調剤薬局の年収はいくら?年代別・雇用形態別の相場と病院・ドラッグストアとの比較
「調剤薬局で働き続けて、年収はこの先どこまで上がるんだろう?」「病院から調剤薬局に転職したら年収はどれくらい変わるだろう?」
そんな風に考えたことはないですか?
調剤薬局の薬剤師の年収は、公的統計で見ると全職種の平均より高い一方、経験を積んでも伸びにくいという特徴があります。
この記事では、調剤薬局の薬剤師の年収を年代別・雇用形態別に整理し、病院・ドラッグストアとの違いや、年収が頭打ちになりやすい理由、今の職場と転職先でできる年収アップの方法を紹介します。
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調剤薬局で働く薬剤師の平均年収

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和7年)によると、薬剤師の平均年収は約567万円です。 この記事の年収は、統計の「きまって支給する現金給与額(残業代などを含む月給)×12か月+年間賞与その他特別給与額」で計算しています。
この統計は勤務先の種類を分けていない薬剤師全体の数値で、従業員10人以上の企業で働く人が対象です。 調剤薬局に絞った給与は、中央社会保険医療協議会の「医療経済実態調査」で確認できます。
病院・ドラッグストアとの比較
医療経済実態調査(令和7年実施)では、保険薬局(調剤薬局)と病院で働く常勤薬剤師の給料と賞与が職場別に集計されています。 直近の事業年度の数値を比べると、管理薬剤師を除く薬局の薬剤師は約479万円、病院の薬剤師は約581万円です。
病院との差は約100万円ありますが、その6割ほどは賞与の差です。 一方で、薬局でも管理薬剤師になると約725万円まで上がり、病院の薬剤師の平均を上回ります。
- 調剤薬局求人の月給平均は約36.2万円
- 病院求人の月給平均は約31.1万円
- 薬剤師求人の約8割が調剤薬局(1,124件)
病院薬剤師の給与や年収アップの方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。
ドラッグストアで働く薬剤師だけを取り出した公的統計は公表されていません。 ドラッグストアは調剤だけでなくOTC医薬品の販売や店舗運営も担うため、給与体系が調剤薬局と異なる会社もあります。
初任給や企業ごとの違いは、以下の記事が参考になります。
全職種の平均との比較
同じ賃金構造基本統計調査で全職種(一般労働者)の平均を計算すると、年収は約546万円です。 薬剤師は全職種の平均より約22万円高いものの、その差は大きくありません。
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月給(きまって支給する現金給与額)薬剤師 約39.9万円/全職種 約37.1万円
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年間賞与薬剤師 約88.4万円/全職種 約101.0万円
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平均年齢薬剤師 40.1歳/全職種 44.4歳
薬剤師は月給で上回る一方、賞与は全職種の平均より約13万円少なくなっています。 全職種より平均年齢が4歳ほど若いことも、差が小さく見える理由の一つです。
月給は高いのに、賞与は少なめなんだね
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 / 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
【年代別】調剤薬局薬剤師の年収

賃金構造基本統計調査(令和7年)の年齢階級別データを、前章と同じ「月給×12か月+年間賞与」で年収に換算しました。
薬剤師の年収は20代前半の約408万円から、40代後半の約676万円まで上がり、その後は横ばいから下がる流れです。
20代の年収
20〜24歳は約408万円、25〜29歳は約495万円です。 20代前半が低めなのは、統計の賞与が「前年1年間に支給された額」を集計しているためで、入社1年目は賞与がほとんど含まれません。
経験年数0年の薬剤師の所定内給与額(基本給+諸手当、残業代を除く)は月約33.6万円で、スタート時点の給与は高めです。 2年目以降は前年の賞与が集計に含まれるため、20代後半にかけて年収が大きく伸びます。
30代の年収
30〜34歳は約533万円、35〜39歳は約598万円です。 30代前半から後半にかけて約65万円上がり、30代後半で600万円前後に届きます。 同じ30代でも、役職の有無や勤務先の規模で年収には幅があります。
40代の年収
40〜44歳は約595万円、45〜49歳は約676万円で、45〜49歳が年代別で最も高い層です。 40代前半は30代後半とほぼ同じ水準で、40代後半で再び上がる形です。
40代になると、管理薬剤師やエリアマネージャーなど管理職に就いているかどうかで、年収の差が開きやすくなります。
40代後半がピークで、その後はゆるやかに下がっていくよ
50代以降の年収
50〜54歳は約643万円、55〜59歳は約657万円で、40代後半より少し下がった水準が続きます。 60〜64歳は約550万円に下がりますが、65〜69歳は約612万円です。
65〜69歳でも600万円台を保っており、資格があれば60代以降も収入を得やすい職種です。 ただし、60代以降は統計の対象人数が少なく、勤務先や勤務時間の違いで平均額が動きやすい点に気をつけましょう。
薬剤師の求人を探す【雇用形態別】調剤薬局薬剤師の給与水準

調剤薬局の薬剤師は、正社員のほかパート・アルバイトや派遣でも働けます。 雇用形態によって、給与の決まり方と賞与の有無が大きく変わります。
正社員
正社員の年収は、月給と賞与の組み合わせで決まります。 フルタイムで働く薬剤師の賃金構造基本統計調査(令和7年)を企業規模別に見ると、従業員10〜99人の企業は月給が高く、賞与が少ない傾向があります。
規模の大きい企業ほど賞与の比率が高く、小さい企業ほど月給に比重を置いた給与体系になっていると読み取れます。 求人を比べるときは、月給の額だけでなく「月給×12か月+賞与」の年収で比べるのが無難です。
パート・アルバイト
パート・アルバイトの薬剤師(短時間労働者)の平均時給は2,540円です(賃金構造基本統計調査、令和7年)。 平均的な働き方は1日約5.8時間・月14.4日で、この条件で年収を計算すると約264万円になります。
同じ統計で看護師の平均時給は1,933円で、薬剤師はそれより約600円高く、短い時間でも収入を確保しやすいのが強みです。 平均年齢は52.5歳と、正社員を含む一般労働者の薬剤師(40.1歳)より高めです。
同じ薬剤師でも、雇用形態で年収の決まり方が全然違うね!
派遣
調剤薬局では、派遣の薬剤師として働くこともできます。 法律上、病院・診療所での調剤業務への派遣は原則禁止ですが、薬局での調剤は派遣が認められています。
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給与の決まり方派遣会社(派遣元)が時給を決める。待遇は派遣先の正社員との均衡か、派遣会社の労使協定で決める仕組み
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働ける期間同じ薬局の同じ組織単位で働けるのは、原則3年まで
派遣薬剤師だけの給与を集計した公的統計はないため、時給は派遣会社の求人で個別に確認する必要があります。 賞与や退職金の扱いも派遣会社ごとに異なるので、時給だけでなく年間の収入で比べておくと安心です。
今のあなたの状況は?
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 / e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令」
調剤薬局の年収が頭打ちになりやすい理由

調剤薬局の年収が伸びにくいのは、個人の努力不足ではなく、薬局の収益構造や組織の仕組みによるところが大きいです。 原因は「収益源」「役職ポストの数」「昇給の幅」の3つに分けられます。
収入源が調剤報酬に限られるため
医療経済実態調査(令和7年実施)によると、保険薬局の収益のうち約9割(90.1%)が保険調剤による収益です。 調剤報酬は国が定める公定価格なので、薬局が自分で値上げして売上を増やすことはできません。
収益の6割以上は医薬品の仕入れにかかり、給与費に回るのは2割弱です。 処方箋の枚数が大きく増えない限り、人件費に回せるお金も増えにくい仕組みです。
頑張っても上がらないのは、仕組みのせいでもあるんだね
1店舗あたりの役職ポストが少ないため
薬局には、法律(医薬品医療機器等法)で薬局ごとに管理者(管理薬剤師)を置くことが定められています。 管理薬剤師は原則としてその薬局以外で薬事の実務に就けないため、1店舗に1人が基本です。
令和6年の統計では、薬局に勤める薬剤師のうち管理者は約4万9,500人、管理者以外は約13万2,100人です。 勤務薬剤師のうち管理薬剤師は約4人に1人で、ポストが空くのを待つ間は昇給のきっかけが限られます。
その上のエリアマネージャーなどは複数の店舗を受け持つ役職のため、さらに枠が少なくなります。
年功による昇給の幅が小さいため
賃金構造基本統計調査(令和7年)で薬剤師の所定内給与額を経験年数別に見ると、1〜4年目は月約33.4万円、10〜14年目は月約37.2万円です。 10年ほど経験を積んでも、月給の差は約3.8万円にとどまります。
薬剤師は初任給が高い分、その後の昇給カーブがゆるやかです。 経験年数だけで年収を上げるのは難しく、役職に就くか、職場を変えるかで大きく変わります。
薬剤師の求人を探す参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」 / 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
調剤薬局で年収を上げる方法

年収を上げる方法は、「今の職場でできること」と「転職が必要なこと」に分けられます。 まだ転職を決めていない場合は、今の職場でできることから始めるのがおすすめです。
管理薬剤師になる
今の職場で年収を上げる近道は、管理薬剤師になることです。 前述のとおり、保険薬局の管理薬剤師の年収は約725万円で、管理薬剤師以外の薬剤師より約246万円高い水準です。
管理薬剤師には、薬局を管理するために必要な能力と経験があることが法律で求められています。 必要な経験年数は会社ごとに異なるので、上司との面談で「いつ・何ができれば任されるか」を確認しておきましょう。 管理薬剤師の年収の内訳や手当の相場は、以下の記事で紹介しています。
認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取る
認定薬剤師の資格は、令和8年度の調剤報酬改定でも薬局の評価に関わっています。 かかりつけ薬剤師として指導を行う薬剤師の要件に、薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定の取得が含まれています。
- 1保険薬局での勤務経験が3年以上(病院勤務は1年まで算入可)
- 2その薬局に週31時間以上勤務している
- 3その薬局に継続して6か月以上在籍している
- 4薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定を取得している
- 5医療に関する地域活動に参画している
薬局にとっては、要件を満たす薬剤師がいないと算定できない評価があるため、認定の取得は昇格や待遇の交渉材料になり得ます。 専門薬剤師など領域別の資格も、必要な実務経験や研修の条件を確認したうえで目指すと、担える業務の幅が広がります。 すぐに年収が上がるとは限りませんが、今の職場で評価を上げる手段として取り組みやすい方法です。
今の職場でできることから、一歩ずつ試してみよう!
在宅医療に対応している薬局へ移る
在宅医療は、調剤報酬の中でも評価が広がっている分野です。 令和8年度改定では、医師と薬剤師が患者さんの自宅へ同時に訪問した場合や、複数名で訪問した場合の評価が新しく設けられ、在宅訪問薬剤管理指導料の算定間隔も「中6日以上」から「週1回」に見直されました。
在宅に力を入れる薬局では、訪問の経験がある薬剤師が必要とされます。 今の職場で在宅を扱っていない場合は、在宅対応の薬局へ移ることで経験と評価の両方を得やすくなります。
転職活動するなら?
給与水準の高い企業へ転職する
同じ調剤薬局でも、会社の規模で給与水準は変わります。 医療経済実態調査で店舗数別に見ると、管理薬剤師以外の薬剤師の年収は20〜49店舗の薬局が最も高く、大手ほど高いとは限りません。
| 店舗数 | 管理薬剤師 | 薬剤師 |
|---|---|---|
| 1店舗 | 697万円 | 440万円 |
| 2〜5店舗 | 834万円 | 495万円 |
| 6〜19店舗 | 754万円 | 494万円 |
| 20〜49店舗 | 677万円 | 515万円 |
| 50〜99店舗 | 636万円 | 481万円 |
| 100〜199店舗 | 695万円 | 438万円 |
| 200〜299店舗 | 648万円 | 456万円 |
| 300店舗以上 | 647万円 | 468万円 |
また、令和8年度改定では、薬局職員の賃上げを目的に「調剤ベースアップ評価料」が新しく設けられました。 国は令和8年度・9年度にそれぞれ3.2%のベースアップ実現を支援するとしています。
転職先を選ぶときは、求人票の年収の内訳(月給×12か月+賞与)に加えて、賃上げへの取り組みを面接で確認しておくと安心です。
参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」 / 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
まとめ
調剤薬局の薬剤師の年収は、公的統計で見ると全職種の平均をやや上回る水準です。 ただし、収益が調剤報酬に限られ、役職ポストも少ないため、経験年数だけで大きく上げるのは難しいのが特徴です。
この記事のポイント
- 薬剤師の平均年収は約567万円(令和7年)
- 薬局の薬剤師は約479万円、管理薬剤師は約725万円
- 年代別のピークは45〜49歳の約676万円
- パートの平均時給は2,540円
- 経験10年でも月給の差は約3.8万円と小さい
まずは管理薬剤師や認定の取得など、今の職場でできることを確認してみましょう。 それでも年収が上がる見込みが立たない場合は、在宅対応の薬局や給与水準の高い会社への転職も選択肢です。


