20代看護師の転職は早い?経験年数の考え方と目的別の転職先
「まだ20代で転職するのは早いのではないか」「3年は続けたほうがいいと言われた」。20代の看護師が転職を考えるとき、多くの人が経験年数の壁にぶつかります。
この記事では、看護師の経験年数が本当に意味を持つ場面を、求人の応募条件・資格要件・採用側の評価に分けて整理します。
あわせて20代前半と後半で採用側の見方がどう変わるか、目的別にどんな転職先があるか、奨学金(お礼奉公)の残債がある場合の進め方までを解説します。
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20代看護師の転職の実情

20代の転職を考えるとき、まず知りたいのは「同じ年代の看護師がどれくらいいて、どれくらい職場を変えているのか」という実態です。
ただしこの分野は、出典のはっきりしない数字が出回りやすい領域でもあります。ここでは調査主体と調査年が確認できるデータだけを使って整理します。
20代で転職する看護師の割合
厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、就業している看護師は全国で1,363,142人です。年齢階級別の内訳は25歳未満が8.3%、25〜29歳が13.0%で、20代は就業看護師全体の約2割を占めています。
一方で、20代に限った転職経験者の割合を示す公的な統計は見当たりません。ネット上では「20代看護師の約半数が転職を経験している」といった数字も見かけますが、調査主体・対象・調査年が示されていないものが多いのが実情です。
代わりに参考になるのが離職率です。日本看護協会の2025年病院看護実態調査(2024年度実績)では、正規雇用看護職員の離職率は11.0%、そのうち新卒採用者は8.4%、既卒採用者は16.1%でした。既卒採用者の離職率は新卒採用者のほぼ2倍です。
転職そのものが珍しいわけではなく、転職先選びの丁寧さがその後の定着に直結すると読み取れます。
就業看護師の年齢構成|20代は21.3%
転職を考える時期に共通する傾向
厚生労働省の令和2年転職者実態調査では、転職者が直前の勤め先に勤めていた期間は1年未満が17.7%、2年未満まで含めると34.8%でした。全産業を対象とした調査ですが、短い勤続で職場を変えることが例外的ではないとわかります。
看護師の場合、気持ちが動きやすいのは担う役割が変わるタイミングです。1年目は新人看護職員研修の対象として指導を受ける立場ですが、2〜3年目になるとプリセプターや委員会活動など、後輩指導・部署運営の役割が加わります。
求められることが一段増えたときに、今の働き方を続けられるかを考え始める人が多いと考えられます。
直前の勤め先の通算勤務期間
5年以上勤めてから転職した人が全体の37.4%を占める
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / 労働政策研究・研修機構「正規雇用看護職員の離職率は11.0%/日本看護協会調査」 / 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
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「3年は続けるべき」は本当か?

「3年は続けるべき」という言葉は、看護師の間で当たり前のように語られています。しかし、この3年に法的な根拠や統一されたルールがあるわけではありません。年数が実際に効いてくる場面と、そうでない場面を分けて見ていきます。
経験年数が応募条件になっている求人
看護師免許があれば応募できる求人がある一方で、募集要項に「臨床経験3年以上」といった条件を明記している求人もあります。訪問看護、美容クリニック、企業の産業看護職などは、条件が付きやすい領域として知られています。
理由は領域ごとに異なります。訪問看護は基本的に1人で利用者さんの自宅を訪問し、その場で判断する場面が多い働き方です。美容クリニックや企業は、そもそも看護師の人数が少なく、教育に人手を割きにくい環境が背景にあります。
ただしこれは法律で決まった要件ではなく、事業所ごとの募集条件です。同じ訪問看護でも、新卒や経験の浅い看護師を教育前提で採用しているステーションはあります。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、正看護師の求人のうち69%に「未経験可」の記載がありました。年数だけで応募先を狭めず、個別の募集要項を確認することをおすすめします。
正看護師求人のうち「未経験可」の割合
経験年数が資格要件に関わる場合
年数が明確な要件になるのは、資格認定の場面です。日本看護協会の認定看護師は、看護師免許取得後に通算5年以上の実務研修があり、そのうち通算3年以上が該当する認定看護分野であることが要件とされています。専門看護師も同じく通算5年以上・分野で通算3年以上に加え、看護系大学院修士課程で所定の38単位を取得していることが必要です。
ここで注意したいのが、分野別の年数は転職で分野が変わると積み上がらない場合があるという点です。がん看護での認定を目指しているのに、途中で全く別の領域に移ると、分野の3年が振り出しに戻ることもあります。目指す分野が決まっているなら、転職先がその分野に関われるかどうかを確認しておくと安心です。
なお、特定行為研修は研修の基準そのものに実務経験年数の定めがありません。指定研修機関が独自に条件を設けている場合はありますが、すべての資格・研修が5年を求めるわけではありません。要件は変更されることがあるため、受講や受験を検討する時点で日本看護協会・厚生労働省の最新情報を確認してください。
認定看護師・専門看護師・特定行為研修の実務経験要件
| 項目 | 認定看護師 | 専門看護師 | 特定行為研修 |
|---|---|---|---|
| 実務経験年数 | 通算5年以上 | 通算5年以上 | 研修の基準に定めなし |
| 分野内の年数 | 該当分野で通算3年以上 | 該当分野で通算3年以上 | 規定なし |
| 追加要件 | 認定看護師教育課程の修了 | 看護系大学院修士課程で38単位を取得 | 指定研修機関が独自に条件を設ける場合あり |
年数よりも経験の中身が見られる場合
採用側が何を見ているかについては、公的な調査があります。厚生労働省の令和2年転職者実態調査(事業所票)によると、転職者の処遇を決める際に最も重視した要素は「これまでの経験・能力・知識」が53.7%で最多、年齢は11.9%でした。複数回答で「考慮した」要素を見ても、経験・能力・知識が74.7%、年齢が45.2%です。
つまり年齢や年数は考慮はされるものの、決め手にはなりにくいということです。実際、選考で聞かれるのは「何年やったか」よりも、どの科でどんな患者さんを受け持ち、何ができるようになったかという中身です。
同じ3年でも、急性期病棟で受け持ち人数を任されてきた人と、配属先の事情で限られた業務しか経験できなかった人では、伝えられる内容が変わります。
年数を数える前に、自分が積んできた経験を書き出してみることをおすすめします。
早く動いたほうがよいケース
一方で、年数を理由に留まる合理性がない状況もあります。次のようなケースでは、3年という目安にこだわる必要はありません。
- 心身の不調が続いている(眠れない、食欲がない、涙が出る、出勤前に体調を崩す)
- 教育体制がなく、必要な経験そのものが積めていない
- 職場でハラスメントを受けている
ハラスメントについては、厚生労働省が職場のパワーハラスメントを「優越的な関係を背景とした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「就業環境が害されるもの」の3つをすべて満たすものと定義しています。
指導の範囲を超えていると感じるなら、我慢を続ける前に相談窓口を使ってください。
パワハラに該当する3つの要素
体調面の不調が続いている場合は、まず受診が優先です。休職して健康保険の傷病手当金を受けながら立て直すという選択肢もあります。経験年数は、健康を損ねてまで積むものではありません。
参考:公益社団法人日本看護協会「資格認定制度」 / 厚生労働省「特定行為研修とは」 / 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 / 厚生労働省「あかるい職場応援団」
看護師の求人を探す20代前半と20代後半で変わる採用側の見方

同じ20代でも、1年目と9年目では採用側の期待も懸念も異なります。ひとまとめに「20代は若くて有利」と考えていると、面接での伝え方がずれてしまいます。
ここでは20代前半と後半に分け、期待されること・懸念されること・有効な伝え方を同じ順で整理します。
20代前半(おおむね1〜3年目)
採用側が期待するのは、これから育てられる余地です。教育体制が整った職場ほど、自分たちの手順を一から伝えられる若手を歓迎します。
懸念されるのは定着です。前述のとおり既卒採用者の離職率は16.1%で、新卒採用者の8.4%を上回ります。採用側は「うちでも短期間で辞めるのではないか」という目で選考を見ています。
有効な伝え方は、辞める理由ではなく、次の職場で何をしたいかを主語にすることです。「夜勤がつらい」ではなく「日勤帯で患者さんとじっくり関わる看護をしたい」と言い換えるだけで、受け取られ方が変わります。
加えて、今の職場で身につけた基礎的な看護技術を具体的に挙げると、教育コストの見通しが立ちやすくなります。
採用区分別の離職率
20代後半(おおむね4〜9年目)
採用側が期待するのは即戦力です。令和2年転職者実態調査では、看護師が含まれる「専門的・技術的な仕事」で転職者を採用した理由として、「経験を活かし即戦力になるから」が66.1%、「専門知識・能力があるから」が52.7%と上位に並びました。
懸念されるのは、前職のやり方に慣れすぎていないかという点と、処遇の折り合いです。同じ調査では、転職者を採用する際の問題として「応募者の能力評価に関する客観的な基準がない」が38.8%と挙がっています。採用側も、経験年数だけでは実力を測れないと感じているわけです。
有効な伝え方は、経験を数字と場面で示すことです。「救急外来で3年」ではなく「1日に平均して何件の受け入れに対応し、トリアージを担当していた」と伝えれば、評価の基準がない相手にも実力が伝わります。
なお、この年代は給与面でも判断が必要になります。令和7年賃金構造基本統計調査では、看護師の所定内給与額は経験年数1〜4年で304,700円、5〜9年で314,800円でした。経験を5年重ねても月あたりの伸びは1万円ほどで、同じ職場で年数を積むことが必ずしも収入に反映されるとは限りません。
参考:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」 / ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」 / 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 10 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
転職活動するなら?
【目的別】20代看護師の転職先

転職先は「おすすめ」で選ぶより、何を解決したいかから逆算するほうが失敗しにくくなります。ここでは目的別に、得られるもの・失うもの・注意点を揃えて整理します。
臨床経験を積み直したい場合
配属先の事情で経験が偏っている、教育体制が機能していないという理由なら、規模の大きい急性期病院や、教育プログラムを持つ病院が候補になります。得られるのは症例数と体系的な指導です。
失うのは、当面の負担の軽さです。急性期は夜勤・残業ともに一定量が発生します。就業看護師のうち65.7%が病院で働いており、選択肢自体は多い領域です。
注意点は、規模と教育体制が必ずしも一致しないことです。病床数ではなく、中途採用者向けのプログラムがあるかを確認してください。
看護師の就業場所別の分布
夜勤の負担を減らしたい場合
外来中心のクリニック、デイサービス、日勤のみの施設などが候補です。得られるのは生活リズムの安定です。
失うのは収入です。令和7年賃金構造基本統計調査で看護師の「きまって支給する現金給与額」は365,900円、うち所定内給与額は333,200円で、差額の32,700円が時間外・深夜・休日の割増分にあたります。年間にすると約39万円です。深夜労働(22時から翌朝5時)には25%以上の割増賃金が支払われる決まりのため、夜勤を外せばその分は確実に減ります。
注意点は、減る額を先に把握しておくことです。手取りの見込みを計算せずに転職すると、生活の立て直しに苦労します。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、正看護師求人の月給中央値は病院29.8万円に対しクリニック28.6万円、デイケア・デイサービス27.0万円でした。
在宅・地域の看護に関わりたい場合
訪問看護ステーションが中心の選択肢です。得られるのは、利用者さんの生活に踏み込んだ看護と、判断を任される経験です。就業看護師のうち訪問看護ステーション勤務は6.7%(91,022人)で、病院に比べると規模は小さい領域です。
失うのは、その場で相談できる同僚の存在です。訪問中は基本的に1人で、電話やオンラインでの相談が中心になります。
注意点は同行訪問の期間です。入職後にどれくらい先輩に同行できるかは事業所によって差があります。
- オンコール当番の回数と手当の出方は、事業所ごとに条件が大きく違います
- 1日の訪問件数に目安があるかどうかも聞いておきましょう
- 医療処置が多い利用者さんをどれくらい担当するかで、必要な経験も変わります
専門性を高めたい場合
認定看護師・専門看護師を目指すなら、目指す分野の症例が集まる施設を選ぶことになります。得られるのは分野の実務研修年数と、支援制度です。
失うのは、幅広い領域を経験する機会です。分野を絞るほど、他領域に戻りにくくなります。
注意点は、資格取得支援の中身を確認することです。学費補助・研修中の身分・修了後の勤務条件は施設ごとに異なります。
看護師以外の働き方を検討する場合
企業の産業看護職、治験関連職、看護学校の教員などが挙がります。得られるのは、日勤中心の働き方と看護以外のスキルです。ただし就業看護師のうち事業所で働く人は0.4%(5,879人)と非常に少なく、募集自体が限られる領域です。
失うのは臨床の勘です。数年離れると、病棟に戻る際にブランクとして扱われることがあります。
注意点は、戻る可能性を残しておくことです。臨床を離れる前に、非常勤で臨床を続けられないかを検討しておくと選択肢が狭まりません。
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / e-Stat「賃金構造基本統計調査 10 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / 栃木労働局「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)」
看護師の求人を探す奨学金(お礼奉公)がある場合の進め方

20代で転職を考えたとき、最初にぶつかる壁がこれです。看護学生時代に病院や自治体の修学資金を借り、一定期間の勤務を条件に返還を免除される契約を結んでいる人は少なくありません。
返還義務の内容を貸与契約書で確認する
まず貸与契約書と募集要項を手元に用意し、次の項目を確認します。口頭で聞いた話や先輩の経験談ではなく、書面に書かれている条件が判断の起点です。
- 返還が必要になる条件(どの時点で退職すると返還義務が生じるか)
- 返還する金額の範囲(貸与総額か、残りの期間分か)
- 免除される勤務年数と、勤務先として認められる施設の範囲
- 一括返還か分割返還か、分割の可否と回数
- 利息・違約金の有無
- 返還義務が生じる時期(退職した月からか、その翌月からか)
たとえば東京都の看護師等修学資金では、貸与月額が25,000円・50,000円・75,000円・100,000円から選ぶ形で、返還は返還事由が生じた月の翌月から始まる仕組みです。
免除の条件となる勤務年数や施設の範囲も定められています。制度は貸与元ごとに異なるため、自分が借りた制度の条件をそのまま確認することが大切です。
貸与契約書は、貸与元(病院の事務部門や自治体の担当課)に写しを請求できます。手元にないまま記憶で判断しないでください。
東京都 看護師等修学資金の貸与月額
一括返還が必要な場合の備え
一括返還の定めがある場合、退職から数か月以内にまとまった金額の請求が届くことがあります。金額を把握しないまま退職すると、転職直後の生活を圧迫します。
進め方としては、貸与総額から免除済みの分を差し引いた残額を計算し、貸与元に分割返還の相談ができるかを確認します。分割に応じる制度もあるため、退職の意思を伝える前に問い合わせておくと選択肢が増えます。
同時に、退職から次の給与日までの生活費も見込んでおきます。転職先が決まってから退職するか、いったん離職するかで必要な蓄えは変わります。
勤務期間の縛りに疑問がある場合の相談先
労働基準法第16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ決めておいたりすることを禁じています。退職そのものを金銭で縛る取り決めは、この規定に触れる可能性があります。
ただし、修学資金の貸与契約が直ちに無効になるわけではありません。貸与が実質的に賃金の前払いなのか、独立した貸付なのかなど、契約の内容によって判断が分かれます。自己判断で「返さなくてよい」と決めつけるのも、「必ず全額返すしかない」と諦めるのも避けてください。
疑問がある場合は、次の窓口に相談できます。
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総合労働相談コーナー全国378か所の労働局・労働基準監督署内などに設置され、労働問題全般を無料で相談できる
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労働基準監督署労働基準法違反にあたる可能性がある場合の相談先
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弁護士契約内容の有効性そのものを個別に判断してほしい場合
なお、期間の定めのない雇用契約であれば、民法第627条により退職の申し入れから2週間の経過で契約は終了します。
修学資金の返還義務と、退職できるかどうかは別の問題として整理してください。
参考:東京都保健医療局「看護師等修学資金貸与事業」 / e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」 / e-Gov法令検索「民法」
今のあなたの状況は?
20代の転職で気をつけること

20代の転職は選択肢が広い分、動き方を間違えると次の転職でつまずきます。押さえておきたい点を3つにまとめます。
短期間の転職を繰り返さない
1回の転職が不利に働くことは多くありません。ただし短期間の退職が続くと、採用側は理由を探し始めます。
令和2年転職者実態調査(事業所票)では、転職者に教育訓練を実施した事業所が74.5%ありました。短期間で職場を変えるほど、入職時の研修ばかりを繰り返して専門性が積み上がらないという問題も起こります。
同じ調査で、処遇決定の際に「最も重視した」要素の選択肢に転職回数は含まれていません。回数そのものより、それぞれの職場で何を積んだかを説明できるかが問われます。
転職者への教育訓練の実施状況
全事業所に占める割合
実施した事業所のなかでの内訳
OFF-JTを実施した事業所のなかでの内訳
転職理由を整理してから動く
不満が積み重なった状態で動くと、条件を絞り込めないまま求人を眺めることになります。まず、今の職場で解決できることと、職場を変えないと解決しないことを分けてください。
シフトの偏りや人間関係の一部は、部署異動で解決する場合があります。一方、夜勤の有無・診療科・給与水準・教育体制は、多くの場合その職場の仕組みそのものです。分けて考えると、転職が必要かどうかがはっきりします。
そのうえで、譲れない条件を2つか3つに絞ります。すべてを満たす職場を探そうとすると決められなくなるため、優先順位をつけておくことが重要です。
応募先の教育体制を確認する
20代の転職では、入職後にどこまで指導を受けられるかが定着を左右します。面接や見学の場で、次のように具体的に聞くと実態が見えてきます。
- 中途採用者向けの研修プログラムはありますか。期間はどれくらいですか
- 入職後、何日くらい先輩と一緒に業務にあたれますか
- プリセプター制度は中途採用者にも適用されますか
- 夜勤に入るまでの流れと、独り立ちまでの期間の目安を教えてください
- 直近1年で中途採用された方は何名くらいいますか
答えが曖昧だったり「人によります」で終わったりする場合は、体制が定まっていない可能性があります。あわせて、厚生労働省の医療情報ネットでは病院・診療所の情報を検索でき、応募前の下調べに使えます。
なお2024年4月から労働条件の明示ルールが変わり、就業場所・業務の「変更の範囲」を明示することが必要になりました。配属先が変わる可能性の範囲は書面で確認できますので、労働条件通知書を受け取ったら必ず目を通してください。
参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」 / 厚生労働省「医療機能情報提供制度について」 / 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
まとめ
20代看護師の転職では、「3年」という年数そのものより、その年数が自分のケースで意味を持つかどうかを確かめることが出発点になります。年数が明確な条件になるのは、認定看護師・専門看護師のように分野ごとの実務研修年数が定められている場面と、事業所が独自に「経験3年以上」と設定している求人に応募する場面です。それ以外では、令和2年転職者実態調査が示すとおり、採用側は年齢よりも経験・能力・知識を重く見ています。
20代前半なら育てられる余地を、20代後半なら具体的な経験の中身を伝えることで、同じ年代でも準備の仕方が変わります。転職先は「おすすめ」で選ばず、臨床経験を積み直す・夜勤を減らす・在宅に関わる・専門性を高めるといった目的から逆算してください。
奨学金の残債がある場合は、まず貸与契約書で返還条件を確認し、必要なら総合労働相談コーナーや弁護士に相談します。そして心身の不調やハラスメントがあるなら、年数を理由に留まる必要はありません。自分の状況を材料に分解したうえで、次の一歩を決めていきましょう。





