みなしPTとは?柔道整復師の位置づけと転職したときの取り扱いについて解説
整形外科やクリニックなどの医療機関で「みなしPT」という言葉を聞いたことはないですか?
みなしPTという資格や免許は制度上はないですが、診療報酬の施設基準で、一定の条件を満たした柔道整復師などを理学療法士が勤務しているものとして届け出られるという取り扱いがあります。
この記事では、みなしPTの根拠になっている運動器リハビリテーション料の仕組み、受講が必要になる講習会、転職したときに修了の効力がどう扱われるか、そして介護保険の機能訓練指導員との違いを、厚生労働省の告示・通知と各団体の公式情報をもとに整理します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
「みなしPT」とは何を指す言葉?

みなしPTは、診療報酬のリハビリテーションに関する施設基準のなかで、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などが理学療法士の代わりに人員としてカウントされる場面を指して、現場で使われてきた言い方です。
制度上の資格の名称ではないこと
「みなしPT」という名称の免許・認定資格は、法令にも厚生労働省の通知にも存在しません。国家試験もなければ、免許証が交付されるわけでもありません。
この言葉が使われるのは、医療機関がリハビリテーションの診療報酬を算定するために、地方厚生局へ施設基準の届出をする場面です。
届出の人員要件を満たす人として柔道整復師を数えられるケースがあり、その状態を現場が「みなしPT」と呼んできました。人の資格ではなく、医療機関の届出上の取り扱いを指す言葉です。
診療報酬の施設基準に由来すること
根拠は、運動器リハビリテーション料(Ⅱ)の施設基準です。
令和8年度診療報酬改定後の通知には、当分の間、適切な運動器リハビリテーションに係る研修を修了した看護師・准看護師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師が専従の常勤職員として勤務し、運動器リハビリテーションの経験を有する医師の監督下に実施する体制が確保されている場合に限り、理学療法士が勤務しているものとして届け出ることができると書かれています。
この「理学療法士が勤務しているものとして」という一文が、「みなし」の由来です。
「当分の間」という限定が付いた経過的な取り扱いである点も、あわせて押さえておきましょう。
「理学療法士が勤務しているものとして」届け出るための3条件
理学療法士になれるわけではないこと
理学療法士及び作業療法士法は、理学療法士を「厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者」と定めています(第2条第3項)。
さらに同法第17条第1項は、理学療法士でない者が「理学療法士」という名称や、「機能療法士」その他まぎらわしい名称を使うことを禁じています。違反した場合は30万円以下の罰金の対象です(第22条第2号)。
- 患者さんへの自己紹介やスタッフ紹介で「理学療法士」「PT」と名乗ることはできません
- 名札・ホームページ・名刺の肩書きも同じ扱いです
- 「みなしPT」は院内の言い回しであり、患者さんに向けて使う言葉ではありません
「理学療法士とほぼ同じ仕事ができる」という説明も見かけますが、後述のとおり算定できる点数も実施の条件も違います。
他の呼び方
修了した講習会の名前から「運動器リハビリテーションセラピスト」「運動器リハセラピスト」と呼ばれることもあれば、診療報酬の通知の書きぶりに沿って「あん摩マッサージ指圧師等の従事者」と表現されることもあります。
求人票では「みなしPT募集」「運動器リハ・セラピスト歓迎」など表記がまちまちです。呼び方ではなく、どの団体の講習会修了を求めているのかで判断すると確実です。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
診療報酬上の仕組み

みなしPTという呼び方が成り立つ背景には、運動器リハビリテーション料の施設基準と算定ルールがあります。
運動器リハビリテーション料の施設基準
運動器リハビリテーション料は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分あり、医療機関が地方厚生局へ届け出た区分に応じて点数が決まります。人員の中心は理学療法士と作業療法士です。
(Ⅰ)は専従の常勤理学療法士または作業療法士が合わせて4名以上、(Ⅱ)は2名以上、(Ⅲ)はいずれか1名以上が必要です。柔道整復師が前述の3条件を満たして届出の人員に数えられるのは、このうち(Ⅱ)の基準だけです。(Ⅰ)と(Ⅲ)の人員要件に柔道整復師は出てきません。
点数は1単位20分あたり、(Ⅰ)が185点、(Ⅱ)が170点、(Ⅲ)が85点です。
運動器リハビリテーション料 (Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の基準比較
| 項目 | (Ⅰ) | (Ⅱ)柔道整復師が関わる基準 | (Ⅲ) |
|---|---|---|---|
| 専従の常勤PT・OT | 合わせて4名以上 | 2名以上 | いずれか1名以上 |
| 専用の機能訓練室 | 病院100㎡以上・診療所45㎡以上 | 病院100㎡以上・診療所45㎡以上 | 45㎡以上 |
| 点数(1単位20分) | 185点 | 170点 | 85点 |
配置が認められている職種
施設基準の通知が名指ししているのは、看護師・准看護師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師の4職種です。
前述の3つの条件のうち、働き方に直結するのが「専従の常勤職員」という部分です。専従が前提なので、呼吸器リハビリテーション料(Ⅱ)などとの兼任はできません。非常勤やパート勤務でも、この枠には入れません。
「監視下で行う」という条件
算定のルールを定めた通知では、運動器リハビリテーション料は「医師の指導監督の下、理学療法士又は作業療法士の監視下により行われたもの」について算定するとされています。
そのうえで、理学療法士・作業療法士以外の従事者が訓練を行った場合の取り扱いが別に定められています。医師または理学療法士が事前に指示を行い、かつ事後に報告を受ける場合に限り算定できるという条件です。
もう一つ大きいのが点数の扱いです。(Ⅰ)や(Ⅱ)を届け出ている医療機関でも、あん摩マッサージ指圧師等の従事者が訓練を行った分は(Ⅲ)の所定点数で算定します。
(Ⅲ)の届出医療機関で算定する場合は、専従の常勤理学療法士が勤務していることに加えて、運動療法機能訓練技能講習会の受講と定期的な研修の修了が求められます。
診療報酬は改定で変わること
診療報酬は2年に1度改定されます。直近は令和8年度改定で、令和8年6月1日から施行されました。施設基準の要件も、改定に合わせて通知が出し直されます。
柔道整復師の配置は「当分の間」という前置きのある取り扱いです。将来にわたって保証された制度ではないため、調べるときは必ず最新の改定年度の告示・通知にあたりましょう。
参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 / 厚生労働省「診療報酬の算定方法(◆平成20年03月05日厚生労働省告示第59号)」
柔道整復師の求人を探す運動療法機能訓練技能講習会

施設基準にある「適切な運動器リハビリテーションに係る研修」の中心が、この講習会です。実施団体が複数あり、どちらを修了したかで転職時の扱いが変わります。
実施している団体
代表的なのは、公益社団法人 全国病院理学療法協会が実施する運動療法機能訓練技能講習会です。厚生労働省の指導監督のもと、平成4年から毎年開催されています。
もう一つ、一般社団法人 日本運動器科学会のセラピスト研修認定制度があり、修了者は運動器リハビリテーションセラピストと呼ばれます。
両者は別の制度で、受講できる人の条件も、修了後の扱いも違います。求人票に「講習会修了者歓迎」とあっても、どちらを指しているかで意味が変わります。
受講の要件
全国病院理学療法協会の技能講習会は、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・看護師・准看護師等の免許を持ち、病院や診療所、介護保険施設などで医師の指示のもとリハビリテーション業務に従事している人が対象です。これから従事する予定の人も受講できます。
日本運動器科学会のセラピスト研修認定制度は条件が異なります。申請には、日本整形外科学会が認定する専門医資格を持つ同学会会員が常勤指導医として所属する医療機関に勤務していることが必要です。
技能講習会 と セラピスト研修認定制度 の受講要件比較
| 項目 | 全国病院理学療法協会運動療法機能訓練技能講習会 | 日本運動器科学会セラピスト研修認定制度 |
|---|---|---|
| 受講対象の免許 | あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・看護師・准看護師等 | 看護師・あん摩マッサージ指圧師などの国家資格または准看護師 |
| 勤務先要件 | 特になし。医師の指示のもとリハビリ業務に従事している(従事予定を含む)ことが条件 | 日整専門医が常勤指導医として所属する医療機関に勤務していることが申請要件 |
| はり師・きゅう師単独免許の扱い | 受講はできるが、算定要員として認められない | 対象資格に含まれず対象外 |
講習の内容と日程
技能講習会は200時間で、1単位45分、開催は原則として土日祝日です。令和8年度は近畿地方会での開催で、実施期間は令和8年7月5日から令和9年1月31日まで、申込期限は令和8年6月10日でした。開催する地方会は年度によって変わります。
科目は専門基礎科目と専門科目に分かれます。専門基礎科目はリハビリテーション概論・神経内科・脳神経外科・整形外科・老年医学・臨床心理学・社会福祉概論、専門科目は運動学・理学療法評価・理学療法(運動療法)・日常生活動作(ADL)・介護です。
これに加えて課題リポートを3題提出し、講習修了後に技能認定試験を受けます。合格して技能認定登録者として登録されると、算定要員として扱われます。
日本運動器科学会の制度では、実技プログラムの実施期間が3か月以上とされ、研修会の完全受講と修了試験の合格が必要です。
費用
技能講習会の受講料は年度と開催地方会によって変わるため、実施要項で確認する必要があります。全国病院理学療法協会のサイトでは、開催情報とあわせて実施要項が公開されます。
日本運動器科学会のセラピスト研修認定制度は、細則で費用が示されています。認定を受けるときは審査料5,000円・登録料5,000円・名簿等管理料3,000円・制度維持費3,000円(5年分)です。
資格は5年ごとの更新で、更新には5年間で12単位以上の取得が必要で、症例報告2単位と実技研修DVD2単位が必須です。
このほかに研修会の参加費や交通費もかかります。半年以上通う講習であれば、移動の負担も無視できません。
参考:全国病院理学療法協会「運動療法機能訓練技能講習会のご案内」
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
転職したときの取り扱い

「転職すると講習を取り直しになる」という話は、根拠を示さないまま広まっています。実際には、修了した講習会の実施団体と、医療機関側の届出という2つの要素で決まります。
修了の効力が個人に付くのか施設に付くのか
団体によって最も違うのがこの点です。
全国病院理学療法協会は、技能講習会について受講者本人の認定であり、勤務先が変わっても地方厚生局に届出を行えば再受講することなくすぐに算定できると明記しています。認定は本人に付くため、転職で取り直しにはなりません。
一方、日本運動器科学会のセラピスト研修認定制度は、申請の時点で「日本整形外科学会が認定する専門医資格を有する同学会会員が常勤指導医として所属する医療機関に勤務していること」が要件です。
認定者名簿には所属する医療機関名と氏名が記載されます。転職先がこの条件を満たすかどうかで扱いが変わる可能性がありますので、規則に書かれていない部分は学会へ直接確認するのが確実です。
「取り直しになる」という説明が出回るのは、この2つの制度が混ざって語られているためと考えられます。
認定はどちらに付くか
規則に明記のない部分は各団体へ直接確認する。
施設基準の届出との関係
本人の認定が続いていても、それだけでリハビリテーション料を算定できるわけではありません。施設基準の届出を行うのは、働く人ではなく医療機関です。
運動器リハビリテーション料の届出では、様式42に加えて、治療に従事する医師・理学療法士・作業療法士その他の従事者の氏名と勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の別)を様式44の2で提出します。従事者の氏名を記載して出す仕組みなので、人が入れ替われば新しい勤務先で改めて届出の対象になります。
転職後に算定できるかどうかは、本人の認定と、転職先が届出をするかどうかの両方で決まる、と考えておきましょう。
確認する方法
順番に確認すると迷いません。
- 自分が修了した講習会の実施団体を確認する(修了証・認定証に団体名が入っています)
- その団体に、転職後も認定が続くか、必要な手続きがあるかを問い合わせる
- 転職先の事務部門に、運動器リハビリテーション料の届出区分と、自分を従事者として届け出る予定があるかを確認する
3つめは応募の段階で聞いても失礼にはなりません。医療機関にとっても、届出の人員として数えられるかどうかは採用の判断に関わる情報です。
採用前に確認しておきたいこと
面接や条件面談で聞いておくと、入職後のずれを防げます。
応募時に確認しておきたい項目
- 修了済みの講習会が転職先でそのまま有効か
- 再受講が必要な場合、受講料は誰が負担するか
- 受講日は勤務扱いになるのか、休日を使うのか
- 運動器リハビリテーション料の届出区分((Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のどれか)
- 自分が届出上の従事者に含まれるか
再受講が必要になれば、200時間の講習を半年以上かけて受け直すことになります。費用と時間の負担が大きいので、入職前に書面で確認しておくのが無難です。
- まず修了証・認定証に書かれた実施団体名を確認しましょう
- 扱いを聞く相手は転職先ではなく、実施団体です
- 転職先には「届出上の従事者に含めるか」を応募時に聞きます
参考:日本運動器科学会「セラピスト研修認定制度に関する規則」 / 日本運動器科学会「セラピスト研修認定資格継続に関する細則」
機能訓練指導員との違い

診療報酬のみなしPTと、介護保険の機能訓練指導員は別の制度です。柔道整復師のキャリアを扱う記事でも混同されやすいので、根拠から分けて整理します。
根拠となる制度が異なること
みなしPTと呼ばれる立場は医療保険の診療報酬、機能訓練指導員は介護保険の指定基準に根拠があります。制度が違えば、要件も手続きも別々です。
機能訓練指導員は、指定居宅サービス等の基準で通所介護や短期入所生活介護などに1以上の配置が義務づけられた職種です。日常生活を営むのに必要な機能の減退を防ぐための訓練を行う職種と定義され、事業所の他の職務との兼務もできます。
みなしPTと機能訓練指導員は根拠が別の制度
同じ柔道整復師という免許でも、どちらの制度に立つかで求められる条件が変わる
資格要件の違い
厚生労働省の通知は、機能訓練指導員になれる人を「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者」と定めています。柔道整復師は、免許があればそれだけで要件を満たします。実務経験も講習会の修了も要りません。
診療報酬側の配置が研修の修了を前提にしているのとは対照的です。同じ柔道整復師でも、医療保険と介護保険で求められるものが違います。
医療保険と介護保険でみる資格要件の違い
| 資格 | 医療保険 運動器リハⅡ |
介護保険 機能訓練指導員 |
|---|---|---|
| 柔道整復師 | ◯ 研修修了必須 | ◯ 免許のみ |
| あん摩マッサージ指圧師 | ◯ 研修修了必須 | ◯ 免許のみ |
| はり師・きゅう師 | ✕ 対象外 | ◯ 実務6月以上 |
| 理学療法士・作業療法士 | ◯ 本来の配置人員 | ◯ 免許のみ |
| 言語聴覚士 | ✕ 対象外 | ◯ 免許のみ |
| 介護老人保健施設には機能訓練指導員の配置の定めがない(PT・OT・STを入所者100人に1人以上) | ||
講習の要否
機能訓練指導員として働くために、運動療法機能訓練技能講習会の修了は求められていません。介護保険の基準に講習会の規定がないためです。
「デイサービスで働くために講習会を受けなければならない」と誤解して申し込むと、200時間と受講料を使うことになります。講習会が効いてくるのは医療保険のリハビリテーション料を算定する場面であり、介護保険の機能訓練指導員とは切り分けて考えましょう。
ただし通所リハビリテーションの一部では技能講習会の修了者が算定要員として扱われるため、事業所の種類によって話が変わります。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」 / 厚生労働省「平成30年度介護報酬改定について」
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
実際の業務内容

届出の話が中心になりましたが、日々の仕事がどう回るのかも気になるところです。対象となる患者さんと、理学療法士・作業療法士との関係を見ていきます。
整形外科・クリニックでの業務
運動器リハビリテーションの対象になるのは、骨折や脱臼、切断・離断など急性発症した運動器疾患とその術後、そして変形性関節症などの慢性の運動器疾患で運動機能や日常生活能力が低下している患者さんです。
業務は医師の指示にもとづき、運動療法・実用歩行訓練・日常生活活動訓練・物理療法などを組み合わせて行います。1単位20分、従事者1人が患者さん1人に対して1対1で行うのが算定の条件です。マッサージや温熱療法などの物理療法だけを行った場合は、リハビリテーション料ではなく処置として扱われます。
柔道整復師にとっては、骨折・脱臼・打撲・捻挫の施術で培った評価の視点をそのまま活かせる領域です。
理学療法士・作業療法士との役割分担
記録と報告の流れが、理学療法士・作業療法士と違います。柔道整復師等が訓練を行う場合は、医師または理学療法士が事前に指示を出し、終わったあとに報告を受けるという手順が算定の条件になっています。
リハビリテーション実施計画書の作成や効果判定は医師が中心になり、多職種が参加するカンファレンスも定期的に開かれます。
一人で完結する仕事ではなく、チームの中で指示を受けて動くポジションだと考えておくと、入職後のギャップが小さくなります。
柔道整復師等が訓練を行うときの流れ
担当できない業務
名称の制限があるため、「理学療法士」「PT」と名乗ることはできません。カルテや計画書の職種欄も、柔道整復師として記載します。
柔道整復師法にも業務の線引きがあります。
-
外科手術・薬品の投与柔道整復師法第16条で禁じられています
-
脱臼・骨折の患部への施術応急手当をする場合を除き、医師の同意が必要です(第17条)
患者さんへの説明でも、「理学療法士と同じことをします」といった言い方は避けたいところです。「医師の指示のもとで運動療法を担当する柔道整復師です」と伝えれば、名称の制限にも触れず、役割も正確に伝わります。
医師の指示との関係
理学療法士でさえ、医師の指示の下でなければ理学療法を行えません(理学療法士及び作業療法士法第2条第3項)。柔道整復師が運動器リハビリテーションに関わる場合も同じで、医師の指導監督と事前の指示が前提です。
施設基準の側でも、運動器リハビリテーションの経験を有する医師の監督下に実施する体制が求められています。医師が常勤で在籍し、指示と報告が回る体制があって初めて成り立つ働き方です。開業して単独で行える業務ではありません。
柔道整復師の求人を探す働く前に確認したいこと

制度を理解したうえで、応募や面接の場で何を聞けばよいかをまとめます。ここを確認しておくと、入職後に認識のずれが出る事態を防げます。
求人票の記載を確認する
「みなしPT募集」と書かれていても、どの施設基準に基づく配置なのかまでは分かりません。確認したいのは次の点です。
- 運動器リハビリテーション料の届出区分((Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のどれか)
- 自分を専従の常勤職員として届け出る予定があるか
- 求めている講習会修了が、どの団体のものか
- 医師の指示と報告の運用がどうなっているか
- 柔道整復師の求人3,737件のうち、整骨院・接骨院が2,075件
- クリニックは189件、病院は12件と医療機関の募集は限られます
- デイケア・デイサービスは759件で、介護分野のほうが目立ちます
講習の受講にかかる費用と勤務の扱い
未受講で採用される場合、受講が入職後の前提になることがあります。
- 受講料・交通費・宿泊費を誰が負担するか
- 受講日(原則として土日祝)が勤務扱いか、休日か
- 受講の途中で退職した場合、費用の返還を求められるか
講習は原則として土日祝日に開かれるため、受講期間中は休日がほぼ埋まります。家庭の事情も含めて、受講の時期は事前にすり合わせておきましょう。
業務範囲を書面で確認する
口頭の説明だけだと、入職後に認識のずれが出やすくなります。頼りになるのは雇用契約書と労働条件通知書です。
とくに職種欄の書き方は見落とせません。ここが「理学療法士」になっていると、名称の制限に触れるうえ、任される業務の範囲も実際とずれます。
雇用契約書・労働条件通知書の確認リスト
将来の働き方を考えるうえで
前述のとおり、柔道整復師の配置は2年に1度の改定で要件が見直される可能性があります。
不安を煽る話ではなく、条件として押さえておけば十分です。医療保険の運動器リハビリテーションだけに軸足を置かず、介護保険の機能訓練指導員や整骨院での施術など、複数の道を並行して考えておくと、制度が変わったときに選択肢が残ります。
改定のたびに厚生労働省が通知を公表するので、勤務先の事務部門と情報を共有しておくと動きやすくなります。
まとめ
みなしPTは資格ではなく、診療報酬の施設基準における届出の取り扱いを指す通称です。運動器リハビリテーション料(Ⅱ)の基準で、研修を修了した柔道整復師等を専従の常勤職員として置き、医師の監督下で実施する体制があれば、理学療法士が勤務しているものとして届け出られます。
算定には医師または理学療法士の事前の指示と事後の報告が必要で、点数は(Ⅰ)や(Ⅱ)を届け出ている医療機関でも(Ⅲ)の85点です。理学療法士を名乗れないことも含め、理学療法士と同じ立場ではありません。
転職したときの扱いは、修了した講習会の実施団体で変わります。全国病院理学療法協会の技能講習会は本人の認定なので、勤務先が変わっても地方厚生局への届出で対応できます。届出をするのは医療機関ですから、転職先が自分を従事者として届け出るかどうかもあわせて確認しておきましょう。


