理学療法士の資格を活かせる仕事|3タイプ別に選択肢を整理
理学療法士の資格を活かせる仕事を調べると、訪問リハビリや介護施設と、医療機器メーカーや製薬会社の営業職などが出てきます。前者は理学療法士として働き続ける選択で、後者は免許を使わずに臨床経験を評価してもらう選択です。
この記事では、理学療法士の資格を活かせる仕事を「理学療法士として働く」「免許が要件・優遇になる」「免許は不要だが経験が評価される」の3タイプに分け、それぞれの制度上の根拠と働き方を整理します。
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「資格を活かす」3つの選択肢

理学療法士として働く仕事
理学療法士は、医師の指示の下に理学療法を行うことを業とする資格です(理学療法士及び作業療法士法第2条第3項)。保健師助産師看護師法の規定にかかわらず、診療の補助として理学療法を行えることも同法第15条第1項に定められています。
このタイプは、病院や診療所、介護保険サービス、障害児支援、行政などで、理学療法士の名称のまま働く選択です。理学療法士という名称を使えるのは有資格者だけで、資格を持たない人が名乗ることは同法第17条で禁じられています。
理学療法士の免許が要件・優遇になる仕事
理学療法そのものを行う職種ではないものの、法令や省令に理学療法士が名指しされている仕事があります。機能訓練指導員、福祉用具専門相談員、介護支援専門員、養成校の専任教員がこれにあたります。
免許を持っていることで、その職に就ける、指定講習が免除される、受験資格が得られるといった違いが生まれます。「資格を活かす」という言葉が制度上の裏付けを持つのは、この層です。
免許は不要だが経験が評価される仕事
医療機器メーカー、製薬会社の営業、人材サービス、ヘルスケア企業などは、応募要件に理学療法士免許が入っているわけではありません。評価されるのは、臨床で身につけた知識や現場感覚、医療職と話が通じることです。
つまり資格そのものではなく、経験が武器になる領域です。免許がなくても応募できる求人に、臨床経験という材料を持って挑む形になるため、就職難易度は高いです。募集も医療・介護分野に比べて限られます。
参考:e-Gov法令検索「理学療法士及び作業療法士法」 / 公益社団法人日本理学療法士協会「統計情報」
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【タイプ①】理学療法士として働ける場

理学療法士として働く場は、医療保険で動く場と介護保険で動く場に大きく分かれます。同じ理学療法でも、対象となる人の状態、1日に関わる人数、他職種との距離が変わります。
医療機関
対象となるのは、発症・受傷・手術の直後から回復期にある患者さんです。医師の指示に基づく評価と運動療法、物理療法、日常生活動作の練習を行い、カンファレンスで情報を共有します。
日本理学療法士協会の会員の分布では、急性期の病院、回復期リハビリテーション病棟、無床診療所に会員が集中しており、理学療法士が最も多く働く場です。1施設あたりの人数も多く、複数のセラピストがチームで担当します。
新人教育や症例検討の体制が整っている施設が多い一方、担当単位数や在院日数の管理を求められる場面もあります。
- 病院の求人は819件、月給中央値は251,425円です
- 同じ医療機関でもクリニックは999件・285,000円と差があります
- 施設種別で最も高いのは訪問リハビリの300,000円です
介護保険サービス(老健・通所・入所施設)
対象は要介護認定を受けた高齢者で、生活機能の維持・向上を目的とした個別機能訓練や、住環境・福祉用具の助言を行います。
配置は省令で定められています。介護老人保健施設では理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を常勤換算で入所者数を100で除した数以上置くこととされ、通所リハビリテーションではリハビリテーションの提供に当たる理学療法士等を利用者100人またはその端数を増すごとに1以上置くこととされています。
1施設あたりのセラピスト数は医療機関より少なく、1人職場になることもあります。機能の改善だけでなく、生活の組み立てや維持が目的になる点が医療機関との違いです。
訪問リハビリテーション・訪問看護ステーション
在宅で暮らし、通院が難しい利用者さんの自宅に出向いて理学療法を行う働き方です。
指定訪問リハビリテーション事業所には、常勤の医師1以上と、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士1以上を置くことが必要です。
一方、訪問看護ステーションでは看護職員を常勤換算2.5以上置いたうえで、理学療法士等は「実情に応じた適当数」とされています。つまり訪問看護ステーションのリハビリ職は、人員基準の上では必置の職種ではありません。
働き方は単独訪問が基本で、移動時間を含めたスケジュールを自分で管理します。利用者さんの生活の場をそのまま見られる一方、判断をその場で1人で行う場面が増えます。
児童発達支援・放課後等デイサービス
障害のある未就学児・就学児を対象に、遊びや課題を通じた発達支援を行い、保護者への助言も担います。
児童福祉法に基づく指定通所支援の基準では、機能訓練を行う場合に機能訓練担当職員を置くこととされています。ただしこの職員を児童指導員・保育士との合計数に算入する場合、半数以上は児童指導員または保育士でなければならず、リハビリ職だけで人員基準を満たすことはできません。
成人の疾患別リハビリテーションとは評価の考え方が変わるため、発達の段階や家族支援について学び直す時間が必要になります。
行政・地域包括支援センター
自治体がリハビリテーション専門職を採用する枠はありますが、実施状況や受験資格は自治体ごとに異なります。毎年募集があるとは限らないため、志望する自治体の募集要項を個別に確認することになります。
誤解しやすいのが地域包括支援センターです。介護保険法施行規則が置くこととしているのは3つの職種で、そこに理学療法士は名指しされていません。
一方、市町村が行う一般介護予防事業には「リハビリテーションに関する専門的知識及び経験を有する者が介護予防に関する活動の支援を行う事業」が位置づけられており、住民の通いの場への助言や介護予防のプログラム設計に理学療法士が関わる形が制度上想定されています。
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」 / e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」 / 厚生労働省「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」
【タイプ②】免許が要件・優遇になる仕事

このタイプは、理学療法として施術を行うのではなく、免許を持っていること自体が制度上の要件や優遇として扱われる仕事です。
| 職種 | 免許だけで足りるか | 必要な実務経験 | 講習・試験 |
|---|---|---|---|
| 機能訓練指導員 | ◯ | 規定なし | 不要 |
| 福祉用具専門相談員 | ◯ | 規定なし | 指定講習が免除される |
| 介護支援専門員 | ✕ | 通算5年以上かつ従事日数900日以上 | 都道府県が実施する試験と実務研修 |
| 養成校専任教員 | ✕ | 5年以上(大学院ルートは3年以上) | 厚生労働大臣の指定する講習会が原則必要 |
機能訓練指導員
通所介護では機能訓練指導員を1以上置くこととされており、理学療法士は該当する資格の一つです。省令では、機能訓練指導員は日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされ、事業所内の他の職務との兼務も認められています。
配置が求められるのは通所介護のほか、特別養護老人ホーム、短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護などです。基準はサービス種別ごとに厚生労働省令で定められているため、条文も分かれています。
注意したいのは介護老人保健施設で、ここには機能訓練指導員という職名の定めがありません。老健で働く場合は理学療法士としての配置になります。
福祉用具専門相談員
福祉用具貸与や特定福祉用具販売の事業所に置かれる職種です。介護保険法施行令では、保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士と、都道府県知事の指定を受けた事業者が行う指定講習の修了者が掲げられています。
つまり理学療法士は指定講習を受けずに福祉用具専門相談員として従事できます。原則は講習修了が必要とされるなかで、免許が講習の代わりになる数少ない職種です。
業務は、利用者さんの状態と住環境に合わせた用具の選定・調整、福祉用具サービス計画の作成、貸与後のモニタリングです。動作分析や住環境評価の経験がそのまま活きます。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
理学療法士は、介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格の対象となる国家資格に含まれます。ただし免許があるだけでは受験できません。資格に基づく業務に通算5年以上、かつ従事日数900日以上従事している必要があります。
期間と日数の両方を満たす必要がある点が見落とされがちです。また900日という数字は法令ではなく厚生労働省の通知で示されているもので、証明書の様式や運用は都道府県ごとに違います。
試験は都道府県が実施し、合格後は実務研修を修了して登録する流れです。受験地の実施要項を確認してから準備を始めるのが確実です。
養成校の教員
理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則では、養成施設に理学療法士である専任教員を6人以上置くこととされています(1学年に2学級以上ある場合は、1学級増すごとに3を加えた数)。
専任教員になれるのは、免許を受けた後5年以上理学療法に関する業務に従事し、厚生労働大臣の指定する講習会を修了した人、またはこれと同等以上の知識および技能を有する人です。
例外もあります。免許取得後5年以上の実務経験があり、大学で教育学に関する科目を4単位以上修めて卒業した場合、または免許取得後3年以上の実務経験があり、大学院で教育学に関する科目を4単位以上修めて課程を修了した場合は、講習会の修了は求められません。
いずれにしても実務経験の年数が前提となるため、卒後すぐに就ける職ではありません。
参考:e-Gov法令検索「介護保険法施行令」 / e-Gov法令検索「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」 / 厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」
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【タイプ③】経験が評価される仕事

このタイプの求人には、応募要件として理学療法士免許が書かれているわけではありません。「医療機関での勤務経験」「リハビリテーション領域の知識」が歓迎条件に挙がる形が中心で、免許があれば就ける仕事ではない点は先に押さえておきたいところです。
日本理学療法士協会の会員の分布でも、企業などで働く会員は医療・介護分野に比べてごく少数にとどまります。
医療機器・福祉用具メーカー
リハビリテーション機器、車いすや歩行補助具、義肢装具などを扱う企業で、営業技術、臨床企画、製品開発、学術サポートといった職種があります。
活きるのは、機器を使う側として適合を判断してきた経験と、医療者に伝わる説明ができることです。デモや勉強会で臨床の言葉を使えることは、他の応募者にはない材料になります。
一方で、担当エリアが広く転勤を伴う職種や、売上目標が設定される職種もあります。
製薬会社・医療系の営業
医薬品の情報提供を担うMRなどが該当します。応募要件として理学療法士免許が求められるわけではなく、医療現場を知っていることが評価される形です。
扱う知識は薬剤や疾患の領域に移り、理学療法の実技を使う場面はありません。未経験からの採用枠が設けられることもありますが、入社後の研修は薬学や関連法規が中心になります。
評価の軸が「担当した患者さんの変化」から売上などの数字に変わる点は、応募前に納得しておきたいところです。
人材サービス・キャリア支援
医療・介護分野の人材紹介や採用支援を行う仕事です。求職者の希望を聞き取り、職場を提案する役割を担います。
現場の実情がわかること、専門用語で話が通じることが強みになります。求職者にも医療機関にも同じ言葉で説明できる人は限られるためです。
ただし成果は成約数などで測られ、リハビリテーションの実技は使いません。人と話すことが好きという理由だけで選ぶと、想定と違う結果になることもあります。
ヘルスケア関連の企業
健康経営の支援、運動指導サービス、介護予防プログラム、ヘルスケア機器やアプリの開発など、公的保険の外側にある領域です。協会の会員の分布でも、健康の保持増進に関わる分野で働く会員が一定数います。
保険外のサービスであるため、医師の指示の下で行う理学療法とは前提が異なります。治療と受け取られる表現は使えず、効果の説明にも制約があります。この線引きを理解していることが、そのまま採用側の評価につながる領域でもあります。
医療・健康分野の執筆・監修
記事の執筆、医療メディアの監修、教材や研修資料の制作などです。副業として始めやすく、在職中に試せる点が他のタイプと違います。
ただし単発の依頼が多く、これだけで生計を立てるには実績の積み上げが必要です。臨床で使う言葉をそのまま書くと読者に伝わらないため、噛み砕いて書く力を別に身につけることになります。
理学療法士の求人を探す理学療法士に戻ることはできる?

職種を離れることをためらう理由として大きいのが、戻れなくなるのではないかという不安です。制度の話と、選考で見られる話を分けて整理すると、判断材料がはっきりします。
免許は失効しない
理学療法士及び作業療法士法には、免許の有効期間や更新の規定がありません。免許が取り消されるのは、罰金以上の刑に処せられた場合など、同法第4条に定める欠格事由に該当するに至ったときに限られます。
臨床を離れて企業に勤めても、免許そのものは残ります。理学療法士という名称を使うことも制限されません。
見落とされやすいのが名簿の手続きです。登録事項に変更があったときは、理学療法士として働いていない期間でも30日以内の申請が必要になります。結婚で姓が変わったまま放置すると、復帰しようとしたときに免許証の氏名と現在の氏名が一致せず、手続きが増えます。
ブランクが選考で見られる点
制度上戻れることと、実際に採用されやすいかどうかは別の話です。選考で確認されやすいのは、離れていた期間に何をしていたか、臨床の知識をどう保っていたか、復帰後にどの領域を希望するかの3点です。
急性期は機器や記録システム、診療報酬上の取り扱いが変わりやすく、離れていた期間が長いほど確認は丁寧になります。一方、生活期のサービスでは他分野での経験が評価されることもあります。
求人票に「ブランク可」「教育体制あり」と書かれている職場を選ぶ、非常勤やパートから戻るという方法もあります。
戻る場合に備えてできること
在職中にできる準備が、そのまま復帰時の説明材料になります。担当した疾患や病期、おおよその件数、使っていた評価バッテリーを自分用の記録に残しておきましょう。退職後は電子カルテを見返せないため、記録を残せるのは在職中だけです。
学会や研修への参加を続ける方法もあります。日本理学療法士協会の生涯学習制度には登録と更新の仕組みがあるため、離れている間の学習歴が形として残ります。
非常勤として週1日だけ臨床を続けるという選択肢もあります。収入の柱を移しながらブランクを空けずに済むため、戻る可能性を残しておきたい人には現実的な方法です。
参考:e-Gov法令検索「理学療法士及び作業療法士法施行令」
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職を変えるための準備

タイプ②とタイプ③では、応募書類で求められるものが変わります。特にタイプ③は、書類の段階で臨床の言葉が伝わらず落ちてしまうことがあります。
経験を職務経歴書の言葉に置き換える
医療以外の採用担当者は、「担当患者数」「1日の単位数」を見ても評価の判断ができません。同じ経験でも、伝わる言葉に置き換える必要があります。
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患者さんへの説明と同意対象者への説明・合意形成
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多職種カンファレンス他部門との調整・情報連携
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目標設定と再評価目標管理と進捗のふり返り
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新人・実習生の指導OJTの設計と人材育成
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機器や物品の選定導入提案と適合の判断
書類の分量にも目安があります。ハローワークの案内では、職務経歴書はA4判で1〜2枚程度にまとめ、パソコンで作成するのが一般的とされています。
- 職種名ではなく、何をどう進めたかを書きます
- 数字は単位数ではなく、人数・期間・件数に直します
- 専門用語は社外の人が読んでも分かる言葉に置き換えます
不足するスキルを補う・副業で経験しておく
企業で求められるのは、資料作成、数字を扱う力、提案の組み立てといった、臨床ではあまり評価されてこなかった部分です。
いきなり転職せず、副業や兼業で小さく試す方法もあります。執筆、セミナー講師、地域の運動教室などは在職中でも始めやすく、続けられるかどうかを収入を落とさずに確かめられます。
ただし副業の可否や届出のルールは就業規則で決まっています。公務員として働いている場合は制限がさらに厳しいため、先に確認しておくと安心です。
在職中に情報を集める
求人がどれくらい出ているか、応募要件に何が書かれているかは、在職中のうちに見ておくと判断がぶれません。
タイプ③の求人は募集が不定期で、常時出ているとは限りません。希望する分野の求人が年に数件という場合もあるため、退職してから探し始めると選択肢が狭まります。
希望する条件がどれくらいの割合で求人に出ているかも、あわせて見ておくと的が絞れます。医療キャリアナビに掲載されている理学療法士の求人では、条件の出現割合に次のような差があります。
集めた情報は、応募要件・勤務地・想定年収・免許の扱いを並べて比較できる形にしておくと、タイプの違いも見えやすくなります。
参考:ハローワークインターネットサービス「履歴書・職務経歴書の書き方」
まとめ
理学療法士の資格を活かせる仕事は、免許が制度上どう扱われるかで3つに分かれます。理学療法士として働く場、免許が要件や優遇になる場、免許は不要で臨床経験が評価される場です。
機能訓練指導員、福祉用具専門相談員、介護支援専門員、養成校の教員は、法令や指定規則に理学療法士が位置づけられている職種です。一方、医療機器メーカーや製薬会社の営業は、免許が応募要件になっているわけではありません。この違いを踏まえないまま職種名だけを並べても、自分に合う選択肢は絞り込めません。
そして、理学療法士の免許に更新や有効期間の定めはなく、離れても資格そのものは残ります。戻る道が確保されていることがわかれば、判断はしやすくなります。
まずは自分がどのタイプを検討しているのかを決めたうえで、応募要件と募集の状況を在職中に確かめていきましょう。





