薬剤師の勤務時間は職場でどう違う?調剤薬局・病院・ドラッグストア別の実態
「今の職場は帰りが遅い」「子育てと両立できる勤務時間の職場に移りたい」と、薬剤師の勤務時間が気になって調べている人は多いはずです。
薬剤師の勤務時間は、調剤薬局・ドラッグストア・病院・企業など職場によって、始業・終業の時刻から残業、休日の取り方まで大きく変わります。
この記事では、職場別の勤務時間の目安と勤務体系、勤務時間に関わる法令上のルール、残業や休日の傾向、勤務時間を重視した職場の選び方を紹介します。
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【職場別】薬剤師の勤務時間の目安

薬剤師の勤務時間は、職場の営業時間や、連動する医療機関の診療時間でおおよそ決まります。 まずは「始業・終業時刻/実働/残業/休日」の同じ軸で、主な職場を比べてみましょう。
| 職場 | 始業〜終業 | 実働 | 残業 | 休日 |
|---|---|---|---|---|
| 調剤薬局 | 9:00〜18:30ごろ | 8時間前後 | 少〜中 | 日祝+平日1日など |
| ドラッグストア | 早番・遅番の交代制 | 8時間前後 | 少〜中 | シフトで平日中心 |
| 病院 | 8:30〜17:15ごろ | 7時間45分〜8時間 | 中〜多 | 土日祝+当直・日直の当番 |
| 製薬会社・卸 | 9:00〜17:30ごろ | 7時間30分〜8時間 | 部署しだい | 土日祝 |
| 公務員 | 8:30〜17:15ごろ | 7時間45分 | 部署しだい | 土日祝 |
どの職場も、正社員なら実働は1日8時間前後です。 違いが出るのは「何時から何時まで働くか」と「残業や休日がどう決まるか」の部分です。
調剤薬局の勤務時間
調剤薬局の開局時間は、近くの医療機関の診療時間に合わせて決まるのが一般的です。 門前のクリニックが9時から18時まで診療していれば、薬局は8時45分〜18時30分ごろまで開け、薬剤師はその時間内で8時間前後働きます。
処方箋の受付が診療終了間際に集中しやすいため、閉局時刻ちょうどに帰れるとは限りません。 一方、午後休診のある医療機関の門前では、平日に半日勤務の日を組み込んで週の労働時間を調整する薬局もあります。
ドラッグストアの勤務時間
ドラッグストアは営業時間が長く、朝9時台から夜22時ごろまで開けている店舗もあります。 そのため、早番・遅番などのシフトで交代しながら営業時間をカバーするのが一般的です。
調剤併設店では、調剤の受付時間に合わせて薬剤師の配置を厚くするなど、店舗の形態によって勤務時間の組み方が変わります。 遅番が続くと帰宅が22時を過ぎることもあるため、生活リズムとの相性を考えておきましょう。
薬剤師の求人を探す病院の勤務時間
病院薬剤師の日勤は、8時30分〜17時15分のように病院全体の勤務時間に合わせて決まることが多いです。 入院患者さんがいるため、24時間365日の薬の供給体制が必要になり、当直・夜勤や土日の日直を交代で担当する病院もあります。
当直の有無や回数は、病院の規模や救急の受け入れ状況で大きく変わります。 クリニックや療養型の病院では当直がなく、日勤だけで働けるケースもあります。
製薬会社・医薬品卸の勤務時間
製薬会社の本社勤務や研究職は、9時〜17時30分ごろの日勤が中心で、土日祝が休みの会社が一般的です。 フレックスタイム制や在宅勤務を取り入れている会社もあり、始業・終業時刻を自分で調整しやすいのが特徴です。
医薬品卸の管理薬剤師は、物流センターや営業所に勤務し、医療機関への配送に合わせて朝早めに始業することがあります。
公務員薬剤師の勤務時間
国家公務員の勤務時間は法律で定められていて、1日7時間45分・週38時間45分が基本です。 都道府県や市町村の職員も、条例で同じ水準の勤務時間を定めているのが一般的です。
公立病院で働く場合は病院のシフトに従いますが、保健所や薬務課などの行政職なら、平日の日勤で土日祝は休みになります。
同じ薬剤師でも、帰る時間がこんなに違うんだね
職場ごとの仕事内容や年収もあわせて比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
参考:e-Gov法令検索「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」
薬剤師の主な勤務体系

勤務時間の決め方(勤務体系)は、大きく分けて4種類あります。 同じ「週40時間」でも、勤務体系によって毎日の働き方はかなり変わります。
固定制
固定制は、毎日の始業・終業時刻が決まっている働き方です。 「9時〜18時・土日休み」のように予定が立てやすく、保育園の送迎や通院など、決まった時間の用事と両立しやすいのがメリットです。
製薬会社や行政機関、診療時間が一定の医療機関の門前薬局などで多く見られます。
シフト制
シフト制は、早番・遅番などの勤務パターンを組み合わせ、月ごとや週ごとに勤務日と時間を決める働き方です。 ドラッグストアや、開局時間の長い調剤薬局で多く採用されています。
平日に休みを取りやすい反面、シフトが確定するまで翌月の予定を立てにくい点に気をつけましょう。 希望休をいつまでに何日出せるかは、職場によって異なります。
今のあなたの状況は?
変形労働時間制
変形労働時間制は、一定の期間を平均して週40時間以内に収まっていれば、特定の日や週に8時間・40時間を超えて働く日を組める制度です。 1か月単位・1年単位などの種類があり、あらかじめ就業規則や労使協定で勤務時間を決めておく必要があります。
調剤薬局なら「月・火・木・金は9時間、水・土は半日」のように、医療機関の診療日に合わせて曜日ごとの勤務時間を変える使い方が典型です。 変形労働時間制とシフト制の違いや、医療職での具体例は以下の記事で紹介しています。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、清算期間(最長3か月)の総労働時間を決めたうえで、毎日の始業・終業時刻を働く人が自分で決められる制度です。 製薬会社や医薬品関連企業の本社部門で導入されていることが多く、患者さん対応のある薬局や病院では採用例は多くありません。
多くの会社では、必ず勤務する「コアタイム」を設けているため、完全に自由というわけではありません。
「週40時間」でも、勤務体系で毎日の過ごし方は全然違うよ!
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
薬剤師の勤務時間に関わる法令上のルール

薬剤師の勤務時間は、労働基準法の上限に加えて、薬局ならではの特例や、管理薬剤師・かかりつけ薬剤師の要件にも左右されます。 自分の勤務時間が制度上どう扱われるのかを知っておくと、求人票や就業規則を読むときに役立ちます。
1日8時間・週40時間の上限
労働基準法では、休憩時間を除いて1日8時間・1週40時間を超えて働かせてはいけないと定めています。 これを超えて働く場合は、会社が労使協定(36協定)を結んで労働基準監督署に届け出ることが前提で、超えた分は残業(時間外労働)として割増賃金の対象です。
休憩時間も法律で決まっていて、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える必要があります。
薬局に認められる週44時間の特例
常時10人未満の労働者を使う商業(物品の販売など)や保健衛生の事業場は、「特例措置対象事業場」として週44時間まで働かせることが認められています。 薬剤師と事務スタッフを合わせて10人未満の小規模な調剤薬局やクリニックは、この特例に当たる可能性があります。
1日8時間の上限は変わらないため、例えば「平日8時間×5日+土曜4時間」の週44時間でも法定内の勤務として扱われます。 同じ週44時間でも、10人以上の職場なら週40時間を超えた4時間は残業です。
小規模な薬局で「週44時間勤務」と書かれた求人は、この特例によるものです。週40時間の職場と比べると、同じ月給でも時給換算では低くなります。
管理薬剤師に求められる勤務時間
薬機法では、薬局の管理者(管理薬剤師)はその薬局を実地に管理し、原則としてほかの場所で薬事に関する実務に就くことはできないと定めています。 都道府県知事の許可を受けた場合を除き、別の薬局との掛け持ちはできません。
また、令和8年度の調剤報酬改定では、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」の施設基準として、管理薬剤師に次の要件が設けられています。
- 保険薬局での勤務経験5年以上
- その薬局に週31時間以上勤務
- その薬局に1年以上在籍
この加算を届け出ている薬局の管理薬剤師は、パートや短時間勤務では務まりにくいということです。 なお、管理薬剤師という肩書きだけで、労働基準法上の「管理監督者」として残業代の対象外になるわけではありません。
かかりつけ薬剤師の要件となる勤務時間
かかりつけ薬剤師として指導を行うには、その薬局での勤務時間にも条件があります。 令和8年度の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師指導料は「服薬管理指導料」に統合され、あわせて薬剤師の要件も見直されました。
育児・介護で時短勤務をしていても、週24時間以上かつ週4日以上働いていれば、かかりつけ薬剤師を続けられます。 転職すると在籍期間がリセットされるため、かかりつけ薬剤師として働きたい人は、転職後すぐには届け出られない点も頭に入れておきましょう。
「週31時間」は、かかりつけ薬剤師を目指すなら覚えておきたい数字だよ!
参考:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」 / 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」
【職場別】薬剤師の残業時間の実態

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師(一般労働者)の残業にあたる超過実労働時間は月平均10時間、所定内の労働時間は月157時間です。 1日あたりに直すと30分程度です。
企業規模別に見ると、1,000人以上の大企業ほど残業が長い傾向があります。 ただし、平均の裏には職場ごとの事情があり、同じ業態でも店舗や部署によって差が出ます。
調剤薬局で残業が増える要因
調剤薬局の残業は、門前医療機関の診療が長引いたときの処方箋対応が主な原因です。 閉局後に薬歴の記入や在庫の発注、在宅患者さんの薬の準備が残ることもあります。
薬剤師が1〜2人の小規模店舗では、急な欠勤や退職で1人あたりの負担が一気に増えやすい点も押さえておきましょう。
ドラッグストアで残業が増える要因
ドラッグストアの残業は、薬剤師の人数不足によるシフトの穴埋めが大きな要因です。 OTC医薬品の販売に加えて、品出しやレジ、店舗運営の業務を兼ねることがあり、閉店後の作業が残ると帰りが遅くなります。
営業時間が長い店舗ほど、引き継ぎのタイミングで残業が発生しやすくなります。
薬剤師の求人を探す病院で残業が増える要因
病院薬剤師は、病棟での服薬指導や医師・看護師からの問い合わせ対応、緊急の処方への対応で残業が増えやすいです。 当直明けや救急対応が重なる日は、勤務時間が長くなりがちです。
チーム医療のカンファレンスや院内の勉強会が、日勤終了後に開かれる病院もあります。
製薬会社で残業が増える要因
製薬会社では、部署によって残業の多さが大きく変わります。 新薬の承認申請の前や、MRの学会対応の時期などは、締め切りに合わせて一時的に業務が集中しやすくなります。
一方、フレックスタイム制や在宅勤務を活用して、忙しい時期とそうでない時期で働く時間を調整しやすい面もあります。
残業の多さって、職場の人手しだいなところもあるよね
薬剤師の残業時間の詳しい実態や、残業代が出ないときの対処法は以下の記事で紹介しています。
【職場別】薬剤師の休日の傾向

薬剤師の休日は、職場の営業日と勤務体系で決まります。 労働基準法では毎週1日以上、または4週間で4日以上の休日を与えることが義務ですが、多くの職場は週休2日制を採用しています。
| 職場 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 調剤薬局 | 出 | 出 | 半 | 休 | 出 | 半 | 休 |
| ドラッグストア | 出 | 休 | 出 | 出 | 休 | 出 | 出 |
| 病院 | 出 | 出 | 出 | 出 | 出 | 休 | 休 |
| 製薬会社・行政 | 出 | 出 | 出 | 出 | 出 | 休 | 休 |
調剤薬局は、門前医療機関の休診日(日曜・祝日と平日1日など)に合わせて休むのが一般的です。 土曜も開局している薬局では、平日に休みを取るシフトになります。
ドラッグストアは年中無休の店舗が多く、土日祝に出勤する代わりに平日に休みを取ります。 病院は外来が休みの土日祝が基本の休日ですが、日直・当直の当番が回ってくる場合があります。 製薬会社や行政機関は、カレンダー通りの土日祝休みに加え、夏季休暇や年末年始休暇を設けている職場が多いです。
平日休みは、役所や病院に行きやすいのがうれしいね!
薬剤師に限った年間休日の公的な統計はありませんが、厚生労働省の調査では、民間企業全体の年間休日の平均は次のとおりです。
年間休日を比べるときは、週休の日数だけでなく、夏季休暇や年末年始休暇が年間休日に含まれているかどうかも確認しましょう。
お探しの求人は?
参考:厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査 結果の概況」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
勤務時間を重視して職場を選ぶときのポイント

勤務時間を重視して職場を選ぶなら、求人票の数字を正しく読み取り、実際の働き方を自分の目で確かめることが大切です。
求人票で確認すべき勤務時間の項目
求人票の勤務時間欄は、書き方によって実際の働き方が大きく変わります。 次の項目を見比べると、入職後のギャップを減らせます。
「残業少なめ」のようなあいまいな表現だけの場合は、面接や転職エージェント経由で月の平均残業時間を具体的に聞いておくと安心です。
求人票の読み方が分かれば、入ってからのギャップも減らせるね
時短勤務・パートという選択肢
子育てや介護で勤務時間を短くしたい場合は、正社員の時短勤務か、パート勤務を選ぶ方法があります。
-
正社員の時短勤務賞与や退職金などの待遇を保ちながら、1日6時間などに短縮できる
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パート勤務勤務日数や時間帯を選びやすく、週1日から働ける求人もある
3歳未満の子どもを育てる社員は、育児・介護休業法により、原則として短時間勤務制度を利用できます。 パートは時給が高めの求人も多い一方、勤務時間が短いと、かかりつけ薬剤師や管理薬剤師の要件を満たしにくくなる点は押さえておきましょう。
- 薬剤師求人1,450件中、パート・アルバイトは518件
- 時短勤務OKは149件、週1日勤務OKは44件
- 17時退社の求人は205件(約14%)
職場見学で確認できること
求人票だけでは分からない実際の勤務時間は、職場見学で確かめるのが確実です。 できれば閉局・閉店時刻の前後に見学すると、帰宅時間の実態がつかみやすくなります。
- 閉局時刻の時点で待合室に何人残っているか
- 処方箋の枚数に対して薬剤師が何人いるか
- 休憩を交代で取れている様子があるか
- シフト表や希望休の出し方
見学の際に、実際に働いている薬剤師に「いつも何時ごろ帰れていますか?」と聞けると、求人票以上の情報が得られます。
参考:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
まとめ
薬剤師の勤務時間は、職場の営業時間や勤務体系、法令上の特例によって大きく変わります。 自分の生活に合う働き方を決めてから求人を比べると、転職後のギャップを減らせます。
この記事のポイント
- 実働は1日8時間前後。違いは時間帯と残業・休日
- 勤務体系は固定制・シフト制・変形・フレックスの4種類
- 10人未満の薬局は週44時間の特例がある
- かかりつけ薬剤師は週31時間以上の勤務が要件
- 残業は月平均10時間。職場の人員体制で差が出る
まずは今の働き方で困っていることを書き出し、「何時に帰りたいか」「どの曜日に休みたいか」を整理してみましょう。 希望に合う職場が見つからないときは、転職エージェントに相談すると、求人票に載っていない残業の実態やシフトの組み方まで確認してもらえます。


