柔道整復師は食っていけない?収益構造の変化と続けられる人の条件を公的データで確認
「柔道整復師」と検索すると「柔道整復師 食っていけない」と表示されることがあり、進路を検討している人も、現場で働いている人も一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
ただ、この言葉が指している中身は人によってばらばらです。勤務者の給与の話なのか、開業した院の手元に残るお金の話なのか、業界全体の見通しの話なのかで、確認すべきデータはまったく違います。
この記事では、柔道整復師の収入を勤務と開業に分けたうえで、有資格者数・施術所数・療養費の推移といった公的データを確認します。
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柔道整復師が「食えない」と言われる理由

「食えない」の根拠として挙げられるのは、おおむね次の5つです。
- 収入の水準が他の医療系国家資格と比べて高くない
- 労働時間が長く、勤務時間外の拘束も生まれやすい
- 施術所が増え、地域によっては競合が密集している
- 保険請求の取り扱いが見直され、保険施術だけでは収益を確保しにくい
- 独立しても数年で続かなくなる例がある
収入の水準
「国家資格なのに給与が低い」という声は、医師や看護師、理学療法士といった他の医療系資格と比べた印象から出てくることが多いものです。ただ、柔道整復師の場合は求人1件ごとの条件差が大きく、平均値で語れる職種ではありません。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で柔道整復師の正社員求人3,040件を見ると、月給の中央値は265,000円でした。最低額と最高額では4倍以上の開きがありました。
労働時間と拘束時間
整骨院では、午前の診療後に2〜3時間の中休みを挟み、夕方から再び診療に入る形が珍しくありません。この中休みが休憩として扱われるのか、それとも待機や雑務の時間なのかで、1日の実質的な拘束時間は大きく変わります。
労働基準法では、労働時間は1日8時間・週40時間が上限とされ、6時間を超える勤務には45分、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩を与えなければなりません。休憩は自由に利用できることが条件で、厚生労働省も「労働者が休憩中でも電話や来客の対応をするように指示していれば、それは休憩時間ではなく労働時間とみなされます」と示しています。
中休み中に受付対応や掃除、勉強会が入っていれば、それは休憩ではなく労働時間にあたります。
- 休憩中に電話や来客対応をするよう指示されている
- 参加が事実上必須の朝礼・掃除・勉強会
- 場所も過ごし方も自由
- 業務から完全に離れられる
休日の条件も求人によって差があります。求人データでは、シフト制が40%、日・祝休みが25%、完全週休2日が19%、土日祝休みは2%でした。
施術所が増えていること
駅前に整骨院が何軒も並ぶ光景から、「増えすぎて食い合っている」という見方が出てきます。養成校が増えて有資格者が毎年供給される一方、1つの地域が抱えられる患者さんの数は決まっている、という理屈です。
実際の増え方は、後の章で厚生労働省の統計にあたります。
保険請求の取り扱いが厳しくなっていること
柔道整復の施術に健康保険が使えるのは、骨折・脱臼・打撲・捻挫に限られます。加えて近年は、明細書の交付やオンライン資格確認といった事務上の対応が段階的に義務づけられ、料金の算定方法も見直されてきました。
独立しても続かない例があること
柔道整復師や整骨院の廃業率を示す公的な統計はありません。そのため「開業して5年で何割が廃業する」といった数字は、出典をたどると民間の推計にたどり着きます。
近い状況を示すデータとしては、東京商工リサーチが集計した「マッサージ業」(鍼灸院・接骨院などの療術関連を含む)の倒産があります。2025年度は108件で、1996年度以降の30年間で最多でした。原因の84.2%が販売不振、倒産した事業者の96.2%が資本金1,000万円未満の小規模事業者です。
参考:厚生労働省 スタートアップ労働条件「しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」 / 東京商工リサーチ「マッサージ業の倒産が過去30年で最多の108件 大手チェーン、リラクゼーション店と競合激化」
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「食えない」を勤務と開業に分けて考える

柔道整復師の収入を語るとき、勤務者の給与と開業者の収入が「年収」という同じ言葉でひとまとめにされがちです。この2つは性質がまったく違うため、混ぜたまま比較すると判断を誤ります。
勤務者が受け取るのは給与所得で、社会保険料や税は天引きされ、金額は事前に分かっています。開業者が受け取るのは事業所得で、売上がそのまま収入になるわけではなく、経費と税・社会保険料を差し引いた後に残った金額が生活に使えるお金です。
勤務する場合の収入
勤務者が受け取る額は、基本給・各種手当・賞与という決まった要素で組み上がり、社会保険料と税を引いた残りがそのまま手取りになります。金額の見通しが立ちやすい代わりに、上がり方は院の給与規程に縛られます。
整骨院系では歩合給やインセンティブを組み込む院もあります。歩合の比率が高いほど、繁忙期と閑散期で手取りが動きます。固定給がいくらで、歩合がどの条件で発生するのかは、求人票の段階で確認しておきたい部分です。
月給が同水準でも、賞与と退職金の有無で生涯に受け取る額は変わります。医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)では、制度の有無に次の差がありました。
開業する場合の売上と所得
開業した場合、売上から経費を引き、さらに税と社会保険料を引いた残りが手元に入ります。
重くなりやすいのは家賃と人件費です。加えて整骨院は電療機器や温罨法を使うため、水道光熱費が一般の小売店より膨らみます。開業資金を融資で賄った場合は、経費に計上できない元本の返済も毎月出ていきます。勤務時代の「手取り」に相当する金額まで下りてくるには、売上がその何倍か必要になるという構造です。
開業資金の目安としては、日本政策金融公庫の新規開業実態調査で、開業費用の中央値が約580万円、平均が約985万円とされています。
これは全業種を対象にした調査で整骨院に特化した数値ではないため、参考値として見るのが無難です。
公的なデータで柔道整復師の状況を確かめる

「施術所が◯万件から◯万件に増えた」という数字は、出典が示されないまま使われていることがあります。ここでは厚生労働省の統計を直接確認します。
有資格者数と施術所数の推移
衛生行政報告例(就業医療関係者)は隔年で公表され、各年の12月31日現在の数値を掲載しています。
就業柔道整復師数と施術所数の推移
10年間で有資格者は14,793人増え、施術所は5,352か所増えました。ただし直近の令和4年から令和6年にかけては、有資格者が1,034人増えたのに対し、施術所は8か所しか増えていません。1施術所あたりの有資格者数は、平成26年の約1.40人から令和6年の約1.54人になりました。
開業して独立するより、勤務者として院に所属する人が増えている流れです。
保険を扱う施術所に絞ると、別の動きが見えます。厚生労働省の柔道整復療養費検討専門委員会の資料では、受領委任を取り扱う施術所数は令和4年の46,683か所から令和6年は46,551か所へと減少しました。
施術所全体が横ばいのなかで、保険を扱う院だけが減り始めています。
賃金の水準
進路の判断では「柔道整復師の平均年収」が引き合いに出されます。ところが賃金構造基本統計調査には、柔道整復師だけを取り出した職種区分が設けられていません。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に載っている平均年収も、関連する区分をもとにした推計値です。
つまり、柔道整復師に限定した全国の賃金統計は存在しないというのが正確な状況です。年収を判断材料にするなら、全国平均ではなく自分が働く地域・職場形態の求人条件を実際に並べて見るほうが実態に近づきます。
参考:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 / 厚生労働省「社会保障審議会(医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会)」
柔道整復師の求人を探す柔道整復師の収益構造が変わってきた背景

「保険が厳しくなった」という言葉はよく使われますが、何がどう変わったのかまで説明されることは多くありません。療養費の制度を押さえると、保険施術だけで経営を組み立てにくくなった理由と、どこに手を打てるのかが見えてきます。
療養費の支給対象
厚生労働省は、柔道整復師の施術で健康保険の対象になるのは骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む)の施術を受けた場合としています。あわせて「単なる肩こり、筋肉疲労などに対する施術は保険の対象になりません」と明記されています。
骨折と脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要です。柔道整復師法第17条も、医師の同意を得た場合のほか、脱臼や骨折の患部に施術をしてはならない(応急手当をする場合を除く)と定めています。
つまり、慢性的な腰痛や肩こりを訴えて来院した患者さんへの施術は、制度上そもそも保険の対象外です。来院理由の多くが慢性症状であるほど、保険で請求できる範囲は狭くなります。
請求に関する取り扱いの変化
料金の算定方法は数年ごとに見直されており、直近では令和8年6月1日付の通知により算定基準が改正され、令和8年7月1日の施術分から適用されています。改定率はプラス0.60%でした。
令和8年7月施術分からの主な変更
- 初検料が1,550円から1,560円に引き上げ
- 打撲・捻挫の後療料が505円から550円に引き上げ
- 再検料の算定が初回の後療日のみから初回および2回目の後療日に拡大
- 施術部位が2部位以上の場合、2部位目は所定料金の100分の80で算定(新設)
注目したいのは4つ目です。改正前は3部位目から100分の60の逓減がかかる仕組みでしたが、改正後は2部位目の時点で100分の80に下がります。4部位目以降の費用は3部位目までの料金に含まれ、別に算定できない点は従来どおりです。
| 改正前 | 改正後(R8.7.1〜) | |
|---|---|---|
| 1部位目 | 100% | 100% |
| 2部位目 | 100% | 80% |
| 3部位目 | 60% | 60% |
| 4部位目以降 | 3部位目に含み算定不可 | 同じく算定不可 |
長期の施術にも逓減があります。初検日を含む月から起算して5か月を超える月の施術は、後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料が所定料金の100分の75になります。さらに、初検日を含む月以降の連続する5か月以上の期間で1か月に10回以上の施術を行っていた場合、その翌月以降は100分の50です(いずれも骨折・不全骨折に係るものを除く)。
この改定は、1件あたりの単価そのものは上げつつ、多部位・長期・頻回の請求には抑制をかける方向です。療養費の支給申請書のうち99%以上は捻挫と打撲(挫傷を含む)が占めているため、この部分の算定ルール変更は多くの院の収入に直接影響します。
事務面では、明細書の交付が令和4年10月から順次義務化され、対象となる施術所の範囲も令和6年10月に拡大されました。受領委任を行う施術所でのオンライン資格確認も令和6年12月2日以降の取り扱いが定められています。
受領委任の施術管理者の要件
保険請求の窓口となる施術管理者になるには、平成30年4月から実務経験と研修受講が要件に加わりました。実務経験の年数は段階的に引き上げられ、令和6年4月以降は3年以上(うち保険医療機関で従事した期間は2年まで)が必要です。あわせて施術管理者研修の修了証の写しを提出します。
資格を取ってすぐ開業して保険を扱う、という流れは現在の制度では取れません。国家試験合格後、最低でも3年間はどこかで実務経験を積む期間が必要になります。この期間をどの職場で過ごすかが、そのまま開業後の下地になります。
自費施術への移行
保険施術の範囲が限られ、多部位・長期の算定にも逓減がかかるなかで、自費施術を組み合わせる院が増えています。自費であれば料金は院が設定でき、慢性症状へのアプローチも扱えます。
ただし、自費施術には広告表示の制約があります。柔道整復師法第24条は、施術所について広告できる事項を、柔道整復師である旨と氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日や施術時間などに限定しています。
技能や施術方法、経歴に関する事項は広告できません。効果を断定する表現も避ける必要があります。
参考:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」 / 厚生労働省「柔道整復師の施術に係る療養費の改定等について」
転職活動するなら?
働く場所によって柔道整復師の条件は大きく変わる

同じ資格でも、どこで働くかで業務内容も収入の決まり方も変わります。求人データ(2026年時点)の柔道整復師求人3,737件のうち、整・接骨院が2,075件、デイケア・デイサービスが759件、特別養護老人ホームが266件、訪問マッサージが227件、クリニックが189件でした。
介護系の職場が全体の約3割を占めています。月給の中央値にも、職場ごとに差が出ています。
整骨院・接骨院
求人数が最も多く、月給中央値も職場別で高い部類に入ります。一方で歩合や役職手当の設計によって同じ院内でも差が出るため、求人票の額面だけでは判断できません。
保険施術と自費施術の比率、1日の来院数、施術者1人あたりの担当人数は院ごとに違います。将来的に開業を考えるなら、受領委任の実務経験を積める環境かどうかも判断材料になります。
整形外科・クリニック
月給中央値は整骨院よりやや低い水準です。ただし日曜祝日が休診の施設が多く、勤務時間が読みやすい傾向があります。
業務は医師の診療を前提とした運動器リハビリテーションの補助や物理療法が中心になります。柔道整復師の名で独立して施術するのではなく、医療機関のスタッフとして動く働き方です。
介護保険サービス
通所介護(デイサービス)、地域密着型通所介護、短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、特別養護老人ホームでは、機能訓練指導員を1名以上配置することが定められています。
厚生労働省の通知では、機能訓練指導員になれるのは「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者」とされており、柔道整復師はこの対象に含まれます。
介護老人保健施設には機能訓練指導員という職種の定めがなく、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を入所者100人あたり1人以上(常勤換算)配置することとされています。老健のリハビリ職求人に柔道整復師が想定されていないのはこのためです。
月給中央値は整骨院と比べると2万円前後低くなりますが、日曜休みや残業の少なさなど時間面の条件が整いやすい職場です。
スポーツ・企業
スポーツチームや部活動のトレーナー、フィットネスクラブ、企業の健康管理部門といった働き方もあります。ただし求人数そのものが少なく、専属で雇われる形は限られます。スポーツ現場の仕事は、勤務先を確保したうえで副業や兼業として関わる形が現実的です。副業・WワークOKの求人は103件(3%)でした。
参考:厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について(平成11年09月17日老企第25号)」 / e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」
柔道整復師が確認しておきたい求人票の項目

収入と働きやすさの差は、入職前に求人票で確認できる項目にかなりの部分が現れます。数字の大きさだけを見て決めると、入職後に条件が想定と違うことに気づきます。
- 雇用形態が雇用契約か業務委託か
- 固定給と歩合の内訳、歩合が発生する条件
- 始業・終業の時刻と、中休みが休憩か待機か
- 朝礼・掃除・勉強会・研修が労働時間に含まれるか
- 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)の加入
- 賞与の支給実績と退職金制度の有無
- 年間休日数と、日曜祝日が休診かどうか
- 受領委任の実務経験として扱われる勤務か
特に注意したいのが雇用形態です。同じ「月30万円」でも、雇用契約と業務委託では手元に残る金額と保障がまったく違います。
朝礼や勉強会の扱いも差が出る部分です。使用者の指揮命令下に置かれている時間は労働時間にあたるため、参加が事実上必須の勉強会は労働時間として扱われます。
求人票に書かれていない場合は、面接や見学の場で確認しておくと安心です。
- 社会保険完備95%・交通費支給89%・未経験可79%
- 年間休日120日以上は6%、残業ほぼなしは10%
- 医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)柔道整復師3,737件が対象
求人票に書かれた月給は、多くの場合みなし残業手当や各種手当を含んだ総額です。基本給がいくらで、何時間分の固定残業代が含まれているのかまで見ると、同じ表示額でも比較ができるようになります。
柔道整復師の求人を探すそれでも柔道整復師を続けられる理由

条件の厳しさがある一方で、この資格でなければ成立しない働き方も残っています。ここでは、気持ちの面ではなく制度と統計で確認できる利点に絞ります。
国家資格として働き続けられる
柔道整復師法第15条により、医師である場合を除き、柔道整復師でなければ業として柔道整復を行ってはならないと定められています。業務独占の国家資格であり、更新制度もありません。
ブランクがあっても資格そのものが失効することはなく、求人データでもブランクOKの求人が126件あります。出産や介護、他業種への転職を挟んでも、戻る先が制度上確保されている点は、無資格の職種にはない条件です。
働き方を選びやすい
常勤以外の選択肢が一定数あり、生活の状況に合わせて働く時間を調整しやすい環境です。
さらに、整骨院・クリニック・介護施設・訪問マッサージと働く場が分かれているため、体力面や家庭の事情で働き方を変えたいときに、資格を活かしたまま移れる先があります。
関われる分野が広がっている
介護保険サービスでの機能訓練指導員、訪問マッサージ、企業やスポーツ現場での健康管理など、施術所の外で柔道整復師を必要とする場が増えています。前述のとおり求人の約3割は介護系で、整骨院一本という構図ではなくなりました。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格を定めた介護保険法施行規則第113条の2にも柔道整復師は挙げられており、通算5年以上の実務経験で受験できます。施術から離れた後のキャリアにもつながります。
参考:e-Gov法令検索「柔道整復師法」 / e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」
今のあなたの状況は?
「食えない」が当てはまりやすい場合

「食えない」が現実になるかどうかは、資格そのものよりも置かれた条件で決まります。当てはまる項目があれば、そこが手を打てる場所です。
保険施術だけで収益を確保しようとする場合
療養費の支給対象は骨折・脱臼・打撲・捻挫に限られ、令和8年7月の施術分からは2部位目にも逓減がかかります。長期・頻回の施術にも100分の75や100分の50の逓減が設定されています。
柔道整復療養費の総額も、厚生労働省の推計で平成26年度の3,825億円から令和4年度の2,747億円へと減少しました。同じ期間に国民医療費が408,071億円から466,967億円へ増えているのと逆の動きです。保険の枠そのものが縮んでいるため、保険施術の売上だけで規模を維持するのは構造的に難しくなっています。
集客や経営に関心を持てない場合
開業する場合、売上は来院数と単価で決まります。どちらも技術だけで自動的に増えるものではありません。立地の人口、競合の数、リピートの仕組み、自費メニューの設計といった要素が絡みます。
勤務を続ける場合でも、院の経営状態は自分の給与と賞与に返ってきます。数字を見ない状態で「技術を磨けばなんとかなる」と考えている期間が長いほど、選択肢が狭まります。経営に関心が持てないなら、経営を担わない立場を選ぶほうが合っている場合もあります。
「食えない」と感じたとき、すぐに動かせるのは働く場所と勤務条件です。保険と自費の比率も歩合の設計も院ごとに違うため、いまの条件を書き出して他院の求人と並べるだけで、改善の余地があるかどうかは見えてきます。
勤務条件を確認せずに就職する場合
業務委託と雇用契約の違い、固定残業代の有無、中休みの扱い、社会保険の加入状況を確認しないまま入職すると、月給の額面が同じでも年間の手取りと労働時間が大きく変わります。
前述の確認項目は、入職後に交渉するより、応募や面接の段階で聞くほうが通りやすい内容です。求人票に書かれていない項目こそ、確認しておきたい部分になります。
参考:厚生労働省「社会保障審議会(医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会)」
まとめ
柔道整復師が「食えない」と言われる背景には、療養費の支給対象が限られていること、料金の算定に逓減が広がったこと、療養費の総額が縮み続けてきたことという、制度と市場の変化があります。これは個人の努力の話ではなく、確認できる事実です。
一方で、有資格者は増え続け、介護系を中心に施術所以外の働き口も広がっています。業務独占の国家資格で更新もなく、パートや時短といった選択肢もあります。「食えるかどうか」は資格ではなく、保険と自費のバランス、働く場所、そして勤務条件をどこまで確認したかで決まります。
いま勤務していて収入に不安があるなら、まずは求人票の項目を一つずつ確認するところからです。固定給と歩合の内訳、中休みの扱い、社会保険と賞与の実績を並べて比べれば、いまの職場の位置が見えてきます。





