薬剤師のボーナス・賞与はいくらが相場?職場別・年代別の比較と支給額の決まり方
夏や冬のボーナスが振り込まれたとき、「ほかの薬剤師はどれくらいもらっているんだろう?」と気になったことはありませんか?
薬剤師のボーナスは、平均すると年間で90万円弱ですが、年代や勤め先の規模、賞与の計算方法によって大きく変わります。
この記事では、国の統計で見た薬剤師の賞与の平均額と年代別・規模別・地域別の差、職場ごとの決まり方、雇用形態による違い、ボーナスを増やす方法を紹介します。
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薬剤師のボーナスの平均額

薬剤師のボーナスの金額は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査にある「年間賞与その他特別給与額」で確認できます。 この値には夏・冬の賞与のほか、期末手当や決算手当なども含まれます。
令和7年の調査で集計されているのは、前年(令和6年1〜12月)の1年間に支給された額です。
平均の支給額
令和7年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師(企業規模10人以上・男女計)の年間賞与その他特別給与額は88万3,500円です。
夏と冬の2回に分けて支給される場合、1回あたりの目安は40万円台です。 ただし、平均値には賞与が支給されていない人も含まれるため、勤め先によって実際の金額は上下します。
支給月数の目安
賞与は「基本給の〇か月分」という形で決める職場が多く、求人票でも月数で書かれていることがよくあります。 統計の年間賞与を同じ調査の所定内給与額(月36万9,700円)で割ると、薬剤師の賞与は月給の約2.4か月分です(試算)。
所定内給与額には基本給のほかに薬剤師手当や管理薬剤師手当などの毎月の手当も含まれます。 そのため、求人票に「基本給の3か月分」と書かれていても、手当を含めた月給で割り戻すと3か月より少なくなることがあります。
月数だけで比べず、何に対する月数かまで確認しましょう。
年代別の支給額
年代別に見ると、薬剤師の年間賞与は20代後半から30代にかけて大きく増え、40代後半の117万8,400円がもっとも高くなります。
20〜24歳が3万円台と極端に低いのは、集計の対象が前年の賞与なので、新卒で入社した年の賞与がまだ含まれていないか、少ない人が多いためと考えられます。
1年目の夏の賞与は算定期間に在籍していた日数が短く、寸志程度か支給なしになる職場もあります。
満額に近い賞与を受け取れるのは2年目以降と考えておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。
1年目のボーナスが少ないのは、自分だけじゃないんだね
60歳以降は、定年後の再雇用で給与体系が変わり、賞与が減る人もいるため金額が下がります。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
職場によるボーナスの違い

賃金構造基本統計調査は、薬剤師を「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院」などの勤務先別には集計していません。
そのため、職場別のボーナスの金額を公的な統計で比べることはできず、違いが出るのは金額よりも「賞与の決まり方」です。
| 職場 | 賞与を決めるルール | 金額に影響しやすいもの | 確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 調剤薬局 | 就業規則・賃金規程。小規模では経営者の判断も | 調剤報酬の改定、処方箋の枚数 | 前年度の支給月数 |
| ドラッグストア | 就業規則・賃金規程。年俸制の会社も | 会社全体の業績、個人の評価 | 賞与が年俸に含まれるか |
| 病院 | 法人の給与規程。公立病院は条例 | 診療報酬の改定、経営状況 | 運営母体の種類 |
| 製薬会社 | 就業規則・賃金規程 | 会社の業績、個人の評価 | 評価による変動の幅 |
| 公務員 | 法律(国)・条例(自治体) | 人事院勧告、人事評価 | 基準日と勤務期間 |
調剤薬局
調剤薬局の賞与は、会社の就業規則や賃金規程に沿って決まります。 大手チェーンは評価制度と賞与の月数が規程で決まっていることが多く、個人経営や数店舗規模の薬局は経営者の判断で金額が決まることもあります。
薬局の売上の大部分は調剤報酬なので、報酬改定や処方箋の枚数の変化が業績を通じて賞与に影響することがあります。 前年度の支給実績(何か月分だったか)を面接や求人票で確認しておくと、入社後の金額のずれを防げます。
薬剤師の求人を探すドラッグストア
ドラッグストアは上場企業を含む規模の大きい会社が多く、賞与を会社全体の業績と個人の評価を組み合わせて決める会社もあります。 一方で、年俸制を採用し、賞与にあたる分を年俸に組み込んでいる会社もあります。 年俸制の会社では「賞与〇か月」という表示がないこともあるため、年収の総額で比べるのが確実です。
病院
病院の賞与は、運営母体によって決まり方が変わります。
-
公立病院地方公務員として、自治体の条例に沿って期末手当・勤勉手当が支給される
-
国立病院機構・大学病院など法人の給与規程で月数や支給の基準が決まる
-
医療法人などの民間病院法人の規程と病院の経営状況によって決まる
民間病院では、診療報酬の改定や病床の稼働状況が、経営を通じて賞与に反映されることがあります。
製薬会社
製薬会社は大企業が多く、賞与を会社の業績と個人の評価を組み合わせて決める会社もあります。 MRや開発職など職種によって評価の基準が異なり、同じ会社でも評価によって賞与に差がつくことがあります。
業績がよい年は賞与が増える一方、主力製品の特許切れや業績の悪化で減ることもあります。
公務員薬剤師
国家公務員の賞与は「期末手当」と「勤勉手当」の2つで、6月と12月に支給されます。 現在の年間の支給月数は4.65月分で、令和8年8月の人事院勧告では4.70月分への引き上げが勧告されました。
| 支給の時期 | 期末手当 | 勤勉手当 |
|---|---|---|
| 令和8年6月(支給済み) | 1.2625月 | 1.0625月 |
| 令和8年12月勧告 | 1.2875月 | 1.0875月 |
| 令和9年度以降の各期勧告 | 1.275月 | 1.075月 |
勤勉手当は人事評価の結果に応じて決まるため、同じ等級でも評価によって金額が変わります。 県立・市立病院などで働く地方公務員の薬剤師は、自治体の条例で支給月数が決まり、国の制度に準じた内容になっているのが一般的です。
公務員薬剤師の年収や働き方は以下の記事で紹介しています。
参考:人事院「令和8年人事院勧告」 / e-Gov法令検索「一般職の職員の給与に関する法律」
事業所の規模と地域による違い

職場の種類ごとの統計はありませんが、賃金構造基本統計調査では、企業の従業員数と都道府県で分けた薬剤師の賞与を確認できます。 規模と地域のどちらでも、月給が高い区分ほど賞与が多いとは限らないのが特徴です。
従業員数による差
従業員1,000人以上の企業で働く薬剤師の年間賞与は94万200円、100〜999人では90万8,700円、10〜99人では55万1,500円です。 月給(所定内給与額)に対する割合で見ると、規模による差はさらにはっきりします。
10〜99人の企業は所定内給与額が月42万4,400円と3つの区分でもっとも高い一方、賞与は月給の約1.3か月分にとどまります。
中小の薬局は、賞与を抑えて毎月の給与を厚くしているケースがあると読み取れます。 賞与の多さだけで職場を選ぶと年収では逆転することもあるため、月給と賞与を合わせた年収で比べましょう。
地域による差
都道府県別に見ると、薬剤師の年間賞与は地域によって大きな差があります。 集計対象の薬剤師が多い都道府県で比べると、茨城県・宮城県は120万円前後、埼玉県・福岡県は60万円前後です。
都会だからボーナスが多い、とは限らないんだね!
東京都は80万3,800円で、全国平均(88万3,500円)を下回っています。 都道府県別の数値は集計対象の人数が少なく、勤め先の規模や年齢の構成によって年ごとに変わりやすい点に気をつけましょう。
地域の差は、その地域にどんな規模の薬局・病院が多いかを反映した結果とも考えられます。
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参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / e-Stat 政府統計の総合窓口「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別」
ボーナスの支給額の決まり方

賞与は、法律で支給が義務づけられたものではありません。 常時10人以上が働く職場では、賞与を支給する場合に就業規則に定めることが労働基準法で決められているため、金額の決まり方や支給の条件は勤め先の就業規則・賃金規程で確認するのが基本です。
算定の基礎になる給与
月給制の職場では、「基本給×支給月数×評価の係数」で賞与を計算するのが一般的です。 計算の土台になるのは月給の総額ではなく基本給なので、手当が厚く基本給が低い職場では、月給が同じでも賞与は少なくなります。
年俸制の職場では、年俸を14や16などで分け、そのうちの数か月分を夏と冬に上乗せして支払う方法がよく使われます。 この場合、ボーナスに見える金額も最初から年俸に含まれているため、月給制の職場の「賞与〇か月分」と金額だけを比べても意味がありません。
年俸制の仕組みを採用している企業の例は以下の記事で紹介しています。
査定の比重
賞与の金額は、基本給と月数だけでなく、査定(人事評価)の結果でも変わります。 評価の結果を「S・A・B・C」などの段階に分け、段階ごとに係数をかける方法が一般的です。
- 目標の達成度(処方箋枚数、在宅の件数、売上など)
- 勤務態度や協調性
- 欠勤・遅刻などの勤怠
- 管理薬剤師や教育担当などの役割
評価の比重は会社によって大きく異なり、ほぼ全員が同じ月数の職場もあれば、評価で数十万円の差がつく職場もあります。 評価の基準や前年の評価結果は、上司との面談で確認しておくと、次の賞与に向けて何を伸ばせばよいかが分かります。
業績による変動
多くの会社は、賞与の総額を会社や事業部の業績に応じて毎年決めています。 就業規則に「会社の業績により支給しないことがある」と書かれている場合、業績が悪い年は月数が減ったり、支給されなかったりすることもあります。
業績連動の比重が大きい職場ほど、よい年と悪い年の差が開きます。 年収の見通しを立てるときは、1年分の実績だけでなく、過去数年の支給月数の推移を聞いておくと安心です。
薬剤師の求人を探す支給の時期と在籍の要件
民間企業の賞与は、6〜7月の夏と12月の冬の年2回が一般的で、決算期にあわせて決算賞与を出す会社もあります。 支給の時期とあわせて確認したいのが、「支給日に在籍していること」を支給の条件にしている規程です。
この規程がある職場では、算定期間に働いていても、支給日の前に退職すると賞与を受け取れません。 退職予定者の評価を下げて減額する規程や、「退職予定者には一部のみ支給する」と定めている会社もあります。
扱いは勤め先ごとに異なるため、就業規則・賃金規程の賞与の項目で次の点を確認しましょう。
- 支給日に在籍していることが条件になっているか
- 算定期間(いつからいつまでの勤務が対象か)
- 退職予定者の減額や不支給の定めがあるか
- 支給日(毎年何月何日ごろか)
国家公務員は6月1日と12月1日の基準日に在職していることが条件で、基準日前1か月以内に退職した職員にも支給されます。 民間の職場でボーナスを受け取ってから辞めたい場合は、支給日を過ぎてから退職日を設定するのが確実です。
ボーナスを踏まえた転職時期の考え方は以下の記事で紹介しています。
雇用形態によるボーナスの有無

ボーナスの有無は、正社員かどうかだけでは決まりません。 パートタイム・有期雇用労働法により、正社員と非正規雇用の間で、賞与を含む待遇に不合理な差をつけることは禁止されています。
厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインは令和8年10月1日に改正され、賞与には労務の対価の後払いや功労報償などさまざまな目的が含まれることが明記されました。
こうした目的が非正規雇用の人にもあてはまるのに、仕事の内容などの違いに見合った賞与を支給しない場合は、不合理と判断されうるとされています。
正社員
正社員は、就業規則や賃金規程に賞与の定めがあれば、その内容に沿って支給されます。 ただし、法律で支給が義務づけられているわけではないため、「賞与なし」の正社員求人もあります。 年俸制の求人では前述のとおり賞与が年俸に含まれていることがあるため、「賞与なし」と書かれていても年収が低いとは限りません。
契約社員
契約社員(有期雇用)は、パートタイム・有期雇用労働法の対象です。 正社員と同じ仕事・同じ責任で働いているのに、契約社員だからという理由だけで賞与を出さない扱いは、不合理な待遇差とされるおそれがあります。
正社員と仕事の範囲や責任、転勤の有無などに違いがある場合は、その違いに応じた金額になります。 契約社員として働くときは、雇用契約書や労働条件通知書で賞与の有無と金額の決め方を確認しておきましょう。
パート・アルバイト
パート・アルバイトの薬剤師にも、賞与や寸志が支給される職場はあります。 令和7年賃金構造基本統計調査で短時間労働者の薬剤師を見ると、1時間あたりの所定内給与額は2,540円、年間賞与その他特別給与額は平均9万5,900円です。
この平均には賞与がない人も含まれるため、支給される職場ではもう少し多いと考えられます。 勤務日数や時間に応じて正社員の賞与を按分する職場もあり、「パートだからボーナスは出ない」とは限りません。 事業主には、パートタイム・有期雇用の労働者から求められた場合、正社員との待遇の差の内容と理由を説明する義務があります。
パートや派遣でも、まずは条件を聞いてみると安心だね
派遣
派遣の薬剤師の賞与は、派遣先ではなく、雇用契約を結んでいる派遣会社(派遣元)が決めます。 派遣会社は「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」のどちらかで、派遣労働者の待遇を確保することが義務づけられています。
労使協定方式では、基本給・賞与・手当などを合わせた賃金が、同じ業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上かどうかで判断する方法も認められています。
そのため、賞与という名目で支給されなくても、時給などに含めて水準が確保されている場合があります。 派遣会社には、待遇の決め方を説明してもらえるので、登録時に賞与の扱いを確認しておきましょう。
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参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 1 短時間労働者の職種(小分類)別1時間当たり所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」 / 厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
ボーナスを増やす方法

賞与は「基本給×月数×評価」で決まる職場が多いため、増やすには計算の土台・役割・職場のどれかを変えることになります。
基本給を上げる
賞与の計算の土台になるのは基本給なので、基本給が上がれば賞与も自動的に増えます。 昇給の基準は職場の評価制度や等級で決まっていることが多く、等級が上がる条件を把握しておくと近道が分かります。
認定薬剤師や専門薬剤師の資格を手当ではなく等級や基本給に反映させる職場もあります。 転職で給与を上げるときも、手当より基本給の上積みを優先すると、賞与と退職金の両方に効果があります。
管理薬剤師や管理職を目指す
役職に就くと、基本給や等級が上がるうえ、役職者向けの評価で賞与の係数が高くなることがあります。 令和7年賃金構造基本統計調査で、役職者を除いた薬剤師の年間賞与は78万9,400円です。
役職者を含む全体(88万3,500円)より約9万4,000円少なく、役職に就いている薬剤師が平均を押し上げていることが分かります。
役職者のほうが平均年齢が高いため、すべてが役職による差とはいえません。 ただし、管理薬剤師やエリアマネージャーの経験は、昇格だけでなく転職のときの等級の判断にも使われるため、賞与を増やす土台になります。
支給実績が高い職場に移る
今の職場で基本給や評価を上げるのが難しい場合は、賞与の支給実績が高い職場に移るのも一つの方法です。 前述のとおり、同じ薬剤師でも企業規模によって賞与は月給の1.3か月分から2.6か月分まで差があります。
- 賞与は月給×12か月と合わせた年収で比べる
- 年俸制の求人は賞与が年俸に含まれるか確認
- 転職前に今の職場の支給日在籍の要件を確認
求人票の「賞与年2回」だけでは金額が分からないため、前年度の実績を月数と金額の両方で確認しましょう。 転職を前提にするなら、今の職場の賞与を受け取ってから退職できる時期を選ぶと、年収の損を防げます。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 3-sanko 【参考】職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く)」
まとめ
薬剤師のボーナスは、令和7年賃金構造基本統計調査で年間88万3,500円、月給の約2.4か月分が目安です。 年代では40代後半がもっとも高く、規模では1,000人以上の企業と10〜99人の企業で年間40万円近い差があります。
薬剤師のボーナスのポイント
- 年間賞与の平均は88万3,500円(令和7年調査)
- 職場別の公的な統計はなく、違いは賞与の決まり方に出る
- 年俸制の職場は賞与が年俸に含まれ、金額だけでは比べられない
- 支給日在籍の要件や退職予定者の扱いは就業規則で確認する
- パートや派遣でも賞与や賞与相当の支払いがある場合がある
ボーナスの金額を比べるときは、何に対する月数か、年俸に含まれているかまで確認すると、職場ごとの本当の差が見えてきます。 今の賞与に納得できない場合は、就業規則で計算方法を確かめたうえで、基本給・役割・職場のどれを変えるかを考えてみましょう。


