年収500万円の手取りはいくら?税率の仕組みと生活費の目安
年収500万円と聞くと、そこそこ余裕のある暮らしができそうに感じます。ただ、実際に振り込まれるのは額面のままではありません。税金と社会保険料が引かれた「手取り」がいくらになるのかが分からないと、家賃や貯蓄の計画は立てられないままです。
さらに、年収が上がると税率が跳ね上がって手取りが減るのでは、と不安を抱えたまま昇給や夜勤の増加をためらう方もいます。ここは仕組みを知れば解消できる不安です。
この記事では、年収500万円の手取りを年額・月額の両方で示し、引かれる税金と社会保険料の内訳、所得税率が決まる仕組み、世帯別の生活費の目安までを公的データにもとづいて整理します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
年収500万円の手取りの目安

年収500万円の手取りは、年額でおよそ391万円、月額にすると約32.6万円です。額面に対する割合はおよそ78%で、残りの約22%が税金と社会保険料として差し引かれます。
年収500万円(額面)の内訳
※額面5,000,000円に対する内訳(会社員・独身・扶養なしの場合)
手取り額は家族構成や住んでいる地域、加入している健康保険によって変わります。そのため本記事では、次の条件をそろえたうえで金額を算出しています。以降に登場する金額は、すべてこの同じ条件で計算したものです。
この記事の算出条件
- 会社員(給与所得者)・独身・扶養家族なし
- 40歳未満(介護保険料の負担なし)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)東京都支部に加入
- 雇用保険は「一般の事業」
- 賞与なしで年収を12等分(ボーナスありの場合は別途後述)
- 令和8年度の保険料率/令和7年分以降の所得税/令和8年度の住民税
税額や保険料率は制度改正で変わります。ここで示す金額はあくまで概算として、参照している年度とあわせて確認してください。
手取りの年額
年収500万円から差し引かれるのは、社会保険料が723,148円、所得税が120,580円、住民税が243,100円です。合計すると1,086,828円になり、手取りは3,913,172円となります。
額面に対する手取りの割合は78.3%です。年収の2割強が引かれる計算になりますが、この割合は年収が上がるほど少しずつ下がっていきます。所得税が累進課税で、社会保険料にも上限が設けられているためです。
引かれる金額のうち最も大きいのは厚生年金保険料の450,180円で、次いで健康保険料の242,310円です。税金よりも社会保険料のほうが負担として重く、社会保険料は控除合計の約3分の2を占めています。
節税の話題が注目されがちですが、実際に手取りを大きく左右しているのは社会保険料のほうだといえます。
- 社会保険料 723,148円
- 住民税 243,100円
- 所得税 120,580円
- 最大厚生年金保険料 450,180円
- 2位健康保険料 242,310円
手取りの月額
年間の手取り3,913,172円を12で割ると、月あたりの手取りは約326,098円です。額面の月収は約41.7万円ですので、毎月9万円ほどが天引きされている計算になります。
内訳を月額に直すと、厚生年金保険料が37,515円、健康保険料が20,192円、子ども・子育て支援金が471円、雇用保険料が2,083円、所得税が約10,048円、住民税が約20,258円です。
給与明細を見て「思っていたより少ない」と感じる原因の多くは、厚生年金保険料と住民税にあります。厚生年金保険料は毎月の給与から引かれ続け、住民税は前年の所得をもとに翌年6月から徴収されます。そのため年収が500万円に上がった年よりも、その翌年のほうが住民税の負担は重くなります。昇給した直後に手取りが思ったほど増えないのは、この時間差が理由です。
ボーナスがある場合の月の手取り
ボーナスがある場合、年収が同じ500万円でも毎月の手取りは大きく変わります。ここでは月給の4か月分(年2回)を賞与として受け取ると仮定し、月給312,500円・賞与625,000円が年2回というモデルで計算します。
この場合、毎月の手取りは約23.8万円、賞与の手取りは1回あたり約52万円です。年間の手取り合計はおよそ389万円になります。
-
賞与なし(12等分)毎月の手取り約32.6万円・年間の手取り3,913,172円
-
賞与あり(月給の4か月分)毎月の手取り約23.8万円+賞与手取り約52万円×2回・年間の手取り約389万円
注目したいのは、同じ年収500万円でも賞与ありのほうが年間の手取りは約1万9,000円少なくなる点です。
社会保険料は毎月の給与と賞与で別々に計算され、月々の保険料は「標準報酬月額」という区切りのよい金額に当てはめて決まります。賞与ありのモデルでは保険料の計算対象になる金額の合計が大きくなるため、負担がわずかに増えます。
差は年間2万円弱ですので、ボーナスの有無で損得を判断する必要はありません。
参考:国税庁「No.1410 給与所得控除」 / 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」 / 日本年金機構「厚生年金保険の保険料額表」
年収500万円から引かれる税金・社会保険料

年収500万円から引かれるのは、所得税・住民税という2つの税金と、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料という3つの社会保険料です。40歳以上になると、これに介護保険料が加わります。
金額は国税庁の資料、全国健康保険協会の保険料額表、日本年金機構の厚生年金保険料額表をもとに算出しています。参照している年度は、社会保険料が令和8年度、所得税が令和7年分以降、住民税が令和8年度です。
| 所得税 | -120,580円 | 残り 4,879,420円 |
| 住民税 | -243,100円 | 残り 4,636,320円 |
| 健康保険料 | -242,310円 | 残り 4,394,010円 |
| 厚生年金保険料 | -450,180円 | 残り 3,943,830円 |
| 雇用保険料 | -25,000円 | 残り 3,918,830円 |
| 子ども・子育て支援金 | -5,658円 | 残り 3,913,172円 |
| 手取り | 3,913,172円 | 額面の78.3% |
まず社会保険料の計算の基礎になる「標準報酬月額」を確認します。月収を等級に当てはめた金額で、年収500万円を12等分した約41.7万円は標準報酬月額41万円の等級にあたります。健康保険料も厚生年金保険料も、この41万円をもとに計算されます。
所得税
所得税は年額120,580円、月額にすると約10,048円です。年収に対する割合は2.4%にとどまります。
所得税は年収そのものにかかるのではありません。年収から給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を差し引いた「課税所得」に対してかかります。年収500万円の場合、課税所得は215万6,000円まで下がるため、税額も小さくなります。計算の詳しい手順は次で扱います。
なお所得税には、東日本大震災の復興財源にあてる復興特別所得税(所得税額の2.1%)が上乗せされます。120,580円のうち2,480円がこの部分です。
住民税
住民税は年額243,100円で、月額にすると約20,258円です。所得税のちょうど2倍ほどあり、年収500万円の水準では所得税より住民税のほうが負担が重いのが特徴です。
住民税は「所得割」と「均等割」に分かれます。所得割は課税所得の10%で、年収500万円の場合は240,600円です。ここから調整控除2,500円が差し引かれ、238,100円になります。均等割は所得にかかわらず定額で4,000円、これに森林環境税1,000円が加わります。
住民税で注意したいのは、基礎控除が43万円で固定されている点です。所得税の基礎控除は所得に応じて変わりますが、住民税は変わりません。そのため住民税は所得税ほど控除の恩恵を受けられず、負担感が大きくなります。
もう一つの特徴が徴収のタイミングです。住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年6月から翌々年5月にかけて給与から天引きされます。転職や退職で収入が減った年でも、前年の所得にもとづく住民税は引かれ続けます。
健康保険料
健康保険料は年額242,310円、月額20,192円です。これに子ども・子育て支援金が年額5,658円(月額471円)加わります。
保険料は標準報酬月額41万円に保険料率をかけ、会社と折半して負担します。協会けんぽ東京都支部の令和8年度の保険料率は9.85%です。子ども・子育て支援金の0.23%は健康保険料率とは別建てで、令和8年4月分から徴収が始まっています。
保険料率は都道府県ごとに違います。最も高い佐賀県は10.55%、最も低い沖縄県は9.44%で、その差は1.11ポイントです。標準報酬月額41万円で計算すると、本人負担の差は月あたり約2,275円、年間では約2.7万円になります。同じ年収でも勤務先の所在地によって手取りが変わる部分です。
40歳になると介護保険料(1.62%)が上乗せされます。年収500万円であれば、本人負担は月あたり約3,321円、年間で約4万円の増加です。
厚生年金保険料
厚生年金保険料は年額450,180円、月額37,515円で、引かれる項目のなかで最も金額が大きい項目です。控除合計1,086,828円のうち、4割強を占めています。
保険料率は18.3%で全国一律です。平成29年9月に引き上げが完了して以降は固定されており、健康保険料のような地域差もありません。会社と折半するため、本人が負担するのは9.15%にあたる部分です。
負担は重いものの、厚生年金保険料は将来受け取る老齢厚生年金の額に反映されます。標準報酬月額が高いほど年金額も増えるため、単純に引かれるだけの支出とは性質が異なります。
雇用保険料
雇用保険料は年額25,000円、月額約2,083円です。他の項目と比べると金額は小さく、控除合計の2.3%にとどまります。
雇用保険料率は事業の種類によって分かれます。医療機関や介護施設を含む「一般の事業」では、令和8年度の労働者負担分は0.5%です。健康保険や厚生年金と違い、雇用保険料は標準報酬月額ではなく実際に支払われた賃金の総額にかかります。そのため賞与や残業代が増えれば、そのぶん保険料も増えます。
雇用保険は、失業したときの基本手当や、育児休業給付、教育訓練給付の財源になっています。資格取得のために教育訓練給付を使う場合も、この保険料がもとになっています。
参考:ハローワーク立川「令和8年度 雇用保険料率のご案内」 / 総務省「地方税制度|個人住民税」 / 全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
年収500万円にかかる所得税率の仕組み

「年収が上がると税率が跳ね上がって手取りが減る」という話を聞いたことがある方は多いと思います。結論から言うと、税率が上がったせいで手取りが減ることは、通常は起こりません。
この誤解が生まれるのは、税率が「年収」にかかると思われているためです。実際には、年収からいくつもの控除を引いた「課税所得」に対して税率が決まります。しかも税率が上がるのは、区分を超えた部分だけです。
ここでは年収500万円を例に、年収が課税所得に変わるまでの過程を実際に計算しながら追っていきます。仕組みが分かれば、昇給や夜勤の増加を避ける理由がなくなります。
年収と課税所得の違い
年収とは、給与と賞与を合計した「額面」の金額です。一方の課税所得は、そこから経費にあたる控除を差し引いた後に残る金額を指します。
会社員の場合、まず給与所得控除が差し引かれます。個人事業主の経費にあたるもので、年収に応じて金額が決まります。年収500万円の場合は「収入×20%+44万円」の式が適用され、控除額は144万円です。これを引いた356万円が「給与所得」になります。
次に、実際に支払った社会保険料の全額が社会保険料控除として差し引かれます。年収500万円では723,148円です。健康保険料も厚生年金保険料も雇用保険料も、すべて課税対象から外れます。
最後に基礎控除が引かれます。すべての納税者に適用される控除で、令和7年分・令和8年分は所得に応じて金額が変わります。給与所得356万円の場合は68万円です。
年収500万円の場合の課税所得
ここまでの控除を順に差し引くと、課税所得は次のように求められます。
- 年収5,000,000円から給与所得控除1,440,000円を引く → 給与所得3,560,000円
- 社会保険料控除723,148円を引く → 2,836,852円
- 基礎控除680,000円を引く → 2,156,852円
- 1,000円未満を切り捨てる → 課税所得2,156,000円
年収500万円の課税所得ができるまで
※課税所得に税率をかけて所得税額が決まる
年収は500万円ですが、税率がかかる課税所得は215万6,000円まで下がります。年収の43%ほどにあたる金額です。所得税が年収の2.4%にとどまるのは、この差があるためです。
なお、生命保険料控除や医療費控除、扶養控除などを受けている場合は、課税所得はさらに小さくなります。ここでは扶養家族がいない前提で計算していますので、扶養家族がいる場合の税額はこれより低くなります。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
課税所得に対して適用される税率
所得税の税率は、課税所得の金額に応じて5%から45%まで7段階に分かれています。課税所得2,156,000円は「195万円を超え330万円以下」の区分にあたるため、適用される税率は10%です。
この区分の税額は「課税所得×10%-97,500円」という速算式で計算します。当てはめると215,600円-97,500円で118,100円となり、ここに復興特別所得税2,480円を加えた120,580円が最終的な所得税額です。
差し引かれる97,500円は飾りではありません。195万円までの部分は5%で計算するという約束を、あとから帳尻を合わせる形で反映させた金額です。実際に195万円までを5%、超えた部分を10%で計算しても、結果は同じ118,100円になります。
- 195万円までの部分:1,950,000円×5%=97,500円
- 195万円を超えた部分:206,000円×10%=20,600円
- 合計:118,100円(速算式の結果と一致)
| 課税所得の範囲 | 税率 | 控除額 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 | - |
| 195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 | 該当 |
| 330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 | - |
| 695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 | - |
| 900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | - |
年収が上がったときに税率が変わるタイミング
年収が上がって税率の区分をまたいでも、課税所得の全体に高い税率がかかるわけではありません。高い税率がかかるのは、区分を超えた部分だけです。これを累進課税といいます。
たとえば課税所得が195万円から196万円に増えた場合、増えた1万円にだけ10%が適用され、税額は1,000円増えるだけです。手取りは9,000円増えます。区分をまたいだせいで手取りが逆転することはありません。
ひとつだけ注意点があります。令和7年分・令和8年分は、基礎控除に所得に応じた上乗せの特例が設けられています。給与所得が336万円以下なら88万円、336万円を超えると68万円と、境目で20万円の段差ができる仕組みです。給与所得336万円は年収475万円前後にあたり、この付近では年収が少し増えただけで所得税が1万円ほど増えることがあります。
とはいえ影響が出るのは境目のごく近くだけで、年収が数万円以上増えればすぐに取り戻せる範囲です。この上乗せ特例は令和7年分・令和8年分に限られたもので、令和9年分以降は基礎控除が一本化されるため段差もなくなります。昇給や夜勤の増加を避ける理由にはなりません。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」 / 国税庁「No.1199 基礎控除」
年収500万円の手取りで暮らす生活費の目安

月の手取り約32.6万円で、どこまでの暮らしができるのでしょうか。総務省統計局の家計調査から、世帯人員別の平均的な支出を見ていきます。
家計の内訳は住んでいる地域や持ち家か賃貸かで大きく変わります。特に住居費の差が大きいため、ここで示す金額は幅を持って捉えてください。
住まいの違いがどれほど効くかは、数字を並べると分かりやすくなります。二人以上の世帯で見ると、持ち家世帯の住居費は月12,419円、民営借家の世帯は月67,997円です。その差は月5.5万円、年間では約67万円になります。
以降の平均値には持ち家世帯(二人以上の世帯では87.3%)が多く含まれている点を念頭に置いてください。
一人暮らしの場合
単身世帯のうち勤労者世帯(平均年齢43.3歳)の消費支出は、月191,523円です。手取り約32.6万円に対して13万円以上の余裕があり、貯蓄や趣味に回せる金額を確保しやすい水準といえます。
内訳を見ると、食料が45,787円、住居が30,327円(うち家賃・地代28,062円)、交通・通信が23,210円、教養娯楽が24,187円と続きます。この層は持ち家率が34.1%と低く、家賃を支払っている世帯が56.3%を占めるため、住居費は二人以上の世帯より高めに出ています。
ただし東京23区など家賃相場の高い地域では、家賃だけで10万円を超えることも珍しくありません。その場合、余裕は月5万円ほどまで縮みます。家賃の目安を手取りの3割(約9.8万円)に収められるかどうかが、貯蓄できるかどうかの分かれ目になります。
夫婦2人暮らしの場合
二人以上の世帯のうち、世帯人員2人の世帯の消費支出は月281,014円です。手取り約32.6万円との差は4.5万円ほどで、一人暮らしに比べると余裕は一気に縮みます。
ここで重要になるのが、配偶者に収入があるかどうかです。片方の収入だけで生活する場合、平均的な支出を続ければ貯蓄に回せるのは月4万円台にとどまります。一方、配偶者にも収入があれば世帯の手取りは大きく増え、余裕は一気に広がります。
2人世帯の平均支出281,014円には持ち家世帯が多く含まれる
民営借家の住居費は持ち家より月5.5万円ほど高い
賃貸で暮らす場合は支出が33万円前後まで膨らむ可能性がある
その場合、収入が1人分だけでは貯蓄がほとんどできない
夫婦と子ども1人の場合
世帯人員3人の世帯の消費支出は月324,047円です。年収500万円の手取り約326,098円と、ほぼ同じ金額になります。
つまり平均的な支出をした場合、収入が1人分だけでは手元にほとんど残りません。ここに教育費や住宅ローンが加わると、家計は赤字に転じる可能性があります。二人以上の世帯全体で見ても、民営借家の世帯の消費支出は324,825円と持ち家世帯(312,688円)より高く、賃貸で3人暮らしをする場合はさらに厳しくなると考えられます。
対応の方向はいくつかあります。配偶者が働いて世帯収入を増やす、家賃や通信費などの固定費を見直す、児童手当のような公的給付を確実に受け取るといった方法です。年収500万円は、1人の収入で3人を養う水準としてはぎりぎりの線だと捉えておくとよいでしょう。
参考:e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 3-1 世帯人員別 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯」 / e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 3-7 住居の所有関係別 二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯」 / e-Stat「家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 1 (実数,構成比,増減率,寄与度) 単身世帯・勤労者世帯・勤労者世帯以外の世帯・無職世帯」
年収500万円は平均と比べて高いか

年収500万円が世の中でどのくらいの位置にあるのかは、国税庁の民間給与実態統計調査で確認できます。1年を通じて勤務した給与所得者を対象にした調査で、日本の給与水準を知るうえで最も基本になる統計です。
結論としては、年収500万円は平均をやや上回る水準です。ただし性別や年代によって見え方は大きく変わります。
日本の平均給与との比較
令和6年分の調査では、給与所得者の平均給与は478万円でした。年収500万円はこれを22万円上回ります。
男女別に見ると、男性が587万円、女性が333万円です。男性の平均には届かず、女性の平均は大きく上回るという位置づけになります。
雇用形態による差も明確です。正社員の平均給与は545万円、正社員以外は206万円で、その差は339万円あります。年収500万円は正社員の平均には届いていませんが、正社員以外との比較では2倍を超える水準です。
年代別の平均給与との比較
年代別に平均給与を見ると、年収500万円の位置づけがより具体的に分かります。男女計では、40〜44歳(516.1万円)で初めて平均が500万円を超えます。それより下の年代では、30〜34歳が448.7万円、35〜39歳が482.1万円と500万円に届いていません。
男性はもっと早い段階で到達します。30〜34歳の平均が511.6万円で、この時点ですでに500万円を超えています。以降も35〜39歳が573.8万円、40〜44歳が629.5万円と伸び続けます。
年代別の平均給与の推移(19歳以下〜70歳以上)
※40〜44歳(516.1万円)で男女計の平均給与が初めて500万円を超える
一方、女性の平均はどの年代でも500万円に届きません。最も高い45〜49歳でも368.6万円です。つまり女性で年収500万円に達している場合、同世代の平均を大きく上回っていることになります。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
年収500万円台が占める割合
給与階級別の構成比では、年収500万円超600万円以下の層は全体の11.8%です。男女別では男性が14.7%、女性が8.0%となっています。
分布全体で見ると、年収500万円以下の人が63.4%を占めます。およそ3人に2人が年収500万円以下ということになり、年収500万円は上位4割に入る水準だと分かります。
男女で分けると景色は変わります。男性では年収500万円以下が49.0%と半数程度ですが、女性では82.3%に達します。年収500万円が「高いか低いか」の感覚が人によって食い違うのは、比べている相手が違うためだといえます。
参考:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」 / 国税庁「民間給与実態統計調査」
医療・介護職で年収500万円を目指す働き方

年収アップの方法として、コンサルティングやIT、不動産営業への転職を挙げる記事は多くあります。ただ、資格を土台に働く医療・介護職には当てはまりません。
ここでは資格を変えずに年収500万円へ近づける方法を、役職・夜勤・職場の種類・資格手当という自分で選べる4つの軸から見ていきます。まずは職種ごとの現在地を確認しておきましょう。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和6年)で、きまって支給する現金給与額の12か月分と年間賞与を合計して年収を試算すると、平均で500万円に届いているのは薬剤師・助産師・診療放射線技師・保健師・看護師・臨床検査技師です。
理学療法士などのリハビリ職や介護職員、ケアマネジャーの平均は400万円前後で、平均のままでは500万円に届きません。
役職に就く
役職に就くことは、年収を階段状に引き上げる方法です。賃金構造基本統計調査(産業計)で役職別の所定内給与額を見ると、非役職者が302.8千円であるのに対し、係長級は385.9千円、課長級は512.0千円です。
非役職者を100とすると、係長級で127.4、課長級で169.1という水準になります。係長級に上がるだけで所定内給与が3割近く増える計算です。
医療・介護の現場では、看護師の主任・師長、リハビリ職の科長、介護施設の生活相談員やサービス提供責任者、施設長といったポジションがこれにあたります。役職手当がつくだけでなく、基本給の等級そのものが上がることが多いため、効果は長く続きます。
一方で、役職に就くと管理業務が増え、夜勤や残業の手当が減る場合もあります。年収の総額で比べて判断することが大切です。
夜勤の回数を増やす
夜勤や時間外の手当は、資格を変えずに年収を押し上げる最も直接的な方法です。賃金構造基本統計調査では「きまって支給する現金給与額」と「所定内給与額」が別に集計されており、その差が時間外・休日・深夜労働の手当にあたります。
職種によって差は明確です。助産師は月52,400円(年約62.9万円)、看護師は月33,900円(年約40.7万円)がこの手当分にあたります。一方で理学療法士などのリハビリ職は月12,000円(年約14.4万円)、ケアマネジャーは月10,200円(年約12.2万円)にとどまります。
職種別 時間外・休日・深夜労働手当(月額)
きまって支給する現金給与額のうち所定内給与を除いた手当分
夜勤のある職種では、この手当が年収の1割前後を占めます。看護師の平均年収519.7万円のうち約40万円が夜勤・時間外の手当であることを考えると、夜勤の回数は年収に直結するといえます。ただし健康への負担も大きいため、増やせる範囲には限りがあります。
訪問系の職場に移る
訪問看護や訪問リハビリなど、利用者さんの自宅に出向く働き方は給与水準が高めです。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で正看護師の月給中央値を職場別に見ると、次のようになります。
-
訪問看護320,000円
-
病院298,000円
-
有料老人ホーム292,000円
-
介護老人保健施設288,000円
-
クリニック286,000円
-
特別養護老人ホーム271,300円
訪問看護は病院より月2.2万円、特別養護老人ホームより月4.9万円高い水準です。年額に直すと病院との差は約26万円、特別養護老人ホームとの差は約58万円になります。賞与を含めれば、訪問看護に移ることで年収500万円が現実的な射程に入ります。
給与が高い理由は、オンコール対応や単独訪問の責任、移動を含む業務負荷が反映されているためです。1人で判断する場面が多く、一定の臨床経験が求められる職場が中心になります。
手当がつく資格を取る
上位資格を取得すると、年収の水準そのものが変わります。賃金構造基本統計調査から試算した平均年収を比べると、その差がはっきりします。
准看護師の平均年収は417.2万円、看護師は519.7万円で、その差は約102万円です。介護職員の376.0万円に対して介護支援専門員(ケアマネジャー)は429.6万円で、差は約54万円になります。
資格による年収差(賃金構造基本統計調査から試算)
- 准看護師417.2万円 → 看護師519.7万円(差 約102万円)
- 介護職員376.0万円 → 介護支援専門員429.6万円(差 約54万円)
資格取得には時間と費用がかかりますが、雇用保険の教育訓練給付を使えば受講費用の一部が支給されます。毎月引かれている雇用保険料は、こうした制度の財源になっています。
職場によっては資格取得支援制度が用意されている場合もあるため、まず勤務先の制度を確認してみてください。
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(小分類)」 / 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
年収500万円から手取りを増やす方法

手取りを増やす方法は、大きく2つに分かれます。年収そのものを上げるか、引かれる金額を減らすかです。どちらも効果はありますが、効き方が違います。
年収を上げる方法は増やせる金額が大きい一方で、時間がかかります。控除制度の活用はすぐ始められますが、効果は年数万円の範囲にとどまります。両方を並行して進めるのが現実的です。
年収そのものを上げる
年収を上げたとき、手取りがどれだけ増えるかを確認しておきましょう。同じ算出条件で計算すると、年収450万円の手取りは約354万円、年収500万円の手取りは約391万円です。年収が50万円増えると、手取りは約37万円増えます。
増えた分の約74%が手元に残る計算です。税率が上がる区分をまたいでも、増えた分がまるごと消えてしまうことはありません。
年収を上げる手段は、前のH2で見た役職・夜勤・職場の種類・資格の4つが中心になります。効果が最も大きいのは職場を変えることで、勤務先の給与水準そのものが変われば、年収は一度に数十万円動きます。
控除制度を活用する
控除制度を使うと、課税所得が下がって所得税と住民税が軽くなります。年収500万円の水準で実際に効果が出るのは、ふるさと納税・iDeCo・生命保険料控除の3つです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は効果が最も大きい制度です。企業年金のない会社員は月額23,000円(年額276,000円)まで拠出でき、その全額が所得控除になります。年収500万円の条件で計算すると、所得税と住民税をあわせて年間約5.2万円の負担減です。ただし原則60歳まで引き出せないため、生活防衛資金を確保したうえで始めてください。
ふるさと納税は、税負担が減るのではなく寄附先を選べる制度です。自己負担2,000円で返礼品を受け取れる点にメリットがあります。控除の上限は住民税所得割額のおよそ2割が目安で、年収500万円・独身の条件では約6万1,000円が上限の目安になります。上限を超えた分は自己負担になるため、複数の寄附をする場合は合計額に注意してください。
生命保険料控除は、一般・介護医療・個人年金の3区分でそれぞれ最大4万円、合計12万円が所得から差し引かれます。年収500万円では所得税と住民税をあわせて年間2万円弱の軽減です。すでに保険に加入しているなら、年末調整で控除証明書を提出するだけで適用されます。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
働き方を変えて手当を増やす
同じ手当でも、課税されるものとされないものがあります。この違いを知っておくと、条件を比べるときの見方が変わります。
代表的なのが通勤手当です。電車やバスで通勤する場合、月15万円までの通勤手当は非課税で、所得税も住民税もかかりません。社会保険料の計算には含まれますが、税負担は増えません。
一方、夜勤手当・資格手当・住宅手当は課税対象です。額面が同じでも、通勤手当のほうが手取りへの貢献は大きくなります。
- 求人票の給与額に通勤手当が含まれているかを確認する
- 夜勤手当・資格手当・住宅手当の支給条件と金額を確認する
- 社宅・寮の有無と自己負担額を確認する
- 賞与が年何か月分で、業績連動かどうかを確認する
社宅や寮を利用できる職場では、家賃負担が直接下がります。手取りが増えるわけではありませんが、可処分所得という意味では手当を増やすのと同じ効果があります。求人を比べるときは、額面の給与だけでなく手当の内訳と福利厚生まで含めて確認してみてください。
参考:厚生労働省「iDeCoの概要」 / 総務省「ふるさと納税のしくみ|税金の控除について」 / 国税庁「No.1140 生命保険料控除」 / 国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」
まとめ
年収500万円の手取りは、年額でおよそ391万円、月額で約32.6万円です。引かれる金額の内訳は社会保険料が723,148円、所得税が120,580円、住民税が243,100円で、社会保険料が控除全体の約3分の2を占めています。
所得税の税率は年収ではなく課税所得で決まります。年収500万円の場合、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除を差し引いた課税所得は215万6,000円まで下がり、税率10%が適用されます。しかも高い税率がかかるのは区分を超えた部分だけですので、年収が上がって手取りが逆転することはありません。
生活費で見ると、一人暮らしなら月13万円以上の余裕があり、3人世帯では平均支出が手取りとほぼ同額になります。世帯の人数によって、同じ手取りでも余裕はまったく違います。
医療・介護職では、平均で年収500万円に届いているのは薬剤師・助産師・診療放射線技師・保健師・看護師・臨床検査技師です。届いていない職種でも、役職・夜勤・訪問系への転職・上位資格の取得という4つの軸で近づけます。
まずは自分の給与明細で控除の内訳を確認し、そのうえでiDeCoやふるさと納税といったすぐ始められる制度から手をつけてみてください。年収そのものを上げたい場合は、職場ごとの給与水準を比べるところから始めるのが近道です。


