糖尿病看護認定看護師と糖尿病療養指導士の違い|要件・役割と選び方
インスリン導入や血糖コントロールに悩む患者さんに関わるうちに、「糖尿病の資格を取りたいけれど、認定看護師と療養指導士のどちらがいいの?」と迷う看護師は多いのではないでしょうか?
糖尿病認定看護師(正式名称は糖尿病看護認定看護師)と糖尿病療養指導士は、どちらも糖尿病ケアの専門性を示す資格ですが、認定する団体も、取得までにかかる期間や費用も大きく異なります。
この記事では、2つの資格の違いを5つの観点で比べたうえで、それぞれの役割と取得の流れ、自分に合うほうを選ぶための判断軸を紹介します。
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糖尿病看護認定看護師と糖尿病療養指導士の違い

「糖尿病認定看護師」と呼ばれることが多い資格の正式名称は、糖尿病看護認定看護師です。 糖尿病療養指導士には、全国共通の基準で認定される日本糖尿病療養指導士(CDEJ)と、地域ごとに認定される地域糖尿病療養指導士(CDEL)があります。
CDELは地域によって要件が異なるため、下の比較はCDEJの内容です。
| 糖尿病看護認定看護師 | 日本糖尿病療養指導士(CDEJ) | |
|---|---|---|
| 対象職種 | 看護師のみ | 看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士 |
| 認定団体 | 日本看護協会 | 日本糖尿病療養指導士認定機構 |
| できること | B課程は特定行為研修を修了。手順書でインスリン量の調整などが可能 | 各職種の業務範囲で療養指導。新たにできる医療行為はない |
| 期間と費用 | 実務5年以上+教育課程1年。費用は学費が中心 | 療養指導2年以上で受験。費用は講習と受験料のみ |
| 更新要件 | 5年ごとの書類審査。実践時間は問わない | 5年ごと。療養指導を続けていることが前提 |
対象となる職種の違い
糖尿病看護認定看護師は、看護師免許を持つ人だけが目指せる資格です。 一方のCDEJは、看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士の5職種が対象です。
有資格者の内訳を見ると、看護師・准看護師が4割あまりと最も多くを占めます。 同じ病棟やチームの管理栄養士・薬剤師と一緒に取得を目指せるのは、職種をまたいで認定するCDEJならではです。
認定する団体の違い
糖尿病看護認定看護師を認定するのは、公益社団法人日本看護協会です。 CDEJは一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構、CDELは各地域の認定団体が認定します。
どちらも国家資格ではなく、それぞれの団体が独自の基準で審査・認定する資格です。 看護師免許のように「持っていないとその業務ができない」という性質のものではない点は、2つとも共通しています。
できることの違い
いちばん大きな違いは、特定行為ができるかどうかです。 これから糖尿病看護認定看護師を目指す場合に学ぶB課程には、国の特定行為研修が組み込まれています。 修了すると、医師の指示の下、手順書によりインスリンの投与量の調整などの特定行為ができます。
CDEJは、患者さんの療養指導を各職種の法律上の業務の範囲で行う資格です。 資格を取ったことで、新しくできる医療行為が増えるわけではありません。
特定行為ができる根拠は「認定看護師だから」ではなく「特定行為研修を修了しているから」です。特定行為研修を組み込んでいないA課程で認定された人は、別に研修を修了しない限り特定行為はできません。
資格名の扱いにも違いがあります。 認定看護師の名称は、病院案内などで「専門性の広告」として掲載できます。 CDEJは、院外の看板など不特定多数に向けた広告には使えず、院内のスタッフ紹介など範囲を限った掲示にとどまります。
取得にかかる期間と費用の違い
糖尿病看護認定看護師は、看護師として通算5年以上(うち3年以上は糖尿病看護分野)の実務経験を積んだうえで、1年間の教育課程に通います。 教育課程に出願してから認定審査の合否が出るまで、2年以上かかります。
CDEJは、条件を満たす施設で通算2年以上、療養指導に携わるなどの条件を満たせば受験できます。 講習の申し込みから合格発表までは1年弱で、働きながら取得できるのが特徴です。
- 入学検定料50,000円
- 入学金50,000円
- 授業料994,000円
- 認定審査料51,700円
- 認定料51,700円
- 受験者用講習33,000円
- 受験料22,000円
費用の差は20倍以上で、認定看護師の費用のほとんどは教育課程の授業料です。 CDEJは認定料や年会費がかからず、受験者用講習と受験料のほかには、テキストの「糖尿病療養指導ガイドブック」代がかかる程度です。
看護師の求人を探す更新要件の違い
どちらも5年ごとの更新制ですが、求められる中身が違います。
-
糖尿病看護認定看護師過去5年間に50点以上の自己研鑽などの実績で書類審査。更新審査料30,800円+認定料20,900円
-
CDEJ認定期間中に通算3年以上の療養指導業務、更新者用講習会の受講、研修単位40単位、自験例10例。更新審査料11,000円+講習会33,000円
認定看護師は、2025年度の審査から看護実践の時間数を問わなくなり、休職中でも実績がそろえば申請できます。 CDEJは、糖尿病患者さんの療養指導に通算3年以上従事していることが条件のため、糖尿病に関わらない部署への異動や長期の離職があると更新が難しくなります。
取ったあとも、続け方がけっこう違うんだね
参考:日本看護協会 看護研修学校「2027年度 認定看護師教育課程 B課程 募集要項」 / 日本糖尿病療養指導士認定機構「CDEJとは」
糖尿病看護認定看護師とは?

糖尿病看護認定看護師は、糖尿病看護の分野で熟練した看護技術と知識を持つと、日本看護協会に認定された看護師です。
2026年度に糖尿病看護分野のA課程を開講している教育機関はなく、これから目指す場合はB課程で学ぶのが前提です。 B課程を開講しているのも、日本看護協会看護研修学校の1機関だけです。
認定看護師制度そのものの仕組みや、A課程とB課程の違いは以下の記事で紹介しています。
認定されている役割
認定看護師には、「実践」「指導」「相談」の3つの役割があります。 糖尿病看護認定看護師の場合、自分の受け持ち患者さんへのケアに加えて、病棟や外来の看護師からの相談に応じ、院内全体の糖尿病看護の質を高める立場です。
B課程の教育で中心になる知識・技術は、次の4つです。
- 血糖パターンマネジメント
- 病期に応じた糖尿病透析予防
- 予防的フットケア
- 身体所見から病態を判断してインスリンの投与量を調整する技術
実践できるケア
糖尿病看護認定看護師の実践は、血糖値の推移や生活の様子から原因を探り、治療と生活の両面から調整していくケアが中心です。 合併症の進み具合に合わせた透析予防の支援や、足病変を防ぐフットケアも担います。
B課程で認定された人は、教育課程の中で次の特定行為研修も修了しています。
- インスリンの投与量の調整
- 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
- 脱水症状に対する輸液による補正
食事量が減ったときや体調を崩したときに、医師の指示を待たずに手順書の範囲でインスリンの量を調整できるため、在宅や施設など医師がそばにいない場面でも役立ちます。
糖尿病看護の認定看護師教育は、糖尿病合併症管理料や糖尿病透析予防指導管理料で、算定要件の研修に該当すると日本看護協会の一覧に示されています。
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取得までの流れ
認定審査を受けるには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 日本の看護師免許を持っている
- 看護師免許の取得後、通算5年以上の実務経験がある
- そのうち通算3年以上は、糖尿病患者さんの多い病棟・外来・在宅ケア領域での看護実績がある
- 認定看護師教育課程を修了している
B課程では、インスリン療法中または合併症のある糖尿病患者さんの看護を合わせて5例以上担当した実績も必要です。 このうち1例以上は、外来または在宅ケア領域での療養支援を含めなければなりません。
病棟勤務だけだと条件を満たしにくいので、外来での指導に関わる機会を早めに作っておくと安心です。
教育課程を修了したら年1回の認定審査を受け、合格後に認定料を振り込むと認定されます。
- 2026年9月出願登録・出願書類の郵送
- 2026年11月入学試験筆記(専門科目・小論文)と面接
- 2027年4月〜教育課程(1年間)eラーニング→集合教育→臨地実習→統合演習
- 2028年3月卒業(修了)
- 2028年7月頃認定審査の申請例年どおりの日程の場合
- 2028年10月頃筆記試験
- 2028年12月頃合否発表→認定料を振り込み登録
B課程を修了して認定された人は、「特定認定看護師」と名乗ることもできます。
外来か在宅の症例が1例いるのは見落としやすいね!
参考:日本看護協会「第34回(2026年)認定看護師(CN)認定審査 審査・申請の手引き」 / 日本看護協会「教育機関別開講状況・定員数一覧(B課程)」
糖尿病療養指導士とは?

日本糖尿病療養指導士(CDEJ)は、糖尿病治療でもっとも大切な自己管理(療養)を患者さんに指導する医療スタッフです。
CDEJとCDELの違い
地域糖尿病療養指導士(CDEL)は、都道府県や地域ごとの団体が認定する資格です。 日本糖尿病協会によると、CDELは全国に約2万5千人いて、認定団体は55団体あり、各都道府県に少なくとも1つあります。
- 認定
- 日本糖尿病療養指導士認定機構
- 有効な範囲
- 全国共通
- 要件
- 全国一律(施設の条件・講習・試験)
- 対象職種
- 看護師など5職種
- 認定
- 地域ごとの認定団体
- 有効な範囲
- 認定した地域が中心
- 要件
- 団体ごとに異なる
- 対象職種
- 団体ごとに決定
CDELは、対象職種や認定の要件が団体ごとに決められていて、全国一律の要件はありません。 他の地域で取ったCDELの扱いも、「移行可」「条件付きで可」「未決定」と団体によって分かれます。
転居や転勤の予定がある場合は、地元の団体の要件を確認してから選ぶのが無難です。
実践できる療養指導
CDEJの療養指導は、看護師なら看護師、管理栄養士なら管理栄養士の業務の範囲で行います。 看護師のCDEJであれば、インスリン自己注射や血糖自己測定の手技の指導、低血糖への対処法の説明、生活の中で続けられる工夫を患者さんと一緒に考える場面が中心です。
CDEJの強みは、職種をまたいだ共通の知識を持てることです。 管理栄養士や薬剤師など他の職種と同じガイドブックで学ぶため、チームで指導方針をそろえやすくなります。
看護師の求人を探す取得までの流れ
CDEJの受験資格は、受験年度の6月30日時点で次の条件をすべて満たしていることです。
- 看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士のいずれかの資格がある
- 条件を満たす医療施設で、過去10年以内に通算2年以上、糖尿病患者さんの療養指導業務に従事している
- その間に、通算1,000時間以上、直接患者さんに療養指導をした
- その施設で担当した療養指導の自験例が10例以上ある
- 日本糖尿病療養指導士認定機構の受験者用講習(eラーニング)を修了している(11月25日時点で可)
勤務先に日本糖尿病学会の専門医(非常勤なら月1回以上の勤務)か、学会員で常勤の医師がいて、その医師の指導を受けていることが必要です。外来で糖尿病の診療と患者教育・食事指導が恒常的に行われていることも条件です。
試験は、80問の客観試験(CBT方式)と、受験申請時に提出する「糖尿病療養指導自験例の記録」10症例で判定されます。 第26回(2025年度)は787人が受験して751人が合格し、合格率は95.4%でした。
働きながら1年弱で取れるのは心強いね!
参考:日本糖尿病療養指導士認定機構「受験資格について」 / 日本糖尿病協会「CDEネットワーク」
どちらを目指すか判断するときの軸

2つの資格に優劣はなく、どちらが合うかは今の職場、使える時間とお金、目指したい役割で変わります。 4つの軸で自分の条件を当てはめてみましょう。
現在の職場と担当している患者
まず確認したいのは、今の職場でそれぞれの受験資格を満たせるかどうかです。
CDEJは、勤務先に糖尿病専門医か学会員の常勤医がいることが前提になるため、職場によっては何年働いても受験資格を満たせません。
認定看護師の受験資格には勤務先の医師に関する条件はありませんが、糖尿病患者さんの多い部署での3年以上の実績と、外来または在宅での療養支援を含む5例が必要です。
確保できる学習時間と費用
認定看護師のB課程は、1年間、職場を離れて学ぶのが基本です。 看護研修学校の場合、4〜7月はeラーニング中心ですが、8〜10月頃の集合教育と、その後の臨地実習(原則として他施設)は現地に通う必要があります。
この課程は教育訓練給付金の指定講座ではないため、給付金で学費を補うことはできません。 日本看護協会の認定看護師教育課程奨学金などの貸与型の制度や、勤務先の補助を組み合わせるのが現実的です。
CDEJの受験者用講習は、標準学習時間15〜20時間ほどのeラーニングです。 勤務を続けながら準備でき、費用も5万円台に収まります。
- 学費補助の有無と条件を看護部に確認する
- 補助には修了後の勤務条件が付くこともある
- 1年間を休職扱いか研修扱いか早めに相談
目指したい役割の範囲
院内全体の糖尿病看護をリードし、スタッフの指導や相談、特定行為まで担いたいなら、糖尿病看護認定看護師が合っています。 外来や病棟で患者さんへの療養指導を深め、多職種のチームの一員として力を発揮したいなら、CDEJが近道です。
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資格が給与にどう反映されるかは、施設ごとの資格手当の規程によって異なります。 資格手当の相場は以下の記事で紹介しています。
両方を取得する場合の順序
どちらの要件にも「もう一方の資格を持っていないこと」といった制限はないため、両方を取得することもできます。 順序は、先にCDEJを取り、その後に認定看護師を目指す流れが組みやすいです。
CDEJの受験資格は通算2年で満たせるため、認定看護師に必要な実務経験5年を積む途中で取得できます。 CDEJの自験例をまとめる経験は、B課程の出願時に求められる5例の事例整理にも生かせます。
一方で、認定看護師の教育課程で学ぶ1年間は療養指導の業務から離れます。 CDEJの更新には5年の認定期間のうち通算3年以上の療養指導業務が必要なので、更新時期と入学時期が重ならないよう逆算しておくと安心です。
どっちか一つって決めなくてもいいんだね
参考:日本糖尿病療養指導士認定機構「認定更新の条件」 / 日本看護協会「認定看護師」
まとめ
糖尿病看護認定看護師は、日本看護協会が認定する看護師だけの資格で、特定行為を含めて院内全体の糖尿病看護を担います。 糖尿病療養指導士(CDEJ)は、5職種が対象の資格で、働きながら1年弱で取得でき、チームで療養指導を担います。
この記事のポイント
- 糖尿病認定看護師の正式名称は糖尿病看護認定看護師
- 認定看護師は実務5年以上、2026年度はB課程1機関のみ
- CDEJは5職種が対象、施設の条件付きで通算2年から受験可
- 費用の例は認定看護師約120万円、CDEJ約5.5万円
- CDEJを先に取り、認定看護師を目指す順序も選べる
まずは今の職場がCDEJの施設条件を満たしているか、糖尿病看護の実績を何年積めているかを確認してみましょう。 条件がそろわない場合は、糖尿病の専門外来がある病院や、資格取得を支援する制度のある職場に移ってから目指すのも一つの方法です。


