助産師の1日のスケジュールは?日勤・夜勤の流れと配属先別の業務を解説
助産師の1日のスケジュールを調べると、時刻入りの表が並んでいます。ただ、その表のとおりに進む日は多くありません。お産がいつ始まるかは誰にも読めず、分娩が入れば受け持ちも記録を書く順番も組み替わります。
この記事では、分娩の有無で1日がどう変わるのかを先に整理したうえで、日勤・夜勤の流れ、分娩室や外来といった配属先ごとの業務、勤務先の種類による違いをまとめました。スケジュール表には出てこないのに退勤時刻を左右する業務も取り上げます。
就職先を選ぶときにどこを確認すればよいかが見えてくるはずです。
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助産師の1日は「お産があるかどうか」で変わる

分娩の介助は、始まる時刻も所要時間も事前に決められません。予定帝王切開のように日時が決まっている分娩もありますが、経腟分娩は陣痛が来たときが開始時刻です。
日本看護協会が全国の病院を対象に行った2025年の調査では、分娩を取り扱う病院は全体の18.0%(630施設)でした。その630施設に分娩1件あたりの助産師の配置数をたずねると、「常に1名配置」が41.4%、「常に2名以上配置」が40.8%と、ほぼ半分に分かれています。
1名配置の職場では、分娩が1件入った時点でその助産師の手はふさがります。つまり1日の流れは固定された時刻表ではなく、お産が入るかどうかで組み替わる可変的なものです。
分娩1件あたりの助産師の配置数
分娩がない日
入院している妊婦さん・産婦さんのケアと記録が業務の柱になります。
- 産後の母体の観察(子宮収縮、出血量、創部、バイタルサイン)
- 授乳の介助と乳房のケア
- 新生児の体重・黄疸・哺乳状況のチェック
- 沐浴指導や退院指導などの保健指導
- 妊婦健診や母乳外来の補助
予定帝王切開や計画分娩が組まれている日は、その準備が加わります。
落ち着いている日ほど、後回しになっていた記録の整理や指導用資料の作成に時間を充てられます。
分娩が入った日
分娩に付いた助産師は、原則としてその場を離れません。
陣痛の間隔、胎児心拍、産婦さんの体力と気持ちを続けて見る必要があるためです。受け持っていた他の妊婦さん・産婦さんは、リーダーや他のスタッフに一時的に引き継ぎます。
分娩が終わってからも、胎盤の確認、出血量の計測、母子の状態観察、早期母子接触の介助と続きます。出産の瞬間で業務が終わるわけではなく、分娩後2時間ほどは母体の観察が続くため、すぐ元の受け持ちには戻れません。
分娩が重なった日
2件以上の分娩が同時に進むと、シフト上の人数では回らなくなります。
受け持ちはその場でリーダーが振り分け直し、外来や他病棟の助産師、待機(オンコール)のスタッフにも応援を求めることになります。
分娩の有無で変わる1日の動き
| 観点 | 分娩がない日 | 分娩が入った日 | 分娩が重なった日 |
|---|---|---|---|
| 受け持ちの動き | 自分の受け持ちを通常どおり担当する | 分娩に付き添い、他の受け持ちは他スタッフへ一時的に引き継ぐ | その場でリーダーが受け持ちを振り分け直す |
| 記録 | その都度整理でき、資料作成にも時間を回せる | 分娩記録が加わり、通常の記録が後回しになりやすい | 勤務終了間際にまとめて書く |
| 休憩 | 交代でまとまった時間に取りやすい | 分娩の進み具合しだいでタイミングが後ろにずれる | 短時間に分けて交代で取る |
| 応援 | 呼ぶ場面はほぼない | 他の受け持ちのフォローを同僚やリーダーに頼む | 外来や他病棟の助産師、オンコールのスタッフにも要請する |
分娩が重なったときの応援体制は施設ごとに大きく違います
オンコールの回数と手当、実際に呼ばれる頻度は見学時に確認しておくと安心です
今のあなたの状況は?
【日勤】助産師の1日の流れ

日勤の勤務時間は施設によって違い、8時30分から17時15分、8時から16時30分などさまざまです。
ここで示す時刻はあくまで一例で、始業時刻も申し送りの方法も職場ごとに異なります。
日勤の流れ(時刻は一例)
出勤から情報収集まで
始業前に出勤し、受け持ちの妊婦さん・産婦さんの情報を電子カルテで確認します。見るのは夜間の経過、分娩の進行状況、新生児の体重や黄疸の推移、当日の検査や処置の予定です。
分娩が進行中の産婦さんがいれば、その進み具合がその日の組み立てを左右します。
始業前の情報収集にどれくらい時間をかけているか、それが労働時間として扱われているかは職場によって違うため、就職前に確認しておきたい点です。
申し送り
夜勤者から日勤者へ、一人ずつ状態と注意点を引き継ぎます。
- 夜間に分娩があったか、母子の状態
- 陣痛が始まっている産婦さんの進行度
- 出血量・痛み・授乳の状況
- 当日の帝王切開や検査の予定
申し送りの形も一通りではありません。全員が集まる方式、受け持ち同士で個別に引き継ぐ方式、電子カルテの記録を各自が読んで補足だけ口頭で伝える方式などがあります。
日中の受け持ち業務
午前は産後の観察、授乳介助、沐浴、保健指導が中心です。午後は退院指導、記録の整理、入院予約の対応、翌日の準備が入ります。
助産師は保健師助産師看護師法によって看護師の業務も行えるため、産科以外の患者さんが入院している病棟では、そちらのケアを担うこともあります。一方で主治医の指示がある場合を除き、診療機械の使用や医薬品の授与はできません。ただし臨時応急の手当と、へその緒を切る・浣腸を施すなど助産師の業務に当然付随する行為は、指示がなくても行えると定められています。
| 指示がなければ不可 | 診療機械の使用、医薬品の授与、医薬品についての指示 |
|---|---|
| 指示がなくても可 | 臨時応急の手当、へその緒を切る・浣腸を施すなど助産師の業務に当然付随する行為 |
休憩の取り方
休憩は交代で取るのが基本です。まとまった時間に取れるかは分娩の状況によって変わり、分娩が進んでいればタイミングは後ろにずれます。人数の少ない職場では、詰所で短く区切って取ることもあります。
休憩室の場所、休憩中に呼び出されることがあるか、何時ごろ食事を取れるかは見学時に聞きやすい項目です。
夜勤への申し送りと記録
終業前に夜勤者へ引き継ぎ、その日の記録を仕上げます。分娩があった日は分娩記録が加わるため、記録に充てる時間が読みにくくなります。記録が終業時刻に収まるかは、その日のお産の件数で変わります。
助産師の求人を探す【夜勤】助産師の1日の流れ

夜勤の形は大きく二交代制と三交代制に分かれます。日本看護協会の2025年調査では、病棟で採用されている夜勤形態は二交代制(夜勤1回あたり16時間以上)が78.3%、三交代制(変則を含む)が27.8%でした(複数回答)。最も多くの職員に適用されている形態でみると、二交代制(16時間以上)が66.0%、三交代制が16.6%です。
二交代制の場合
夕方から翌朝までを1回の勤務で担います。同じ調査では、二交代制の病院で最も長い夜勤帯の勤務時間は平均16.2時間で、16時間台が61.2%、17時間台が21.9%でした。
出勤する日数が少ないぶん連休を作りやすい一方、1回の勤務が長く、途中で分娩が入れば拘束されている時間のほとんどを分娩に使うこともあります。
夜間に陣痛で来院する産婦さんの受け入れ、入院の判断、医師への連絡も夜勤者の役割です。
二交代制・最も長い夜勤帯の時間分布
平均 16.2時間
三交代制の場合
日勤・準夜勤・深夜勤に分かれ、1回の勤務は8時間前後です。1勤務が短いため体への負担は分散しますが、勤務の切り替わりが多く、申し送りの回数もその分増えます。
深夜勤は深夜に出勤して朝まで、準夜勤は夕方から深夜までという形が一般的です。生活リズムの組み立ては、どちらの交代制かで大きく変わります。
- 求人票で見るのは「二交代か三交代か」だけでなく、月の夜勤回数と夜勤手当の内訳
- 仮眠室があるか、仮眠の時間が勤務表に組み込まれているかは見学時に確認
- 夜勤の入り方(連続で入るか、間を空けるか)は勤務表の実物を見せてもらうのが確実
仮眠と休憩の実際
日本看護協会は2013年に「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」を公表し、勤務編成の基準として11項目を示しています。勤務と勤務の間隔は11時間以上、夜勤の連続回数は2連続まで、休憩は夜勤の途中で1時間以上、夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定するといった内容です。
ただしこれは協会が提案する考え方で、法律上の義務ではありません。ガイドライン自体にも、すべての項目を一度に満たさなければならないわけではないと書かれています。実際にどの項目を院内ルールとして定めているかは病院ごとに違い、8割近くの病院が定めている項目もある一方、2割に届かない項目もあります。
休憩時間についても、就業規則で定められた長さは交代制の形によって差があります。ただし分娩が入れば予定どおりには取れないため、規定の長さと実際に取れる長さは別物として考えたほうが現実に近いです。
夜勤の規定休憩時間(平均)
参考:日本看護協会「夜勤・交代制勤務の負担軽減に向けて」 / 日本看護協会「日本看護協会調査研究報告シリーズ」
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【配属先別】1日の業務の違い

同じ病院に勤めていても、配属先によって1日の中身はまったく違います。
新卒配属や異動で影響が大きいのはこの違いで、施設の種類だけを見ていると実像がつかめません。
分娩室
大規模な病院では分娩室の配属になる場合もあります。
陣痛が始まった産婦さんの入院受け入れから、分娩の介助、分娩後の母子の観察までを担います。分娩がなければ器材の準備や点検、産婦さんの受け入れ準備に時間を充てます。
予定が立たないという点が最も強く出る配属先です。日勤で入って分娩が終わらないまま夜勤者に引き継ぐこともあり、逆に夜勤で1件も分娩がない日もあります。
産科病棟
産後の母子のケアと保健指導が中心で、退院までのスケジュールに沿って進みます。分娩室と比べると流れが読みやすい配属先です。
ただし産科だけの病棟に配属されるとは限りません。前掲の日本看護協会の調査では、分娩を取り扱う630施設のうち産科単科の病棟があるのは19.0%で、最も多いのは「産婦人科以外の診療科を含む、女性患者のみを受け入れる混合病棟」の54.1%でした。男性の患者さんも受け入れる混合病棟も16.8%あります。
混合病棟では産科以外の患者さんのケアも担うため、1日の業務に産科以外の内容が入ってきます。
産科の区域を分けている病院は混合病棟を持つ513施設のうち59.1%で、残りの4割弱は区域を特定していません。
外来(妊婦健診・母乳外来)
日勤中心で、時間の枠が決まっているのが外来の特徴です。妊婦健診は「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」で実施時期と回数が示されており、妊娠初期から23週まではおおむね4週間に1回、24週から35週まではおおむね2週間に1回、36週から出産まではおおむね1週間に1回、出産までに14回程度とされています。
助産師外来を設けている施設では、保健指導や相談を助産師が担当します。母乳外来では授乳の相談、乳房のケア、体重の確認をします。予約制のため、終業時刻の見通しは病棟より立てやすい配属先です。
産後ケア
産後ケア事業は母子保健法に定められた市町村の事業で、産後1年を経過しない女性と乳児が対象です。宿泊型・通所型・居宅訪問型の3つの形態があり、同じ産後ケアでも型によって1日の組み立てが違います。
助産師が担うのは、母体と赤ちゃんの状態の観察、授乳の支援、育児の相談です。病院の産科病棟と違って入院中の医療的な処置は少なく、生活に近い場面での支援が中心になります。
産後ケア事業 3類型の働き方の違い
| 宿泊型 | 通所型 | 居宅訪問型 | |
|---|---|---|---|
| 対応の場 | 施設に短期入所 | 施設に通所 | 自宅を訪問 |
| 夜間対応 | あり | なし | なし |
| 時間の区切り | 入所期間で連続的 | 日中の枠で区切り | 訪問時間で区切り |
| 移動 | なし | なし | 移動時間も業務に含む |
NICU・GCUと連携する場面
NICU(新生児集中治療室)とGCU(回復期治療室)は新生児の治療を担う部門で、配置されるのは主に看護師です。助産師が関わるのは、分娩後に赤ちゃんの状態が安定しないときの搬送や引き継ぎ、そして母親側のケアです。
赤ちゃんがNICUに入ると、母子は別の部署で過ごします。搾乳の指導、面会の調整、母親の気持ちの受け止めが助産師側の業務に加わり、部署をまたいだ連絡が1日の中で増えます。
参考:厚生労働省「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」 / e-Gov法令検索「母子保健法」
助産師の求人を探す【勤務先別】1日の違い

助産師がどこで働いているかを見ると、勤務先の幅がわかります。令和6年末現在、就業している助産師は38,721人で、うち病院が23,054人(59.5%)、診療所が8,672人(22.4%)、助産所が2,905人(7.5%)、市区町村が1,689人(4.4%)でした。
総合病院・周産期母子医療センター
リスクの高い妊娠・分娩を受け入れる施設です。合併症のある妊婦さん、早産、多胎などが集まり、産科医・小児科医・麻酔科医と連携する場面が多くなります。
部署が細かく分かれているため、分娩室・病棟・外来のいずれかに配属され、その部署の業務に専念する形が一般的です。研修や委員会の仕組みも整っており、勉強会が勤務時間内に組まれる施設もあります。
産科クリニック
分娩件数の規模に対してスタッフの人数が限られるため、1人が外来と病棟の両方を担うことがあります。午前は外来で妊婦健診、午後は病棟で産後のケアという組み方です。
分娩の受け入れを少人数で回す以上、オンコールの頻度は病院より高くなりがちです。呼び出しが月に何回あるか、手当がどう設定されているかは、応募前に確認しておきたい条件です。
- 掲載中の助産師求人44件のうち、クリニックが31件、病院が7件
- 月給の中央値は34.0万円(最低20.0万円〜最高52.5万円)
- 求人が多いのは神奈川・東京・千葉の順
助産所
助産師が開設し、助産師が管理者となる施設です。医療法で入所施設は妊婦・産婦・じょく婦10人以上を置けないと定められており、規模は小さくなります。
医師がいないため、開設者は嘱託する医師と病院または診療所を定めておかなければなりません。異常が起きたときは連携先へ搬送します。正常な経過の妊娠・分娩に限って扱うという前提のうえで、妊娠中から産後まで同じ助産師が継続して関わる形が取りやすい環境です。
市区町村・保健センター
日勤中心で、夜勤がありません。業務は乳幼児健診や新生児訪問、両親学級・母親学級の運営、産後ケア事業の窓口対応などです。
分娩の介助はほとんどありませんが、地域に暮らす親子と長く関わる点が病院との違いです。自治体の職員として働く場合は採用試験を経ることになり、募集の時期も限られます。
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / e-Gov法令検索「医療法」
転職活動するなら?
スケジュール表に現れない業務

時刻入りのスケジュール表には出てこないのに、実際の退勤時刻を左右する業務があります。これらが所定労働時間の中に収まるかは施設によって違い、就職先を比べるときの確認項目になります。
労働基準法では労働時間の上限を1日8時間・1週40時間と定め、使用者の指示で行う業務は労働時間として扱われます。前掲の日本看護協会の2025年調査では、正規雇用看護職員の月平均超過勤務時間は4.8時間、前年度の年次有給休暇取得率は平均69.6%でした。平均の数字である以上、職場ごとの幅は小さくありません。
労働条件の平均値
記録の作成
分娩記録、看護記録、助産録、指導の記録があります。分娩が入った日は記録量が増え、勤務終了間際にまとめて書くことになりがちです。
電子カルテの入力端末が何台あるか、記録のために残る時間をどう扱っているかで負担は変わります。記録の時間が勤務時間内に確保されているかは、見学時に聞いておきたい点です。
カンファレンスと委員会
受け持ちのケース検討や退院に向けた話し合いのほか、院内の委員会活動があります。感染対策、医療安全、褥瘡対策、業務改善などで、病棟から担当者を出す形が一般的です。
開催が勤務時間内か、時間外の扱いになるかは施設によります。委員会の数と開催頻度は、日々の業務量に直接響きます。
勉強会と後輩指導
分娩の件数が少ない施設では、経験を補うための院内勉強会や事例検討が組まれます。新人や実習生が入る時期は、指導が通常業務に上乗せされます。
指導者側にも記録や評価の作業があり、これも表には出てきません。指導を担う時期に業務の調整があるかどうかは、施設ごとの運用次第です。
まとめ
助産師の1日は、時刻入りのスケジュール表どおりには進みません。分娩が入るかどうかで受け持ちも記録の順番も組み替わり、分娩1件あたりの配置が1名か2名以上かで、その影響の大きさも変わります。
日勤は情報収集から申し送り、受け持ち業務、記録へと続き、夜勤は二交代制か三交代制かで1回の長さが大きく違います。配属先でみれば分娩室・産科病棟・外来・産後ケアで業務の中身が分かれ、産科だけの病棟は少数で、混合病棟が多数を占めます。勤務先の種類でも、総合病院、産科クリニック、助産所、市区町村と1日の組み立ては異なります。
見学や面接では、時刻入りのスケジュールだけでなく次の点を確認しておくと、入職後の姿が見えやすくなります。
- 分娩が重なったときに誰がどう動くか、応援の体制はあるか
- オンコールの回数と手当、実際に呼ばれる頻度
- 配属先の希望が通るか、異動の周期はどれくらいか
- 産科単科の病棟か混合病棟か、区域を分けているか
- 記録・カンファレンス・委員会が勤務時間内に収まっているか
気になる職場が見つかったら、条件を整理したうえで求人を比べてみましょう。働き方の実像は、同じ「助産師」という職種の中でも施設ごとに大きく違います。


