柔道整復師の離職率は高い?公表データと辞める理由を解説
柔道整復師として働くなかで、「この業界は離職率が高いのだろうか」と気になったことはないでしょうか。検索すると「柔道整復師の離職率は約14%」といった数字が並びますが、その数値がどの調査の、何を集計したものかまで書かれていることはほとんどありません。
実は、柔道整復師だけを取り出した離職率は公表されていません。よく見かける数値は、国の調査における産業区分「医療,福祉」の離職率で、看護師や介護職なども含んだ値です。自分の職場や進路をその数字ひとつで判断すると、実態とずれた印象を持ってしまうことがあります。
この記事では、柔道整復師の離職率として引用されている公表データの正体を整理したうえで、代わりに参考になる公的指標、離職する理由、離職が多い職場を見分けるポイントまでを解説します。
辞めるか続けるか迷っている方が、自分で判断するための材料としてお使いください。
気になることを
キャリアパートナーに相談できます
気になる内容をお選びください(複数選択可)
柔道整復師単独の離職率は公表されていない

まず結論からお伝えすると、国が公表している統計のなかに「柔道整復師の離職率」という項目は存在しません。厚生労働省が毎年実施している雇用動向調査は、事業所を産業ごとに区分して入職・離職の状況を集計する調査です。職種単位ではなく産業単位の集計であるため、柔道整復師だけを抜き出した数値は算出されていません。
インターネット上で「柔道整復師の離職率」として紹介されている数値は、ほぼすべてこの雇用動向調査の産業区分「医療,福祉」の値を引用したものです。数値そのものは公的な調査に基づいていますが、測っている対象が柔道整復師ではない点に注意が必要です。
ここでは、実際に公表されている数値を確認しながら、その数値が何を表しているのかを整理していきます。
産業単位でしか集計されていない
雇用動向調査は、常用労働者5人以上の事業所を対象に、1年間の入職者数・離職者数を調べる調査です。集計は「建設業」「製造業」「医療,福祉」といった産業区分ごとに行われます。
整骨院や接骨院は、この区分では「医療,福祉」に含まれます。ただし同じ区分には病院・診療所・訪問看護・保育所・介護施設などが幅広く入るため、集計された離職率は柔道整復師だけの動きを示すものではありません。
公的統計3つの「何がわかるか」比較
| 調査名 | 集計の単位 | わかること | 柔道整復師単独の数値 |
|---|---|---|---|
| 雇用動向調査 | 産業単位(「医療,福祉」など) | 産業ごとの入職率・離職率 | ×整骨院・接骨院は「医療,福祉」に含まれる |
| 新規学卒者の離職状況 | 学歴×産業単位 | 卒業後の年数ごとの離職状況 | ×職種別の内訳は集計されていない |
| 衛生行政報告例 | 職種単位(柔道整復師) | 就業者数・施術所数の推移 | ○就業柔道整復師数・施術所数が判明 |
※「医療,福祉」区分には病院・診療所・訪問看護・保育所・介護施設なども幅広く含まれる
同じことは他の統計にも当てはまります。厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」も産業別の集計で、職種別の内訳は公表されていません。柔道整復師という職種を単位に離職率を追える公的調査は、現時点では存在しないと考えておくのが正確です。
医療・福祉分野の離職率
令和6年の雇用動向調査によると、産業区分「医療,福祉」の離職率は13.8%でした。同じ年の入職率は14.1%で、入職が離職を0.3ポイント上回る入職超過となっています。
就業形態別に見ると、一般労働者(正社員など)の離職率は13.1%、パートタイム労働者は15.7%です。一般労働者では入職率も13.1%で、入職と離職がほぼ同じ水準で釣り合っている状態といえます。
「医療,福祉」には病院・診療所・介護施設・保育所などが含まれます。整骨院・接骨院はこの区分の一部にすぎず、13.8%という数値がそのまま柔道整復師の離職率になるわけではありません。
全産業の離職率との比較
同じ令和6年の調査で、全産業を合わせた離職率(産業計)は14.2%でした。「医療,福祉」の13.8%は、これをわずかに下回っています。
産業別に見ると、離職率が最も高いのは宿泊業,飲食サービス業の25.1%、次いでサービス業(他に分類されないもの)の20.3%、生活関連サービス業,娯楽業の19.0%と続きます。反対に低いのは複合サービス事業の7.8%、金融業,保険業の8.0%です。
こうして並べてみると、「医療,福祉」の離職率は全産業のほぼ平均並みで、突出して高い水準ではありません。「医療・福祉は離職率が高い業界だ」という説明を見かけることがありますが、少なくとも令和6年の数値ではそう言い切れる差は出ていません。
繰り返しになりますが、この数値は柔道整復師の実態を示すものではありません。同じ区分のなかでも、大規模病院と数人規模の整骨院では働き方も定着の傾向も異なります。
代わりに参考になる指標
柔道整復師そのものの動きを知りたいときは、厚生労働省の「衛生行政報告例」が参考になります。この調査は2年ごとに、就業している施術者の人数と施術所の数を集計しています。
就業柔道整復師数は、平成26年の63,873人から令和6年には78,666人まで増えました。一方で伸び方は緩やかになっており、令和4年からの2年間の増加は1,034人(1.3%増)にとどまっています。
施術所数の動きはさらにはっきりしています。柔道整復の施術所は平成26年の45,572か所から令和2年の50,364か所まで増え続けましたが、令和4年から令和6年にかけての増加はわずか8か所で、ほぼ横ばいに転じました。
就業柔道整復師数と施術所数の推移
資格者は増え続けているのに、働く場である施術所は増えていません。この2つのギャップは、1施設あたりの人員や競争環境の変化を示す手がかりになります。離職率という一つの数字よりも、こうした構造の変化のほうが進路を考える材料になる場合があります。
数値を見るときの注意点
離職率の数値を見るときは、次の3点を確認しておくと誤解を避けられます。
- どの調査の数値か(調査名が書かれているか)
- 何を単位に集計した数値か(産業か、職種か、事業所規模か)
- いつ時点の数値か(3年以内のデータか)
このうち特に大切なのが2つ目です。産業単位の数値を職種の数値として紹介している記事は少なくありません。調査名と集計単位がセットで書かれていない数値は、そのまま自分の職種の実態として受け取らないほうが安全です。
また、離職率には「転職して別の整骨院に移った人」も「資格を離れて別業界に移った人」も同じように含まれます。数値が高いことがそのまま「働きにくい職場が多い」を意味するわけではない点も押さえておきたいところです。
参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」 / 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / 厚生労働省「新規学卒者の離職状況」
今のあなたの状況は?
柔道整復師が離職する理由

公表データで柔道整復師の離職率は追えませんが、現場で語られる離職理由には共通する傾向があります。ここでは代表的な5つを、その背景にある業界の構造とあわせて整理します。
なお、ここで挙げるのはあくまで「そうした声が出やすい背景」であり、すべての職場に当てはまるものではありません。対処法は後半でまとめて扱います。
拘束時間が長い
整骨院・接骨院は、仕事帰りの患者さんに合わせて夜まで受付を続ける院が多く、開院準備や片付けを含めると勤務時間が長くなりやすい環境です。休憩時間が受付の合間に細切れになり、まとまって取れないという声もあります。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で柔道整復師の求人3,737件を見ると、完全週休2日や年間休日120日以上を掲げる求人は限られています。休日や勤務時間の条件は、求人ごとの差が大きい項目といえます。
一方で、日曜・祝日を休みにしている院やシフト制を敷いている院もあり、勤務形態そのものは職場によって幅があります。拘束時間の長さは業界全体の宿命ではなく、職場選びで変えられる余地がある部分です。
給与が上がりにくい
給与が上がりにくいと感じる背景には、整骨院の収益構造があります。健康保険を使った施術(柔道整復療養費)は料金が国の基準で定められており、1件あたりの単価を院側の判断で上げることができません。
さらに施術は機械に置き換えにくく、売上が施術者の人数と稼働時間にほぼ比例します。人件費の比率が高くなりやすいため、昇給の原資を確保しにくい構造になっています。
加えて、柔道整復療養費の総額そのものが縮小しています。厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会の資料によると、療養費は令和3年度で推計約2,867億円と、平成24年度をピークに減少が続いています。
求人データで見ると、就業先による月給の差は月2万〜4万円程度です。保険外の自費施術や訪問系サービスを扱う職場では、比較的高い水準の求人も見られます。
身体の負担が大きい
柔道整復師の施術は手技が中心です。1日に何人もの患者さんへ徒手による整復や後療法を行うため、腰・手首・肩に負担が蓄積しやすい仕事といえます。立ちっぱなしの時間が長い点も、身体的な負担につながります。
若いうちは問題なくこなせていても、30代後半から40代にかけて「同じペースでは続けられない」と感じ、働き方の見直しを考える方は少なくありません。
身体の負担が出やすい場面
- 徒手による整復・矯正を1日に何件も続ける
- 患者さんの体を支えながら中腰の姿勢を保つ
- 繁忙時間帯に休憩を挟まず施術が連続する
負担そのものをゼロにはできませんが、施術以外の業務(機能訓練の指導、リハビリ計画の作成など)の比率が高い職場に移ることで、身体的な負荷を下げる選択肢はあります。
人間関係に悩みやすい
整骨院・接骨院は数人規模で運営されている職場が多く、院長との相性がそのまま働きやすさに直結します。相談できる同僚が少ない環境では、方針の違いや指導の仕方に悩んでも、逃げ場をつくりにくいのが実情です。
また、開業を目指す施術者が集まりやすい職場では、教育方針や施術方針をめぐって考え方が分かれることもあります。少人数だからこそ、人間関係の悩みが職場全体の居心地に影響しやすいといえます。
柔道整復師の求人を探す入職前の想定と業務内容が違う
「骨折や脱臼の患者さんを診たい」と考えて入職したものの、実際には慢性的な肩こりや腰痛への対応、物販の案内、回数券の販売といった業務が中心だった——という食い違いも、離職理由としてよく挙がります。
この背景には、健康保険が使える範囲の制約があります。厚生労働省の定めにより、柔道整復師の施術で健康保険が使えるのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫(肉ばなれを含む)といった外傷性のけがに限られます。
単なる肩こりや筋肉疲労、日常生活からくる腰痛は保険の対象外で、全額自己負担の自費施術になります。
なお骨折・脱臼への施術は、応急手当の場合を除いて医師の同意が必要です。院の方針が自費施術中心なのか保険施術中心なのかによって、日々の業務内容は大きく変わります。入職前にこの点を確認しておくと、想定とのずれを防ぎやすくなります。
参考:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」 / 厚生労働省「社会保障審議会 医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会」
前向きな理由で離職するケース

離職といっても、職場に問題があって辞めるケースばかりではありません。柔道整復師は自分で施術所を開設できる開業権をもつ国家資格であり、勤務先を離れること自体がキャリアの一段階になることがあります。
また、資格を活かせる場は整骨院・接骨院だけではありません。整形外科、介護施設、スポーツの現場と、働ける領域が複数あることも、人の動きが生まれやすい理由の一つです。
柔道整復師 求人3,737件の就業先内訳
※介護施設はデイケア・デイサービス/特別養護老人ホーム/有料老人ホーム/介護老人保健施設/サービス付き高齢者住宅の合計
ここでは、前向きな離職としてよく見られる4つのケースを取り上げます。
独立開業する
柔道整復師法では、施術所を開設した場合、開設者は10日以内に所在地の都道府県知事等へ届け出ることと定められています。医師の指示がなくても自分の判断で施術所を構えられる点は、他の医療系国家資格にはあまりない特徴です。
勤務先で数年経験を積み、患者さんとの関わり方や院の運営を学んだうえで独立する、という流れは業界内で一般的なキャリアパスといえます。求人データでも「独立・開業支援あり」を掲げる求人が16%あり、開業を前提とした採用が一定数存在することがうかがえます。
独立開業までの流れ
ただし、前述したとおり施術所数はすでに横ばいに転じており、開業すれば必ず軌道に乗るわけではありません。立地や施術内容の設計を含めて、準備期間を確保しておくことがおすすめです。
整形外科に移る
整形外科のクリニックや病院で、リハビリテーション業務の担い手として働く選択肢もあります。医師の診断と画像所見を前提に施術に関われるため、外傷への対応を深めたい方には学びの多い環境です。
なお、レントゲンの撮影は医師と診療放射線技師にしか認められておらず、柔道整復師が行うことはできません。関われるのは撮影の補助や、撮影された画像を医師の説明とあわせて確認する範囲までです。
求人データで月給の中央値を比べると、クリニックは整・接骨院を2万円ほど下回ります。給与よりも、勤務時間の安定や医師と連携できる環境を重視して移る方が多い領域といえます。
介護施設の機能訓練指導員になる
介護保険サービスの現場で、利用者さんの身体機能の維持・向上を担うのが機能訓練指導員です。厚生労働省の通知により、柔道整復師はこの職種に就ける資格の一つとして明記されています。
通所介護(デイサービス)や特別養護老人ホームでは、機能訓練指導員を1名以上配置することが基準で定められています。一方で介護老人保健施設には機能訓練指導員という職種の定めがなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置が求められるため、柔道整復師がこの枠で配置されることはありません。施設の種類によって扱いが異なる点は、転職前に押さえておきたいポイントです。
介護施設ごとの機能訓練指導員と柔道整復師
| 施設種別 | 機能訓練指導員の配置 | 柔道整復師が就けるか | 備考 |
|---|---|---|---|
| 通所介護(デイサービス) | ◯ | ◯ | 対象資格に含まれる |
| 地域密着型通所介護 | ◯ | ◯ | 対象資格に含まれる |
| 特別養護老人ホーム | ◯ | ◯ | 対象資格に含まれる |
| 短期入所生活介護 | ◯ | ◯ | 対象資格に含まれる |
| 介護老人保健施設 | ✕ | ✕ | 機能訓練指導員という職種の定めがなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置が求められる |
※老健のみ機能訓練指導員という枠自体がありません
夜間の受付がなく、日曜・祝日が休みの職場が多いことから、勤務時間の安定を求めて移る方が目立ちます。求人データを見ても、介護系の施設は整骨院・接骨院に次いで求人数の多い就業先で、受け皿としても大きな領域です。
スポーツ分野に進む
スポーツの現場でトレーナーとして活動する道もあります。外傷への対応やテーピング、コンディショニングといった柔道整復師の技術が直接活きる領域です。
- 学校の部活動
- 地域のクラブチーム
- 企業の実業団チーム
より専門性を高めたい場合は、日本スポーツ協会の公認アスレティックトレーナー資格を目指す方法があります。養成講習会は共通科目150時間・専門科目600時間で構成され、受講料は共通科目22,000円・専門科目55,000円(いずれも税込)です。
受講には満20歳以上であることと、日本スポーツ協会または加盟団体等からの推薦が必要になります。
ただし、スポーツ分野の従事者数や収入について公的な統計は公表されていません。。整骨院や整形外科での勤務と兼ねながら関わる形が現実的な進み方といえます。
参考:e-Gov法令検索「柔道整復師法」 / 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」 / e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」 / 公益財団法人日本スポーツ協会「公認アスレティックトレーナー」
お探しの求人は?
離職が多い職場を見分けるポイント

離職率の数値を調べる方の多くは、「次の職場では同じ思いをしたくない」と考えています。ここからは、求人票や面接・見学の場でそのまま使える確認項目を紹介します。
いずれも遠慮なく聞いてよい内容です。答えをはぐらかされたり、書面で示せないと言われたりした場合は、その時点で判断材料になります。
勤務時間と休憩の実態を確認する
まず確認したいのは、求人票の勤務時間と実際の運用が一致しているかです。整骨院では受付終了後の片付けやカルテ整理が残るため、掲示されている終業時刻より実態が遅くなることがあります。
労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間・週40時間以内と定められています。また休憩は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上を労働時間の途中に与えなければなりません。
見学の際は「終業時刻の後、実際は何時ごろに退勤しているか」「休憩は何時にどのくらい取れているか」を具体的に聞いてみてください。時刻で答えられる職場は、勤務時間の管理ができていると考えられます。
給与の内訳と昇給の基準を確認する
提示された月給の内訳を確認することも大切です。基本給・各種手当・固定残業代(みなし残業代)の区分が示されていないと、実際に何時間分の残業が含まれた金額なのか判断できません。
固定残業代がある場合は、何時間分に相当するのか、その時間を超えたときに追加で支払われるのかを必ず確認します。労働基準法では、法定労働時間を超えた時間外労働に対して25%以上の割増賃金を支払うことが定められています。
求人票の給与欄チェックリスト
昇給についても、「頑張り次第」という説明だけで終わらせず、評価の基準と時期を聞いておきたいところです。歩合や指名料が絡む職場では、算定方法を書面で示してもらえるかも確認しておくと安心です。
勉強会や研修が勤務時間に含まれるか確認する
整骨院では、閉院後に手技の勉強会を開いている職場があります。技術を磨く機会になる一方、参加が事実上必須で無給という運用になっていると、拘束時間だけが伸びていきます。
判断の目安は、参加しないことが認められているかどうかです。参加が義務づけられていたり、不参加によって不利益な扱いを受けたりする場合、その時間は労働時間として扱われます。
研修・勉強会が労働時間にあたるかの判断
- 参加は義務か
- 不参加で不利益があるか
「勉強会は月に何回あるか」「参加は任意か」「参加した時間に給与は発生するか」の3点を聞いておくと、実態がつかめます。
在籍スタッフの勤続年数を確認する
在籍しているスタッフの人数と、それぞれの勤続年数を聞いてみるのも有効です。開業して年数が経っている院にもかかわらず、在籍者が全員1〜2年目という場合、人が定着していない可能性があります。
- 在籍している柔道整復師は何人か
- 最も長い方の勤続年数はどのくらいか
- 直近1年で退職した方は何人いたか
答えにくそうであれば、無理に踏み込む必要はありません。ただし勤続年数を一切明かさない職場は、入職後に確認できない情報が他にもあると考えたほうが無難です。開業支援を掲げる院では独立に伴う退職も多いため、退職理由まで聞けるとより実態に近づけます。
柔道整復師の求人を探す新人教育の仕組みを確認する
新卒や実務経験の浅い方にとっては、教育の仕組みが定着を左右します。「先輩の施術を見て覚えて」という方針だけの職場では、任される範囲が広がるまでに時間がかかり、不安が続きやすくなります。
確認したいのは、指導担当者が決まっているか、施術デビューまでの流れが決まっているか、そして技術チェックの基準があるかの3点です。仕組みとして説明できる職場は、新人が育つ前提で運営されていると考えられます。
- 「未経験可」を掲げる求人は79%。入口は広く開かれています
- 一方で「研修補助あり」は3%。教育に費用をかける院は多くありません
- だからこそ、指導担当と施術デビューまでの流れは直接聞いてみてください
参考:厚生労働省「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」 / e-Gov法令検索「労働基準法」
辞めるか続けるか迷ったときの考え方

離職率の数値を調べる背景には、「今の職場を辞めるべきか」という迷いがあることも多いものです。ここでは、判断の前に整理しておきたい視点を紹介します。
大切なのは、抱えている悩みが職場を変えれば解決するものなのか、働き方そのものを変えないと解決しないものなのかを分けて考えることです。ここを混同したまま転職すると、環境が変わっても同じ悩みが残ってしまいます。
職場を変えれば解決する悩み
勤務時間の長さ、休日の少なさ、給与水準、人間関係、教育体制といった悩みは、職場ごとの運営方針に左右される部分です。同じ柔道整復師の仕事でも、院によって条件は大きく変わります。
たとえば求人データで「賞与・ボーナスあり」を掲げている求人は64%で、裏を返せば3割以上の求人には賞与の記載がありません。今の職場の条件が業界の標準だと思い込んでいた、というケースは珍しくありません。
- 拘束時間が長く、休憩がまとまって取れない
- 昇給の基準が示されず、収入の見通しが立たない
- 院長との方針の違いで相談しづらい
- 教える仕組みがなく、技術が伸びている実感がない
これらは、条件を確認したうえで職場を選び直すことで改善が見込める悩みです。紹介した確認項目を使いながら、次の候補と今の職場を比べてみてください。
働き方を変えないと解決しない悩み
一方で、施術そのものによる身体の負担や、保険施術の範囲に伴う業務内容の制約は、整骨院に勤める限り大きくは変わりません。院を変えても同じ悩みが続く可能性があります。
このタイプの悩みを抱えている場合は、勤務先を変えるのではなく、働く領域そのものを変える選択肢を検討したほうが解決に近づきます。
職場を変えれば解決する悩み と 働き方を変えないと解決しない悩み
給与水準と負担の軽減は、職場・働き方の両方に関わる悩みです
自分の悩みがどちらに当てはまるかを整理してから動き出すと、転職先に求める条件がはっきりします。
転職活動するなら?
資格を活かせる別の職場を検討する
働く領域を変える場合、柔道整復師の資格はそのまま活かせます。整形外科・介護施設・スポーツ分野に加えて自費施術中心のサロンなど、選択肢は複数あります。
求人データを見ると、柔道整復師の求人は東京都1,349件、神奈川県636件、大阪府525件と都市部に集中しています。地方では選択肢が限られる場合もあるため、通える範囲にどのような職場があるかを先に確認してから、辞める時期を決めるという順番がおすすめです。
在職中に情報を集めておけば、収入を途切れさせずに比較検討できます。急いで結論を出す必要はありません。
まとめ
柔道整復師だけを対象にした離職率は、公的な統計として公表されていません。よく引用される数値は雇用動向調査の産業区分「医療,福祉」の値で、令和6年は13.8%、全産業の産業計14.2%をわずかに下回る水準でした。看護師や介護職を含む数値であり、そのまま自分の職種の実態として受け取るべきものではありません。
代わりに参考になるのが、衛生行政報告例が示す就業者数と施術所数の推移です。就業柔道整復師は令和6年に78,666人まで増えた一方、施術所は50,924か所とほぼ横ばいに転じました。資格者は増え、働く場は増えていないという構造の変化が読み取れます。
離職理由としては拘束時間・給与・身体の負担・人間関係・業務内容のずれが挙がる一方、独立開業や整形外科・介護施設・スポーツ分野への移行といった前向きな離職も一定数あります。
辞めるか続けるか迷ったときは、悩みが職場を変えれば解決するものか、働き方を変える必要があるものかを分けて考えてみてください。そのうえで、勤務時間・給与の内訳・研修の扱い・在籍者の勤続年数・教育体制を確認しながら次の職場を選べば、同じ理由で辞める可能性を下げられます。まずは在職中に、通える範囲の求人を眺めるところから始めてみてはいかがでしょうか。





