柔道整復師は介護業界で働ける?職場の種類と働くメリット・キャリアに役立つ資格
整骨院で働きながら「このまま同じ働き方を続けていけるだろうか」と考えたとき、選択肢として浮かびやすいのが介護業界です。実際に柔道整復師は、介護保険サービスの現場で「機能訓練指導員」として配置できる資格として制度上位置づけられています。
ただ、介護業界と一口にいっても、デイサービス・特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など種類はさまざまです。サービスの種別によって配置できる職種は異なり、柔道整復師がどの立場で働けるかも変わります。
この記事では、柔道整復師が介護業界で担う役割から、働けるサービスの種類、機能訓練指導員以外のキャリア、メリットと注意点、キャリアアップに役立つ資格までを、厚生労働省の指定基準をもとに整理して解説します。
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柔道整復師が介護業界で担う役割

介護業界で柔道整復師が期待されるのは、利用者さんの身体機能を維持・改善するための訓練を担う役割です。整骨院で培ってきた身体の評価や徒手による対応の経験が、そのまま活きる場面があります。
一方で、介護保険サービスのなかで行う機能訓練は、整骨院での施術とは制度上まったく別の枠組みで動いています。まずは役割と位置づけを正確に押さえておきましょう。
機能訓練指導員として配置される
介護保険サービスのなかには、事業所ごとに「機能訓練指導員」を配置することが指定基準で定められているものがあります。この機能訓練指導員に就ける資格として、柔道整復師は制度上明記されています。
厚生労働省の通知では、機能訓練指導員となれる者は理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とされています。はり師・きゅう師については、これらの資格者が機能訓練指導員として配置されている事業所で一定期間の実務経験を積んだ場合に限られており、柔道整復師とは扱いが異なります。
機能訓練指導員になれる資格の早見表
| 資格 | 資格のみで配置 | 追加で必要な実務経験 |
|---|---|---|
| 理学療法士 | ◯ | 不要 |
| 作業療法士 | ◯ | 不要 |
| 言語聴覚士 | ◯ | 不要 |
| 看護職員 | ◯ | 不要 |
| 柔道整復師 | ◯ | 不要 |
| あん摩マッサージ指圧師 | ◯ | 不要 |
| はり師・きゅう師 | △ | 6か月以上 |
※はり師・きゅう師は上記資格者が配置済みの事業所での実務経験が条件
つまり柔道整復師は、追加の実務経験や研修を求められることなく、資格そのもので機能訓練指導員として配置される立場にあります。介護業界への転職を考えるうえで、これは大きな強みといえます。
主な仕事は、利用者さん一人ひとりの状態を評価して個別機能訓練計画を立て、計画にもとづいた訓練を提供し、その効果を確認して見直していくことです。看護職員や介護職員、介護支援専門員と情報を共有しながら進めます。
介護保険サービスでの位置づけ
介護保険サービスは、利用者さんが要介護状態になってもできる限り自立した日常生活を送れるよう支えることを目的としています。機能訓練はその目的を実現するための手段の一つで、「治す」ことよりも生活機能を維持し、生活そのものを支えることに重心があります。
事業所側から見ると、機能訓練は介護報酬の仕組みとも結びついています。機能訓練指導員を配置し、個別機能訓練計画にもとづいて訓練を行い記録を残すことで、介護報酬上の加算の対象になる仕組みが設けられているためです。
そのため機能訓練指導員には、訓練の技術だけでなく、計画書の作成や実施記録の整備といった書類業務も求められます。整骨院での業務とは進め方が異なる部分なので、事前に理解しておくと入職後のギャップを減らせます。
整骨院での施術との違い
整骨院で行う施術は柔道整復師法にもとづく業務です。同法では、柔道整復師は外科手術や薬品の投与ができないこと、脱臼または骨折の患部への施術は応急手当を除き医師の同意が必要であることが定められています。
費用面でも違いがあります。整骨院で健康保険(療養費)の対象になるのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫といった外傷に対する施術に限られ、慢性的な肩こりや疲労による症状は対象外です。
これに対し介護保険サービスでの機能訓練は、療養費を請求する施術ではありません。介護保険にもとづくサービスの一部として提供され、費用は介護報酬として事業所に支払われます。
整骨院の施術と介護の機能訓練の制度上の違い
- 整骨院の施術=柔道整復師法にもとづく業務。外傷に対する健康保険(療養費)の対象がある
- 介護の機能訓練=介護保険法にもとづくサービス。介護報酬の枠組みで提供される
- 同じ「身体に関わる仕事」でも、根拠となる法律と報酬の仕組みが別
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」 / e-Gov法令検索「柔道整復師法」 / 厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」 / 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」 / 厚生労働省「平成30年度介護報酬改定について」
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柔道整復師が働ける介護サービスの種類

介護業界で働けるといっても、どのサービスでも同じように機能訓練指導員として配置できるわけではありません。配置すべき職種は介護保険の指定基準でサービス種別ごとに定められており、機能訓練指導員という職種そのものが置かれないサービスもあります。
求人サイトで「介護施設」とまとめて表示されていても、制度上の位置づけは施設ごとに異なります。応募前にサービス種別を確認しておくと、要件が合わない求人に時間を使わずに済みます。ここでは代表的な4つのサービスについて、指定基準にもとづいて整理します。
通所介護
通所介護(デイサービス)は、柔道整復師が機能訓練指導員として最も多く関わるサービスです。指定基準では、事業所ごとに置くべき従業者として生活相談員・看護職員・介護職員とともに機能訓練指導員を1名以上配置することが定められています。
利用定員18人以下の小規模なサービスである地域密着型通所介護についても、別の指定基準で同じく機能訓練指導員の配置が定められています。事業所数で見ると通所介護と地域密着型通所介護は介護サービスのなかで最も多く、求人の母数が大きい分野です。
働き方としては、送迎後に利用者さんの状態を確認し、集団体操や個別の訓練を提供する流れが一般的です。1日に多くの利用者さんと関わるため、限られた時間で優先順位をつける力が求められます。
通所介護での1日の流れ(一例)
※機能訓練指導員は生活相談員・看護職員・介護職員と連携して進める
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)も、指定基準で機能訓練指導員を1名以上置くことが定められている施設です。要介護度が高い方が長期間生活する場であり、機能の改善よりも現在できていることを維持し、寝たきりを防ぐ関わりが中心になります。
指定基準では、機能訓練指導員は施設内の他の職務を兼ねることができるとも定められています。そのため求人によっては、機能訓練に加えて介護業務の一部を担う形になることがあります。
1施設あたりの定員は70.4人(令和6年10月1日現在)と規模が大きく、入所者さんと長く関われる一方、一人ひとりに割ける訓練時間の設計が課題になりやすい職場といえます。
特別養護老人ホームの利用率(令和6年)
※定員に対しほぼ満床の水準で運営されている
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指してリハビリテーションを提供する施設です。ただし人員基準の構成が、これまで挙げた2つとは異なります。
介護老人保健施設の人員基準には「機能訓練指導員」という職種の定めがなく、代わりに理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を入所者100人あたり1人以上(常勤換算)配置することが定められています。つまり老健では、柔道整復師が機能訓練指導員として基準上の職種に配置されるわけではありません。
一方で、老健に柔道整復師の募集がまったくないわけではありません。医療キャリアナビの掲載求人でも介護老人保健施設の募集は確認できますが、件数は限られます。応募する場合は、どの職種としてどこまでの業務を担うのかを求人票や面接で必ず確認しましょう。
求人票に「リハビリ」と書かれていても、制度上の位置づけまでは読み取れません。サービス種別と配置される職種は、応募前に事業所へ直接確認するのが確実です。
特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホーム
有料老人ホームは、介護保険サービスとしての指定を受けているかどうかで人員基準が変わります。介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設では、指定基準により機能訓練指導員を1名以上配置することが定められています。
一方、指定を受けていない住宅型有料老人ホームなどでは、この基準は適用されません。同じ「有料老人ホーム」という名称でも、機能訓練指導員として採用されるかどうかが変わる点に注意が必要です。
同じ「有料老人ホーム」でも指定の有無で配置基準が変わる
特定施設入居者生活介護の指定を受けた事業所には、比較的自立度の高い入居者さんも含まれます。そのため予防的な運動指導から個別の訓練まで、幅広く関わることになります。
なお、短期入所生活介護(ショートステイ)も指定基準で機能訓練指導員の配置が定められているサービスです。特別養護老人ホームに併設されている事業所も多く、施設への転職を考える際は候補に入れておくとよいでしょう。
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」 / e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」 / e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / 厚生労働省「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況」
柔道整復師の求人を探す機能訓練指導員以外の選択肢

介護業界でのキャリアを機能訓練指導員だけに限定する必要はありません。介護の現場で経験を重ねるなかで、相談援助やマネジメントへ役割を広げていく道もあります。
長く働き続けることを考えるなら、入職時の職種だけでなく「その先にどんな役割があるか」まで見ておくと判断しやすくなります。ここでは代表的な3つの選択肢を紹介します。
機能訓練指導員以外の3つの選択肢を比較
| 選択肢 | 柔道整復師での該当 | 必要な実務経験 | 追加で求められるもの |
|---|---|---|---|
| 介護支援専門員ケアプラン作成 | ◯対象資格に明記 | 通算5年以上 | 実務研修の修了 |
| 生活相談員相談・調整業務 | ✕要件に含まれず | ー | 社会福祉主事任用資格など |
| 施設の管理者運営の統括 | ◯資格要件なし | 不要 | 常勤専従(兼務可) |
※生活相談員は自治体の判断で実務経験などが考慮される場合がある
介護支援専門員
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者さんの状況を踏まえてケアプランを作成し、サービス事業者との調整を担う職種です。介護保険制度の中心に位置する役割といえます。
介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格は、介護保険法施行規則で定められています。同規則には対象となる国家資格が列挙されており、柔道整復師もその一つとして明記されています。資格にもとづく業務に従事した期間が通算5年以上あることが要件です。
ただし、従事日数の数え方や必要書類などの細かい取り扱いは都道府県ごとの実施要項で示されます。受験を考える場合は、必ず在住・勤務する都道府県の最新の実施要項を確認してください。
生活相談員
生活相談員は、利用者さんやご家族からの相談に応じ、サービス利用の調整や関係機関との連絡を担う職種です。通所介護や特別養護老人ホームで配置が定められています。
注意したいのは、資格要件です。特別養護老人ホームの基準では、生活相談員は社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者、またはこれと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならないと定められています。社会福祉主事の任用資格や社会福祉士などが該当し、柔道整復師の資格そのものが要件として挙げられているわけではありません。
もっとも、「同等以上の能力を有すると認められる者」の範囲は自治体の判断に委ねられており、実務経験や他資格の保有を加味して認める例もあります。目指す場合は、勤務予定の自治体がどのような取り扱いをしているか確認することから始めましょう。
施設の管理者
事業所の運営全体を統括する管理者も選択肢の一つです。人員や設備の管理、従業者への指揮命令、行政への各種届出などを担います。
通所介護の指定基準では、事業所ごとに専らその職務に従事する常勤の管理者を置くこととされていますが、管理者に特定の資格を求める規定は置かれていません。管理上支障がない場合は、他の職務との兼務も認められています。
そのため、機能訓練指導員として現場経験を積みながら管理者を兼ねる、あるいは将来的に管理者へ移るというキャリアも描けます。ただし施設の種類によって管理者の要件は異なるため、施設ごとの基準を確認することが前提です。
参考:e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」 / e-Gov法令検索「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」
介護業界で働くメリット

介護業界への転職を考えるとき、気になるのは「整骨院と比べてどこが良くなるのか」という点でしょう。制度に支えられた事業所で働くことによる違いは、勤務時間の面にも、身につく経験の面にも表れます。
需要の面でも追い風があります。厚生労働省の推計では、介護職員の必要数は2022年度の約215万人から2040年度には約272万人まで増えると見込まれており、機能訓練を担う人材が求められる状況は当面続くと考えられます。
- 掲載中の柔道整復師求人3,737件のうち、介護系の職場は約3割を占めます
- 最も多いのはデイケア・デイサービスで759件、次いで特別養護老人ホームが266件です
- 整骨院に絞らず探すと、選べる職場の幅はぐっと広がります
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)
日勤中心で働ける職場が多い
通所介護は営業時間が日中に限られるため、夜間の勤務が発生しにくい働き方です。整骨院では会社帰りの患者さんに合わせて夜まで受付をする店舗が多く、この点は大きな違いになります。
特別養護老人ホームや有料老人ホームのように24時間体制の施設でも、機能訓練指導員は訓練を行う日中の時間帯に勤務するのが基本です。夜勤の有無は施設や雇用条件によって変わるため、応募時に確認しておくとよいでしょう。
医療キャリアナビの掲載求人データを見ると、柔道整復師向けの求人のうち約4件に1件が「日・祝休み」の条件を示しています。生活リズムを整えやすい職場を探しやすい環境といえます。
高齢者の生活を支える経験を積める
整骨院では、けがをした部位をどう回復させるかが中心になります。一方で介護の現場では、利用者さんが自宅や施設でどう生活しているかを起点に考えます。
たとえば「膝の可動域を広げる」ことがゴールではなく、「トイレまで自分で歩ける状態を保つ」といった生活上の目標から逆算して訓練を組み立てます。身体機能と生活のつながりを捉える視点は、介護の現場でこそ身につくものです。
高齢化が進むなかで、こうした生活を支える視点を持った施術者の需要は広がっています。整骨院に戻る場合でも、高齢の患者さんへの対応力として活きてきます。
多職種と連携する力がつく
介護の現場では、看護職員・介護職員・生活相談員・介護支援専門員・管理栄養士など、多くの職種が同じ利用者さんに関わります。機能訓練の内容も、他職種と共有しながら決めていくことになります。
整骨院では施術者が単独で判断する場面が多いのに対し、介護では自分の見立てを他職種に伝わる言葉で説明する力が求められます。カンファレンスや記録を通じたやり取りを重ねるなかで、この力は着実に育ちます。
多職種連携の経験は、介護支援専門員や管理者を目指すうえでも土台になります。将来的にマネジメント側へ進みたい人にとっては、早い段階から関われる環境だといえます。
利用者さんを中心にした多職種連携のイメージ
カンファレンスや記録を通じて、自分の見立てを他職種に伝わる言葉で共有する
参考:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
転職活動するなら?
介護業界で働くときの注意点

メリットがある一方で、整骨院とは仕事の中身が変わることによる戸惑いも起こりやすい分野です。転職後に「思っていた仕事と違った」とならないよう、あらかじめ知っておきたい点を整理します。
いずれも事前に確認しておけば対処できるものです。自分がキャリアのなかで何を優先したいかを整理する材料として読んでみてください。
外傷の施術経験は積みにくい
介護の現場で関わるのは、要介護認定を受けた高齢者の方が中心です。捻挫や打撲などの急性外傷に対応する機会は、整骨院に比べて大きく減ります。
柔道整復師法上、脱臼や骨折の患部への施術には応急手当を除き医師の同意が必要であり、介護施設で日常的にこうした症例を扱うことはまずありません。整復や固定の技術を磨き続けたい人にとっては、練習機会が確保しにくい環境です。
将来的に開業を視野に入れている場合は、外傷対応の経験をどこで積むかを別途考えておく必要があります。整骨院での勤務と組み合わせる方法も含めて検討するとよいでしょう。
介護業務を担う場面がある
機能訓練指導員は他の職務との兼務が認められているため、求人によっては機能訓練以外の業務も担当します。実際に任されることがあるのは、次のような業務です。
- 利用者さんの送迎
- 入浴介助
- 食事介助
- 排泄介助
特に人員に余裕のない事業所では、こうした業務の割合が高くなりやすい傾向があります。
介護業務そのものは利用者さんの生活を支える大切な仕事ですが、「機能訓練に専念できると思っていた」という前提で入職するとギャップが生まれます。募集要項に書かれた業務範囲だけで判断せず、1日の実際の流れを面接で確認することが大切です。
一方で、介護業務を通じて利用者さんの生活場面を直接見られることは、機能訓練の質を高める材料にもなります。どこまで担うのかを納得したうえで選べば、負担ではなく強みに変えられます。
整骨院で培った技術が活かせない場合がある
整骨院で身につけた手技のなかには、介護の現場でそのまま使えないものもあります。介護保険サービスで提供するのはあくまで機能訓練であり、療養費を請求する施術とは別の枠組みだからです。
また、高齢の利用者さんは骨粗しょう症や複数の疾患を抱えていることが多く、若い患者さんと同じ強度の手技は適しません。運動負荷の設定やリスク管理の考え方を、あらためて学び直す必要があります。
整骨院の手技 と 介護の機能訓練 の違い
| 項目 | 整骨院の手技 | 介護の機能訓練 |
|---|---|---|
| 対象者 | 幅広い年代の患者さん | 要介護認定を受けた高齢の利用者さん |
| 身体の状態 | 急性のけが(骨折・脱臼・打撲・捻挫)が中心 | 骨粗しょう症や複数の疾患を抱えていることが多い |
| 手技・運動の強度 | 痛みの原因に直接アプローチする強めの手技 | 骨折などのリスクを踏まえた低い強度からの運動指導 |
| 脱臼・骨折への対応 | 応急手当を除き医師の同意を得て施術 | 対象外(施術ではなく機能訓練として関わる) |
| 根拠となる枠組み | 柔道整復師法にもとづく施術 | 個別機能訓練計画にもとづく機能訓練 |
| 目指すゴール | けがをした部位の回復 | 生活動作の維持・改善 |
こうした違いに戸惑う人は少なくありませんが、逆にいえば新しい知識を吸収できる環境でもあります。研修体制や指導者の有無を転職先選びの基準に入れておくと、立ち上がりがスムーズになります。
柔道整復師の求人を探すキャリアアップに役立つ資格

介護業界で長く働くなら、柔道整復師の資格に別の資格を組み合わせることで担える役割が広がります。ここでは、実際のキャリアにつながりやすい3つの資格を取り上げます。
いずれも取得までに時間がかかるため、働きながら計画的に準備を進めることが前提になります。まずは要件を確認し、いつから動き始めるかを逆算しておきましょう。
介護支援専門員
介護支援専門員は、介護業界でのキャリアアップとして代表的な選択肢です。ケアプランの作成を通じて、利用者さんの生活全体に関わることができます。
受験を考えるうえで押さえておきたいのは、実務経験の数え方です。柔道整復師として整骨院で働いた期間も、資格にもとづく業務に従事した期間として実務経験に算入されます。介護業界に入ってから年数を積み直す必要はありません。
試験に合格した後は、実務研修を修了して登録する流れになります。実施時期や申込方法は都道府県ごとに異なるため、受験を決めたら早めに実施要項を確認しましょう。
介護福祉士
介護福祉士は、介護に関する唯一の国家資格です。現場のリーダーやサービス提供責任者を任される場面が増え、介護業務の中心を担う立場になります。
実務経験ルートで受験する場合、従事期間3年(1,095日)以上かつ従事日数540日以上の実務経験に加え、実務者研修の修了が必要です。柔道整復師として機能訓練を担当していても、介護業務に従事した期間が対象になるかは施設や職務内容によって判断が分かれるため、事前に確認が必要です。
介護福祉士(実務経験ルート)の受験要件
機能訓練指導員として働きながら介護業務にも関わっている場合は、要件を満たせる可能性があります。将来の選択肢を広げたいなら、勤務先に実務経験証明の取り扱いを聞いておくとよいでしょう。
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、高齢の方や障がいのある方が暮らしやすい住環境を提案するための検定資格です。東京商工会議所が主催しており、2級と3級が実施されています。
手すりの位置や段差の解消、福祉用具の選定といった知識が身につくため、身体機能の評価と住まいの環境調整をつなげて考えられるようになります。訪問系のサービスや在宅復帰を支援する場面で特に活きる知識です。
インターネット経由で受験できる方式が採られており、働きながらでも挑戦しやすい資格です。試験日程や受験料は回によって変わるため、公式サイトで最新の情報を確認してください。
参考:e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」 / 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格:実務経験+実務者研修」 / 東京商工会議所「福祉住環境コーディネーター検定試験®」
- 整骨院での勤務期間がすでにある人は、介護支援専門員が最短ルートになりやすいです
- 介護福祉士は介護業務の従事期間が要るので、入職時に算入されるか確認しておきましょう
- 迷ったらまず現場で経験を積み、担いたい役割が見えてから決めても遅くありません
転職先を選ぶときの確認点

介護業界の求人は、同じ「機能訓練指導員募集」でも中身が事業所ごとに大きく異なります。入職後のミスマッチを防ぐには、応募前と面接時に押さえるべき点を決めておくことが有効です。
ここでは、柔道整復師が介護業界へ転職する際に特に確認しておきたい3つの視点を挙げます。求人票だけでは分からない部分が多いため、遠慮せず質問する姿勢が大切です。
配置される職種と役割の範囲
まず確認したいのは、自分がどの職種として配置されるのかです。機能訓練指導員なのか、介護職員なのか、あるいは兼務なのかによって、日々の業務も評価のされ方も変わります。
前述のとおり、介護老人保健施設のように機能訓練指導員という職種が人員基準に置かれていないサービスもあります。求人票に「リハビリ担当」とだけ書かれている場合は、制度上どの職種として登録されるのかを具体的に聞いておきましょう。
あわせて、その事業所が提供しているサービス種別も確認しておくと安心です。通所介護と通所リハビリテーションは名称が似ていますが、配置が定められている職種は異なります。
今のあなたの状況は?
介護業務をどこまで担うか
次に、機能訓練以外の業務をどこまで担当するのかを確認します。事業所によって差が大きいのは、次のような点です。
- 送迎を担当するかどうか
- 入浴介助にどこまで関わるか
- 記録業務にどのくらい時間を取られるか
聞き方としては、「機能訓練指導員は1日のうちどのくらいの時間を訓練に充てていますか」「送迎や入浴介助は担当しますか」と具体的に尋ねるのが有効です。抽象的に「介護業務はありますか」と聞くよりも、実態が把握しやすくなります。
見学が可能な事業所であれば、実際の1日の流れを見せてもらうのが確実です。求人票の文言と現場の運用が一致しているかを、自分の目で確かめられます。
機能訓練にあてられる時間
3つ目は、機能訓練そのものに割ける時間です。利用者さんの人数に対して機能訓練指導員が1人しかいない事業所では、一人ひとりに関われる時間はどうしても短くなります。
確認したいのは、1日あたりの利用者数、機能訓練指導員の人数、個別訓練と集団体操の割合の3点です。この3つが分かると、自分がどのくらい個別に関われるかを具体的に見積もれます。
面接で確認したい3つのポイント
※3点を合わせて聞くと一人あたりにかけられる時間の目安がつかめる
技術を伸ばしたいのか、幅広い経験を積みたいのかによって、望ましい環境は変わります。自分が何を優先したいかを整理したうえで、条件を照らし合わせて選びましょう。
まとめ
柔道整復師は、厚生労働省の通知で機能訓練指導員となれる資格として明記されており、追加の実務経験を求められることなく介護業界で専門職として働けます。ただし、どのサービスでも同じように配置できるわけではありません。
通所介護・特別養護老人ホーム・特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームなどでは指定基準で機能訓練指導員の配置が定められている一方、介護老人保健施設には機能訓練指導員という職種の定めがなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置が定められています。求人を探すときは、サービス種別と配置される職種をセットで確認することが欠かせません。
キャリアの選択肢は機能訓練指導員だけではなく、介護支援専門員や生活相談員、管理者へ広がる道もあります。介護支援専門員の受験資格には柔道整復師が明記されており、整骨院での勤務期間も実務経験として扱われます。
まずは気になる事業所のサービス種別を調べ、どの職種としてどこまでの業務を担うのかを確認するところから始めてみてください。制度を理解したうえで選べば、これまでの経験を活かせる職場は見つかります。





