就労継続支援A型とは?対象者・給料・B型との違いを解説

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A型は障害者総合支援法に基づく福祉サービスですが、利用者と事業所が雇用契約を結ぶ点で他の就労支援サービスと大きく異なります。雇用契約を結ぶということは、最低賃金や労働時間、社会保険といった労働者としてのルールが適用されるということです。

この記事では、就労継続支援A型の対象者・給料の水準・B型との違いに加えて、雇用契約を結ぶと具体的に何が変わるのかを労働法の観点から整理します。あわせて利用開始までの流れ、利用料、事業所を選ぶときに確認したい点まで、厚生労働省の資料をもとに解説します。

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    就労継続支援A型とは?

    学校や施設の外観

    検索でよく使われる「A型就労支援」「A型作業所」は通称で、制度上の正式名称は就労継続支援A型です。この記事でも以降は正式名称で統一します。

    就労継続支援A型は、一般の企業に雇用されることが難しい障害のある方が、事業所と雇用契約を結んだうえで働きながら、就労に必要な知識や能力を高めていくサービスです。

    福祉サービスを利用しながら労働者として働くという二つの性格を併せ持つ点が、他の就労支援と決定的に違うところです。

    障害者総合支援法に基づく福祉サービス

    就労継続支援A型は、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に定められた障害福祉サービスの一つです。同法では就労系のサービスとして、就労移行支援・就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労定着支援・就労選択支援が整理されています。

    厚生労働省はA型のサービス内容を、雇用契約の締結等による就労の機会の提供と生産活動の機会の提供、そして就労に必要な知識と能力の向上のために必要な訓練その他の支援としています。事業所は自治体の指定を受けて運営し、利用者が支払う自己負担のほかは公費でまかなわれます。

    つまりA型事業所は、働く場であると同時に指定を受けた福祉サービス事業者でもあります。

    雇用契約を結んで働く点が特徴

    A型の最大の特徴は、事業所と利用者が雇用契約を結ぶことです。これは事業所側の努力目標ではなく、指定基準を定めた省令に明記された義務です。

    指定基準(省令)
    指定障害福祉サービス基準 第190条第1項
    「指定就労継続支援A型事業者は、指定就労継続支援A型の提供に当たっては、利用者と雇用契約を締結しなければならない。」
    • 雇用契約を結ぶ=労働基準法・最低賃金法などの労働関係法令が適用される
    • 支払われるのは工賃ではなく賃金

    そのため、利用者は福祉サービスの利用者であると同時に労働者でもあります。事業所から受け取るお金も、B型のように作業への対価として支払われる工賃ではなく、労働の対価としての賃金(給料)になります。

    一般就労(障害者雇用)との違い

    一般就労は、企業や官公庁と直接雇用契約を結んで働く形です。障害者雇用促進法に基づく法定雇用率の枠で採用されるケースも一般就労に含まれます。厚生労働省の「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」では、民間企業で雇用されている障害者は70万4,610.0人、実雇用率は2.41%でした。

    A型も雇用契約を結ぶ点は一般就労と同じですが、事業所が福祉サービスの指定を受けており、支援員による配慮や体調に合わせた働き方の調整を前提にしている点が違います。障害の状況で働ける時間が限られる方や、まずは支援を受けながら働き続ける経験を積みたい方が対象になります。

    一般就労(障害者雇用)と就労継続支援A型の比較

    一般就労(障害者雇用)
    契約の相手
    企業・官公庁
    根拠となる制度
    障害者雇用促進法(法定雇用率)
    支援体制
    配慮の内容は企業ごとに異なる
    必要な手続き
    求人への応募と採用選考
    民間企業で雇用されている障害者(令和7年6月1日時点)
    70万4,610.0人/実雇用率2.41%
    就労継続支援A型
    契約の相手
    指定を受けたA型事業所
    根拠となる制度
    障害者総合支援法(障害福祉サービス)
    支援体制
    職業指導員・生活支援員・サービス管理責任者による支援が前提
    必要な手続き
    市区町村の支給決定と障害福祉サービス受給者証

    参考:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」 / 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」 / e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」 / 厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」

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    雇用契約を結ぶと何が変わるのか

    雇用契約書を手に持つスーツ姿の男性

    雇用契約を結ぶと、利用者は労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令が適用される労働者になります。厚生労働省もA型の説明で、最低賃金を含め労働関係法令の適用があると明記しています。

    ここでは、その帰結を4つに分けて確認します。

    雇用契約で適用される4つのルール

    1
    最低賃金が適用される
    最低賃金法
    原則として地域別最低賃金以上の支払いが必要。ただし同法第7条の減額特例の許可を受けている場合がある。
    2
    労働時間・休暇のルールが適用される
    労働基準法
    年次有給休暇の付与対象になる。
    3
    社会保険・雇用保険の対象になる
    雇用保険法/健康保険法・厚生年金保険法
    所定労働時間などの要件を満たすと加入対象になる。
    4
    解雇・雇止めが制限される
    労働契約法第16条・第17条・第19条/労働基準法第20条
    事業所側が一方的に契約を終了させることは制限される。

    最低賃金が適用される

    労働者である以上、賃金は原則として事業所の所在地の都道府県の地域別最低賃金以上でなければなりません。時給が最低賃金を下回っていれば、その部分は無効となり最低賃金額まで引き上げられます。

    ただし例外があります。最低賃金法第7条には減額の特例許可制度があり、精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者などについては、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、最低賃金額から一定の率を減額して適用できます。

    つまり、A型なら必ず最低賃金がもらえる、とは言い切れません。求人票の時給が地域の最低賃金より低い場合は、この特例許可を受けているかどうかを見学時や面接時に確認しておくと安心です。

    最低賃金を下回っていた場合の判断フロー

    判断1
    提示された時給は地域別最低賃金以上か
    以上問題なし
    未満次の確認へ
    判断2
    事業所が最低賃金法第7条の減額の特例許可を受けているか
    受けていない最低賃金額まで引き上げられる(下回る定めは無効)
    受けている労働能力その他の事情を考慮した減額率を最低賃金額に乗じた額まで減額して適用できる

    労働時間や休暇のルールが適用される

    労働基準法が適用されるため、労働時間の上限や休憩、休日のルールがそのまま当てはまります。実務上の違いとして分かりやすいのが年次有給休暇です。

    雇入れの日から6か月間継続して勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した労働者には、原則として10日の年次有給休暇が与えられます。週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)の場合は、通常の労働者との比率に応じた日数が比例付与されます。

    週2〜3日、1日4時間といった短時間の働き方でも、要件を満たせば年次有給休暇の対象になります。

    雇用契約を結ばないB型にはこの制度がないため、A型を選ぶ実利的なメリットの一つといえます。

    週の所定労働日数別 有給休暇の比例付与日数

    週の所定労働日数 6か月 1年6か月 2年6か月 3年6か月 4年6か月 5年6か月 6年6か月以上
    週4日(年169〜216日) 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
    週3日(年121〜168日) 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
    週2日(年73〜120日) 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
    週1日(年48〜72日) 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

    社会保険・雇用保険の対象になる

    雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるときは、原則としてすべての労働者が被保険者になります。加入していれば、退職後に失業等給付を受けられる可能性があります。

    健康保険・厚生年金保険(社会保険)は、勤務時間が通常の労働者の4分の3以上であるか、短時間労働者としての要件を満たす場合に対象となります。短時間労働者の要件は週の所定労働時間や賃金、勤務先の規模などで判断され、近年は段階的に対象が広げられています。

    A型は1日4〜6時間程度の短時間勤務も多く、勤務時間によっては対象にならない場合もあります。

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    解雇や雇止めのルールが適用される

    労働者である以上、事業所の都合で一方的に辞めさせることはできません。労働契約法第16条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効になります。合理的な理由がある場合でも、少なくとも30日前に解雇の予告をするか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。

    有期の雇用契約を結んでいる場合は、さらに制限が強くなります。契約期間の途中の解雇は、やむを得ない事由がなければ認められません。

    また、契約更新が繰り返されてきた場合や更新を期待することに合理的な理由がある場合は、客観的で合理的な理由のない雇止めも認められないとされています。

    解雇や雇止めに納得できないときの相談先


    • 各都道府県労働局・労働基準監督署の総合労働相談コーナー
    • 契約書や解雇理由を記した書面を残しておくと相談が進めやすい
    • 事業所の廃止に伴う場合は市区町村の障害福祉担当課にも相談する

    参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」 / 奈良労働局「最低賃金の減額の特例許可申請について」

    他の就労系サービスとの違い

    2つの選択肢を示すブロック

    就労系の障害福祉サービスは複数あり、それぞれ目的と対象者が異なります。働く場を用意するサービス、一般就労を目指す訓練のサービス、就職後を支えるサービスに分かれると考えると整理しやすくなります。

    就労系障害福祉サービス4種の比較

    観点 就労継続支援A型 就労継続支援B型 就労移行支援 就労定着支援
    雇用契約 結ぶ 結ばない 結ばない 結ばない(すでに一般就労している人が対象)
    支払われるもの 賃金 工賃 原則なし なし
    主な対象 通常の事業所に雇用されることが困難で、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者 企業やA型での就労経験があり年齢や体力の面で雇用されることが困難となった者、50歳に達している者または障害基礎年金1級受給者など 就労を希望する65歳未満で通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者 就労移行支援等を経て一般就労し、就労を継続している期間が6か月を経過した者
    利用期間 制限なし 制限なし 標準24か月(審査を経て最大1年更新) 3年間
    目的 雇用契約に基づいて働く場 雇用契約によらない就労・生産活動の場 一般就労に向けた訓練と職場探し 就職後の職場定着

    就労継続支援B型

    B型は雇用契約を結ばずに、就労や生産活動の機会を提供するサービスです。支払われるのは賃金ではなく工賃で、労働時間や出勤日数を体調に合わせて柔軟に決められます。

    対象者にも違いがあります。B型は、企業やA型での就労経験があり年齢や体力の面で雇用されることが難しくなった方、50歳に達している方または障害基礎年金1級を受給している方などが対象です。これらに当てはまらない場合は、就労面の課題を把握するアセスメントを経て利用することになります。

    金額の差も大きく、令和6年度の平均工賃月額は24,141円で、A型の平均賃金月額91,451円とは3倍以上の開きがあります。

    A型とB型 平均月額の差(令和6年度)
    就労継続支援A型(賃金)
    91,451円
    平均賃金月額
    就労継続支援B型(工賃)
    24,141円
    平均工賃月額
    差額67,310円

    就労移行支援

    就労移行支援は、一般企業への就職を目指して訓練や職場探し、就職後の定着支援を受けるサービスです。原則として65歳未満で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方が対象になります。

    利用期間は標準期間の24か月以内で設定され、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新ができます。A型やB型と違い、原則として賃金や工賃の支払いはありません。

    就労定着支援

    就労定着支援は、就労移行支援や就労継続支援などを利用して一般就労に移行した方が、就労を継続している期間が6か月を経過した後に使えるサービスです。企業や医療機関との連絡調整、生活面の相談や助言を通じて、就職後の生活を安定させることを目的としています。利用期間は3年間で、経過後は必要に応じて他の就労支援機関へ引き継がれます。

    参考:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」 / 厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」 / 厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」

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    利用できる人と利用の条件

    チェックリストと書かれた紙とペン

    A型を利用するには、対象となる状態・年齢・受給者証という3つの条件を確認する必要があります。障害者手帳を持っていないと使えないと考えて諦めてしまう方もいますが、必ずしもそうではありません。

    65歳以降の利用可否チェック

    判定1
    年齢は18歳以上か
    いいえ障害者総合支援法の「障害者」は18歳以上。18歳未満は児童福祉法のサービスが対象
    はい次の判定へ進む
    判定2
    65歳未満か
    はい利用できる(原則)
    いいえ65歳以上。次の判定へ進む
    判定3
    次の2つを両方満たすか
    • 65歳に達する前5年間、引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていた
    • 65歳に達する前日において就労継続支援A型に係る支給決定を受けていた
    両方満たす65歳以降も引き続き利用できる
    満たさない65歳を過ぎてからの新規利用は想定されていない

    最終的な可否は市区町村が個別に判断する

    対象となる状態

    厚生労働省はA型の対象者を、通常の事業所に雇用されることが困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者としています。加えて、すでに企業に雇用されている方が、労働時間の延長や休職からの復職にあたって一時的に支援を必要とする場合も対象に含まれます。

    障害の種別による制限はなく、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)のほか、難病等も対象です。実際に利用できるかどうかは、市区町村が本人の状況を確認したうえで判断します。

    年齢の要件

    障害者総合支援法が定める「障害者」は18歳以上の方を指すため、A型の利用も原則として18歳以上65歳未満です。

    ただし65歳で一律に打ち切られるわけではありません。65歳に達する前5年間、引き続き障害福祉サービスの支給決定を受けていた方で、65歳に達する前日においてA型の支給決定を受けていた方は、65歳以降も引き続き利用できます。長く通ってきた方が年齢だけを理由に働く場を失わないための例外です。

    障害福祉サービス受給者証

    A型を利用するには、市区町村が交付する障害福祉サービス受給者証が必要です。これは市町村が支給決定を行ったときに、支給量などを記載して交付するものです。

    ここで誤解が多いのが手帳との関係です。受給者証の交付に障害者手帳が必須というわけではありません。難病等が理由の場合は、対象疾病であることが分かる診断書などを持参して市区町村の窓口に申請できます。医師の診断書や意見書で状態を確認できれば支給決定に至るケースがあるため、手帳がないという理由だけで諦める必要はありません。

    また、就労系のサービスは介護給付とは扱いが異なり、障害支援区分の認定を受ける必要はありません。

    「障害者手帳がないと使えない」は誤解
    • ✓ 必要なのは「障害福祉サービス受給者証」であって、障害者手帳そのものではない
    • ✓ 難病等が理由の場合は、対象疾病であることが分かる診断書などを添えて市区町村の窓口に申請する
    • ✓ 就労系サービスの利用では、障害支援区分の認定は不要

    利用期間

    A型に利用期間の制限はありません。就労移行支援のように標準利用期間が定められていないため、体調や希望に合わせて長く働き続けることも、一般就労への移行を目指して数年で卒業することもできます。

    ただし受給者証には支給決定期間が記載されており、期間ごとに更新の手続きが必要です。更新時期は受給者証で確認してください。

    編集部からのアドバイス
    • 「手帳がないから無理」と自己判断せず、まず市区町村の窓口で相談してみてください
    • 受給者証の申請には調査や計画案の作成が入るため、働き始めたい時期から逆算して動くと安心です
    • 年齢や体調で迷うときは、相談支援事業所に一緒に整理してもらうのが近道です
    キャリアパートナー

    参考:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」 / 厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」 / e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

    仕事内容と働き方

    パソコンが置かれたデスクワークの作業環境

    A型の仕事は事業所が受注した生産活動そのものです。何をどれくらいの時間するのかは事業所ごとに大きく違うため、求人票や見学で具体的に確認する必要があります。

    業務の例

    事業所によって扱う事業はさまざまですが、次のような仕事が多く見られます。

    • 食品製造・パンや弁当の調理、カフェや飲食店のホール業務
    • 農作業や農産物の加工、袋詰め
    • 部品の組み立て、検品、梱包、ピッキングなどの軽作業
    • 清掃、リネン、洗車
    • データ入力、書類のスキャン、Webサイト制作、動画編集などのパソコン業務

    近年はパソコンを使う業務を中心にする事業所も増えています。厚生労働省は事業所に対し、就労の機会の提供にあたって地域の実情や製品・サービスの需給状況を考慮するよう努めること、作業の能率が上がるよう障害の特性を踏まえた工夫を行うことを求めています。

    現場では職業指導員や生活支援員、サービス管理責任者といった職員が支援にあたります。

    勤務時間と日数

    A型は短時間勤務が中心で、1日4〜6時間、週4〜5日という設定が多く見られます。フルタイムに近い事業所もあれば、1日3時間程度から始められる事業所もあります。

    勤務時間は事業所の報酬にも関わります。国は事業所の基本報酬をスコア方式で評価しており、1日の平均労働時間が長い事業所ほど高く評価される仕組みになっています。労働時間を延ばす方向の力が働くため、体調に合わせて短時間から始めたい場合は、希望の勤務時間で受け入れてもらえるかを事前に確認しておくことが大切です。

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    賃金の水準

    厚生労働省の集計によると、就労継続支援A型事業所の令和6年度の平均賃金月額は91,451円でした。前年度の86,752円から105.4%に増えており、平成24年度の68,691円と比べると2割以上高くなっています。

    ただしこれは全国平均で、地域による差があります。令和6年度の都道府県別では東京都の111,818円が最も高く、最も低い秋田県は73,802円でした。同じ都道府県内でも、事業所の生産活動の内容や勤務時間によって差が出ます。

    なお、指定基準では事業者に対し、生産活動に係る収入から必要経費を差し引いた額が、利用者に支払う賃金の総額以上となるようにしなければならないと定められています。

    賃金は公費ではなく生産活動の収益から支払うのが原則、というルールです。

    平均賃金(月額)の推移

    68,691 91,451 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1 R2 R3 R4 R5 R6

    参考:厚生労働省「平均工賃(賃金)月額の実績について」 / e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」

    利用開始までの流れと利用料

    スタートから成功へ進むステップのイメージ

    A型は求人に応募すればすぐ働けるわけではなく、市区町村の支給決定を受けたうえで事業所と契約する流れになります。受給者証の申請には時間がかかるため、早めに相談を始めるのがおすすめです。

    利用開始までの流れ
    1
    相談
    市区町村の障害福祉担当課、相談支援事業所、障害者就業・生活支援センター、ハローワークの障害者専門窓口に相談する。
    2
    見学・体験利用
    気になる事業所を見学し、実際の作業を体験する。
    3
    面接・実習
    雇用契約を結ぶため、事業所側が受け入れ可否を判断する。
    4
    受給者証の申請
    市区町村の窓口で申請し、心身の状況・生活環境・利用意向などの調査を受ける。サービス等利用計画案を提出する(本人・家族によるセルフプランも可)。
    5
    支給決定・受給者証の交付
    訓練等給付では、一定期間に限定した暫定支給決定が行われる場合がある。
    6
    契約・利用開始
    事業所と利用契約および雇用契約を結び、利用を開始する。

    相談から見学・面接まで

    最初の窓口は市区町村の障害福祉担当課、または相談支援事業所です。障害者就業・生活支援センターやハローワークの障害者専門窓口でも相談できます。

    利用したい事業所の見当がついたら、見学と体験利用を申し込みます。多くの事業所は面接や実習を経て受け入れを判断します。雇用契約を結ぶ以上、事業所側にも採用の判断があるという点は、B型との違いとして押さえておきたいところです。

    受給者証の申請

    市区町村の窓口で申請し、心身の状況や生活環境、サービスの利用意向などについて調査を受けます。あわせて指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案を提出します(本人や家族が作成するセルフプランも可能です)。市区町村はこれらを踏まえて支給決定を行い、受給者証を交付します。

    なお訓練等給付では、継続して利用できるかを見るために一定期間に限定した暫定支給決定が行われる場合があります。

    制度が移行期にある点にも注意が必要です。令和7年10月から新しいサービスとして就労選択支援が始まりました。本人の希望や適性に合った選択を支援するためのアセスメントを行うサービスで、A型を新たに利用する意向がある方については、支援体制の整備状況を踏まえつつ令和9年4月以降、原則として就労選択支援を利用することとされています。

    申請の手順が変わる可能性があるため、最新の運用は市区町村の窓口で確認してください。

    契約と利用開始

    受給者証が交付されたら、事業所と利用契約および雇用契約を結びます。ここで確認したいのは、労働条件が書面で明示されているかどうかです。

    • 時給または月給の額と、最低賃金の減額特例の有無
    • 1日の労働時間・週の勤務日数・休憩時間
    • 契約期間の定めの有無と、更新の基準
    • 社会保険・雇用保険に加入するかどうか
    • 年次有給休暇の付与条件

    利用料の負担

    A型は福祉サービスであるため、賃金を受け取る一方で利用料(自己負担)が発生します。ただし負担には世帯の所得に応じた上限月額が設けられており、生活保護受給世帯と市町村民税非課税世帯は0円です。市町村民税課税世帯のうち所得割16万円未満の場合は9,300円、それ以外は37,200円が上限になります(9,300円の区分は入所施設利用者とグループホーム利用者を除きます)。

    上限額はひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担が生じない仕組みです。非課税世帯に該当する方が多く実際の負担が0円になるケースは少なくありませんが、世帯の所得によっては負担が生じます。加えて昼食代や送迎費などの実費が別途かかる事業所もあるため、契約前に総額を確認しておくと安心です。

    利用者負担 区分別の上限月額

    区分世帯の収入状況負担上限月額
    生活保護生活保護受給世帯0円
    低所得市町村民税非課税世帯0円
    一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※入所施設利用者(20歳以上)・グループホーム利用者を除く9,300円
    一般2上記以外37,200円

    参考:厚生労働省「サービスの利用手続き」 / e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」 / 厚生労働省「障害者の利用者負担」 / 厚生労働省「就労選択支援について」

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    事業所を選ぶときに確認すること

    探すという文字と虫眼鏡

    事業所選びというと、仕事内容や雰囲気、通いやすさで比べる話になりがちです。それも大切ですが、A型では事業所の運営が続くかどうかが自分の雇用に直結します。ここを見落とさないようにしてください。

    仕事内容が自分に合っているか

    見学時には、実際に自分が担当する作業を体験させてもらうのが確実です。作業の内容だけでなく、立ち仕事か座り仕事か、人と話す場面がどれくらいあるか、音や光の刺激はどうかといった環境面も確認します。

    体調に波がある場合は、作業の量を調整してもらえるか、休憩の取り方に融通が利くかを具体的に聞いておくと、通い始めてからのミスマッチを減らせます。

    勤務時間と通いやすさ

    前述のとおりA型では勤務時間の設定が事業所ごとに違うため、希望する時間帯・日数で働けるかを最初に確認します。

    通勤経路も重要です。送迎の有無、交通費の支給の有無、体調が悪い日に無理なく通える距離かを確かめてください。長く働き続けるほど、片道の負担が効いてきます。

    事業所の運営状況

    2024年度(令和6年度)の障害福祉サービス等報酬改定で、A型の基本報酬を決めるスコア方式の評価項目が見直されました。

    改定後は、生産活動収支が賃金総額を上回れば加点、下回れば減点される仕組みになり、経営改善計画を提出していない事業所などには大きな減点項目も設けられました。生産活動の収益で賃金を支払うという原則が、報酬の面からも徹底された形です。

    厚生労働省の資料によれば、令和6年度にハローワークが解雇届により把握した障害者の解雇者数は9,312人で、そのうち7,292人がA型事業所の利用者でした。解雇された方のうち再就職が決まった方は2,171人、B型事業所等への移行(予定)者は3,834人で、この2つで全体の8割程度を占めています。

    見学の際は、何を作って誰に売っているのか、その売上で賃金をまかなえているのかを聞いてみてください。生産活動の中身を具体的に説明できる事業所ほど、運営の見通しが立っていると考えられます。

    障害者解雇者の内訳(令和6年度)

    ハローワーク把握の解雇者数 9,312人

    A型利用者 7,292人
    それ以外 2,020人
    A型利用者だった者 それ以外

    うちA型を解雇された者のその後 7,292人

    再就職 2,171人
    B型等へ移行 3,834人
    その他 1,287人
    再就職決定者 B型事業所等へ移行(予定) その他

    一般就労への移行支援の内容

    A型で働き続ける選択も、一般就労に移る選択もどちらも尊重されます。将来的に一般企業で働きたい気持ちがあるなら、その支援がどこまで用意されているかを確認しておきましょう。

    具体的には、企業での実習の機会があるか、ハローワークや障害者就業・生活支援センターと連携しているか、これまでに一般就労へ移行した実績があるかといった点です。就職後の定着を支える就労定着支援につないでもらえるかも聞いておくとよいでしょう。

    参考:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」 / 厚生労働省「社会保障審議会障害者部会(第147回)の資料について」

    まとめ

    就労継続支援A型は、障害者総合支援法に基づく福祉サービスでありながら、事業所と雇用契約を結んで働く点に特徴があります。契約を結ぶことで、最低賃金の適用、労働時間や年次有給休暇のルール、社会保険・雇用保険、解雇や雇止めの制限といった労働者としての保護が及びます。ただし最低賃金には減額の特例許可制度があり、社会保険の加入も勤務時間などの要件によるため、必ずこうなると決めつけずに契約内容を確認することが大切です。

    事業所を選ぶときは、仕事内容や通いやすさに加えて、生産活動の中身と運営の見通しを確認することをおすすめします。

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