薬剤師の夜勤はきつい?当直との違い・職場別の実態と夜勤手当の相場
「夜勤のある職場に移れば給料は上がる?でも体がもつか不安」と迷っている薬剤師は少なくありません。
薬剤師の夜勤は、病院・24時間営業のドラッグストア・夜間対応の調剤薬局で働き方がまったく違い、「夜勤」か「当直」かで手当の計算方法も変わります。
この記事では、夜勤と当直の違いを労働基準法の扱いから整理し、職場別の実態、夜勤手当の目安、夜勤で働くメリット・デメリットまで紹介します。
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薬剤師の夜勤と当直の違い

薬剤師の求人で見かける「夜勤」と「当直(宿直)」は、どちらも夜に職場にいる働き方です。 ただし労働基準法では別の扱いで、夜勤は通常の労働時間、当直は許可を受けた「ほとんど働かない待機時間」として区別されます。
この違いが、そのまま受け取れる手当の違いにつながります。
通常業務を夜間に行う「夜勤」
夜勤は、日勤と同じ業務を夜の時間帯にシフトで担当する働き方です。 病院なら入院患者さんの臨時処方や注射薬の払い出し、救急外来の調剤、24時間営業のドラッグストアなら処方箋の受付やOTC医薬品の販売などを、日中と同じように行います。
勤務時間はすべて労働時間なので、22時から翌5時までに働いた分には深夜割増賃金がつきます。 2交代制で夕方から翌朝まで勤務する形や、3交代制で深夜帯だけを担当する形などがあり、夜勤明けは休みになるシフトが一般的です。
緊急対応に備えて待機する「当直」
当直は、日勤を終えたあとに職場に残り、緊急の調剤や問い合わせに備えて待機する働き方です。 労働基準法第41条では、「監視又は断続的労働」に従事する人で、使用者が労働基準監督署長の許可を受けた場合、労働時間・休憩・休日の規定を適用しないと定めています。
病院の薬剤師の当直も、この「宿日直許可」を受けているかどうかが扱いの分かれ目です。 許可を受けた当直は、夜間に十分な睡眠がとれる程度の軽い業務に限られます。 回数も原則として宿直は週1回、日直は月1回までと決まっています。
| 項目 | 夜勤 | 当直 |
|---|---|---|
| 労働時間の扱い | すべて労働時間 | 労働時間に数えない |
| 業務の量 | 日勤と同じ業務 | 軽い業務・待機が中心 |
| 夜間の睡眠 | 原則とれない(休憩はあり) | 十分にとれることが条件 |
| 回数の上限 | シフトで決まる | 原則週1回まで |
| お金の決まり方 | 時間ごとの賃金+深夜割増 | 1回ごとの当直手当 |
同じ夜の勤務なのに、法律上はこんなに違うんだね
割増賃金の計算が変わる理由
夜勤と当直で手当の計算が変わるのは、労働時間として扱うかどうかが違うためです。 夜勤は通常の労働なので、深夜の時間帯に働いた分には通常の賃金の25%以上の深夜割増賃金を支払う必要があります。
一方、宿日直許可を受けた当直は労働時間に数えられないため、時間ごとの賃金ではなく、1回いくらの「当直手当」が支払われます。 当直手当の最低額は、同じ職場で当直に就く予定の人の賃金の1人1日平均額の3分の1以上と決まっています。
ただし、当直中に救急患者さんの調剤など通常と同じ業務をした場合は、その時間は労働時間として扱われ、当直手当とは別に割増賃金の対象です。 「当直のはずが一晩中忙しい」職場では、この支払いがきちんとされているかを確認しておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 東京労働局「宿日直許可申請を検討する事業主の皆さまなどへ」
【職場別】薬剤師の夜勤の実態

薬剤師が夜に働く職場は、おもに入院施設や救急のある病院、24時間営業のドラッグストア、夜間対応をしている調剤薬局の3つです。
同じ「夜勤あり」の求人でも、勤務時間帯・人員体制・実際の業務・呼び出しの有無がそれぞれ違います。
| 比較軸 | 病院 | 24時間ドラッグストア | 夜間対応の調剤薬局 |
|---|---|---|---|
| 勤務時間帯 | 夕方〜翌朝交代制の夜勤、または日勤後の当直 | 夜〜翌朝のシフト夜勤専従の募集もある | 夜の延長営業まで閉店後は電話当番 |
| 人員体制 | 大病院は複数、中小病院は1人が多い | 薬剤師1人+少数のスタッフ | 当番の薬剤師1人 |
| 実際の業務 | 臨時処方・注射薬の払い出し・救急外来の調剤 | 処方箋調剤・服薬指導・OTC医薬品の相談 | 在宅患者さんの緊急調剤・電話相談 |
| 呼び出し | 当直中は救急対応あり | 基本なし(勤務中に対応) | 電話で呼ばれれば出勤 |
「夜勤あり」の求人でも、中身は職場によって全然違うんだね
入院施設・救急のある病院
病院の夜間体制は、規模によって「夜勤(交代制)」と「当直」のどちらかに分かれます。 救急患者さんを多く受け入れる大きな病院では、薬剤師が交代制で夜勤に入り、日中と同じ密度で調剤や注射薬の払い出しを行うことが多くなります。
一方、中小規模の病院では、日勤を終えた薬剤師が1人で当直に入る形が一般的です。 夜間の処方が少ない日は仮眠がとれますが、救急患者さんが来れば夜中でも起きて対応します。
当直のない病院でも、薬剤師が自宅待機して必要時だけ出勤する「オンコール」を取り入れている場合があります。
- 薬剤師求人1,450件中、病院の求人は289件
- シフト制の求人は498件(全体の34%)
- 夜勤・当直の回数は面接で確認が安心
病院薬剤師の給料や年収アップの方法は、以下の記事で紹介しています。
24時間営業のドラッグストア
24時間営業のドラッグストアで調剤併設の店舗なら、深夜も処方箋を受け付けるため薬剤師がシフトで夜勤に入ります。 夜間の来店は日中より少なく、処方箋の枚数も落ち着いていることが多いのが特徴です。
ただし、深夜帯は薬剤師1人と少数のスタッフという体制になりやすく、調剤から服薬指導、OTC医薬品の相談まで1人でこなします。 品出しやレジ対応を手伝う場面もあるため、応募前に夜間の業務範囲を確認しておきましょう。
夜間対応をしている調剤薬局
調剤薬局の「夜間対応」は、夜まで営業時間を延ばす形と、閉店後に電話で対応する形の2つがあります。 営業時間を延ばす薬局は、夜間診療のあるクリニックの近くや駅前の店舗が中心で、深夜まで営業する調剤薬局は多くありません。
閉店後の対応は、在宅訪問の患者さんからの電話を当番の薬剤師が携帯電話で受ける形が多く、呼び出しがあれば夜間でも薬局に出て調剤します。 在宅医療に力を入れる薬局ほど当番が回ってくる頻度が高くなるため、当番の回数と手当の有無は面接で確認しておくと安心です。
薬剤師の求人を探す薬剤師の夜勤手当と給料の目安

薬剤師の夜勤手当について、職種別にまとめた公的な統計はありません。 求人票では「夜勤手当1回〇円」「当直手当1回〇円」のように固定額で示されることが多く、金額は職場によって幅があります。
そこで、法律で決まっている計算ルールと、国の賃金統計にもとづく薬剤師の平均給与から、最低限もらえる水準を試算してみます。
夜勤手当・当直手当の相場
国の賃金構造基本統計調査(令和6年)によると、正社員などフルタイムで働く薬剤師の所定内給与額(残業代などを除いた月給)は平均40.7万円、所定内労働時間は月159時間です。
ここから1時間あたりの賃金を出すと約2,560円になり、深夜割増(25%)は1時間あたり約640円です。
夜勤の場合、22時から翌5時まで働くと深夜割増だけで1回あたり約4,500円が基本給に上乗せされる計算です。 1日8時間を超えて働いた時間があれば、さらに時間外労働の割増も加わります。
当直の場合は、月給をもとにした1日平均額の3分の1が最低ラインで、平均的な薬剤師の給与なら1回あたり約6,800円が目安です。
求人票の当直手当がこの水準を大きく下回るなら、手当の内訳を確認しておきましょう。
今のあなたの状況は?
夜勤専従で働く場合の時給相場
夜勤専従は、夜勤だけを担当するパート・アルバイトの働き方です。 同じ調査で、短時間労働者(パート・アルバイト)の薬剤師の1時間あたり所定内給与額は平均2,639円でした。
深夜帯は25%以上の割増がつくため、平均時給をもとにすると22時〜翌5時の時給は約3,300円以上になります。
求人票の時給が「深夜割増込み」なのか「別途支給」なのかで手取りが変わるため、表記の見方には気をつけましょう。
手当の「計算の仕組み」を知っておくと、求人票を比べやすいね
職場ごとの年収の違いは、以下の記事でも紹介しています。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」 / 政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 短時間労働者 職種」
薬剤師が夜勤で働くメリット

夜勤のメリットは、手当による収入アップだけではありません。 時間の使い方や身につく経験にも、日勤だけでは得にくい良さがあります。
日中の時間を自由に使える
夜勤明けと休みを組み合わせると、平日の日中にまとまった時間ができます。 役所や銀行の手続き、通院、混雑を避けた買い物など、日勤では有給休暇をとらないとできない用事を済ませやすくなります。
認定薬剤師の研修やeラーニング、資格の勉強にあてる人もいます。 夜勤専従なら、勤務日数を抑えながら深夜割増で収入を確保する働き方も選べます。
少人数で業務に集中できる
夜間は外来の患者さんや電話の問い合わせが減り、日中のように業務を次々と中断されることが少なくなります。 病院なら注射薬の準備や病棟からの問い合わせ、ドラッグストアなら処方箋の調剤と服薬指導に、1つずつ落ち着いて向き合えます。
人間関係のストレスが少ないのも、夜勤を選ぶ理由としてよく挙げられます。 スタッフが少ないぶん、日中のような細かい指示や会議がなく、自分のペースで仕事を組み立てやすくなります。
救急対応や病棟業務の経験を積める
病院の夜勤・当直では、救急外来の処方や急変時の薬剤準備、医師からの問い合わせへの即答など、日勤では任されにくい判断を経験します。 限られた情報で薬の用量や相互作用を確認し、自分で判断する力がつくのは、夜勤ならではの強みです。
| メリット | 病院 | 24時間ドラッグストア | 調剤薬局の夜間当番 |
|---|---|---|---|
| 日中の自由な時間 | ◯ | ◎ | △ |
| 業務への集中 | ◯ | ◎ | ◯ |
| 救急・病棟の経験 | ◎ | △ | △ |
夜勤で身につく判断力は、どの職場でも武器になるよ!
夜勤で経験を積みたい場合は、救急外来や病棟業務を担当できる病院の求人が候補になります。
薬剤師の求人を探す薬剤師の夜勤のデメリット

夜勤には、体調や生活への影響というデメリットもあります。 どれも働き方の工夫や職場選びで軽くできるものなので、応募前に自分に合うかを考えておきましょう。
生活リズムが乱れやすい
夜に働いて昼に眠る生活は、体内時計とずれるため、眠りが浅くなったり疲れが抜けにくくなったりしやすいです。 夜勤と日勤が入り混じるシフトでは、とくに体調を崩しやすくなります。
こうした健康への影響があるため、深夜業(22時〜翌5時の業務)に常時従事する人には、6か月以内ごとに1回の健康診断を受けさせることが事業者に義務づけられています。
夜勤明けって、寝ても疲れが取れない日があるよね
1人で判断を迫られる場面がある
夜間は薬剤師が1人しかいない職場が多く、疑義照会や処方内容の確認を誰にも相談できない場面があります。 経験の浅いうちは、判断の重さがそのまま精神的な負担になりやすいです。
夜勤に入る前の教育体制や、夜間に相談できる医師・先輩薬剤師への連絡手段が決まっているかは、職場ごとに差があります。
転職活動するなら?
家族や友人と時間が合わない
夜勤があると、家族との夕食や週末の予定、友人との約束が合わせにくくなります。 子育て中の人は、夜間の子どもの預け先も必要です。
仕事のきつさを感じる理由は夜勤だけとは限りません。 ほかの原因や対処法は、以下の記事で紹介しています。
夜勤のある職場を選ぶときは、手当の額だけでなく、夜勤の回数や夜勤明けの休みの扱いも含めて、無理なく続けられるかで判断しましょう。
まとめ
薬剤師の夜勤は、「夜勤」と「当直」のどちらで働くかによって、労働時間の扱いも手当の計算方法も変わります。 職場ごとの体制と、手当の仕組みをセットで確認することが、後悔しない職場選びにつながります。
この記事のポイント
- 夜勤は通常の労働時間、当直は許可を受けた待機時間
- 深夜22時〜翌5時は25%以上の割増賃金がつく
- 当直手当の最低額は1日平均賃金の3分の1以上
- 職場によって人員体制や呼び出しの有無が大きく違う
- 収入や経験のメリットと体調面の負担を比べて選ぶ
夜勤のある求人を探すときは、求人票の手当の表記だけでなく、夜間の人数や業務内容まで確認しておきましょう。 自分に合う夜勤の働き方が分からないときは、転職エージェントに相談すると、求人票に載っていない夜間の体制まで確認してもらえます。


