け持つ分娩は増えます。オンコールの回数、夜勤の頻度、休みの取りづらさは、個人の能力ではなく体制の問題として現れます。

    体制の負荷は数字にも表れています。令和7年労働安全衛生調査では、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は全産業で13.5%、医療・福祉では16.8%でした。

    • 自分の技術や適性の問題として抱え込まない
    • 人員配置・オンコール体制・分娩件数は職場側の条件である
    • 同じ資格でも施設によって負荷は大きく変わる

    心身の状態によるもの

    すでに体調に影響が出ている場合は、原因を分析する前に対処が必要です。

    労働政策研究・研修機構がまとめた2025年病院看護実態調査では、病気による1か月以上の連続休暇取得者がいた病院は72.6%、そのうち79.5%がメンタルヘルスの不調によるもので、該当者は1病院あたり平均5.4人でした。新卒看護職員の主な離職理由としても「健康上の理由(精神的疾患)」が54.6%で最も多く挙げられています。

    一方で、相談につながっている人は多くありません。令和7年労働安全衛生調査では、ストレスを相談できる人がいる労働者は94.8%、実際に相談したことがある人は71.2%にのぼりますが、相談相手として産業医を挙げた人は7.1%、実際に相談した人は2.0%にとどまります。

    相談相手として挙げた割合と実際に相談した割合

    相談できる相手として挙げた割合 実際に相談した割合
    上司
    63.8%
    56.6%
    同僚
    62.5%
    53.8%
    人事労務担当者
    10.7%
    3.9%
    産業医
    7.1%
    2.0%

    産業医や外部の相談窓口は、上司や同僚に話しにくい内容でも扱える立場にあります。

    眠れない日が続く、食欲が戻らない、出勤前に強い動悸がするといった状態が続いているなら、産業医や主治医に相談することを優先しましょう。

    助産師の求人を探す

    参考:厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」 / 労働政策研究・研修機構「2025年 病院看護実態調査」 / 厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」 / e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

    まず離れることを優先したほうがいい場合

    病院の廊下でしゃがみ込む看護師

    原因の分析や次の職場探しよりも、今の環境から距離を取ることを先に考えたほうがよい状況があります。この3つに当てはまるときは、我慢して続けることが本人にも母子にも良い結果を生みません。

    ここでいう「離れる」は退職に限りません。休職、部署異動、当面の欠勤も含みます。

    心身の不調が続いている

    一時的な疲労と、休んでも戻らない状態は別のものです。数週間にわたって睡眠が取れない、休日も気分が晴れない、通勤途中に体調が崩れるといった状態が続いているなら、まず医療機関につながることを優先しましょう。

    判断を自分だけで抱えないための入口はいくつかあります。事業場に産業医がいれば健康相談が可能で、従業員50人以上の事業場では産業医の選任とストレスチェックの実施が義務づけられています。50人未満の事業場についても、ストレスチェックは令和10年4月から義務化されます。

    職場に相談しにくい場合は、厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」から、電話・SNS・メールの相談窓口を利用できます。

    相談先の使い分け早見表

    相談先置かれている場所扱う内容費用
    産業医従業員50人以上の事業場就業と健康の両立、業務内容の調整無料
    主治医・かかりつけ医医療機関診断・治療、診断書の作成保険診療の自己負担
    こころの耳(厚生労働省)電話・SNS・メール働く人のメンタルヘルス全般の相談無料
    総合労働相談コーナー各都道府県労働局・労働基準監督署職場のトラブル全般、ハラスメント無料

    ハラスメントを受けている

    我慢して続けても状況が改善しにくいのがハラスメントです。労働施策総合推進法により、職場におけるパワーハラスメントの防止措置は事業主の義務とされています。相談したこと自体を理由とした不利益な取扱いも禁止されています。

    職場のパワーハラスメントは、次の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。

    1. 優越的な関係を背景とした言動である
    2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えている
    3. 労働者の就業環境が害される

    代表的な行為は、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の6類型に整理されています。

    指導との線引きに迷う場合も、いつ・誰から・どのような言動があったかを記録に残しておくと、相談時に状況を伝えやすくなります。

    パワーハラスメントの6類型

    身体的な攻撃

    暴行・傷害を受ける

    精神的な攻撃

    脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言を受ける

    人間関係からの切り離し

    隔離・仲間外し・無視をされる

    過大な要求

    業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制される、仕事を妨害される

    過小な要求

    能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じられる、仕事を与えられない

    個の侵害

    私的なことに過度に立ち入られる

    社内の窓口が機能していない場合は、各都道府県労働局や労働基準監督署に設置された総合労働相談コーナーに無料で相談できます。

    30秒でかんたん登録!
    無料で応募書類テンプレをプレゼント

    安全に業務を行える状態にない

    集中力が落ちている、判断に自信が持てない、直前の記憶が曖昧になる。こうした状態で分娩に立ち会うことは、本人にとっても妊産婦さんにとってもリスクになります。

    助産師には、異常を認めたときに医師の診療を求めさせる義務(保健師助産師看護師法第38条)があり、助産録の記載と5年間の保存も定められています(同法第42条)。異常の兆候を判断し、記録として残す前提が崩れている状態は、続けること自体が危険です。

    • インシデントやヒヤリハットが以前より明らかに増えている
    • 確認したはずのことを思い出せない場面がある
    • 出勤前に強い不安や身体症状が出る

    こうした自覚がある場合は、上司に業務内容の調整を申し出るか、産業医に相談したうえで一時的に現場を離れる判断が現実的です。

    参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」 / 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」 / 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 / e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」

    転職以外に考えられる選択肢

    バインダーを手に向かい合って話す2人の看護師

    辞めたいと感じたときに真っ先に浮かぶのは転職ですが、負荷を下げる方法は退職だけではありません。

    同じ職場に籍を置いたまま条件を変える方法もあります。

    退職は、収入・保険・人間関係が一度に切り替わる大きな変更です。まずは変更幅の小さい選択肢から確認すると、判断に余裕が生まれます。

    転職以外の4つの選択肢の比較
    選択肢今の職場に籍が残るか主な手続きの相手根拠・拠り所
    部署・配属を変える 残る 看護部長・師長 職場の人事(院内で完結する場合がある)
    勤務形態を変える 残る 所属先・人事 雇用契約の変更
    休職する 残る 所属先・健康保険の保険者 職場の就業規則(法律の定めなし)/健康保険の傷病手当金
    退職する 残らない 所属先・ハローワーク 民法と就業規則/雇用保険

    部署や配属を変える

    助産師の資格を持ったまま、担当する業務を変える方法があります。産科病棟から外来や健診部門へ移る、院内助産や助産師外来の担当に変わるといった調整は、施設によっては院内で完結します。

    令和5年医療施設静態調査では、分娩を取り扱う一般病院のうち院内助産所を設けているのは16.9%でした。院内での配置転換の余地は施設規模によって差があるため、まずは看護部長や師長に相談し、自分の希望が通る余地があるかを確認する形になります。

    全国の就業助産師は約3.8万人(令和4年衛生行政報告例)。そのうち市区町村で働く助産師は1,689人で、全体の約4.4%です。母子保健法第17条の2に基づく産後ケア事業は、短期入所・通所・居宅訪問の3類型で市町村の努力義務とされており、実施市町村は令和5年度に1,547市町村、産婦の利用率は10.9%まで広がりました。

    分娩の緊張感から距離を置きつつ、母子のケアに関わり続ける働き方も現実的な選択肢になっています。

    勤務形態を変える

    夜勤やオンコールが負担の中心なら、雇用形態そのものを変える方法があります。令和6年衛生行政報告例では、就業助産師のうち正規雇用が80.2%、非正規雇用が19.6%、派遣が0.2%でした。およそ5人に1人は非正規の働き方を選んでいます。

    短時間勤務や日勤のみの働き方は、収入が下がる代わりに生活リズムを取り戻しやすくなります。育児や介護と重なる時期には、いったん勤務形態を落として在籍を続ける判断もあります。

    医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)
    • 助産師の求人44件のうち、日・祝休みは9件(20%)
    • 17時退社は6件(14%)、残業ほぼなしは5件(11%)
    • 時短勤務OKは2件、週1日勤務OKは3件
    キャリアパートナー

    休職する

    体調を崩している場合、退職の前に休職という段階があります。ただし休職は法律で定められた制度ではありません。厚生労働省のモデル就業規則でも、休職の定義・期間の制限・復職については労働基準法に定めがないと明記されています。

    制度の有無や期間は職場の就業規則によるため、まず自分の就業規則を確認する必要があります。

    休職中の生活費を支える仕組みとしては、健康保険の傷病手当金があります。業務外の病気やケガで働けない状態が続いた場合、連続3日間の待期を経て4日目以降、標準報酬日額のおよそ3分の2が、通算1年6か月まで支給されます。

    傷病手当金が支給されるまでの流れ
    1〜3日目
    待期期間
    この3日間は支給されない
    4日目以降
    支給開始
    1日あたり標準報酬日額のおよそ3分の2
    支給期間の上限
    通算1年6か月まで
    待期の3日間は、有給休暇や土日・祝日など給与の支払いがある日でも数えられる

    なお、退職後も条件を満たせば受給を継続できる場合があります。

    健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に出勤していないことなどが条件です。加入している健康保険によって運用が異なるため、金額や期間は目安として捉え、保険者に確認しましょう。

    助産師の求人を探す

    参考: 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」 / 全国健康保険協会「傷病手当金」 / 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 /厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況」 / e-Gov法令検索「母子保健法」

    辞めると決める前に確認しておきたいこと

    チェックリストと書かれた紙とペン

    退職の意思が固まったあとでも、退職日をいつにするかで手元に残るものが変わります。

    申し出の時期、有給休暇の残日数、退職金や賞与の支給基準日、修学資金の返還条件は、いずれも日付ひとつで結果が動く項目です。

    助産師や看護師は、病院や都道府県の修学資金を利用しているケースが少なくありません。確認しないまま退職日を決めると、想定していなかった返還を求められることもあります。

    確認する項目と確認先
    確認する項目
    確認先
    1
    退職を申し出る時期
    →
    就業規則の退職の条項
    2
    有給休暇の残日数
    →
    給与明細・勤怠システム・人事担当
    3
    退職金の支給条件
    →
    退職金規程
    4
    賞与の支給基準日
    →
    給与規程・賞与規程
    5
    修学資金・奨学金の返還条件
    →
    貸与時の契約書・都道府県または病院の担当窓口
    6
    健康保険と年金の切り替え
    →
    加入している健康保険の保険者・市区町村の窓口

    退職を申し出る時期

    期間の定めのない雇用契約について、民法第627条第1項は当事者はいつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間を経過することで契約が終了すると定めています。

    一方、就業規則で「退職願は◯日前までに提出する」と定めている職場も多くあります。

    厚生労働省のモデル就業規則でも、退職の規定例は「退職願を提出して__日を経過したとき」となっており、日数は各職場が定める形です。「何日前でよい」と一律に決まっているわけではありません。

    実務では、引き継ぎやシフト作成の都合から、就業規則の定めに沿って早めに申し出るのが無難です。就業規則の内容と民法の規定の関係で判断に迷う場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する方法もあります。

    有給休暇・退職金・賞与

    年次有給休暇は、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日付与されます。その後は勤続年数に応じて段階的に増え、6年6か月以降は年20日が上限になります。

    勤続年数別 年次有給休暇の付与日数
    05日10日15日20日
    10日
    11日
    12日
    14日
    16日
    18日
    20日
    6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月〜

    未消化の年次有給休暇は2年で時効にかかるため、退職日から逆算して消化計画を立てておくと取りこぼしを防げます。退職時にまとめて取得する場合は、引き継ぎ期間との兼ね合いを早めに相談しておくと調整しやすくなります。

    退職金と賞与は、支給の条件が職場ごとの規程によって決まります。「支給日に在籍していること」を条件にしている職場では、退職日が支給日の前か後かで支給の有無が変わります。勤続年数に応じて支給率が上がる規程であれば、区切りの直前かどうかも確認しておきたい点です。一般論として書ける範囲を超えるため、必ず自分の職場の規程で確認しましょう。

    修学資金の返還条件

    看護師等修学資金は、都道府県が定める指定施設で一定期間働くことを条件に返還が免除される仕組みです。厚生労働省が示す実施要綱では、貸与を受けた都道府県内の指定施設で引き続き5年間業務に従事したときに返還が免除されるとされています。

    見落としやすいのが猶予の規定です。実施要綱では、他の種類の養成施設で修学している期間は返還の履行が猶予されるとされています。看護師課程で修学資金を借りた人が助産師課程に進んだ場合などが該当します。

    一方、卒業後1年以内に免許を取得しなかった場合や、免許取得後に直ちに指定施設で従事しなかった場合は返還の対象になります。

    修学資金で確認する3点


    • どこが貸主か(都道府県か、勤務先の病院か)
    • 免除の条件となる勤務先と年数
    • 途中で退職した場合の返還方法と期限

    条件は貸与元ごとに異なります。病院独自の奨学金は都道府県の制度と別の規程で運用されているため、契約書を手元に置いて条件を確認しましょう。

    30秒でかんたん登録!
    無料で応募書類テンプレをプレゼント

    参考:e-Gov法令検索「民法」 / 厚生労働省「モデル就業規則について」 / 厚生労働省「年次有給休暇|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件」 / 厚生労働省「看護師等修学資金貸与制度実施要綱」

    辞めたあとに戻れるのか

    屋外でバインダーを持ち遠くを見つめる看護師

    退職をためらう理由のひとつに、「一度離れたらもう戻れないのではないか」という不安があります。実際には、助産師免許は働いていない期間があっても失効せず、復職を支える仕組みも整えられています。

    不可逆の決断ではないと分かるだけで、落ち着いて判断できる範囲は広がります。

    免許は失効しない

    助産師免許は、厚生労働省に備えられた助産師籍への登録によって効力を持ちます。運転免許のような更新制ではなく、有効期限もありません。保健師助産師看護師法第14条に定める処分を受けた場合を除き、離職期間の長さによって免許が失われることはありません。

    働いている助産師には、保健師助産師看護師法第33条により、2年ごとに12月31日現在の氏名・住所・業務従事状況などを翌年1月15日までに都道府県知事へ届け出る義務があります。これは業務に従事している人が対象で、離職している期間は対象外です。

    一方、離職する側には別の届出制度があります。看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、離職時などに都道府県ナースセンターへ情報を届け出ることが努力義務とされています。届け出ておくと、復職を考えたときにナースセンターから情報提供や相談の連絡を受けられます。

    混同しやすい2つの届出

    業務従事者届
    対象業務に従事している人
    タイミング2年ごと、12月31日現在の状況を翌年1月15日までに届出
    届出先都道府県知事
    区分義務
    根拠法保健師助産師看護師法
    ナースセンターへの届出
    対象離職する人・離職している人
    タイミング離職したときなど
    届出先都道府県ナースセンター
    区分努力義務
    根拠法看護師等の人材確保の促進に関する法律

    復職を支える仕組みがある

    都道府県ナースセンターは、無料の職業紹介に加え、復職を目指す人向けの研修や相談を実施しています。インターネット上の「eナースセンター」からは、届出や求人検索を自宅から行えます。

    厚生労働省も看護職のキャリアと働き方を支援するサイトを設け、ブランクを経て働く人向けの情報をまとめています。技術面の不安については、実技を含む復職支援研修を用意している施設もあります。

    復職までの動き方

    1
    届出
    都道府県ナースセンターに届出を出す(eナースセンターからオンラインでも可)
    >
    2
    相談
    復職相談を受け、希望する働き方と時期を整理する
    >
    3
    研修
    復職支援研修に参加する(実技を含む研修を用意している施設もある)
    >
    4
    求人紹介
    ナースセンターの無料職業紹介で求人を探す

    経済面では、雇用保険の基本手当が離職後の生活を支えます。

    受給には原則として離職日前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要で、受給期間は離職の翌日から原則1年です。

    自己都合で退職した場合、令和7年4月以降の離職では給付制限は原則1か月とされています。

    ただし、体調不良など正当な理由がある自己都合退職は特定理由離職者に該当し、給付制限がなく、被保険者期間の要件も離職前1年間に6か月以上と緩和されます。要件や期間は改正されることがあるため、離職票を持ってハローワークで最新の内容を確認しましょう。

    参考:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」 / 厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」 /ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 / 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」

    まとめ

    助産師の「辞めたい」は、今の職場が合わないのか、助産業務から離れたいのか、医療の仕事そのものを離れたいのかで、必要な行動が変わります。まずはこの3つのどれに近いかを決めることが出発点になります。

    原因を業務内容・職場の体制・心身の状態に分けて見ると、異動や勤務形態の変更で対応できる部分が見えてきます。ただし、心身の不調が続いている場合、ハラスメントを受けている場合、安全に業務を行える状態にない場合は、分析よりも先に距離を取ることを優先しましょう。

    退職を選ぶときは、申し出の時期、有給休暇の残日数、退職金・賞与の支給基準日、修学資金の返還条件を退職日から逆算して確認しておくと、後から想定外の負担を抱えずに済みます。

    そして、助産師免許は離職しても失効せず、ナースセンターをはじめとする復職支援の仕組みも用意されています。今の選択は取り返しのつかないものではありません。一人で抱え込まず、産業医や相談窓口、家族など話せる相手を確保したうえで、自分のペースで次を決めていきましょう。

    キャラクター
    看護師に選ばれる
    「医療キャリアナビ」の特徴
    特徴1.
    忙しくてもLINEで好きな時間に相談可能♪
    特徴2.
    地域特化のため職場の内部情報が豊富!
    特徴3.
    面接対策や条件交渉など実践的サポートが充実!
    利用満足度

    ※調査方法:アンケート/対象者:サービス利用による内定者288名/集計期間:2025年1月1日~2025年8月31日

    医療キャリアナビに登録
    この記事を書いた人
    医療キャリアナビ編集部

    医療キャリアナビ編集部

    記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

    \ シェア・拡散していただけると嬉しいです /

    New Job Postings

    新着求人

    転職をご検討中の方へ

    医療業界に詳しいキャリアパートナーが無料で転職サポートをさせていただきます!新着・非公開求人の紹介も可能です!

    もう無理と感じたら 💬 職場の悩みを相談する›