【看護師国家試験の合格率】最新回と過去10年の推移・新卒と既卒の差・合格基準
「看護師国家試験の合格率は90%前後」と聞いて、少し安心した看護学生もいるかもしれません。
ただ、看護師国家試験の合格率を新卒と既卒に分けて見ると、まったく違う姿が見えてきます。
この記事では、2026年に実施された第115回の合格率と過去10年の推移、新卒と既卒の差が意味すること、合格基準の仕組みを厚生労働省の発表をもとに紹介します。
なお、ここで扱うのは看護師国家試験で、准看護師試験(都道府県知事が実施)や保健師・助産師の国家試験とは別の試験です。
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看護師国家試験の最新の合格率

最新回は、2026年(令和8年)2月に実施された第115回看護師国家試験です。 厚生労働省が2026年3月24日に発表した結果では、全体の合格率は88.3%でした。
ただし、新卒者と既卒者では合格率に60ポイント以上の差があります。
最新回の合格率と合格者数
第115回看護師国家試験は、出願者60,311人のうち59,614人が受験し、52,666人が合格、合格率は88.3%でした。
- 出願者数60,311人
- 受験者数59,614人
- 合格者数52,666人
- 不合格者数6,948人
前回の第114回(2025年実施)は合格率90.1%だったため、1.8ポイント下がっています。 不合格になった人は6,948人で、受験者の約12%にあたります。
新卒者の合格率
新卒者(その年に養成課程を卒業する人)に限ると、第115回の合格率は94.1%です。 受験者54,036人のうち50,862人が合格しました。
合格者52,666人のうち、新卒者は96.6%を占めます。 看護師国家試験の合格者は、ほぼ「その年に看護学校・看護大学を卒業する人」です。
看護師の求人を探す既卒者の合格率
厚生労働省の発表には新卒者の数値だけが載っているため、全体から新卒者を差し引いて既卒者の数値を出します。 既卒者は、過去に不合格になって再受験する人など、新卒者以外の受験者です。
第115回の既卒者は、受験者5,578人に対して合格者は1,804人で、合格率は32.3%でした。
既卒だと3人に1人しか受からないの…?
参考:厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」
看護師国家試験の合格率の推移

第105回(2016年)から第115回(2026年)までの11回分を見ると、全体の合格率は87.8〜91.3%の範囲で推移しています。 一方で、既卒者の合格率は、低い回と高い回で15ポイント以上の差があります。
過去10年の全体の合格率
全体・新卒・既卒の合格率と受験者数を、回ごとに並べると次のとおりです。
| 回(実施年) | 全体 | 新卒 | 既卒 | 受験者数 |
|---|---|---|---|---|
| 第115回2026年 | 88.3% | 94.1% | 32.3% | 59,614人 |
| 第114回2025年 | 90.1% | 95.9% | 44.9% | 63,131人 |
| 第113回2024年 | 87.8% | 93.2% | 30.4% | 63,301人 |
| 第112回2023年 | 90.8% | 95.5% | 36.5% | 64,051人 |
| 第111回2022年 | 91.3% | 96.5% | 38.9% | 65,025人 |
| 第110回2021年 | 90.4% | 95.4% | 44.4% | 66,124人 |
| 第109回2020年 | 89.2% | 94.7% | 37.4% | 65,568人 |
| 第108回2019年 | 89.3% | 94.7% | 29.3% | 63,603人 |
| 第107回2018年 | 91.0% | 96.3% | 44.5% | 64,488人 |
| 第106回2017年 | 88.5% | 94.3% | 35.6% | 62,534人 |
| 第105回2016年 | 89.4% | 94.9% | 35.5% | 62,154人 |
全体の合格率は、最も高い第111回(2022年)で91.3%、最も低い第113回(2024年)で87.8%でした。 この10年、9割前後で安定しているため、1〜2ポイントの上下だけで「今年は難しかった」「易しかった」とは判断しにくい数字です。
過去10年の新卒者の合格率
新卒者の合格率は、93.2〜96.5%の範囲です。 11回のうち10回で94%を超えており、新卒者は毎年およそ95%前後が合格しています。
新卒の合格率が最も低かったのは第113回(2024年)の93.2%で、この回は全体の合格率も11回の中で最低でした。 全体の合格率は新卒者の合格率にほぼ連動して動きます。
過去10年の既卒者の合格率
既卒者の合格率は、低い回で29.3%(第108回・2019年)、高い回で44.9%(第114回・2025年)です。 11回すべてで50%を下回っており、既卒者の半数以上が毎年不合格になっています。
新卒者の合格率の上下は数ポイントですが、既卒者は前年から10ポイント以上動いた回が3回あります。 第114回の44.9%から第115回の32.3%へは、12.6ポイント下がりました。
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受験者数の推移
受験者数は、第110回(2021年)の66,124人をピークに減少傾向です。 第115回は59,614人で、11回の中で最も少なくなりました。
新卒者の受験者数も、第110回の59,593人から第115回の54,036人へ、5年で5,500人以上減っています。 母数が減ると合格者数も減るため、合格者数の増減だけを見て難易度を判断しないのがポイントです。
難易度の変化を読むなら、合格者数より新卒者の合格率や合格基準の点数を見るほうが確かです。
合格率は「割合」だから、受験者数とセットで見るのが大事だよ
参考:厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」 / 厚生労働省「第102回保健師国家試験、第99回助産師国家試験及び第105回看護師国家試験の合格発表について」
看護師国家試験の合格率の捉え方

合格率90%前後という数字は、「ほとんどの人が受かる簡単な試験」という意味ではありません。 新卒94.1%・既卒32.3%という差は、看護師国家試験が「在学中に積み上げた学習のまま、現役で合格する」ことを前提にした試験であることを示しています。
新卒と既卒で大きく開く理由
新卒者は、在学中の講義・臨地実習・模擬試験と続く学習の流れの中で受験します。 学校の国試対策や同級生と一緒に勉強できる環境があり、試験直前まで学習のペースを保ちやすい立場です。
一方、既卒者には前回の試験で合格基準に届かなかった人が多く含まれます。 卒業後は学校のサポートから離れ、働きながら、または一人で勉強を続けることになるため、学習時間やペースの確保が難しくなりがちです。
第115回では、既卒者は受験者の1割に満たない一方で、不合格者の半数以上を占めています。
合格率が高く見える仕組み
看護師国家試験を受けられるのは、看護大学や看護専門学校など、国の基準を満たした養成課程で必要な学科を修めた人(卒業見込みを含む)が中心です。
受験者の大半は、すでに数年かけて看護の講義と実習を終えた人だということになります。
合格率を見るときのポイント
- 受験者の大半は看護の養成課程を修めた人
- 合格者の9割以上は新卒者
- 全体の合格率は新卒者の合格率に引っぱられる
つまり90%前後という数字は、「養成課程を修めた人たちの中での合格率」です。 誰でも受けられる資格試験の合格率と同じ感覚で比べると、難易度を低く見積もってしまいます。
看護師の求人を探す不合格になった場合に再挑戦が難しい理由
既卒者の合格率は、過去11回すべてで50%未満でした。 一度不合格になると、翌年以降の合格の見込みは、新卒で受けたときより大きく下がります。
-
学習環境学校の国試対策や模擬試験、同級生と励まし合う機会から離れる
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時間の確保看護補助者などとして働きながら勉強する場合、学習時間が限られる
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合格基準一般問題・状況設定問題は相対基準のため、新卒者が大半を占める受験者の得点状況で基準点が変わる
看護師として働くには国家試験に合格して免許を受ける必要があるため、内定先への就職も合格が前提です。 新卒での一発合格をめざして、在学中から計画的に準備しておくと安心です。
就職試験の面接や小論文の準備も、国試の勉強と時期が重なります。 新卒看護師の面接対策は、以下の記事が参考になります。
参考:厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」 / 厚生労働省「看護師国家試験の施行」
看護師国家試験の合格基準

看護師国家試験は、必修問題と、一般問題・状況設定問題の2つの基準を両方満たした人が合格です。 どちらか一方でも基準に届かなければ、もう一方が高得点でも不合格になります。
必修問題の基準
必修問題は、看護師として特に重要な基本的事項を問う問題で、1問1点で採点します。 合格基準はあらかじめ決まった水準で判定する「絶対基準」で、第115回は50点満点中40点以上でした。
過去11回の必修問題の基準は、いずれも満点の8割前後です。 50点満点と49点満点の回は40点、48点満点の回(第107回)は39点が基準でした。
一般問題と状況設定問題の基準
一般問題は1問1点、状況設定問題は1問2点で、合計250点満点です。 第115回の合格基準は249点満点中166点以上で、得点率にすると約66.7%でした。
一般問題・状況設定問題は、必修問題と違って受験者全体の得点状況をもとに基準点を決める「相対基準」です。 そのため、問題が難しかった年は基準点が下がり、易しかった年は上がりやすくなります。
ボーダーラインが毎年変動する理由
一般問題・状況設定問題の基準点(いわゆるボーダーライン)は、相対基準のため毎年変わります。 第105回から第115回までの得点率は、57.3〜66.8%の範囲で動いています。
第114回は59.2%(148点)でしたが、第115回は66.7%(166点)と、1年で7.5ポイント上がりました。 基準点が試験の出来に合わせて決まるため、基準点の高さと合格率は必ずしも連動しません。
ボーダーラインは「何点取れば安全」と事前に決まっているものではないため、過去の基準点はあくまで目安として見ましょう。
毎年ボーダーが変わるなら、何点を目標にすればいいの?
採点除外等の扱いをした問題
設問に不備があった問題は、「採点対象から除外する」「複数の選択肢を正解として採点する」などの扱いになります。 第115回では、午前第32問が採点除外、午前第80問が複数正解として扱われました。
採点除外の問題が出ると、その分だけ満点が減ります。 第115回の一般問題・状況設定問題が250点ではなく249点満点になっているのはこのためです。 採点除外等の扱いをした問題と理由は、厚生労働省の合格発表ページにPDFで公開されています。
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参考:厚生労働省「第112回保健師国家試験、第109回助産師国家試験及び第115回看護師国家試験の合格発表」 / 厚生労働省「保健師助産師看護師国家試験の変遷について」
合格率と合格基準の調べ方

合格率や合格基準は毎年3月の合格発表で更新されます。 次の第116回看護師国家試験は2027年(令和9年)2月14日に実施され、合格発表は2027年3月24日午後2時の予定です。
厚生労働省の合格発表で確認する
合格率・合格基準・採点除外等の問題は、厚生労働省の「国家試験合格発表」ページから確認できます。
受験者数・合格者数・合格率は、全体と新卒者の2種類が掲載されています。 既卒者の数値は載っていないため、全体から新卒者を差し引いて計算しましょう。
過去の回の発表ページも厚生労働省のサイトに残っているので、推移を自分で確かめることもできます。
学校別の合格状況を確認する
厚生労働省の合格発表で公表されるのは全国の数値と、受験地別の合格者の受験番号で、学校ごとの合格率は載っていません。
学校別の合格状況は、各大学・専門学校が公式サイトやパンフレットで公表しているものを確認します。 看護学校選びで迷っている人は、看護師と准看護師の資格の違いも確認しておくと、進学先を比べやすくなります。
学校が公表する合格率を見るときは、次の点を確認しましょう。
- 新卒者だけの数値か、既卒者も含めた数値か
- 合格率だけでなく受験者数と合格者数が書かれているか
- 第何回(何年実施)の結果か
- 合格率と一緒に国試対策の支援体制も確認
- オープンキャンパスで模試の回数を聞いてみる
- 卒業生の就職先もあわせて比べておく
受験者が少ない学校は、数人の合否で合格率が大きく動きます。 1年分の合格率だけで判断せず、複数年の結果を並べて見るのがおすすめです。
参考:厚生労働省「国家試験合格発表」 / 厚生労働省「看護師国家試験の施行」
まとめ
看護師国家試験の合格率は、第115回(2026年実施)で全体88.3%、新卒者94.1%でした。 一方、既卒者は32.3%にとどまり、過去11回すべてで50%を下回っています。
この記事のポイント
- 第115回の合格率は全体88.3%・新卒94.1%
- 既卒の合格率は過去11回すべて50%未満
- 受験者数は2021年をピークに減少傾向
- 必修は8割、一般・状況設定は毎年変わる
- 数値は厚労省の合格発表で毎年確認できる
合格率90%前後という数字は、在学中に準備を積み上げた新卒者が現役で受けることを前提にした数字です。 過去の基準点や合格率を目安にしつつ、新卒での合格をめざして計画的に準備を進めましょう。


