20代の薬剤師が転職する際のメリットや失敗パターンは?年次別の進め方と選択肢

20代の薬剤師が転職する際のメリットや失敗パターンは?年次別の進め方と選択肢 イメージ
  • X
  • Facebook
  • LINE

「まだ経験が浅いのに転職を考えるのは早すぎるだろうか」「今動いたら、次の職場で通用しないのではないか」。20代で転職を意識し始めた薬剤師の方から、こうした声をよく聞きます。国家資格を持つ専門職だからこそ、一度の判断が長いキャリアに響くのではないかと不安になるのは自然なことです。

ただ、20代の薬剤師の転職は決して珍しいものではありません。むしろ、年齢で応募が締め切られる進路があることを考えると、20代のうちにしか選べない選択肢が存在します。一方で、目的を決めないまま動いて後悔する方がいるのも事実です。

この記事では、20代の薬剤師が転職を考える理由から、1年目と6年目で何が変わるのかという年次別の違い、20代で転職するメリット、年齢制限のある進路の逆算、そして失敗しやすいパターンまでを整理します。自分がいま動くべきか、それとも準備してから動くべきかを判断する材料として活用してください。

気になることを
キャリアパートナーに相談できます

気になる内容をお選びください(複数選択可)

20代の薬剤師が転職するのは早くない

調剤室で笑顔を見せる3人の薬剤師

20代で転職を考えると、「根性がない」「もう少し我慢すべきだ」といった言葉が頭をよぎるかもしれません。しかし実際のデータを見ると、20代で職場を変わることは特別な行動ではなく、採用する側もそれを前提に選考を組み立てています。

まずは、転職市場全体で20代がどう位置づけられているのかを確認しておきましょう。ここを押さえておくと、後に出てくる年次別の判断や進路の逆算が理解しやすくなります。

20代で転職する人は珍しくない

厚生労働省の雇用動向調査によると、令和6年の1年間で、常用労働者のおよそ1割が前の職場から移って新しい職場に入っています。転職そのものが例外的な行動ではないことがわかります。

新卒で就職した人に限って見ても、状況は同じです。大学卒業後3年以内に最初の職場を離れる人は3割を超えており、医療・福祉の分野ではその割合がさらに高くなっています。つまり、20代のうちに一度職場を変えること自体は、統計の上ではむしろ多数派に近い動きです。

数字で見る20代の転職動向

492万人
転職入職者数(令和6年)
9.7%
転職入職率(令和6年)
33.8%
大卒3年以内離職率
40.8%
医療,福祉3年以内離職率
※薬剤師単独の公的統計はなく参考値

薬剤師だけを取り出した離職率の公的統計は公表されていないため、これらは全産業や大卒者全体の数字です。それでも、「20代で辞めるのは自分だけではないか」という不安が事実に基づいたものではないことは、十分に読み取れます。

採用する側が20代に期待すること

採用側から見ると、20代の薬剤師は「これから長く働いてもらえる人材」として位置づけられます。募集や採用で年齢を問うことは法律上原則として認められていませんが、長期勤続によるキャリア形成を目的とする場合など、限られた条件では若年層に絞った募集が例外的に認められています。

若手向けの求人が一定数存在するのは、この仕組みが背景にあります。

そのうえで、面接で見られるポイントは経験年数によって変わります。20代前半であれば処方箋の応需枚数や監査のスピードよりも、仕事への向き合い方や、新しい業務を覚えるまでの姿勢が重視される傾向があります。20代後半になると、これまで担当してきた業務の範囲や、後輩への関わり方まで踏み込んで聞かれる場面が増えます。

20代の薬剤師が採用側から見られている点


  • 長く勤めてもらえる見込みがあるか
  • 指導や研修を受け入れる柔軟さがあるか
  • 今の職場でどこまで業務を任されてきたか
  • 転職の理由が次の職場でも繰り返されないか

裏を返せば、20代の選考では「これまでの実績」だけでなく「これからの伸びしろ」も評価対象になるということです。経験が浅いことは、必ずしも不利にはたらくとは限りません。

参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」

今のあなたの状況は?

20代の薬剤師が転職を考える理由

転職について悩む女性薬剤師

転職を考えるきっかけは人それぞれですが、実際に転職した人がどんな理由で前の職場を離れたのかは、統計から傾向を読み取ることができます。雇用動向調査では、転職した人が前の職場を辞めた理由が年齢層別に集計されています。

ここでは、20代の薬剤師からよく挙がる理由を4つに分けて整理します。自分の悩みがどれに近いかを確かめながら読み進めてみてください。なお、ここで扱う統計は全産業を対象としたもので、薬剤師だけを抜き出した数値ではない点はご留意ください。

仕事内容にやりがいを感じられない

調剤薬局に勤めていると、日々の業務が処方箋の応需と監査、投薬の繰り返しになり、「このまま続けて何が身につくのだろう」と感じる方がいます。特に応需する診療科が限られている門前薬局では、扱う薬剤の種類が固定されやすく、経験の幅が広がりにくいと感じる場面があります。

雇用動向調査でも、前職を辞めた理由として「仕事の内容に興味を持てなかった」「能力・個性・資格を生かせなかった」を挙げる20代は一定数います。薬剤師免許を持ちながら、その知識を使いきれていないという感覚は、20代に特有の悩みといえます。

ただし、この理由で動く場合は注意が必要です。やりがいのなさが職場の業務範囲によるものなのか、それとも薬剤師という仕事そのものへの違和感なのかで、選ぶべき道が変わってきます。前者であれば在宅医療や病院への転職で解消できる可能性がありますが、後者であれば転職先を変えても同じ悩みが続くことがあります。

年収が上がる見通しがない

薬剤師の年収は、初任給の水準が他職種と比べて高い一方で、その後の伸び方は緩やかになりやすい傾向があります。賃金構造基本統計調査を見ると、薬剤師の平均年収は50代前半でピークを迎え、そこから緩やかに下がっていく形を描きます。

年齢による薬剤師の年収カーブ(イメージ)

上昇が続く ピーク 約744万円 緩やかに下降 20代 30代 40代 50〜54歳 55歳〜

※金額を明示しているのは50〜54歳の平均値のみで、他の年代は傾向のみを示す

問題は、初任給が高い分、勤続を重ねても給与が大きく変わらない職場があることです。定期昇給の幅が小さく、役職に就かない限り数年間ほぼ横ばい、というケースは珍しくありません。20代半ばで「あと10年勤めても、今とそう変わらないのではないか」と気づき、転職を考え始める方がいます。

同じ薬剤師でも、勤務先の業態によって給与水準には差があります。年収を理由に動くのであれば、目の前の提示額だけでなく、その職場で何年働いたときにどう変わるのかまで確認しておくことをおすすめします。

人間関係や職場環境が合わない

薬局は少人数の職場が多く、1店舗あたり数名で回している場合、人間関係の影響が仕事の満足度を大きく左右します。雇用動向調査でも、20代後半の転職者が前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」は上位に入ります。

環境面では、労働時間や休日の取りにくさも理由として挙がります。一人薬剤師の店舗では休憩が取りづらく、有給休暇の取得も調整が難しいという声があります。人員に余裕のない職場では、体調を崩したときの代わりが立てにくいという不安もつきまといます。

  • 少人数の職場で相談できる相手がいない
  • 一人薬剤師で休憩や有給が取りにくい
  • 店舗異動が多く生活のリズムが安定しない
  • 残業や休日出勤が慢性化している

これらは個人の努力では変えにくい構造的な問題であることが多く、環境を変えるほうが早い場合があります。

ライフステージが変わる

20代後半になると、結婚や出産、パートナーの転勤といった生活の変化が転職のきっかけになることがあります。雇用動向調査でも、20代後半の女性では結婚や出産・育児を理由に前職を離れる割合が他の年代より高くなっています。

薬剤師は資格を持っているため、一度現場を離れても復帰しやすい職種です。とはいえ、育休の取得実績がある職場かどうか、時短勤務の受け皿があるかどうかは、事業所によって大きく異なります。ライフイベントを見据えて動くのであれば、制度が就業規則にあるかだけでなく、実際に使っている人がいるかまで確認しておくと安心です。

前職を辞めた理由(年齢・性別)

雇用動向調査・転職入職者の構成比

給料・労働条件・人間関係など 仕事内容・能力を生かせない

男性 20〜24歳

05101520%
給料等収入が少なかった
12.5%
労働条件が悪かった
11.3%
人間関係が好ましくなかった
7.6%
仕事の内容に興味を持てなかった
6.3%
会社の将来が不安だった
5.0%

男性 25〜29歳

05101520%
給料等収入が少なかった
16.9%
人間関係が好ましくなかった
11.5%
労働条件が悪かった
9.8%
会社の将来が不安だった
8.1%
仕事の内容に興味を持てなかった
5.6%
能力・個性・資格を生かせなかった
4.7%

女性 20〜24歳

05101520%
労働条件が悪かった
13.6%
人間関係が好ましくなかった
9.8%
給料等収入が少なかった
7.6%
仕事の内容に興味を持てなかった
3.2%
能力・個性・資格を生かせなかった
3.1%

女性 25〜29歳

05101520%
労働条件が悪かった
15.2%
人間関係が好ましくなかった
14.0%
結婚
8.1%
給料等収入が少なかった
7.9%
仕事の内容に興味を持てなかった
4.8%
能力・個性・資格を生かせなかった
4.3%
出産・育児
1.7%

※複数回答

参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

【年次別】立場と選択肢の違い

調剤台で並んで作業する2人の女性薬剤師

「20代の転職」とひとくくりに語られがちですが、1年目と6年目では、採用側からの見られ方も、選べる道も大きく変わります。同じ20代でも、経験年数によって手元にある材料が違うためです。

ここでは20代を3つの区分に分け、それぞれの立場でどう評価され、どんな選択肢が現実的なのかを整理します。自分の年次に当てはめながら読んでみてください。

1〜3年目

この時期は、即戦力としてよりも育成前提のポテンシャル採用として見られることが多い段階です。処方箋の応需枚数や扱った薬剤の幅よりも、基本的な業務を正確にこなせるか、指導を受け止められるかが評価の中心になります。

そのため、選べる転職先は比較的広く取れます。調剤薬局から病院、ドラッグストア、企業といった業態をまたぐ移動も、この時期であれば「経験が浅いから」という理由で門前払いされにくい傾向があります。

一方で、短期間での退職が続くと、次の選考で理由を細かく問われる点には注意が必要です。1年未満での退職を繰り返している場合、「今回も同じことになるのではないか」と見られやすくなります。この年次で動くのであれば、辞める理由が次の職場では起きないことを説明できるかどうかが分かれ目になります。

4〜5年目

4〜5年目になると、一人で店舗を回せる、あるいは一定の業務を任されている状態が前提になります。この段階ではポテンシャルと実務経験の両方で評価される「橋渡しの時期」といえます。

採用側は、応需してきた診療科の幅、在宅医療の経験の有無、後輩の指導経験といった具体的な内容を聞いてきます。1〜3年目のように「これから覚えます」という答え方では物足りないと受け取られる場面が出てきます。

その代わり、選択肢の質は上がります。年収交渉の材料を持てるようになり、店舗の管理を任される前提での採用や、在宅に力を入れている薬局への移動といった、業務内容を軸にした転職が現実的になります。企業の中途採用でも、実務経験を要件に含む求人に応募できる範囲が広がります。

薬剤師の求人を探す

6年目以降

20代後半で6年目以降になると、即戦力としての評価が中心になります。ここからは「若さ」ではなくこれまで何を任され、何をつくってきたかで判断される段階に入ります。

この年次で開いてくるのが、資格や役割を要件とする選択肢です。たとえば認定実務実習指導薬剤師は、実務経験5年以上が申請の要件とされており、6年目以降にようやく射程に入ります。管理薬剤師については法令上の実務年数の要件はありませんが、実際の求人では一定の経験年数を条件にしている職場があります。

認定資格の申請要件
認定実務実習指導薬剤師
薬学教育協議会
実務経験
5年以上
必須の受講
講習会とワークショップの受講
試験
なし
※実務経験5年以上が申請の起点になるため、到達は6年目以降が目安

一方で、20代のうちに動けるタイムリミットが近づく時期でもあります。年齢で応募が締め切られる進路については後の章で詳しく扱いますが、6年目以降は「20代枠」で応募できる期間が残り少ないという意識を持っておくと、判断を先送りせずに済みます。

年次別に見る評価・業務範囲・動きやすさの違い

1〜3年目4〜5年目6年目以降
評価の中心 基本業務の正確さと指導の受け止め方。育成前提のポテンシャル採用 ポテンシャルと実務経験の両方。橋渡しの時期 即戦力としての実績
聞かれる内容 これから覚える姿勢、仕事への向き合い方 応需してきた診療科の幅、在宅経験、後輩指導 何を任され、何をつくってきたか
動きやすさ 業態をまたぐ移動もしやすい 管理前提の採用や在宅重視の薬局への移動が現実的に 20代枠で応募できる期間は残り少ない
交渉の材料 まだ持ちにくい時期 任された業務の範囲を材料にできる 役割と実績の両方を材料にできる

※年次の区切りは目安であり、任される範囲は職場ごとに異なる

参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」一般社団法人薬学教育協議会「認定実務実習指導薬剤師申請について」e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

20代で転職するメリット

調剤薬局で丸サインをつくる笑顔の薬剤師

ここまで見てきたとおり、20代の転職には年次による違いがあります。そのうえで、20代という年代そのものが持つ強みも確かに存在します。

ここでは、30代以降と比べたときに20代がどう有利なのかを3つの観点から整理します。

ポテンシャルを評価されやすい

20代の最大の強みは、実績が足りない分を将来性で補える点にあります。30代以降の中途採用では即戦力としての実績が問われますが、20代では「これから育てられる人材か」という基準が加わります

この差は、給与面にも表れています。雇用動向調査によると、転職によって賃金が増えた人の割合は20代前半で最も高く、年齢が上がるにつれて下がっていきます。50代後半以降になると、賃金が減った人の割合のほうが多くなります。転職で待遇を上げやすいのは、20代のうちだということです。

もちろん、これは全産業の傾向であり、薬剤師に限った数字ではありません。それでも、年齢が上がるほど転職で条件を良くするハードルが上がるという方向性は、薬剤師のキャリアを考えるうえでも参考になります。

未経験の分野に挑戦しやすい

薬剤師の働く場所は、薬局だけではありません。厚生労働省の統計を見ると、届出のある薬剤師の勤務先は薬局が中心である一方、病院や診療所、企業、大学、行政などにも分かれています。資格を活かせる場は、想像より広く取れます。

届出薬剤師の就業先分布
329,045人届出薬剤師数
60.0%薬局
20.8%その他(企業・大学・行政等)
17.5%病院
1.7%診療所
※薬局以外への就業先も一定数あり、業態をまたぐ移動は珍しくない

そして、業態をまたぐ移動は、経験の浅い20代のほうが受け入れられやすい傾向があります。調剤薬局から病院へ、病院から企業へといった転換は、実務経験を積むほど「これまでのキャリアと合わない」と見られやすくなるためです。

未経験可の求人が一定数あることも、この時期に挑戦しやすい理由の一つです。ただし、未経験可であっても、なぜその分野に移りたいのかを説明できないと選考は通りません。興味があるという理由だけでなく、今の職場での経験がどうつながるのかまで整理しておくことが大切です。

未経験から動くなら求人条件も見ておきましょう
  • 掲載中の薬剤師求人のうち、未経験可は53%
  • 賞与・ボーナスありは66%、退職金制度ありは57%
  • 年間休日120日以上は27%と、条件差は大きめ
  • 医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)
キャリアパートナー

年齢制限のある進路を選べる

募集や採用において年齢を理由に応募を断ることは、労働施策総合推進法により原則として禁止されています。ただし、この原則には例外が定められており、長期勤続によるキャリア形成を図る目的で若年層を対象とする場合などは、年齢制限が認められています

さらに、公務員の採用試験のように、そもそもこの原則の対象外として年齢要件が設けられている進路もあります。つまり、応募できる期間が最初から区切られている道が存在するということです。

こうした進路は、迷っているうちに応募資格そのものを失います。20代のうちに選択肢として認識しておくかどうかで、30代に入ってからの選べる幅が変わってきます。次の章では、この「締め切りのある進路」を具体的に見ていきます。

転職で賃金が増えた人の割合
20〜24歳50.5%
25〜29歳46.3%
全年齢計40.5%
※全産業の転職入職者の平均で薬剤師に限定した数値ではない
年齢制限は原則禁止、例外は限定的
原則
労働施策総合推進法第9条により、事業主は募集・採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない
例外
長期勤続によるキャリア形成を図る目的で、若年者などを期間の定めのない労働契約で募集する場合などに限り、年齢を定めた募集が認められる

参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」ハローワークインターネットサービス「年齢制限該当事由について」

お探しの求人は?

年齢で締め切られる進路を逆算する

オフィスでデスクワークをする薬剤師

20代の転職で見落とされやすいのが、「いつまでに動くか」という視点です。多くの求人は年齢を問いませんが、一部の進路には応募できる期限があります。

ここでは、期限のある3つの進路を取り上げます。いずれも募集ごとに要件が異なるため、必ず最新の募集要項を確認することを前提に読んでください。

公務員薬剤師

保健所や自治体の衛生部門、地方厚生局、麻薬取締部などで働く公務員薬剤師は、20代のうちに検討しておきたい進路の一つです。公務員の採用試験は、民間企業の募集とは異なり、受験できる年齢が明確に区切られています。

たとえば人事院が実施する国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)では、受験資格が生年月日で定められており、2026年度試験では1996年4月2日から2005年4月1日までに生まれた方が対象とされています。上限を過ぎると、どれだけ実務経験を積んでいても受験できません

ただし、年齢要件は自治体・省庁ごとに異なります。都道府県や市町村の薬剤師職では、国家公務員より上限が高く設定されている場合も、社会人経験者枠が別に用意されている場合もあります。断定的な情報を鵜呑みにせず、志望先の採用ページで直接確認してください。

2026年度 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)の受験資格

生年月日の下限 1996年4月2日
生年月日の上限 2005年4月1日

この期間に生まれた人が受験対象

※上限を過ぎると、実務経験があっても受験できない

※年齢要件は自治体・省庁ごとに異なるため、必ず募集要項で確認する

企業の第二新卒枠

製薬企業やCRO、医薬品卸などの企業では、新卒採用とは別に第二新卒枠を設けているところがあります。この枠が存在する背景には、国が事業主に対して示している指針があります。

厚生労働省の青少年雇用機会確保指針では、学校卒業見込者などの採用枠について、既卒者が卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすることと、できる限り上限年齢を設けないようにすることが、事業主の努力義務として示されています。第二新卒という言葉に法律上の定義はありませんが、この「卒業後3年」という目安が実務上の基準として広く使われています。

6年制の薬学部を卒業した場合、卒業時点で24歳前後になることが多く、卒業後3年は20代半ばまでにあたります。企業への転換を考えているのであれば、この時期が一つの分岐点になります。

第二新卒枠が使える期間の目安

1
6年制薬学部を卒業(卒業時24歳前後)
2
卒業後少なくとも3年間は応募できるよう努める
できる限り上限年齢を設けないよう努める(いずれも事業主の努力義務)
3
20代半ばが第二新卒枠の目安

※第二新卒に法律上の定義はなく、上記は事業主の努力義務であって義務ではない

大学院への進学

研究職や大学教員、専門性の高い臨床業務を目指す場合、大学院への進学が選択肢になります。6年制の薬学部を基礎とする大学院は博士課程のみが置かれ、標準修業年限は4年とされています。

修了には4年以上の在学と30単位以上の修得、研究指導を受けたうえでの博士論文の審査と試験の合格が必要です。

大学院(博士課程)の修了要件チェック

標準修業年限4年(博士課程)
4年以上在学する
30単位以上を修得する
必要な研究指導を受ける
博士論文の審査及び試験に合格する

※優れた研究業績を上げた場合は在学期間を短縮できることがある

進学に年齢制限はありません。ただし、4年という在学期間があるため、進学するタイミングがそのまま修了時の年齢を決めます。20代前半で進学すれば20代のうちに修了できますが、20代後半からでは修了時に30代に入ります。

学費と、その間の収入が下がることも織り込む必要があります。社会人向けに夜間や長期履修の制度を設けている大学院もあるため、働きながら通えるかどうかを含めて、早い段階で情報を集めておくと判断しやすくなります。

参考:人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」千葉労働局「【事業主向け】卒業後3年以内の既卒者は、新卒枠での応募受付を!」e-Gov法令検索「大学院設置基準」

転職前に積んでおきたい経験

研修や勉強会でメモを取る薬剤師

20代の転職では若さが評価されると述べましたが、それだけで選考を通過できるわけではありません。「若いので伸びしろがあります」という説明だけでは、他の応募者と差がつきません。

ここでは、今の職場にいるうちに用意できる材料を3つ紹介します。すぐに動くべきか、半年ほど準備してから動くべきかを判断する材料にもなります。

在宅医療や無菌調剤の経験

在宅医療の経験は、転職市場で分かりやすい評価材料になります。ただし、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定するには、地方厚生(支)局長への事前の届出が必要です。届出をしていない薬局に勤めている場合、そもそも在宅に取り組む機会がありません。

無菌調剤についても同様です。無菌調剤室を持つ薬局は限られますが、医薬品医療機器等法施行規則では、無菌調剤室を持たない薬局の薬剤師が、他の薬局の無菌調剤室を利用して無菌製剤処理を行うことが認められています。この共同利用の枠組みを使えば、自分の薬局に設備がなくても経験を積める可能性があります。

今の職場で在宅・無菌調剤に関われるかの条件

取り組み取り組む内容必要な準備・要件
在宅患者訪問薬剤管理指導 患者宅を訪問し薬学的な管理指導を行う 地方厚生(支)局長への事前届出が必須。届出のない薬局では取り組む機会がない
無菌調剤室の共同利用 無菌製剤処理が必要な調剤に携わる 自局に無菌調剤室がなくても、無菌調剤室を持つ薬局に依頼して利用できる(施行規則第11条の8ただし書き)

※届出の有無や共同利用の可否は薬局ごとに異なるため勤務先への確認が必要

今の職場でこれらに関われるかどうかは、上司に確認してみる価値があります。関われるのであれば、半年から1年準備してから動くほうが、選考で示せる材料は確実に増えます。

認定資格の取得

認定資格は、勉強してきたことを客観的に示せる材料です。代表的なものが日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師で、認定申請日から遡って4年以内に40単位以上を取得していることが新規申請の要件とされています。

ここで重要なのは、単位の取得には時間がかかるという点です。転職を決めてから慌てて取れるものではなく、日頃から研修会に参加して単位を積み上げておく必要があります。20代のうちにこの習慣をつけておくと、いざ動くときの持ち駒になります。

  • 資格そのものより、取得までに続けた学習の姿勢が評価される
  • 単位は数年かけて積むものなので、転職を決める前から始める
  • 今の職場に研修費の補助や勤務調整の制度があるか確認する

後輩指導や管理業務の経験

4〜5年目以降であれば、後輩の指導や店舗の管理業務に関わった経験が強い材料になります。新人のプリセプターを担当した、実習生を受け入れた、シフトや在庫の管理を任されたといった経験は、薬剤師としての実務以外に、組織の中で果たしてきた役割を示せます

管理薬剤師については、法令上の実務年数の要件はありません。ただし実際の求人では経験年数を条件にしている職場が多く、管理業務の経験があるかどうかが、応募できる求人の幅を左右します

管理薬剤師の実務要件 法令と求人現場のギャップ

法令上の要件求人現場の実態
実務経験年数 医薬品医療機器等法に年数の定めなし 経験年数を条件にする求人が多い
評価される経験 特に規定なし プリセプター・実習生の受け入れ、シフトや在庫の管理経験

※求人ごとの目安であり、必要年数を一律には言えない

こうした役割は、待っていても回ってこないことがあります。今の職場で「やらせてほしい」と手を挙げておくことが、そのまま次の職場での選択肢を広げることにつながります。

薬剤師の求人を探す

参考:関東信越厚生局「在宅患者訪問薬剤管理指導に係る届出」厚生労働省法令等データベースサービス「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」公益財団法人日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師の新規申請」

20代の転職で失敗しやすいパターン

調剤室でノートを前に悩む女性薬剤師

20代の転職には有利な面がある一方、動き方を誤ると次の職場でも同じ悩みを繰り返すことになります。ここでは、後悔につながりやすい3つのパターンを取り上げます。

いずれも、転職そのものが悪いのではなく、判断の順序に問題があるケースです。当てはまりそうな部分がないか確認してみてください。

目的が定まらないまま動く

最も多いのが、「今の職場が嫌だ」という気持ちだけで動いてしまうパターンです。辞めたい理由ははっきりしていても、次の職場に何を求めるのかが定まっていないと、求人を比較する軸が持てません。

結果として、給与や休日といった分かりやすい条件だけで選んでしまい、入職後に「思っていた仕事と違う」となりがちです。辞めたい理由と、次の職場に求める条件は別々に書き出しておくと、判断がぶれにくくなります。

  • 今の職場で解決できる問題ではないか確認したか
  • 次の職場で必ず満たしたい条件を3つ以内に絞ったか
  • その条件が求人票のどこで確認できるか把握しているか
  • 5年後にどうなっていたいかを言葉にできるか

転職活動するなら?

年収だけで判断する

提示された年収の高さだけで転職先を決めるのも、後悔につながりやすい判断です。20代の転職では賃金が上がる人の割合が高い一方で、20代後半では逆に賃金が下がった人も一定の割合で存在します。転職すれば必ず年収が上がるわけではありません。

また、目先の年収が高くても、その水準が何年続くのかは別の問題です。昇給の仕組みや賞与の算定方法、退職金制度の有無まで含めて比較しないと、数年後に同じ悩みを抱えることになります。

年収を上げたい場合でも、提示額だけでなく、5年後・10年後にどう変わるのかを面接で確認しておくことをおすすめします。曖昧な回答しか返ってこない職場は、その時点で判断材料になります。

短期間での退職を繰り返す

在籍期間が短い転職を重ねると、選考で不利にはたらく場面が増えます。採用側は「今回も短期間で辞めるのではないか」と考えるため、応募のたびに退職理由を細かく問われることになります。

さらに、経済的な影響もあります。雇用保険の基本手当を自己都合で退職して受け取るには、原則として離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。在籍期間が短いまま辞めると、この要件を満たせず、無収入の期間が生じるおそれがあります。

こうした事態を避けるには、在職中に転職活動を進め、次の勤務先が決まってから退職するのが基本です。今の職場に不満があっても、辞めるタイミングは自分で選べます。

転職の判断で見落としやすい2つのリスク

年収だけで判断するリスク

転職で賃金が減少した割合(令和6年)

20〜24歳
16.8%
25〜29歳
29.2%
25〜29歳のうち1割以上の減少 17.6%

20代後半は賃金が下がる転職も一定数ある

短期離職を繰り返すリスク

自己都合退職と基本手当の受給要件

被保険者期間
通算12か月以上
離職日以前2年間 離職日

離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要

在職中に活動し、次が決まってから退職するのが基本

参考:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

まとめ

20代の薬剤師の転職は、統計の上でも珍しい行動ではありません。1年間で1割近い人が職場を移っており、大学卒業後3年以内に最初の職場を離れる人は3割を超えています。「早すぎるのではないか」という不安は、必ずしも事実に基づくものではないといえます。

大切なのは、20代をひとくくりにせず、自分の年次で何が評価されるのかを把握することです。1〜3年目は育成前提のポテンシャル採用が中心で、選べる業態は広く取れます。4〜5年目は実務経験と将来性の両方で評価され、業務内容を軸にした転職がしやすくなります。6年目以降は即戦力として見られる一方、20代枠で応募できる期間が残り少なくなります。

そして、公務員薬剤師や企業の第二新卒枠のように、応募できる期限がある進路も存在します。年齢要件は募集ごとに異なるため、気になる進路があれば早めに募集要項を確認しておくことをおすすめします。

すぐに動くか、準備してから動くかで迷っているのであれば、今の職場で在宅医療や無菌調剤に関われるか、認定資格の単位を積み上げられるかを確認してみてください。半年の準備で選考に出せる材料が増えるのであれば、その時間は無駄になりません。目的を定めて、在職中から情報を集めることが、後悔しない転職への近道になります。

キャラクター
薬剤師に選ばれ続ける
「医療キャリアナビ」の特徴
特徴1.
忙しくてもLINEで好きな時間に相談可能♪
特徴2.
地域特化のため職場の内部情報が豊富!
特徴3.
面接対策や条件交渉など実践的サポートが充実!
※調査方法:アンケート/対象者:サービス利用による内定者288名/集計期間:2025年1月1日~2025年8月31日
LINE logo

薬剤師の無料転職サポート

医療キャリアナビでは、LINEで無料登録ができ、LINEで求人のご紹介や転職相談が可能です!

この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

医療キャリアナビ編集部

記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

\ シェア・拡散していただけると嬉しいです /

転職をご検討中の方へ

医療業界に詳しいキャリアパートナーが無料で転職サポートをさせていただきます!新着・非公開求人の紹介も可能です!

\ 非公開求人も多数 🔒 / 無料転職相談はこちら