40代看護師の転職は難しい?状況別の転職先と長く働く基準

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40代で転職を考えたとき、「この年齢で採用してもらえるのだろうか」と不安になる方は少なくありません。

40代看護師の転職は、一律に難しいわけでも、一律に簡単なわけでもありません。採用されやすい理由と不利に働きやすい場面がはっきり分かれており、どちらに当たるかは希望する領域と自分の経験の組み合わせで決まります。

この記事では、公的なデータをもとに40代の転職が実際にどう見られているのかを整理したうえで、状況別の転職先、50代・60代まで働き続けられるかを見極める確認項目、親の介護に備えた制度、ブランクからの復職の進め方をまとめました。

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40代看護師の転職は難しいのか

40代の転職が難しいのかを資料を見ながら考える看護師

40代の転職を「人手不足だから大丈夫」と結論づける情報は多く見かけますが、それだけでは判断材料になりません。

採用されやすい理由と、不利に働きやすい場面の両方を知っておくことで、応募先の選び方が変わります。

採用されやすい理由

40代は、就業している看護師のなかで最も層が厚い年代です。

令和6年衛生行政報告例によると、就業看護師1,363,142人のうち45〜49歳が13.7%と単一の年齢階級では最も多く、40代全体では約4人に1人を占めています。

40代の看護師が職場にいることは、どの施設でも珍しいことではありません。

就業看護師の年齢階級別構成

0%4%8%12%16%
25歳未満
8.3%
25〜29歳
13.0%
30〜34歳
10.9%
35〜39歳
10.2%
40〜44歳
11.9%
45〜49歳
13.7%
50〜54歳
12.0%
55〜59歳
9.5%
60〜64歳
6.2%
65歳以上
4.4%

採用側の視点を示すデータもあります。厚生労働省の令和2年転職者実態調査(看護師に限った調査ではありません)では、転職者の賃金や役職を決める際に最も重視した要素は「これまでの経験・能力・知識」が53.7%で、「年齢」は11.9%にとどまりました。

さらに、看護師が含まれる「専門的・技術的な仕事」の区分で転職者を採用した理由は、経験を活かし即戦力になるから66.1%、専門知識・能力があるから52.7%が上位でした。

40代は、この即戦力という条件に最も当てはまりやすい年代といえます。

転職者を採用した理由(専門的・技術的な仕事)

0%20%40%60%80%
経験を活かし即戦力になるから
66.1%
専門知識・能力があるから
52.7%
離職者の補充のため
44.6%
職場への適応力があるから
26.7%
新卒者の採用が困難なため
10.3%
幅広い人脈があるから
3.9%
親会社等の要請
1.9%

複数回答(3つまで)のため合計は100%を超える

不利に働きやすい場面

一方で、採用の傾向として若手が中心になっている領域はあります。

急性期病院の病棟や美容クリニックはその代表で、夜勤の回数や勤務のスピード感、教育体制の設計が若手を前提に組まれていることが理由です。

もう一つは、経験のない診療科への応募です。40代は即戦力として期待される分、一から教える前提の採用枠は限られます。同じ未経験でも、20代であれば育成枠として通る募集が、40代では通りにくくなる場面があります。

ただし、これは採用の傾向であって、応募できるかどうかとは別の話です。労働施策総合推進法第9条により、募集・採用は原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定められています。年齢を理由に応募を締め切ること自体が原則として認められていないため、「40代は応募できない職場がある」わけではありません。

年齢制限が例外的に認められる場合

1
定年年齢を上限として、期間の定めのない労働契約で募集する場合
2
長期勤続によるキャリア形成を図るため、若年者等を期間の定めのない労働契約で募集する場合
3
技能・ノウハウの継承のため、特定の職種で該当する年齢層が少ない場合(30〜49歳のなかで5〜10歳幅の範囲)

年齢そのものより見られている要素

採用側が実際に見ているのは、年齢という数字そのものではなく、年齢と結びつきやすい別の要素です。]

同じ令和2年転職者実態調査で、処遇を決める際に「考慮した」要素を複数回答で聞くと、経験・能力・知識が74.7%、年齢が45.2%でした。年齢は見られていますが、決め手ではないという構図です。

採用側が処遇を決める際に見た要素

最も重視した(1つ選択) 考慮した(複数回答)
これまでの経験・能力・知識
53.7%
74.7%
年齢
11.9%
45.2%
免許・資格
10.7%
37.3%
前職の賃金
6.8%
25.3%
学歴
0.6%
11.0%
前職の役職
0.4%
5.5%

具体的には、次の要素が年齢と混同されやすいものとして挙げられます。

  • 経験年数と、経験してきた領域が応募先の業務と重なるか
  • ブランクの長さと、その間の学習・情報更新の状況
  • 転職回数と、それぞれの在籍期間
  • 夜勤や休日勤務に対応できるか、対応できない場合の代替案があるか

こうした要素が確認しづらいことは、採用側にとっても課題になっています。

同調査では、転職者を採用する際の問題として「応募者の能力評価に関する客観的な基準がない」が38.8%挙げられました。応募する側が経験を具体的に説明できれば、それだけで判断材料が増えることになります。

今のあなたの状況は?

参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」

【状況別】40代看護師の転職先

在宅を訪問して笑顔で対応する2人の看護師

40代が転職先を選ぶ理由は、経験を活かしたい、体力的な負担を減らしたい、家庭の事情に合わせたい、ブランクから戻りたいなど、人によって大きく異なります。ここでは4つの状況ごとに、得られるもの、変わること、確認すべき点の順に整理します。

なお、就業場所の分布を見ると、看護師の65.7%が病院、14.3%が診療所、7.9%が介護保険施設等、6.7%が訪問看護ステーションで働いています。

病院以外の選択肢は、数のうえでは主流ではありません。だからこそ、移った先で何が変わるのかを事前に確認しておく価値があります。

就業看護師の就業場所の内訳

1,363,142人就業看護師 総数
65.7%病院
14.3%診療所
7.9%介護保険施設等
6.7%訪問看護ステーション
5.0%その他の施設
0.4%事業所

経験を活かしてキャリアを続けたい場合

病棟や外来での経験をそのまま活かすなら、引き続き病院を選ぶことになります。

得られるものは、経験の連続性と給与水準です。令和7年賃金構造基本統計調査から算出すると、看護師の推計年収は40〜44歳で約548万円、45〜49歳で約561万円と、年齢とともに上がっていく形になっています。

変わることは、求められる役割です。40代の中途採用では、実務に加えて後輩の指導や委員会活動、リーダー業務を任される前提で採用が進むことが多くなります。

確認すべき点は、その役割がいつから始まるかです。入職直後から教育担当を任される職場もあれば、一定期間は業務の習熟を優先する職場もあります。面接では、同じ年代で中途入職した方がどのような役割を担っているかを聞いておくと、実態がつかめます。

夜勤や体力の負担を減らしたい場合

夜勤の負担を減らしたい場合の選択肢は、訪問看護、クリニック、健診機関などです。得られるものは、夜勤のない、または夜勤の少ない勤務形態です。

変わることは、働き方の性質です。訪問看護は1人で判断する場面が増え、多くの事業所でオンコール対応があります。クリニックは診療時間内に業務が集中し、外来の回転の速さに慣れる必要があります。

日勤中心で探すなら、どの条件で絞る?
  • 「17時退社」の条件が付く正看護師の求人は1,810件(全体の19%)
  • 「年間休日120日以上」は2,119件(22%)
  • 「完全週休2日」は1,021件(11%)。条件を重ねるほど件数は絞られます
キャリアパートナー

確認すべき点は、夜勤がない代わりに何が発生するかです。

訪問看護であればオンコールの当番頻度と手当、実際の呼び出し件数を、クリニックであれば診療終了後の残業の実態を確認しておきます。

職場タイプ別|求人件数と正社員月給の中央値

職場求人件数正社員月給の中央値
訪問看護2,535件320,000円
病院1,368件298,000円
有料老人ホーム369件292,000円
介護老人保健施設679件288,000円
クリニック2,384件286,000円
特別養護老人ホーム1,171件271,300円
デイケア・デイサービス615件270,000円

家庭の事情に合わせて働きたい場合

子どもの進学や親の状況に合わせて勤務時間を調整したい場合は、診療所や介護保険施設が候補になります。

得られるものは、勤務時間の柔軟性です。実際、常勤換算数を実人員で割ったフルタイム比率は、病院が95.7%であるのに対し診療所は81.1%と低く、短時間勤務の看護師が多く働いていることが分かります。

就業場所別のフルタイム比率

0%25%50%75%100%
病院
95.7%
訪問看護ステーション
86.9%
事業所
84.7%
介護保険施設等
82.3%
診療所
81.1%

点線は全体の91.3%

変わることは、収入と業務範囲です。勤務時間を減らせばその分収入は下がり、施設によっては医療処置よりも生活支援や記録の比重が高くなります。

確認すべき点は、時間の融通が制度として保証されているかどうかです。「相談には応じます」という説明だけでは、実際にシフトを組む段階で希望が通るとは限りません。就業規則にどう書かれているか、同じ働き方をしている職員が何人いるかまで踏み込んで聞いておきます。

ブランクから復職する場合

数年以上のブランクがある場合、得られるものは、資格を活かした働き方への復帰そのものです。ただし、ブランクを前提に受け入れる求人は多数派ではありません。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)でも、正看護師の求人9,633件のうち「ブランクOK」の条件が付いているのは873件で、全体の9%にとどまります。

変わることは、復帰までの手順です。求人へ直接応募する以外に、公的な復職支援を経由する経路があります。この進め方は記事の後半で取り上げます。

確認すべき点は、入職後の教育体制です。ブランクOKと書かれていても、実際の研修期間やプリセプターの有無は施設ごとに大きく異なります。

看護師の求人を探す

参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」e-Stat「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」

50代・60代まで働き続けられるかを基準にする

窓際で聴診器を手にするベテランの看護師

40代の転職は、そのまま定年まで勤める職場を選ぶことになる可能性があります。

「50代を見据えて職場を選びましょう」という助言はよく聞きますが、何を確認すれば見据えたことになるのかは示されないことが多いものです。ここでは、面接や職場見学の場で実際に確認できる3つの項目に落とし込みます。

前提として、賃金の推移を見ておきます。令和7年賃金構造基本統計調査から算出した看護師の推計年収は、50〜54歳の約578万円がピークで、60〜64歳では約503万円まで下がります。同時に、超過実労働時間は40〜44歳の月7時間から60〜64歳の月4時間へと減っています。夜勤や残業の手当が減ることが、収入の変化に直結する構造です。

看護師の年齢階級別 推計年収

(万円) 548 561 578 574 503 424 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69

定年年齢と再雇用制度を確認する

高年齢者雇用安定法では、定年を定める場合の年齢は60歳を下回ることができないとされています。そのうえで、65歳までの雇用確保措置は事業主の義務、70歳までの就業確保措置は努力義務と、段階が分けられています。この違いを混同しないことが大切です。

65歳までの義務は、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかを講じることで満たされます。つまり、定年が60歳のままでも、継続雇用制度があれば法律上は満たされていることになります。

高年齢者雇用安定法が定める年齢別の義務・努力義務
義務 60歳
第8条(定年を定める場合の年齢)
事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は、60歳を下回ることができない。
義務 65歳まで
第9条(高年齢者雇用確保措置)
65歳までの安定した雇用を確保するため、次のいずれかを講じなければならない。
  • 一 当該定年の引上げ
  • 二 継続雇用制度の導入
  • 三 当該定年の定めの廃止
努力義務 65〜70歳
第10条の2(高年齢者就業確保措置)
65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう努めなければならない。
  • 一 当該定年の引上げ
  • 二 65歳以上継続雇用制度の導入
  • 三 当該定年の定めの廃止
過半数労働組合等の同意を得た創業支援等措置(業務委託契約による就業の確保/社会貢献事業に従事する機会の確保)でも可。

令和7年の高年齢者雇用状況等報告(21人以上規模の237,739社)では、65歳までの措置を実施済みの企業が99.9%で、その内訳は継続雇用制度の導入が65.1%、定年の引上げが31.0%でした。65歳以上を定年としている企業は34.9%で、多数派は定年60歳に再雇用を組み合わせる形です。

そのため、確認したいのは定年年齢だけではありません。65歳までをどの措置で満たしているか、再雇用後の職種・勤務形態・賃金がどうなるかまで聞いておく必要があります。再雇用後の待遇は職場ごとに異なり、法律では決まっていない部分だからです。

身体的な負荷の内容を確認する

年齢とともに負担が増すのは、主に身体を使う業務です。厚生労働省の資料では、保健衛生業の腰痛発生率(死傷年千人率)は0.25で、全業種平均の0.1を大幅に上回っています。腰痛は職場を離れる理由になりやすく、40代からの職場選びでは軽視できません。

職場における腰痛予防対策指針は平成25年に改訂され、介護・看護作業全般が適用対象に加えられました。

指針では、全介助が必要な対象者にはリフト等を積極的に使用し、原則として人力による人の抱上げは行わせないこととされています。座位を保持できる場合はスライディングボード等、立位を保持できる場合はスタンディングマシーン等の使用を検討することも示されています。

身体状況別・介助用具の使い分け

対象者の状態は?
全介助が必要
リフト等を積極的に使用し、人力での抱上げは原則行わない
座位を保持できる
スライディングボード等の使用を検討
立位を保持できる
スタンディングマシーン等の使用を検討

つまり、確認すべきは「大変ですか」という漠然とした質問ではなく、指針にある道具が実際に置かれ、使われているかどうかです。

  • 移乗介助が1日に何回程度発生するか
  • リフトやスライディングボードが配置され、日常的に使われているか
  • 立ち仕事と座って記録できる時間の配分
  • 夜勤帯の1人あたりの受け持ち人数

夜勤の継続可否と代替の働き方を確認する

夜勤を何歳まで続けるかは、40代で決めておきたい論点です。日本看護協会の2025年病院看護実態調査(3,502病院)によると、ひと月の夜勤時間が0時間の看護職員は6.7%、1時間から16時間未満は9.0%でした。夜勤から外れて働いている看護職員は一定数いるものの、多数派ではありません。

一方で、同じ調査で看護職員を確保するために導入している働き方を聞くと、「夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる」を導入している病院が44.1%ありました。夜勤をやめるか続けるかの二択ではなく、回数を調整するという中間の選択肢が現実に存在しています。

看護職員の人材確保のための働き方 導入率

日勤のみ
54.7%
夜勤回数や夜勤時間、曜日が選択できる
44.1%
短時間勤務(育児・介護休業法に定める場合を除く)
39.3%
本人の希望の専門領域・部署への配属
38.7%
夜勤のみ
31.2%
兼業、副業を可能としている
26.6%
定時をずらした勤務ができる
23.4%
病棟で2交代か3交代を選択できる
17.2%
長期(3か月〜1年程度)の休職制度がある
12.7%
管理業務やオンライン研修は在宅勤務が可能
8.7%
異動がない
3.8%
転勤がない
3.6%
週休三日制
0.9%

※複数回答のため合計は100%を超える

ただし、制度があることと使われていることは別です。面接では「夜勤を減らす制度はありますか」ではなく、「昨年度、夜勤の回数を減らして働いた方は何人いますか」と実績を聞くほうが、運用の実態がつかめます。

お探しの求人は?

参考:e-Stat「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」厚生労働省「令和7年 高年齢者雇用状況等報告 の集計結果を公表します」厚生労働省「保健衛生業における腰痛の予防」日本看護協会「日本看護協会調査研究報告シリーズ」

親の介護に備えて確認しておく制度

介護施設で書類を見せながら制度を説明する看護師

40代は、子育てと並行して親の介護が始まり得る年代です。介護は予告なく始まることが多く、制度を知らないまま退職を選んでしまうと、再就職の条件も収入も下がります。

転職先を決める段階で、使える制度と職場の運用を確認しておくことをおすすめします。

法律で定められた介護に関する制度

育児・介護休業法には、介護に関する制度が複数用意されています。

対象となる家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。また、要介護状態とは負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を指します。

用意されているのは、介護休業、介護休暇、所定外労働の制限(残業免除)、短時間勤務等の措置の4つです。

まとまった期間休むための介護休業と、通院の付き添いなど短時間の用事に使う介護休暇は役割が異なります。このうち、休んでいる間に給付金が出るのは介護休業だけです

育児・介護休業法の介護4制度

制度 使える期間・回数 単位や中身 給付金
介護休業 対象家族1人につき3回まで、通算93日まで 日単位で取得 雇用保険の被保険者で要件を満たせば休業開始時賃金日額の67%相当額の介護休業給付金
介護休暇 対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日まで 1日または時間単位で取得 給付なし
所定外労働の制限(残業免除) 1回につき1か月以上1年以内、回数の制限なし 制限開始予定日の1か月前までに書面等で請求 給付なし
短時間勤務等の措置 利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上 短時間勤務・フレックスタイム制度・時差出勤・介護サービス費用の助成のいずれか1つ以上を事業主が設ける 給付なし

介護関係の規定は2025年(令和7年)4月1日から改正されています。

事業主には、介護に直面した旨を申し出た労働者への個別の周知と意向確認、労働者が40歳に達する年度などにおける制度の情報提供、研修や相談体制などの雇用環境の整備が義務づけられました。介護のためのテレワーク導入も努力義務として加わっています。

会社に求められる介護関連の対応(2025年4月1日施行)

義務雇用環境の整備
介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施、相談体制の整備、自社の労働者の取得・利用事例の収集と提供、利用促進に関する方針の周知のいずれかの措置を講じる
義務個別の周知・意向確認
介護に直面した旨の申出をした労働者に対し、制度の周知と利用意向の確認を個別に行う
義務情報提供
労働者が40歳に達する日の属する年度、および40歳に達する日の翌日から1年間に情報を提供する
努力義務介護のためのテレワーク等の導入
介護と仕事の両立のため、テレワークなどの選択肢を用意する
要件廃止介護休暇の対象拡大
労使協定を結んでいても「継続雇用期間6か月未満」を理由に介護休暇の対象から除外できなくなった

職場独自の制度と運用

法律上の制度であっても、全員が無条件に使えるわけではありません。労使協定を結んでいる場合、介護休業・所定外労働の制限・短時間勤務等の措置は、継続して雇用された期間が1年未満の労働者を対象外にできます。転職直後に親の介護が始まると、これらを使えない可能性があるということです。

一方、介護休暇について労使協定で除外できるのは、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者だけです。継続雇用期間6か月未満を対象外とする要件は2025年4月に廃止されたため、入職して間もなくても取得できます

労使協定で対象外にできる労働者(制度別)

制度 継続雇用1年未満 週の所定労働日数2日以下
介護休業 除外できる 除外できる
所定外労働の制限(残業免除) 除外できる 除外できる
短時間勤務等の措置 除外できる 除外できる
介護休暇 除外できない 除外できる

確認しておきたいのは、就業規則に介護に関する規定がどう書かれているか、法律を上回る独自の制度があるか、そして実際に取得した職員がいるかどうかです。

介護は突然始まるため、「そのときに相談してください」という説明だけでは判断できません。

介護が始まる前に、どこまで確認しておく?
  • 介護休業は3回に分けられます。最初にまとめて使い切らないほうが選択肢が残ります
  • 申し出る窓口が上司なのか人事なのかを、入職時に確認しておきましょう
  • 就業規則の介護に関する章は、必要になる前に一度目を通しておくと安心です
キャリアパートナー

介護と両立しやすい勤務形態

介護と両立する働き方を考えるうえで効くのは、休みの取りやすさよりも、勤務時間の予測しやすさです。急な呼び出しやケアマネジャーとの面談は平日の日中に入ることが多く、シフトが直前まで確定しない職場では対応が難しくなります。

医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、正看護師の求人9,633件のうち日・祝休みが28%、残業ほぼなしが14%、時短勤務OKが5%でした。数としては限られますが、条件を絞って探せば見つかる範囲です。

通勤時間も要素になります。実家との距離、職場との距離、自分の生活圏の3点がどう配置されるかで、介護が始まったあとの負担は大きく変わります。

看護師の求人を探す

参考:厚生労働省「介護休業|介護休業制度特設サイト」厚生労働省「法改正のポイント|介護休業制度特設サイト」

ブランクがある場合の復職の進め方

復職支援研修でメモを取る看護師

ブランクからの復職は、求人サイトで探して直接応募する以外にも経路があります。

公的な仕組みを使うと、研修や職場体験を挟んでから就職先を決められるため、いきなり現場に戻る不安を減らせます。

都道府県ナースセンターに相談する

看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、看護師等の免許を持ちながらその仕事をしていない方には、都道府県ナースセンターへの届出が努力義務として定められています。平成27年10月1日から始まった制度です。

届出先は現在の住所地がある都道府県ナースセンターで、インターネットサイト「とどけるん」からでも書面でも手続きできます。届け出ると、情報提供や復職研修、職業紹介など、状況に応じた復職支援を受けられます。

ナースセンターは都道府県看護協会が運営する無料職業紹介事業で、費用はかかりません。離職した時点で届け出ておくのが本来の形ですが、離職から時間が経ってからでも登録できます。

ナースセンターを利用した復職の流れ

1
都道府県ナースセンターに届け出る
インターネットサイト「とどけるん」または書面で、住所地のナースセンターに届け出る
2
情報提供を受け、就業相談をする
希望する勤務地や勤務形態を伝え、求人情報の提供を受ける
3
研修・見学を利用する
再就業支援研修で技術を確認し、体験研修や施設見学で職場を見る
4
無料職業紹介で就業先を決める
応募から就職まで、都道府県のナースセンターがサポートする

復職支援研修を受ける

ナースセンターでは、再就業支援研修、体験研修、施設見学などが用意されています。内容や日程は都道府県ごとに異なりますが、採血や急変時対応といった技術の確認、電子カルテの操作、最近の医療機器の扱いなど、ブランク中に変わった部分を集中的に補う構成になっていることが多くなっています。

研修を受ける利点は、技術面だけではありません。同じようにブランクから戻ろうとしている方と接することで、自分の不安が特別なものではないと分かります。また、体験研修や施設見学を通じて、応募前に職場の雰囲気を見られる点も違いとして大きいところです。

転職活動するなら?

段階的に勤務時間を増やす

復職の初期から常勤で戻ると、体力面でも家庭との調整面でも負担が集中します。まずは日数や時間を絞って働き始め、慣れてから増やしていく方法が現実的です。

医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、正看護師の求人のうちパート・アルバイト求人が3,393件あり、週1日勤務OKの条件が付く求人も350件ありました。短い勤務から始められる求人は一定数あります。

段階的に増やす前提で応募する場合は、面接の時点でその意向を伝えておきます。あとから勤務時間を増やしたいと申し出ても、人員配置の都合で枠が空いていないことがあるためです。

将来的に常勤を希望するのか、パートのまま続けたいのかを最初に共有しておくと、双方の見通しが立ちます。

参考:厚生労働省「看護師等免許保持者の届出制度」日本看護協会「eナースセンター―都道府県看護協会による無料職業紹介事業―」

まとめ

40代看護師の転職は、年齢そのものよりも、経験してきた領域や夜勤への対応可否といった個別の要素で判断されています。急性期病院や未経験の診療科など通りにくい領域はありますが、それは応募資格の問題ではなく採用の傾向です。

そのうえで、40代の転職は次の職場で定年まで働くことになる可能性があります。定年年齢と65歳までをどの措置で満たしているか、移乗介助やリフトの使用状況といった身体的な負荷の中身、夜勤の回数を調整する制度の運用実績。この3点は、面接や職場見学で確認できます。

親の介護に備えた制度も、転職前に見ておきたい項目です。介護休業や介護休暇は法律で定められていますが、前述のとおり継続雇用1年未満は労使協定で対象外にできる制度もあります。ブランクからの復職を考えている方は、都道府県ナースセンターの届出制度と復職支援研修という公的な経路を使えます。

条件を全て満たす職場を探すのは難しいものです。何を譲り、何を譲らないかを先に決めておくと、迷ったときの判断が早くなります。

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この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

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記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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