作業療法士が大学院に進学するメリットとは?得られるスキル・キャリア・デメリットも解説

作業療法士が大学院に進学するメリットとは?得られるスキル・キャリア・デメリットも解説 イメージ
  • X
  • Facebook
  • LINE

「臨床現場で感じる疑問を深く研究してみたい」「作業療法士としてキャリアアップするために大学院進学を考えている」という方もいるのではないでしょうか。

大学院に進学すれば、研究力やエビデンスに基づいた臨床力が身につき、教員や研究職への道も開けます。

一方で、学費や時間の負担といったデメリットがあるのも事実です。

この記事では、作業療法士が大学院に進学するメリット・デメリットから、大学院で学べる内容、大学院選びのポイントまで網羅的に解説します。大学院進学を迷っている作業療法士の方は、ぜひ判断材料としてお役立てください。

気になることを
キャリアパートナーに相談できます

気になる内容をお選びください(複数選択可)

目次

作業療法士の大学院進学の現状

大学院進学を検討する作業療法士が勉強している手元

作業療法士の大学院進学は、近年少しずつ注目を集めているものの、まだ一般的とはいえない状況です。ここでは、進学率の実態や大学院の種類、社会人向けの制度について確認していきましょう。

進学率は他のリハビリ職種に比べて低い傾向

作業療法士の大学院進学率は、医師や歯科医師などと比較すると低い水準にとどまっています。養成校は全国に204校210課程が設置されていますが、卒業後すぐに大学院へ進む方はごく少数です。

多くの作業療法士は臨床現場に就職し、日々の業務に追われるなかで進学を検討する余裕がないのが現実といえるでしょう。

とはいえ、認定作業療法士は2,062名、専門作業療法士は179名と、専門性を高めるキャリアを選ぶ方は着実に増えています。大学院へ行くメリットがあまり認知されていないことも、大学院への進学率が低い理由です。

参考:一般社団法人日本作業療法士協会「協会認定資格リスト」

博士前期課程(修士)と後期課程(博士)がある

大学院には博士前期課程(修士課程)と博士後期課程(博士課程)の2段階があります。修士課程は通常2年間で、臨床研究の基礎や研究手法を学びながら修士論文を完成させます。博士課程はさらに3年間で、より高度な独自研究に取り組み、博士論文の執筆と審査を経て博士号を取得する流れです。

作業療法士の場合、まずは修士課程に進学し、博士課程に進むのは大学教員や研究職を本格的に目指す方が中心です。自分のキャリア目標に合わせて、どの課程まで進むかを事前に考えておくことが大切です。

博士前期課程

= 修士課程

期間 2年間
取得学位 修士号
主な目的 臨床研究の基礎と研究手法の習得
修了要件 修士論文

作業療法士の多くがまず進む段階。臨床力の向上やキャリアの幅を広げたい方に。

博士後期課程

= 博士課程

期間 3年間
取得学位 博士号
主な目的 独自テーマで高度な研究を行う
修了要件 博士論文+審査

大学教員や研究職を本格的に目指す方が中心。修士修了後に進学する流れ。

働きながら通える社会人大学院も増えている

近年は、社会人を対象とした大学院プログラムが増えてきました。夜間開講や土日集中講義に対応した課程があり、臨床現場で働きながら研究活動に取り組むことが可能です。

オンライン授業を取り入れている大学院もあり、通学の負担を軽減できるケースが増えています。長期履修制度を利用すれば、修士課程を3〜4年かけて修了できる大学院もあるため、自分の働き方に合わせた柔軟な学び方が選べる時代になっています。

作業療法士が大学院に進学するメリット

大学院進学のメリットを示すカード

大学院での学びは、日常の臨床業務だけでは得られない知識やスキルを身につけるチャンスです。ここでは、作業療法士が大学院に進学することで得られる7つのメリットを紹介します。

研究力・論文を読み解く力が身につく

大学院に進学する最大のメリットは、研究力が身につくことです。論文の検索方法から批判的に読み解くスキル、データの収集・分析方法まで、体系的に学ぶことができます。

臨床現場では論文を読む機会があっても、その内容が妥当かどうかを判断する力が十分でないことは珍しくありません。大学院で培った「論文を正しく評価する力」は、臨床に戻ったあとも患者さんへの介入方法を選択する際に大きな武器になります。研究のプロセスを一通り経験することで、エビデンスの質を見極める目が養われるでしょう。

エビデンスに基づいた臨床ができる

大学院で研究手法を学ぶと、臨床場面で「なぜこの介入を行うのか」を科学的根拠に基づいて説明できるようになります。経験や勘に頼るだけでなく、最新の研究知見を取り入れた質の高いリハビリテーションを提供できるのは、大きな強みです。

エビデンスに基づく実践(EBP)は、チーム医療の場で他職種への説明力も高めてくれます。医師や看護師に対してリハビリの方針を提案する際、論文データを根拠として示せることで、作業療法士としての信頼度が大きく向上するでしょう。

認定・専門作業療法士の申請に有利

日本作業療法士協会が認定する「認定作業療法士」や「専門作業療法士」の取得には、学会発表や論文執筆などの研究実績が求められます。大学院在学中に学会発表や論文投稿を経験しておくことで、申請要件を効率よく満たすことが可能です。

ただし、これは連携する大学院に限られていて、かつ条件もあります。

専門作業療法士養成における大学院との連携の概要

会員は、連携する大学院において、専門分野の研修実践における研修項目に該当する(互換性の認められた)科目を履修することで,当該専門分野の研修カリキュラムの一部あるいは全てを修了することが可能となります。

認定作業療法士は現在2,062名、専門作業療法士は179名と、全会員数約59,000人に対してまだまだ少数です。これらの資格を持つことで臨床現場での評価が高まるだけでなく、職場内でのポジションや転職時の差別化にもつながります。

専門作業療法士の領域別取得者数(2026年6月時点)

020406080
脳血管障害
60名
手外科
27名
がん
20名
特別支援教育
12名
高次脳機能障害
10名
運転と地域移動支援
10名
その他
40名

参考:一般社団法人日本作業療法士協会「協会認定資格リスト」

教員・研究職への道が開ける

大学や専門学校の教員として働くためには、修士号以上の学位が求められるケースがほとんどです。博士号を取得すれば、大学の准教授や教授職に就く道も開けてきます。

教員・研究職は臨床職と比べて、知識の探究と次世代の育成にやりがいを見出せる仕事です。養成校は全国に204校あり、教員のニーズは一定数存在しています。将来的にアカデミアでのキャリアを視野に入れるなら、大学院進学は不可欠なステップといえるでしょう。

作業療法士が大学教授を目指すまでの道のり

学士 → 修士 → 博士 → アカデミアでのステップアップ

1 学士

作業療法士の資格取得

4年制大学 / 3年制専門学校

国家試験に合格し、臨床現場で実務経験を積む。教員職には数年〜の臨床経験が求められる。

臨床OT
2 修士

修士課程(博士前期)に進学

2年間

修士号を取得すると、専門学校や大学の助教・講師として教員職への道が開ける。多くのOTがまず目指す段階。

専門学校教員 助教 講師
3 博士

博士課程(博士後期)に進学

3年間

博士号を取得すると、大学の准教授や教授職に就く道が本格的に開ける。研究実績の積み上げも重要。

准教授 研究員
4 教授

大学教授(最終ゴール)

博士号+研究業績+教育実績

博士号に加え、査読付き論文の発表数や教育経験が評価される。学会活動・著書なども実績の一部に。

教授

人脈が広がる

大学院では、異なる臨床分野や地域で働く作業療法士と一緒に学ぶ機会が得られます。研究室のゼミや学会を通じて、普段の職場では出会えない専門家とのネットワークが構築できるのは大きなメリットです。

指導教員との関係も貴重な財産になります。修了後も共同研究のパートナーとしてつながり続けたり、学術的なアドバイスを受けたりできるケースは少なくありません。こうした人脈は、キャリアの転換期や研究活動を続けるうえで心強い支えになるでしょう。

管理職への昇進に有利になる

医療機関や介護施設では、リハビリテーション部門の管理職に修士号取得者を優先的に登用するケースが見られます。大学院で培った論理的思考力やデータ分析力は、部門運営やスタッフの教育にも活かせるスキルです。

管理職に就くことで、給与面でも待遇が改善する可能性があります。作業療法士の正社員平均月給は27.7万円(医療キャリアナビ掲載求人データ 2026年時点)ですが、管理職ポジションではこれを上回る求人も存在します。昇進を見据えたキャリア設計のなかで、大学院進学は有効な選択肢の一つです。

海外で活動するチャンスが増える

大学院で英語論文の読み書きを経験すると、国際学会での発表や海外の研究機関との共同研究に参加するチャンスが広がります。海外で臨床経験を積みたい方や、国際的な研究プロジェクトに携わりたい方にとって、大学院は最初の一歩となるでしょう。

修士号や博士号は国際的に通用する学位であり、海外の大学や研究機関に応募する際の必須条件になることも多いです。グローバルな視野で作業療法に貢献したいと考えるなら、大学院進学が最も現実的なルートです。

大学院進学で広がるOTのキャリア

  • 研究力は臨床でも転職でも評価される強みになる
  • 認定OT・専門OTの取得者はまだ全体の約4%と希少
  • 教員・管理職・海外進出など多様なキャリアに直結する
ここが大事!
キャリアパートナー

今のあなたの状況は?

大学院で学べる主な内容

大学院では、臨床現場だけでは身につけにくい学術的な知識やスキルを体系的に習得できます。ここでは、作業療法士が大学院で学ぶ代表的な5つの分野を紹介します。

作業療法の基礎理論の深化

大学院では、作業療法の根幹をなす理論やモデルをより深いレベルで学び直します。作業科学(Occupational Science)や人間作業モデル(MOHO)、カナダ作業遂行モデル(CMOP-E)などの理論的枠組みを批判的に検討し、臨床への応用方法を探究していきます。

養成校時代に学んだ理論を「知っている」レベルから「使いこなせる」レベルに引き上げることが、大学院での学びの大きな目的です。理論に基づいた臨床推論ができるようになると、介入の質が格段に向上します。

代表的な作業療法理論モデル

MOHO

人間作業モデル(Kielhofner, 1980)

意志・習慣化・遂行能力・環境の4要素で作業行動を分析。日本で最も普及している理論モデル。

CMOP-E

カナダ作業遂行・結びつきモデル(2007改訂)

人・作業・環境の重なりで作業遂行を捉える。評価ツールCOPMと併用される。

OTIPM

作業療法介入プロセスモデル(Fisher, 2009)

トップダウン・アプローチで臨床推論を体系化。AMPSとセットで活用される。

KAWA

川モデル(Iwama, 2006)

「川」のメタファーで人生と作業を表現する日本発祥のモデル。東洋的価値観を反映。

PEOP

人・環境・作業・遂行モデル(Christiansen, 2005)

作業遂行と参加を中心に、人と環境の相互作用を多面的に分析する。

臨床研究の手法

臨床研究の進め方を一から体系的に学べるのは、大学院ならではの環境です。研究デザインの選択、対象者の設定、データ収集の方法、バイアスの制御など、質の高い研究を行うために必要な知識を習得します。

量的研究(RCTや観察研究)と質的研究(インタビュー調査やグラウンデッド・セオリーなど)の両方を学ぶことで、自分の研究テーマに最適なアプローチを選択できるようになります。

エビデンスレベル(高 → 低)

システマティックレビュー・メタアナリシス

複数のRCTを統合・分析。最も信頼性が高い

ランダム化比較試験(RCT)

無作為割付で介入効果を比較する実験的研究

コホート研究

同じ集団を一定期間追跡し、要因と結果の関連を観察

症例対照研究・横断研究

結果が出た集団と出ていない集団を比較する観察研究

症例報告・症例集積

個別事例の記述。質的研究もこのカテゴリに含まれる

統計解析

研究データを適切に分析するために、統計学の知識は不可欠です。大学院では、記述統計から推測統計、多変量解析まで幅広い手法を学び、統計ソフト(SPSS、R、Stataなど)を使った実践的なデータ処理にも取り組みます。

統計解析のスキルは、自分の研究だけでなく、他者の論文の結果を正しく解釈する力にもつながります。臨床現場でエビデンスを活用するうえで、統計リテラシーは欠かせない基盤スキルです。

英語論文の読み書き

作業療法分野の最新知見の多くは英語論文として発表されています。大学院では、英語論文を正確に読む力に加え、自分の研究成果を英語で執筆・投稿するスキルを養います。

英語でのアブストラクト作成やプレゼンテーションの練習を通じて、国際学会での発表にも対応できる実践力が身につきます。英語力は研究活動にとどまらず、海外の作業療法士との情報交換や共同研究にも活かせる財産です。

英語論文の基本構造(IMRaD)と主要英文誌

論文の標準構造「IMRaD」

I

Introduction

背景・目的

M

Methods

研究方法

R

Results

結果

D

Discussion

考察

作業療法分野の主要英文誌

American Journal of Occupational Therapy(AJOT) AOTA
British Journal of Occupational Therapy(BJOT) RCOT
Australian Occupational Therapy Journal(AOTJ) OTA
Scandinavian Journal of Occupational Therapy(SJOT) 北欧OT連合
Canadian Journal of Occupational Therapy(CJOT) CAOT

研究倫理・研究計画の立て方

研究を行ううえでは、倫理的な配慮が欠かせません。大学院では、ヘルシンキ宣言(人を対象とする医学研究の倫理原則)や研究倫理審査委員会(IRB)への申請方法を学び、研究対象者の権利を守る姿勢を身につけます。

研究計画書の作成は、論理的思考力を鍛えるトレーニングでもあります。研究の目的・方法・予想される結果を整理して文書化する力は、臨床現場での報告書作成やプロジェクト管理にも応用が効くスキルです。

大学院で身につく5つのスキル

研究力統計スキル英語力理論的思考臨床応用力

作業療法士が大学院に進学するデメリット

大学院進学のデメリットを示すカード

大学院進学にはメリットが多い一方で、無視できないデメリットも存在します。進学を決断する前に、以下の5つの課題をしっかり把握しておきましょう。

学費の負担が大きい

大学院進学で最も大きなハードルの一つが学費です。国立大学院の場合、入学金は約28万円、年間授業料は約54万円で、修士課程2年間の総額はおよそ136万円になります。私立大学院では入学金10〜30万円、年間授業料100〜150万円程度が一般的な目安で、2年間で最大330万円ほどかかるケースもあります。

作業療法士の平均年収が約427万円(令和5年賃金構造基本統計調査)であることを考えると、学費の負担は決して軽くありません。日本学生支援機構の奨学金や、大学院独自の授業料減免制度を活用できるか、事前にしっかり調べておくことが重要です。

大学院の学費目安(修士課程2年間)

国立大学院私立大学院
入学金約28万円10〜30万円
授業料(年額)約54万円100〜150万円
2年間の総額目安約136万円210〜330万円

参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」e-Gov法令検索「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」

時間的な拘束が厳しい

大学院では、講義や演習への出席に加え、研究活動に多くの時間を費やす必要があります。修士論文の執筆期間には、データ収集や分析に休日を充てることも珍しくありません。

社会人大学院であっても、平日夜間や土曜日の時間を継続的に確保する必要があります。家族やプライベートの時間が大幅に制限される覚悟が求められるため、入学前に家族の理解を得ておくことが大切です。

仕事との両立が難しい

臨床業務をこなしながら研究を進めるのは、想像以上に大変な作業です。職場の理解が得られず、勤務時間の調整が難しいケースもあります。特に急性期病院や忙しいリハビリ部門に勤務している場合、業務量との兼ね合いで研究に集中できない状況に陥ることもあるでしょう。

仕事との両立を成功させるためには、職場に理解のある環境を選ぶか、長期履修制度を利用して無理のないペースで進めることが重要です

修士・博士を取っても給与に直結しない場合が多い

修士号や博士号を取得しても、臨床職として働き続ける場合、基本給に大きな差がつかない職場がほとんどです。医療機関の給与体系は資格や経験年数に基づくことが多く、学位による手当が設定されていない施設も少なくありません。

大学教員や研究職に転職すれば学位が待遇に反映されますが、臨床現場に留まる場合は「知識やスキルは向上するが給与は変わらない」というギャップに直面する可能性があります。金銭的なリターンだけを目的にする場合は、費用対効果を慎重に検討する必要があるでしょう。

給与アップだけを目的とした大学院進学はおすすめしない

  • ×

    医療機関の給与体系は経験年数ベースで、学位手当がない施設がほとんど

  • ×

    修士・博士でも診療報酬や算定単位は変わらない

  • ×

    学費・時間・機会費用のコストに対し、臨床現場での金銭的リターンは小さい

大学院は「給与」ではなく「キャリアの選択肢を広げる投資」。教員・研究職への転身など、金銭以外のリターンに価値を見出せるなら進学を検討しましょう。

研究職に就ける保証はない

博士号を取得しても、大学教員や研究機関のポストは限られています。少子化の影響で養成校の定員削減や統廃合も進んでおり、教員の新規採用枠は決して多くありません。

博士号取得者の全員が研究職に就けるわけではないため、臨床に戻る可能性も視野に入れたキャリアプランを立てておくことが大切です。大学院で得た研究力は臨床でも十分に活かせるため、「研究職に就けなかったら無駄になる」と考える必要はありませんが、現実的な見通しは持っておきましょう。

大学院進学が向いている作業療法士

大学院進学でキャリアアップするステップのイラスト

大学院進学が自分に合っているかどうかは、将来のキャリア目標や現在の働き方によって異なります。ここでは、進学のメリットを最大限に活かせるタイプを4つ紹介します。

将来的に教員・研究職を目指したい人

大学や養成校の教員、研究機関の研究員を目指す方にとって、大学院進学は必須のステップです。修士号がなければ応募資格を満たせないポストがほとんどであり、博士号を持つことでさらに選択肢が広がります。

例:国際医療福祉大学の募集要項

引用:国際医療福祉大学 小田原保健医療学部 作業療法学科身体障害系(中枢疾患)専任教員募集要項

教育や研究を通じて作業療法の発展に貢献したいという明確な目標がある方は、大学院進学の恩恵を最も受けやすいタイプです

臨床の疑問を研究で解決したい人

「この介入は本当に効果があるのか」「もっと良い評価方法はないか」など、日々の臨床で感じる疑問を科学的に検証したいという方には大学院が最適です。研究の手法を学ぶことで、疑問を仮説に変え、データで検証するプロセスを自分の力で進められるようになります。

臨床経験が豊富であればあるほど、研究テーマの着眼点がユニークになり、実践に直結する成果を出しやすい傾向があります。臨床と研究の両輪で作業療法を深めたい方に、大学院はうってつけの環境です。

認定・専門資格の取得を目指したい人

認定作業療法士や専門作業療法士の取得には、学会発表や論文発表などの学術活動が必要です。大学院に在籍すれば、指導教員のサポートのもとで学会発表の機会を得やすく、論文執筆のノウハウも効率的に習得できます。

大学院での研究実績が、認定・専門資格の申請時にそのまま活用できる可能性がある点は、進学の大きなメリットです。資格取得後のキャリアの幅も広がります。

海外で活躍したい人

海外の大学や研究機関で働くには、修士号や博士号が求められることがほとんどです。大学院で英語論文の読み書きや国際学会での発表を経験しておくことで、海外進出への準備が整います。

国際的な共同研究に参加する際にも、大学院で構築した研究ネットワークが役立つケースが多いです。グローバルに活動するキャリアを描いている方は、大学院進学を真剣に検討する価値があるでしょう。

大学院進学の適性チェック

研究への関心時間の確保費用対効果キャリア効果
教員・研究職志望
臨床の疑問を解決したい
認定・専門資格を目指す
海外で活躍したい

大学院進学が向いていない作業療法士

大学院進学が向いていない人のイメージ

大学院進学はすべての作業療法士に必要というわけではありません。以下のような方は、進学以外のキャリアアップ手段を検討したほうが満足度の高い選択になる可能性があります。

臨床一筋でやっていきたい人

研究活動よりも目の前の患者さんへのリハビリに全力を注ぎたいという方は、大学院に通う時間を臨床経験の積み重ねに充てるほうが効果的です。臨床スキルは現場での実践を通じて磨かれる部分が大きく、研修会やセミナーへの参加でも十分にスキルアップが可能です。

大学院に行かなくても、臨床実績と研修実績を積み上げることで認定作業療法士を目指す道はあります。自分の強みが臨床にあると感じるなら、無理に進学する必要はありません。

給与アップを目的にしたい人

大学院の学費と時間を投資しても、臨床職のままでは給与が大幅に上がるとは限りません。給与アップが最優先の目標であれば、管理職を目指す、訪問リハビリに転職する、公務員として勤務するなど、別のアプローチのほうが確実性が高い場合があります。

作業療法士の正社員求人は全国で5,371件あり、月給の中央値は27万円です(医療キャリアナビ掲載求人データ 2026年時点)。転職によって待遇を改善する選択肢も含め、多角的にキャリアを考えてみましょう。

時間的な余裕がない人

育児や介護など家庭の事情で時間が限られている場合、大学院との両立は非常に厳しくなります。社会人大学院であっても、研究や論文執筆にはまとまった時間が必要です。

「今すぐ」ではなく、ライフステージが落ち着いたタイミングで進学を検討するのも賢い選択です。大学院は何歳からでも入学できるため、焦る必要はありません。

研究に興味がない人

大学院の中心は研究活動です。論文を読むこと、データを分析すること、文章を書くことに興味が持てない場合、2年以上にわたる大学院生活は苦痛に感じる可能性が高いでしょう。

研究に興味がないまま進学すると、モチベーションの維持が難しく、修了できないリスクもあります。臨床での学びや資格取得など、自分に合ったキャリアアップの方法を選ぶことが大切です。

作業療法士の求人を探す

作業療法士が大学院を選ぶときのポイント

大学院選びのチェックポイントを確認する様子

大学院選びは、研究生活の充実度やキャリアに大きく影響します。入学してから後悔しないために、4つのポイントを事前にチェックしておきましょう。

研究室の指導教員の専門領域

大学院での学びの質は、指導教員との相性に大きく左右されます。まずは希望する大学院の教員一覧を確認し、各教員の専門領域や研究テーマ、発表論文をチェックしましょう。

自分が学びたい分野に精通した教員がいるかどうかは、大学院選びの最も重要な基準です。可能であれば、入学前にオープンキャンパスや研究室訪問の機会を利用して、教員と直接話してみることをおすすめします。

作業療法学 大学院の研究室・専門領域(例)

国公立大学を中心に8校をピックアップ

大学院 研究室・専攻 主な研究領域
京都大学
大学院医学研究科
先端作業療法学講座/脳機能リハビリテーション学 高次脳機能 認知症 精神 発達 小児がん
名古屋大学
大学院医学系研究科
総合保健学専攻 作業療法科学ユニット 予防 リハ科学 EBM 国際研究
東京都立大学
人間健康科学研究科
作業療法科学域 認知症高齢者 発達障害 地域生活 健康増進
金沢大学
大学院医薬保健学総合研究科
保健学専攻 作業療法科学講座 身体障害 技術開発 基礎研究
北海道大学
大学院保健科学院
リハビリテーション科学領域(作業療法学) 神経科学 高次脳機能 地域リハ
信州大学
大学院医学系研究科
保健学専攻 作業療法分野 身体・精神 老年期 福祉用具
群馬大学
大学院保健学研究科
リハビリテーション学講座 作業科学 リハ工学 老年
国際医療福祉大学
大学院
医療福祉学研究科 作業療法学分野 作業活動支援 臨床研究 社会人対応

※研究室・専門領域は時期により変動します。最新情報は各大学院の公式サイトでご確認ください。

自分の研究テーマと一致しているか

大学院で取り組む研究テーマは、自分の臨床上の関心と研究室の方向性が一致していることが理想です。テーマが合わないと、研究へのモチベーションが低下するだけでなく、指導教員から十分なサポートを受けにくくなります。

入学前の段階で「自分はどんな疑問を解明したいのか」を明確にし、その疑問に関連する研究を行っている研究室を探すことが成功の第一歩です。先行研究を調べて、自分のテーマの新規性や実現可能性を確認しておくとよいでしょう。

通学のしやすさ

社会人として働きながら通う場合、通学のしやすさは継続の可否を左右する重要な要素です。職場や自宅からの距離、交通手段、講義のスケジュール(夜間・土日対応の有無)を必ず確認しましょう。

遠方の大学院を選ぶ場合は、オンライン授業の割合や集中講義の日程もチェックポイントです。通学負担が大きすぎると、研究に充てる時間やエネルギーが削がれてしまうため、無理なく通い続けられる環境を選ぶことが修了への近道です

修了生の進路実績

大学院選びでは、修了生がどのようなキャリアを歩んでいるかも参考になります。教員職に就いた修了生が多い研究室は、アカデミアを目指す方にとって心強い実績です。臨床に戻って活躍している修了生が多い場合は、臨床研究に強い研究室といえるでしょう。

大学院の公式サイトやパンフレットに修了生の進路情報が掲載されていることが多いため、入学前に必ず確認しておきましょう。可能であれば、実際に修了した先輩にコンタクトを取り、入学後の生活や研究の進め方について体験談を聞いてみることも有益です。

大学院選びのステップ

1
情報収集

教員の研究テーマや修了生の進路を調査する

2
研究室訪問

指導教員と直接話し研究テーマの方向性を確認する

3
出願・入学

研究計画書を作成し入学試験に臨む

まとめ

作業療法士が大学院に進学すると、研究力やエビデンスに基づいた臨床力が身につき、教員・研究職への道や認定・専門資格の取得など、キャリアの選択肢が大きく広がります。一方で、学費の負担や時間の確保、仕事との両立といった課題もあるため、自分のキャリア目標と照らし合わせた判断が大切です。

進学が向いているのは、研究を通じて臨床の疑問を解決したい方や、教育・研究分野でのキャリアを描いている方です。反対に、臨床一筋で経験を積みたい方や、給与アップを最優先にしたい方は、転職や資格取得といった別のアプローチが合っているかもしれません。

大学院進学に限らず、作業療法士としてキャリアアップを目指すなら、まずは自分の強みと目標を整理することが第一歩です。転職によって環境を変えることで新たなスキルが身につくケースも多いため、幅広い選択肢のなかから自分に合った道を見つけてみてください。

キャラクター
OTに選ばれ続ける
「医療キャリアナビ」の特徴
特徴1.
忙しくてもLINEで好きな時間に相談可能♪
特徴2.
地域特化のため職場の内部情報が豊富!
特徴3.
面接対策や条件交渉など実践的サポートが充実!
※調査方法:アンケート/対象者:サービス利用による内定者288名/集計期間:2025年1月1日~2025年8月31日
LINE logo

作業療法士の無料転職サポート

医療キャリアナビでは、LINEで無料登録ができ、LINEで求人のご紹介や転職相談が可能です!

この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

医療キャリアナビ編集部

記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

\ シェア・拡散していただけると嬉しいです /

転職をご検討中の方へ

医療業界に詳しいキャリアパートナーが無料で転職サポートをさせていただきます!新着・非公開求人の紹介も可能です!