個別機能訓練加算をわかりやすく解説|区分と算定要件

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個別機能訓練加算について調べると、(Ⅰ)イの解説、(Ⅱ)の解説というように区分ごとに記事が分かれていたり、通所介護を前提にした説明だけが見つかったりします。要件そのものより、自分の事業所に当てはまる情報にたどり着くまでが大変な加算です。

この記事では、まず制度が複雑に見える理由を整理したうえで、通所介護の3つの区分を人員配置・居宅訪問・情報提出・単位数・併算定という同じ軸で比べます。そのあと、サービス種別ごとの違い、算定までの手順、実行の負担が大きい居宅訪問の実務、算定にあたっての注意点を扱います。

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以下からひな形と見本をダウンロードできます。

    個別機能訓練加算がわかりにくい理由

    資料を前に頭を抱えて悩む様子

    個別機能訓練加算は、要件の一つひとつが難解というより、情報が区分ごと・サービス種別ごとにばらばらに存在していることが分かりにくさの原因です。理由は大きく3つあります。

    区分が複数に分かれていること

    通所介護と地域密着型通所介護には、個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)の3つの区分があります。区分ごとに人員配置の要件が違い、算定の単位も1日あたりと1月あたりで分かれています。

    • 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ|1日あたりで算定する基本の区分
    • 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ|機能訓練指導員をもう1名配置して算定する区分
    • 個別機能訓練加算(Ⅱ)|(Ⅰ)に上乗せし、1月あたりで算定する区分

    検索して見つかる解説が「どの区分の話か」を書いていないと、読んだ要件が自分の事業所の条件と噛み合いません。

    サービス種別ごとに要件が異なること

    個別機能訓練加算は通所介護だけの加算ではありません。短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設にも同じ名前の加算があります。

    ただし中身は別物です。短期入所生活介護は区分が1つだけ、介護老人福祉施設は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の3区分で、単位数も居宅訪問の要否も違います。通所介護の解説をそのまま他の種別に当てはめることはできません。

    改定のたびに再編されてきたこと

    この加算は改定のたびに組み替えられてきました。令和3年度改定では、従来の(Ⅰ)46単位/日と(Ⅱ)56単位/日が統合され、(Ⅰ)イ56単位/日・(Ⅰ)ロ85単位/日に再編されたうえで、LIFEへの情報提出を評価する(Ⅱ)20単位/月が新設されました。

    続く令和6年度改定では、(Ⅰ)ロの人員配置要件が緩和され、単位数が85単位/日から76単位/日に見直されています。あわせて介護老人福祉施設に(Ⅲ)が新設されました。

    対象:通所介護・地域密着型通所介護
    個別機能訓練加算 区分と単位数の変遷
    令和3年度改定より前
    個別機能訓練加算(Ⅰ)
    46単位/日
    個別機能訓練加算(Ⅱ)
    56単位/日
    令和3年度改定(Ⅰ)(Ⅱ)を統合・再編
    個別機能訓練加算(Ⅰ)イ
    56単位/日
    個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ
    85単位/日
    個別機能訓練加算(Ⅱ)【新設】
    20単位/月
    令和6年度改定2024年4月1日施行
    個別機能訓練加算(Ⅰ)イ
    56単位/日
    個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ
    8576単位/日
    個別機能訓練加算(Ⅱ)
    20単位/月

    古い改定を前提にした解説がそのまま残っているため、単位数や要件を調べるときは、その資料が何年度の改定にもとづくものかを先に確認しましょう(通所介護の令和6年度改定は2024年4月1日施行です)

    編集部からのアドバイス
    • 調べる順番は「自分のサービス種別」→「区分」→「改定年度」
    • 解説記事ではなく、告示と留意事項通知の原文にあたる
    • 運用の細部は指定権者に確認し、回答を記録に残す
    キャリアパートナー

    参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」 / 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

    加算の目的

    デイサービスでストレッチをする高齢者

    要件を覚える前に、この加算が何を評価するものなのかを押さえておくと、個々の要件が何のためにあるのかが見えてきます。

    何を評価する加算?

    告示に共通して書かれているのは、利用者さんごとに個別機能訓練計画を作成し、その計画にもとづいて計画的に機能訓練を行っている場合に算定する、という条件です。評価されているのは訓練の回数や時間そのものではなく、一人ひとりの心身の状況に合わせた計画と、それに沿った実施です。

    厚生労働省の留意事項通知は、この加算の趣旨を「住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目指すため設けられたもの」と説明しています。

    そのため目標の立て方も、単に身体機能の向上を目指すことだけを目標にするのではなく、日常生活における生活機能の維持・向上を含めた目標にすることが求められています。

    基本のサービス費との関係

    個別機能訓練加算は、通所介護費などの基本のサービス費に上乗せして算定するものです。加算だけを単独で算定することはできません。

    算定するには要件を満たしたうえで、あらかじめ都道府県知事(地域密着型サービスは市町村長)へ届出が必要です。また、人員欠如減算や定員超過減算に該当している場合は算定できません。

    利用者の負担にも関わること

    加算は事業所の収入であると同時に、利用者さんの自己負担にも反映されます。介護保険サービスの利用者負担は、かかった費用の1割(一定以上の所得がある人は2割または3割)です。加算を算定すれば、その分の1〜3割が利用者さんの支払いに上乗せされます。

    実際の金額は単位数に1単位あたりの単価をかけて計算しますが、この単価は地域区分によって変わります。地域区分は1級地から7級地とその他の8区分に分かれ、上乗せ割合は20%から0%まで開きがあります。

    「56単位です」とだけ伝えても金額は伝わらないので、説明するときは自分の地域の単価で計算した金額を用意しておくと話が早くなります。

    単位数が利用者負担になるまで
    費用額の計算
    単位数 ×
    1単位の単価
    =費用額
    利用者負担の計算
    費用額 ×
    1〜3割
    =利用者負担額
    単価を左右する地域区分
    20%〜0%
    1級地〜その他の8区分
    地域区分上乗せ割合該当自治体数
    1級地20%23
    2級地16%7
    3級地15%29
    4級地12%24
    5級地10%59
    6級地6%137
    7級地3%170
    その他0%1,292
    計–1,741

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    参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」 / 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」

    区分ごとの違い

    資料を指しながら制度を説明する手元

    (Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)という3区分があるのは、通所介護と地域密着型通所介護です。この2つは要件がほぼ同じ内容で定められているため、ここではまとめて扱います。他のサービス種別は後の章で比べます。

    区分の違いは、人員配置・居宅訪問の要否・情報提出の要否・算定の単位と単位数・併算定の可否という5つの軸で整理できます。

    人員配置の要件

    (Ⅰ)イは、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置することが要件です。配置時間の定めはありません。運営基準で配置が求められている機能訓練指導員で満たしても差し支えないとされています。

    たとえば週のうち特定の曜日だけ配置している場合は、その曜日に理学療法士等から直接機能訓練の提供を受けた利用者さんだけが算定の対象になります。この場合、加算を算定できる人員体制を確保している曜日をあらかじめ定め、利用者さんや居宅介護支援事業者に周知しておく必要があります。

    (Ⅰ)ロは、(Ⅰ)イの配置に加えてもう1名以上を配置する区分です。令和6年度改定前は「通所介護等を行う時間帯を通じて」配置することが求められていましたが、この要件が緩和され、現在は配置時間の定めがありません。合計2名以上の機能訓練指導員を配置している時間帯に算定できます。

    (Ⅱ)には人員配置の上乗せはなく、(Ⅰ)を算定していることが前提になります。

    なお、事業所の看護職員がこの加算に係る職務に従事する場合、その時間は看護職員としての人員基準の算定には含めません。

    配置人数と算定対象の違い
    (Ⅰ)イ
    配置人数 専従の理学療法士等 1名以上(運営基準で配置が求められている機能訓練指導員で満たしてよい)
    配置時間 定めなし
    算定対象 曜日を限定して配置する場合は、その曜日に理学療法士等から直接機能訓練の提供を受けた利用者さんのみ
    (Ⅰ)ロ
    配置人数 (Ⅰ)イに加えて専従の理学療法士等をもう1名以上(合計2名以上)
    配置時間 定めなし(令和6年度改定で「時間帯を通じて配置」の要件を緩和)
    算定対象 合計2名以上の機能訓練指導員を配置している時間帯
    算定できる曜日・時間帯はあらかじめ定め、利用者さんや居宅介護支援事業者へ周知しておく必要がある
    事業所の看護職員がこの職務に従事する時間は、看護職員としての人員基準の算定には含めない

    居宅を訪問することの要否

    居宅訪問は(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロのどちらにも必要です。機能訓練指導員等が利用者さんの居宅を訪問して生活状況を確認したうえで個別機能訓練計画を作成し、その後も3月ごとに1回以上訪問することが要件に含まれています。

    (Ⅱ)は(Ⅰ)の算定が前提なので、結果としてこちらも訪問が必要です。「上位の区分だけ訪問が求められる」という区分けではありません。

    情報の提出の要否

    厚生労働省への情報提出が要件になるのは(Ⅱ)だけです。個別機能訓練計画書の内容等の情報をLIFE(科学的介護情報システム)を用いて提出し、フィードバックされた情報を機能訓練の実施に活用することが求められます。

    留意事項通知では、提出情報とフィードバック情報を使って計画の作成・実施・評価・見直しというPDCAサイクルを回し、サービスの質を管理することとされています。(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロに提出要件はありません。

    算定の単位と単位数

    令和6年度改定後の単位数は、(Ⅰ)イが56単位/日、(Ⅰ)ロが76単位/日、(Ⅱ)が20単位/月です。(Ⅰ)は1日あたり、(Ⅱ)は1月あたりと、算定の単位が区分によって違う点が見落としやすいところです。

    1日あたりで算定する(Ⅰ)は、計画に位置づけた個別機能訓練の実施が予定されていても、利用者さんの都合などで実際に実施されなかった日は算定できません。

    併算定の可否

    (Ⅰ)イと(Ⅰ)ロは併算定できません。どちらか一方を選ぶことになります。一方、(Ⅱ)は(Ⅰ)に上乗せして算定する区分なので、(Ⅰ)イ+(Ⅱ)、または(Ⅰ)ロ+(Ⅱ)という組み合わせになります。

    また、人員欠如減算・定員超過減算に該当している場合は、(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロとも算定できません。

    個別機能訓練加算 区分別比較(通所介護・地域密着型通所介護)

    項目 (Ⅰ)イ (Ⅰ)ロ (Ⅱ)
    人員配置 専従の理学療法士等を1名以上(配置時間の定めなし) (Ⅰ)イに加えて専従をもう1名以上(合計2名以上の時間帯に算定) 上乗せの配置なし((Ⅰ)の算定が前提)
    居宅への訪問 必要(計画作成前と3月ごとに1回以上) 必要(計画作成前と3月ごとに1回以上) (Ⅰ)が前提のため必要
    厚生労働省への情報提出(LIFE) 不要 不要 必要(計画書の内容等を提出しフィードバックを活用)
    算定の単位と単位数 56単位/日 76単位/日 20単位/月
    併算定 (Ⅰ)ロとは併算定できない (Ⅰ)イとは併算定できない (Ⅰ)に上乗せして算定する

    参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」 / 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」

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    算定するまでの手順

    手順を一段ずつ進めていくイメージ

    要件を一覧で覚えるより、実際に行う順序で追ったほうが整理しやすくなります。ここでは通所介護を例に、配置から見直しまでの流れを追います。

    機能訓練指導員を配置する

    加算の算定上「理学療法士等」として認められるのは、次の資格です。

    • 理学療法士
    • 作業療法士
    • 言語聴覚士
    • 看護職員
    • 柔道整復師
    • あん摩マッサージ指圧師
    • はり師・きゅう師

    このうちはり師・きゅう師だけは実務経験の要件があります。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持つ機能訓練指導員を配置した事業所で、6月以上機能訓練指導に従事した経験がある人に限られます。

    利用者の状態を把握する

    居宅を訪問し、起居動作やADL(日常生活動作)、IADL(買い物や調理などの手段的日常生活動作)といった居宅での生活状況を確認します。あわせて利用者さんや家族の意向、担当する介護支援専門員等の意見も踏まえます。

    この段階で得た情報が、次の計画作成の土台になります。

    計画を作成する

    個別機能訓練計画は、機能訓練指導員等が共同して作成します。ここでいう機能訓練指導員等とは、機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者を指します。

    計画に盛り込むのは、目標、目標を踏まえた訓練項目、訓練実施時間、訓練実施回数などです。目標は長期目標・短期目標のように段階的にし、できるだけ具体的で分かりやすい表現にすることが求められています。訓練項目は複数の種類を準備し、利用者さんが自分で選べるようにします。

    なお、個別機能訓練計画に相当する内容を通所介護計画のなかに記載する場合は、その記載をもって個別機能訓練計画の作成に代えられます。

    算定までの6ステップ
    1
    機能訓練指導員を配置する
    専従の理学療法士等を配置する
    ↓
    2
    利用者さんの状態を把握する
    居宅を訪問し、起居動作・ADL・IADLを確認する
    ↓
    3
    計画を作成する
    機能訓練指導員等が共同で個別機能訓練計画を作成する
    ↓
    4
    説明し同意を得る
    利用者さんまたは家族に説明し、同意を得て交付する
    ↓
    5
    訓練を実施し記録する
    計画に沿って実施し、利用者さんごとに記録を残す
    ↓
    6
    評価し見直す
    3月ごとに1回以上、居宅を訪問して効果を確認し見直す
    ↺
    見直した内容は再び2の状態把握につながり、このサイクルを繰り返す

    説明し同意を得る

    通所介護計画は、作成にあたって内容を利用者さんまたは家族に説明し、利用者さんの同意を得なければなりません。作成した際には、その計画を利用者さんに交付する必要があります。個別機能訓練計画を通所介護計画に含めて作成する場合も、この手続きは同じです。

    算定の対象になるのは、計画にもとづいて機能訓練を実施した日です。計画ができる前の日にさかのぼって算定することはできません。

    訓練を実施し記録する

    訓練は、類似の目標を持ち同様の訓練項目を選択した5人程度以下の小集団、または個別に対して、機能訓練指導員が直接行います。介護職員等が訓練の補助を行うことは差し支えありません。

    実施の頻度は、おおむね週1回以上が目安とされています。

    実施した内容は、利用者さんごとに記録として残します。記録する項目は次のとおりです。

    • 個別機能訓練の目標
    • 目標を踏まえた訓練項目
    • 訓練実施時間
    • 個別機能訓練の実施者
    訓練の実施条件
    対象の単位
    類似の目標を持ち、同様の訓練項目を選択した5人程度以下の小集団、または個別
    実施者
    機能訓練指導員が直接行う
    介護職員等による補助
    訓練の補助を行うことは差し支えない
    実施頻度
    おおむね週1回以上が目安
    訓練の場
    必要に応じて事業所内外の設備等を用いた、実践的かつ反復的な訓練とする
    訓練時間の設定
    計画に定めた訓練項目の実施に必要な1回あたりの訓練時間を考慮して設定する

    評価し見直す

    訓練を開始したあとは、訓練項目や訓練実施時間、ADL・IADLの改善状況といった効果について評価を行います。この評価は、3月ごとに1回以上の居宅訪問とあわせて行うことになります。

    おおむね3月ごとに1回以上、実施状況や効果について担当の介護支援専門員等にも報告・相談し、利用者さんや家族の意向を確認したうえで、目標の見直しや訓練項目の変更を行います。

    利用者さんや家族への説明は、テレビ電話装置等を活用して行えます(活用にあたっては利用者さん等の同意が必要です)

    参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」 / e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」

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    居宅を訪問する要件の実務

    青空の下に広がる住宅街

    算定要件のなかで最も実行の負担が大きいのが居宅訪問です。書類を整えるだけでは満たせず、人と時間を動かす必要があるため、誰が行くのか、どう記録するのかで悩みが集中します。

    求められる頻度と対象

    訪問のタイミングは2つです。ひとつは最初の個別機能訓練計画を作成する前で、居宅での生活状況を確認したうえで計画を作ります。もうひとつは訓練開始後で、3月ごとに1回以上訪問し、そのつど生活状況を確認します。

    対象は加算を算定する利用者さん全員です。通所介護と地域密着型通所介護に加えて、短期入所生活介護の個別機能訓練加算にも同じ構造の訪問要件があります。一方、特定施設入居者生活介護と介護老人福祉施設の個別機能訓練加算には居宅訪問の要件がありません。

    居宅訪問がくり返される流れ
    1
    計画を作る前に居宅を訪問し、居宅での生活状況を確認する
    ↓
    2
    確認した内容をもとに個別機能訓練計画を作成する
    ↓
    くり返す
    3
    計画に沿って機能訓練を実施する
    ↓
    4
    3月ごとに1回以上、居宅を訪問して生活状況を確認し、利用者さんまたは家族に実施状況や効果を説明して記録する
    ↓
    5
    おおむね3月ごとに1回以上、実施状況や効果を担当の介護支援専門員等にも報告・相談する
    ↓
    6
    目標の見直しや訓練項目の変更を行い、訓練の実施に戻る

    誰が訪問する?

    告示は訪問を行う者を「機能訓練指導員等」と定めています。これは機能訓練指導員だけでなく、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者を含む表現です。つまり機能訓練指導員本人が必ず行かなければならないとは定められていません。

    そのため事業所内で役割を分担できます。ただし訪問の目的が目標設定と計画の見直しにある以上、計画作成に関わる職種が行くのが自然です。3月ごとの訪問では利用者さんや家族への説明も伴うため、訓練の内容を説明できる人が担当するか、同行する形をとると説明が滞りません。

    確認する内容

    留意事項通知が挙げているのは、居宅での生活状況、具体的には起居動作やADL、IADLの状況です。目標設定にあたっては、その結果に加えて利用者さんや家族の意向、介護支援専門員等の意見も踏まえることとされています。

    • 起居動作の状況(起き上がり、立ち上がり、移乗など)
    • ADLの状況(食事、排泄、入浴、更衣など)
    • IADLの状況(買い物、調理、洗濯、外出など)
    • 住環境(段差、手すり、動線、使っている福祉用具)
    • 利用者さんと家族の意向

    記録の残し方

    訪問して確認したことと、それを計画にどう反映したかが1本の線でつながる形にしておくと、あとから経過を追えます。訪問のたびに別紙を起こすより、利用者さんごとのファイルに時系列で綴じていくほうが、見直しの根拠を示しやすくなります。

    3月ごとの訪問では、説明した内容まで記録に残すことが要件です。確認だけして終わりにせず、誰に何を伝えたかを書き添えておきましょう。

    居宅訪問の記録チェック項目
    訪問記録に書く項目
    • 訪問した日
    • 訪問した人(職種)
    • 確認した居宅での生活状況
    • 利用者さんまたは家族に説明した内容
    • 計画にどう反映したか(見直しの有無)
    保管・閲覧の運用
    利用者さんごとに保管する
    事業所の個別機能訓練従事者が常に閲覧できる状態にしておく

    参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」 / 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」

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    サービス種別ごとの違い

    特別養護老人ホームなど介護施設の外観

    同じ「個別機能訓練加算」でも、サービス種別が変われば区分の数も単位数も要件も変わります。自分の事業所の種別に合う情報を探す手がかりとして、4つの種別を並べます。

    通所介護・地域密着型通所介護

    区分は(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)の3つで、単位数は前述のとおりです。居宅訪問が要件に含まれ、(Ⅱ)ではLIFEへの情報提出とフィードバックの活用が求められます。

    地域密着型通所介護は利用定員18人以下のサービスで指定権者が市町村になりますが、個別機能訓練加算の要件は通所介護とほぼ同じ内容で定められています。

    短期入所生活介護

    区分は分かれておらず、個別機能訓練加算として1日につき56単位です。専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置し、機能訓練指導員等が共同して利用者さんごとの心身の状況を重視した計画を作成します。

    居宅を訪問したうえで計画を作成し、その後3月ごとに1回以上訪問して利用者さんまたは家族に訓練の内容と進捗状況を説明することも要件です。LIFEへの情報提出を求める区分はありません。

    特定施設入居者生活介護

    (Ⅰ)が1日につき12単位、(Ⅱ)が1月につき20単位です。人員配置は、専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を1名以上とされており、通所介護より条件が重くなっています。利用者の数が100を超える場合は、常勤換算方法で利用者の数を100で除した数以上を追加で配置します。

    入居しているサービスのため居宅訪問の要件はありません。(Ⅱ)はLIFEへの情報提出とフィードバックの活用が要件です。

    介護老人福祉施設

    (Ⅰ)12単位/日、(Ⅱ)20単位/月、(Ⅲ)20単位/月の3区分で、こちらは(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を併算定できます。人員配置は特定施設と同じ考え方で、常勤の理学療法士等を1名以上、入所者の数が100を超える場合は常勤換算での追加配置が必要です。

    (Ⅲ)は令和6年度改定で新設された区分です。(Ⅱ)の算定に加えて、口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算を算定していること、機能訓練・口腔・栄養の情報を関係職種間で共有し、それを踏まえて計画を見直すことが要件になります。地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護も同じ内容です。

    サービス種別ごとの算定要件比較
    サービス種別 区分 単位数 人員配置 居宅訪問 LIFE情報提出
    通所介護・地域密着型通所介護 (Ⅰ)イ/(Ⅰ)ロ/(Ⅱ)の3区分 (Ⅰ)イ 56単位/日(Ⅰ)ロ 76単位/日(Ⅱ) 20単位/月 専従の理学療法士等1名以上((Ⅰ)ロはさらに1名以上) 必要 (Ⅱ)のみ必要
    短期入所生活介護 区分なし(1つのみ) 56単位/日 専従の理学療法士等1名以上 必要 要件なし
    特定施設入居者生活介護 (Ⅰ)/(Ⅱ)の2区分 (Ⅰ) 12単位/日(Ⅱ) 20単位/月 常勤専従の理学療法士等1名以上(利用者100人超は常勤換算で利用者数÷100以上を追加) 要件なし (Ⅱ)のみ必要
    介護老人福祉施設 (Ⅰ)/(Ⅱ)/(Ⅲ)の3区分(併算定可) (Ⅰ) 12単位/日(Ⅱ) 20単位/月(Ⅲ) 20単位/月 常勤専従の理学療法士等1名以上(入所者100人超は常勤換算で入所者数÷100以上を追加) 要件なし (Ⅱ)(Ⅲ)で必要

    自分の事業所の要件を確認する方法

    資料は役割ごとに分かれています。次の順で見ると、単位数と要件と解釈がそろいます。

    1. 単位数を確認する|居宅サービスは「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」、施設サービスは「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」
    2. 算定要件を確認する|告示「厚生労働大臣が定める基準」に、サービス種別ごとの要件が並んでいる
    3. 解釈を確認する|留意事項通知(通所介護であれば老企第36号)に、人員配置の考え方や訪問・記録の運用が書かれている
    4. 指定権者の資料を確認する|通所介護・短期入所生活介護・特定施設・介護老人福祉施設は都道府県、地域密着型のサービスは市町村が公表する手引きやQ&Aを見る

    参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」 / 厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」

    算定にあたって注意すること

    チェックリストと書かれた紙とペン

    要件は満たしているつもりでも、運用の実態とずれていると指摘の対象になります。つまずきやすい5つの場面を挙げます。

    計画の作成日と算定を開始する日

    算定できるのは、個別機能訓練計画にもとづいて訓練を実施した日からです。計画の作成日、利用者さんの同意を得た日、算定を開始した日の順番が入れ替わっていると、日付の整合を確認されることになります。

    計画を先に作り、説明して同意を得て、交付してから算定を始めるという順序を崩さないようにしましょう。

    計画に位置づけのない訓練

    体操やレクリエーションを毎日行っていても、それだけでは要件を満たしません。求められているのは、個別機能訓練計画に位置づけられた訓練項目を、前述の実施体制で機能訓練指導員が直接行うことです。

    全員が同じ内容の集団体操に参加している形だと、計画との対応関係を説明できません。計画に書いた訓練項目と、その日に実施した内容が記録の上でつながっているかを確認しておきましょう。

    実施の形と算定可否の判定
    ◯
    計画に位置づけた訓練項目を、5人程度以下の小集団で機能訓練指導員が直接実施
    ◯
    計画に位置づけた訓練項目を、個別に機能訓練指導員が直接実施
    ◯
    機能訓練指導員が直接実施し、介護職員等が補助についている
    ✕
    利用者さん全員が同じ内容の集団体操に参加しているだけ(個別の位置づけがない)
    ✕
    計画に位置づけはあるが、機能訓練指導員が実施に関わっていない
    △
    計画に位置づけた訓練の実施が予定されていたが、利用者さんの都合で実施しなかった
    ◯算定要件を満たす ✕算定要件を満たさない △その日は算定できない

    全員が同じ計画になっている場合

    告示は「利用者ごとに」個別機能訓練計画を作成することを求めています。さらに、複数の種類の訓練項目を準備し、利用者さんの生活意欲が増進されるよう援助したうえで、利用者さんの選択にもとづいて訓練を行うこととされています。

    目標も訓練項目も全員同じという状態だと、この個別性が確認できず、指摘につながる可能性があります。

    要件を満たさなかった場合

    厚生労働省の運営指導マニュアルは、この場面を2つに分けて整理しています。

    要件を満たしていなかった場合の分岐

    起点
    報酬請求指導で、加算の算定要件を満たしていない請求が見つかる
    判断
    単なる請求上の誤りか、偽りその他の不正の行為か
    単なる誤り
    • 自己点検のうえ過誤調整を行うよう指導される
    • 過誤調整は事業者側からの申し立てで過去の報酬請求を訂正する行為
    • 強制力はない
    行政指導(行政処分ではない)
    不正の行為・その疑い
    • 運営指導では立入検査ができないため、速やかに監査に切り替え事実関係を確認する
    • 事実が認められれば介護保険法第22条第3項に該当
    • 返還すべき額が徴収金として徴収される
    行政処分(不利益処分)

    ※不正の例:人員が不足しているのに満たしているように装って加算を請求した場合

    算定要件について誤った理解があり、要件を一つでも満たしていなかった場合は、その加算について自己点検のうえ過誤調整を行うよう指導されます。過誤調整は事業者側からの申し立てで過去の報酬請求を訂正する行為で、行政処分ではありません。

    一方、単なる誤りではなく偽りその他の不正の行為によって請求が行われていた場合は、監査に切り替えて事実関係が確認され、介護保険法第22条第3項にもとづいて返還すべき額が徴収金として徴収されます。マニュアルでは、人員が不足しているにもかかわらず満たしているように装って加算を請求した場合が不正請求の例として挙げられています。

    判断に迷う場合の確認先

    要件の解釈に迷ったときは、指定権者に確認するのが確実です。通所介護・短期入所生活介護・特定施設入居者生活介護・介護老人福祉施設は都道府県(指定都市・中核市を含む)、地域密着型通所介護など地域密着型のサービスは市町村が指定権者です。

    あわせて、保険者である市町村の介護保険担当課にも確認しておくと安心です。告示と通知で定まっていない運用上の細部は、地域によって取り扱いが異なる場合があります。判断に迷った経緯と、確認した内容・回答をあわせて記録に残しておくと、あとから説明がしやすくなります。

    参考:厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」 / e-Gov法令検索「介護保険法」

    まとめ

    個別機能訓練加算が分かりにくいのは、区分が複数に分かれ、サービス種別ごとに要件が違い、改定のたびに再編されてきたためです。逆にいえば、この3点を押さえてから資料を読めば、自分の事業所に必要な情報だけを拾えます。

    通所介護と地域密着型通所介護の3区分は、人員配置・居宅訪問の要否・情報提出の要否・算定の単位と単位数・併算定の可否という同じ軸で比べると違いがはっきりします。居宅訪問は(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロの両方に必要で、LIFEへの情報提出が要るのは(Ⅱ)だけです。

    実務でつまずきやすいのは居宅訪問と記録です。訪問は機能訓練指導員本人に限定されていないため事業所内で分担できますが、3月ごとに1回以上という頻度と、説明した内容まで記録に残すことが要件に含まれます。

    単位数と要件は改定で変わります。この記事の数値は令和6年度介護報酬改定にもとづくものです。実際に算定を始めるときは、最新の告示と留意事項通知、そして指定権者が公表している資料で確認しましょう。判断に迷う点があれば、保険者や都道府県の担当課に相談してから進めるのが確実です。

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    医療キャリアナビ編集部

    医療キャリアナビ編集部

    記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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