助産師になれる大学の選び方|学内選抜がある大学で後悔しないための確認点
助産師になれる大学を探していると、学校検索サイトに何十校もの名前が並びます。ただ、そのリストには「入学すれば助産師の受験資格まで進める大学」と「入学後にもう一度選抜がある大学」が混ざっています。
この記事では、助産師になれる大学のルートを4つの型に整理したうえで、多くの大学に置かれている学内選抜の仕組み、公的な学校一覧の使い分け、そして一覧では分からない確認項目をまとめます。
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助産師になるための大学ルート

助産師の免許は、助産師国家試験と看護師国家試験の両方に合格して初めて受けられます(保健師助産師看護師法第7条第2項)。そのうえで助産師国家試験を受けるには、文部科学大臣が指定した学校で1年以上助産に関する学科を修めるか、都道府県知事が指定した助産師養成所を卒業しなければなりません(同法第20条)。
「大学ルート」と一口に言っても、この条件をどこで満たすかによって4つの型に分かれます。必要な年数も学費も、受験のタイミングも型ごとに違います。
なお、助産師は同法第3条で「女子」と定められた資格です。
学部で助産師課程を履修する
看護学部・看護学科の4年間のなかに助産師課程が組み込まれている型です。保健師助産師看護師学校養成所指定規則第6条第2項は、看護師の養成課程と助産師の養成課程の指定を併せて受け、1つの教育課程で両方の教育内容を教授することを認めています。この仕組みがあるため、4年間で看護師と助産師の受験資格を同時に得られます。
修業年限が最短で、助産師課程のために追加の学費がかからない点が最大の利点です。一方で、この型だけは学部の入学定員と助産師課程の履修枠が一致しません。
大学の専攻科・別科に進む
大学を卒業したあと、大学に置かれた専攻科(助産学専攻科)や別科(助産別科)で1年学ぶ型です。指定規則第3条第2号で助産師の養成課程の修業年限は1年以上と定められており、専攻科・別科はこの1年課程にあたります。
文部科学省の一覧では、大学専攻科が33課程、大学別科が14課程です(令和7年5月1日現在)。入学定員がそのまま助産師課程の定員になるため、合格して入学した時点で履修が確定します。
大学院(修士課程)に進む
大学院の修士課程で助産師課程を履修する型で、2年かかります。文部科学省の一覧に載る大学院は57課程です。助産の実践に加えて研究の手法を学べる点が特徴で、教育職や専門性の高い実践を視野に入れる人が選ぶ傾向があります。
ただし大学院の場合も履修枠は分かれています。57課程の入学定員は合計1,487人ですが、このうち助産師課程を履修できる人数は393人です。専攻の定員がそのまま助産師課程の枠になるわけではない点は、学部と共通します。
大学卒業後に養成校へ進む
看護系の大学を卒業して看護師の受験資格を得たあと、都道府県知事が指定した助産師養成所(専門学校)へ1年通う型です。保健師助産師看護師法第20条第2号にあたります。
この型の養成所は都道府県知事の指定を受けるため、文部科学大臣が指定した学校を集めた文部科学省の一覧には載りません。探す際は、後述する全国助産師教育協議会の会員校一覧のように、設置区分をまたいで掲載している情報源を使うのが確実です。
参考:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」 / e-Gov法令検索「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」 / 文部科学省「文部科学大臣指定(認定)医療関係技術者養成学校一覧(令和7年5月1日現在)」
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「助産師課程のある大学」に入れば助産師になれるのか

学部内に助産師課程を置く大学は79校あります。この79校の学部入学定員は合計7,092人ですが、助産師課程を履修できる人数(養成可能人数)は合計703人です(令和7年5月1日現在)。単純に割ると、およそ1割にとどまります。
「助産師課程のある大学」という表記は、その大学に助産師課程が置かれていることを示すだけで、入学者全員が履修できることを意味しません。志望校を選ぶ前に、まずこの構造を押さえておくと判断を誤らずに済みます。
多くの大学で学内選抜がある
履修人数が絞られるのは、助産師課程の実習体制に理由があります。指定規則の別表二は臨地実習に11単位を求めたうえで、学生1人につき10回程度の分娩介助を行わせることを定めています。取り扱う分娩は原則として正期産・経腟分娩・頭位単胎に限られ、条件も細かく決められています。
学生1人につき10回程度の分娩介助を確保するには、実習先の分娩取扱数が受け入れ人数の上限を決めることになります。指定規則第7条第1項第9号が、指定の申請書に実習施設の「最近二年間の年別の…分べん取扱数」を記載させているのも、この裏づけを確認するためです。実習体制の裏づけがないかぎり履修枠を広げられない、という制度上の制約が学内選抜の背景にあります。
設置区分ごとに見ると、履修枠の絞られ方には差があります。
養成可能人数は大学ごとに異なります。学部の入学定員が同じ70人でも、助産師課程の枠が4人の大学と20人の大学があります。志望校の実際の人数は、必ず各大学の募集要項・履修要項で確認しましょう。
選抜の時期と方法
選抜は成績、面接、志望理由書などで行われる例が多く、学年の途中に実施されます。看護学の専門科目を一定程度履修した段階で判断されるため、入学後の成績がそのまま結果に影響します。
ただし、選抜の時期も評価の方法も大学ごとに異なります。募集の段階で時期を明示している大学もあれば、履修要項でしか分からない大学もあります。「この時期にこう選ばれる」と一般化せず、志望校の要項に当たるのが確実です。
履修できなかった場合の進路
学内選抜で履修できなかった場合でも、助産師になる道が閉じるわけではありません。卒業後に専攻科・別科(1年)、大学院(2年)、助産師養成所(1年)へ進む選択肢が残ります。
ただし、いずれも年数と学費が追加でかかります。国立大学の専攻科であれば、授業料の標準額は年額535,800円、入学料は169,200円です。私立の専攻科・別科は大学ごとに設定が異なるため、進学先の候補として早めに調べておくと安心です。
卒業後に進める3つの進路
参考:文部科学省「文部科学大臣指定(認定)医療関係技術者養成学校一覧(令和7年5月1日現在)」 / e-Gov法令検索「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」 / e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
助産師の求人を探す大学ルートと他のルートの違い

学部内履修、専攻科・別科、大学院、卒業後の養成所は、同じ「助産師になる道」でも条件が揃っていません。
学校検索サイトの一覧はこれらを区別せずに並べていることがあるため、比較の前提を揃えておく必要があります。
修業年限と学費
学部内履修は4年で完結し、助産師課程のための追加費用が発生しません。
前述のとおり、専攻科・別科・養成所は1年、大学院は2年が上乗せされます。
国立大学の場合、授業料と入学料には省令で標準額が定められています。学部と大学院研究科は授業料が年額535,800円・入学料282,000円、専攻科は授業料が同額で入学料169,200円、別科は授業料390,000円・入学料84,600円です。
私立大学学部の令和7年度入学者の初年度学生納付金は平均1,380,983円で、保健系を含む「その他学部」では平均1,473,056円でした。
国立大学の授業料・入学料の標準額
| 課程区分 | 授業料(年額) | 入学料 | 検定料 |
|---|---|---|---|
| 大学の学部 | 535,800円 | 282,000円 | 17,000円 |
| 大学院の研究科 | 535,800円 | 282,000円 | 30,000円 |
| 大学の専攻科 | 535,800円 | 169,200円 | 18,000円 |
| 大学の別科 | 390,000円 | 84,600円 | 9,800円 |
※標準額。各国立大学法人が実際の額を定める
取得できる資格の組み合わせ
学部内履修では、看護師課程と助産師課程を1つの教育課程で学びます。
指定規則の別表二は助産師課程の合計を31単位としたうえで、看護師課程と併せて教授する場合は30単位でよいとしています。
ここで注意したいのが保健師課程との関係です。看護師課程は別表三で102単位、保健師課程と併修する場合は100単位と定められており、保健師課程を併修できる大学もあります。
ただし、助産師課程と保健師課程の両方を4年間で履修できるとは限りません。選択できる組み合わせは大学ごとに違うため、「3つとも取れる」と考えて進学先を決めるのは避けたほうが無難です。
助産師課程31単位の内訳
臨地実習が全体の3分の1超を占める
合計31単位
国家試験を受けるタイミング
学部内履修では、4年次に看護師国家試験と助産師国家試験を同じ年に受験します。準備の負担は重くなりますが、卒業と同時に両方の免許を申請できます。
専攻科・別科・養成所・大学院のルートでは、まず学部4年次に看護師国家試験を受け、その後の課程を修了した年に助産師国家試験を受けます。看
護師免許を先に得られるため、課程に進む前に働く時間を挟むこともできます。前述のとおり助産師免許には両方の合格が必要なので、どちらの順序でも最終的に受ける試験は変わりません。
国家試験を受けるタイミングの違い
看護師課程の科目・実習を履修する
助産師課程に進む学生を学内で選抜
看護師国家試験と助産師国家試験を同じ年に受験する
看護師・助産師の免許を同時に申請
看護師・助産師 同時取得看護師国家試験のみを受験する
看護師免許を先に取得。
看護師免許 先行取得助産師課程で学ぶ
助産師国家試験を受験する
参考: e-Gov法令検索「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」 / e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」 / 文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
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助産師を目指せる大学の調べ方

学校名のリストは、公的な一覧と民間の進学情報サイトのどちらからでも手に入ります。ただし掲載範囲と更新のタイミングが違うため、目的によって使い分けると効率がよくなります。
| 情報源 | 大学院・専攻科・別科まで載るか | 助産師養成所(専門学校)が載るか | 養成可能人数が分かるか | 選抜の時期・方法が分かるか |
|---|---|---|---|---|
| 全国助産師教育協議会の会員校一覧 | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
| 文部科学省の指定学校一覧 | ◯ | ✕ | ◯ | ✕ |
| 各大学の募集要項・履修要項 | - | - | ◯ | ◯ |
全国助産師教育協議会の会員校一覧を使う
公益社団法人全国助産師教育協議会は、助産師教育を行う学校が加盟する団体です。会員校一覧では、大学・大学院・大学専攻科・大学別科・専修学校を横断して確認できます。地域ブロックごとに整理されているため、通学圏で候補を挙げるときに使いやすい構成です。
先に触れたとおり、助産師養成所(専門学校)は都道府県知事の指定を受けるため文部科学省の一覧には載りません。設置区分をまたいで探すなら、この一覧が出発点になります。
進学情報サイトの学校検索を使う
進学情報サイトの学校検索は、都道府県や設置区分での絞り込み、学費や入試方式の比較がしやすい点が利点です。「助産師」を条件に指定できるサイトも多くあります。
一方で、検索結果には学部内に助産師課程がある大学と、卒業後に別の課程が必要な大学が混在している場合があります。また、掲載範囲が広告掲載校に限られることもあります。
候補を広げる目的では便利ですが、そのまま志望校の判断材料にはせず、公的な一覧と突き合わせるのが安全です。
大学の募集要項・履修要項で確認する
最終的な確認先は、志望校が出している募集要項と履修要項です。助産師課程の養成可能人数、選抜の時期と方法、履修の条件は大学ごとに設定されており、一覧サイトの情報だけでは分かりません。
助産師課程は新設・廃止や募集停止が起こる分野でもあります。文部科学省の一覧にも募集停止中の課程が注記されているため、参照した一覧の基準日と、志望校の最新の要項を必ず突き合わせましょう。
参考:公益社団法人全国助産師教育協議会「正会員(会員校)一覧」 / 文部科学省「文部科学大臣指定(認定)医療関係技術者養成学校一覧(令和7年5月1日現在)」
助産師の求人を探す大学を選ぶときに確認する項目

学校名のリストは手に入っても、そこから絞り込む基準までは一覧に書かれていません。
志望校を比べるときは、次の4点を軸にすると差が見えてきます。
- 助産師課程の養成可能人数と選抜の方法
- 実習施設の数と分娩の取扱状況
- 国家試験の合格実績の公表のしかた
- 卒業生の就職先の傾向
助産師課程の定員と選抜方法
最初に確認したいのが養成可能人数です。文部科学省の一覧には大学ごとの養成可能人数が載っているため、志望校の枠が何人かはそこで確かめられます。学部の規模が同じでも枠の大きさは大学によって違うので、候補校を並べて比べてみましょう。
選抜方法とあわせて見ると、入学後に何を求められるかが具体的になります。学業成績の比重が高いのか、志望理由書や面接の比重が高いのかは大学ごとに異なるため、要項の記載を読み比べておきましょう。
実習施設と分娩の取扱状況
実習先の分娩取扱数は、その大学が受け入れられる助産師課程の人数を直接左右します。分娩介助の回数だけでなく、対象となる分娩の条件まで指定規則で定められているためです。
大学が指定を受ける際には実習施設の分娩取扱数を申請書に記載しますが、その数値が受験生向けに公表されているとは限りません。実習先が確保されているか、複数施設に分かれるのかは、オープンキャンパスや個別の問い合わせで直接確認する項目と考えておくのが現実的です。
- 監督者は助産師または医師
- 1人あたり10回程度の分娩介助が必要
- 対象は正期産・経腟分娩・頭位単胎に限る
国家試験の合格実績の見方
第109回助産師国家試験は、受験者数2,057人・合格者数2,040人で合格率99.7%でした。新卒に限ると受験者数2,028人・合格者数2,014人で99.8%です。
数字が示すとおり、助産師国家試験の合格率で大学を比べても差はほとんど出ません。むしろ注意したいのは、1校あたりの受験者数が数人から20人程度と少ないため、1人の不合格で率が大きく動く点です。学部全体の看護師国家試験の合格率と助産師国家試験の合格率を取り違えないことも大切です。
国は学校別の合格率を公表しておらず、公表するかどうかも、何年分をどう見せるかも大学の判断に委ねられています。
第109回 助産師国家試験の合格率
※学校別の合格率は国が公表していない
卒業後の就職先の傾向
令和6年末時点で就業している助産師は38,721人です。就業場所の内訳は病院が23,054人で全体の59.5%を占め、次いで診療所8,672人、助産所2,905人となっています。大学の実習先が病院中心か、助産所や診療所も含むかは、卒業後の働き方のイメージにもつながります。
就業助産師38,721人の勤務先内訳(令和6年末)
大学ごとの就職先は、進路実績として公表されている場合があります。附属病院や関連施設への就職が中心なのか、地元の周産期医療センターに広がっているのかを見ておくと、卒業後の選択肢を具体的に描けます。
- 掲載中の助産師求人44件のうち、クリニックが31件・病院が7件
- 正社員の月給中央値は34.0万円(クリニック35.0万円、病院35.9万円)
- 未経験可の求人は31件で全体の70%
参考: 厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格者発表」 / 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
今のあなたの状況は?
社会人・看護師から大学ルートで目指す場合

すでに看護師として働いている人や、看護系の大学を卒業した人が助産師を目指す場合、選ぶのは学部内履修以外の3つのルートです。
大学院を選ぶ場合
大学院の修士課程は2年かかりますが、助産の実践に加えて研究の手法を学べます。臨床経験を踏まえて教育や管理の道を視野に入れる人、専門性を体系立てて整理したい人に向いた選択肢です。
一方で、修士課程でも助産師課程の枠は専攻の定員とは別に決められています。出願前に、助産師課程としての募集人数がどう示されているかを確認しておきましょう。
専攻科・別科を選ぶ場合
大学の専攻科・別科は1年課程で、前述のとおり入学した時点で履修が確定します。学内選抜のような二段階の関門がないため、最短で資格取得まで進みたい場合に選びやすいルートです。
同じ1年でも、国立大学では別科のほうが専攻科より授業料も入学料も低く設定されています。名称が違うだけに見えても負担額には差があるため、候補が複数あるなら区分ごとに確認しておくと無駄がありません。ただし課程数が限られるため、通学圏に候補があるかどうかが実際の制約になります。
働きながら通えるか
助産学実習は平日に集中し、分娩は時間を選びません。実習期間中は夜間や休日に対応が必要になることもあります。
このため、フルタイム勤務と助産師課程の両立は現実的ではありません。休職や退職を前提に、1年から2年の生活費と学費をどう確保するかを先に決めておく必要があります。
看護師等修学資金のように、卒業後に一定期間指定の施設で勤務することを条件に返還が免除される制度もありますが、免除の条件は制度ごとに異なります。勤務先や勤務年数の条件まで確認したうえで利用を検討しましょう。
参考:e-Gov法令検索「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」 / e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」 / 文部科学省「文部科学大臣指定(認定)医療関係技術者養成学校一覧(令和7年5月1日現在)」
まとめ
助産師になれる大学を選ぶときは、学校名のリストを集めた次に、その大学で助産師課程を履修できる人数と選抜の仕組みを確認する作業が必要です。学部内に助産師課程を置く79大学の入学定員7,092人に対し、履修できる人数は703人。この差が、一覧ページからは見えない部分にあたります。
大学ルートは、学部内履修・専攻科・別科・大学院・卒業後の養成所という4つの型に分かれ、必要な年数も学費も国家試験を受ける時期も異なります。学部内履修が最短ですが、履修できなかった場合に1年から2年の上乗せが生じる点まで含めて比べると、判断の精度が上がります。
候補を挙げる段階では全国助産師教育協議会の会員校一覧と文部科学省の一覧を、絞り込む段階では各大学の募集要項・履修要項を使い分けましょう。定員と選抜方法、実習施設と分娩の取扱状況、合格実績の公表のしかた、就職先の傾向の4点を並べて比べれば、一覧では並列に見えた大学の違いがはっきりします。気になる大学があれば、オープンキャンパスや問い合わせで直接聞いてみるところから始めてみてください。
志望校に聞いておきたいこと


