ピアサポートとは?分野別の活用例と制度・医療職との協働を解説
精神科病棟やデイケア、がん相談支援センターで「ピアサポーター」と一緒に働く機会が増え、どう関わればいいのか迷う医療職もいるのではないでしょうか?
ピアサポートとは、病気や障害の経験がある人が、その経験を活かして同じような立場の人を支える取り組みです。
この記事では、医療・障害福祉の分野でのピアサポートの意味と活用例、ピアサポート体制加算などの制度、医療職がピアサポーターと協働するときの留意点を紹介します。
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ピアサポートとは?

ピアサポートという言葉は学校や職場でも使われますが、医療・障害福祉の分野では、病気や障害の経験がある人が、その経験を活かして同じ悩みを持つ人を支えることを指します。
専門職による支援とも、当事者同士の自助グループとも重なる部分がありながら、それぞれ違いがあります。
peerは仲間を意味する
ピアサポートの「ピア(peer)」は、英語で仲間・同じ立場の人を意味する言葉です。 厚生労働省の障害者ピアサポート研修でも、ピアサポートは「仲間(ピア)としての支えあい」と説明されています。
支える側と支えられる側が固定されず、経験を分かち合いながらお互いに力を得ていく関係が土台にあります。 障害福祉の分野では、精神障害・身体障害・知的障害・難病・高次脳機能障害など、障害ごとにピアサポート活動が積み重ねられてきた歴史があります。
専門職による支援との違い
専門職は、資格に基づく知識と技術で、診断・治療・リハビリ・相談援助などを担います。 一方、ピアサポーターの強みは、病気や障害を抱えながら生きてきた経験そのものです。
「同じような経験をした人がいま地域で暮らしている」という事実は、患者さんや利用者さんにとって先の見通しを持つ手がかりになります。 また、専門職には言いにくい不安や本音も、同じ経験を持つ相手なら話しやすいことがあります。 どちらが優れているという関係ではなく、役割の違う支援として組み合わせて使うものです。
セルフヘルプグループとの違い
セルフヘルプグループ(自助グループ)は、同じ問題を抱えた人が自発的に集まり、体験を分かち合う集まりです。 アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症の自助グループや、自死遺族の分かち合いの会などが代表的です。
| 観点 | 専門職による支援 | ピアサポート | セルフヘルプグループ |
|---|---|---|---|
| 支える力の源 | 資格に基づく知識・技術 | 病気や障害の経験 | メンバー同士の経験の分かち合い |
| 関係性 | 支援者と患者さん・利用者さん | 同じ立場の仲間として対等 | 全員が当事者で対等 |
| 運営・所属 | 医療機関・事業所 | 事業所・医療機関・団体など | 当事者が自主的に運営 |
| 研修・ルール | 養成課程と資格 | 研修を受け、職場のルールで活動 | グループごとの約束事 |
ピアサポートは、こうした対等な分かち合いに加えて、研修を受けたピアサポーターが事業所や医療機関の一員として相談に乗る形も含みます。 雇用されて働くピアサポーターは、事業所のルールや守秘義務のもとで支援する点が、自主的に運営されるグループとの大きな違いです。
自助グループとピアサポートって、同じものだと思ってた!
参考:厚生労働省「障害者ピアサポート研修事業 基礎・専門・フォローアップ研修シラバス案」 / 厚生労働省「依存症対策」
ピアサポートが活用されている分野

ピアサポートは、精神障害の分野で特に広く知られていますが、がんや難病、認知症など、国の施策の中で位置づけられている分野が多くあります。
精神障害
精神障害の分野では、精神科病院に長く入院している患者さんの退院支援や、地域で暮らし続けるための相談にピアサポーターが関わっています。 「退院して一人暮らしをしている」ピアサポーターの話を聞くことで、退院後の生活を具体的に思い描けるようになる患者さんもいます。
相談支援事業所や就労継続支援B型事業所、グループホームなど、障害福祉サービスの事業所で働くピアサポーターもいます。 制度上の位置づけは「ピアサポートに関する制度と加算」の章で紹介します。
身体障害・難病
身体障害の分野では、障害のある人が同じ立場で相談に乗る「ピアカウンセリング」などの取り組みがあります。 難病では、都道府県などが設置する難病相談支援センターが、患者さんや家族を対象にピア・サポーターを養成し、活動を支援することが国の要綱で定められています。
同じ病気の人が少ない希少疾患では、身近に経験を聞ける相手がいないことが孤立感につながりやすく、ピアサポートの意味が大きい分野です。
がん
がんの分野では、がん経験者が患者さんや家族の話を聞く「ピア・サポート」や、患者さん同士が交流する「患者サロン」があります。 国は都道府県でのピア・サポーターの養成を進めており、第4期がん対策推進基本計画(令和5年3月閣議決定)にもピア・サポートの推進が盛り込まれています。
令和4年の整備指針の改定では、がん診療連携拠点病院などが患者サロンを設ける際、一定の研修を受けたピア・サポーターの活用に努めることとされました。 国は、がん相談支援センターなどの相談員からピア・サポーターにつなぐ仕組みづくりも検討しています。
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認知症
認知症の分野では、診断を受けた本人同士が語り合う「本人ミーティング」や、先に診断を受けた人が経験を伝えるピアサポート活動があります。 令和6年12月に閣議決定された認知症施策推進基本計画では、診断後の早い段階で認知症の当事者に出会い、その経験に触れられるようにするためのピアサポート活動の推進が掲げられています。
活動につなぐ役割は、市町村の認知症地域支援推進員が担います。 病院や地域包括支援センターで働く医療職も、本人や家族に情報を届ける立場になります。
依存症
アルコール・薬物・ギャンブルなどの依存症では、当事者の自助グループが回復を支える大きな柱です。 厚生労働省も、グループのメンバーと体験を共有し分かち合うことで、自分の問題に向き合い変化していけることを自助グループの役割として紹介しています。
依存症の治療では、医療機関での治療と並行して自助グループにつなぐことが多く、依存症の人を家族に持つ人どうしが支え合う家族会もあります。
子育て・不登校
子育ての分野では、発達障害のある子を育ててきた保護者が、同じ悩みを持つ保護者の話を聞く「ペアレント・メンター」の取り組みが自治体で行われています。 不登校の子を持つ保護者の「親の会」も、経験を分かち合うピアサポートの一つです。
病気や障害の種類ごとに、いろんな形の支え合いがあるんだね!
小児科や児童精神科、発達外来で働く医療職にとっては、保護者に紹介できる地域の資源として知っておくと役立ちます。
参考:厚生労働省「がん対策推進基本計画(令和5年3月28日閣議決定)」 / 厚生労働省「認知症施策推進基本計画」
ピアサポートがもたらす効果

ピアサポートの効果は、支援を受ける人だけでなく、ピアサポーター本人や一緒に働く専門職のチームにも及びます。
支援を受ける側への効果
支援を受ける人にとって大きいのは、「自分だけではない」という安心感と、回復した姿を間近で見られることです。 ピアサポーターは、困難な経験から自分らしい生活を取り戻してきたロールモデルとして、希望を持つきっかけになります。
がん患者さんを対象にした国の調査でも、ピアサポートを利用した人の多くが「役に立った」と答えています。
経験に基づく具体的な情報が得られる点も効果の一つです。 制度の使い方や、通院しながら働くコツなど、暮らしの中で工夫してきたことは、専門職からはなかなか得られない情報です。
ピアサポーター自身への効果
ピアサポーターにとっては、自分の経験が誰かの役に立つ実感が、自己肯定感や生活の張り合いにつながります。 病気や障害の経験を「つらかった過去」から「人を支える力」として捉え直すことで、本人の回復が進むこともあります。
働いて収入を得ることや、職場という居場所を持つことも、地域で暮らし続ける支えになります。
条件にあった求人を探してもらう支援チームへの効果
ピアサポーターがチームに入ると、専門職が当事者の視点に気づく機会が増えます。 厚生労働省の調査研究(令和3年度)では、精神科医療機関で働く専門職から、ピアサポートワーカーの存在によって人権意識が高まったり、患者さんへの理解が深まったりしたという声が聞かれています。
「支援する側の論理」で決めていたことを、患者さんや利用者さんの立場から見直すきっかけになる点が、チームにとっての大きな効果です。
支える人にも、一緒に働く人にも変化があるってことだね!
参考:厚生労働省「がん対策推進基本計画 中間評価報告書(第4期)」 / 厚生労働省「精神科医療機関におけるピアサポートの現状と活用に関する調査 調査結果報告書」
ピアサポーターとは?

ピアサポーターは、病気や障害の経験を活かして、同じような立場の人を支える人です。 ボランティアとして活動する人もいれば、障害福祉サービスの事業所や医療機関に雇用されて働く人もいます。
担う役割
ピアサポーターの役割は、職場や分野によってさまざまです。
-
相談・傾聴同じ立場から話を聞き、気持ちや不安を受け止める
-
経験の共有自分の回復の過程や生活の工夫を伝える
-
退院・地域生活の支援入院中の患者さんを訪ね、退院後の暮らしを一緒に考える
-
本人の声の代弁支援計画や会議で、当事者の視点から意見を伝える
-
普及啓発講演や研修で経験を語り、偏見の解消に取り組む
どの役割でも、ピアサポーターは「答えを教える人」ではなく、本人が自分で決めることを支える人です。 回復の形は人それぞれなので、自分の経験を正解として押しつけないことが前提になります。
必要とされる研修
障害福祉の分野では、都道府県・指定都市が「障害者ピアサポート研修」を実施しています。 令和2年に厚生労働省が実施要綱を定めた研修で、基礎研修・専門研修・フォローアップ研修の3段階で構成されています。
- ピアサポートの理解
- コミュニケーションの基本
- 倫理と守秘義務
- ピアサポーターの専門性
- セルフマネジメントとバウンダリー
- チームアプローチ
- 働くことの意義
- 継続的な就労
- 現場で力を発揮する準備
受講対象は、事業所で働く(働く予定の)障害のある人だけではありません。 ピアサポーターと一緒に働く事業所の管理者や職員も受講対象で、障害当事者と専門職が同じ場で学ぶのが特徴です。 後述する加算の算定には、基礎研修と専門研修の両方の修了が必要です。
がんの分野では、国の「がん総合相談に携わる者に対する研修事業」で作られたプログラムをもとに、都道府県などがピア・サポーターの養成研修をしています。
働く場所と雇用形態
ピアサポーターが働く主な場所は次のとおりです。
- 相談支援事業所(計画相談支援・地域移行支援など)
- 就労継続支援B型事業所・自立訓練事業所
- グループホーム(共同生活援助)
- 精神科病院・精神科診療所(デイケア・病棟・訪問看護など)
- 難病相談支援センター・がん診療連携拠点病院の患者サロン
精神科医療機関を対象にした調査では、デイケアやショートケアでの業務が最も多く、次いで精神科病棟、訪問看護の訪問先でした。 雇われ方は、ピアサポートワーカー専用の採用枠が約7割で、専門職の採用枠で働く人も約4分の1います。
- ピアサポーターがいる職場かは見学で確認できる
- 多職種の会議に当事者が参加しているかも目安
- 職員も研修を受けているかは協働体制の目安
求められるスキル
ピアサポーターには、経験があることに加えて、それを支援に活かすためのスキルが求められます。
- 自分の経験を、相手に役立つ形で言葉にして伝えられる
- 相手の話を否定せずに聞く傾聴の姿勢がある
- 自分の体調を管理し、無理をしないで働ける
- 守秘義務など、職場のルールを理解している
- 専門職や他のスタッフとコミュニケーションが取れる
精神科医療機関を対象にした調査でも、採用時の必須条件として最も多かったのは「自分の健康管理ができること」でした。
経験を言葉にする力も、研修で少しずつ身につけられるんだね!
参考:厚生労働省「障害者ピアサポート研修事業の実施について」 / 厚生労働省「精神科医療機関におけるピアサポートの現状と活用に関する調査 調査結果報告書」
ピアサポートに関する制度と加算

障害福祉サービスでは、ピアサポートの専門性が報酬で評価されています。 令和3年度の障害福祉サービス等報酬改定で「ピアサポート体制加算」などが創設され、令和6年度の改定で対象サービスが広がりました。
| 加算 | 対象サービス | 単位数 | 研修修了者の配置 |
|---|---|---|---|
| ピアサポート体制加算令和3年度創設 | 計画相談支援・障害児相談支援・自立生活援助・地域移行支援・地域定着支援 | 100単位/月 | 障害のある(あった)人と管理者等を、それぞれ常勤換算0.5人以上 |
| ピアサポート実施加算令和3年度創設 | 就労継続支援B型(就労や生産活動等への参加等で評価する報酬体系) | 100単位/月 | 2名以上(うち1名以上は障害のある(あった)人) |
| ピアサポート実施加算令和6年度に対象拡大 | 自立訓練(機能訓練・生活訓練)、共同生活援助(移行支援住居) | 100単位/月 | |
| 退居後ピアサポート実施加算令和6年度創設 | 共同生活援助(退居後の支援) | 100単位/月 |
いずれの加算も、障害者ピアサポート研修の基礎研修と専門研修を修了した「障害のある(あった)職員」と「その他の職員」の両方を配置することが前提です。 当事者だけを配置するのではなく、協働する職員にも研修修了を求めているのが特徴です。
障害者ピアサポート研修事業
障害者ピアサポート研修事業は、障害者総合支援法の地域生活支援事業として、都道府県・指定都市が実施する研修です。 都道府県などが認めた法人に委託して実施されることもあります。
専門研修は基礎研修の修了者、フォローアップ研修は専門研修の修了者が受講する仕組みです。 受講の申し込み方法や日程は自治体ごとに異なるため、事業所の所在地の都道府県・指定都市の案内で確認します。
ピアサポート体制加算
ピアサポート体制加算は、計画相談支援・障害児相談支援・自立生活援助・地域移行支援・地域定着支援の5つのサービスが対象で、1月につき100単位です。
算定には、研修を修了した次の2者を、それぞれ常勤換算で0.5人以上配置する必要があります。
- 障害者または障害者であったと都道府県・市町村が認める人
- 管理者、またはその人と協働して支援する職員
さらに、配置した人による従業員向けの「障害者に対する配慮等に関する研修」を年1回以上行うことと、ピアサポーターを配置していることを公表することが要件です。 創設時には、研修に準ずると自治体が認める研修の修了者も対象とする経過措置がありましたが、この経過措置は令和6年3月31日で終了しています。
ピアサポート実施加算
ピアサポート実施加算は、研修を修了した障害のある職員が、その経験に基づいて利用者さんの相談援助をした場合に、相談援助を受けた利用者さんの数に応じて1月につき100単位を算定する加算です。
令和3年度に就労継続支援B型で始まり、令和6年度の改定で自立訓練(機能訓練・生活訓練)と共同生活援助(グループホーム)に広がりました。 グループホームでは、一人暮らしに向けた移行支援住居の利用者さんへの支援が対象で、退居後の支援には「退居後ピアサポート実施加算」があります。
配置要件は、研修修了者を2名以上(うち1名以上は障害のある人)配置し、従業員向けの研修を年1回以上行うことです。 令和8年度の報酬改定(臨時応急的な見直し)の改定事項には、ピアサポート関連の加算の見直しは含まれていません(2026年10月時点)。
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精神科医療での活用の広がり
精神科医療機関でも、ピアサポートワーカーを雇用してチームに加える動きがあります。 ただ、医療機関が直接雇用するケースはまだ多くありません。 厚生労働省の調査研究(令和3年度)では、ピアサポートワーカーが所属している(していた)精神科医療機関はごく一部にとどまりました。
一方で、活用に前向きな医療機関も少なくなく、今後の広がりが期待される分野です。 精神科で働く作業療法士の仕事内容は、以下の記事で紹介しています。
参考:厚生労働省「ピアサポートの専門性の評価(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定)」 / 厚生労働省「精神科医療機関におけるピアサポートの現状と活用に関する調査 調査結果報告書」
医療職がピアサポーターと協働するときの留意点

看護師や作業療法士、精神保健福祉士がピアサポーターと同じチームで働くとき、戸惑いやすいのは「同僚でもあり、当事者でもある」という立場の二重性です。
精神科医療機関の調査では、専門職側から「接し方が分からない」「患者さんの情報をどこまで伝えてよいか分からない」「どこまで業務を頼んでよいか分からない」といった不安が挙がっています。
対等な立場を前提に役割を分ける
ピアサポーターは、専門職の補助役ではなく、当事者経験という専門性を持つチームの一員です。 専門職が指示し、ピアサポーターが従うという上下関係にすると、ピアサポートの強みである「同じ目線」が失われてしまいます。
障害者ピアサポート研修の専門研修には「チームアプローチ」という科目があり、ピアサポーターと専門職の両方が講師を務めます。
役割は、本人の希望と得意なことを聞いたうえで、チームで話し合って決めるのがおすすめです。 業務の範囲や配属部署を少しずつ調整していく方法も、医療機関で取り入れられています。
条件にあった求人を探してもらう個人情報と守秘義務の扱いを共有する
ピアサポーターも職員である以上、患者さんや利用者さんの個人情報を守る義務があります。 障害者ピアサポート研修でも、倫理と守秘義務は基礎研修の科目に含まれています。
迷いやすいのは、ピアサポーターが患者さんから聞いた話を、どこまでチームに共有するかです。 「命に関わることや他害のおそれがある場合はチームで共有する」など、共有の基準を事前に決め、患者さんにも伝えておくと、ピアサポーターが板挟みになるのを防げます。
ピアサポーターの負担に配慮する
ピアサポーターは、支援の中で自分の過去のつらい経験を思い出すことがあります。 体調の波があることも踏まえ、勤務時間や日数を調整できるようにしておくと安心して働けます。
体調を気づかうあまり、ピアサポーターを「患者さん」として扱わないようにしましょう。体調の相談先は本人と決めておき、職場では同僚として接するのが基本です。
職場で孤立しないよう、ピアサポーター同士が相談できる場や、多職種で支える相談体制をつくることも大切です。 精神科訪問看護の現場でチームとして働く大変さは、以下の記事も参考になります。
体験を語る範囲に線を引く
ピアサポーターが自分の経験をどこまで話すかは、本人が決めることです。 専門職が「あの話をしてあげて」と、本人の意向を確認せずに体験談を求めるのは避けましょう。
障害者ピアサポート研修の専門研修には、「セルフマネジメントとバウンダリー(境界線)」という科目があります。 話す内容や相手との距離の取り方を、本人とチームで確認しておくと、ピアサポーター自身を守ることにもつながります。
最初はどう接すればいいか、迷っちゃうよね
参考:厚生労働省「障害者ピアサポート研修事業の実施について」 / 厚生労働省「精神科医療機関におけるピアサポートの現状と活用に関する調査 調査結果報告書」
ピアサポートの課題

ピアサポートは制度の整備が進んできた一方で、現場ではいくつかの課題が残っています。
支援の質にばらつきが出やすい
ピアサポートは、一人ひとりの経験を活かす支援であるぶん、支援の内容が人によって変わりやすい面があります。 国の実施要綱は標準カリキュラムを示したうえで、時間数の延長や科目の追加を認めているため、研修の内容は自治体によって違いがあります。
修了後もフォローアップ研修や事業所内での振り返りを活用して、経験を支援に活かす力を高めていくことが大切です。
雇用が不安定になりやすい
ピアサポーターは非常勤で働く人が多く、収入や身分が安定しにくい傾向があります。
障害福祉サービスでは加算で評価される一方、精神科医療機関の調査では「ピアサポートワーカーの業務が診療報酬上評価されていない」「雇用を想定した採用枠がない」ことが課題に挙がっています。 体調に合わせて働ける柔軟さと、安定して働き続けられる仕組みをどう両立するかが問われています。
専門職との役割分担が曖昧になりやすい
ピアサポーターの業務内容や役割は、多くの職場でまだ手探りの状態です。 役割があいまいなままだと、ピアサポーターが人手不足の穴埋めとして事務作業ばかりを任されたり、逆に専門職と同じ判断を求められたりすることがあります。
役割があいまいだと、お互いにモヤモヤしちゃうね
ピアサポーター本人も「当事者でもあり支援者でもある」ことに葛藤を抱えやすいため、チームで役割を言葉にして共有することが、課題の解消につながります。
参考:厚生労働省「精神科医療機関におけるピアサポートの現状と活用に関する調査 調査結果報告書」
まとめ
ピアサポートは、病気や障害の経験を活かして同じ立場の人を支える取り組みで、精神障害やがん、難病、認知症など幅広い分野で活用されています。 障害福祉サービスではピアサポート体制加算などの制度が整い、医療職がピアサポーターと同じチームで働く場面も増えています。
この記事のポイント
- ピアは仲間の意味。経験を活かした対等な支え合い
- がん・認知症・難病など国の施策にも位置づけ
- 加算は研修修了の当事者と職員の両方の配置が前提
- 協働では役割・情報共有・語る範囲を事前に決める
- 雇用の不安定さや役割分担のあいまいさが課題
ピアサポーターと働く職場では、専門職にも当事者の視点を取り入れる姿勢が求められます。 精神科やがん相談、障害福祉の分野で、チームで支える働き方に関心がある方は、職場選びの段階から多職種連携の体制を確認してみましょう。


