国立病院の看護師の年収はいくら?俸給表の仕組みと手当・役職別の給与
国立病院の看護師の年収は、平均で約530万円です。 国立病院機構の給与は、公開されている職員給与規程の「基本給表(いわゆる俸給表)」と手当のルールで決まるため、経験年数や役職からおおよその金額を計算できます。
この記事では、国立病院の看護師の平均年収、給与の内訳、学歴別の初任給、役職別の年収を公表資料をもとに紹介します。 「安い」といわれる理由と、国立病院のなかで年収を上げる方法もあわせて確認しましょう。
お申し込みを受け付けました
以下からひな形と見本をダウンロードできます。
国立病院の看護師の平均年収

国立病院機構は全国約140の病院を運営する独立行政法人で、職員の給与水準を毎年公表しています。 令和6年度の公表資料では、看護部長を含む病院看護師2万5,893人の平均年収は約530.5万円、平均年齢は38.3歳です。
国立がん研究センターなどのナショナルセンターや国立大学病院は国立病院機構とは別の法人で、給与規程も異なります。
全体の平均年収
年俸制の看護部長を除いた看護師2万5,772人(平均38.2歳)の年間給与は約528.5万円です。 そのうち賞与が約128.8万円を占め、年収のおよそ4分の1がボーナスです。
役職のない看護師2万1,604人に絞ると、平均年齢36.6歳で約497.7万円です。 平均年収の約530万円は看護師長などの管理職も含んだ数字なので、20〜30代のスタッフの年収はこれより低めと考えておきましょう。
民間病院との比較
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和6年)では、看護師全体の平均は年齢41.2歳で、年収に換算すると約519.7万円です。 国立病院機構の平均はこれをやや上回り、平均年齢は約3歳若くなっています。
| 国立病院機構 | 看護師全体 | |
|---|---|---|
| 平均年収 | 530.5万円 | 519.7万円 |
| うち賞与 | 128.8万円※ | 83.5万円 |
| 平均年齢 | 38.3歳 | 41.2歳 |
この統計は民間病院だけでなく、クリニックや介護施設などで働く看護師も含んだ数字です。 国立病院機構は年収に占める賞与の割合が大きく、月々の給与よりもボーナスで差がつきやすいのが特徴です。
- 病院の正看護師求人は1,368件
- 平均月給は約29.6万円(中央値29.8万円)
- 正看護師求人の63%が賞与あり
求人の月給だけを比べると国立病院が低く見える場合もあるため、賞与を含めた年収で比べるのがおすすめです。
公立病院・大学病院との比較
公立病院の看護師は地方公務員で、自治体の条例にもとづき、国家公務員に準じた給料表が使われるのが一般的です。 国立病院機構は、国家公務員の看護師の給与を100とした指数を公表していて、令和6年度は年齢を考慮すると91.6でした。
公務員の看護師より1割近く低い水準なので、同じ年齢で比べると公立病院のほうが給与は高めになる可能性があります。 大学病院は、国立大学法人や学校法人ごとに給与規程が異なるため、病院単位での比較が必要です。
「国立」だから公務員並みにもらえると思ってたけど、そうでもないの?
大学病院の看護師の年収は、以下の記事で紹介しています。
参考:独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構の役職員の報酬・給与等について(令和6年度)」 / 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
国立病院の看護師の給与の内訳

国立病院の看護師の月給は「基本給+各種手当」で決まり、これに年2回のボーナス(業績手当)が加わります。
金額はすべて国立病院機構の職員給与規程で定められていて、この記事の数字は2026年6月15日に更新された規程(2026年6月1日施行の改正まで反映)にもとづいています。
俸給表で決まる基本給
国家公務員の「俸給表」にあたる表を、国立病院機構では「基本給表」と呼びます。 看護師に使われるのは「医療職基本給表(三)」で、基本給は次の2つの組み合わせで決まります。
-
職務の級役職で決まる段階。看護師は2級、副看護師長は3級、看護師長は4級、副看護部長は5級
-
号俸同じ級の中の段階。毎年1月1日の昇給で上がる
昇給する号俸の数は、前年10月から9月までの勤務成績で決まります。 勤務成績が「良好」なら年4号俸の昇給が標準です。
1号俸あたりの金額は号俸の位置によって違うため、同じ4号俸の昇給でも年によって上がる額が変わります。
地域手当
地域手当は、病院がある地域の民間賃金の水準を反映して支給される手当です。 月額は「基本給+役職手当+扶養手当」に支給割合をかけた額で、割合は1級地の20%から5級地の4%まで5段階あります。
規程の支給区分表に載っていない病院には、地域手当は支給されません。 同じ基本給でも、勤務する病院によって月給に数万円の差が出ます。
2025年4月から2028年3月までは経過措置があり、20%を超えない範囲で理事長が定める割合が適用されます。実際の支給率は応募先の病院に確認しましょう。
夜間看護等手当
夜間看護等手当は、深夜帯の勤務をした回数に応じて支給される手当です。 1回の勤務のうち、深夜帯にかかった時間数で金額が決まります。
深夜帯をまるごと含む二交替の夜勤なら、1回8,600円です。 国立病院機構近畿グループの募集要項では、夜勤手当なども合わせて二交替夜勤1回につき概ね11,000円、三交替夜勤1回につき概ね5,000円が目安とされています。
夜勤手当の相場や計算の仕組みは、以下の記事で詳しく紹介しています。
住居手当・扶養手当
住居手当は、月12,000円を超える家賃を払って賃貸住宅に住んでいる職員に支給されます。
-
家賃23,000円以下家賃から12,000円を引いた額
-
家賃23,000円超11,000円に「家賃−23,000円」の半分(上限16,000円)を足した額
家賃4万円なら19,500円、家賃5万5,000円以上なら上限の27,000円です。
扶養手当は、扶養している家族の人数と続柄で決まります。
-
配偶者月13,000円
-
子・父母など1人につき月6,500円(配偶者がいない場合は1人目が11,000円)
-
15歳の年度末〜22歳の年度末の子1人につき月5,000円を加算
期末手当・勤勉手当
国家公務員の期末手当・勤勉手当にあたるボーナスを、国立病院機構では「業績手当」と呼び、6月30日と12月10日に支給します。
-
基礎的支給部分(期末手当に相当)6月に1.225か月分、12月に1.375か月分。役職手当を受ける職員は6月1.025か月分・12月1.175か月分
-
業績反映部分(勤勉手当に相当)病院と個人の業績で決まる。役職のない職員の原資は1回あたり算定基礎額の0.8か月分が上限
-
年度末賞与医業収支が特に良好な病院だけ、3月に支給
基礎的支給部分の計算には、基本給と扶養手当に加えてそれぞれにかかる地域手当も含まれます。 近畿グループの募集要項では、業績手当は年間で基本給等の4.2か月分と案内されています。
地域手当はボーナスの計算にも入るから、病院による差が広がるんだね
参考:独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構 職員給与規程」 / 独立行政法人 国立病院機構 近畿グループ「給与・勤務時間・福利厚生」
国立病院の看護師の初任給

国立病院の看護師の初任給は、学歴ごとに「2級の何号俸からスタートするか」が規程の初任給基準表で決まっています。 基本給に地域手当や夜勤の手当、住居手当などが加わるため、1年目の月給総額は勤務先と働き方によって変わります。
看護師3年課程卒
看護専門学校などの3年課程を卒業した看護師は、規程上「短大3卒」の区分に入ります。 初任給は2級5号俸で、基本給235,900円です。
2年課程(進学課程)や2年制短大を卒業した場合は「短大2卒」の区分で、2級1号俸・227,700円からのスタートです。
看護系大学卒
4年制の看護系大学を卒業した看護師は、2級9号俸で、基本給241,500円からスタートします。 3年課程卒との差は4号俸で、これは標準的な昇給1年分と同じです。
3年課程卒は大学卒より1年早く働き始めるため、標準的に昇給していれば、同じ年齢の時点でほぼ同じ号俸に並びます。 学歴による基本給の差は、長く働くほど目立ちにくくなります。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
大学院修士課程修了
看護師の初任給基準表には「大学院修了」の区分がなく、定めのある学歴のなかでは大学卒(2級9号俸)がもっとも上の区分です。
規程では、表で決まらないケースの基本給は理事長が定める基準で決めるとされていて、修士課程修了者の号俸の扱いは規程本文からは分かりません。
大学院修了者の初任給は採用する病院によって扱いが異なる可能性があるため、応募前に採用担当へ確認しておくと安心です。
大学院まで行ったら、初任給はどのくらい変わるんだろう?
参考:独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構 職員給与規程」 / 独立行政法人 国立病院機構 近畿グループ「給与・勤務時間・福利厚生」
【役職別】国立病院の看護師の年収

国立病院の看護師は、役職が上がると「職務の級」が上がり、基本給の上限が引き上げられます。 看護師長からは役職手当が加わり、看護部長になると年俸制に切り替わります。
| 役職 | 基本給(月額) | 役職手当(月額) | 平均年収(平均年齢) |
|---|---|---|---|
| 看護師2級 | 227,700〜347,900円 | なし | 497.7万円(36.6歳) |
| 副看護師長3級 | 262,000〜376,300円 | なし | 公表なし |
| 看護師長4級 | 281,400〜394,100円 | 44,800円 | 721.1万円(49.5歳) |
| 副看護部長5級 | 303,900〜408,300円 | 59,200円 | 公表なし |
| 看護部長年俸制 | 年俸 約592〜771万円 | 75,800円〜 | 957.9万円(57.6歳) |
副看護師長
副看護師長は3級で、基本給の上限が2級の347,900円から376,300円に上がります。 副看護師長は役職手当の対象に入っていないため、昇格による給与の変化は基本給だけです。
昇格は原則10月1日で、昇格後の号俸は規程の「昇格対応号俸表」で決まります。 すぐに月給が大きく変わるわけではなく、2級の上限に近づいた人ほど、3級に上がってからも昇給が続く点がメリットです。
副看護師長には役職手当がつかないなんて、ちょっと意外だよね
看護師長
看護師長は4級で、基本給に加えて役職手当が月44,800円支給されます。 役職手当は地域手当の計算にも含まれるため、地域手当のある病院では実際の増加額はさらに大きくなります。
公表資料では、看護師長1,613人の平均年収は平均年齢49.5歳で約721.1万円です。 役職のない看護師の平均(約497.7万円)より、200万円以上高い水準です。
副看護部長
副看護部長は5級で、医療職基本給表(三)のなかではもっとも上の級です。 役職手当は月59,200円で、基本給の上限は408,300円です。
副看護部長の平均年収は公表されていませんが、基本給と役職手当の水準は看護師長を上回ります。
看護師の求人を探す看護部長
看護部長は基本給表ではなく「基本年俸表(三)」が適用され、年俸制になります。 年俸は「月例年俸額」と「業績年俸額」の合計で、1級の場合は約592万〜771万円です。
このほかに役職手当が月75,800円(理事長が定める病院の2級は月88,300円)支給されます。 看護部長など年俸制の看護職121人の平均年収は、平均年齢57.6歳で約957.9万円です。
参考:独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構 職員給与規程」 / 独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構の役職員の報酬・給与等について(令和6年度)」
国立病院の看護師の年収が安いといわれる理由

国立病院の看護師の平均年収は看護師全体と同じくらいの水準ですが、「安い」と感じる人がいるのは、給与制度に理由があります。 差がつくポイントは、昇給幅・役職ポスト・地域手当の3つです。
俸給表で昇給幅が決まっているため
医療職基本給表(三)の2級には、1号俸あたりの差が小さい区間があります。 大学卒の初任給(2級9号俸・241,500円)から標準的な4号俸の昇給をしても244,300円で、1年分の昇給額は2,800円です。
国立病院機構の公表資料でも、独立行政法人に移行した際に、中高年層の一般看護師の給与カーブをフラットにしたと説明されています。 入職後数年と勤続20年以降は基本給が伸びにくく、「頑張っても上がらない」と感じやすい構造です。
若手のうちは、昇給してもほとんど実感できないんだね…
役職に就くまで大きく伸びないため
2級の基本給には上限(347,900円)があり、上限に達すると同じ級にいる間は昇給しません。 役職手当がつくのも看護師長からです。
公表資料では、看護職員2万5,893人のうち管理職は1,931人で、割合は7.5%です。 管理職のポストは限られているため、スタッフのまま長く働くと、年収は基本給表の上限付近で頭打ちになります。
給料が上がりにくい理由と対策は、職場を問わず以下の記事でも紹介しています。
地域手当の支給率が地域で異なるため
地域手当は病院の所在地で0〜20%の差があり、同じ基本給でも月給が大きく変わります。 大学卒1年目の基本給241,500円で比べると、1級地の病院では月48,300円の地域手当がつき、支給のない病院では0円です。
地域手当はボーナスの基礎的支給部分にも反映されるため、この例では業績反映部分を除いても年間で約70万円の差になります。 地方の病院で働く看護師ほど、平均年収より低いと感じやすいのはこのためです。
30秒でかんたん登録!
無料で応募書類テンプレをプレゼント
参考:独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構の役職員の報酬・給与等について(令和6年度)」 / 独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構 職員給与規程」
国立病院で年収を上げる方法

国立病院の給与は規程で決まっているため、年収を上げるには「手当の対象になる」「級を上げる」「支給率の高い病院で働く」のいずれかが必要です。
認定看護師・専門看護師の資格を取る
国立病院機構では、理事長が指定する専門看護師・認定看護師に「専門看護手当」が支給されます。 支給されるのは、認定を受けた分野の看護業務をしていて、資格が業務に直接役立つと認められた場合です。
手当の額だけで見ると年収への影響は小さめですが、資格は専門分野のリーダー役や昇格を目指すときの実績になります。 特定行為研修を修了し、指定された病院の診療部門で働く「診療看護師」になれば、手当の額は大きく上がります。
役職に就く
年収をもっとも大きく伸ばせるのは、副看護師長・看護師長への昇格です。 2級の上限で昇給が止まる前に3級へ上がれば、その後も昇給が続きます。
看護師長になれば役職手当がつき、スタッフの平均と比べて年収で200万円以上の差になります。 昇格は原則10月1日なので、上司との面談で昇格の目安や必要な経験を早めに確認しておくのがおすすめです。
地域手当の支給率が高い病院へ異動する
国立病院機構は全国の病院間で異動でき、近畿グループの案内では、異動しても役職や給与はそのまま引き継がれるとされています。 地域手当の支給率が高い都市部の病院に移れば、基本給が同じでも月給とボーナスが増えます。
同じ国立病院機構のなかでも、働く場所で年収が変わるんだね
反対に、支給率の低い病院へ異動した場合は、規程上、一定期間は異動前の支給割合に近い地域手当を受け取れる経過措置があります。 都市部は家賃などの生活費も高いため、手当の増加分と支出のバランスで考えましょう。
国立病院機構の外も含めて年収を比べたい場合は、賞与や手当を含めた年収ベースで求人を比較すると、判断しやすくなります。
参考:独立行政法人国立病院機構「独立行政法人国立病院機構 職員給与規程」 / 独立行政法人 国立病院機構 近畿グループ「給与・勤務時間・福利厚生」
まとめ
国立病院の看護師の平均年収は約530万円で、看護師全体の平均をやや上回る水準です。 給与は職員給与規程の基本給表と手当で決まるため、学歴・勤続年数・役職・勤務地が分かれば、おおよその年収を自分で計算できます。
この記事のポイント
- 平均年収は約530.5万円、役職のない看護師は約497.7万円
- 初任給は大学卒241,500円、3年課程卒235,900円
- 地域手当は病院の所在地で0〜20%の差がある
- 役職手当は看護師長から。昇格で年収が大きく伸びる
- 若手と勤続20年以降は基本給の伸びが小さい
国立病院で働き続けるなら、昇格の時期や地域手当の支給率を確認して、キャリアの計画を立てておきましょう。 ほかの病院と迷っている場合は、月給だけでなく賞与や手当を含めた年収で比べると、自分に合った職場を選びやすくなります。


