施設内訪問看護とは?看護師の仕事内容と訪問看護・施設看護師との違い
「施設内訪問看護」という求人を見かけて、施設で働く看護師と何が違うのか分からず戸惑っていませんか。同じサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームで働くように見えても、施設内訪問看護は雇用元も業務範囲も施設看護師とはまったく別ものです。求人を並べて見るときに、この違いを知らないまま応募先を決めてしまうと、入職後に「思っていた働き方と違った」となりかねません。
この記事では、施設内訪問看護とはどのような働き方なのか、訪問できる施設が制度上限られる理由、一般的な訪問看護や施設看護師との違い、仕事内容とメリット・注意点までを、法令や厚生労働省の基準をもとに整理します。
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施設内訪問看護とは?

施設内訪問看護は、訪問看護ステーションに所属する看護師が、高齢者向け住宅などの居室を訪問して看護を提供する働き方です。建物のなかを移動して複数の利用者さんを回るため「施設内」と呼ばれますが、施設に雇われているわけではありません。
まずは制度上の位置づけ、訪問先になる施設、雇用元という3つの角度から全体像を押さえていきます。
サービスの位置づけ
訪問看護は、介護保険法第8条第4項で「居宅要介護者について、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者により行われる療養上の世話又は必要な診療の補助」と定義されています。つまり訪問看護は、入院・入所している人ではなく、居宅で暮らす人に向けたサービスです。
施設内訪問看護も、この訪問看護の枠組みのなかにあります。高齢者向け住宅の居室は制度上「居宅」として扱われるため、そこで暮らす利用者さんは自宅で暮らす人と同じように訪問看護を利用できます。看護師が行う内容も、保健師助産師看護師法第5条に定められた療養上の世話と診療の補助で、自宅への訪問看護と変わりません。
施設内訪問看護は独立したサービス名ではなく、訪問看護の訪問先が高齢者向け住宅である場合の呼び方です。求人票に「施設内訪問看護」「ホーム内訪問看護」などと書かれていても、提供するサービスは訪問看護そのものだと考えて差し支えありません。
訪問する施設の種類
訪問先になるのは、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなど、居宅として扱われる高齢者向けの住まいです。軽費老人ホーム(ケアハウス)や養護老人ホームも対象に含まれます。
- サービス付き高齢者向け住宅
- 住宅型有料老人ホーム
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 養護老人ホーム
こうした住まいは全国に数多くあります。訪問看護ステーションが高齢者向け住宅の一角に事業所を構えたり、近隣の住宅とまとめて契約したりする形が広がっているのは、訪問先になりうる母数の大きさが背景にあります。
訪問先になりうる住まいの規模
この2つの住まいだけでもこれだけの居室数・施設数があり、訪問看護の訪問先の母数は小さくない
雇用元は訪問看護ステーション
ここが最初に押さえておきたい点です。施設内訪問看護で働く看護師の雇用元は、施設ではなく訪問看護ステーションになります。日中を過ごす建物が有料老人ホームであっても、給与を支払うのも勤務シフトを組むのも、訪問看護ステーションを運営する法人です。
訪問看護ステーションそのものは増え続けています。全国訪問看護事業協会の調査によると、令和8年度の稼働数は20,051事業所で、前年度の18,754事業所から1,000事業所以上増えました。
とはいえ、看護師全体で見れば訪問看護ステーションに所属している人はまだ多くありません。令和6年の衛生行政報告例から、就業場所別の内訳を見てみましょう。
就業看護師136.3万人の勤務先構成比
総数1,363,142人の内訳(就業場所別)
参考:e-Gov法令検索「介護保険法」 / e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」 / 国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の登録状況」 / 厚生労働省「令和6年度 有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査 第16回 結果」 / 全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション基本情報」 / 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例 就業医療関係者 の概況」
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施設内訪問看護で訪問できる施設が限られる理由

施設内訪問看護の求人を見ていると、サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームばかりが並び、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームはほとんど出てきません。
これは偶然ではなく、訪問看護という給付の設計そのものによる線引きです。理由が分かると、求人票に書かれた施設種別から働き方をある程度読み取れるようになります。
訪問看護は居宅に向けたサービス
訪問看護が「居宅」に向けたサービスであることは、介護保険法第8条第4項に定められています。ここでいう居宅は自宅だけを指すわけではなく、一定の高齢者向け施設の居室も含むと条文で決められています。
つまり、これらの施設の居室は制度上「その人の自宅」として扱われるため、外部の訪問看護ステーションが入って看護を提供できます。逆にいえば、居宅として扱われない施設には訪問看護が入れません。
居宅として扱われる施設
サービス付き高齢者向け住宅が訪問看護の対象になるのも、この規定を経由しています。老人福祉法第29条第1項は有料老人ホームを「老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜を供与する事業を行う施設」と定義しています。
サービス付き高齢者向け住宅の多くは食事の提供や生活支援を行っているため、この定義にあてはまり、老人福祉法上は有料老人ホームとして扱われます。結果として居室が居宅にあたり、訪問看護を利用できるという流れです。住宅型有料老人ホームも同様で、施設側が介護サービスを提供しない分、外部の訪問介護や訪問看護と契約して必要なケアを組み立てます。
居宅として扱われるかどうかの見分け方
- 施設が介護保険サービスとして介護を提供していない(住宅型・サ高住など)
- 入居者が外部の事業者と個別に契約してサービスを受けている
- 居室が生活の本拠として位置づけられている
原則として対象外になる施設
一方、介護付き有料老人ホームのように特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設は、原則として訪問看護の対象外です。根拠は介護報酬の算定ルールにあります。
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準では、訪問看護費について「利用者が短期入所生活介護、短期入所療養介護若しくは特定施設入居者生活介護(中略)認知症対応型共同生活介護(中略)を受けている間は、訪問看護費は、算定しない」と定められています。
これらの施設では看護や介護がサービス費に包括されているため、外から訪問看護が重ねて入る形にはなりません。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院といった介護保険施設も、施設側に看護職員の配置が求められており、同じ考え方で対象外です。
医療保険側にも同じ趣旨の規定があります。訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法では、医師や看護師が配置されている施設に入院・入所している場合や、特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護の提供を受けている場合は所定額を算定しないとされています。ただし「別に厚生労働大臣が定める場合については、この限りでない」というただし書きがあり、末期の悪性腫瘍など一定の状態にある利用者さんについては例外が設けられています。
ここまでの線引きを、施設タイプごとに整理すると次のようになります。
| 施設タイプ | 訪問看護 | 可否を分けるポイント |
|---|---|---|
| サービス付き高齢者向け住宅 | ○ | 居宅として扱われる |
| 住宅型有料老人ホーム | ○ | 居宅として扱われる |
| 軽費老人ホーム(ケアハウス) | ○ | 居宅として扱われる |
| 養護老人ホーム | ○ | 居宅として扱われる |
| 介護付き有料老人ホーム(特定施設) | ✕原則 | 特定施設サービス受給中は給付対象外 |
| 認知症対応型共同生活介護 | ✕原則 | 特定施設と同様に給付対象外 |
| 特別養護老人ホーム | ✕原則 | 施設側に看護職員の配置義務あり |
| 介護老人保健施設 | ✕原則 | 施設側に看護職員の配置義務あり |
| 介護医療院 | ✕原則 | 施設側に看護職員の配置義務あり |
※「原則」の施設にも、ただし書きによる例外の定めがある
給付の対象範囲は制度改正で見直されることがあります。応募を検討している事業所がどの施設に、どちらの保険で訪問しているのかは、面接時に確認しておくと安心です。
「サービス付き高齢者向け住宅」「住宅型有料老人ホーム」と書かれていれば、外部から入る訪問看護の可能性が高いです。「介護付き有料老人ホーム」の看護師募集なら、施設に直接雇われる働き方だと考えられます。同じ建物名の求人でも募集元で立場が変わるので、雇用元の欄はいちばん先に見てくださいね。
参考:e-Gov法令検索「介護保険法」 / e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」 / e-Gov法令検索「老人福祉法」 / 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」 / 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」
施設内訪問看護と一般的な訪問看護の違い

制度上は同じ訪問看護でも、訪問先が一つの建物に集まっているかどうかで、1日の過ごし方はかなり変わります。ここでは移動・利用者さんとの関わり方・ご家族との関わり方という3つの観点から、施設内訪問看護と一般的な訪問看護の違いを見ていきます。
移動にかかる負担の違い
一般的な訪問看護では、自転車や自動車で利用者さんの自宅を1軒ずつ回ります。天候や渋滞、駐車場所の確保に左右され、訪問と訪問のあいだの移動時間が1日のスケジュールを大きく縛ります。
施設内訪問看護では、この移動がほぼ建物内の移動に置き換わります。エレベーターと廊下で次の居室に向かえるため、雨の日も冬の朝も条件が変わりません。看護に使える時間の割合が増えるのは、施設内訪問看護の分かりやすい特徴です。
ただし、移動が減る分は報酬の設計にも反映されています。介護保険では、事業所と同一の敷地内や隣接する敷地内の建物に住む利用者さんへ訪問した場合、1回につき所定単位数の90%で算定し、その建物の利用者さんが1か月あたり50人以上になる場合は85%で算定すると定められています。事業所側から見ると、1件あたりの収入は下がる仕組みです。
利用者との関わり方の違い
自宅への訪問看護では、看護師が来るとき以外は家族介護が中心になることも多く、生活環境そのものを整える視点が欠かせません。一方、施設内訪問看護では、日常の介護や見守りを施設の職員が担っています。
そのため看護師は、医療的な視点での観察と判断に集中しやすくなります。同時に、施設職員から前日までの様子を聞き取り、気づいた変化を申し送るという横のやり取りが増えます。同じ建物に毎日通うので、利用者さん一人ひとりの生活リズムや性格も把握しやすいでしょう。
家族との関わり方の違い
自宅への訪問看護では、ご家族が同席し、介護方法の指導や相談対応が業務の大きな部分を占めます。介護に疲れているご家族を支えることも、訪問看護師の役割です。
施設内訪問看護では、ご家族が日常的に居室にいることは少なく、面会時や状態変化の連絡時に関わる形が中心になります。ご家族対応の負担は軽くなりますが、状態が変わったときの説明が電話中心になるため、限られた時間で状況を正確に伝える力が求められます。
3つの観点の違いを、並べて整理しておきます。
参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
看護師の求人を探す施設内訪問看護と施設看護師の違い

求人サイトで「有料老人ホームの看護師」と「施設内訪問看護」を並べて見ると、勤務地も建物も同じに見えることがあります。しかし両者は雇用元から責任範囲まで異なる働き方です。ここを取り違えると、応募先を選ぶ判断そのものがずれてしまいます。
雇用元の違い
施設看護師は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅を運営する法人に直接雇用されます。給与も勤務シフトも施設が決め、評価するのも施設です。
施設内訪問看護の看護師は、訪問看護ステーションの職員です。建物のなかで働いていても、施設の指揮命令を受ける立場ではありません。事業所として満たすべき指定基準も施設とは別に定められており、人員の考え方から違っています。
業務範囲の違い
施設内訪問看護の業務範囲は、訪問看護計画書によって明確に区切られます。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準では、訪問看護の提供開始にあたって主治医の指示を文書で受けなければならないと定められており、看護師等は利用者さんの希望と主治医の指示を踏まえて訪問看護計画書を作成します。訪問日や提供した看護内容は訪問看護報告書にまとめ、主治医へ提出します。
施設看護師の業務範囲は、施設の運営方針とその日の状況で決まる部分が大きくなります。健康管理や服薬管理に加え、急な受診の付き添いや行事への参加まで、幅広く求められることもあります。契約と計画書で範囲が決まるのが施設内訪問看護、施設のなかで柔軟に動くのが施設看護師と整理すると分かりやすいでしょう。
介護業務の有無の違い
施設看護師は、介護業務を兼ねる場面が少なくありません。人手が足りない時間帯には、看護師が食事や排せつの介助に入ることもあります。その背景には、人員基準の組み立て方の違いがあります。
施設内訪問看護では、契約した訪問看護の内容が業務です。介護は施設の職員が担うため、介護業務に時間を取られにくいのが特徴といえます。
ただし、目の前で困っている利用者さんを見過ごすわけにもいかないため、施設職員との役割分担をどう決めているかは事業所ごとに確認しておきたいところです。
| 項目 | 施設内訪問看護 | 施設看護師 |
|---|---|---|
| 雇用元 | 訪問看護ステーションの運営法人 | 有料老人ホーム等を運営する施設側の法人 |
| 指揮命令 | 訪問看護ステーションの管理者 | 施設 |
| 業務範囲の決まり方 | 訪問看護計画書と主治医の指示 | 施設の運営方針とその日の状況 |
| 記録の提出先 | 訪問看護報告書・計画書を主治医へ提出 | 施設内の記録として保管 |
| 介護業務の有無 | 原則なし(施設職員が担当) | 兼ねる場合がある |
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
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施設内訪問看護の仕事内容

施設内訪問看護の1回の訪問は、20分未満から1時間30分未満まで、利用者さんの状態と契約内容によって幅があります。
介護報酬でも、訪問にかけた時間の区分ごとに評価が分かれる仕組みです。限られた時間のなかで、観察・処置・服薬・記録を組み立てていくのが基本の流れになります。
健康状態の観察
訪問して最初に行うのはバイタルサインの測定と全身の観察です。血圧・体温・脈拍・呼吸のほか、食事量や排せつの状況、睡眠、活気なども確認します。
施設内訪問看護では、前回の訪問から今日までの様子を施設職員から聞き取れる点が強みです。「夜間に何度も起きていた」「食事を残すようになった」といった情報は、居室の観察だけでは拾えません。施設職員からの申し送りと自分の観察を突き合わせ、変化の兆しを早く捉えることが、施設内訪問看護の観察の要になります。
医療処置
主治医の指示に基づき、必要な医療処置を行います。内容は利用者さんの状態によって変わりますが、居宅で行われる代表的なものは次のとおりです。
- 褥瘡の処置と管理
- カテーテルの管理
- 点滴の実施と管理
- 在宅酸素療法の管理
- 経管栄養の管理
医療処置は、保健師助産師看護師法第37条により、臨時応急の手当を除いて主治医または歯科医師の指示が前提となります。訪問看護指示書に書かれていない処置を独断で行うことはできません。判断に迷う場面では、主治医や事業所の管理者に連絡して指示を仰ぐ流れになります。
服薬管理
高齢者向け住宅で暮らす利用者さんは、複数の医療機関から薬が出ていることも珍しくありません。処方内容の確認、残薬のチェック、飲み忘れや重複の把握が看護師の役割です。
施設によっては、日々の与薬を施設職員が担っている場合もあります。その場合、看護師は服薬状況の評価と主治医・薬剤師への情報提供が中心になります。誰がどこまで担当するのかを施設側と明確にしておくことが、事故を防ぐうえで欠かせません。
記録と報告
訪問の内容は訪問看護記録に残し、訪問看護報告書としてまとめて主治医に提出します。訪問看護計画書についても主治医に提出し、密接な連携を図ることが基準で求められています。
これに加えて、施設内訪問看護では施設側への申し送りが加わります。状態の変化や次回までの観察ポイントを、施設の記録や連絡ノートで共有する形が一般的です。ケアマネジャーへの報告も含めると、1件の訪問に対して複数の宛先へ情報を届けるのが施設内訪問看護の記録業務の特徴といえます。
1回の訪問記録が届く3つの宛先
参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」 / 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
看護師の求人を探す施設内訪問看護で働くメリット

施設内訪問看護は、訪問看護の専門性と、通いやすい勤務環境の両方を得やすい働き方です。
病棟から在宅へ移りたいけれど、いきなり一人で車を走らせて自宅を回るのは不安、という看護師にとって現実的な選択肢になります。ここでは4つのメリットを整理します。
移動の負担が少ない
最大のメリットは、屋外の移動がほぼ不要になることです。自動車の運転に自信がない人や、雪や坂の多い地域に住む人にとって、この差は小さくありません。
移動時間が読めるため、スケジュールも崩れにくくなります。訪問と訪問のあいだに予定外の待ち時間が発生しにくく、終業時刻が見通しやすいのは働き続けるうえで大きな要素です。
介護業務が少ない
施設看護師と違い、介護業務を兼務する前提になっていません。看護に時間を使えるため、医療的な判断やケアの質を高めることに集中しやすい環境です。
求人の数から見ても、訪問看護は看護師の転職先として広がっています。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で、正看護師の職場区分ごとの求人数を見てみましょう。
- 正看護師の訪問看護求人は2,535件。職場区分のなかで最も多く出ています
- クリニック2,384件・病院1,368件と比べても、選べる幅は広がっています
- 有料老人ホーム369件・サービス付き高齢者住宅60件は、施設側からの募集です
同じ利用者を継続して担当できる
同じ建物に毎日通うため、担当する利用者さんとの関係が長く続きます。数か月、数年単位で状態の変化を追えるので、わずかな異変にも気づきやすくなります。
看取りまで関わることも珍しくありません。生活の場での看護を最後まで担える点は、病棟勤務では得にくいやりがいだといえます。
病棟のように担当が入れ替わらないため、ご本人の好みや価値観を踏まえたケアを積み上げられます。日々の小さな変化を「いつもと違う」と感じ取れるのは、継続して関わっているからこそです。
- 状態の変化を時系列で追えるため、異変に早く気づける
- 本人の生活習慣や好みを踏まえたケアを組み立てられる
- 施設職員とも顔なじみになり、情報が集まりやすくなる
ブランクがあっても復帰しやすい
訪問先が1か所にまとまっているため、道順を覚える負担がなく、初日から看護そのものに向き合えます。先輩看護師と同じ建物で動く事業所も多く、同行訪問やその場での相談がしやすい環境です。
訪問看護ステーションの数も増え続けており、令和8年度は新規開設が2,428事業所ありました。求人の選択肢が広がっていることは、ブランクから復帰する看護師にとって追い風といえます。
給与の水準も気になるところでしょう。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で、正看護師の月給中央値を職場区分ごとに比べてみます。
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施設内訪問看護で働くときの注意点

メリットの裏返しではなく、施設内という形態そのものから生まれる負担があります。応募前に知っておけば、求人票で確認すべき点も見えてきます。ここでは4つの注意点を挙げます。
1日の訪問件数が多くなりやすい
移動時間がない分、1日に回る件数が多く設定されやすいのが施設内訪問看護です。これは事業所の姿勢だけの問題ではなく、報酬の仕組みとも関係しています。
医療保険の訪問看護基本療養費は、同じ建物で同じ日に何人へ訪問するかによって1件あたりの単価が変わります。同一の建物で3人以上に訪問すると、単価はおよそ半分の水準になります。
介護保険にも、事業所と同じ敷地内などに住む利用者さんへの訪問に対する減算が設けられています。1件あたりの報酬が下がる分、件数で成り立たせる構造になりやすいということです。
- 1日あたりの平均訪問件数と上限の目安
- 1件あたりに確保されている訪問時間
- 記録を書く時間が勤務時間に含まれているか
判断を1人で行う場面がある
居室に入るのは基本的に看護師一人です。状態が急に変わったとき、その場で判断して動く必要があります。
医療処置は主治医の指示が前提ですが、指示を仰ぐかどうかを判断するのは現場の看護師です。指定訪問看護ステーションの人員基準は看護職員が常勤換算で2.5以上と定められており、小規模な事業所ではその場にすぐ相談できる先輩がいないこともあります。電話やチャットでの相談体制がどう整っているかは、必ず確認しておきたい点です。
施設の方針に合わせる必要がある
雇用元は訪問看護ステーションでも、働く場所は施設です。訪問できる時間帯、記録の共有方法、緊急時の連絡ルールなど、施設ごとの運用に合わせる場面が出てきます。
看護師として必要だと考えるケアと、施設の運営方針が食い違うこともあります。そのときは施設と直接ぶつかるのではなく、事業所の管理者を通じて調整するのが基本です。施設と事業所の関係が良好かどうかは、働きやすさに直結します。見学時の職員同士のやり取りは、よく見ておくとよいでしょう。
オンコールや夜勤がある場合がある
訪問看護ステーションの多くは24時間対応の体制を取っており、施設内訪問看護でもオンコール当番が回ってくることがあります。夜間に併設施設からの連絡を受けたり、実際に訪問したりするケースもあります。
オンコールの負担は事業所によって差が大きい部分です。月に何回当番があるのか、実際に呼び出される頻度はどの程度か、手当はいくらかを応募前に確認してください。求人票に記載がない場合は、面接で必ず質問しておきましょう。
参考:厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」 / 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」 / e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
まとめ
施設内訪問看護とは、訪問看護ステーションに所属する看護師が、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどの居室を訪問して看護を提供する働き方です。訪問先が限られるのは、訪問看護が制度上「居宅」に向けたサービスであり、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設などでは訪問看護費を算定しないと定められているためでした。
同じ建物で働いていても、施設看護師とは雇用元・業務範囲・介護業務の有無が異なります。施設内訪問看護は訪問看護計画書と主治医の指示で業務範囲が決まり、介護業務を兼ねる前提にはなっていません。屋外の移動が少なく、同じ利用者さんを継続して担当できる一方で、1日の訪問件数が多くなりやすく、判断を一人で行う場面もあります。
求人を比べるときは、施設種別・1日の訪問件数・オンコールの頻度と手当・相談体制の4点を確認してみてください。この4つが分かれば、勤務地が同じに見える求人でも、自分に合う働き方かどうかを見分けられるはずです。


