がん化学療法看護認定看護師の役割|場面別の仕事内容と役割を発揮しやすい職場の条件

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抗がん薬のダブルチェックや副作用の相談を任される場面が増えると、経験だけで判断している不安がついて回ります。がん化学療法看護認定看護師は、その判断に根拠を持たせるための資格です。

ただし2019年に分野名が「がん薬物療法看護」へ変わり、これから目指す人が受けるのは特定行為研修を組み込んだ新しい教育課程になります。

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以下からひな形と見本をダウンロードできます。

    がん化学療法看護認定看護師とは?

    聴診器を手に窓際に立つベテラン看護師

    日本看護協会が認定する認定看護師のうち、がん薬物療法を受ける患者さんを専門に担当する分野です。

    旧名称のがん化学療法看護(A課程)と現在の名称であるがん薬物療法看護(B課程)を合わせた登録者は1,830人で、認定看護師全体25,809人のおよそ7%にあたります(2025年12月末現在)。

    認定看護師25,809人に占める割合
    25,809認定看護師 全体
    5.7%がん化学療法看護(A課程)1,476人
    1.4%がん薬物療法看護(B課程)354人
    残りその他の認定看護分野
    A課程+B課程 合計 1,830人 認定看護師全体の7.1%

    「がん薬物療法看護認定看護師」への名称変更

    日本看護協会は2019年2月に認定看護師制度を改正し、「がん化学療法看護」は「がん薬物療法看護」へ名称が変わりました。同時に「救急看護と集中ケア」「緩和ケアとがん性疼痛看護」が統合され、9分野が改名されて、分野数は21から19になっています。

    英語表記も Cancer Chemotherapy Nursing から Cancer Chemotherapy and Immunotherapy Nursing へ変わりました。免疫療法が名称に加わったところに、この分野が扱う治療の広がりが表れています。

    2019年2月の認定看護分野再編
    改正前
    A課程 21分野
    2019年2月
    認定看護師制度を改正
    分野統合(2組)
    「救急看護」と「集中ケア」
    「緩和ケア」と「がん性疼痛看護」
    名称変更(9分野)
    がん化学療法看護など
    9分野の分野名を変更
    改正後
    B課程 19分野
    名称変更9分野のうちこの記事の分野
    がん化学療法看護 → がん薬物療法看護
    Cancer Chemotherapy Nursing → Cancer Chemotherapy and Immunotherapy Nursing

    A課程(特定行為研修を組み込んでいない教育課程)を修了した認定看護師の認定審査は2029年度まで実施され、更新審査はその後も永続的に続きます。

    A課程の認定看護師が特定行為研修を修了して手続きをすれば、B課程の認定看護師(特定認定看護師)へ移行することもできます。

    名称の整理


    • がん化学療法看護(A課程)は1998年5月に分野特定、2001年8月に認定開始
    • がん薬物療法看護(B課程)は2019年2月に分野特定、2021年5月に認定開始
    • これから目指す人が受けるのはB課程の「がん薬物療法看護」

    今から取るならどっちの名前になるの?

    対象となる患者と治療

    がん薬物療法を受けている患者さんが対象です。細胞障害性抗がん薬だけでなく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療も含みます。

    治療の場も入院に限りません。B課程の「知識と技術」には自宅での治療管理や有害事象に対応するための個別的な患者教育が挙げられています。経口の抗がん薬を自宅で続ける患者さんや、外来で点滴を受けて帰宅する患者さんも担当範囲に入ります。

    活躍する職場

    登録者1,830人のうち1,697人(92.7%)が病院勤務です。訪問看護ステーションは14人、クリニック・診療所は13人で、病院以外はごくわずかにとどまります。

    病院のなかでも配属先は外来に偏っています。がん化学療法看護(A課程)の病院勤務者1,354人のうち、外来が767人(56.6%)、病棟が414人(30.6%)。がん薬物療法看護(B課程)でも外来188人に対し病棟137人と、外来が上回ります。

    病院勤務者の配属先(A課程・B課程)

    外来 病棟 看護管理部 その他 地域・ICU等・学校・手術室
    A課程(がん化学療法看護) n=1,354
    56.6%
    30.6%
    B課程(がん薬物療法看護) n=343
    54.8%
    39.9%

    所属先を施設単位で見ると、A課程の906施設のうち394施設(43.5%)ががん診療連携拠点病院でした。B課程は295施設のうち143施設(48.5%)と、拠点病院への集中がさらに強くなります。

    職位はスタッフナースが501人で最も多い一方、主任292人、副師長242人、師長225人と管理職も目立ちます。平均年齢はA課程が50.1歳、B課程が45.3歳です。

    同じがん看護の高度資格には、大学院修士課程で取得する専門看護師(がん看護)もあります。役割の設計が異なるので、両方を比べたうえで選ぶのがおすすめです。

    参考:日本看護協会「認定看護師」 / 日本看護協会「認定看護師教育」

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    がん化学療法看護認定看護師の役割

    病院で点滴の投与管理をする看護師

    認定看護師に共通する役割は実践・指導・相談の3つです。がん薬物療法看護のB課程では、これに加えて多職種と協働しチーム医療のキーパーソンとしての役割を果たせる能力を教育目的に掲げています。

    カリキュラムは総時間数812時間で、うち認定看護分野の専門科目が225時間。その時間配分に、この分野で重く見られている役割が表れています。

    B課程カリキュラム 総時間812時間の内訳
    共通科目
    専門科目
    演習・実習
    共通科目 380時間46.8%
    認定看護分野 専門科目 225時間27.7%
    特定行為研修 区分別科目 22時間2.7%
    演習・実習 185時間22.8%

    安全な投与管理の推進

    専門科目のなかで最も時間が割かれているのが「がん薬物療法の投与管理とリスクマネジメント」の30時間です。レジメンの確認、投与前の検査値の評価、血管外漏出の予防と発生時の対応、過敏反応への備えといった内容が含まれます。

    投与管理とリスクマネジメントの判断プロセス
    1
    レジメンの確認
    指示内容とレジメンを照合し、誤りがないか確認する
    2
    検査値評価
    投与前に検査値を確認し、投与の可否を判断する
    3
    血管外漏出への対応
    漏出を予防し、発生時は速やかに対応する
    4
    過敏反応への備え
    症状の出現に備え、対応手順を整えておく

    B課程では特定行為研修の区分別科目として「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」を22時間学びます。手順書に基づいて輸液による補正を判断できるようになるため、脱水や電解質異常で治療が中断しそうな場面で動ける幅が広がります。

    副作用のマネジメント

    「がん薬物療法に伴う症状の緩和技術とセルフケア支援」も30時間と、投与管理と並ぶ柱です。悪心・嘔吐、骨髄抑制、末梢神経障害、皮膚障害など、レジメンごとに出やすい症状と発現時期を予測し、先回りして手を打ちます。

    加えて「主な疾患のがん薬物療法」を30時間学びます。同じ薬でも、がん種や治療の目的によって副作用の受け止め方は変わります。疾患別に治療の位置づけを押さえていることが、副作用への対応を画一的にしない支えになります。

    セルフケア支援

    「がん薬物療法を受ける患者・家族のアセスメント」15時間と「がん薬物療法を受ける患者の継続支援体制」15時間が、この役割にあたります。外来治療が中心になったいま、副作用の多くは自宅で起こります。

    どの症状なら様子を見てよく、どの症状が出たらすぐ連絡が必要なのか。患者さん自身が線引きできる状態にするのがセルフケア支援の中心で、説明の量を増やすことが目的ではありません。

    治療に関する意思決定支援

    B課程の「知識と技術」には患者・家族の意思決定支援と療養生活支援が挙げられています。治療を続けるか、次のレジメンに進むか、いったん休むか。医師の説明を聞いたあとに患者さんが本音をこぼすのは、診察室よりも治療室やベッドサイドであることが多いものです。

    カリキュラムでは「がん薬物療法の治療計画と看護」を15時間、「がんの医療サービスと社会資源」を15時間学びます。治療の見通しと、仕事や費用の負担を支える制度の両方を踏まえて選択肢を整理する役割です。

    抗がん薬の曝露対策の推進

    B課程の「知識と技術」には、投与管理と並んでばく露対策が明記されています。抗がん薬の曝露は、患者さんではなく扱う看護師や薬剤師自身の健康被害に関わる問題です。

    厚生労働省は2014年に、抗がん剤等を取り扱う労働者のばく露防止対策として5つの留意事項を通知しました。通知の宛先には日本看護協会も含まれています。

    1. 調製時の吸入ばく露防止のために安全キャビネットを設置する
    2. 取扱い時に閉鎖式接続器具等を活用する
    3. ガウンテクニック(呼吸用保護具・保護衣・保護キャップ・保護メガネ・保護手袋等の着用)を徹底する
    4. 調剤・投与・廃棄の作業手順を策定し、関係者へ周知徹底する
    5. 吸入ばく露・針刺し・経皮ばく露した際の対処方法を策定し、関係者へ周知徹底する

    この5項目は、設備を入れて手順書を配れば回るものではありません。守られているかを確認し、守れない理由があれば運用を作り直す。その旗振りが認定看護師の役割です。

    曝露対策は自分の身を守る話でもあるんだね!

    参考:日本看護協会「がん薬物療法看護」 / 厚生労働省「発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について」

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    【場面別】がん化学療法看護認定看護師の仕事内容

    病室でバインダーと聴診器を持ち笑顔で立つ看護師

    前述のとおり病院勤務者の半数以上が外来に所属していますが、病棟や看護外来、院内教育に軸足を置く人もいます。同じ資格でも、配属先によって1日の中身は大きく変わります。

    外来化学療法室での活動

    外来で抗がん薬を投与する体制は、診療報酬の外来腫瘍化学療法診療料で評価されています。1・2・3の3区分があり、施設基準を満たす体制の厚さによって点数が変わります。

    • 外来腫瘍化学療法診療料1
      抗悪性腫瘍剤を投与した場合、初回から3回目まで801点、4回目以降451点(静注製剤等)
    • 外来腫瘍化学療法診療料2
      同じ条件で601点、4回目以降321点
    • 外来腫瘍化学療法診療料3
      同じ条件で541点、4回目以降281点

    診療料1にだけ求められるのが、外来化学療法の評価に係る委員会の設置と、緩和ケアの適切な研修を受けた医師の配置です。診療料2は必要な体制と専用施設があればよく、診療料3は十分な体制を持つ他の医療機関との連携で代替できます。

    同じ「外来化学療法室」でも、体制の作り込みには3段階の差があります。

    体制の厚さで見る診療料1・2・3の違い

    診療料1
    基本の要件
    十分な体制
    必要な機器・十分な専用施設
    上乗せの要件
    外来化学療法の評価に係る委員会を設置
    緩和ケアに関する適切な研修を受けた医師を配置
    十分な指導管理体制
    診療料2
    基本の要件
    必要な体制
    専用施設
    上乗せの要件
    上乗せ要件なし
    診療料3
    基本の要件
    体制
    専用施設
    上乗せの要件
    他の医療機関との連携体制

    対象になる投与は、皮下注射・静脈内注射・動脈注射・抗悪性腫瘍剤局所持続注入・肝動脈塞栓を伴う肝動脈内注入・点滴注射・中心静脈注射・植込型カテーテルによる中心静脈注射です。

    ポートや持続注入の管理まで含むため、外来化学療法室で押さえる技術の幅は広くなります。

    病棟での活動

    初回導入や高用量のレジメン、重い副作用が予測される治療は入院で行われます。病棟に所属する認定看護師は、自分が投与管理に入るより、受け持ち看護師が判断に迷った場面での相談対応に時間を使うことが多くなります。

    退院後の治療管理も病棟の仕事とつながっています。退院した日から起算して7日以内に行った治療管理の費用は入院基本料に含まれる扱いで、外来へ引き継ぐまでの数日間は制度上も入院の延長線上に置かれています。

    看護外来・相談対応での活動

    診療報酬のがん患者指導管理料は4区分あり、イは医師と看護師が共同で診療方針を話し合う場面、ロは医師・看護師・公認心理師のいずれかが心理的不安を軽減するために行う面接を評価するものです。看護外来で認定看護師が担うのは、主にこの2つにあたります。

    がん患者指導管理料 4区分の比較

    区分点数(対面)点数(オンライン)算定回数内容
    イ500点435点1回(病状変化時さらに1回)医師が看護師と共同して診療方針等を話し合い、その内容を文書等により提供
    ロ200点174点6回まで医師、看護師又は公認心理師が心理的不安を軽減するための面接
    ハ200点174点6回まで医師又は薬剤師が抗悪性腫瘍剤の投薬又は注射の必要性等について文書により説明
    ニ300点261点1回医師が遺伝子検査の必要性等について文書により説明

    イの施設基準には適切な意思決定支援に関する指針を定めていることが入っています。意思決定支援が個人の裁量ではなく、施設の仕組みとして求められていることの表れです。

    ロが6回まで算定できるのも、不安への対応が一度で終わらない前提に立っているからです。

    院内教育・研修での活動

    認定看護師の役割のうち「指導」と「相談」が形になるのがこの場面です。抗がん薬を扱う部署は外来化学療法室だけではなく、病棟や救急外来でも投与に関わる機会があります。

    実際の活動は、新人への投与管理の指導、曝露対策の手順の周知と確認、レジメン変更時の勉強会、他部署からのコンサルテーション対応などです。資格を持つ本人が動く範囲より、動ける看護師を増やした範囲のほうが院内への影響は大きくなります。

    参考:厚生労働省「診療報酬の算定方法」 / 厚生労働省「特掲診療料の施設基準等」

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    役割を発揮しやすい職場の条件

    地方にある大学病院の外観

    資格を取っても、活動できる時間と設備がなければ役割は形になりません。外来化学療法室の体制や曝露対策の設備には施設差があり、その差はがん診療連携拠点病院の指定要件にはっきり表れています。

    外来化学療法室の体制

    厚生労働省の「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」は、地域がん診療連携拠点病院に対して外来化学療法室へ専従の常勤看護師を1人以上配置することを求めています。そのうえで「がん看護又はがん薬物療法に関する専門資格を有する者であることが望ましい(*)」と書かれています。

    この(*)付きの「望ましい」について、指針は次期の指定要件の改定において必須要件とすることを念頭に置いたものと説明しています。外来化学療法室に専門資格を持つ看護師を置くことは、いずれ必須になる方向で動いているということです。

    部門・職種別の配置区分と専門資格の要否
    部門・職種配置区分専門資格
    地域がん診療連携拠点病院
    外来化学療法室の看護師専従望ましい(*)
    緩和ケアチームの看護師専従必須
    放射線治療部門の看護師専従望ましい
    薬物療法に携わる薬剤師専任必須
    地域がん診療病院
    外来化学療法室の看護師専任(専従が望ましい)望ましい
    (*)次期の指定要件の改定で必須要件とすることを念頭に置いた項目

    一方、地域がん診療病院では同じ配置が「専任」で足り、専従は望ましい止まりです。拠点病院等は令和8年4月1日現在で全国468箇所が指定されていますが、類型によって求められる体制は違います。

    医療キャリアナビ掲載求人データ
    • 正看護師の求人は9,633件(月給中央値29.2万円)
    • 病院は1,368件・月給中央値29.8万円
    • クリニックは2,384件・月給中央値28.6万円
    キャリアパートナー

    曝露対策の設備と運用

    安全キャビネットと閉鎖式接続器具(CSTD)が備わっているかは、求人票からは分かりません。見学の機会があれば、調製場所と廃棄までの動線を見せてもらうと運用の実態が見えてきます。

    • 調製は安全キャビネットで行っているか
    • 閉鎖式接続器具を投与時にも使っているか
    • 曝露した際の対処手順が誰でも見える場所にあるか

    『がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン』は2019年版でクリニカルクエスチョンが8から20に増え、調製・投与・廃棄の各場面で必要な防護策がより具体的になりました。

    このガイドラインを施設の手順に落とし込めているかどうかが、認定看護師が動ける余地の目安になります。

    クリニカルクエスチョンの数

    8項目
    旧版
    →
    20項目
    2019年版(第2版)

    認定看護師の配置と活動時間の確保

    同じ指針でも、緩和ケアチームの看護師には「がん看護又は緩和ケアに関する専門資格を有する者であること」と必須で書かれているのに対し、外来化学療法室は前述のとおり「望ましい(*)」です。

    この書き分けが、専門資格を持つ看護師にどれだけ活動時間を割り当てるかの差として現れます。

    指針は看護師の配置以外にも、院内でがん医療を回すための体制をいくつか求めています。これらが動いている施設なら、認定看護師が院内教育やコンサルテーションに関わる場が制度としてすでに用意されています。

    指針が求める院内体制の要件
    1
    レジメン審査・管理委員会の設置
    薬物療法のレジメンを審査し、組織的に管理する委員会を設置しているか
    2
    リンクナースの配置
    がん治療を行う病棟や外来部門にリンクナースを配置しているか
    3
    がん看護研修の定期実施
    院内の看護師を対象としたがん看護に関する総合的な研修を定期的に実施しているか

    見学のときに聞いておけば、入ってからのギャップが減るよ!

    参考:厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」 / Mindsガイドラインライブラリ「がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン 2019年版」

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    がん化学療法看護認定看護師になるには?

    研修でメモを取る看護師

    受験資格は、日本国の看護師免許を持ち、免許取得後に通算5年以上の実務研修を受けていること。そのうち通算3年以上はがん薬物療法看護分野の実務研修である必要があります。

    分野ごとに実務研修内容の基準も定められていて、がん薬物療法看護では次の実績が求められます。

    • 通算3年以上、がん薬物療法を受けている患者さんの多い病棟・外来・在宅ケア領域における看護実績
    • がん薬物療法を受けている患者さんの看護を5例以上担当した実績
    • がん薬物療法薬の経静脈投与管理の実績が1例以上(必須)

    3つめは、がん放射線療法看護や緩和ケアの基準には置かれていない、この分野だけの必須項目です。外来化学療法室や化学療法を多く扱う病棟での経験を、年数だけでなく担当症例として積んでおく必要があります。

    実務研修「症例1例以上」の必須要件・分野比較
    がん薬物療法看護
    必須要件
    経静脈投与管理の実績1例以上(必須)
    がん放射線療法看護
    必須要件
    症例1例以上の必須要件なし
    緩和ケア
    必須要件
    症例1例以上の必須要件なし
    感染管理
    必須要件
    改善実績1事例以上
    症例数でなく改善実績

    教育課程はB課程の「がん薬物療法看護」です。前述の812時間の内訳は共通科目380時間、認定看護分野専門科目225時間、特定行為研修区分別科目22時間、演習・実習185時間で、開講期間は1年以内と定められています。

    ただし枠は多くありません。2026年度にがん薬物療法看護を開講しているのは2課程、受講定員は合計31人です。B課程全体では58課程・1,025人が開講しているので、この分野の枠は全体の3%ほどにとどまります。

    2026年度 教育課程の開講状況
    B課程「がん薬物療法看護」
    2課程
    開講課程数
    31人
    受講定員
    B課程 全分野の合計
    58課程
    開講課程数
    1,025人
    受講定員
    A課程「がん化学療法看護」 2026年度の開講なし

    流れは、教育機関の入学試験、1年以内の教育課程、認定審査(筆記試験)、認定登録の順です。教育課程は集中型が中心で、1年間勤務先を離れる前提になります。休職の扱いや奨学金の利用を早めに勤務先と相談しておくと動きやすくなります。

    費用は教育課程の学費に加えて、認定審査の審査料と認定料がかかります。認定看護師制度そのものの仕組みやA課程・B課程の違い、費用の目安は次の記事にまとめています。

    参考:日本看護協会「認定看護師」

    まとめ

    がん化学療法看護認定看護師は、2019年の制度改正で「がん薬物療法看護」へ名称が変わり、これから目指す人は特定行為研修を組み込んだB課程を受けることになります。

    役割は、安全な投与管理、副作用のマネジメント、セルフケア支援、意思決定支援、曝露対策の推進の5つ。実践だけでなく、指導と相談を通じて院内全体のがん薬物療法の質を底上げする立場です。

    働く場所は病院が9割以上で、なかでも外来が過半数を占めます。外来化学療法室、病棟、看護外来、院内教育と、配属先によって時間の使い方は大きく変わります。

    資格を活かせるかどうかは、職場の体制にも左右されます。資格取得はゴールではなく、働く場所とセットで考えると活かしやすくなります。

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