女性薬剤師の平均年収はいくら?年代別・職場別の相場と男女差が生まれる理由
「同期の男性薬剤師と比べて、自分の年収は低いのでは?」と気になったことはありませんか? 女性薬剤師の平均年収は約539万円で、男性より約66万円低い水準です。
この記事では、女性薬剤師の年収を年代別・職場別に整理し、男女差が生まれる4つの理由と、産休・育休や時短勤務の時期に年収を落としにくい働き方、年収を上げる方法を紹介します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
女性薬剤師の平均年収

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに計算すると、女性薬剤師の平均年収は約539万円です。 平均年齢は39.7歳、平均勤続年数は7.8年です。
年収は「きまって支給する現金給与額(月給)×12か月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。対象はフルタイムで働く一般労働者で、パート・アルバイトなどの短時間労働者は含みません。
きまって支給する現金給与額には、基本給に加えて残業代や各種手当も含まれます。 媒体によって「所定内給与額(残業代を除く月給)」で計算している場合もあるため、記事ごとに数字が少しずつ違うことがあります。
男性薬剤師との年収差
同じ調査で男性薬剤師の平均年収は約606万円なので、男女差は約66万円です。
| 女性薬剤師 | 男性薬剤師 | |
|---|---|---|
| 月給(残業代・手当込み) | 38.0万円 | 42.5万円差 4.5万円 |
| 年間賞与 | 83.5万円 | 95.2万円差 11.7万円 |
| 年収 | 539万円 | 606万円 |
| 平均勤続年数 | 7.8年 | 9.8年 |
差は月給だけでなく賞与にも出ています。 男性のほうが平均勤続年数が2年長く、役職に就いている人の割合も高いことが、月給・賞与の両方を押し上げています。
他の医療職との比較
女性の医療職どうしで比べると、薬剤師の年収は助産師に次ぐ水準で、看護師より約18万円高くなっています。
診療放射線技師や臨床検査技師、リハビリ職と比べると、70万〜120万円ほど高い水準です。 女性が多い医療職の中では、薬剤師は年収の高い職種といえます。
男性との差はあるけど、医療職の中では高めなんだね
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 / 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
【年代別】女性薬剤師の平均年収

女性薬剤師の年収は、20代前半の約403万円から40代後半の約644万円まで上がり、50代からは横ばい〜ゆるやかな下降に入ります。 男性との差は20代後半で約20万円と小さく、30代後半から大きく開くのが特徴です。
20代の年収
20代前半は約403万円、20代後半は約487万円です。 20代前半は賞与の算定期間に在籍していない新卒1年目が多く含まれるため、賞与が少なく年収が低めに出ています。
20代後半の男性は約507万円です。 入社時の給与は男女で同じ基準の職場がほとんどなので、20代のうちは男女差が小さいと考えてよいでしょう。
30代の年収
30代前半は約512万円、30代後半は約539万円です。 20代後半からの伸びは30代前半で約25万円、30代後半で約27万円と、ゆるやかになります。
一方で男性は30代後半で約649万円まで伸び、男女差は約110万円に広がります。 出産・育児と重なりやすい時期に、昇給や役職の差がつき始めることが背景の一つと考えられます。
今のあなたの状況は?
40代の年収
40代前半は約554万円、40代後半は約644万円です。 40代後半で大きく伸びるのは、子育てが落ち着いて管理薬剤師などの役職に就く人が増えることが一因と考えられます。
男性との差は40代前半で約84万円、40代後半で約83万円です。 30代後半より差が少し縮まり、40代は年収を取り戻しやすい時期ともいえます。
50代以降の年収
50代前半は約613万円、50代後半は約604万円で、40代後半をピークに横ばいになります。 60代前半は約530万円で、定年後の再雇用などで下がる人が増えます。
男性は50代後半で約743万円まで伸び続けるため、男女差は50代後半で約139万円と最も大きくなります。 30代で開いた昇給や役職の差が、50代まで持ち越されやすいためです。
30代で差がつき始めるのは気になるよね。
【職場別】女性薬剤師の年収の目安

職場別の年収は男女別の公的データがないため、厚生労働省の「医療経済実態調査」にある男女計の数字を目安にします。 女性の年収は、ここから男女差の分だけ低めになると考えておきましょう。
| 職場 | 年収の目安(男女計) | 年収を左右するもの | 子育て期の働き方 |
|---|---|---|---|
| 調剤薬局 | 479万円 | 管理薬剤師になるかどうか | パート求人が多く時間を選びやすい |
| ドラッグストア | 公的統計なし | 夜間・土日シフトの手当 | シフトが減ると手当も減りやすい |
| 病院 | 581万円 | 賞与の厚さ・夜勤や当直 | 当直を外れると手当が減る |
| 製薬会社 | 公的統計なし | 職種と企業規模 | 在宅勤務を取り入れる職種もある |
調剤薬局
保険薬局で働く常勤薬剤師(管理薬剤師を除く)の年収は、給料と賞与を合わせて約479万円です。 賞与は年間約55万円と少なめで、月給の比重が大きい給与体系です。
調剤薬局はパート求人が多く、子育て中でも勤務時間を調整しやすい職場が見つかりやすいのが特徴です。 管理薬剤師になると年収が大きく上がるため、子育てが落ち着いた後に役職を目指しやすい職場でもあります。
薬剤師の求人を探すドラッグストア
ドラッグストアは夜間や土日の営業が多く、シフトに応じた手当がつくことで年収を上げやすい職場です。 一方で、育児中は夜間・土日のシフトに入りにくくなり、手当分の収入が減りやすい点に気をつけましょう。
ドラッグストアの初任給や年収の実態は、以下の記事で詳しく紹介しています。
病院
一般病院の常勤薬剤師の年収は約581万円で、賞与が年間約116万円と厚いのが特徴です。 国立・公立など公的な病院は賞与の水準が高く、年齢とともに給与が上がる仕組みの職場が多くなっています。
ただし、初任給は調剤薬局やドラッグストアより低めになる傾向があり、若いうちは年収で見劣りすることもあります。 夜勤・当直に入るかどうかで年収が変わりやすい職場でもあります。
製薬会社
製薬会社はMR・研究・開発・品質管理・学術などの職種があり、薬剤師の職場の中では年収水準が高いといわれる職場です。 企業規模が大きい会社が多く、賞与や福利厚生が厚いのが特徴です。
産休・育休や時短勤務の制度が整っている会社が多く、在宅勤務を取り入れている職種もあります。 一方で求人数は少なく、中途採用では臨床経験より職種ごとの専門性や実務経験を求められることが多い職場です。
- 調剤薬局の正社員求人は月給中央値36.5万円
- 病院の正社員求人は月給中央値約30万円
- 薬剤師求人1,450件のうち調剤薬局が1,124件
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
女性薬剤師の年収が男性より低くなる理由

男女差の約66万円は、1つの原因ではなく、いくつかの要因が重なって生まれています。 自分の年収が低いと感じたら、次の4つのうちどれが当てはまるかを確認してみましょう。
管理職に就く割合が低いため
賃金構造基本統計調査で、部長・課長・係長などの役職者の割合を男女で比べると、男性薬剤師は約28%、女性薬剤師は約13%です。
役職者を除いて比べると、年収の男女差は約66万円から約54万円まで縮まります。 つまり、男女差のうち約12万円は役職の差で説明できます。 管理薬剤師やエリアマネージャーを打診される時期が出産・育児と重なり、見送るケースがあることも一因です。
産休・育休の期間に昇給が止まるため
産前6週間・産後8週間の産休と、原則として子が1歳になるまでの育休の間は、昇給の評価対象から外す職場があります。 賞与も算定期間中の出勤日数に応じて減額されるのが一般的で、休業期間が長いほど少なくなります。
男性より平均勤続年数が2年短いことも、昇給が積み上がりにくい原因です。 子どもが2人以上いると、休業期間が合計2〜3年になり、その分の昇給が遅れることもあります。
転職活動するなら?
時短勤務やパートを選ぶ人が多いため
時短勤務は、働く時間を減らした分だけ給与も減るのが一般的です。 1日8時間から6時間に短縮すると、基本給は約4分の3になります。
子育て中にパートへ切り替えると、賞与や退職金の対象から外れる職場も多く、年収の差はさらに大きくなります。 なお、賃金構造基本統計調査の年収はフルタイムの人だけの数字なので、時短勤務の人は「平均より低い」と感じやすい点も押さえておきましょう。
夜勤・当直に入る機会が少ないため
病院の当直やドラッグストアの深夜営業には、1回ごとの手当や深夜割増がつきます。 小学校入学前の子どもを育てている人は、請求すれば夜10時〜朝5時の深夜勤務を免除してもらえるため、育児中は夜勤・当直を外れる人が多くなります。
深夜勤務がなくなると、月に数万円の手当がそのまま減ることもあります。 病院勤務で年収が下がったと感じるときは、当直手当の減少が原因かどうかを給与明細で確認してみましょう。
自分の場合、どの理由が一番大きいんだろう?
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 / 厚生労働省「育児・介護休業法について」
ライフイベントを挟んでも年収を落としにくい働き方

出産・育児で働き方を変える時期は、どの選択をするかで数年後の年収に差がつきます。 「正社員を続けるか」「どれくらいの時間働くか」の2つを軸に、自分に合う働き方を選びましょう。
| 賞与・退職金 | 時間の融通 | 時間あたりの収入 | 役職への道 | |
|---|---|---|---|---|
| 正社員で時短勤務 | ◎対象のまま | ○ | ○ | ◎ |
| パート | △職場による | ◎ | ○ | △ |
| 派遣 | ×ない場合が多い | ○ | ◎ | × |
| 企業・在宅医療へ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
正社員のまま時短勤務を使う
3歳未満の子どもを育てている人は、会社に申し出れば短時間勤務制度を利用できます。 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含めることが会社に義務づけられています。
2025年10月からは、子どもが3歳から小学校に入るまでの間も、会社が用意した2つ以上の制度から1つを選んで使えるようになりました。 正社員のまま時短勤務を使えば、賞与や退職金、昇給の対象から外れずに済みます。
フルタイムに戻ったときに元の給与水準へ戻りやすいのも、パートに切り替えるより有利な点です。
時給水準の高い職場でパート勤務をする
短時間で働く女性薬剤師の平均時給は2,526円です。 同じ短時間労働者の女性看護師(1,930円)より約600円高く、パートでも収入を確保しやすい職種です。
時給は地域や職場によって差があり、薬剤師が不足している地域や、土日・夜間に働ける職場ほど高くなりやすい傾向があります。 パートを選ぶ場合は、賞与や退職金の有無、社会保険の加入条件もあわせて確認しておくと、年収の目減りを防げます。
薬剤師の求人を探す派遣で短期間に集中して働く
派遣薬剤師は、調剤薬局やドラッグストアを中心に、3か月など期間を区切って働く働き方です。 パートより時給が高めに設定されることが多く、子どもを預けられる時期に集中して働きたい人に向いています。
ただし、派遣では管理薬剤師になれないため、役職による年収アップは見込めません。 昇給や賞与もないことが多いので、長く続ける働き方というより、育児が落ち着くまでのつなぎとして使うのがおすすめです。
働き方の選び方しだいで、年収は守れるんだね!
企業・在宅医療の職種へ移る
製薬会社の学術・品質管理などの職種や、医薬品情報を扱う企業の職種には、在宅勤務やフレックスタイムを取り入れているところがあります。 土日休みで勤務時間が読みやすく、子育てと両立しながらフルタイムを続けやすいのが利点です。
在宅医療に力を入れている薬局では、訪問の予定を日中に組むことが多く、時間を調整しながら働ける職場もあります。 在宅医療の経験は、今後の薬局で評価されやすいスキルです。
- 薬剤師求人1,450件のうちパート求人は518件
- 時短勤務OKの求人は149件(約10%)
- 託児所・保育所完備の求人は99件(約7%)
参考:厚生労働省「育児・介護休業法について」 / 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
女性薬剤師が年収を上げる方法

年収を上げる方法は、「役職に就く」「専門性を高める」「職場を変える」の3つです。 男女差の原因のうち、自分に当てはまるものを解消する方法から選ぶと効果が出やすくなります。
管理薬剤師やエリアマネージャーを目指す
医療経済実態調査では、保険薬局の管理薬剤師の年収は約725万円で、管理薬剤師以外の薬剤師(約479万円)より約246万円高い水準です。
管理薬剤師は店舗に1人置く必要があるため、勤続年数が短くても任される機会があります。 さらに複数店舗をまとめるエリアマネージャーになると、年収はもう一段上がるのが一般的です。 子育てが落ち着いてから役職を目指す人もいるので、打診されたときに引き受けられるよう、店舗運営の経験を積んでおきましょう。
役職を目指すと、年収はぐっと上がるんだね!
認定薬剤師・専門薬剤師の資格を取る
認定薬剤師や専門薬剤師は、特定の分野の知識と経験があることを示す資格です。 研修認定薬剤師のように研修の受講で取れるものから、がんや感染制御など病院での実務経験が必要な専門薬剤師まであります。
資格手当は職場によって違い、手当がない職場もあります。 資格そのもので年収が大きく上がるというより、病院での昇進や転職のときの評価につながると考えておくとよいでしょう。 時短勤務中でも、eラーニングなどで単位を取れる研修を選べば、キャリアを止めずに準備できます。
年収水準の高い職場へ転職する
同じ経験年数でも、職場によって年収は大きく変わります。 管理薬剤師のポストが空いている薬局や、薬剤師が不足している地域の職場は、給与を高めに設定していることが多くなっています。
職場ごとの仕事内容や年収の違いは、以下の記事でまとめて比較しています。
転職で年収を上げるなら、月給だけでなく、賞与・時短勤務の条件・管理職への登用実績まで比べるのがポイントです。 子育てと両立しながら長く働ける職場を選ぶことが、結果として年収を落とさないことにつながります。
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
まとめ
女性薬剤師の平均年収は約539万円で、男性より約66万円低い水準です。 差は20代では小さく、出産・育児と重なる30代後半から大きく開きます。
この記事のポイント
- 女性薬剤師の平均年収は約539万円、男女差は約66万円
- 男女差は30代後半から広がり、50代後半で最大になる
- 差の原因は役職・休業中の昇給停止・時短やパート・夜勤の4つ
- 正社員のまま時短勤務を使うと年収を落としにくい
- 管理薬剤師になると年収は約246万円上がる
まずは4つの原因のうち、自分に当てはまるものを確認してみましょう。 今の職場で時短勤務や役職への登用が難しい場合は、両立しやすく年収も確保できる職場への転職を考えるのも一つの選択肢です。


