内定承諾と退職交渉はどっちが先?正しい順番とトラブルを防ぐ進め方
転職活動が終盤に近づくと、「内定を承諾するのが先か、今の職場に退職を切り出すのが先か」で迷う方は少なくありません。順番を間違えると、内定が取り消されたときに転職先も現職も失う、といったトラブルにつながることがあります。
この記事では、内定承諾と退職交渉のどちらを先にすべきか、その理由と正しい進め方をわかりやすく整理します。
医療・介護職ならではの注意点や、退職交渉をスムーズに進めるコツ、よくある質問もあわせて解説しますので、安心して次の一歩を踏み出すための参考にしてください。
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内定承諾と退職交渉は内定承諾が先

結論からお伝えすると、内定承諾を先に、退職交渉を後にするのが原則です。理由はシンプルで、内定を正式に承諾して転職先との労働契約が固まる前に現職へ退職を申し出てしまうと、万が一内定が取り消されたり条件が食い違ったりしたときに、転職先も現職も失うリスクがあるためです。
まず転職先からの内定を承諾し、入社日や労働条件が確定してから、現職に退職を申し出る。この順番を守るだけで、多くのトラブルは避けられます。
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リスクあり
ただし、後述するように人手不足で退職交渉が長引きやすい職場などでは、例外的に早めに退職の相談を始めた方がよい場合もあります。
まずは基本の順番を押さえたうえで、自分の状況に合わせて調整していきましょう。
内定承諾を先にすべき理由

なぜ内定承諾を先にすべきなのか、3つの理由から詳しく見ていきます。いずれも「承諾前に動くと立場が不安定になる」という点に共通しています。
承諾前は雇用契約が成立していない
内定を承諾する前の段階は、応募先とのあいだにまだ労働契約が成立していない状態です。面接に通過して「内定」の連絡をもらっても、こちらが承諾の意思を伝えるまでは、双方を法的に縛る契約は結ばれていません。
この段階で現職に退職を申し出てしまうと、転職先との契約が固まっていないのに、現職を離れる準備だけが進んでしまうことになります。もし応募先の都合で話が流れれば、行き先がないまま退職だけが確定しかねません。
双方の合意が成立
成立
内定取消や条件相違のリスクがある
内定を承諾したあとでも、企業側の事情で内定が取り消される可能性はゼロではありません。経営状況の急変や、採用の前提が大きく崩れた場合などです。また、提示された給与や勤務条件が、後から聞いていた話と食い違う「条件相違」が起こることもあります。
こうしたリスクがあるからこそ、労働条件を書面で確認してから承諾し、そのうえで退職を切り出す流れが安全です。退職を先に済ませていると、条件が違ったときに引き返せなくなります。
- 基本給や各種手当の金額
- 夜勤・オンコールの回数や条件
- 配属先の部署や勤務地
- 入社日や試用期間の扱い
退職を撤回できない場合がある
一度退職を申し出て会社が受理すると、自分の都合で撤回するのが難しくなるケースがあります。とくに退職願ではなく「退職届」を提出した場合や、会社が後任の採用など具体的な手続きに入った後は、取り下げに応じてもらえないことが多いです。
内定承諾を先に済ませておけば、退職を申し出るのは行き先が確定してからになります。撤回できるかどうかを心配する場面自体が減り、落ち着いて手続きを進められます。
もし内定を受けるか迷っている段階であれば、無理に退職を急がず、辞退という選択肢も含めて検討しましょう。
内定承諾から退職までの流れ

内定を承諾してから実際に退職するまでは、いくつかの手順を順番に踏んでいきます。全体像を押さえておくと、抜け漏れなく進められます。
労働条件通知書の内容を確認する
内定の連絡を受けたら、まず労働条件通知書(または雇用契約書)で条件を確認します。労働基準法では、雇い入れの際に賃金や労働時間などの主要な条件を書面などで明示することが、使用者に義務づけられています。
口頭で聞いていた内容と書面が食い違っていないか、給与・勤務時間・配属・入社日などを一つずつ確かめましょう。ここで疑問を解消してから承諾すれば、条件相違のトラブルを防げます。
確認ポイント
労働条件通知書で使用者が明示すべき主な事項
労働基準法第15条・同法施行規則第5条に基づく明示事項
内定を承諾する
条件に納得できたら、応募先に承諾の意思を正式に伝えます。メールや書面で「内定を承諾します」と明確に返答し、入社日を確定させましょう。この時点で転職先との労働契約が成立し、行き先が固まります。
承諾の返事は、提示された回答期限内に行うのが基本です。迷いがある場合でも、期限内に一度相談する姿勢を見せると、印象を損なわずに済みます。
直属の上司に退職を申し出る
転職先が固まったら、現職の直属の上司に、まず口頭で退職の意思を伝えます。いきなり退職届を出したり、同僚や人事に先に話したりすると、話がこじれる原因になります。就業規則で定められた申し出期限を確認し、余裕を持って伝えましょう。
退職日は、引き継ぎや有給休暇の消化も見込んで設定します。転職先の入社日と現職の退職日のあいだに、無理のないスケジュールを組むことが大切です。
引き継ぎと退職手続きを進める
退職日が決まったら、担当業務の引き継ぎ資料を整え、後任者へ丁寧に引き継ぎます。あわせて、健康保険証の返却や貸与品の返却、離職票など必要書類の受け取りといった事務手続きを進めます。
社会保険や年金、税金の切り替えは、退職日と入社日の間隔によって手続きが変わります。抜けがあると後で困るため、チェックリストで管理すると安心です。
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退職交渉を先にした方がよい場合

基本は内定承諾が先ですが、状況によっては早めに退職の相談を始めた方がよい場合もあります。代表的な2つのケースを見ていきましょう。
| 判断の観点 | 内定承諾を先に(基本) | 退職の相談を早めに始めてよい |
|---|---|---|
| 転職活動のしやすさ | 基本 在職中でも転職活動を進められる |
早めに相談 退職して活動に専念したく、生活費の目処がある |
| 入社日の融通 | 基本 内定先の入社日に幅を持たせられる |
早めに相談 人手不足で退職交渉が長期化しそうで、入社日に間に合わせたい |
| 収入の途切れ | 基本 収入を途切れさせたくない |
早めに相談 退職後の生活費の目処がある(収入が途切れる点は要注意) |
人手不足で退職交渉が長引きやすい職場
慢性的に人手が足りない職場では、退職を申し出てから実際に辞めるまでに時間がかかりがちです。後任が決まらず、退職日を先延ばしにされることもあります。こうした職場では、内定承諾と並行して、早めに退職の意向を上司へ相談しておくと、入社日に間に合わせやすくなります。
ただし、退職を確定させる前は「転職を検討している」と伝える段階にとどめ、内定が固まってから正式な退職手続きに進むのが安全です。
先に退職してから転職活動に専念したい場合
在職中の転職活動が難しく、退職してから腰を据えて活動したいという方もいます。この場合は退職が先になりますが、収入が途切れる期間ができる点に注意が必要です。
退職後に活動する場合は、当面の生活費や、失業給付の受給条件などを事前に確認しておきましょう。ブランク期間が長くなりすぎないよう、計画的に進めることが大切です。
医療・介護職が退職交渉で気をつけたいこと

医療・介護の現場は慢性的な人手不足が続いており、看護師や理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、薬剤師、介護職などは、退職交渉が長引いたり、入職時期の調整を求められたりしやすい傾向があります。「今抜けられると困る」と強く引き止められるケースも珍しくありません。
そのため、就業規則で定められた申し出期限を早めに確認し、余裕を持って退職の相談を始めることが大切です。あわせて、内定先にも現職の事情を伝え、入社時期に幅を持たせて相談しておくと、両者の調整が円滑に進みやすくなります。
- 就業規則の申し出期限を早めに確認し、逆算して動く
- 内定先には入社日に幅を持たせて相談しておく
- 患者さん・利用者さんの引き継ぎ計画を早めに立てる
患者さんや利用者さんに影響が出ないよう配慮しつつ、自分のキャリアの節目も大切にする。この両立を意識して交渉に臨むと、後味の悪い辞め方を避けられます。
退職交渉をスムーズに進めるコツ

退職交渉は、伝え方と段取り次第で驚くほどスムーズになります。押さえておきたい4つのコツを紹介します。
退職の段取り 標準的な流れ
就業規則で申し出期限を確認する
多くの職場では、就業規則に「退職は◯ヶ月前までに申し出ること」といった規定があります。まずはこの申し出期限を確認し、逆算してスケジュールを組みましょう。法律上の期限とは別に、余裕を持った申し出を求める職場もあります。円満に辞めるには、就業規則に沿って早めに動くのが無難です。
直属の上司に最初に伝える
退職は、まず直属の上司に、二人で話せる場で伝えるのが基本です。同僚や他部署に先に伝わると、上司の心証を損ねたり、話が大きくなったりしがちです。忙しい時間帯を避け、事前に「ご相談したいことがある」とアポを取ると、落ち着いて話せます。
退職理由は前向きに簡潔に伝える
退職理由は、不満をぶつけるのではなく、前向きな表現で簡潔に伝えるのがコツです。「新しい分野に挑戦したい」「キャリアの幅を広げたい」など、引き止めにくく角の立たない理由にまとめましょう。詳細な事情まで話す必要はありません。
引き止めにあっても意思を明確にする
人手不足の職場では、待遇改善などを提示して強く引き止められることがあります。心が揺れることもありますが、退職の意思が固いなら、感謝を伝えつつ明確に断ることが大切です。曖昧な返事をすると交渉が長引き、入社日にも影響します。
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内定承諾と退職交渉に関するよくある質問

最後に、内定承諾と退職交渉についてよく寄せられる質問にお答えします。
内定承諾後に退職交渉が失敗したらどうなる?
内定を承諾した後は転職先との契約が成立しているため、現職の退職交渉が難航しても、法律上は退職の申し出から一定期間で退職できます。就業規則の期限と法律上の期限を確認し、上司と退職日を調整しましょう。
どうしても折り合わない場合は、内定先に事情を伝えて入社日を相談する方法もあります。
内定承諾はどのくらいの期限で返事すべき?
内定通知には返答期限が設けられていることが多く、その期限内に返事をするのが基本です。すぐに決められない場合は、期限内に「いつまで待っていただけますか」と相談すれば、延長に応じてもらえることもあります。
返事を放置するのは印象を損ねるため避けましょう。
退職は法律上いつまでに申し出ればいい?
期間の定めのない雇用契約では、退職を申し出てから2週間が経過すれば、法律上は退職できます(民法第627条)。ただし、これはあくまで法律上の最低ラインです。
就業規則で「1ヶ月前まで」などと定められている場合は、円満退職のためにその期限に沿って早めに申し出るのがおすすめです。
まとめ
内定承諾と退職交渉は、内定承諾を先に、退職交渉を後にするのが原則です。承諾前は転職先との契約が成立しておらず、先に退職を申し出ると内定取消や条件相違のときに行き先を失うリスクがあるためです。
まずは労働条件通知書で条件を確認して内定を承諾し、行き先を固めてから現職に退職を申し出る。この順番を守るだけで、多くのトラブルは避けられます。ただし、人手不足で退職交渉が長引きやすい職場では、早めに退職の相談を始めておくと安心です。
医療・介護職は退職交渉が長引きやすいため、就業規則の申し出期限を早めに確認し、内定先とも入社時期を相談しておきましょう。退職は直属の上司に最初に、前向きな理由で簡潔に伝えるのが円満退職のコツです。正しい順番と段取りを押さえて、気持ちよく次の一歩を踏み出してください。



