薬剤師の人数は何人?最新統計の推移・施設別・都道府県別データを解説
「薬剤師は今、日本に何人いるのだろう」「増えているのか、それとも足りていないのか」と気になったことはないでしょうか?
薬剤師の人数は国の統計で正確に把握されており、就業先や地域によって大きな偏りがあることも分かっています。
この記事では、厚生労働省の最新統計をもとに、薬剤師の総数・これまでの推移・施設別や都道府県別のデータをわかりやすく整理します。
人数が増え続けているのに「薬剤師が足りない」と言われる理由や、今後の見通しまで解説しますので、キャリアを考えるうえでの参考にしてください。
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薬剤師の人数は約33万人

薬剤師の人数を示す最も信頼できるデータが、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」です。この統計によると、2024年12月31日時点の届出薬剤師数は329,045人で、約33万人が薬剤師として登録されています。
内訳を見ると、男性が125,066人、女性が203,979人となっており、女性が約6割を占めているのが特徴です。人口10万人あたりでは265.8人となり、前回調査(2022年末)と比べて5,355人(1.7%)増加しました。
この統計は、薬剤師法にもとづき2年ごとに全国の薬剤師から届け出てもらった内容を集計したものです。免許を持っているだけでなく、実際に「薬剤師」として届け出た人数のため、日本の薬剤師の実態を把握するうえで基準となる数字といえます。
数字でみる薬剤師の人数
参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
薬剤師の人数の推移

薬剤師の人数は、これまで長期にわたって増え続けてきました。1982年以降はほぼ一貫して増加を続けており、直近の統計でも前回調査から人数が伸びています。
特に増加が大きいのは、薬局に従事する薬剤師です。医薬分業が進んだことを背景に、調剤を担う薬局勤務の薬剤師が大きく増えました。あわせて、病院や診療所などの医療施設に従事する薬剤師も、緩やかな増加傾向が続いています。
人口10万人あたりの薬剤師数も増え続けており、日本は国際的に見ても人口比で薬剤師が多い水準にあります。つまり薬剤師は、量としては着実に供給が積み上がってきた職種だといえます。
ただし、この「全体としては増えている」という事実が、後で触れる需給のバランスとは必ずしも一致しない点に注意が必要です。
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施設・業務別にみた薬剤師の人数

薬剤師がどこで働いているかは、就業先によって大きく偏っています。最新統計では、薬局が最も多く、次いで病院・診療所などの医療施設が続きます。
一方で、医薬品関係企業のように人数が減っている分野や、介護分野のように伸びている分野もあり、業態ごとに動きが分かれているのが特徴です。
ここでは、主な就業先ごとの人数を見ていきます。
薬局に最も多く従事している
薬剤師の就業先で最も多いのが薬局で、197,437人が従事しています。届出薬剤師全体のおよそ6割にあたり、年次推移でも大幅に増加してきた区分です。
背景には、処方と調剤を分ける「医薬分業」の定着があります。医療機関で発行された処方箋を、地域の薬局が受け付けて調剤する仕組みが広がったことで、薬局で働く薬剤師の需要が高まりました。かかりつけ薬剤師や在宅医療への関与など、薬局薬剤師に求められる役割も広がっています。
なお、病院・診療所などの医療施設に従事する薬剤師も一定数おり、就業先の選び方によって仕事内容や働き方は大きく変わります。
それぞれの職場の特徴は、関連記事もあわせてご覧ください。
医薬品関係企業は減少している
一方で、人数が減っている分野もあります。製薬会社などの医薬品関係企業に従事する薬剤師は34,184人で、前回調査から2,902人(7.8%)減少しました。
薬剤師の総数が増え続けるなかで企業勤務が減っているのは、業態ごとに需要の動きが異なることを表しています。研究開発や品質管理、MR(医薬情報担当者)など、企業で働く薬剤師の職域は幅広いものの、人数の面では薬局や介護分野とは逆の動きになっています。
このほか、大学に従事する薬剤師は5,011人、保健所などの衛生行政機関に従事する薬剤師は6,906人となっています。薬剤師の資格は、調剤以外にもさまざまな場で活かされていることが分かります。
介護分野は増加している
高齢化を背景に伸びているのが介護分野です。介護老人保健施設に従事する薬剤師は1,049人(9.4%増)、介護医療院は168人(27.3%増)と、いずれも前回調査から増加しました。
人数そのものは薬局や医療施設に比べると少ないものの、増加率は高く、これからの薬剤師の活躍の場として注目されています。高齢者施設では、複数の薬を服用する入所者さんの服薬管理や、飲み合わせのチェックなど、薬剤師の専門性が求められる場面が増えています。
このように、薬剤師の就業先は「薬局が中心で増加、企業は減少、介護は伸びている」というように、分野ごとにはっきりと傾向が分かれています。
薬剤師の求人を探す参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
都道府県別にみた薬剤師の人数

薬剤師の人数は、地域によっても差があります。薬局・医療施設に従事する人口10万人あたりの薬剤師数は、全国で210.6人です。この数字を都道府県ごとに比べると、地域差がはっきりと見えてきます。
最も多いのは徳島県で256.6人、次いで兵庫県245.6人、東京都240.3人と続きます。一方、最も少ないのは沖縄県の155.3人で、福井県170.4人、青森県175.5人がこれに続きます。
注目したいのは、東京や大阪など人口の多い都府県は実数では多いものの、人口比で見ると必ずしも都市部だけが多いわけではないという点です。実際、人口比で最も多いのは徳島県でした。薬剤師の数を考えるときは、「実数」と「人口あたりの人数」を分けて見ることが大切です。
参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
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人数が増えているのに「薬剤師が足りない」と言われる理由

薬剤師の人数は増え続けているのに、現場では「薬剤師が足りない」という声が聞かれます。一見すると矛盾していますが、これは薬剤師が就業先や地域によって偏っていることが原因です。
全体の人数と、必要な場所に必要な人数がいるかは別の問題だといえます。
薬局に偏り病院で不足している
まず大きいのが、就業先による偏りです。薬局に従事する薬剤師は増え続け、医療機関・薬局の従事者のうち約75%を薬局薬剤師が占めるまで拡大しました(令和4年時点)。医薬分業の進展を背景に、薬局への集中が進んだことが分かります。
その一方で、病院では薬剤師の確保が難しくなっています。厚生労働省の薬剤師偏在指標では、病院薬剤師の確保状況が目安を上回る都道府県は全国に1つもなく、病院薬剤師の不足が全国的な課題となっています。
給与水準や勤務環境の違いなどから、薬局に人が集まりやすく、病院では採用に苦労するという構図が生まれています。
病院薬剤師の待遇や年収の実態については、関連記事でくわしく解説しています。
地域によって需給に差がある
もう1つの偏りが、地域による差です。国は「薬剤師偏在指標」を用いて、薬剤師が相対的に少ない「薬剤師少数区域」と、多い「薬剤師多数区域」を見える化しています。
先に見た都道府県別のデータでも、人口あたりの薬剤師数には1.6倍以上の開きがありました。都市部と地方、あるいは同じ都道府県のなかでも、地域によって薬剤師の充足状況は異なります。人数が多い地域がある一方で、薬剤師の確保に苦労している地域も残っているのが実情です。
つまり、「人数が増えている=どこでも足りている」ではないという点が、薬剤師の需給を考えるうえで欠かせない視点になります。全国の合計だけを見ていると、こうした偏りは見えてきません。
薬剤師の求人を探す参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 / 厚生労働省「薬剤師確保対策」
薬剤師の人数は今後どうなる?

今後の薬剤師の人数について、厚生労働省は将来推計を示しています。それによると、将来的には薬剤師の供給が需要を上回ると見込まれており、人数の面では過剰になる可能性が指摘されています。
ただし、これは「全国どこでも余る」という意味ではありません。前の章で見たように、病院薬剤師の確保は依然として課題であり、地域や業態による偏在も残っています。国は2036年を目標に、こうした地域・業態の偏りを是正する取り組みを進めています。
したがって今後は、不足と過剰が地域や就業先によって混在する状況が続くと考えられます。総数として供給が積み上がる一方で、必要とされる場所には人が行き届かないという構図です。
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107 医療圏全国335の二次医療圏のうち、薬局薬剤師の偏在指標が目安(1.0)を上回るのは107医療圏
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17 医療圏病院薬剤師では17医療圏にとどまり、病院側の偏在がより深刻
国は2036年を目標に、地域・業態の偏在是正を推進。薬局と病院の間にも大きな格差が残る。
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薬剤師の人数に関するよくある質問

薬剤師の人数について、読者からよく寄せられる疑問をまとめました。他職種との比較や男女比、データの確認方法など、気になるポイントを整理します。
薬剤師の人数は医師や歯科医師と比べて多い?
薬剤師の約33万人という人数は、医療系の国家資格のなかでは中位に位置します。看護師と比べると大幅に少なく、歯科医師や保健師よりは多いのが実情です。
就業している看護師は100万人を超える規模で、薬剤師の4倍近くにのぼります。一方、歯科医師は約11万人で、薬剤師を下回ります。保健師も、看護職のなかでは人数が限られています。医師は約35万人(34.8万人)で、薬剤師とほぼ同じ水準です。同じ医療職でも、資格ごとに人数の規模は大きく異なります。
薬剤師は男女比率は?
薬剤師は女性が約6割を占めています。最新統計では、男性125,066人に対して女性203,979人となっており、女性の比率が高いことが特徴です。
結婚や出産などのライフイベントを迎えても、パートや時短勤務など柔軟な働き方を選びやすいことが、女性に選ばれてきた理由の1つと考えられます。
調剤薬局を中心に、勤務時間や勤務日数を調整しながら働ける求人が多い点も、女性が長く続けやすい環境につながっています。
薬剤師の人数はどこで確認できる?
薬剤師の人数は、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」で確認できます。この統計は薬剤師法にもとづき、2年ごとに実施されています。
厚生労働省のウェブサイトで概況やデータが公開されており、総数だけでなく、施設別・業務別・都道府県別といった細かい内訳まで確認できます。最新の数字を知りたいときは、民間サイトの推計ではなく、こうした公的な一次データを参照するのが確実です。
参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
まとめ
薬剤師の人数は、2024年時点で約33万人にのぼり、これまで長期にわたって増加を続けてきました。就業先では薬局が最も多く全体の約6割を占め、介護分野も伸びる一方、医薬品関係企業は減少するなど、分野ごとに動きが分かれています。
一方で、人数が増えているにもかかわらず「薬剤師が足りない」と言われるのは、薬局への集中や地域による偏りが背景にあります。今後は供給が需要を上回る見通しですが、病院や一部地域では不足が残るとみられ、不足と過剰が混在する状況が続くと考えられます。
薬剤師としてキャリアを考えるときは、全体の人数だけでなく、「どの就業先で、どの地域で働くか」という視点が大切です。自分に合った職場を見つけるために、就業先ごとの特徴や待遇もあわせて調べてみてください。





