ドラッグストア薬剤師はきつい?負担の種類と続けるための対処法
調剤だけでなくOTC医薬品の販売、品出し、レジまで担当するドラッグストアの薬剤師。「思っていたよりきつい」と感じている方は少なくありません。ただ、ひとくちに「きつい」といっても、体力が持たないのか、時間が取れないのか、気持ちがすり減っているのかで、打てる手はまったく変わります。
この記事では、ドラッグストア薬剤師がきついといわれる理由を整理したうえで、負担を4つの種類に分けて考えます。そのうえで、忙しさの波の見通し、1人勤務のときに知っておきたい法令上の扱い、今の職場でできる対処法、それでも改善しない場合の選択肢まで順に解説します。
辞めるかどうかを決める前に、まず「自分のきつさはどれなのか」を確かめてみてください。
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ドラッグストアの薬剤師がきついといわれる理由

ドラッグストアの薬剤師がきついといわれる背景には、業務範囲・勤務時間・体力・人員体制など、複数の要因が重なっています。ここではまず、実際によく挙がる理由を事実として整理します。
なお、ドラッグストア業界そのものが拡大を続けている点も、負担の背景として押さえておきたいところです。経済産業省の商業動態統計によると、2025年のドラッグストアの販売額は9兆4,129億円で前年比5.5%増、店舗数は20,373店で前年比3.6%増となっています。
店舗が増えれば、1店舗あたりの人員配置や異動の頻度にも影響します。
業務の範囲が広い
ドラッグストアの薬剤師は、調剤薬局のように調剤だけに専念できるわけではありません。処方箋調剤に加えて、OTC医薬品の情報提供、健康相談、商品の発注、品出し、レジ応対まで担当することがあります。
商品の幅も広く、医薬品だけでなく食品や化粧品、日用品まで扱います。商業動態統計の2025年の商品別販売額を見ると、医薬品以外の売上が全体の8割近くを占めています。この構造が、業務範囲の広さにそのまま表れています。
薬剤師としての専門業務と、小売店のスタッフとしての業務を同時にこなす。この二重性が、ドラッグストア特有の負担の出発点になっています。
営業時間が長くシフトが不規則
ドラッグストアは営業時間が長く、深夜まで営業する店舗や年中無休の店舗もあります。そのため勤務はシフト制が基本となり、早番・遅番が週の中で入れ替わることも珍しくありません。
労働基準法では、一定期間を平均して1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲であれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせることができる「変形労働時間制」が認められています。小売業では導入している企業が多くみられます。
いずれも平均で法定労働時間を超えなければ特定の日・週に法定時間を超えて働かせることができる制度
制度としては適法でも、生活リズムが週ごとに変わることの負担は残ります。土日祝も営業しているため、家族や友人と休みを合わせにくいという声もよく聞かれます。
品出しやレジで体力を使う
飲料やペットフード、紙おむつなど、ドラッグストアが扱う商品には重量のあるものが多くあります。入荷した段ボールを開けて陳列棚まで運び、補充する作業は立ち仕事かつ力仕事です。
レジ応対も同様で、来店が集中する時間帯は立ちっぱなしになります。調剤室で座って業務をする時間より、売場に立っている時間のほうが長いという店舗もあります。
薬剤師の資格を持って入社したつもりが、実際は体力勝負の場面が多い。このギャップが「きつい」という感覚につながりやすい部分です。
1人で勤務する時間帯がある
店舗の規模や時間帯によっては、薬剤師が自分1人という状況が生まれます。厚生労働省の示す医薬品の販売制度では、要指導医薬品と第一類医薬品を販売できるのは薬剤師だけと定められています。第二類・第三類医薬品は登録販売者でも販売できますが、第一類より上の区分は薬剤師が対応しなければなりません。
| 区分 | 薬剤師 | 登録販売者 |
|---|---|---|
| 要指導医薬品 | ○ | - |
| 第一類医薬品 | ○ | - |
| 第二類医薬品 | ○ | ○ |
| 第三類医薬品 | ○ | ○ |
つまり薬剤師が売場を離れると、その間は要指導医薬品と第一類医薬品を販売できなくなります。この構造があるために、1人薬剤師の店舗では持ち場を離れにくい状況が生まれやすいのです。
休憩が取りにくい問題については、法令上の扱いを含めて後述します。
販売目標が設定される場合がある
企業や店舗によっては、プライベートブランド商品や特定のカテゴリーについて販売目標が設定されることがあります。医療職としての判断と、小売店としての販売促進が同じ場面で求められると、板挟みを感じやすくなります。
目標そのものは業務上の指標であり、直ちに問題があるわけではありません。ただし、目標達成のために自分で商品を購入するよう求められるなど、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動が続く場合は、職場のパワーハラスメントに当たる可能性があります。
覚える商品知識が多い
ドラッグストアで扱う商品は医薬品にとどまりません。カテゴリーは多岐にわたります。
- 健康食品
- 化粧品・小物
- 衛生用品
- 介護・ベビー用品
- 日用品・ペット用品
- 食品
しかも商品は入れ替わります。新商品が入るたびに特徴を把握し、来店した方の相談に答えられる状態にしておく必要があります。大学で学んだ薬学の知識だけではカバーできない領域が広く、覚えることの絶対量が多いという点が負担になります。
店舗異動がある
チェーン展開するドラッグストアでは、店舗間の異動があります。通勤時間が変わるだけでなく、人間関係も業務の進め方も一から作り直すことになります。
なお、2024年4月から労働条件明示のルールが変わり、労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に、就業場所と従事すべき業務の「変更の範囲」を明示することが必要になりました。将来的にどこまで異動する可能性があるのかは、労働条件通知書で確認できます。
参考:厚生労働省「医薬品の販売制度」 / 経済産業省「商業動態統計」 / 厚生労働省「労働時間・休日」 / 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 / 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
今のあなたの状況は?
きつさは4つの種類に分けられる

前の章で挙げた理由をそのまま並べても、次に何をすればよいかは見えてきません。大切なのは、自分が感じているきつさがどの種類なのかを見極めることです。
ドラッグストア薬剤師の負担は、体力的な負担・時間的な負担・精神的な負担・専門性が伸びない不安の4つに整理できます。種類が違えば、効く対処法も違います。体力的にきつい人と、専門性が伸びず不安な人とでは、取るべき行動がまったく異なるからです。
体力的な負担
立ち仕事の時間が長い、重い商品を運ぶ、来店が集中する時間帯に動きっぱなしになる。こうした身体への負荷が中心のタイプです。
このタイプは、勤務が終わった後の疲労感や、休日の回復のしにくさとして現れます。腰や膝の不調が出ている場合は、我慢して続けるほど改善が難しくなります。
体力的な負担は、業務分担の見直しや、店舗の規模・立地を変えることで軽くなる可能性があります。同じドラッグストアでも、売場面積や1日の来店数によって体への負荷は大きく変わるためです。
時間的な負担
シフトが不規則で生活リズムが整わない、休みを合わせにくい、残業が読めない。時間の使い方に関する負担です。
労働基準法では、使用者は少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定められています。また、法定労働時間を超えて働かせるには36協定の締結と届出が必要です。
このタイプは、勤務形態の変更や、営業時間の短い職場への移動で改善する余地があります。まずは自分の勤務記録を1か月分見返し、どの曜日・どの時間帯に負荷が集中しているかを把握するところから始めるのがおすすめです。
精神的な負担
来店した方への対応、クレーム、販売目標のプレッシャー、人間関係。気持ちがすり減るタイプの負担です。
接客が中心の業務では、顧客からの著しい迷惑行為への対応も課題になります。2025年6月11日に労働施策総合推進法等の改正法が公布され、カスタマーハラスメントの防止措置が事業主の義務となります(2026年10月1日施行)。相談窓口の整備や対応方針の明確化が、企業に求められることになります。
気分の落ち込みや不眠が続く場合は、我慢を重ねる前に相談窓口を利用してください。厚生労働省の「こころの耳」では、働く方向けの相談先やセルフチェックが公開されています。職場の産業医や産業保健スタッフに相談する方法もあります。
専門性が伸びない不安
調剤の件数が少ない、服薬指導の経験が積みにくい、5年後10年後にどんな薬剤師になっているか描けない。将来のキャリアに関する不安です。
このタイプは、今の業務がつらいというより、続けた先が見えないことが原因です。そのため、休みを増やしても業務分担を変えても解消しません。学べる環境を作るか、経験を積める職場へ移るかのどちらかになります。
厚生労働省の統計では、届出のあった薬剤師329,045人のうち、薬局に従事する方が60.0%、医療施設に従事する方が19.2%を占めています。どの領域で経験を積みたいのかを考える材料になります。
| タイプ | 特徴 | 原因 | 効く対処法 |
|---|---|---|---|
| ①体力的な負担 | 立ち仕事や移動が続き、体そのものが疲れていく | 品出し・レジでの立ち仕事、重い商品の運搬 | 身体的な負荷が少ない職場への異動や勤務日数の見直し |
| ②時間的な負担 | 生活リズムが乱れ、休みの予定が立てにくい | シフトの不規則さ、早番・遅番の交代制 | 希望のシフト条件をはっきりさせた職場選び |
| ③精神的な負担 | 気持ちがすり減り、出勤前から気が重くなる | クレーム対応、販売目標のプレッシャー | 接客の比重が軽い業務内容への配置転換 |
| ④専門性が伸びない不安 | 今の働き方を続けてよいのか焦りが募る | 調剤経験の少なさ、将来像が描けないこと | 調剤経験を積める環境への転職やキャリアの再設計 |
参考:厚生労働省「労働時間・休日」 / 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」 / 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 / 厚生労働省「こころの耳」
薬剤師の求人を探す忙しさには波がある

ドラッグストアが常に忙しいわけではありません。来店が集中する場面は、時間帯・曜日・季節である程度決まっています。
波を把握できていれば、人員配置の相談も、休みの取り方も、有給休暇を使うタイミングも計画できます。「いつも忙しい」と感じているうちは打つ手が見えませんが、忙しさが集中する場面を特定できれば、そこに絞って手を打てます。
ここでは、波が生まれる3つの軸を順に見ていきます。
時間帯による違い
来店が集中する時間帯は、立地によって傾向が変わります。オフィス街では昼休みと退勤後、住宅街では夕方の買い物時間帯に集中しやすくなります。
調剤を併設している店舗では、近隣の医療機関の診療時間が大きく影響します。午前診療が終わる時間帯と、夕方の診療後に処方箋が集中する形です。近隣クリニックの診療時間を把握しておくと、自分の店舗の山がいつ来るかを予測しやすくなります。
休憩をどのタイミングで取るか、レジの応援を誰に頼むかは、この山の位置を前提に組み立てることになります。
曜日による違い
土日祝は来店数が増える一方、調剤の処方箋枚数は近隣医療機関の休診に左右されます。医療機関が休みの日は処方箋が減り、代わりにOTC医薬品の相談が増えるという形になりやすいです。
平日でも、特売日やポイント優遇日を設定している店舗では、その曜日に来店が集中します。自分の店舗がどの曜日に山を作っているかは、シフトを組む立場の方に確認すれば把握できます。
季節による違い
季節による波は、統計にもはっきり表れます。商業動態統計でドラッグストアのOTC医薬品の月別販売額を見ると、3月と12月に山が来る形が繰り返されています。2026年3月は958億円で直近1年の最高、2025年9月は812億円で最低となっており、月による差は1.2倍近くあります。
この山は、来店理由と重なります。インフルエンザは、厚生労働省の資料では日本では例年12月から3月が流行シーズンとされています。花粉については、環境省の花粉情報サイトで花粉シーズンを2月から4月頃としています。風邪・インフルエンザの流行期と花粉の飛散期が、そのまま繁忙期になるという構図です。
調剤医薬品の販売額も、同じ時期に山を作ります。つまり冬から春にかけては、OTCの相談と処方箋調剤の両方が同時に増える時期になります。
逆にいえば、9月前後は比較的落ち着く時期です。有給休暇の取得や、まとまった研修の受講を計画するなら、この時期が狙い目になります。
参考:経済産業省「商業動態統計」 / 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」 / 環境省「花粉情報サイト」
1人で勤務するときに注意したいこと

薬剤師が自分1人という時間帯は、判断の相談相手がいないという点で負担が大きくなります。ここでは、精神論ではなく制度上どう扱われるのかを確認しておきます。
自分の状況を職場に伝えるときは、感覚ではなく根拠を持って話せるかどうかが結果を左右します。休憩・調剤の手順・応援体制の3点について、押さえておきたいポイントを整理します。
休憩を取れない状態が続く場合
労働基準法では、使用者は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないと定められています。1人勤務であっても、この義務がなくなるわけではありません。
ここで押さえておきたいのが、薬局における「薬剤師不在時間」の扱いです。医薬品医療機器等法施行規則では、薬剤師不在時間を調剤に従事する薬剤師が薬局以外の場所で業務を行うため、やむを得ず一時的に薬剤師が不在となる時間と定義しています。在宅業務や学校薬剤師の業務のように、薬局の外で行う業務が想定された規定です。
そして同規則は、薬剤師不在時間には調剤室を閉鎖しなければならないと定めています。休憩は「薬局以外の場所で業務を行う」場合には当たりませんので、休憩時間を薬剤師不在時間として処理することは想定されていません。
| 項目 | 薬剤師不在時間 | 休憩時間 |
|---|---|---|
| 想定されている状況 | 在宅業務・学校薬剤師業務など、薬局の外で行う業務 | 薬局内で労働から離れる時間 |
| 業務を行う場所 | 薬局以外の場所 | 薬局内 |
| 調剤室の扱い | 閉鎖しなければならない | 閉鎖の定めなし |
| 薬剤師不在時間への該当 | 該当する | 該当しない |
休憩が取れない状態が続くときの進め方
- いつ・どのくらい休憩が取れなかったかを日付単位で記録する
- 勤務時間と休憩時間が分かる資料(タイムカードの控えなど)を残す
- まず店長・エリアマネージャーに人員配置の相談として伝える
- 改善しない場合は労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談する
なお、個別の事案が法令違反に当たるかどうかは、勤務実態や労使協定の内容によって判断が分かれます。断定せずに、まず記録を残して相談するという順番で進めるのが現実的です。
調剤と監査の確認手順
1人勤務でつらいのは、体力面よりも「確認してもらえない」という点です。ダブルチェックができない環境では、調剤過誤への不安が常につきまといます。
この不安を減らすには、自分の中で確認の手順を固定することが有効です。各段階で何を見るのかを決めておくと、疲れているときでも抜けに気づきやすくなります。
- 用法・用量に不明点がないか
- 併用禁忌・重複投薬がないか
- 薬剤名・規格・剤形の一致
- 数量と一包化の要否
- 処方内容と現物の再照合
- 薬袋・薬情の記載間違い
- 服薬指導と説明もれの確認
- 渡し間違い防止の氏名確認
また、疑義照会が必要になったときの連絡先や、医療機関の受付時間を手元にまとめておくと、迷う時間を減らせます。1人だからこそ、判断に迷う場面をあらかじめ減らしておく準備が効きます。
応援を頼める体制があるか
同じ1人勤務でも、近隣店舗から応援を呼べる体制があるかどうかで負担はまったく違います。急な体調不良や、来店が集中して手が回らないときに誰に連絡すればよいのかが決まっているかを確認しておきましょう。
体制が明文化されていない場合は、店長に確認する形で切り出せます。個人の要望というより、店舗運営上の確認事項として持ちかけるほうが話が進みやすくなります。
次の3つがそろっている場合は、個人の努力で解消できる範囲を超えています。
- 急なときに応援を呼べる店舗や担当者が決まっていない
- 代わりに入れる薬剤師が社内にいない
- 相談しても人員配置が見直されない
この状態が続くようであれば、後半で扱う異動や転職の検討に進むタイミングといえます。
参考:厚生労働省「労働時間・休日」 / e-Gov法令検索「労働基準法」 / e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」 / 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
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きつさが変わる店舗の条件

同じ企業のドラッグストアでも、店舗によって働き方はかなり変わります。「ドラッグストアが合わない」のではなく「今の店舗が合わない」だけというケースは珍しくありません。
ここでは、負担の大きさを左右する3つの条件を確認します。異動や転職を考えるときの判断材料としても使えます。
調剤を併設しているかどうか
調剤併設型かOTC専門かで、業務の中身は大きく変わります。調剤を併設していれば処方箋調剤の経験を積めますが、その分だけ売場と調剤室を行き来する場面が増えます。
調剤併設の流れは統計にも表れています。商業動態統計によると、2025年のドラッグストアの調剤医薬品の販売額は9,781億円で、前年比12.2%増と全商品区分のなかで最も高い伸びでした。全体の伸びが5.5%増ですので、調剤部門が業界の成長を牽引している形です。
処方箋を扱う経験を積みたい方にとっては選択肢が広がっている一方で、調剤とOTC対応を1人で兼ねる負担も同時に増えることになります。求人を見るときは、併設の有無だけでなく1日あたりの処方箋枚数と薬剤師の人数をあわせて確認しておきましょう。
店舗の規模と人員
売場面積が広い店舗ほど品出しの量は増えますが、その分スタッフの人数も多くなる傾向があります。一方、小型店は品出しの量こそ少ないものの、薬剤師が1人という時間帯が生まれやすくなります。
見るべきは面積そのものではなく、薬剤師と登録販売者を含めた1シフトあたりの人数です。第二類・第三類医薬品は登録販売者でも販売できますので、登録販売者が常時いる店舗では薬剤師の負担が分散されます。
- 1シフトあたりの薬剤師と登録販売者の人数を必ず聞く
- 調剤併設なら1日の処方箋枚数もあわせて確認する
- 求人票では日祝休み53%・残業ほぼなし9%が目安(医療キャリアナビ掲載求人データより)
立地と客層
駅前、住宅街、ロードサイド、商業施設内。立地によって来店の集中する時間帯も、相談の内容も変わります。
-
駅前店通勤時間帯に来店が集中し、1人あたりの応対時間は短め
-
住宅街の店舗高齢の方の来店が多く、じっくり相談を受ける場面が増える
-
商業施設内の店舗施設の営業時間に合わせるため、閉店が遅くなりやすい
どの立地が働きやすいかは人によって異なります。短時間で数をさばくほうが向いているのか、一人ひとりに時間をかけるほうが向いているのかを考えると、選ぶ基準がはっきりします。
参考:経済産業省「商業動態統計」 / 厚生労働省「医薬品の販売制度」
薬剤師の求人を探す今の職場でできる対処法

ここからは対処法です。前半で分けた4つの負担のうち、自分がどれに当てはまるかを思い出しながら読み進めてください。転職の前に、今の職場で試せる手が3つあります。
いずれも「つらいので何とかしてほしい」という伝え方ではなく、店舗運営上の相談として持ちかけるほうが通りやすくなります。
業務分担を相談する
体力的な負担が中心の方に効くのが、業務分担の見直しです。品出しやレジをどこまで薬剤師が担当するのかは、店舗ごとの運用で決まっている部分が多くあります。
相談するときは、記録を持っていくと話が具体的になります。1週間分でよいので、何にどのくらいの時間を使ったかをメモしておきましょう。「品出しに毎日2時間かかっていて、その間は要指導医薬品の相談に対応できない」という形で伝えられれば、店舗運営上の課題として扱われやすくなります。
相談前に整理しておきたいこと
- 自分が担当している業務を書き出す
- それぞれにかかっている時間を1週間記録する
- 薬剤師でなければできない業務とそうでない業務を分ける
- どれを誰に引き継げるかの案を用意する
異動を希望する
店舗の条件が合っていないだけなら、異動で解決する可能性があります。調剤併設店に移りたい、1人勤務の時間帯がない規模の店舗に移りたいというように、希望を具体的に伝えることが大切です。
このとき確認しておきたいのが、自分の労働契約でどこまでの異動が想定されているかです。2024年4月以降に契約を結んだ、または有期契約を更新した場合は、就業場所と業務の「変更の範囲」が労働条件通知書に明示されています。通勤可能な範囲がどこまでかを把握したうえで希望を出すと、実現しやすくなります。
多くの企業では年に1回程度、異動希望を出す機会が設けられています。時期を逃さないよう、人事制度を確認しておきましょう。
勤務形態を変える
時間的な負担が中心なら、勤務形態の変更が選択肢になります。正社員から時短勤務へ、あるいはパート・アルバイトへ切り替える方法です。
年次有給休暇についても確認しておきましょう。労働基準法では、6か月間継続して勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合、10日の年次有給休暇が付与されます。以降は勤続1年ごとに日数が増えていきます。繁忙期を避けて計画的に取得すれば、体力の回復に充てられます。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)でも、パート・アルバイトの求人は全体の3分の1以上を占めています。働き方を変えるという選択肢は、現実に用意されているといえます。
参考:厚生労働省「労働時間・休日」 / 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」
お探しの求人は?
それでも改善しない場合の選択肢

相談しても人員が増えない、異動もかなわない、勤務形態も変えられない。そうした状態が続くなら、職場を変えることを検討する段階です。
ここでは3つの方向を紹介します。共通しているのは、自分がどの負担から離れたいのかをはっきりさせてから動くという点です。目的が曖昧なまま動くと、同じ理由でまたきつくなる可能性があります。
他のドラッグストアに移る
ドラッグストアという業態そのものが合わないわけではなく、店舗や企業の運営方針が合っていない場合は、同業他社への転職が現実的です。OTC医薬品の相談対応や商品知識といった経験を、そのまま活かせます。
前の章で挙げた「店舗の条件」を、面接や見学の場で具体的に質問しておきましょう。確認したいのは次の4点です。
- 1シフトあたりの薬剤師と登録販売者の人数
- 調剤併設の有無と1日の処方箋枚数
- 営業時間と深夜シフトの有無
- 異動の範囲(労働条件通知書の記載)
なお、待遇面も気になるところです。ドラッグストア薬剤師の年収については、別の記事で詳しく解説しています。
調剤薬局や病院に移る
調剤に専念したい、専門性を伸ばしたいという理由なら、調剤薬局や病院が選択肢になります。薬剤師が最も多く働いている領域であり、募集の数も安定しています。
品出しやレジの業務から離れられる一方で、在宅訪問や無菌調製など、ドラッグストアにはなかった業務が加わることもあります。応募前に業務範囲を確認しておきましょう。
医療キャリアナビ掲載求人データ(2026年時点)で見ると、求人数は調剤薬局が中心で、選択肢の幅は広いといえます。
薬局のなかにも、地域連携薬局や専門医療機関連携薬局、健康サポート薬局といった認定の区分があります。どのような機能を持つ薬局なのかを調べておくと、応募先を絞り込みやすくなります。
本部の職種を目指す
店舗以外で薬剤師資格を活かす道もあります。ドラッグストアチェーンの本部には、商品部でのバイヤー業務、店舗運営のスーパーバイザー、教育研修の担当など、店舗経験を前提とした職種があります。
体力的な負担やシフトの不規則さから離れつつ、これまでの経験を活かせる点が特徴です。ただし募集数は限られており、店舗での実績が求められることが一般的です。
社内公募制度がある企業もありますので、まずは自社の制度を確認してみましょう。外に出る前に、社内でキャリアを変える道が残っていることもあります。
まとめ
ドラッグストアの薬剤師がきついといわれる理由は、業務範囲の広さ、不規則なシフト、体力の消耗、1人勤務、販売目標、商品知識、店舗異動と多岐にわたります。ただし、それらをひとまとめに「きつい」と捉えているうちは、次の行動が決まりません。
大切なのは、自分の負担が体力・時間・精神・専門性のどれに当たるかを見極めることです。体力的な負担なら業務分担の見直しや店舗規模の変更、時間的な負担なら勤務形態の変更、精神的な負担なら相談窓口の利用、専門性の不安なら経験を積める職場への移動と、効く手段はそれぞれ違います。
忙しさには時間帯・曜日・季節の波があり、統計上も冬から春にかけて販売額が伸びます。波が読めれば、休みの取り方も人員の相談も計画できます。また、休憩や労働時間の扱いには法令上のルールがありますので、記録を残したうえで相談することが力になります。
今の職場でできることを試したうえで改善しないなら、他のドラッグストア、調剤薬局や病院、本部職種という選択肢があります。まずは自分のきつさを一つずつ分けてみることから始めてみてください。





