地域連携薬局とは?認定基準と似た制度との違い・働く薬剤師の業務を解説
求人票で「地域連携薬局」の文字を見かけて、普通の調剤薬局と何が違うのか気になった薬剤師もいるのではないでしょうか?
地域連携薬局は、入退院時の情報共有や在宅医療に、医療機関や地域の薬局と連携して対応できる薬局として、都道府県知事の認定を受けた薬局です。
この記事では、地域連携薬局の認定基準と、名前の似た制度との違い、そこで働く薬剤師の業務やメリットを紹介します。
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地域連携薬局とは?

地域連携薬局は、薬機法(医薬品医療機器等法)第6条の2に定められた「認定薬局」の一つです。 外来の調剤だけでなく、入退院時や在宅医療の場面でも、患者さんの服薬情報を一元的・継続的に把握して対応する役割を担います。
改正薬機法で設けられた認定薬局制度
認定薬局制度は、2019年(令和元年)12月4日に公布された改正薬機法で設けられ、2021年8月1日から認定が始まりました。 認定薬局には、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局(がん等の専門的な薬学管理に対応する薬局)の2種類があります。
- 201912月4日改正薬機法が公布され、認定薬局制度が設けられる
- 20218月1日地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の認定がスタート
- 20255月21日次の改正薬機法が公布される
- 20265月1日医薬品の販売制度の見直しなどが施行
- 20275月20日地域連携薬局の認定基準の見直し、健康増進支援薬局の認定開始予定
地域連携薬局ではない薬局が「地域連携薬局」や、これと紛らわしい名称を使うことは法律で禁止されています。 そのため、看板や求人票に「地域連携薬局」とあれば、都道府県の認定を受けていると判断できます。
都道府県知事が認定する仕組み
認定するのは国ではなく、薬局の所在地の都道府県知事です。 薬局開設者が都道府県に申請し、構造設備や連携体制、在宅の実績などが基準に合っていれば認定されます。
厚生労働省は、都道府県ごとの認定数を公表しています。 認定数が多いのは東京都や神奈川県などの都市部ですが、全国すべての都道府県に地域連携薬局があります。
認定の有効期間と更新
認定の有効期間は1年で、1年ごとに更新を受けなければ効力を失います。 更新のたびに過去1年間の実績を出し直すため、一度認定を取ったら終わりではなく、毎年基準を満たし続ける必要があります。
毎年更新があるから、日々の実績づくりが大切なんだね
参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / 厚生労働省「地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の件数(令和8年8月31日時点)」
地域連携薬局の認定基準

認定基準は、薬機法第6条の2第1項に定める4つの区分ごとに、薬機法施行規則第10条の2で細かく決められています。 以下は、2026年10月時点で適用されている基準です。
相談しやすい構造設備
求められるのは次の2点です。
- 患者さんが座って服薬指導を受けられる、間仕切り等で区切られた相談窓口と、相談内容が漏れないよう配慮した設備
- 高齢者や障害のある人が利用しやすい構造
埼玉県の解説では、椅子の設置やパーテーション、入口の段差解消や車いすで来局できる構造などが具体例として挙げられています。
地域の医療提供施設との情報共有体制
医療機関や他の薬局と、患者さんの服薬情報をやり取りできる体制と実績が求められます。
-
会議への参加地域ケア会議やサービス担当者会議、退院時カンファレンスなどに過去1年間継続して参加
-
医療機関への報告・連絡医療機関の薬剤師などへ随時報告・連絡できる体制と、過去1年間で月平均30回以上の実績
-
他の薬局への報告・連絡地域の他の薬局へ服薬情報を報告・連絡できる体制
月平均30回の実績には、入退院時の情報共有や、在宅訪問後に医療機関へ出す報告書などが含まれます。 一方で、疑義照会やお薬手帳への記載、薬学的な評価のない「問題なし」だけの報告は実績に数えられません。
薬剤等を安定的に提供する体制
この区分は項目数が最も多く、開店時間外の相談対応から人員・研修まで幅広く決められています。
- 開店時間外も利用者の相談に対応
- 休日・夜間の調剤に地域の薬局と連携して対応
- 在庫の医薬品を地域の他の薬局に提供
- 麻薬小売業者の免許を受け、麻薬を調剤
- 無菌製剤処理ができる(共同利用を含む)
- 医療安全対策の事業への参加など
- 地域の医療提供施設へ医薬品の適正使用の情報を提供
- 全薬剤師に1年以内ごとに地域包括ケアの研修などを計画的に受講させる
人員面では、常勤薬剤師の半数以上が「その薬局に1年以上継続して常勤」かつ半数以上が「地域包括ケアシステムに関する研修」を修了していることが必要です。 常勤は、原則として週32時間以上の勤務を指します。
薬剤師の求人を探す在宅医療に対応できる体制
在宅については、実績と物品の供給体制の2つが求められます。
-
在宅の実績過去1年間で、居宅等での調剤・服薬指導を月平均2回以上(都道府県知事が別に定める場合はその回数以上)
-
医療機器・衛生材料の提供高度管理医療機器等の販売業の許可を受け、訪問診療を受ける患者さんに必要な医療機器や衛生材料を提供できる体制
2025年に成立した改正薬機法の施行に合わせて、2027年5月20日から地域連携薬局の認定基準が見直されます。 在宅や情報共有の実績が「年あたりの回数」で示され、薬剤師の配置人数の基準も加わります。
| 項目 | 現行(2026年10月時点) | 2027年5月20日から |
|---|---|---|
| 地域の会議への参加 | 継続的に参加 | 年3回以上 |
| 医療機関への報告・連絡 | 月平均30回以上(対象の限定なし) | 年60回以上(入退院時・在宅療養中の利用者に限る) |
| 他の薬局への医薬品の提供 | 提供できる体制 | 年24回以上の実績 |
| 在宅の実績 | 月平均2回以上 | 年48回以上 |
| 薬剤師の配置 | 規定なし | 常勤換算2.5人以上 |
| 新たに加わる体制 | - | ターミナルケア・小児の在宅対応、災害・感染症時の連携、他の薬局の在宅患者さんの一時的な引き受け |
すでに認定を受けている薬局は、施行後に最初の更新を迎えるまでの間、新しい基準に適合しているとみなされます。
2027年からは、在宅や会議参加の回数がはっきり決まるんだね
参考:埼玉県「地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局の制度について」 / 厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令の公布について」
地域連携薬局と似た制度との違い

地域連携薬局と混同されやすい制度は4つあります。 根拠となる法律や、誰が認めるのかがそれぞれ異なります。
| 制度 | 根拠 | 仕組み | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 地域連携薬局 | 薬機法 | 都道府県知事の認定(1年更新) | 入退院時・在宅を含めた地域での連携 |
| 専門医療機関連携薬局 | 薬機法 | 都道府県知事の認定(1年更新) | がんの専門的な薬学管理 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算旧・地域支援体制加算 | 調剤報酬 | 地方厚生局への届出 | 地域医療への貢献と医薬品の安定供給の評価 |
| かかりつけ薬剤師 | 調剤報酬 | 患者さんの同意と薬局の届出 | 特定の薬剤師による一元的・継続的な服薬管理 |
| 健康サポート薬局2027年5月20日から健康増進支援薬局 | 薬機法施行規則など | 現在は届出・表示、2027年5月20日から知事の認定 | 地域住民の健康の保持増進の支援 |
専門医療機関連携薬局
専門医療機関連携薬局は、がん等の専門的な薬学管理に、専門医療機関と連携して対応する薬局です。 地域連携薬局と同じく薬機法に基づく認定薬局で、都道府県知事が認定し、1年ごとに更新します。
対象の傷病の区分は、現在は「がん」のみです。 地域連携薬局が「地域の幅広い患者さん」を対象にするのに対し、専門医療機関連携薬局は「がんの治療を受ける患者さん」に絞って、より専門的な対応を求められます。
がん領域の専門性を持つ薬剤師については、以下の記事で詳しく紹介しています。
地域支援・医薬品供給対応体制加算(旧・地域支援体制加算)
地域支援体制加算は、調剤報酬(保険調剤の報酬)の加算です。
この加算は、地方厚生局への届出によって算定する仕組みで、都道府県知事の認定を受ける地域連携薬局とは別の制度です。 夜間・休日対応や在宅、麻薬調剤などの実績が求められる点は似ていますが、片方を満たしていても、もう片方が自動的に認められるわけではありません。
かかりつけ薬剤師・薬局
かかりつけ薬剤師は、患者さんが選んだ特定の薬剤師が、服薬情報を一元的・継続的に把握して指導する仕組みで、調剤報酬で評価されます。
かかりつけ薬剤師になるには、保険薬局での勤務経験3年以上、その薬局に週31時間以上勤務、6か月以上の在籍などの要件があります。 一方、「かかりつけ薬局」は患者さんが日頃から利用する薬局を指す言葉で、都道府県の認定制度はありません。
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かかりつけ薬剤師の費用や患者さん側の受け止め方は、以下の記事が参考になります。
健康サポート薬局
健康サポート薬局は、かかりつけ機能に加えて、市販薬や健康相談などで地域住民の健康づくりを支援する薬局です。 現在は、基準を満たした薬局が届出をして表示する仕組みで、都道府県知事の認定ではありません。
2025年5月21日に公布された改正薬機法により、健康サポート薬局は2027年5月20日から「健康増進支援薬局」として都道府県知事の認定制度に移ります。 地域連携薬局・専門医療機関連携薬局と並ぶ、3つ目の認定薬局になります。
健康増進支援薬局でも、相談窓口の設備や、常勤薬剤師の半数以上が1年以上継続勤務していることなどが基準になります。地域連携薬局と重なる基準も多くあります。
「認定」か「届出」か「報酬の加算」かで分けると整理しやすいよ!
参考:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」 / 厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」
地域連携薬局で働く薬剤師の業務

認定基準の多くは、薬局開設者が「薬剤師にさせていること」として書かれています。 つまり、地域連携薬局で働くと、基準に書かれた内容がそのまま日々の業務になります。
在宅訪問の頻度
現行の基準では、在宅の実績は薬局全体で月平均2回以上です。 施設を訪問した場合は人数にかかわらず1回、同じ患者さんへの同じ日の訪問も1回と数えます。
薬局全体の基準なので、薬剤師1人あたりの訪問回数は、在籍人数や担当の割り振りで大きく変わります。 2027年5月20日以降は年48回以上(月4回のペース)が基準になるため、在宅を担当する薬剤師が増える可能性があります。
医療機関への服薬情報の提供
外来で聞き取った服用状況や副作用の有無、入院前の服薬情報などを、文書で医療機関の医師や薬剤師に伝える業務が増えます。 実績として数えられるのは、薬剤師自身が薬学的な評価を加えて提供したものです。
そのため、患者さんとの会話から「医師に伝えるべき情報」を拾い、トレーシングレポートなどの文書にまとめる力が求められます。 退院時カンファレンスや地域ケア会議に参加し、他職種に薬の情報を説明する機会もあります。
薬剤師の求人を探す夜間・休日の対応
基準では、開店時間外の相談対応と、休日・夜間の調剤に地域の薬局と連携して対応する体制が求められます。 電話相談の当番や、地域の薬局による輪番制の休日・夜間開局などで対応する形があります。
24時間対応を自局だけで担うとは限らず、地域の薬局と分担する形も認められています。 夜間・休日の当番や電話相談の頻度は、入職前に確認しておくと安心です。
継続的研修の受講
地域連携薬局で働く薬剤師は、全員が1年以内ごとに地域包括ケアシステムに関する研修などを受けることになります。 研修は薬局開設者が計画を立てて受けさせるもので、更新申請では実施結果の提出も必要です。
また、常勤薬剤師の半数以上が地域包括ケアシステムに関する研修を修了している必要があるため、入職後に研修の受講を勧められることもあります。
研修の機会が用意されているのは、成長したい人にはうれしいね!
在宅業務の1日の流れや必要なスキルは、以下の記事でも紹介しています。
参考:厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係)」
地域連携薬局で働くメリット

地域連携薬局は、認定基準そのものが在宅・多職種連携・研修を求めているため、こうした経験を積める環境が整っています。 外来調剤中心の薬局から転職を考えている薬剤師にとっては、キャリアの幅を広げる選択肢の一つです。
在宅医療の経験を積める
在宅の実績が認定の条件になっているため、在宅業務に関わる機会が確保されています。 無菌製剤処理や医療用麻薬の調剤に対応する体制も求められるので、ターミナル期の患者さんへの対応を学べる可能性があります。
在宅の経験がない場合でも、先輩薬剤師との同行訪問から始められる職場もあります。 どこまで在宅に関われるかは薬局ごとに違うため、面接で担当範囲を確認しておきましょう。
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多職種連携の実務に関われる
地域ケア会議や退院時カンファレンスへの参加、医療機関への情報提供は、どれも医師や看護師、ケアマネジャーとのやり取りが中心です。 外来の窓口だけでは身につきにくい、他職種に伝わる言葉で薬の情報を説明する力を実務で磨けます。
- 認定が今年度も更新されているか確認
- 在宅の担当範囲と訪問の頻度を面接で質問
- 2027年5月からの新基準への対応方針も聞く
転職時の評価につながる
地域連携薬局での経験は、「在宅対応」「医療機関への情報提供」「地域の会議への参加」と具体的に説明しやすいのが強みです。
経験を言葉にしておくと、次の転職でも自信を持って話せるね!
2026年6月の調剤報酬改定でも、在宅や医療機関への情報提供の実績が薬局の評価の軸になっており、こうした経験はほかの薬局でも生かせます。
応募書類では、回数や担当した患者さんの人数など、数字を添えて書くと伝わりやすくなります。
まとめ
地域連携薬局は、医療機関や地域の薬局と連携し、入退院時や在宅医療まで一貫して対応する薬局として、都道府県知事の認定を受けた薬局です。 働く薬剤師にとっては、在宅や多職種連携、研修が日常業務になる職場といえます。
この記事のポイント
- 薬機法第6条の2に基づき都道府県知事が認定し、1年ごとに更新
- 全国の地域連携薬局は4,292軒(2026年8月31日時点)
- 基準は構造設備・情報共有・薬剤提供・在宅の4区分
- 2027年5月20日から基準が見直され、健康増進支援薬局も新設
- 在宅や多職種連携の経験を積みやすく、転職時にも説明しやすい
求人票で「地域連携薬局」の表記を見つけたら、在宅の担当範囲や夜間・休日の当番、研修の受け方まで確認してから応募を考えましょう。 自分に合う認定薬局を探したいときは、転職エージェントに相談すると、求人票に載っていない体制の中身まで確認してもらえます。


