登録販売者と薬剤師の違い|扱える医薬品・資格・管理者要件を比較
ドラッグストアの同じ売り場で働いていても、登録販売者と薬剤師では販売できる医薬品も、資格を取るまでの道のりも大きく異なります。
登録販売者と薬剤師の違いは、「第1類医薬品を売れるかどうか」だけではありません。要指導医薬品や調剤の扱い、店舗管理者になるための実務経験、年収の水準まで差があります。
この記事では、2026年5月に施行された改正薬機法の内容も含めて、2つの資格の違いを比較します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
登録販売者と薬剤師の違いの全体像

登録販売者と薬剤師は、どちらも医薬品の販売に関わる専門職です。 ただし、資格を定める法律も、担当できる業務の広さも違います。
| 項目 | 薬剤師 | 登録販売者 |
|---|---|---|
| 根拠となる法律 | 薬剤師法 | 薬機法 |
| 資格の与え方 | 厚生労働大臣の免許 | 試験合格後、都道府県知事の販売従事登録 |
| 登録される名簿 | 厚生労働省の薬剤師名簿 | 都道府県の登録販売者名簿 |
| 働ける地域 | 全国 | 登録は1つの都道府県のみ。他の都道府県でも働ける |
根拠となる法律と位置づけ
薬剤師は「薬剤師法」に基づく国家資格で、厚生労働大臣の免許を受けて働きます。 調剤は薬剤師だけに認められた業務で、薬剤師でない人が販売や授与の目的で調剤することは法律で禁止されています。
登録販売者は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に基づく資格です。 都道府県が実施する登録販売者試験に合格し、勤務先の所在地の都道府県で「販売従事登録」を受けると、登録販売者として一般用医薬品を販売できます。
担当する業務の範囲
薬剤師は、処方箋に基づく調剤と服薬指導、医療用医薬品の管理、すべての市販薬の販売まで担当できます。 登録販売者が販売できるのは、一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品です。
-
薬剤師調剤・服薬指導、要指導医薬品と第1類〜第3類医薬品の販売、薬局の管理
-
登録販売者第2類・第3類医薬品の販売と情報提供、相談対応、店舗販売業の店舗管理
第2類・第3類医薬品の販売や相談対応は登録販売者も担当できるため、ドラッグストアの売り場では登録販売者が接客を担う場面も多くあります。
配置が必要になる場面
どちらの資格者が必要になるかは、店の許可の種類と、扱う医薬品の区分で決まります。
調剤を行う薬局には、必ず薬剤師が必要です。 一方、ドラッグストアのような「店舗販売業」は、第2類・第3類医薬品だけを扱う店であれば、要件を満たした登録販売者が店舗管理者を務められます。
同じお店で働いていても、資格の根拠になる法律から違うんだね
参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / e-Gov法令検索「薬剤師法」
扱える医薬品の違い

医薬品は、医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品の3つに大きく分かれ、一般用医薬品はさらに第1類〜第3類に分かれます。 登録販売者と薬剤師の違いが出るのは、この区分ごとの販売ルールです。
| 医薬品の区分 | 薬剤師 | 登録販売者 |
|---|---|---|
| 医療用医薬品処方箋に基づく調剤 | ○ | × |
| 要指導医薬品市販薬(OTC医薬品) | ○ | × |
| 第1類医薬品一般用医薬品 | ○ | × |
| 第2類医薬品一般用医薬品 | ○ | ○ |
| 第3類医薬品一般用医薬品 | ○ | ○ |
医療用医薬品と調剤
医師が処方する医療用医薬品は、薬剤師が処方箋に基づいて調剤し、患者さんに渡します。 登録販売者は調剤に関わることができず、店舗販売業の店では医療用医薬品を販売・陳列すること自体が認められていません。
要指導医薬品
要指導医薬品は、医療用から市販薬に切り替わって間もない薬などが指定される区分です。 販売できるのは薬剤師だけで、登録販売者は扱えません。
2025年5月21日に公布された改正薬機法(令和7年法律第37号)により、2026年5月1日から要指導医薬品の売り方が変わりました。
オンラインでの販売が認められても、情報提供と指導を行うのは薬剤師です。 登録販売者が扱えない区分であることは、改正後も変わりません。
「第1類は薬剤師だけ」に加えて、要指導医薬品も薬剤師だけなんだね!
第1類医薬品
第1類医薬品は、一般用医薬品のなかでも副作用などのリスクが特に高いものです。 販売できるのは薬剤師だけで、販売時には薬剤師が書面を使って情報提供することが義務づけられています。 インターネット販売はできますが、その場合も薬剤師の情報提供が必要です。
第2類・第3類医薬品
第2類・第3類医薬品は、薬剤師と登録販売者のどちらも販売できます。 第2類医薬品は情報提供が努力義務、第3類医薬品は情報提供の義務はありませんが、購入者から相談があれば、どの区分でも必要な情報を提供しなければなりません。
2026年5月1日からは、乱用のおそれがある6成分(コデイン、エフェドリンなど)を含む医薬品が「指定濫用防止医薬品」となり、販売方法が厳しくなりました。
- 購入者の年齢や、ほかの店での購入状況を確認する
- 複数個や大容量の製品を買う場合は理由を確認する
- 18歳未満の人には小容量の製品1つまで、対面またはビデオ通話で販売する
かぜ薬やせき止めに含まれることがある成分なので、登録販売者にとっても日常の接客に直結する改正です。
薬剤師の求人を探す参考:厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」 / 厚生労働省「令和7年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)等の一部改正について」
資格取得までの違い

資格を取るまでの道のりは、2つの資格でもっとも差が大きい部分です。 薬剤師は大学の6年制課程が前提ですが、登録販売者は学歴を問わず受験できます。
受験資格
薬剤師国家試験を受けるには、大学の薬学部で6年制の正規課程を修めて卒業することが必要です(外国の薬学校卒業者などで厚生労働大臣の認定を受けた人を除く)。
登録販売者試験には、学歴や実務経験の受験資格がありません。 以前は実務経験などが求められていましたが、現在は誰でも受験できます。
試験の内容と実施主体
薬剤師国家試験は厚生労働省が年1回実施し、登録販売者試験は都道府県(関西の一部は関西広域連合)が実施します。
登録販売者試験は、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」「人体の働きと医薬品」「主な医薬品とその作用」「薬事関係法規・制度」「医薬品の適正使用・安全対策」の5項目から出題されます。
合格基準は総出題数の7割程度の正答に加えて、項目ごとに都道府県が定める一定割合以上の正答が必要です。
合格率と難易度
合格率だけを見ると、登録販売者試験のほうが低く見えます。 ただし、薬剤師国家試験の受験者は6年間薬学を学んだ人に限られるため、単純に「登録販売者のほうが難しい」とはいえません。
登録販売者試験は都道府県ごとに問題が異なり、合格率にも差があります。 令和7年度は、合格率が最も高い地域と低い地域で30ポイント以上の開きがありました。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
資格取得までにかかる期間と費用
薬剤師になるには、薬学部の6年間に加えて国家試験の受験が必要で、学費や生活費を含めた負担は大きくなります。 登録販売者は学校に通う必要がなく、働きながら独学や通信講座で準備して受験することもできます。
費用は受験手数料と教材費が中心です。 受験手数料は都道府県ごとに条例で決められているため、受験する地域の案内で確認しましょう。
働きながら資格を取りたいなら、登録販売者のほうが現実的だよね
参考:厚生労働省「第111回薬剤師国家試験の合格発表を行いました」 / 厚生労働省「医薬品の販売制度」
登録販売者の管理者要件と「研修中」の扱い

登録販売者は、試験に合格して販売従事登録を受けても、すぐに一人前として扱われるわけではありません。 店舗管理者になれるかどうかは、過去5年間の実務・業務経験で決まります。
店舗管理者になるための実務経験
第2類・第3類医薬品を扱う店の店舗管理者になる基本の要件は、過去5年間のうち従事期間が通算2年以上あることです。 従事期間には、登録販売者として働いた期間のほか、試験合格前に一般従事者として薬剤師や登録販売者の管理・指導のもとで実務をした期間も含まれます。
従事期間は月単位で数え、1か月に80時間以上働いた月を1か月として数えるのが原則です。 ただし、月ごとの時間数にかかわらず、月単位で通算2年以上、かつ合計1,920時間以上働いていれば、要件を満たしたものとみなされます。
研修を修了した場合の緩和要件
2023年4月1日からは、過去5年間の従事期間が通算1年以上でも、次の2つの研修を修了すれば店舗管理者になれるようになりました。
-
継続的研修店舗が登録販売者に毎年度受講させる外部研修
-
追加的研修店舗の管理と法令遵守を学ぶ研修。講義・演習・ケーススタディで合計6時間以上
このルートでは、1か月160時間以上の月を1か月と数えるのが原則で、月ごとの時間にかかわらず通算1年以上・合計1,920時間以上でも認められます。
また、以前に店舗管理者や区域管理者を務めた経験がある人は、従事期間が通算1年以上(合計1,920時間以上)あれば管理者になれます。
「研修中」の登録販売者ができること
上記の要件をどれも満たしていない登録販売者は「研修中の登録販売者」として扱われ、名札に「登録販売者(研修中)」などと表示しなければなりません。
研修中でも第2類・第3類医薬品の販売はできますが、勤務中の薬剤師、または研修中ではない登録販売者の管理・指導のもとで働くことが条件です。 研修中の登録販売者しかいない時間帯をつくることはできないため、シフトを組むうえでも大きな違いになります。
合格したのに「研修中」の名札だと、ちょっと落ち込んじゃうよね
ブランクがあると要件を満たせなくなる場合
要件の判定は、いつも「直近の過去5年間」で区切って行われます。 そのため、以前に2年以上働いていても、ブランクが長くなると古い経験が5年の枠から外れていきます。
出産や介護で離職した場合などは、復職したときに再び「研修中」に戻ることがあります。 働いていた時期の勤務先に「業務経験の証明」を発行してもらえるので、転職や復職の前に従事期間を整理しておくと安心です。
参考:京都府「登録販売者が店舗管理者等になるための要件について」 / 厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」
年収と待遇の違い

年収は、登録販売者と薬剤師の違いが数字で見えやすい部分です。 ただし、公的な賃金統計に「登録販売者」という区分はないため、比べ方には注意が必要です。
平均年収の差
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに、毎月のきまって支給する給与の12か月分と年間賞与を足すと、薬剤師の年収は約567万円です(男女計・企業規模10人以上)。
登録販売者だけを集計した数値はありません。 日本標準職業分類で「医薬品販売員」が含まれる「販売店員」を目安にすると、年収は約385万円です。
| 区分 | 平均年齢 | きまって支給する給与(月) | 年間賞与 |
|---|---|---|---|
| 薬剤師 | 40.1歳 | 39.87万円 | 88.35万円 |
| 販売店員 | 43.6歳 | 28.20万円 | 46.36万円 |
「販売店員」にはスーパーや衣料品店などの店員も含まれるため、登録販売者の実際の年収とは一致しません。 あくまで「薬剤師と一般的な販売職の差」の目安として見ておきましょう。 ドラッグストアで働く薬剤師の年収や初任給については、以下の記事で詳しく紹介しています。
資格手当の付き方
ドラッグストアや薬局では、基本給とは別に「薬剤師手当」「登録販売者手当」などの資格手当を設けている会社もあります。 手当の金額は資格によって変わるため、同じ店で働いていても月給に差がつく要因になります。
資格手当の有無や金額は会社ごとに違います。求人票では月給の総額だけでなく、資格手当や管理者手当の内訳まで確認しましょう。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
昇進・役職の違い
ドラッグストアでは、薬剤師も登録販売者も店長やエリアマネージャーを目指せます。 ただし、要指導医薬品や第1類医薬品を扱う店や調剤併設店では、管理者は原則として薬剤師です。
登録販売者は「研修中」を卒業すると、任される仕事がぐっと広がるよ
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査」 / e-Stat「日本標準職業分類 販売店員」
勤務先とキャリアパスの違い

登録販売者と薬剤師では、働ける場所の広さも違います。 調剤ができる薬剤師は病院や調剤薬局でも働けますが、登録販売者の主な職場は市販薬を販売する店です。
| 勤務先 | 薬剤師 | 登録販売者 |
|---|---|---|
| ドラッグストア | 第1類医薬品の販売・相談、調剤併設店では調剤 | 第2類・第3類医薬品の販売、店舗運営 |
| 調剤薬局 | 職場の中心。調剤・服薬指導・在宅訪問 | 市販薬を扱う薬局で第2類・第3類医薬品を販売 |
| 病院 | 調剤・病棟業務・医薬品管理 | 市販薬の販売がなく、主な職場ではない |
| スーパーなどの医薬品売り場 | 要指導・第1類医薬品を扱う店で販売 | 第2類・第3類医薬品のみの店では店舗管理者も担える |
ドラッグストア
ドラッグストアは、登録販売者と薬剤師が同じ売り場で働く代表的な職場です。 登録販売者は第2類・第3類医薬品の販売に加え、日用品の品出しやレジ、店舗運営も担当することが多くあります。 薬剤師は第1類医薬品の販売と相談対応のほか、調剤併設店では調剤も担当します。
薬剤師の求人を探す調剤薬局
調剤薬局の中心は処方箋の調剤なので、主役は薬剤師です。 登録販売者は、市販薬も扱う薬局で第2類・第3類医薬品の販売を担当できますが、調剤には関われません。
- 薬剤師求人1,450件のうち調剤薬局が1,124件
- 正社員の平均月給は約35.2万円
- パート・アルバイトの求人は518件
薬局以外の販売店
スーパーやホームセンターなどでも、店舗販売業の許可を受けて市販薬を販売している店があります。 第2類・第3類医薬品だけを扱う店であれば、登録販売者が店舗管理者として売り場を任されることもあります。
登録販売者から薬剤師を目指す場合
登録販売者として働いた経験があっても、薬剤師になる近道はありません。 薬剤師国家試験を受けるには、大学の薬学部(6年制)に入学して卒業する必要があります。
働きながら目指す場合は、6年間の学費と、仕事を離れる期間をどう確保するかが大きな課題になります。 登録販売者として身につけた市販薬の知識や接客経験は、薬学部での学びや卒業後の仕事でも役立ちます。
現場を知ってから薬剤師を目指すのも、立派なキャリアの選び方だよ!
同じ店舗で働くときの役割分担

ドラッグストアでは、薬剤師と登録販売者が同じ売り場に立つことが一般的です。 ただ、薬剤師が休憩や休みでいなくなる時間帯には、売り場でできることが変わります。
薬剤師が不在のときに販売できない医薬品
要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師にしか販売できないため、薬剤師がいない時間は販売できません。 そのため、これらを扱う店には、販売しない時間に陳列区画を閉鎖できる構造が求められています。
お客さまが第1類医薬品を求めて来店した場合、登録販売者は代わりに販売することはできません。 薬剤師が勤務している時間を案内すると、お客さまも出直しやすくなります。
相談対応と情報提供の分担
市販薬の相談は、区分によって対応できる人が決まっています。
-
要指導医薬品・第1類医薬品薬剤師が対応。購入者の状況を確認したうえで情報提供
-
第2類・第3類医薬品薬剤師または登録販売者が対応。相談があれば必ず情報提供
-
受診をすすめたほうがよい症状登録販売者が判断に迷うときは薬剤師に引き継ぐ
登録販売者は、第2類・第3類医薬品の相談を任されるぶん、どの症状なら受診をすすめるかを見極める力が求められます。 薬剤師がいる時間に判断に迷う相談を共有しておくと、店全体の対応がそろいます。
迷ったときは一人で抱えず、薬剤師に相談すればいいんだね
管理薬剤師が担う監督の範囲
薬局の管理者(管理薬剤師)や、薬剤師が務める店舗管理者は、登録販売者を含む店のすべての従業者を監督する立場です。 研修中の登録販売者への指導や、医薬品の管理、店の業務について経営側へ書面で意見を伝えることも管理者の役割に含まれます。
管理薬剤師の責任の重さや、管理者を打診されたときの考え方は、以下の記事で紹介しています。
店舗管理者の要件を満たした登録販売者が管理者を務める店では、この監督の役割を登録販売者が担います。
参考:e-Gov法令検索「薬局等構造設備規則」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
まとめ
登録販売者と薬剤師の違いは、扱える医薬品の範囲、資格の取り方、管理者になる条件、年収の水準に表れます。 同じ売り場で働く場面が多いからこそ、お互いの役割を正しく知っておくと仕事が進めやすくなります。
この記事のポイント
- 要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師だけが販売できる
- 第2類・第3類医薬品は登録販売者も販売できる
- 薬剤師は6年制の薬学部卒業が受験の条件
- 登録販売者の管理者要件は過去5年間で通算2年以上
- 2026年5月から要指導医薬品の販売方法が見直された
登録販売者として働くなら、まずは従事期間を記録して「研修中」を外すことを目標にしましょう。 薬剤師として職場を選ぶなら、登録販売者との役割分担や、自分が管理者を任される可能性まで確認しておくと入職後のギャップを減らせます。


