言語聴覚士の初任給はいくら?職場別の相場と新卒が就職先選びで確認すべき点
国家試験の勉強や実習と並行して就職先を探していると、「言語聴覚士の初任給って実際いくらなんだろう?」と気になりますよね。
言語聴覚士の初任給は、国の統計では月給24万円前後が目安ですが、職場の種類や給与の内訳によって手取りや2年目以降の伸び方は変わります。
この記事では、公的統計と求人データから見た初任給の相場、職場別の違い、そして言語聴覚士ならではの「就職先選びで確認したい項目」を紹介します。
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言語聴覚士の初任給の相場

言語聴覚士だけに絞った初任給の公的統計はありません。 厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、言語聴覚士は「理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士」という1つの職種区分にまとめて集計されています。
そのため、この記事で紹介する統計の数字は4職種をあわせた値となります。
月給の目安
令和7年の賃金構造基本統計調査で、PT・OT・ST・視能訓練士の区分のうち20〜24歳・経験年数0年の人の所定内給与額は24万円です(男女計・企業規模10人以上)。 年齢を問わず経験年数0年の人全体で見ると、24万5,000円でした。
所定内給与額は、基本給に資格手当や住宅手当などを足した毎月決まって支払われる額で、残業代は含みません。 同じ医療職の新人と比べると、看護師より低く、臨床検査技師より少し高い水準です。
求人票では、経験者向けの募集も含めて月給が提示されます。 医療キャリアナビに掲載されている言語聴覚士の正社員求人では、提示月給の中央値は27万円でした。
新卒は経験年数による加算がつかないため、求人の提示額より低い額でスタートする場合があります。初任給の見込みは、統計の24万円前後を目安にしておくと実際とのずれが小さくなります。
言語聴覚士の求人を探す手取り額の目安
月給24万円の場合、1年目の手取りは約20万円が目安です。 東京都の協会けんぽに加入し、扶養する家族がいない場合で計算すると、次のようになります。
令和8年4月分からは、健康保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」も給与から差し引かれるようになりました。 健康保険料率は都道府県ごとに違うため、住む地域によって手取りは数百円単位で前後します。
1年目は住民税がかからないため、手取りは比較的多めです。 住民税は前の年の所得をもとに計算され、2年目の6月から給与天引きが始まるので、昇給しても手取りが増えない、または減ったように感じることがあります。 また、社会保険料を翌月の給与から差し引く職場では、4月の初任給だけ手取りが多くなる場合があります。
2年目の6月に手取りが減っても、計算ミスじゃないから安心してね
初回賞与の目安
賃金構造基本統計調査の賞与は「前の年の1年間に支払われた額」を集計しているため、経験年数0年の人の賞与は新卒1年目の実態を表しません。 参考になるのは経験を積んだ後の数字で、20〜24歳・経験年数1〜4年の年間賞与は約55万円です。
賞与の計算期間に在籍していた日数で按分する職場では、1年目の夏の賞与は少額になり、満額に近い賞与は冬以降になります。
医療キャリアナビに掲載されている言語聴覚士の求人のうち、「賞与あり」の求人は72%でした。 残りの約3割は賞与がないか記載がないため、月給が高めに見える求人ほど、年収ベースで比べ直してみましょう。
今のあなたの状況は?
初任給以降の年代別の年収や、収入を上げる方法は以下の記事で紹介しています。
参考:政府統計の総合窓口 e-Stat「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」 / 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」
【職場別】言語聴覚士の初任給

言語聴覚士の職場は、病院・クリニックなどの医療機関が中心です。 日本言語聴覚士協会の会員の勤務先を見ると、「医療」に分類される施設が60.70%、「医療/介護」が16.71%、「介護」が6.56%、「福祉」が5.26%でした。
職場別の初任給を比べるため、医療キャリアナビに掲載されている言語聴覚士の正社員求人を職場の種類ごとに集計しました。 経験者向けの求人も含むため、新卒の初任給はここから数万円低い額になるケースもあります。
病院の求人は回復期と急性期を分けて集計していないため、病院の種類ごとの違いは給与の決まり方から読み取りましょう。 各職場の仕事内容は以下の記事で詳しく紹介しています。
回復期リハビリテーション病院
回復期リハビリテーション病院は、脳卒中や骨折の後に自宅へ戻るためのリハビリを集中的に提供する病院です。 1日あたりのリハビリ量が多い病棟のため、言語聴覚士を複数配置している病院もあり、新卒の採用枠を毎年設けている病院もあります。
土日もリハビリを提供する病院では、シフト制の勤務になり、休日出勤手当が月給に上乗せされることがあります。 求人票の月給に休日出勤手当やシフト手当が含まれているかを確認しておくと、実際の初任給を見誤りません。
急性期病院
急性期病院は、発症直後や手術前後の患者さんを受け入れる病院です。 大学病院や公立病院など規模の大きい病院が多く、給与は病院の給料表に沿って決まります。
給料表で決まる病院では、毎年の昇給額があらかじめ給料表で決まっているため、数年後の月給を見通しやすいのが特徴です。 学歴(大学卒・専門学校卒)や養成課程の年数で初任給の号俸が変わる職場もあるため、募集要項の学歴別の金額まで確認しましょう。
耳鼻咽喉科クリニック
耳鼻咽喉科クリニックでは、聴覚検査や補聴器の調整、声の障害への対応などが中心になります。 クリニック全体の言語聴覚士の求人は、病院や老健より月給がやや高めに提示されています。
ただし、クリニックでは言語聴覚士が1人だけという体制のところもあります。 新卒で入職する場合は、検査や訓練の指導を誰から受けられるかを面接で確認しておくと安心です。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、病院を退院した高齢者が自宅に戻るためのリハビリを受ける施設です。 言語聴覚士は、食事の飲み込み(摂食嚥下)の評価や訓練、コミュニケーションの支援を担当します。
老健の求人の月給は、病院と同程度かやや高い水準です。 言語聴覚士は日勤のみで働けることが多い一方、求人の件数は病院の約6割で、言語聴覚士の配置が少ない施設もあります。
訪問リハビリ
訪問リハビリは、言語聴覚士の求人の中で件数が最も多く、提示月給も最も高い職場です。 訪問件数に応じたインセンティブ(出来高給)を設けている事業所もあり、月給の幅が広いのが特徴です。
一方で、利用者さんの自宅では1人で評価や訓練を進めるため、新卒の募集は限られます。 病院などで臨床経験を積んでから訪問リハビリに移る人もいるため、1年目の初任給だけで選ぶより、将来の選択肢として考えておくのも一つの方法です。
訪問リハビリの年収や働き方は以下の記事で詳しく紹介しています。
児童発達支援・放課後等デイサービス
児童発達支援と放課後等デイサービスは、ことばの発達に心配がある子どもや、発達障害のある子どもを支援する福祉サービスです。 言語聴覚士の求人の中では、訪問リハビリに次いで件数の多い職場です。
月給は病院や老健と大きく変わらない水準ですが、土日祝が休みの事業所や、残業が少ない事業所も見つかります。 医療機関での臨床経験がないまま小児分野に入ると、成人の失語症や嚥下障害を経験する機会は少なくなる点も踏まえて選びましょう。
月給が高い職場ほど新卒には狭き門なの?
訪問リハビリやクリニックのように月給が高めの職場の求人には、経験者を想定した募集も含まれています。 新卒の場合は、月給の高さだけでなく、次の章で紹介する「指導を受けられる体制」とセットで比べるのがおすすめです。
言語聴覚士の求人を探す新卒の言語聴覚士が就職先を選ぶときの確認項目

言語聴覚士は、理学療法士・作業療法士に比べて1つの職場あたりの人数が少ない職種です。
令和5年の医療施設調査をもとに、病院全体の常勤換算の人数を病院数で割ると、1病院あたり理学療法士は約11人、作業療法士は約6人に対して、言語聴覚士は約2人でした。
人数が少ないぶん、新卒で言語聴覚士が自分1人だけの職場に配属されることもあります。
1年目は評価や訓練の進め方を先輩に確認しながら覚える時期のため、指導を受けられる体制があるかどうかは、初任給の数万円の差より働きやすさや成長に影響する場合があります。
選べる職場の数にも違いがあります。
- 言語聴覚士の求人は3,111件
- 理学療法士は6,409件、作業療法士は5,371件
- STの求人数はPTの半分以下
求人の数が理学療法士・作業療法士より少ないため、気になる職場があれば早めに見学や説明会の日程を押さえておくと選択肢を広げられます。
同じ職場に先輩の言語聴覚士がいるか
指導体制を確かめるには、求人票の「リハビリスタッフ数」だけでなく、そのうち言語聴覚士が何人いるかを確認しましょう。 たとえばリハビリ科全体で20人いても、そのうち言語聴覚士は1〜2人という場合もあります。
見学や面接では、次のような点を聞いておくと入職後の姿をイメージしやすくなります。
- 言語聴覚士の人数と経験年数
- 新人を担当する指導者(プリセプター)がつくか
- 症例検討会や勉強会が定期的にあるか
- 法人内のほかの施設に言語聴覚士がいて相談できるか
1人職場でも、同じ法人の病院や施設に言語聴覚士が複数いて、定期的に症例を相談できる仕組みがあれば、指導面の不安は小さくなります。
1人で全部判断するのは、1年目だとやっぱり不安だよね
担当する疾患領域の範囲
言語聴覚士の対象は、失語症や構音障害、摂食嚥下障害、聴覚障害、ことばの発達の遅れなど幅広い領域です。 職場によって担当する領域が大きく偏るため、1年目にどの領域の経験を積めるかも就職先選びの判断材料になります。
養成校で学んだ領域を一通り経験したい場合は、成人から高齢者まで幅広い患者さんを受け入れる病院が候補になります。 小児や聴覚の分野に進みたい気持ちが決まっている場合は、最初からその分野の職場を選ぶのも一つの選択肢です。
基本給と手当の内訳
求人票の月給は、基本給と各種手当を合計した額で表示されることがほとんどです。 同じ月給でも、基本給の割合が小さいと賞与や退職金が少なくなることがあります。
賞与を「基本給の〇か月分」で計算する職場では、手当が多い職場ほど月給の割に賞与が少なくなります。 求人票に内訳が書かれていない場合は、面接や説明会で基本給の額を確認しておきましょう。
昇給幅と賞与の支給月数
初任給が高くても、昇給額が小さかったり賞与の支給月数が少なかったりすると、数年後には年収が逆転することがあります。 初任給に2万円の差がある2つの求人で、3年間の年収を比べてみると次のようになります。
| 年収 | 求人A | 求人B |
|---|---|---|
| 1年目 | 375.0万円 | 368.0万円 |
| 2年目 | 379.5万円 | 377.6万円 |
| 3年目 | 384.0万円 | 387.2万円 |
| 3年合計 | 1,138.5万円 | 1,132.8万円 |
この例では、初任給が低いBのほうが3年目に年収で上回り、3年間の合計でもほぼ同じになります。
求人票の「昇給あり」「賞与あり」だけでなく、昇給額の実績と賞与の支給月数(前年度実績)まで確認しておくと、長い目で見た収入を比べられます。
転職活動するなら?
賞与の支給月数は、景気や法人の経営状況で変わることもあります。 「前年度実績〇か月分」と書かれていれば、その職場の直近の水準として参考になります。
参考:厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」
まとめ
言語聴覚士の初任給は、国の統計(PT・OT・ST・視能訓練士の区分)で月給24万円前後、手取りは約20万円が目安です。 ただし、言語聴覚士は1つの職場あたりの人数が少ないため、初任給の金額だけでなく、指導を受けられる体制まで含めて就職先を比べることが大切です。
この記事のポイント
- 初任給の統計はPT・OT・ST・視能訓練士の合算値
- 20〜24歳・経験0年の所定内給与は月24万円
- 1年目の手取りは約20万円、2年目6月から住民税
- 訪問リハビリやクリニックは月給高めだが新卒枠は少なめ
- 先輩STの人数・基本給・昇給と賞与の実績を確認
気になる職場が見つかったら、見学や説明会で言語聴覚士の人数と指導体制を確かめてみましょう。 求人票だけでは分からない給与の内訳や指導体制は、転職エージェントに相談すると職場に確認してもらえます。


