作業療法士の合格率はどれくらい?新卒と既卒の差・合格基準と難易度
作業療法士の合格率は、2026年に実施された第61回国家試験で91.2%でした。 数字だけを見ると「ほとんどの人が受かる試験」に思えますが、新卒者以外の受験者に絞ると、合格できたのは約半数です。
この記事では、厚生労働省の発表をもとに作業療法士国家試験の合格率と合格基準、理学療法士・言語聴覚士との比較、不合格になりやすい人の特徴と対策をまとめています。
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作業療法士国家試験の合格率

作業療法士国家試験の合格率は、毎年3月下旬に厚生労働省から発表されます。 全体の合格率は8〜9割台で推移していますが、新卒者とそれ以外の受験者では合格率に大きな差があります。
直近の受験者数と合格者数
第61回作業療法士国家試験(2026年2月23日実施、3月23日発表)では、受験者5,426人のうち4,947人が合格し、合格率は91.2%でした。
受験者のうち約9割(4,801人)が新卒者です。 全体の合格率は、この新卒者の結果に大きく左右されます。
新卒と既卒の合格率の差
第61回の新卒者の合格率は96.6%でした。 一方、受験者全体から新卒者を除いた既卒者は625人が受験して311人が合格し、合格率は49.8%にとどまります。
既卒者の合格率が下がるおもな理由は、次の4つです。
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学習環境がなくなる卒業後は学校の補講や模試、教員の指導を受けにくくなる
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仲間と離れる同級生と問題を出し合ったり、進み具合を確かめ合ったりする機会が減る
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仕事との両立アルバイトや別の仕事をしながらだと、まとまった学習時間を取りにくい
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苦手分野が残っている前年に不合格だった原因の分野を克服しきれないまま再受験する
全体の合格率が9割を超えていても、一度不合格になると翌年の合格率は約5割まで下がります。「来年また受ければいい」と考えず、現役での合格を目指しましょう。
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過去10年の合格率の推移
第52回(2017年)から第61回(2026年)までの10年間で、全体の合格率は71.3%〜91.2%の間で推移しています。
| 回(実施年) | 受験者数 | 全体 | 新卒者 | 既卒者 |
|---|---|---|---|---|
| 第52回(2017) | 5,983人 | 83.7% | 90.5% | 30.4% |
| 第53回(2018) | 6,164人 | 76.2% | 83.9% | 30.3% |
| 第54回(2019) | 6,358人 | 71.3% | 80.0% | 34.6% |
| 第55回(2020) | 6,352人 | 87.3% | 94.2% | 66.3% |
| 第56回(2021) | 5,549人 | 81.3% | 88.8% | 25.2% |
| 第57回(2022) | 5,723人 | 80.5% | 88.7% | 34.5% |
| 第58回(2023) | 5,719人 | 83.8% | 91.3% | 44.3% |
| 第59回(2024) | 5,736人 | 84.1% | 91.3% | 33.3% |
| 第60回(2025) | 5,693人 | 85.8% | 92.5% | 37.8% |
| 第61回(2026) | 5,426人 | 91.2% | 96.6% | 49.8% |
第54回(2019年)の71.3%のように、回によっては全体の合格率が大きく下がる年もあります。 既卒者の合格率は25.2%〜66.3%と幅があり、10回のうち9回は5割を下回っています。 第61回の49.8%も、過去10年で2番目に高い水準です。
既卒だと半分くらいしか受からないんだ…
参考:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第52回理学療法士国家試験及び第52回作業療法士国家試験の合格発表について」
作業療法士国家試験の合格基準

作業療法士国家試験は、「総得点」と「実地問題の得点」の2つの基準を両方満たすと合格です。 どちらか一方でも基準に届かなければ、不合格になります。
一般問題と実地問題の配点
問題は「一般問題」と「実地問題」の2種類に分かれ、配点が異なります。
-
一般問題1問1点。解剖学・生理学などの基礎医学や作業療法の知識を問う
-
実地問題1問3点。症例や場面をもとに、評価や支援の判断を問う
実地問題は1問の重みが一般問題の3倍あるため、実地問題を1問落とすと一般問題3問分を失う計算です。 満点は、採点から除外された問題の数によって回ごとに少し変わります。
総得点のボーダーライン
第61回の総得点の基準は、278点満点中167点以上でした。 得点率にすると約6割です。
| 回 | 総得点の基準 | 得点率 | 実地問題の基準 |
|---|---|---|---|
| 第52回 | 167/277点 | 60.3% | 41/117点 |
| 第53回 | 167/277点 | 60.3% | 41/117点 |
| 第54回 | 165/275点 | 60.0% | 43/120点 |
| 第55回 | 167/277点 | 60.3% | 43/120点 |
| 第56回 | 165/275点 | 60.0% | 41/117点 |
| 第57回 | 165/275点 | 60.0% | 41/117点 |
| 第58回 | 168/279点 | 60.2% | 43/120点 |
| 第59回 | 167/277点 | 60.3% | 41/117点 |
| 第60回 | 168/279点 | 60.2% | 43/120点 |
| 第61回 | 167/278点 | 60.1% | 43/120点 |
過去10年の基準を見ても、総得点の基準は満点の約6割で、大きく変わっていません。 「6割を取れば合格」と考えがちですが、次に紹介する実地問題の基準も同時にクリアする必要があります。
作業療法士の求人を探す実地問題の足切りライン
第61回の実地問題の基準は、120点満点中43点以上でした。 1問3点なので、40問中15問以上の正解が必要です。
総得点が167点を超えていても、実地問題が42点以下なら不合格です。 一般問題で高得点を取って総得点をカバーする、という方法は通用しません。
総得点が足りてても落ちることがあるの?
参考:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について」
合格率から見た作業療法士国家試験の難易度

作業療法士国家試験の全体の合格率は、8〜9割台と高い水準です。 ただ、全体の合格率が高いのは、受験者の約9割を占める新卒者の合格率が高いためで、試験そのものがやさしいとは言い切れません。
理学療法士国家試験との比較
作業療法士と同じ日に実施される理学療法士国家試験の第61回の合格率は89.7%で、作業療法士(91.2%)とほぼ同じ水準です。
| 作業療法士 | 理学療法士 | |
|---|---|---|
| 受験者数 | 5,426人 | 12,436人 |
| 新卒者の合格率 | 96.6% | 94.9% |
| 総得点の基準 | 167/278点 | 167/277点 |
| 実地問題の基準 | 43/120点 | 41/117点 |
既卒者の合格率は、作業療法士が49.8%、理学療法士が35.0%でした。 どちらの試験も、新卒で合格できるかどうかが大きな分かれ目になる点は共通しています。 合格基準の仕組み(総得点と実地問題の2条件)も同じです。
仕事内容や働き方の面から両職種を比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
言語聴覚士国家試験との比較
2026年2月に実施された第28回言語聴覚士国家試験の合格率は66.4%で、作業療法士より20ポイント以上低い結果でした。
合格率が高くても、油断できる試験ではないんだね
合格率だけを比べると作業療法士のほうが受かりやすく見えますが、作業療法士には実地問題の基準があり、総得点だけで合否が決まる言語聴覚士とは対策の立て方が変わります。
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参考:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」 / 厚生労働省「第28回言語聴覚士国家試験の合格発表について」
作業療法士国家試験に落ちる人の特徴

不合格になる人の多くは、知識量そのものよりも、学習の進め方に原因があります。 特に、実地問題の基準を意識した対策ができているかどうかで結果が分かれます。
過去問の演習量が足りない
過去問を解くと、くり返し問われる分野がつかめます。 教科書を読み込むことに時間を使い、過去問を解く量が少ないまま本番を迎えると、出題の形式や時間配分に慣れられません。
正解の根拠を説明できない
過去問を何周もしているのに得点が伸びない人は、答えの番号を覚えているだけのことがあります。 選択肢の言い回しや症例の設定が少し変わると、同じ知識を問われていても正解できません。
正解の選択肢だけでなく、ほかの選択肢が「なぜ違うのか」まで説明できるかを確認すると、理解の浅い分野が見つかります。
実地問題の対策を後回しにしている
実地問題は症例を読み取って判断する問題で、基礎医学の知識と作業療法の知識を組み合わせて答える必要があります。 一般問題の暗記を先に終わらせてから実地に取りかかろうとすると、実地問題の演習時間が足りなくなりがちです。
| 総得点167点以上 | 総得点166点以下 | |
|---|---|---|
| 実地43点以上 | 合格 | 不合格総得点が不足 |
| 実地42点以下 | 不合格実地問題が不足見落としやすい | 不合格両方不足 |
前述のとおり、実地問題の基準に届かなければ総得点に関係なく不合格です。 一般問題が得意で総得点に余裕がある人ほど、実地問題の対策が手薄になっていないか確認しておきましょう。
作業療法士の求人を探す一人で学習を続けている
一人で学習していると、自分の苦手分野や理解の浅い部分に気づきにくくなります。 前述のとおり、卒業後に仲間や教員から離れることは、既卒者の合格率が下がる理由の一つです。
一人だと、何がわかってないのかもわからなくなるよね
友人と問題を出し合う、養成校が卒業生向けの講座を開いていれば参加するなど、学習の進み具合を誰かと確かめられる環境を作っておくと安心です。
参考:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」
合格率を踏まえた国家試験対策

国家試験対策は、総得点の6割と実地問題の基準の両方を、本番で余裕を持って超えることを目標に組み立てます。 新卒者は学校のスケジュールに合わせて、既卒者は学習時間の確保から始めましょう。
過去問を5年分繰り返す
過去問は、直近5年分を目安に繰り返し解くのがおすすめです。
- 1周目は時間を計って解き、分野ごとの正答率を出す
- 間違えた問題は、解説と教科書で根拠を確認する
- 2周目以降は、間違えた問題と迷った問題を中心に解き直す
実地問題から先に手をつける
実地問題は1問3点で、合否を分ける基準も設けられています。 学習の初期から実地問題に取りかかり、症例を読んで判断する練習を一般問題と並行して続けるのがおすすめです。
実地問題で間違えた問題は、関連する基礎医学の分野に戻って復習すると、一般問題の対策にもつながります。
模擬試験で基準点との差を測る
模擬試験は、点数そのものより「基準点まであと何点か」を確認するために使います。 総得点と実地問題の得点を分けて記録し、どちらの基準に届いていないのかを毎回確認しましょう。
| 模試 | 総得点 | 実地問題 | 次に優先すること |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 158基準まで9点 | 45基準を2点超え | 正答率の低い分野の復習 |
| 2回目 | 170基準を3点超え | 39基準まで4点 | 実地問題の演習量を増やす |
| 3回目 | 176基準を9点超え | 48基準を5点超え | 余裕を広げる演習を続ける |
模試の結果を見て、実地問題が基準に近い場合は実地の演習量を増やし、総得点が足りない場合は正答率の低い分野を重点的に復習します。
足りない点数がわかれば、やるべきことははっきりするよ!
既卒受験者は学習時間を先に確保する
既卒者は、学校の時間割がないぶん、学習時間を自分で確保する必要があります。 仕事やアルバイトのシフトを決める前に、1週間のうち学習にあてる時間を先にスケジュールに入れておくと、学習が後回しになりにくくなります。
- 前年の弱点が総得点か実地かを最初に確認
- 実地問題の演習は毎週の予定に組み込む
- 模試は定期的に受けて基準点との差を記録
前年に手応えが悪かった分野や模擬試験の結果を振り返り、総得点と実地問題のどちらが足りなかったのかを確認してから学習計画を立てましょう。
参考:厚生労働省「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」
まとめ
作業療法士国家試験の全体の合格率は9割前後と高い水準ですが、既卒者に限ると約半数しか合格できません。 合格には、総得点と実地問題の両方の基準を満たす必要があります。
この記事のポイント
- 第61回(2026年)の合格率は91.2%
- 新卒者は96.6%、既卒者は49.8%
- 総得点167点以上と実地問題43点以上の両方が必要
- 実地問題は1問3点で、40問中15問以上の正解が必要
- 過去問と実地問題の演習を早めに始める
合格率は毎年3月下旬に更新されるため、受験する年の最新の発表もあわせて確認しましょう。 現役で合格できるよう、実地問題の対策を後回しにせず、模擬試験で基準点との差を確かめながら学習を進めていきましょう。


