50代看護師の転職は難しい?職場選びと退職金・年金の確認点
50代で転職を考えたとき、「この年齢で採用されるのか」と不安になる方は少なくありません。看護師は人手不足の職種ですが、50代の応募が有利に働く場面とそうでない場面があり、年齢だけで結論は出せません。さらに50代の転職では、月々の給与よりも退職金と年金への影響のほうが金額として大きくなる場合があります。
この記事では、50代看護師の転職が実際にどう見られているのかを整理したうえで、状況別の転職先、退職金と年金の確認点、60歳以降を含めた収入の見通し、健康状態を踏まえた職場選びまでを、公的データをもとに解説します。
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50代看護師の転職は難しいのか

就業している看護師のうち50歳以上は約3割を占めます。50代は現場で珍しい年代ではなく、募集がないわけでもありません。ただし採用されやすい理由と通りにくい場面の両方があり、どちらが強く出るかは応募先によって変わります。
採用されやすい理由
令和6年の衛生行政報告例によると、就業看護師1,363,142人のうち50〜54歳が12.0%、55〜59歳が9.5%、60歳以上が10.5%で、50歳以上が全体の約32%を占めます。年代として例外的な存在ではありません。
採用側の判断材料も、年齢そのものではありません。令和2年の転職者実態調査(事業所票)では、転職者の処遇を決めるときに最も重視した項目は「経験・能力・知識」で53.7%、「年齢」は11.9%にとどまります。専門的・技術的職業の採用理由でも「即戦力となる人材を確保するため」が66.1%で最多です。
50代の看護師は、教育にかける時間が短く済み、業務の判断を任せやすい人材として見られます。若手の育成や、経験の浅いスタッフのフォローを期待されるケースもあります。
不利に働きやすい場面
年齢を理由とした募集・採用の制限は、労働施策総合推進法第9条により原則として禁止されています。ただし例外事由が定められており、定年年齢を上限として期間の定めのない労働契約で募集する場合は認められています。定年が60歳の職場では、この例外にあたる募集で応募できる年齢の上限が設けられていることがあります。
もう一つの例外が、長期勤続によるキャリア形成を目的として若年者等を対象とする募集です。若手中心の職場や、育成を前提とした求人では、この形が採られる場合があります。
そのほかに認められている例外
未経験の領域も慎重に見られます。急性期病棟から在宅へ、あるいはその逆といった転換は、経験年数が長いほど「これまでのやり方から切り替えられるか」を確認されます。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)でも、ブランクOKの求人は正看護師求人全体の9%にとどまり、離職期間がある場合は応募先が絞られます。
年齢以外に見られている要素
同じ転職者実態調査で、処遇決定にあたって「考慮した」項目(複数回答)を見ると、経験・能力・知識が74.7%、年齢が45.2%です。年齢は考慮はされるものの、決め手にはなっていないという構図です。
年齢と混同されやすいのは、経験してきた領域、夜勤の可否、健康状態、直近の在職期間です。これらを切り分けておくと、面接で何を確認されているのかが分かります。
年齢と混同されやすい4つの要素
| 要素 | なぜ見られるのか | どこで確認されるか |
|---|---|---|
| 経験してきた領域 | 応募先の診療科・サービス種別との距離が近いほど即戦力になるため | 職務経歴書・面接での経験の確認 |
| 夜勤の可否 | 夜勤ありの求人では人員配置に直結するため | 求人票の条件確認・面接の最初の確認事項 |
| 健康状態 | 業務を継続できる状態かどうかが働き方の調整に関わるため | 面接・入職時の健康診断 |
| 直近の在職期間 | 短期間での離職が続いていないかを見るため | 職務経歴書の在籍年月 |
同調査では、直前の勤め先の通算勤務期間が1年未満だった転職者が17.7%、2年未満が34.8%を占めます。在職期間の短さは年代を問わず見られる項目で、50代に限った話ではありません。
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参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 / ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」 / 厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」
【状況別】50代看護師の転職先

50代の転職先は、何を優先するかで変わります。ここでは4つの状況に分け、それぞれ「得られるもの」「変わること」「確認すべき点」の順に整理します。
給与の数値はいずれも医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)の正看護師求人の平均月給です。
経験を活かして臨床を続けたい場合
訪問看護、療養型病院、外来が候補になります。特に訪問看護は、その場で判断して動く場面が多く、複数の診療科を経験してきた50代の強みが出やすい領域です。掲載求人の平均月給は訪問看護が約32.2万円で、正看護師求人全体の平均約29.6万円を上回ります。
変わるのは働き方です。1人で訪問するため相談できる相手がその場にいません。オンコール当番、天候を問わない移動、利用者さんのご家族への対応も加わります。
確認すべきなのは、オンコールの回数と手当、移動手段と担当エリアの広さ、同行訪問の期間です。入職後どのくらい先輩と一緒に回れるかは、事業所によって大きく差があります。
夜勤や体力の負担を減らしたい場合
クリニック、健診センター、デイサービスが候補です。夜勤がなくなることで生活リズムは安定します。
一方で収入は下がる傾向にあります。掲載求人の平均月給はクリニックが約28.7万円、デイケア・デイサービスが約27.1万円で、病院の約29.6万円より低い水準です。夜勤手当がなくなる分の差も加わります。
確認すべきなのは、月給以外の条件です。掲載求人のうち賞与・ボーナスありは63%、退職金制度ありは44%で、すべての求人に付いているわけではありません。年収ベースで比べると、月給の差より大きな開きが出ることがあります。
看護師の求人を探す教育や管理の役割を担いたい場合
実習指導者、教育担当、看護主任・師長といった役割です。臨床実習の受け入れ施設では実習指導者の配置が求められ、経験年数のある看護師が担当します。
変わるのは責任の範囲です。夜勤から外れる代わりに、スタッフの勤務調整、インシデントへの対応、実習校との調整など、現場の外側の業務が増えます。
確認すべきなのは、役職手当の額と、そのポジションが実際に空くタイミングです。「将来的に管理職を」という提示だけでは、いつ何が変わるのかが分かりません。募集時点で欠員があるのか、増員なのかを聞いておくと判断しやすくなります。
勤務日数を減らしたい場合
パート・非常勤への切り替えです。週の勤務日数を選べるため、家族の介護や自身の通院と両立しやすくなります。
変わるのは待遇の枠組みです。賞与や退職金の対象から外れる場合があり、社会保険の加入要件も勤務時間によって変わります。
特に50代で確認しておきたいのが厚生年金です。厚生年金に加入しない働き方を選ぶと、その期間は老齢厚生年金の計算に反映されません。目先の勤務日数だけでなく、次章で扱う年金への影響とあわせて考える必要があります。
状況別の転職先チェック表
| 状況 | 主な転職先 | 変わること | 確認すべき点 |
|---|---|---|---|
| 経験を活かして臨床を続けたい | 訪問看護・療養型病院・外来 | 1人で判断する場面が増える 移動とオンコールが加わる |
オンコールの回数と手当 担当エリアの広さ 同行訪問の期間 |
| 夜勤や体力の負担を減らしたい | クリニック・健診センター・デイサービス | 生活リズムは安定する 月給と夜勤手当が下がる |
賞与と退職金制度の有無 年収ベースでの比較 |
| 教育や管理の役割を担いたい | 実習指導者・教育担当・看護主任や師長 | 夜勤から外れる 勤務調整や実習校対応が増える |
役職手当の額 欠員か増員かの違い |
| 勤務日数を減らしたい | パート・非常勤 | 賞与・退職金の対象外の場合も | 社会保険の加入要件 厚生年金への加入有無 |
- 社会保険完備は93%、交通費支給は82%と大半の求人に付いています
- 一方で年間休日120日以上は19%、残業ほぼなしは14%にとどまります
- 時短勤務OKは4%。勤務時間の調整は求人選びの段階で確認を
転職の時期が退職金と年金に与える影響

50代の転職で金額の影響が大きいのは、月給よりも退職金と年金です。
どちらも勤続年数や働き方によって変わり、転職の時期次第で総額が動きます。ここは求人票に書かれていない部分なので、自分で確認する必要があります。
退職金の支給条件を退職金規程で確認する
令和5年の就労条件総合調査によると、退職給付制度がある企業の割合は全産業で74.9%、医療・福祉では75.5%です。ただし企業規模による差が大きく、1,000人以上では90.1%、30〜99人では70.1%にとどまります。小規模なクリニックや事業所では、制度そのものがない場合があります。
退職事由による差も見過ごせません。勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の1人平均退職給付額(大学・大学院卒、管理・事務・技術職)は、定年退職が1,896万円に対し、自己都合退職は1,441万円です。
支給条件、支給率、自己都合と定年退職の扱いは、いずれも職場ごとの規程で決まります。
転職を検討する段階で、現在の勤務先の就業規則・退職金規程を取り寄せ、次の点を確認しておくことをおすすめします。
- 退職金の支給に必要な最低勤続年数
- 勤続年数ごとの支給率と、その区切りとなる年数
- 自己都合退職の場合の減額の有無と割合
- 定年退職と自己都合退職で扱いが異なるか
支給率の区切りが目前にある場合、数か月の違いで金額が変わることがあります。
勤続年数が退職所得控除に与える影響
退職金には退職所得控除があり、控除額は勤続年数によって計算されます。国税庁によると、勤続年数20年以下は「40万円×勤続年数」(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超える部分は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」です。20年を超えると1年あたりの加算額が40万円から70万円に上がります。
退職所得は「(収入金額−退職所得控除額)×2分の1」で計算されるため、控除額が大きいほど課税の対象は小さくなります。
勤続年数別 退職所得控除額の目安
同じ通算勤続年数でも、1か所で長く勤めた場合と複数に分かれた場合とでは控除額が変わります。転職で勤続年数が分断されると、それぞれの勤務先で短い勤続年数として計算されるためです。
なお、前の勤務先の勤続期間と重複がある場合や、同じ年に複数の退職金を受け取る場合など、実際の取り扱いは個別の事情で変わります。金額を試算する際は税務署に確認してください。
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老齢厚生年金の受給開始と働き方の関係
年金を受け取りながら働く場合、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される場合があります。基本月額(老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額(月給と直近1年の賞与を月割りした額の合計)の合計が、支給停止調整額を超えたときです。
この基準額が改正されました。令和8年4月から、支給停止調整額は月51万円から65万円に引き上げられています。合計が65万円を超える場合の支給停止額は「(基本月額+総報酬月額相当額−65万円)÷2」で計算されます。
在職老齢年金の判定フロー
試算例
在職老齢年金で押さえる3点
- 調整の対象は老齢厚生年金のみ。老齢基礎年金と経過的加算額は全額支給される
- 加給年金額も調整の対象外
- 基準額は毎年度、賃金の変動に応じて改定される
受給開始の時期や繰下げの判断は、加入期間や家族構成によって結論が変わります。具体的な見込額は年金事務所やねんきんダイヤルで確認してください。
参考:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」 / 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 / 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
60歳以降の収入まで含めて見通しを立てる

50代の転職は定年までの年数が短く、次が最後の転職になる可能性があります。
入職時の条件だけでなく、60歳以降にどう働けるかまで含めて確認しておくと、後から想定と違ったという事態を避けられます。
転職先の定年年齢と再雇用の条件を確認する
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律では、制度が段階的に定められています。第8条により、定年を60歳未満とすることはできません。第9条では65歳までの高年齢者雇用確保措置が事業主の義務とされ、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかを講じることになります。
65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置は第10条の2に定められていますが、こちらは努力義務です。
定年・雇用確保の年齢別ルール
- 定年の引上げ
- 継続雇用制度の導入
- 定年の定めの廃止
- 定年の引上げ
- 継続雇用制度の導入
- 定年の定めの廃止
- 創業支援等措置(業務委託契約を締結する制度)
- 創業支援等措置(社会貢献事業に従事できる制度)
令和7年の高年齢者雇用状況等報告では、21人以上規模の企業237,739社のうち、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%でした。内訳は継続雇用制度の導入が65.1%、定年の引上げが31.0%です。65歳以上を定年としている企業は34.9%で、多数派は定年60歳のまま再雇用で対応しています。70歳までの就業確保措置を実施している企業は34.8%です。
つまり「65歳まで働ける」ことと「65歳まで同じ条件で働ける」ことは別です。応募時には定年年齢と、定年後の雇用形態がどうなるかをセットで確認してください。
再雇用後の給与水準を確認する
年代別の水準を見ておくと、変化の幅がつかめます。令和7年賃金構造基本統計調査から看護師の推計年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与)を算出すると、50〜54歳の約578万円がピークで、55〜59歳が約574万円、60〜64歳が約503万円、65〜69歳が約424万円です。
看護師 年齢階級別の推計年収カーブ
再雇用後は給与だけでなく、担当する業務や勤務形態も変わることがあります。制度として雇用が続くことと、実際の働き方が同じであることは別に確認が必要です。
- 再雇用後の給与がどう決まるか(定年前の何割か、職務ごとの定額か)
- 再雇用後の雇用形態と契約期間、更新の上限
- 夜勤・オンコールの有無が変わるか
- 役職や担当業務が変わるか
公的な給付の内容を確認する
60歳以降に賃金が下がった場合、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けられる場合があります。対象は60歳以上65歳未満で、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あり、60歳到達時点などと比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続けている方です。
この給付は支給率が変更されています。令和7年3月31日以前に60歳に達した方は賃金の15%、令和7年4月1日以降に60歳に達した方は10%が支給の上限です。
「60歳に達した日」で支給率が変わる
支給額は賃金の低下率によって変わり、支給限度額も設けられています。制度の見直しも続いているため、具体的な金額は住所地を管轄するハローワークで確認してください。
参考:e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」 / 厚生労働省「令和7年 高年齢者雇用状況等報告 の集計結果を公表します」 / 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
健康状態を踏まえた職場選び

体力面の変化は50代の転職理由に挙がりやすい一方、「体力的に楽な職場」という括りでは選べません。
同じ施設種別でも負荷は求人ごとに違います。夜勤、身体的な負荷、持病への配慮という3つの要素に分けると、求人票と職場見学で確認できる形になります。
夜勤の有無と回数
夜勤は「あり・なし」の二択ではありません。
日本看護協会の2025年病院看護実態調査(3,502病院・複数回答)によると、導入している働き方は日勤のみが54.7%、夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できるが44.1%、短時間勤務が39.3%、夜勤のみが31.2%でした。夜勤を減らす形での勤務が一定数の病院で導入されています。
同調査では、1か月の夜勤時間が0時間の看護職員が6.7%、1〜16時間未満が9.0%となっています。夜勤を完全になくす以外の選択肢もあるということです。
確認しておきたいのは、2交代か3交代か、1回あたりの拘束時間、月の回数、仮眠室と仮眠時間の実態です。求人票に「月4回程度」と書かれていても、2交代か3交代かで負担は大きく変わります。
身体的な負荷の内容
腰痛は職業性の問題として統計に表れています。厚生労働省によると、保健衛生業の腰痛発生率(死傷年千人率)は0.25で、全業種平均の0.1を上回ります。
職場における腰痛予防対策指針は、平成25年の改訂で介護・看護作業全般が適用対象になりました。指針では、全介助が必要な対象者にはリフト等を積極的に使用し、原則として人力による人の抱上げは行わせないとされています。座位保持ができる場合はスライディングボード等、立位保持ができる場合はスタンディングマシーン等の使用が示されています。
対象者の状態と使用する福祉用具
この考え方は、そのまま職場見学のチェック項目になります。
- リフトやスライディングボードが何台あり、実際に使われているか
- 1日あたりの移乗介助の回数と、全介助の対象者さんの割合
- 1人あたりの受け持ち人数
- 立ち仕事の時間と、座って記録できる環境があるか
- 訪問系の場合は1日の訪問件数と移動距離・移動手段
設備があっても人手が足りず使われていない職場もあります。台数ではなく「使われているか」を聞くのがポイントです。
看護師の求人を探す持病がある場合の就業上の配慮
治療を続けながら働く場合の枠組みが整備されています。2026年2月に治療と就業の両立支援指針(令和8年厚生労働省告示第28号)が示され、2026年度から事業主の努力義務となりました。治療が必要な状態を伝えたうえで働き方を調整する道筋が、制度として用意されています。
応募段階でどこまで伝えるかは、業務の遂行に影響するかどうかが目安になります。夜勤の可否、重量物の取り扱い、定期通院で必要な時間など、勤務条件に関わる部分は入職前に共有しておくほうが、後の調整がしやすくなります。
入職後は、産業医や上司への相談が窓口になります。主治医の意見をもとに、業務内容や勤務時間の調整を検討する流れです。就業上どのような配慮が可能かは職場の体制によって異なるため、面接や見学の段階で産業医の有無や相談窓口を確認しておくと安心です。
なお、どこまで働けるかという医学的な判断は、主治医と産業医に相談してください。
参考:厚生労働省「保健衛生業における腰痛の予防」 / 公益社団法人日本看護協会「日本看護協会調査研究報告シリーズ」 / 厚生労働省「治療と仕事の両立について」
50代の転職活動を進めるときのポイント

前述のとおり、採用側が重視しているのは経験・能力・知識です。ただし、それが相手に伝わる形になっているかは別の問題です。50代の応募で結果を分けるのは、経験の量ではなく伝え方と情報収集です。
経験を役割と実績で示す
令和2年の転職者実態調査では、転職者を採用する際の問題点として「能力評価の客観的基準がない」が38.8%と最も多く挙がっています。採用側は評価したくても基準を持っていない、という状況です。
そのため、勤務先名と在籍年数だけでは判断材料になりません。担った役割と、その規模を具体的な数で示すと伝わりやすくなります。
-
配属先|どの領域で何年、病床数と1日の受け持ち人数
-
役割|プリセプター、実習指導、委員会、リーダー業務の担当期間
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実績|担当した件数、改善に関わった業務とその結果
-
資格|認定看護師などの資格、直近で修了した研修
職務経歴の書き換え例
| 伝わりにくい書き方 | 役割と実績で示す書き方 |
|---|---|
| 内科病棟に15年勤務 | →45床の混合内科病棟で15年、日勤リーダーを週3回担当。夜勤帯は看護師3人体制 |
| 新人指導の経験あり | →プリセプターを6年、新人看護師9名を担当。年間の指導計画の作成も担当 |
| 委員会活動に参加 | →感染対策委員会に4年、病棟の手指衛生の手順見直しを担当し全スタッフへ研修を実施 |
新しいやり方を受け入れる姿勢を示す
電子カルテや記録システムへの対応は、50代の応募で懸念されやすい点です。ここは「謙虚に学びます」という言い方では伝わりません。
具体的に示せるのは次のような内容です。これまで使ったシステムの名称、システムの更新や新規導入のときに自分が担った役割、直近で受講した研修の内容です。導入時に操作方法をスタッフへ説明した経験があれば、それ自体が実績になります。
現在の職場と違う手順に出会ったときに、どう対応してきたかを一つ話せると、姿勢が具体的に伝わります。
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応募先の年齢構成を確認する
職場のスタッフ構成は求人票には書かれていません。見学や面接で確認する項目です。同世代がいるかどうかは、入職後の働きやすさに直結します。
聞き方としては、「配属予定の部署は何名体制ですか」「年代の構成はどのようになっていますか」といった形が自然です。あわせて、直近1年で入職した方の年代を聞くと、実際に採用されている層が分かります。
情報収集の窓口としては、都道府県のナースセンターも利用できます。看護師等免許保持者の届出制度にもとづいて運営されており、eナースセンターでは無料の職業紹介を受けられます。
参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 / 厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」
まとめ
50代看護師の転職は、年齢だけで難しさが決まるわけではありません。採用側が最も重視しているのは経験・能力・知識であり、年齢は考慮されても決め手にはなっていません。一方で、定年年齢を上限とした募集や、未経験領域への転換は通りにくくなります。
転職先を選ぶときは、臨床を続ける、負担を減らす、教育や管理を担う、勤務日数を減らすといった目的をはっきりさせると、比べるべき条件が絞れます。
そして50代ならではの確認点が、退職金と年金です。退職金の支給率は勤続年数で変わり、退職所得控除も勤続20年を境に1年あたりの加算額が上がります。60歳以降については、転職先の定年年齢と再雇用の条件、公的給付の内容を応募段階で確認しておくと、次の働き方まで含めて判断できます。
健康面は「体力的に楽な職場」ではなく、夜勤の回数、移乗介助の頻度、受け持ち人数といった要素に分解して確認してください。まずは現在の勤務先の退職金規程を取り寄せることから始めると、転職の時期を含めた検討がしやすくなります。


