保健所で働く薬剤師の仕事内容|薬事監視員の業務と採用の流れや配属・異動について

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調剤や服薬指導から離れて、保健所で働く薬剤師に興味を持っている人もいるのではないでしょうか?

保健所の薬剤師は、薬局やドラッグストアへの立入検査をする「薬事監視員」の仕事を中心に、食品衛生や感染症対策まで幅広く担当します。

この記事では、保健所の薬剤師の仕事内容と薬事監視員の業務、自治体の採用の流れ、配属・異動の実態、給与の仕組みをまとめました。 薬局や病院から転職する場合に知っておきたい点も紹介します。

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    保健所の薬剤師の仕事内容

    バインダーにメモを取りながら笑顔を見せる女性の薬剤師

    保健所は、都道府県・政令指定都市・中核市などの保健所を設置する市・東京23区(特別区)が設置する行政機関です。

    地域保健法では、保健所の業務として「医事及び薬事」「食品衛生」「環境の衛生」「感染症の予防」「衛生上の試験及び検査」などが定められています。

    保健所の業務と薬剤師の関わり方
    分野地域保健法 第6条主な相手先任命される職
    薬事衛生5号 医事及び薬事薬局・ドラッグストア・病院・診療所薬事監視員
    食品衛生3号 栄養の改善及び食品衛生飲食店・食品工場食品衛生監視員
    生活・水道衛生4号 住宅、水道などの環境の衛生旅館・公衆浴場・理美容所・水道施設環境衛生監視員
    感染症対策12号 感染症その他の疾病の予防患者さん・接触者・医療機関保健所全体で対応
    試験検査13号 衛生上の試験及び検査収去した医薬品・食品、水検査部門・研究機関

    薬剤師は薬事の担当として採用されることが多いものの、配属された課によって、食品衛生や生活衛生の担当になることも珍しくありません。 同じ「保健所の薬剤師」でも、設置する自治体が都道府県か市・特別区かで、担当する地域や扱う許可の範囲が変わります。

    薬事衛生の許認可と立入検査

    薬事衛生は、保健所の薬剤師の中心となる仕事です。 薬局の開設許可は6年ごとの更新制で、新規開設や更新の際に申請書類を審査し、構造設備が基準に合っているかを確認します。

    • 薬局・店舗販売業・医薬品販売業の許可の相談、申請受付、審査
    • 薬局やドラッグストア、病院・診療所への立入検査と指導
    • 麻薬を廃棄するときの立会い
    • 薬物乱用防止教室や献血キャンペーンなどの啓発

    食品衛生の監視指導

    食品衛生法に基づく「食品衛生監視員」は、薬剤師の免許があれば任命される資格を満たします。 そのため、保健所の薬剤師が飲食店や食品工場の営業許可、立入検査、食中毒の調査を担当することもあります。

    HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の指導や、手洗い教室などの消費者向け啓発も食品衛生の仕事に含まれます。

    薬の仕事だけじゃなくて、食品や旅館まで担当するの?

    生活衛生と水道衛生

    生活衛生は、旅館・公衆浴場・理容所・美容所・クリーニング所など、人が利用する施設の衛生を守る仕事です。 営業許可や届出の受付、施設への立入検査をします。

    水道衛生では、水道施設や飲用井戸の衛生に関する指導や、住民からの水質の相談に対応します。 これらの立入をする職員は、法令上「環境衛生監視員」と呼ばれます。

    感染症対策と健康危機管理

    感染症の発生時は、職種を問わず保健所全体で対応にあたります。 薬剤師も、防護服を着ての患者さんの移送など、感染症対応の応援に入ることがあります。

    新型コロナウイルス感染症の流行期には、保健所の業務が急増し、休日の当番出勤や長時間の残業が続いた自治体もありました。 普段は残業が少ない職場でも、感染症や食中毒が起きると業務量が一気に増えることは知っておきましょう。

    試験検査

    保健所や地方衛生研究所では、食品の残留農薬や添加物、医薬品の品質、水質などの試験検査をします。 立入検査で収去(検査のために持ち帰ること)した医薬品や食品を分析するのも、この部門の仕事です。

    試験検査は研究機関に集約されている自治体も多く、分析の仕事をしたい場合は、どの部署が担当しているかを採用案内で確認しておくと安心です。

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    参考:e-Gov法令検索「地域保健法」 / e-Gov法令検索「食品衛生法施行令」

    薬事監視員としての業務

    処方せん受付の案内があるドラッグストアの陳列棚

    保健所の薬剤師の多くは、「薬事監視員」に任命されて薬局やドラッグストアの監視指導にあたります。 薬事監視員は、医薬品の品質や安全を守るために、法律で立入検査などの権限を与えられた職員です。

    任命の仕組み

    薬事監視員は、医薬品医療機器等法(薬機法)第76条の3に基づき、厚生労働大臣・都道府県知事・保健所を設置する市の市長・特別区の区長が、職員のうちから命じます。 薬剤師として採用された職員が、配属先で辞令を受けて薬事監視員になる仕組みです。

    任命の根拠
    医薬品医療機器等法 第76条の3

    立入検査などの職権を行わせるため、厚生労働大臣、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、職員のうちから薬事監視員を命ずるものとする。

    資格
    同法施行令 第68条(薬事監視員の資格)
    • 1薬剤師、医師、歯科医師又は獣医師
    • 2大学等で薬学・医学・歯学・獣医学・理学・工学の課程を修了し、薬事監視について十分な知識経験がある者
    • 31年以上薬事の行政事務に従事し、薬事監視について十分な知識経験がある者

    保健所の薬剤師は、薬事監視員のほかに複数の監視員を兼ねることがあります。 それぞれ根拠となる法律と、立入できる施設が異なります。

    保健所の薬剤師が兼ねることのある監視員
    職名根拠主な立入先薬剤師との関係
    薬事監視員医薬品医療機器等法第76条の3薬局・医薬品の販売店・病院・診療所・製造所薬剤師は資格要件を満たす
    毒物劇物監視員毒物及び劇物取締法第18条毒物・劇物の製造所・営業所・店舗薬事監視員の中から知事があらかじめ指定
    食品衛生監視員食品衛生法第30条飲食店・食品製造施設薬剤師は資格要件を満たす(施行令第9条)
    環境衛生監視員旅館業法・公衆浴場法・理容師法など各法の施行規則旅館・公衆浴場・理美容所・クリーニング所各法の立入権限を行う職員の呼び名

    立入検査と収去

    薬事監視員は、薬局や医薬品の販売店、病院・診療所などに立ち入り、構造設備や帳簿書類を検査したり、従業員に質問したりできます。 立入検査では、主に次のような点を確認します。

    • 薬局の構造設備が基準を満たしているか
    • 薬剤師の配置や管理者の業務が適切か
    • 医薬品の貯蔵・陳列や要指導医薬品・第1類医薬品の販売方法が守られているか
    • 毒薬・劇薬の貯蔵や譲渡の記録が適切か

    不良品や無許可の医薬品の疑いがある場合は、試験に必要な最少分量に限って製品を収去し、検査に回すことができます。

    立入や収去の際は、身分を示す証明書を携帯し、求められたら提示しなければなりません。

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    違反があった場合の対応

    立入検査で違反が見つかった場合、多くはまず口頭や文書での指導によって改善を求めます。 改善されない場合や、保健衛生上の危害が生じるおそれがある場合は、知事や市長の名前で行政処分が出されます。

    違反が見つかったときの主な流れ
    1
    立入検査・収去
    設備・帳簿・販売方法を確認し、事実を記録
    2
    口頭・文書による指導
    期限を決めて改善を求め、改善状況を確認
    3
    知事・市長などによる行政処分
    廃棄・回収命令第70条
    改善措置命令第72条の4
    許可取消し・業務停止第75条
    4
    命令に従わない・緊急のとき
    職員が対象品を廃棄・回収させるなどの処分(第70条第3項)

    薬事監視員は処分の判断材料となる事実を確認し、記録に残す役割を担います。 許可の取消しや業務停止は事業者の営業に直結するため、根拠となる条文と事実を正確に積み上げる力が求められます。

    立入検査は「取り締まり」より「指導」が中心なんだよ

    参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」

    採用の流れと受験資格

    参考書を指さしながら試験勉強をする手元

    保健所の薬剤師になるには、保健所を設置する自治体の職員採用試験(選考)に合格する必要があります。 採用区分・年齢制限・試験内容・募集時期は自治体ごとに大きく異なるため、ここでは東京都と秋田県の公式の採用案内を例に紹介します。

    自治体による採用条件の違い(例)
    項目東京都秋田県
    対象年度令和8年度令和7年度
    採用区分Ⅰ類B 薬剤B保健医療局薬剤師知事部局
    年齢要件平成9年4月2日〜平成15年4月1日生まれ昭和40年4月2日以降生まれ
    採用予定9人1人
    主な職務薬局や医薬品・毒劇物製造業等への立入検査・指導、試験検査本庁・保健所・健康環境センター等での医務・薬務、食品衛生、衛生検査

    自治体ごとの採用区分

    都道府県のほか、政令指定都市・中核市・特別区もそれぞれ保健所を持ち、独自に職員を採用しています。 都道府県に採用されると県内の保健所を、市や特別区に採用されるとその市・区の保健所を担当するのが基本です。

    採用区分の名前も自治体によって違います。 東京都では「薬剤A」「薬剤B」の2区分があり、保健所や薬務の仕事は保健医療局の「薬剤B」、療育センターなどの調剤業務は福祉局の「薬剤A」です。 また、「衛生監視」のように薬剤師以外の職種と同じ区分で採用し、薬剤師免許を受験資格の一つとしている区分もあります。

    年齢制限と受験資格

    受験資格は、薬剤師免許を持っているか、採用までに取得する見込みであることが基本です。 年齢の上限は自治体によって差が大きく、前述の表のとおり、東京都の薬剤区分は29歳まで、秋田県は60歳前後まで受験できる設定でした。 20代までに限る自治体もあれば、社会人経験者を広く受け入れる自治体もあるので、転職を考えている場合は年齢要件から確認しましょう。

    東京都の場合、薬剤Bは日本国籍が必要ですが、薬剤Aは日本国籍を持たない人も受験できます。 同じ自治体でも区分によって国籍要件が違うことがあるため、年齢とあわせて確認しましょう。

    試験の内容

    試験の形式は、公務員試験型と、面接中心の選考型に大きく分かれます。 東京都の薬剤区分は、教養試験・論文・専門試験(記述式)・口述試験(個別面接)で構成されています。 専門試験の出題範囲は、物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務と、薬剤師国家試験に近い分野です。

    秋田県の令和7年度の選考は、適性検査・小論文(800字以内)・口述試験の3つで、教養試験はありませんでした。 教養試験の有無で準備にかかる時間が大きく変わるため、受験先を決めたら早めに試験科目を確認しておきましょう。

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    募集の時期

    東京都のように大卒程度の採用試験とあわせて実施する自治体では、春に試験があります。 東京都の令和8年度の日程は次のとおりです。

    東京都 薬剤区分のスケジュール(令和8年度)
    • 2/16〜3/10
      申込受付
    • 4/19
      第1次試験
    • 6/4
      第1次合格発表
    • 6/17〜6/29
      第2次試験(口述)
    • 7/10
      最終合格発表

    一方、薬剤師だけの選考を行う自治体では、欠員に合わせて時期をずらしたり、年度内に複数回募集したりすることがあります。 採用予定人数は1名から数名程度と少ないので、気になる自治体の採用ページをこまめに確認しておくのがおすすめです。

    まずは受けたい自治体の採用案内を読むところからだね

    参考:東京都人事委員会「令和8年度東京都職員Ⅰ類B採用試験案内(一般方式)」 / 秋田県「令和7年度秋田県職員(薬剤師)募集要項」

    配属と異動の実態

    カレンダーと赤鉛筆

    薬剤師として採用されても、ずっと同じ保健所で薬事の仕事を続けるとは限りません。 採用後のキャリアは、本庁・保健所・研究機関などの間を数年ごとに移りながら積み上げていくのが一般的です。

    採用後に保健所に配属されるとは限らない

    都道府県の薬剤師職の配属先は、保健所だけではありません。 秋田県の募集要項では、本庁の医務薬事課・生活衛生課などのほか、保健所や健康環境センターなどの地方機関で、医務・薬務・食品衛生・衛生検査に従事すると示されています。

    最初の配属が本庁や研究機関になる場合もあり、配属先は本人の希望だけでは決まりません。 「保健所で薬事監視をしたい」という希望がはっきりしている場合は、面接で伝えておくと配属の参考にしてもらえることがあります。

    異動の周期

    自治体職員は数年ごとに異動するのが一般的です。 秋田県の公式の採用ページでは、2〜4年在籍して異動することが多いと紹介されています。

    1か所の在籍期間
    2〜4年
    が多い(秋田県)
    • 10月下旬〜11月上旬頃異動希望を自己申告
    • 自己申告のあと上司と面談し、家庭の事情や取り組みたい分野を伝える
    • 年度替わり人事異動(県内の別の保健所・本庁などへ)

    都道府県の職員の場合、県内の各保健所に職員を配置する必要があるため、異動にともなって勤務地が変わることがあります。 通勤が難しい地域への異動では、引っ越しや単身赴任が必要になることもあります。

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    配属先の種類

    薬剤師職の主な配属先には、次のような種類があります。

    保健所薬事・食品・生活衛生

    許可の審査と立入検査が中心。デスクワークと担当地域の施設への出張が半々程度

    本庁薬務・生活衛生の課

    制度の運用、予算、議会対応。医薬品の製造所への調査に同行することも

    地方衛生研究所試験検査・研究

    残留農薬や医薬品の分析、検査法の研究。席が少なく希望が通りにくい

    療育施設・県立病院調剤

    調剤業務を担当。東京都のように別区分で採用する自治体もある

    麻薬等の取締り東京都の例

    麻薬取締法に基づく司法警察員としての捜査を含む

    東京都の薬剤Bの職務には、麻薬取締法に基づく司法警察員としての犯罪捜査を含む麻薬等の取締りも挙げられています。 都道府県によっては、県立病院や療育施設で調剤を担当する部署へ異動する可能性もあります。

    反対に、秋田県のように県立病院が地方独立行政法人に移行した自治体では、病院の調剤業務への異動はないと案内されています。

    引っ越しをともなう異動があるかどうかは気になるよね

    参考:秋田県「秋田県職員薬剤師の募集について(パンフレット・年収試算・職場の動画・職員の本音はこちら)」

    給与と待遇

    給与明細書と給与袋

    保健所の薬剤師は地方公務員なので、給与は各自治体の条例で定める「給料表」に基づいて決まります。 民間のように職場ごとに交渉して決めるものではなく、学歴や職歴、勤続年数で決まるのが特徴です。

    給料表の仕組み

    自治体の薬剤師職には、主に「医療職給料表(二)」か「行政職給料表」が適用されます。 どちらが適用されるかは、自治体や配属先によって変わります。

    秋田県では、同じ薬剤師職でも配属先で適用される給料表が異なり、6年制大学卒・職務経験なしの場合の初任給は次のとおりです(令和7年4月1日現在)。

    秋田県の薬剤師職の初任給(6年制大学卒・職務経験なし)
    本庁に勤務
    236,064円
    行政職給料表 1級37号給
    差額+14,905円
    保健所に勤務
    250,969円
    医療職給料表(二)2級19号給
    ※令和7年4月1日現在。諸手当は別途支給

    職務経験がある人は、経歴を勘案して初任給が加算されるのが一般的です。 薬局や病院での勤務年数がどの程度反映されるかは、自治体ごとの基準で決まります。

    年代別の年収

    自治体の薬剤師だけに絞った年代別の公的統計はありませんが、総務省の地方公務員給与実態調査では、都道府県の「薬剤師・医療技術職」の平均給与が公表されています。 この区分には、薬剤師のほか診療放射線技師や臨床検査技師なども含まれます。

    都道府県の「薬剤師・医療技術職」の平均給与
    年収の試算 約668万円
    平均給料月額
    336,588円
    手当込みの給与月額
    414,875円
    期末・勤勉手当(年額)
    1,705,845円
    ※令和7年4月1日時点・職員数11,493人。年収は給与月額×12か月+期末・勤勉手当で単純に試算

    年代別の目安として、秋田県の公式の採用ページでは、35歳で手当込み平均580万円、45歳で手当込み平均690万円(6年制卒の見込み)と紹介されています。 若いうちは民間の薬局より低く感じやすく、勤続とともに少しずつ上がっていくのが公務員の給与の特徴です。

    手当と退職金

    給料月額のほかに、扶養手当・住居手当・通勤手当・地域手当・期末手当・勤勉手当(ボーナス)などが、それぞれの支給要件に応じて支給されます。 寒冷地の自治体では、寒冷地手当がつくこともあります。

    退職金(退職手当)は、自治体の退職手当条例に基づいて支給されます。 勤続年数が長いほど支給率が高くなる仕組みのため、長く勤めるほど有利です。 公務員薬剤師の年収や待遇を民間と比べたい場合は、以下の記事も参考になります。

    給料表で決まるから、昇給の見通しは立てやすいよ

    参考:総務省「令和7年地方公務員給与の実態」 / 秋田県「秋田県職員薬剤師の募集について(パンフレット・年収試算・職場の動画・職員の本音はこちら)」

    調剤薬局や病院から移る場合に知っておきたいこと

    オフィスでデスクワークをする薬剤師

    調剤薬局や病院から保健所の薬剤師に移る人は少なくありません。 秋田県では、30代の薬剤師職員の約6割が転職者で、薬局出身の人が最も多いと紹介されています。

    一方で、仕事の進め方は臨床とは大きく変わるため、移る前に次の3点を押さえておきましょう。

    項目調剤薬局・病院保健所
    主な相手患者さん・医師事業者・住民
    判断の根拠処方箋・添付文書・ガイドライン法律・政令・省令・条例
    主な成果物調剤・服薬指導・薬歴許可書類・指導文書・検査記録
    勤務場所基本的に同じ店舗・病院数年ごとに異動。担当地域の施設へ出張

    調剤の経験が直接は活きにくい

    保健所の仕事には、調剤や服薬指導がありません。 処方監査や薬歴管理などのスキルを日常的に使う場面はほとんどなくなります。

    ただ、薬局の運営を内側から知っていることは、立入検査で指導する際の強みになります。 「指導される側の事情が分かる」ことは、事業者に納得してもらいながら改善を進めるうえで役立ちます。 一方で、数年後に臨床へ戻ることを考えている場合は、調剤のブランクが空く点も考えておきましょう。

    求められる文書作成と法令の知識

    行政の仕事は、法令に基づいて判断し、その過程を文書に残すことが基本です。 立入検査の記録、指導文書、許可の決裁書類など、根拠となる条文を示して文書を作る場面が毎日のようにあります。

    薬機法だけでなく、食品衛生法、毒物及び劇物取締法、麻薬及び向精神薬取締法、旅館業法など、担当によって扱う法律が変わります。 異動のたびに新しい法律を覚え直すことになるため、条文を読むことに抵抗がないかは、向き不向きを分けるポイントです。

    短期で辞める場合の影響

    公務員を短期間で辞めると、民間の職場を辞める場合とは違う影響があります。

    地方公務員は原則として雇用保険の適用外です。離職したときの保障は、雇用保険の失業給付ではなく、自治体の退職手当条例の範囲になります。勤続年数が短いと退職手当の額も少なくなるため、辞める前に人事担当に確認しておきましょう。

    また、一度辞めると、同じ自治体に戻るには改めて採用試験を受けることになります。 試験の負担と採用人数の少なさを考えると、応募の前に仕事内容と異動の範囲をよく確認しておくのが無難です。

    編集部アドバイス
    • 配属先の範囲と異動エリアを採用案内で確認
    • 職歴が初任給にどう加算されるか問い合わせる
    • 民間の求人と年収・休みを比べてから応募する
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    ほかの職場とあわせて比べたい場合は、薬剤師の就職先ごとの特徴をまとめた記事も参考になります。

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    参考:e-Gov法令検索「雇用保険法」 / 秋田県「秋田県職員薬剤師の募集について(パンフレット・年収試算・職場の動画・職員の本音はこちら)」

    まとめ

    保健所の薬剤師は、薬事監視員として薬局やドラッグストアの監視指導を担うほか、食品衛生・生活衛生・感染症対策・試験検査など幅広い仕事に関わります。

    採用は自治体ごとに条件が大きく異なり、採用後も本庁や研究機関への異動があります。

    この記事のポイント


    • 薬事監視員は薬機法第76条の3に基づき知事等が任命する
    • 食品衛生監視員や環境衛生監視員を兼ねることもある
    • 年齢制限・試験内容・募集時期は自治体ごとに異なる
    • 配属は保健所に限らず、2〜4年程度で異動することが多い
    • 給与は給料表で決まり、配属先で適用表が変わる自治体もある

    まずは働きたい地域の都道府県や市の採用ページで、薬剤師職の採用区分と配属先を確認してみましょう。 民間の求人とあわせて比べたいときは、転職エージェントに相談すると、自分の経験に合う働き方を整理しやすくなります。

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