薬剤師で年収2000万円は可能?到達している人の実態と到達イメージ
「薬剤師で年収2000万円って、本当に届く人がいるの?」と気になって調べている人もいるはずです。
結論として、薬剤師が年収2000万円に届くのは不可能ではないものの、勤務薬剤師のままではかなり難しく、薬局経営や企業の経営幹部など、ごく限られたルートに絞られます。
この記事では、公的統計をもとに年収2000万円の人の割合と薬剤師の平均年収との差を確認し、薬局経営・企業・複数の収入源という3つのルートの到達イメージと、目指すときのリスクを紹介します。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
年収2000万円に到達している薬剤師の割合

薬剤師だけを対象に「年収2000万円を超える人の割合」を示した公的統計はありません。 そのため、給与所得者全体の分布と、薬剤師の平均年収を組み合わせて確かめます。
給与所得者全体での年収2000万円の割合
国税庁の民間給与実態統計調査(令和7年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者約5,163万人のうち、年間給与が2,000万円を超える人は約36万人、割合にして約0.7%です。 およそ140人に1人の計算で、1,000万円を超える人まで広げても全体の1割に届きません。
この数字は会社員や役員など給与をもらう人全体の分布で、薬剤師の割合ではない点に注意が必要です。 また、個人で薬局を経営している人の事業所得は「給与」ではないため、この統計には含まれません。
薬剤師の平均年収との差
令和7年賃金構造基本統計調査で、薬剤師(企業規模10人以上・男女計)のきまって支給する現金給与額は月39万8,700円、年間賞与その他特別給与額は88万3,500円です。 これを年収に換算すると約567万円で、2000万円とは約3.5倍の開きがあります。
年齢階級別に見ても、最も高い45〜49歳で約676万円です。 平均的なキャリアの延長線上に、2000万円があるわけではないことが分かります。
勤務薬剤師で到達する難しさ
勤務薬剤師の給与は、調剤報酬などの売上から薬局や病院が支払う人件費の一部です。 管理薬剤師やエリアマネージャーへの昇進で手当は増えますが、1人の勤務薬剤師に2000万円を払える職場はほとんどありません。
頑張って昇進しても、2000万円は遠いんだね
勤務のまま年収を上げる現実的な方法は、最後の章で紹介します。 2000万円を本気で目指すなら、「雇われる側」から「経営する側・経営に近い側」へ立場を変えるルートが中心になります。
薬剤師の求人を探す参考:国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-」 / 政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
薬局を経営して到達する場合

薬局経営で2000万円に届くかどうかは、店舗の数と、1店舗あたりの技術料(調剤報酬のうち薬局の収入になる部分)で決まります。
1店舗の経営で得られる収入
個人で開設している保険薬局の1施設あたりの収益は年約7,358万円、損益差額(利益)は年約830万円です。 この830万円は経営者本人の報酬にあたる部分を含んだ金額で、ここから所得税・住民税や借入金の元本返済を払います。
同じ調査で、法人薬局の管理薬剤師の平均(給料と賞与の合計)は年約726万円です。 税金や返済を差し引く前の金額で比べても、平均的な1店舗の経営者と勤務の管理薬剤師の差は大きくありません。
個人の1店舗で2000万円に届くには、平均的な薬局の約2.4倍の利益が必要な計算です(試算)。
経営者の収入は、売上から経費を引いた利益からさらに税金と借入返済を払った残りです。個人経営なら事業所得、法人経営なら会社から受け取る役員報酬(給与所得)になり、計算の仕組みも異なります。
複数店舗に広げた場合
法人薬局の1施設あたりの損益差額を、同じグループの店舗数別に見ると、規模によって大きな差があります。
| 店舗数 | 収益 | 損益差額 | 損益差額率 |
|---|---|---|---|
| 1店舗 | 1億737万円 | 576万円 | 5.3% |
| 2〜5店舗 | 1億4,622万円 | 478万円 | 3.2% |
| 6〜19店舗 | 1億4,158万円 | 1,083万円 | 7.6% |
| 20〜49店舗 | 1億9,333万円 | 1,999万円 | 10.2% |
| 50〜99店舗 | 1億8,186万円 | 938万円 | 5.1% |
| 100〜199店舗 | 2億278万円 | 1,002万円 | 4.9% |
| 300店舗以上 | 2億4,078万円 | 981万円 | 4.1% |
仮に、店舗の利益をすべて経営者の報酬の上乗せに回すとすると、2000万円の原資には1店舗法人の平均的な利益(約576万円)で約3.5店舗分、6〜19店舗グループの平均(約1,083万円)でも約2店舗分が必要です(試算)。
実際は法人税、借入返済、次の出店や人件費の上昇に備えた内部留保も残す必要があるため、数店舗以上を安定して黒字で運営できる規模が前提になります。
技術料と人件費の関係
調剤報酬のうち、薬の代金にあたる薬剤料は仕入れでほぼ相殺されるため、薬局の実質的な収入源は技術料です。
令和6年度の処方箋1枚あたりの技術料は2,594円で、年収2000万円を技術料に置き換えると処方箋約7,700枚分にあたります(試算)。
法人薬局1施設の処方箋枚数は年約1万7,000枚なので、技術料は年約4,400万円の計算です。 これに対し給与費は年約3,284万円で、技術料の約7割強が人件費に回っていることになります(試算)。
人件費を払った残りから家賃や設備費などを払うため、技術料をどれだけ積み上げられるかが経営者の取り分を左右します。
開業と事業拡大に必要な資金
薬局の開業には、物件の取得や内装工事、調剤機器やレセプトコンピューター、医薬品の初期在庫、開業後しばらくの運転資金が必要です。
調剤報酬は請求してから入金までに時間差があるため、その間の仕入れ代金や人件費を立て替える資金も見込んでおきましょう。
店舗を増やすたびに、同じような初期費用と運転資金がかかります。 既存の薬局でも、1施設あたりの長期借入金は平均約1,197万円あり、多くの薬局が借入をしながら運営しています。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
参考:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」 / 厚生労働省「調剤医療費(電算処理分)の動向~令和6年度版~」
企業で到達する場合

勤務のまま2000万円に近づけるのは、製薬会社などの大企業で経営に近いポジションに就くルートです。 ただし、該当するのは管理職の中でもさらに上の、ごく一部の層です。
製薬会社の管理職や役員
令和7年賃金構造基本統計調査で「管理的職業従事者」(男女計)の年収を換算すると、企業規模計で約967万円、従業員1,000人以上の企業でも約1,182万円です。
大企業の管理職でも平均は1,000万円台前半で、2000万円は部門を率いる上級管理職や役員の水準です。
製薬会社の役員報酬は会社ごとに大きく異なり、薬剤師の資格そのものより、事業や組織を動かした実績で決まります。
外資系企業のポジション
外資系の製薬会社には、職務やポジションごとに報酬の幅が決まっている会社や、業績連動の賞与・株式報酬を組み合わせる会社もあります。
同じ肩書きでも会社や評価で報酬が大きく変わるため、ポジションの責任範囲と報酬の内訳まで確認するのがおすすめです。
ポジション単位の採用が多く、役割が合わなくなったときに社内で別の仕事に移りにくい点も知っておくと安心です。
経営幹部までの道筋
研究、開発、営業、薬事、メディカルアフェアーズなどの専門職から始まり、チームを持つ管理職、部門長と段階を踏むのが一般的です。 経営幹部になるには、専門知識に加えて、予算や人を動かすマネジメントの経験が評価されます。
薬剤師の資格って、企業の出世にも役立つの?
薬剤師の資格は、薬事や品質保証など資格が生きる部門の入り口では強みになりますが、経営幹部への昇進は資格だけで決まるわけではありません。 職場ごとの待遇の違いは、公務員として働く場合と比べた以下の記事も参考になります。
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
複数の収入源を組み合わせる場合

1つの収入で2000万円に届かなくても、給与と事業収入などを合わせて2000万円を目指す考え方もあります。 ただし収入源ごとに税金の計算や法律上の制約が違うため、仕組みを知ってから組み合わせることが大切です。
給与と事業収入の組み合わせ
勤務を続けながら、講師や執筆、コンサルティングなどで事業収入を得る組み合わせ方があります。 勤務先の就業規則で副業が認められているかを、まず確認しましょう。
管理薬剤師は、法律上、その薬局以外の場所で業として薬事に関する実務に従事できず、例外として都道府県知事の許可が必要です。 管理薬剤師の副業の可否は、以下の記事で詳しく紹介しています。
不動産や資産運用
家賃収入や運用益を収入源に加える人もいますが、元本が減ったり空室が続いたりするリスクがあり、収入が毎年安定するとは限りません。 不動産は購入のために借入をするケースが多く、薬局の開業と同じく返済の負担を背負います。
どの商品や物件を選ぶかは、収入の目標ではなく、失っても生活が成り立つ金額かどうかで判断するのが無難です。
確定申告と税負担
給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は、年末調整ではなく確定申告が必要です。 給与が2,000万円以下でも、給与以外の所得が年20万円を超える場合などは確定申告をしなければなりません。
収入が増えるほど、税金の仕組みを知っておくのが大事だね!
| 区分 | 給与所得 | 事業所得 | 不動産所得 |
|---|---|---|---|
| 主な収入 | 勤務先の給与、法人からの役員報酬 | 個人経営の薬局、講師などの事業 | 家賃収入 |
| 差し引けるもの | 給与所得控除(収入額に応じて決まる) | 実際にかかった必要経費 | 実際にかかった必要経費 |
| 税額の決まり方 | 3つの所得を合計した金額に累進税率がかかるため、収入源を増やすほど上の税率の部分が増える | ||
給与からは給与所得控除が差し引かれますが、収入金額が850万円を超えると控除額は195万円で頭打ちになります。
収入源が増えるほど申告の手間も増えるため、帳簿づけや税理士への相談費用も見込んでおきましょう。
薬剤師の求人を探す参考:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」 / 国税庁「No.1410 給与所得控除」
2000万円を目指すときのリスク

2000万円を目指すルートの多くは、借入・制度改定・人の雇用という3つのリスクを背負うことになります。 収入の上限が広がる分、うまくいかなかったときの影響も大きくなります。
| ルート | 借入・返済 | 報酬改定 | 人材・労務 |
|---|---|---|---|
| 薬局を経営 | ◎出店ごとに増える | ◎収入の土台が変わる | ◎採用と法令遵守の責任 |
| 企業の経営幹部 | △個人の借入は不要 | ○薬価改定が業績に影響 | ○組織の業績責任 |
| 収入源の組み合わせ | ○不動産なら発生 | △勤務先経由で間接的 | △副業規定の確認が必要 |
借入と返済の負担
開業や出店の資金を借入でまかなうと、売上が想定を下回っても毎月の返済は続きます。 借入金の元本返済は経費にならないため、税金を払ったあとの利益から返すことになります。
帳簿上は黒字でも、返済額が大きいと手元の資金が足りなくなることがあります。 店舗を増やすほど借入も増えやすいため、1店舗目の返済の見通しが立ってから次を考えるほうが安全です。
収入が増えても、責任とリスクも一緒に増えるんだね
調剤報酬改定の影響
薬局の収入の土台である調剤報酬は、原則2年ごとの改定で点数や算定要件が見直されます。
令和8年度改定では、賃上げ・物価対応などを除いた各科の配分で調剤は医科・歯科より低く抑えられ、あわせて「調剤報酬の適正化」が明記されました。
法人薬局の利益率(損益差額率)は、医療経済実態調査で令和5年度の5.2%から令和6年度は4.9%に下がっています。
同じ店舗数でも、改定によって技術料の単価が変われば利益は減るため、改定で利益が数%下がっても返済と報酬を払える余力があるかが判断のポイントです。
人材の確保と労務の責任
薬局開設者は、法令遵守のための体制を整える義務を負い、管理薬剤師の権限を明確にすることなども求められます。 従業員が常時10人以上になれば、就業規則の作成と届出も必要です。
薬剤師の採用も年々コストがかかるようになっており、法人薬局1施設あたりの紹介手数料は前年度比65.2%増、派遣などの人材委託費は38.8%増でした。
薬剤師が1人辞めるだけで営業時間や在宅対応を縮小せざるを得ないこともあり、人の確保は収入に直結します。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 / 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の報告(令和7年実施)」
2000万円に届かなくても収入を上げる方法

2000万円は難しくても、働き方を選べば勤務のままでも年収を上げる余地はあります。 「年収の額面」だけでなく、働く時間や手取りも含めて考えると、自分に合う目標が見つけやすくなります。
現実的に狙える年収帯
勤務薬剤師の場合、前述の管理薬剤師の平均(約726万円)が、昇進で目指せる年収帯の目安です。
人手が足りない地域の薬局や、管理薬剤師・エリアマネージャーなどの役職手当がある職場では、これより高い条件の求人もあります。
- 薬剤師の正社員求人の月給平均は約35.2万円
- 月給の最高額は55万円(調剤薬局は54.2万円)
- 独立・開業支援ありの求人は1,450件中1件
薬局経営を検討する場合も、まずは勤務で管理薬剤師や複数店舗の運営に関わり、利益や人件費の数字を見る経験を積んでから判断するのがおすすめです。
勤務時間と収入のバランス
経営者や企業の上級管理職は、年収が高い分、勤務時間外の判断や対応も増えやすくなります。 年収を勤務時間で割った「時間あたりの収入」で比べると、高年収の働き方が必ずしも効率がよいとは限りません。
-
今の職場で役職を目指す手当が増え、職場を変えずに年収を上げられる
-
条件のよい職場へ転職する地域や業態を変えると給与水準が上がることがある
-
勤務日数を減らして副業と組み合わせる時間の自由度は上がるが、収入は安定しにくい
手取りで考える視点
所得税は所得が増えるほど税率が上がる仕組みで、課税される所得が1,800万円を超える部分には40%がかかります。
住民税の所得割(標準10%)を合わせると、その部分では稼いだ額の約半分が税金になります(復興特別所得税・社会保険料を除いた試算)。
額面が増えた分、全部が手元に残るわけじゃないんだね
年収ごとの手取りの目安は、以下の記事で紹介しています。
年収2000万円を目指すかどうかは、額面だけでなく、税金を差し引いたあとに手元に残る金額と、そのために使う時間を比べて判断するのがおすすめです。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」 / 総務省「地方税制度 個人住民税」
まとめ
薬剤師で年収2000万円に届くのは不可能ではありませんが、勤務薬剤師の平均(約567万円)の約3.5倍にあたり、到達できるのは経営者や企業の経営幹部などごく一部です。
この記事のポイント
- 年収2000万円超は給与所得者全体の約0.7%
- 薬剤師の平均年収は約567万円で約3.5倍の差
- 個人の1店舗薬局の利益は平均約830万円
- 薬局経営なら数店舗以上を黒字で運営する規模が目安
- 借入・報酬改定・人材確保のリスクも同じ重みで考える
まずは自分がどのルートを目指すのか、リスクも含めて考えてみましょう。 今の職場で年収を上げられる余地があるか知りたいときは、転職エージェントに相談すると、役職や手当の条件まで比べながら求人を探せます。


