雇われ院長として働くデメリットはある?責任の範囲と契約前の確認点
雇われ院長は、自分で開業せずに院長を任される働き方です。開業資金を用意しなくてよい一方で、経営の決定権は開設者の側にあり、管理者としての責任は自分に回ってきます。
この記事では、雇われ院長として働くデメリットを、医療法や健康保険法が管理者に課している義務まで踏み込んで整理します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
雇われ院長とは?

「雇われ院長」は、医療機関や施術所の開設者に雇用され、その院の管理者を任される立場を指す呼び方です。開設者と管理者が制度上分かれていることが、この働き方の前提になります。
開設者と管理者は別であること
医療法は、病院や診療所を開設した人と、その院を実際に管理する人を別々に位置づけています。開設者が医師で管理者になれる場合は自ら管理するのが原則ですが、医療法第12条第1項のただし書きにより、所在地の都道府県知事の許可を受ければ他の医師に管理させることができます。雇われ院長は、この「他の者に管理させる」形にあたります。
開設者が医療法人や自治体のように医師本人でない場合は、そもそも開設者が管理者になれません。医療法第10条第1項が、医業をなす病院・診療所の管理者を臨床研修等修了医師に限っているためです。
令和6年10月1日時点の一般診療所105,207施設のうち、医療法人が開設したものは47,711施設で45.3%、個人が38,719施設で36.8%でした。病院では医療法人立が5,626施設と、8,060施設の69.8%を占めます。医療法人立の院では開設者が法人なので、管理者となる医師は必ず別に置かれます。
開設者の内訳(一般診療所・病院)
法令上の呼び名ではないこと
医療法が使うのは「管理者」で、現場では管理医師と呼ばれることもあります。呼び名が制度上の用語と一致していないため、契約の話をするときに指しているものがずれやすい点には気をつけたいところです。
-
開設者医療機関を開設した個人または法人。医療法人であれば法人そのもの
-
理事長医療法人の代表者。医師であるとは限らず、管理者と別人のこともある
-
管理者(院長)医療法上その院を管理する医師。雇われ院長はここに就く
どの職種で使われるか
医師のクリニックに限らず、整骨院・接骨院や鍼灸院でも雇われ院長という言い方が使われます。ただし、根拠となる制度は職種ごとに違います。
医療機関の管理者は医療法に定めがありますが、柔道整復師法には「管理者」という制度そのものがありません。
施術所については開設者に届出や衛生上の措置が義務づけられており、保険を扱う場面で出てくる「施術管理者」は、療養費の受領委任という別の仕組みの中の役割です。
クリニックと整骨院・接骨院の違い
| 項目 | クリニック(医師) | 整骨院・接骨院(柔道整復師) |
|---|---|---|
| 根拠となる法律 | 医療法 | 柔道整復師法 |
| 管理者という制度 | 第10条第1項・第12条第1項に定めがある | 制度そのものが存在しない |
| 開設者が負う義務 | 管理者を置く義務(自ら管理できない場合は知事の許可を得て他の医師に管理させる) | 開設後10日以内の届出(第19条)、構造設備基準・衛生上の措置(第20条) |
| 従業者への監督義務 | 管理者に義務づけられる(第15条第1項) | 管理者という立場自体がないため規定なし |
| 保険を扱う場面での役割 | 健康保険法第70条の2に管理者の要件が定められている | 療養費の受領委任にもとづく「施術管理者」という別制度 |
参考:e-Gov法令検索「医療法」 / 厚生労働省「令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
デメリットとして挙げられる点

雇われ院長のデメリットとして語られるものは、ほとんどが「権限は開設者、責任は院長」という配分から生まれます。まずはよく挙げられる4点を押さえておきましょう。
経営に関する決定権が限られる
人事、設備投資、材料や薬剤の仕入れ先といった判断は、開設者側が握っていることがあります。スタッフを1人増やしたい、機器を入れ替えたいと考えても、決裁は自分では完結しません。
診療方針のように医学的判断に近い領域まで開設者の意向が及ぶかどうかは、院によって差があります。どこまでが自分の裁量なのかは、就任前に確認しておきたい点です。
診療・施術以外の業務が増える
院長になると、診療や施術に加えて労務管理、業者との折衝、行政への届出が乗ってきます。勤務医や勤務柔道整復師のときには見えていなかった仕事が、そのまま日常に入ってきます。
負担として効いてくるのは、量よりも中断の多さです。診療の合間に業者の電話を受け、行政からの照会に答え、シフトの穴を埋める。ひとつひとつは短くても、集中を切らされる回数が増えます。
開設者と方針が合わない場合がある
開設者が非医療系の法人や投資家である場合、収益を優先する判断と、医療者として妥当と考える判断がぶつかることがあります。診療単価を上げたい、自費メニューを増やしたいといった要望に対し、どこまで応じるかの線引きを自分で持っておきたいところです。
方針の違いは契約書に書きにくい部分です。面談の段階で、開設者が院に何を期待しているのかを言葉にしてもらうと、ずれに気づきやすくなります。
収入の見通しが経営に左右される
給与が院の売上や利益に連動する契約だと、患者さんの数が落ちた月は収入も下がります。求人票の段階で、固定給とインセンティブの比率を確かめておきたいところです。
- 柔道整復師の求人3,737件のうち、整・接骨院は2,075件。月給の中央値は271,500円
- インセンティブありの求人は617件(17%)。売上連動の給与は珍しくありません
- 独立・開業支援ありは594件(16%)。院長を任せる前提の求人も含まれます
固定額であっても、雇用契約である以上は定年や再雇用の取り扱いが適用され、長く同じ院に居続けられるとは限りません。任期の定めがある契約なら、更新の条件もあわせて見ておきましょう。
条件にあった求人を探してもらう管理者としての責任の範囲

雇われ院長のデメリットで最も重いのが、管理者として負う法律上の責任です。「責任が問われることがある」と漠然と語られがちですが、何に基づく責任なのかは条文で決まっています。
医療法における管理者の義務
医療法第15条第1項は、病院・診療所の管理者に対し、その院に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、管理および運営について必要な注意をしなければならないと定めています。監督の対象は自分の診療行為だけではなく、院で働く人全体です。
保険診療を行う院では、健康保険法第70条の2第2項にも同じ趣旨の管理者の責務が置かれています。医療法と健康保険法の両方から、管理者個人に監督義務がかかる構図です。
届出や報告に関する責任
届出には、開設者が行うものと管理者が行うものがあります。診療所の開設届は開設後10日以内に都道府県知事へ提出するもので、診療の用に供するエックス線装置を備えたときの届出は、医療法第15条第3項により管理者の義務とされています。
施術所の場合は柔道整復師法第19条が、開設後10日以内の届出と、届出事項に変更が生じたときの届出を開設者に義務づけています。休止・廃止・再開も、その日から10日以内です。
届出の義務者と期限
| 届出内容 | 義務者 | 期限 |
|---|---|---|
| 開設届 | 開設者 | 開設後10日以内(医療法第8条) |
| エックス線装置の設置届 | 管理者 | 装置を備えたとき(医療法第15条第3項) |
| 届出内容 | 義務者 | 期限 |
|---|---|---|
| 開設届 | 開設者 | 開設後10日以内(柔道整復師法第19条第1項) |
| 変更届 | 開設者 | 変更が生じた日から10日以内 |
| 休止・廃止・再開の届出 | 開設者 | その日から10日以内(同条第2項) |
届出の10日以内は「開設した日」「変更が生じた日」から数えます。書類が揃った日からではありません。
行政による指導・監査の対象になること
保険診療を行う院は、地方厚生局による指導や監査の対象になります。指導は集団指導、集団的個別指導、個別指導に分かれ、新規に指定を受けた保険医療機関には新規個別指導が行われます。
これとは別に、届け出た施設基準どおりに運用されているかを確認する適時調査があります。
保険診療の指導・監査の段階
このとき、カルテや帳簿を示して説明する立場に立つのは管理者です。開設者が法人であっても、診療内容の説明は院長が担うことになります。過度に身構える必要はありませんが、日々の記録の残し方が自分の説明責任に直結する点は意識しておきたいところです。
整骨院・接骨院の場合
整骨院・接骨院には医療法のような管理者制度がないため、責任の所在は医療機関と同じようには整理できません。柔道整復師法が開設者に課しているのは、第19条の届出と、第20条の構造設備基準・衛生上必要な措置です。
保険が関わる場面で登場するのが「施術管理者」です。療養費の受領委任を取り扱うために必要な役割で、令和6年4月1日以降に届出をする場合、柔道整復師としての実務経験が3年以上(うち保険医療機関で従事した期間は2年まで)必要とされています。
あわせて、16時間以上・2日間程度の施術管理者研修を修了し、修了証を添付します。修了証には修了日から5年間の有効期間が設けられています。
施術管理者になるための要件
雇われ院長として整骨院を任される場合、自分が施術管理者になるのか、開設者側の別の柔道整復師が就くのかで、負う責任がまったく変わります。
参考:e-Gov法令検索「柔道整復師法」 / 厚生労働省近畿厚生局「柔道整復施術療養費の受領委任を取り扱う施術管理者の要件について」
お探しの求人は?
名義貸しにならないよう注意する

打診の内容によっては、名義を貸す形に近づくことがあります。どのような状態が問題になるのかを知らないまま引き受けると、自分の資格に影響が及びかねません。
管理者は自ら業務に従事することが前提
医療法第12条第2項は、病院・診療所を管理する医師について、都道府県知事の許可を受けた場合を除き、他の病院・診療所を管理しない者でなければならないと定めています。許可の対象になるのは、医師の確保を特に図るべき区域の診療所、介護老人保健施設などに開設する診療所、事業所等に従業員を対象として開設される診療所など、条文に並んだ場合に限られます。
保険診療を行う院では、令和8年4月1日から健康保険法第70条の2第1項による管理者の要件が加わりました。保険医であることに加え、医師の場合は臨床研修の修了後に病院で保険医として3年以上診療に従事した経験などが求められます。経験年数は週4日以上を常態として勤務し、所定労働時間が週31時間以上であることが基本とされており、勤務の実態が伴っていることを前提にした作りです。
問題となる状態
制度上問題になり得るのは、名前と実態がずれている状態です。個別のケースが違法かどうかは行政が判断するもので、ここでは典型的な形を挙げるにとどめます。
- 院にほとんど出勤していないのに管理者として登録されている
- 許可を受けないまま複数の院の管理者を兼ねている
- 実際の運営判断をすべて開設者が行い、管理者は書類上の存在になっている
- 勤務日数や勤務時間が契約書に書かれていない
生じ得る不利益
健康保険法第80条第2号と第81条第2号は、保険医療機関の管理者が同法第70条の2第2項の監督義務に違反したとき、保険医療機関の指定と、その管理者本人の保険医としての登録を取り消すことができると定めています。院が処分を受けるだけでなく、自分の登録に跳ね返る仕組みです。
実際の件数を見ると、令和6年度は監査が34件行われ、取消等の処分は保険医療機関等が23件(指定取消9件、指定取消相当14件)、保険医等が18人(登録取消17人、登録取消相当1人)でした。
同年度に返還を求めた額は約48億5千万円です。処分の件数そのものは多くありませんが、起きたときの影響は小さくありません。
打診を受けたときの確認
判断材料になるのは、勤務の実態が伴う形になっているかどうかです。次の点が契約書や労働条件通知書に書かれているかを見ておきましょう。
- 週あたりの勤務日数と勤務時間が契約書に明記されているか
- その院で自分が実際に診療・施術に従事する前提になっているか
- 他に管理者を兼ねている院がないか、開設者に確認したか
- 届出に必要な勤務形態や経験を示す書類を、自分の手で用意できるか
参考:厚生労働省「保険医療機関の管理者の要件・責務について」 / 厚生労働省「令和6年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について(概況)」
労働者としての立場を確認する

院長という肩書と、労働基準法上の取り扱いは別のものです。雇われ院長は雇用契約に基づく労働者ですが、肩書を理由に残業代が支払われないケースがあります。
労働基準法における管理監督者
労働基準法第41条第2号は、監督もしくは管理の地位にある者について、労働時間、休憩および休日に関する規定を適用しないと定めています。管理監督者にあたると、1日8時間・週40時間の枠や、週1日の法定休日のルールが外れます。
ここで適用が外れるのは「労働時間、休憩および休日」に限られます。年次有給休暇や深夜業の規定までまとめて外れるわけではありません。
管理監督者は何が適用除外になるか
肩書ではなく実態で判断されること
管理監督者にあたるかどうかは、肩書ではなく、職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえた実態で判断されます。厚生労働省が示している判断の視点は、次の3点です。
-
経営への参画事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められているか
-
勤務態様自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を持っているか
-
待遇一般の従業員に比べて、その地位と権限にふさわしい賃金(基本給・手当・賞与)上の処遇を与えられているか
院長と呼ばれていても、出退勤時刻が決められていて遅刻が懲戒の対象になり、採用や賃金の決定に関与できず、手当も勤務医時代と大きく変わらないのであれば、管理監督者にあたらないと判断される余地があります。
該当するかどうかは個別の事情によるため、一律に決めつけることはできません。
該当しない場合の割増賃金
管理監督者にあたらない場合、時間外労働と休日労働には割増賃金が必要です。率は労働基準法第37条に基づき、時間外労働が25%以上、法定休日の労働が35%以上、1か月に60時間を超えた時間外労働は50%以上です。
見落とされやすいのが深夜割増です。午後10時から午前5時までの労働に対する25%以上の割増賃金は、管理監督者にも支払われます。厚生労働省も、管理監督者への適用除外の対象は労働時間・休憩・休日に関する規定であり、年次有給休暇や深夜割増賃金の規定は除外されないと説明しています。当直や夜間診療がある院では、確認しておく価値があります。
| 区分 | 割増賃金率 | 管理監督者への適用 |
|---|---|---|
| 時間外労働(通常) | 25%以上 | 適用されない |
| 時間外労働(月60時間超) | 50%以上 | 適用されない |
| 法定休日の労働 | 35%以上 | 適用されない |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 25%以上 | 適用される |
確認の手順と相談先
まず手元の書類を見比べます。労働基準法第15条第1項により、使用者は労働契約の締結に際して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとされているため、雇用契約書か労働条件通知書が必ずあるはずです。
- 雇用契約書・労働条件通知書で、所定労働時間と休日の定めを確認する
- 役職手当の額と、残業代の取り扱いがどう書かれているかを見る
- 給与明細で、時間外・深夜の割増が支給されているかを確認する
- 実際の出退勤記録と、契約上の勤務時間を突き合わせる
明示された労働条件が事実と違っていた場合、同条第2項により労働者は即時に労働契約を解除できます。判断に迷うときは、院の所在地を管轄する労働基準監督署や、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
参考:e-Gov法令検索「労働基準法」 / 厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識|確かめよう労働条件」
転職活動するなら?
契約前に確認したい事項

ここまで挙げたデメリットの多くは、契約の内容しだいで軽くなります。口頭で聞いた話は残らないため、書面に落としてもらうのが基本です。
権限の範囲を書面で確認する
前述の人事、設備投資、仕入れ、診療方針について、どこまで自分で決められるのかを明記してもらいましょう。「院長に一任」とだけ書かれた契約書は、後から解釈が分かれます。
金額の上限を決めておくと線引きがはっきりします。たとえば、一定額までの備品購入は院長決裁、それを超えるものは開設者の承認という形です。
契約前に権限の範囲をチェック
報酬の決まり方
固定額か業績連動かをまず確認します。連動する場合は、何を指標にするのか、どの数字をどう計算するのかまで書かれているかを見ます。
- 連動の指標は売上か、利益か、患者数か
- 算定の対象期間と支払い時期はいつか
- 指標が基準を下回ったときに、減額の下限はあるか
- 経費のどこまでが院長の評価に反映されるのか
責任の分担と費用の負担
医療事故や患者さんとのトラブルが起きたとき、誰がどう対応し、費用を誰が負担するのかを確認します。賠償責任保険を開設者が用意するのか、自分で加入するのかも含めて整理しておきましょう。
損害賠償に関する条項がある場合は、内容を読み込んでおく必要があります。管理者の責任範囲を超えて広く負担を求める書き方になっていないかは、必要に応じて専門家に見てもらうのも一つの選択肢です。
任期と交代の取り決め
管理者を退くときの手続きは、あらかじめ決めておくと安心です。管理者が変わると行政への届出が必要になり、後任が決まらないと前任者の名前が届出に残ったままになりやすいためです。
交代について決めておきたいこと
- 退任を申し出てから実際に退くまでの期間
- 後任が決まらない場合の取り扱い
- 退任後に自分の名前が届出に残らないようにする手順
メリットとされる点

デメリットだけでは判断できないので、雇われ院長が選ばれる理由も並べておきます。開業とどちらが得かという話ではなく、この働き方で何が得られるかという整理です。
開業資金の負担がないこと
自分で開業する場合、内装、医療機器、運転資金をまとめて用意する必要があります。雇われ院長は開設者が整えた院に入るため、初期投資も借入もありません。経営がうまくいかなかったときに個人で債務を抱えるリスクからも離れていられます。
経営の経験を得られること
売上や人件費の数字を見ながら院を回す経験は、勤務医や勤務柔道整復師のままでは得にくいものです。スタッフの採用や教育、レセプトの傾向の把握、行政対応まで一通り経験できます。
将来的に自分で開業する可能性を残しておきたい人にとっては、資金を投じる前に運営の実際を知る場になります。
診療・施術に時間を割きやすい場合があること
資金繰りや金融機関との折衝を開設者が担う体制であれば、院長は診療や施術に集中しやすくなります。ただし、これは権限の分け方しだいで逆にもなります。経営の意思決定から外れている分だけ雑務が減るのか、それとも判断できないまま実務だけ回ってくるのかは、契約内容と院の体制を見ないと分かりません。
まとめ
雇われ院長のデメリットは、権限が開設者側にある一方で、管理者としての責任は自分にかかるという配分から生まれます。医療法第15条第1項は管理者に従業者の監督義務を課しており、保険診療を行う院では健康保険法にも同じ趣旨の責務があります。義務に違反したと判断されれば、保険医としての登録に影響が及ぶこともあります。
名義貸しに近い形を避けるには、勤務の実態が伴っているかを見ます。医療法は許可を受けた場合を除いて複数の院の管理者を兼ねることを認めておらず、保険診療を行う院の管理者には令和8年4月から経験の要件も加わりました。勤務日数と勤務時間が契約書に書かれているかは、最初に確かめたい点です。
「院長」という肩書と労働基準法上の管理監督者は別ものです。管理監督者にあたるかは職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇の実態で判断され、該当しなければ時間外や休日の割増賃金が必要になります。深夜割増は管理監督者であっても支払われます。
打診を受けたら、権限の範囲、報酬の決まり方、責任と費用の分担、任期と交代の手続きの4点を書面で確認するところから始めましょう。条件が整っていれば、開業資金を負わずに経営を経験できる働き方になります。判断に迷うときは、契約書を手元に置いて労働基準監督署や所管の行政機関に相談してみてください。


