認定看護管理者とは?教育課程の3レベルと取得までの流れ・費用の目安
師長や主任を任され、「管理をきちんと学びたい」「認定看護管理者の資格は取るべき?」と悩んだことはありませんか?
認定看護管理者は、日本看護協会が認定する看護管理の専門資格で、ファーストレベルからサードレベルまでの教育課程を経て認定審査を受けます。
この記事では、認定看護管理者の役割や教育課程の3レベルの違い、取得までの流れと費用・期間の目安、資格が評価される場面までをまとめて紹介します。
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認定看護管理者とは?

認定看護管理者(CNA:Certified Nurse Administrator)は、日本看護協会の認定審査に合格し、看護管理者として優れた資質と、組織を創造的に発展させる能力があると認められた看護師です。
国家資格ではなく、日本看護協会が1998年に創設した資格認定制度の一つで、資格の有効期間は5年間です。
資格の位置づけと目的
制度の目的は、患者さんや家族、地域住民に質の高い組織的な看護サービスを届けるために、看護管理者の資質と看護の水準を高めることです。
個人の看護技術を認める資格ではなく、病棟や看護部、施設全体を「組織として」動かす力を認める資格という位置づけです。
登録者数は年々増えていて、2025年12月時点で全国に5,727人います。
10年前(2015年)の2,676人から2倍以上に増えていて、看護管理を体系的に学んだ証明として定着しつつあります。
認定看護師・専門看護師との違い
日本看護協会の資格認定制度には、認定看護管理者のほかに認定看護師と専門看護師があります。 3つとも5年ごとの更新がある点は同じですが、認定看護師・専門看護師は「特定の看護分野の実践」、認定看護管理者は「組織の管理」が専門です。
| 認定看護管理者CNA | 認定看護師CN | 専門看護師CNS | |
|---|---|---|---|
| 専門 | 組織の看護管理(人・物・お金・情報の管理) | 特定の看護分野での熟練した看護実践 | 特定の専門看護分野での卓越した看護実践 |
| 学ぶ場所 | 認定看護管理者教育機関(3レベル)または看護管理の修士課程 | 認定看護師教育機関 | 看護系大学院の修士課程 |
| 実務経験 | 通算5年以上 | 通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野) | 通算5年以上(うち3年以上は専門看護分野) |
| 主な役割 | 看護部・部署の運営、人材育成、地域との連携 | 分野の看護実践とスタッフへの指導・相談 | 実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 |
認定看護師や専門看護師が患者さんへのケアの質を分野ごとに高めるのに対し、認定看護管理者は人・物・お金・情報をやりくりして、組織全体の看護の質を底上げする役割を担います。
看護師が取れるそのほかの資格も含めて比べたい場合は、以下の記事にまとめています。
看護師長・看護部長との関係
看護師長や看護部長は病院の中の「職位」で、認定看護管理者は日本看護協会が認める「資格」です。
看護部長になるために認定看護管理者の資格が法律で必須とされているわけではありませんが、実際には看護管理の中心にいる人が多く取得しています。
教育課程のセカンドレベル・サードレベルは、看護部長相当の職位にある人や、副看護部長相当の職位に1年以上就いている人も受講できます。
師長になってから学び始める人もいれば、管理職を目指す段階で受講を始める人もいて、職位と資格の順番は人それぞれです。
師長になってからでも遅くはないの?
参考:日本看護協会「認定看護管理者」 / 日本看護協会「認定看護師」
認定看護管理者に求められる役割

日本看護協会は、認定看護管理者に求められる能力を6つに整理しています。 現場の仕事に置き換えると、組織の運営、人材育成と労務管理、地域との連携の3つが中心です。
組織の運営管理
看護部や病棟の目標を病院の理念とそろえて設定し、人員・物品・予算・情報をどう配分するかを決めるのが組織の運営管理です。 病床稼働率や在院日数、看護必要度などのデータを読み、経営の視点から看護提供体制を組み立てる力が大切です。
医療安全や感染対策、災害時の対応といった危機管理も、管理者が体制づくりを担う領域です。 事故が起きたときの対応だけでなく、起きにくい仕組みを部署をまたいでつくることが役割になります。
人材育成と労務管理
スタッフの教育計画やキャリア支援、勤務表の作成、夜勤負担の調整、休暇の取得促進なども管理者の仕事です。 日本看護協会は、看護職が生涯を通じて健康に働き続けられる環境を整えることを、人材育成の能力の柱に位置づけています。
離職を防いで人を育てることは、看護の質だけでなく、施設基準で求められる看護職員の配置を満たし続けることにもつながります。
看護師の求人を探す地域の医療機関との連携
入退院支援や在宅療養への移行では、病院の中だけで看護が完結しません。 訪問看護ステーションや介護施設、行政と連携し、地域全体でどんなサービスが足りないかを考えて提案するのも、認定看護管理者に期待される役割です。
自分の病棟だけじゃなく、地域まで見渡すのが管理者の仕事なんだね!
2023年に改定された国の「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」でも、自施設だけでなく地域の機関と連携できる看護管理者の能力が求められています。
認定看護管理者教育課程の3つのレベル

認定看護管理者教育課程は、ファーストレベル・セカンドレベル・サードレベルの3課程で、日本看護協会が認定した教育機関で受講します。
現行のカリキュラム基準(2018年度改正)では、ファーストレベル105時間、セカンドレベル180時間、サードレベル180時間です。
| 教科目 | ファースト | セカンド | サード |
|---|---|---|---|
| ヘルスケアシステム論 | 15 | 15 | 30 |
| 組織管理論 | 15 | 30 | 30 |
| 人材管理 | 30 | 45 | 15 |
| 資源管理 | 15 | 15 | 30 |
| 質管理 | 15 | 30 | 30 |
| 統合演習 | 15 | 45 | 45 |
| 合計 | 105 | 180 | 180 |
教育機関は2026年4月時点で全国76機関あり、ファーストレベルは68機関、セカンドレベルは47機関、サードレベルは23機関で開講されています。 上のレベルほど開講している機関が少なく、サードレベルを開講していない県もあります。
ファーストレベル
ファーストレベルは、看護管理者として必要な管理の基本的な知識・技術・態度を学ぶ課程です。 受講要件は、看護師免許を取得してから実務経験が通算5年以上あり、管理業務に関心があることです。役職に就いている必要はありません。
ヘルスケアシステム論や組織管理論、人材管理、質管理などの基礎を学ぶため、主任や副師長など、これから部署の管理に関わる人にも向いた内容です。
セカンドレベル
セカンドレベルは、看護管理者として部署の目標を設定し、看護管理過程を展開する力を身につける課程です。 受講には、ファーストレベルの修了が必要です。 ただし、看護部長相当の職位にある人、または副看護部長相当の職位に1年以上就いている人は、ファーストレベルを修了していなくても受講できます。
人事・労務管理や多職種チームのマネジメント、看護サービスの質保証と安全管理など、師長クラスの実務に直結する内容が中心です。
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サードレベル
サードレベルは、保健医療福祉の政策動向をふまえ、経営管理の視点で組織的な看護サービスを提供する力を身につける課程です。 受講には、セカンドレベルの修了、または看護部長相当・副看護部長相当(1年以上)の職位が必要です。
経営戦略や財務管理、組織デザインなど、看護部長や副看護部長の立場で必要になる内容を学びます。 サードレベルの修了が、認定審査を受けるための主な要件になります。
現行の3レベルの教育課程は2028年度中に終了し、2028年度から「看護管理研修」と「新たな認定看護管理者教育課程(204時間)」の体系に順次移行する予定です。受講計画を立てるときは、日本看護協会の最新情報を確認しましょう。
移行の時期に受講する人は、スケジュールを早めに確認しておこうね!
参考:日本看護協会「認定看護管理者」 / 東京都看護協会「令和8年度 認定看護管理者教育課程 募集要項」
認定看護管理者になるまでの流れ

認定看護管理者になるまでは、「実務経験を積む」「教育課程を修了する」「認定審査に合格する」の3段階で、認定後は5年ごとに更新審査を受けます。
実務経験の要件を満たす
教育課程の受講にも認定審査にも、看護師免許を取得してから実務経験が通算5年以上あることが必要です。 准看護師として働いた期間や、看護以外の仕事をしていた期間は含まれません。
非常勤で働いていた期間は、実働150時間を1か月として換算します。 パートでキャリアを積んできた人も、合計で5年分に達していれば要件を満たせます。
教育課程を修了する
実務経験5年を満たしたら、ファーストレベルから順に受講します。 各教育機関の募集は年1〜数回で、申込時に小論文や書類による選考がある機関も少なくありません。
申込時に前のレベルの修了証明書の提出を求める教育機関もあるため、同じ年度にファーストとセカンドを続けて受けられるかは、募集時期によって変わります。 勤務先の研修として受講する場合もあるので、受講を考え始めた段階で所属先の看護部に相談しておくとスムーズです。
看護師の求人を探す認定審査を受ける
サードレベルを修了したら、日本看護協会の認定審査に申し込みます。 看護管理に関連する学問領域の修士以上の学位を取得している場合も、サードレベルの代わりに受験資格を満たします。
審査は書類審査と筆記試験の2段階です。 筆記試験は認定看護管理者カリキュラム基準から四肢択一で40問(150点満点)が出題され、2026年の審査では105点以上が合格です。 サードレベルの修了見込みの段階でも申請できるため、受講中の年度に申請することも可能です。
合格率は、日本看護協会の認定看護管理者のページには掲載されていません(2026年9月時点)。 ネット上で見かける合格率の数値は出典が示されていないものが多いため、参考程度にとどめるのが無難です。
5年ごとに更新審査を受ける
認定看護管理者の資格は5年ごとに更新が必要で、更新審査は書類審査のみです。 更新には、過去5年間で50点以上の自己研鑽の実績が必要で、研修の受講や学会参加・発表、論文執筆などを点数に換算して申告します。
2025年度から、以前は求められていた看護管理の実践時間(2,000時間以上)は問われなくなり、休職中や離職中でも申請できます。 更新をせずに資格を失った場合は、「再認定審査」で資格を取り戻す道も用意されています。
更新は書類審査だけだから、日頃の研修参加を記録しておけば安心だよ!
参考:日本看護協会「認定看護管理者(CNA)認定審査 審査・申請の手引き 2026年」 / 日本看護協会「認定看護管理者(CNA)認定更新審査 審査・申請の手引き 2026年」
取得にかかる費用と期間

認定看護管理者の取得費用は、教育課程の受講料と認定審査の費用に分かれます。 受講料は教育機関ごとに異なるため、ここでは2026年度の募集要項を公表している東京都看護協会と福岡県看護協会の金額を例に紹介します(2026年9月調査)。
各レベルの受講料
2つの看護協会の日本看護協会会員価格を比べると、ファーストレベルは約14万円、セカンドレベルは約22万〜24万円、サードレベルは約30万円です。
| レベル | 東京都看護協会 | 福岡県看護協会 |
|---|---|---|
| ファースト | 138,500円 | 145,200円 |
| セカンド | 238,000円 | 217,800円 |
| サード | 298,000円 | 297,000円 |
| 3レベル合計 | 674,500円 | 660,000円 |
受講料とは別に、受験料や修了審査料、修了証明の申請料がかかる教育機関もあります。 また、日本看護協会の非会員は受講料が東京都看護協会で2倍、福岡県看護協会で2.5倍になるため、受講前に日本看護協会へ入会しておくと費用を大きく抑えられます。
認定審査にかかる費用
日本看護協会の認定審査では、審査料51,700円と、合格後の認定料51,700円(いずれも税込)がかかります。 5年ごとの更新審査では、審査料30,800円と認定料20,900円が必要です。
受講料と審査・認定料を合わせると、会員価格で約76万〜78万円になり、これに教育機関ごとの受験料や修了証明の手数料が加わります。
施設基準との関係もあって受講を勧める病院もあるため、受講料の補助や研修扱いでの出張になるかどうかを、勤務先に確認してみましょう。
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修了までにかかる年数
各レベルの受講期間は2〜3か月ほどで、その期間中の決められた日に講義や演習を受けます。 受講日数は教育機関によって異なります。
募集と開講の時期の関係で、1年に1レベルずつ進むとファーストからサードまで3年ほどかかります。 認定審査は6月に申請して12月下旬に合否が出るため、認定証を受け取るまでさらに1年近くみておくと安心です。
実務経験5年目でファーストレベルを受け始めた場合、資格の取得は看護師9〜10年目ごろになる計算です。
仕事と両立しながらだと、数年がかりの計画になるね
参考:東京都看護協会「令和8年度 認定看護管理者教育課程 募集要項」 / 福岡県看護協会「2026年度認定看護管理者教育課程募集要項 受講要件・受講料等」
認定看護管理者の資格が評価される場面

認定看護管理者の資格や教育課程の修了は、個人のキャリアだけでなく、病院の診療報酬にも関わります。 資格が評価されやすい場面は、診療報酬の施設基準、管理職への登用、転職の3つです。
診療報酬の施設基準に関わる研修
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定では、認定看護管理者教育課程サードレベルの修了者の配置が、一部の入院基本料の施設基準で「望ましい」と位置づけられました。
「望ましい」とされる基準のため、配置していないと算定できないわけではありません。 それでも、急性期の病院にとってはサードレベル修了者を確保しておく意味が大きく、勤務先が職員に受講を勧めたり、費用を負担したりする背景の一つです。
受講費用の支援を職場に相談するときは、この施設基準との関係を材料にすると話を進めやすくなります。
施設基準に位置づけられる項目は、診療報酬の改定ごとに変わります。 日本看護協会が改定のたびに一覧を公表しているので、最新の内容はそちらで確認しましょう。
管理職への登用
前述のとおり、認定看護管理者の多くは病院の看護管理部門で働いています。 資格は職位の条件ではありませんが、看護管理を体系的に学んだ証明として、管理職への登用を考えるときの判断材料になります。
病院以外でも、訪問看護ステーションや介護施設の管理者として、組織運営の知識を活かす道があります。 訪問看護ステーションの管理者に必要な要件は病院とは異なるため、以下の記事を参考にしてください。
転職時の評価
管理職として転職する場合、認定看護管理者の資格は、看護管理の知識を体系的に学んだことを客観的に示す材料になります。 一方で、資格手当の有無や金額は施設ごとに異なり、資格を持っているだけで給与が上がるとは限りません。
面接では、資格名だけでなく、教育課程で取り組んだ課題や、部署で改善した実績を具体的に伝えると評価されやすくなります。 受講支援の制度があるかどうかも、これから資格を目指す人にとっては職場選びのポイントです。
- 正看護師求人9,633件中、研修補助ありは187件
- 割合は約2%で、受講支援のある職場は少数
- 支援の有無は面接で具体的に確認しよう
看護師の資格手当の相場は、以下の記事で資格別に紹介しています。
学んだことを実績で語れれば、転職でも強みになるよ!
参考:日本看護協会「認定看護管理者教育における研修が施設基準等に位置づけられている診療報酬項目一覧」 / 日本看護協会「認定看護管理者」
まとめ
認定看護管理者は、看護管理を体系的に学んだことを日本看護協会が認める資格です。 実務経験5年から受講を始め、3つのレベルを修了して認定審査に合格するまで、数年単位の計画が必要になります。
この記事のポイント
- 組織の管理を専門とする日本看護協会の認定資格
- 教育課程は105時間・180時間・180時間の3レベル
- 認定審査は書類審査と筆記試験の2段階
- 費用は会員価格で約76万〜78万円+手数料が目安
- 令和8年度改定で一部の施設基準に位置づけ
まずは日本看護協会への入会状況と、近くの教育機関の募集時期を確認するところから始めましょう。 受講支援のある職場や、管理職としてのキャリアを積める職場を探したいときは、転職エージェントに相談すると、求人票だけでは分からない研修制度まで確認してもらえます。


