常勤換算とは?計算方法と人員配置基準をわかりやすく解説
「常勤換算」という言葉を、職場の勤務表や求人票で見かけたことはないでしょうか。パートや夜勤専従、時短勤務の職員が混在する医療・介護の職場では、単純な頭数だけでは実際の人手を正しく測れません。そこで使われるのが常勤換算という考え方です。
ただ、計算式そのものはシンプルでも、「常勤の勤務すべき時間」の決め方や、兼務・休暇の扱いでつまずく場合があります。
この記事では、常勤換算とは何かという基本から、計算方法と具体的な計算例、人員配置基準との関係、求人票での見方までをわかりやすく解説します。
気になることを
キャリアパートナーに相談できます
気になる内容をお選びください(複数選択可)
常勤換算とは?

常勤換算とは、事業所で働く全職員の労働時間を「常勤職員が何人分に相当するか」に換算した人数のことです。
医療・介護・福祉の事業所では、フルタイムの正職員だけでなく、週2日のパートや夜勤専従、育児中の時短勤務など、働き方が異なる職員が一緒に働いています。この状態で「職員は10人います」と伝えても、実際に現場に投入されている労働力は分かりません。
そこで、それぞれの職員の勤務時間を足し合わせ、常勤職員1人分の勤務時間で割ることで、「常勤職員なら何人分の働きになるか」という共通のものさしに置き換えます。これが常勤換算です。
たとえば週40時間勤務の常勤が1人と、週20時間勤務のパートが2人いる事業所では、頭数は3人ですが常勤換算では2.0人となります。逆に、週10時間勤務のパートが8人いる事業所なら、勤務時間の合計は80時間なので常勤換算は2.0人です。人数の多さと労働力の厚みは、必ずしも一致しないということです。
常勤換算で押さえたい3つのポイント
- 実人数(頭数)ではなく、労働時間の合計を常勤1人分で割った「人数」である
- 算出された数値は、その事業所の平均的な勤務人数を表す
- 1未満の小数で表されることもあり、「2.5人以上」のように基準の判定に使われる
計算のもとになるのは「勤務延べ時間数」です。これは勤務表のうえで、サービスの提供に従事する時間、またはサービス提供のための準備などを行う時間として明確に位置づけられている時間の合計を指します。待機の時間もここに含まれます。逆にいえば、勤務表に位置づけられていない時間は算入できません。
常勤換算は介護保険サービスだけの用語ではなく、障害福祉サービスや医療機関の施設基準など、幅広い場面で使われています。医療・介護の現場で働くうえでは、職種を問わず知っておきたい基本的な考え方といえます。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」
常勤換算が必要な理由

常勤換算が必要とされる最大の理由は、事業所が人員配置基準を満たしているかどうかを判定するためです。医療・介護・福祉のサービスは、利用者さんの生活や生命に直結します。そのため介護保険法などの法令により、サービスの種類ごとに「どの職種を何人配置しなければならないか」が定められています。
このとき「職員10人」という頭数で基準をつくってしまうと、全員が週1日勤務の事業所でも基準を満たすことになってしまいます。そこで多くのサービスでは、常勤換算方法による人数で基準が定められています。たとえば訪問介護なら訪問介護員等が常勤換算で2.5以上、訪問看護ステーションなら看護職員が常勤換算で2.5以上、といった形です。
基準を下回った場合の影響は小さくありません。介護保険法では、指定居宅サービス事業者が事業所の従業者の人員について都道府県の条例で定める員数を満たすことができなくなったとき、都道府県知事は指定を取り消し、または期間を定めて指定の効力の全部もしくは一部を停止することができると定められています。指定が取り消されれば、その事業所は介護報酬を受け取れなくなり、事業の継続そのものが困難になります。
行政処分に至らない場合でも、人員基準を満たしていない期間については介護報酬が減算されたり、すでに受け取った報酬の返還を求められたりすることがあります。事業所にとって、日々の勤務時間を正確に把握し常勤換算数を管理することは、経営上の必須業務なのです。
働く側にとっても、常勤換算は無関係ではありません。自分の勤務時間が事業所の基準達成に組み込まれているため、シフトの入り方や時短勤務への切り替えが、職場の人員体制に影響することがあります。基準ぎりぎりで運営している事業所では、1人の退職や勤務時間の変更が全体に波及しやすい点も知っておきたいところです。
参考:e-Gov法令検索「介護保険法」 / e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
常勤換算の計算方法

常勤換算の計算式そのものは、割り算ひとつでとてもシンプルです。難しく感じられるのは、分母となる「常勤職員が勤務すべき時間数」の決め方に細かいルールがあるためです。ここでは計算式、分母の考え方、実際の手順の3つに分けて整理します。
なお、以下で示す時間数はあくまで一般的な例です。常勤の勤務すべき時間数は事業所ごとに定められているため、実際の数値は勤務先の就業規則で確認してください。
常勤換算の計算式
常勤換算数は、次の式で求めます。
常勤換算数=全職員の勤務延べ時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数
分子の勤務延べ時間数は、その事業所のサービスに従事する全職員の勤務時間を合計したものです。常勤・非常勤の区別なく、勤務表に位置づけられた時間をすべて足し上げます。
ここで1つ重要なルールがあります。従業者1人につき勤務延べ時間数に算入できる時間数は、その事業所において常勤職員が勤務すべき時間数が上限とされています。つまり、残業を多くこなしている職員がいても、1人で1.5人分としてカウントすることはできません。1人はあくまで最大1.0人分です。
分母は、その事業所で定められている常勤職員の勤務時間数です。多くの事業所では週40時間ですが、就業規則で週37.5時間や週38時間と定めているところもあります。
- 計算期間は週単位でも4週単位でも構いません
- 分子を1か月分の勤務時間にしたなら、分母も1か月分の常勤の勤務時間にする
- 期間がずれると常勤換算数が実態とかけ離れた値になる
常勤の「勤務すべき時間」の考え方
分母となる「常勤職員が勤務すべき時間数」は、各事業所が就業規則などで定めた時間を使います。ただし、ここには全サービス共通の下限があります。
厚生労働省の解釈通知では、常勤換算方法における分母は「常勤の従業者が勤務すべき時間数」とされたうえで、その時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とすると定められています。
就業規則の時間と常勤換算の「分母」は一致しないことがある
※分母となる時間数は週32〜40時間の範囲に収まるのが一般的
この下限があるのは、分母を小さくすれば常勤換算数を大きく見せられてしまうからです。仮に「当事業所の常勤は週20時間」と定めれば、週20時間のパート職員がそれぞれ常勤1人分にカウントされ、少ない人手でも基準を満たせることになってしまいます。32時間という下限は、こうした形だけの基準達成を防ぐための歯止めといえます。
したがって、分母として使われる時間数は週32〜40時間の範囲に収まるのが一般的です。就業規則で週30時間と定めている事業所であっても、常勤換算の計算上は週32時間を分母にすることになります。
なお「常勤」という言葉自体も、この勤務すべき時間数を基準に判断されます。事業所における勤務時間が、定められた常勤の勤務すべき時間数に達していれば常勤、達していなければ非常勤という整理です。
計算の手順
実際に常勤換算数を出すときは、分母を決めてから分子を積み上げていくと迷いません。先に「常勤1人分が何時間か」を確定させ、そのうえで職員ごとの勤務時間を集計していく流れです。
常勤換算数を計算する6つの手順
職員ごとの勤務時間を集計するときに数えるのは、あくまでその職種としてその事業所のサービスに従事した時間だけです。他の事業所や他の職種を兼務している場合は、その分を除いて数える必要があります。この点は後の章で詳しく説明します。
算出された数値は、小数点第2位以下を切り捨てて扱うのが一般的です。ただし端数の処理はサービスの種類や自治体の手引きで異なる場合があるため、実務で使う際は指定権者が示す手引きを確認してください。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」
お探しの求人は?
常勤換算の計算例

ここからは、実際に数字を当てはめて計算してみます。以下の例では、常勤職員が勤務すべき時間を週40時間、計算期間を4週間として、分母を160時間に設定しています。数値は事業所ごとに異なりますので、考え方の流れをつかむものとして読み進めてください。
まず、常勤職員だけで構成されている場合です。4週間で160時間勤務する常勤職員が3人いる事業所では、勤務延べ時間数は480時間になります。これを160時間で割ると、常勤換算数は3.0人です。全員が常勤であれば、頭数と常勤換算数は一致します。
次に、常勤と非常勤が混在している場合を見てみましょう。常勤職員が2人(それぞれ160時間)、非常勤職員が2人(4週間で128時間と96時間)在籍している事業所を考えます。勤務延べ時間数は、320時間に128時間と96時間を足した544時間です。これを160時間で割ると3.4人となります。
常勤換算数の比較(4つのケース)
| ケース | 内訳(構成) | 勤務延べ時間数 | 頭数 | 常勤換算数 |
|---|---|---|---|---|
| ①常勤のみ | 常勤3人(各160時間) | 480時間 |
3人
|
3.0 人 |
| ②常勤+非常勤 | 常勤2人(各160時間)+非常勤2人(128時間・96時間) | 544時間 |
4人
|
3.4 人 |
| ③非常勤のみ | 非常勤4人(各80時間) | 320時間 |
4人
|
2.0 人 |
| ④非常勤が多い | 常勤1人(160時間)+非常勤5人(各64時間) | 480時間 |
6人
|
3.0 人 |
※頭数が同じ・多いケースでも、常勤換算数は必ずしも増えるとは限らない
頭数では4人ですが、常勤換算では3.4人です。この0.6人分の差が、常勤換算という考え方の本質を表しています。もしこの事業所に求められている基準が「常勤換算3.5以上」であれば、頭数4人がそろっていても基準を満たしていないことになります。
このように常勤換算は、勤務時間の合計だけで決まり、雇用形態や人数の多さには左右されません。求人票や事業所案内で「スタッフ多数在籍」と書かれていても、実際の人員体制は常勤換算で見たほうが実態に近いといえます。
常勤換算を計算する際の注意点

常勤換算でつまずきやすいのは、計算式そのものではなく「どの時間を数え、どの時間を数えないか」という判断です。ここでは実務で迷いやすい4つのポイントを整理します。
常勤・非常勤は勤務時間で決まる
最も多い誤解が、正社員なら常勤、パート・アルバイトなら非常勤という理解です。常勤換算における常勤・非常勤は、雇用形態ではなく勤務時間で区別されます。
判断基準は、その事業所における勤務時間が、事業所で定められている常勤職員が勤務すべき時間数に達しているかどうかです。契約社員でも週40時間勤務していれば常勤、正社員でも週24時間勤務なら非常勤という扱いになります。
常勤・非常勤は「雇用形態」ではなく「勤務時間」で決まる
同じ雇用形態でも判定は変わる
| 雇用形態 | 週の勤務時間 | 判定 |
|---|---|---|
| 契約社員 | 40時間 | 常勤 |
| 正職員 | 24時間 | 非常勤 |
| パート | 40時間 | 常勤 |
※常勤が勤務すべき時間数を週40時間とする事業所の場合
もう1つ押さえておきたいのが、併設事業所との兼務の扱いです。同一の事業者によって併設されている事業所の職務で、当該事業所の職務と同時並行的に行われても差し支えないと考えられるものについては、それぞれの勤務時間の合計が常勤の勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすとされています。訪問介護事業所の管理者と居宅介護支援事業所の管理者を兼務している場合などが、これにあたります。
休暇・出張の扱いは常勤と非常勤で違う
有給休暇や出張の時間を勤務延べ時間数に含めてよいかは、常勤か非常勤かで扱いが分かれます。
人員基準における常勤換算では、常勤職員の休暇等の期間は、その期間が暦月で1月を超えるものでない限り、常勤職員として勤務したものとして取り扱うとされています。つまり、1か月以内の休暇や出張であれば、常勤職員は勤務したものとしてカウントできます。
一方、非常勤職員については実際に勤務した時間で数えるのが原則です。また、暦月で1月を超える長期の休暇の場合は、常勤職員であってもその期間は勤務したものとして扱えません。産前産後休業や育児休業、介護休業のように長期にわたる休業は、この考え方に沿って整理されます。
休暇・出張は常勤換算に含まれるか
分かれ目は「暦月で1か月を超えるかどうか」
| 区分 | 休暇・出張の期間 | 常勤換算での扱い |
|---|---|---|
| 常勤職員 | 暦月で1か月を超えない休暇・出張 | ○常勤職員として勤務したものとして取り扱う |
| 常勤職員 | 暦月で1か月を超える長期の休暇(産前産後休業・育児休業・介護休業など) | ✕勤務したものとしては取り扱わない |
| 非常勤職員 | 休暇(期間の長短を問わず) | 実際に勤務した時間で数えるのが原則 |
さらに注意したいのが、加算の要件として常勤換算数が使われる場合です。栃木県が厚生労働省に確認したうえで整理した内容によると、加算の要件としての常勤換算職員数については、手厚いサービスを評価するという加算の趣旨から、常勤・非常勤にかかわらず実際の勤務時間数により常勤換算を行うとされています。人員基準の計算と加算の計算では、休暇の扱いが変わる場合があるということです。
兼務はその職種の時間だけ数える
同じ職員が複数の職種や事業を兼ねている場合、その職種として従事した時間だけを勤務延べ時間数に算入します。
厚生労働省の解釈通知では、事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受けている場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務するときは、訪問介護員等の勤務延べ時間数には訪問介護員等としての勤務時間だけを算入する、という例が示されています。
兼務時間は職種ごとに分けて算入する
週40時間勤務の内訳
※同じ職員の40時間を両方に計上することはできません
たとえば週40時間勤務の職員が、訪問介護員として24時間、看護職員として16時間働いている場合、訪問介護の常勤換算には24時間分、訪問看護の常勤換算には16時間分をそれぞれ算入します。両方に40時間を計上する、いわゆる二重計上はできません。
「専ら従事する」という要件が置かれている職種にも注意が必要です。これは原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことを意味します。兼務が可能かどうかは職種とサービスの種類によって異なるため、事業所の運営規程や自治体の手引きで確認しましょう。
短時間勤務には常勤扱いの特例がある
育児や介護、体調上の事情で所定労働時間を短縮している職員については、常勤の扱いに特例が設けられています。
具体的には、週30時間以上勤務していれば常勤として取り扱うことが可能とされています。対象となるのは、男女雇用機会均等法にもとづく母性健康管理措置が講じられている場合、育児・介護休業法にもとづく育児のための所定労働時間の短縮措置が講じられている場合、同法にもとづく介護のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている場合の3つです。
あわせて、利用者さんの処遇に支障がない体制が事業所として整っていることが前提となります。
男女雇用機会均等法にもとづく母性健康管理措置が講じられている場合
育児・介護休業法にもとづく育児のための所定労働時間の短縮措置が講じられている場合
育児・介護休業法にもとづく介護のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている場合
前提として、利用者さんの処遇に支障がない体制が事業所として整っていることが必要です。
この取扱いは、令和3年度の介護報酬改定で人員基準における両立支援への配慮として整理されたものです。時短勤務になったとたんに常勤から外れてしまうと、事業所が人員基準を維持できなくなり、結果として本人が働き続けにくくなってしまいます。それを防ぐための仕組みといえます。
なお、制度の詳細は改定のたびに見直される可能性があります。ここで紹介した内容は令和6年度時点の整理であるため、実際に利用する際は最新の通知や自治体の手引きで確認してください。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」 / 栃木県「各種加算の要件における常勤換算方法の解釈について」 / 厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」
人員配置基準と常勤換算

人員配置基準は、サービスの種類ごとに定められています。同じ医療・介護の事業所でも、訪問系と通所系、入所系では求められる職種も人数の数え方も異なります。
訪問介護では、事業所ごとに置くべき訪問介護員等の員数は常勤換算方法で2.5以上と定められています。訪問看護ステーションでも、保健師・看護師・准看護師である看護職員を常勤換算方法で2.5以上配置する必要があり、さらにそのうち1名は常勤でなければならないとされています。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士については、ステーションの実情に応じた適当数とされています。
一方、通所介護では計算の仕組みが変わります。生活相談員は「提供日ごとに、サービスを提供している時間帯に勤務している時間数の合計を、提供している時間帯の時間数で割った数が1以上」、介護職員は「利用者数が15人までは1以上、15人を超える場合は超える部分を5で割った数に1を加えた数以上」といった形で、利用者数やサービス提供時間帯を基準にした計算式が使われます。
機能訓練指導員は1以上、生活相談員または介護職員のうち1人以上は常勤であることも求められます。
サービス種別で違う人員配置基準の「数え方」
| 項目 | 訪問介護 | 訪問看護 | 通所介護 |
|---|---|---|---|
| 数え方の基本 | 常勤換算方法 | 常勤換算方法 | 利用者数・提供時間帯を基準にした計算式 |
| 主な職種 | 訪問介護員等 | 看護職員(保健師・看護師・准看護師) | 生活相談員/看護職員/介護職員/機能訓練指導員 |
| 具体的な基準 | 常勤換算方法で2.5以上 | 常勤換算方法で2.5以上(うち1名は常勤) | 生活相談員:勤務時間の合計を提供時間帯の時間数で割った数が1以上/看護職員:単位ごとに1以上/介護職員:利用者15人までは1以上、超える部分は5で割った数に1を加えた数以上/機能訓練指導員:1以上 |
| そのほかの配置 | サービス提供責任者:利用者40人(またはその端数)ごとに1人以上 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:ステーションの実情に応じた適当数 | 生活相談員または介護職員のうち1人以上は常勤 |
※訪問介護・訪問看護は常勤換算方法、通所介護は利用者数と時間帯を基準にした計算式で人数を数える
このように、常勤換算方法をそのまま使うサービスと、サービス提供時間帯や利用者数を軸にした別の計算式を使うサービスがあります。「介護の人員基準はすべて常勤換算で決まる」と考えるのは正確ではありません。転職や異動でサービス種別が変わったときは、その種別の基準を確認する必要があります。
もう1つ押さえたいのが、人員配置基準は最低限必要な人数を定めたものだという点です。上回る分には何の問題もありません。基準は「職員の支援体制等を考慮した最小限の員数」として定められたものであり、地域のサービス利用状況や業務量を考慮して適切な員数を確保することが求められています。基準ちょうどの人数で回している事業所と、余裕をもって配置している事業所では、現場の働きやすさは大きく変わります。
また、人員配置基準には「一日ごとに満たすべき基準」と「月や年度を通して満たすべき基準」があります。前者は通所介護の介護職員のように、その日のサービス提供に必要な人数を確保する考え方です。後者は常勤換算のように、一定期間の勤務時間の合計で判定する考え方になります。どちらの性質の基準なのかによって、シフトの組み方も変わってきます。
なお、人員配置基準の数値は介護報酬改定などで見直されることがあります。この記事の内容は執筆時点の基準にもとづくものですので、実務で判断する際は最新の法令を確認してください。
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」
転職活動するなら?
求人票の「常勤換算」の見方

医療・介護職の求人票や事業所案内には、「看護職員 常勤換算3.5人」「職員数 常勤換算12.0人」といった記載が見られます。これは在籍している職員の頭数ではなく、その事業所の実質的な人員体制を示す数字です。
読み解くときのコツは、頭数と常勤換算数の両方を見ることです。この2つの差が大きいほど、パートや短時間勤務の職員に支えられた体制だと分かります。どちらが良い悪いということではなく、自分の希望する働き方と合っているかを見る材料になります。
自分がパートや時短で働く場合、常勤換算で何人分に当たるかを理解しておくと、働き方の目安になります。この感覚があると、面接の場で「週何日・何時間なら勤務できます」と伝えたときに、事業所側がどう受け止めるかも想像しやすくなります。
もう1つ確認したいのが、人員配置基準に対する余裕度です。基準を大きく下回っている事業所は、運営に無理が生じている可能性があります。もっとも、常勤換算数だけで職場の良し悪しは判断できません。利用者さんの人数に対する職員数、常勤と非常勤の比率、実際のシフトの組み方まで見て、はじめて働きやすさが見えてきます。
- 求人票の常勤換算数と、在籍職員の頭数の両方を確認する
- 利用者さんの定員に対して職員数が十分か照らし合わせる
- 常勤と非常勤の比率、夜間や早番の担当者数を質問する
- 基準ぎりぎりの場合、欠員が出たときの体制を確認する
見学や面接の場では、「常勤換算で何人体制ですか」と尋ねるより、「日中は何人でシフトを回していますか」と聞いたほうが実態をつかみやすいこともあります。数字と現場の様子を突き合わせて判断していきましょう。
- 「日中は何人でシフトを回していますか」と実際の人数で聞く
- 常勤と非常勤の比率、早番・遅番の担当者数もあわせて確認
- 欠員が出たときに誰がカバーするのか、体制まで踏み込む
常勤換算に関するよくある質問

最後に、常勤換算について寄せられることの多い疑問をまとめます。
常勤と非常勤は雇用形態で決まる?
雇用形態では決まりません。常勤換算における常勤・非常勤は、その事業所で定められた常勤職員が勤務すべき時間数に達しているかどうかで判断されます。
そのため、雇用契約上はパートでも、週40時間勤務していれば常勤として扱われます。反対に、正職員という肩書きでも勤務時間が週24時間であれば非常勤の扱いです。「正職員=常勤」という理解のまま人員基準を計算すると、実際の常勤換算数とずれてしまうため注意が必要です。
なお、育児や介護のための所定労働時間の短縮措置などを受けている場合は、週30時間以上の勤務で常勤として扱える特例があります。
今のあなたの状況は?
常勤換算の端数はどう処理する?
算出結果は割り切れないことが多く、端数の処理が必要になります。実務では小数点第2位以下を切り捨て、小数点第1位までで扱うのが一般的です。たとえば計算結果が2.58であれば2.5として扱います。
ここで注意したいのは、切り捨てによって基準を満たさなくなる場合があることです。基準が「常勤換算2.5以上」であるとき、計算結果2.48は切り捨てても2.4のままで、基準を満たしません。ぎりぎりの人員で運営している事業所では、この端数の扱いが基準達成の分かれ目になります。
端数処理のルールはサービスの種類や自治体によって異なる場合があるため、実務で使う際は指定権者が示す手引きで確認してください。
パートでも常勤換算に含まれる?
含まれます。常勤換算は、常勤・非常勤を問わず、その事業所のサービスに従事した全職員の勤務時間を合計して計算します。週1日3時間の勤務であっても、勤務表に位置づけられていれば勤務延べ時間数に算入されます。
つまり、パートで働く方の勤務時間も事業所の基準達成を支えているということです。ただし、非常勤職員の休暇や出張の時間は原則として実際に勤務した時間で数えるため、常勤職員とは扱いが異なります。
また、1人あたりの上限は常勤職員が勤務すべき時間数までです。掛け持ちで長時間勤務していても、1人が1.0人分を超えてカウントされることはありません。
常勤換算の数え方は「人員基準」と「加算要件」で異なる
| 比較する視点 | 人員基準の常勤換算 | 加算要件の常勤換算 |
|---|---|---|
| 数える目的 | 必要な人員を満たしているかを判定するため | 手厚いサービス提供を評価するため |
| 休暇等の期間の扱い | 暦月で1月を超えない休暇等は、常勤として勤務したものとして扱う | 常勤・非常勤にかかわらず、実際の勤務時間数により計算する |
| 休暇中の時間 | 勤務したものとして数えられる場合がある | 実際の勤務時間ではないため数えない |
参考:栃木県「各種加算の要件における常勤換算方法の解釈について」
まとめ
常勤換算とは、事業所で働く全職員の労働時間を常勤職員が何人分に相当するかに換算した人数のことです。計算式は「全職員の勤務延べ時間数 ÷ 常勤職員が勤務すべき時間数」で、分母となる時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とすることが定められています。
この数値が使われるのは、事業所が人員配置基準を満たしているかを判定するためです。訪問介護や訪問看護ステーションのように常勤換算2.5以上と定められたサービスもあれば、通所介護のように利用者数やサービス提供時間帯を軸にした別の計算式を使うサービスもあります。基準を満たせなくなった場合は指定の取消しや効力停止の対象となるため、事業所にとって常勤換算の管理は欠かせません。
計算で迷いやすいのは、常勤・非常勤が雇用形態ではなく勤務時間で決まる点、休暇や出張の扱いが常勤と非常勤で異なる点、兼務ではその職種の時間だけを数える点の3つです。育児や介護のための短時間勤務には、週30時間以上で常勤として扱える特例も用意されています。
求人票に常勤換算数が記載されていたら、頭数とあわせて確認してみてください。数字の裏側にある人員体制が見えてくると、職場選びの判断材料が1つ増えます。気になる職場があれば、見学や面接の場でシフトの組み方まで聞いてみることをおすすめします。



