薬剤師の男女比は4対6|年代別・職場別の最新データと職場選びへの生かし方
「薬剤師は女性が多い」とよく言われますが、実際の比率まで知る機会はあまりありません。厚生労働省の統計では、届出をした薬剤師32万9,045人のうち男性が38.0%、女性が62.0%。ちょうど4対6です。
ただしこの比率は年代や職場でかなり動き、50代では女性が7割を超える一方、大学では男性が7割を占めます。薬剤師の男女比を全体・年代別・職場別に分けて示し、女性が多い理由と、その偏りが管理職やシフトにどう影響するか、求人票や面接で何を確かめれば影響を見抜けるかまでまとめました。
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薬剤師の男女比は約4対6|全体の人数と割合

薬剤師の男女比を示す公的データは、厚生労働省が2年ごとに公表する「医師・歯科医師・薬剤師統計」です。最新版は2024年12月31日現在の状況をまとめたもので、届出をした薬剤師全員が対象になっています。
薬剤師全体の男女別人数と割合
届出薬剤師は32万9,045人。内訳は男性12万5,066人(38.0%)、女性20万3,979人(62.0%)で、男女比はおよそ4対6です。
前回調査(2022年)と比べると男性は883人増、女性は4,472人増。2年間の増加分5,355人のうち、8割以上を女性が占めました。
この32万9,045人には、薬局や病院で働く人だけでなく、製薬企業・行政・大学に勤める薬剤師や、届出時点で働いていない人も含まれます。薬剤師免許を持っている人全体の比率と考えると分かりやすいです。
薬剤師の男女構成
2024年12月31日現在の届出数
4対6って、思ってたより男性もいるんだね?
薬局・医療施設に従事する薬剤師の男女比
薬局・病院・診療所で働く薬剤師に絞ると26万727人で、男性が9万1,090人(34.9%)、女性が16万9,637人(65.1%)。全体より女性の比率が3ポイント高くなります。
差が出るのは、製薬企業や大学のように男性が多い職場が「全体」の側に含まれるためです。調剤の現場で感じる「女性のほうが多い」という実感は、こちらの約3.5対6.5に近くなります。
内訳は薬局19万7,437人、病院5万7,595人、診療所5,695人。薬局だけで薬剤師全体の60.0%を占めます。
母集団による男女比の違い
届出薬剤師全体(32万9,045人)
薬局・医療施設の従事者(26万727人)
2024年12月31日現在
男女比の推移
薬局・医療施設で働く薬剤師の女性割合は、2012年の66.5%から2024年の65.1%まで、12年間で1.4ポイント下がりました。ここ数年はほぼ横ばいです。
女性が減ったわけではありません。人数で見ると女性は13万6,772人から16万9,637人へ3万2,865人増えています。同じ期間に男性も6万8,944人から9万1,090人へ2万2,146人増えたため、比率としては動かなかった、という形です。
「女性薬剤師が増え続けている」というイメージは、割合で見るかぎり当てはまりません。男女とも人数が伸びて、4対6に近いバランスが保たれています。
女性割合の推移
対象は薬局・医療施設に従事する薬剤師
参考:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
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【年代別・職場別】薬剤師の男女比の内訳

全体の4対6はあくまで平均値です。同じ統計を年代と職場で分けると、男女比は30代の約4対6から診療所の1対9近くまで幅があります。自分の年代や志望先に近い数字のほうが、職場のイメージには直結します。
年代別の男女比
女性の割合が最も高いのは50代の70.4%、最も低いのが30代の59.5%です。全体平均の65.1%を挟んで、10ポイント以上の開きがあります。
30代だけ男性の割合が40.5%まで上がるのは、男性薬剤師がこの年代に集中しているためです。男性薬剤師全体の30.8%が30代で、女性の24.3%を6ポイント上回ります。
反対に女性は50代の層が厚く、女性薬剤師全体の21.3%を占めます(男性は16.7%)。出産・育児期を過ぎたあとも辞めずに続けている女性が多いことが、年齢構成から読み取れます。
30代だけ男女が近づくんだ。おもしろいね
職場別の男女比
女性の割合が最も高いのは診療所の87.2%で、10人中9人近くが女性です。次いで介護保険施設が75.2%、薬局が64.8%、病院が63.8%と続きます。
一方、男性が多数派になる職場もあります。大学は男性が70.8%、医薬品関係企業は男性57.3%(うち製造販売業・製造業は62.5%)。衛生行政機関はほぼ半々の男性51.0%です。
平均年齢にも差があり、病院の42.5歳に対して診療所は58.4歳です。診療所で女性が9割近くを占める背景には、院内調剤を長年担ってきたベテラン女性薬剤師が中心という成り立ちがあります。
職場別の男女比と平均年齢
| 職場 | 従事者数 | 女性の割合 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|
| 薬局 | 197,437人 | 64.8% | 46.8歳 |
| 病院 | 57,595人 | 63.8% | 42.5歳 |
| 診療所 | 5,695人 | 87.2% | 58.4歳 |
| 介護保険施設 | 1,217人 | 75.2% | 59.7歳 |
| 大学 | 5,011人 | 29.2% | 48.6歳 |
| 医薬品関係企業 | 34,184人 | 42.7% | 49.1歳 |
| 衛生行政機関・保健衛生施設 | 6,906人 | 49.0% | 43.1歳 |
薬剤師に女性が多い理由

女性が6割を超える背景には、薬剤師の働き方に共通した4つの特徴があります。勤務時間の規則性、復職のしやすさ、雇用形態の選択肢、そして資格が全国どこでも通用することです。
勤務時間が規則的で家庭と両立しやすい
薬局と診療所には夜勤がありません。開局時間・診療時間に合わせた勤務が基本で、終業時刻が読めます。保育園の送り迎えや家事の時間を組み立てやすく、共働きでも続けやすい働き方です。
対して病院薬剤師には当直や日直があります。夜間に呼び出される可能性がある職場とそうでない職場、この違いが職場別の男女比にそのまま表れています。
土日についても、多くの調剤薬局は門前の医療機関の診療日に合わせて開くため、日曜が休みになる職場が多くなります。
産休・育休後に復職しやすい
薬剤師免許に更新手続きはありません。数年のブランクがあっても資格が失われることはなく、復職の入口で資格を取り直す必要がない点は大きな安心材料です。
調剤業務そのものが法令と手順で標準化されているため、職場が変わっても仕事の型は大きく変わりません。いったん離れてから戻りやすい理由の一つです。
全国平均でも女性の育児休業取得率は86.6%、男性は40.5%(令和6年度雇用均等基本調査)。育休が制度として定着していることが、復職を前提としたキャリアを組みやすくしています。
育児休業の取得率
免許が切れないって、それだけで気がラクだよね
パート・派遣など働き方を選びやすい
医療キャリアナビ掲載の薬剤師求人1,450件のうち、パート・アルバイトは518件で全体の約36%。週1日から働ける求人や時短勤務可の求人もあり、フルタイム以外の選択肢が用意されています。
派遣という選択肢もありますが、働ける場所には法律上の線引きがあります。病院・診療所・介護医療院での調剤業務は、原則として労働者派遣が禁止されています(労働者派遣法施行令第2条第3号)。一方で薬局はこの制限の対象外なので、派遣薬剤師として働けます。
禁止の例外にあたるのが、紹介予定派遣、産前産後休業・育児休業などを取得する人の代替、へき地での就業です。産休・育休に入る薬剤師の穴を派遣で埋められるのは、この例外があるためです。
- パート・アルバイト求人は518件(全1,450件の約36%)
- 時短勤務OKは149件、ブランクOKは145件
- 日・祝休みの求人は775件(全体の53%)
資格があれば全国どこでも就業できる
薬剤師免許は国家資格で、都道府県ごとの登録や更新は必要ありません。転居しても手続きなしで働けます。
薬局・医療施設に従事する薬剤師は47都道府県すべてにいて、引っ越した先で働き口が見つからないということはまずありません。配偶者の転勤があっても仕事を手放さずに済む点は、女性が長く続けやすい理由として無視できません。
参考:厚生労働省「令和6年度雇用均等基本調査」 / e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令」
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男女比の偏りが職場にもたらす影響

女性が6割を超える職場では、役割やシフトの分担にかたよりが出ます。男性にも女性にも負担がかかる場面が、統計の数字からも見えてきます。
男性薬剤師に管理職や力仕事の役割が集中する
薬局で働く薬剤師19万7,437人のうち、女性は64.8%。ところが立場別に分けると、この比率は反転します。
管理者ではない勤務薬剤師13万2,085人は女性75.2%・男性24.8%と、女性が4分の3を占めます。ところが管理薬剤師4万9,537人になると女性48.6%・男性51.4%とほぼ半々。さらに薬局の開設者・法人代表者(管理者)1万2,591人では、男性が71.6%と多数派になります。
薬局全体では少数派の男性が、管理する立場では多数派になる構図です。男性からすれば「若いうちから管理薬剤師を期待されやすい」ことを意味し、女性からすれば管理職の前例が少ない職場に当たる可能性がある、ということになります。
立場別に見た男女比
2024年12月31日時点の薬局薬剤師
立場が上がるほど男性が増えるんだね
産休・育休が重なると人員が不足する
薬局で働く薬剤師19万7,437人に対し、全国の薬局は6万3,203施設。単純に割ると1薬局あたり約3.1人です。
3人の職場で1人が産休・育休に入れば、3分の1が抜けます。女性が6割を超える以上、これは特定の時期に集中して起こります。同年代の女性が複数在籍する薬局なら、産休が重なることも十分あります。
代替要員を派遣や短期採用で補う方法はありますが、すぐに人が見つかるとは限りません。結果として、残ったメンバーが一時的に負担を引き受ける形になりがちです。
1薬局あたりの薬剤師数
薬剤師数は2024年12月末、薬局数は2024年度末の数値
時短勤務が多く遅番・土日のシフトが偏る
育児・介護休業法では、3歳未満の子を育てる労働者が希望した場合、事業主は所定労働時間を短縮する措置(原則1日6時間)を講じなければなりません。2025年10月からは、3歳から小学校就学前の子を育てる労働者に対しても、始業時刻の変更やテレワークなど「柔軟な働き方を実現するための措置」が義務づけられました。
制度が使われるほど、早番や日中のシフトに時短勤務者が集まります。その結果、遅番や土曜の勤務が、子育て中ではないメンバーに寄っていきます。
時短勤務をする側にも負担はあります。限られた時間で処方箋をさばく必要があり、休憩を削らざるを得ない場面も出てきます。どちらか一方が楽をしているわけではなく、人数に余裕がないことが根本にあります。
参考:厚生労働省「令和6(2024)年度衛生行政報告例の概況」 / 厚生労働省「育児・介護休業法について」
薬剤師の求人を探す男女比を職場選びに生かすチェックポイント

男女比そのものに良し悪しはありません。確かめたいのは、その比率が昇進やシフトにどう表れているかです。公開されている情報で調べられる項目が3つあります。
管理職に占める男女の割合を確認する
2026年4月から、常時雇用する労働者が101人以上の企業には、女性活躍推進法にもとづいて「女性管理職比率」の公表が義務づけられました。男女間の賃金差異も、同じタイミングで101人以上へ公表義務が広がっています。
大手の調剤薬局チェーンやドラッグストアはこの規模に該当します。公表された数値は厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」で企業名から検索でき、応募前に確認できます。
薬局の管理薬剤師は男女がほぼ半々です。それなのに企業全体の女性管理職比率が極端に低いなら、店舗より上のポジションで差がついている可能性があります。全社の数字と現場の比率のズレを見ると、昇進の実態がつかめます。
産休・育休の取得実績と復職率を確認する
同じ情報公表制度では、「男女別の育児休業取得率」や「男女の平均継続勤務年数の差異」も公表項目に含まれています。どれを選んで公表するかは企業に委ねられていますが、載っていれば有力な判断材料になります。
面接で聞くなら、制度の有無ではなく実績を尋ねるのが有効です。
- 直近3年で産休・育休を取得した薬剤師は何人いるか
- そのうち何人が同じ店舗・部署に戻ったか
- 復職後に時短勤務を使っている人はいるか
- 男性薬剤師の育休取得例はあるか
制度があっても取得例がゼロなら、実質的に使えていない可能性があります。前章で触れた全国平均と開きが大きい職場は、理由まで確かめておきましょう。
シフトの組み方と人員体制を確認する
薬局には、薬機法にもとづく薬局機能情報提供制度があります。都道府県への報告と公表が義務づけられていて、「薬局の薬剤師数」と「総取扱処方箋数」が公表項目に入っています。厚生労働省の「医療情報ネット」から薬局名で調べられます。
この2つを突き合わせると、1人あたりが何枚の処方箋を扱っているかを計算できます。求人票に書かれていない人員の余裕を、応募前に自分で確かめられる数少ない手段です。
あわせて聞いておきたいのが、遅番と土曜のシフトをどう分担しているかです。時短勤務者が何人いて、その分をどう回しているかまで確認できると、入職後のギャップが減ります。
応募前に調べられる薬局の情報
参考:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」 / 厚生労働省「薬局機能情報提供制度について」
公開データで確かめられること、けっこうあるんだ!
まとめ
薬剤師の男女比は全体で男性38.0%・女性62.0%の約4対6。薬局・病院・診療所で働く薬剤師に絞ると34.9%対65.1%で、女性の比率がもう少し上がります。この12年間はほぼ横ばいで、男女とも人数が増えてきました。
年代では50代の女性70.4%が最も高く、30代は男性が40.5%まで上がります。職場では診療所の女性87.2%から大学の男性70.8%まで幅があり、「薬剤師は女性が多い」の一言では片づきません。
偏りは職場の役割分担に表れます。薬局の一般勤務薬剤師は女性が75.2%なのに、開設者になると男性が71.6%。時短勤務が増えれば、遅番や土曜のシフトも偏ります。
職場選びで確認する3点
- 女性管理職比率(2026年4月から101人以上の企業に公表義務)
- 産休・育休の取得実績と、同じ職場への復職人数
- 薬局機能情報提供制度で公表される薬剤師数と総取扱処方箋数
男女比の数字そのものより、その比率が昇進とシフトにどう反映されているかが働きやすさを決めます。気になる職場が見つかったら、公表データと面接での質問で確かめてみましょう。


