あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師どっちがいい?年収・メリット・デメリットを解説
将来、医療やスポーツの現場で活躍したいと考えたとき、あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師のどっちを選ぶべきか迷うのは自然なことです。
どちらも厚生労働省が所管する信頼の国家資格ですが、慢性的な不調を「癒やす」か急なケガを「治す」かという職能の目的には大きな違いがあります。
本記事では両資格の違いから年収や難易度、メリットデメリットを徹底比較しました。
あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師はどっちを選ぶべき?

両資格はそれぞれ異なる法律を根拠としており、法的にできることが明確に異なります。
どちらも厚生労働省が所管する国家資格ですが、根拠となる法律が異なり、得意とする分野も明確に分かれています。
まずは以下の表で、両資格の違いを整理しましょう。
慢性的な痛みや不調に寄り添いたい人はあん摩マッサージ指圧師がおすすめ
患者の身体に直接触れ、手技で血流を促すのがあん摩マッサージ指圧師です。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律、通称あはき法という法律に基づいています。
高齢化が進む中で、病気になる一歩手前の状態である未病へのケアや、訪問リハビリマッサージの需要が拡大しています。
あん摩マッサージ指圧師の正社員の平均年収は459.3万円です。
国家試験の合格率は例年84%から88%と高い水準で安定しており、じっくりと技術を習得して独立を目指す方には安心感のある選択肢です。
視覚障害の有無に関わらず誰もが目指せる専門職であり、自律神経の不調などの幅広い悩みに対し、癒やしと機能回復の両面からアプローチできる魅力があります。
参考:あん摩マッサージ指圧師とは?年収や仕事内容、資格の詳細を解説
スポーツや外傷の現場で対応できる技術を身につけたい人は柔道整復師がおすすめ
スポーツ現場や外傷への対応に情熱を持つなら、柔道整復師が最適です。
骨折や捻挫といった急性のケガや、数回の負担で起こる亜急性の外傷に対し、骨を元の位置に戻す徒手整復や固定を施します。
柔道整復師の平均年収は約430.2万円ですが、勤務先の規模によって差が生じます。100人未満の職場では約406万円、1,000人以上の大規模組織では約459万円と、所属先によって収入アップが期待できる構造です。
一方で、国家試験は難化しており、第31回試験の合格率は49.6%と過去最低を記録しました。
合格率が60%から70%台で推移していた時期に比べ、骨や関節、筋肉への理解を深める高度な医学知識の習得が不可欠になっています。
参考:柔道整復師の年収はどれくらい?企業規模・年齢別の目安と収入アップのコツを解説
今のあなたの状況は?
あん摩マッサージ指圧師を選ぶメリット

あん摩マッサージ指圧師は、唯一「マッサージ」という看板を掲げて働ける国家資格であり、将来性が極めて高い仕事です。
慢性的な不調や自律神経、つまり心身のバランスを司る神経の乱れに悩む現代人が増える中、手技だけでアプローチできる専門性は大きな武器になります。
疲れや肩こりなど「日常の不調」へのニーズが安定している
現代社会において、「身体のメンテナンス」への需要は非常に安定しています。
あん摩マッサージ指圧師が扱う対象は、未病(健康と病気の間の状態)から長年の悩みである肩こりといった慢性症状まで多岐にわたります。
あん摩マッサージ指圧師の仕事内容
柔道整復師が急性のケガを主な対象とするのに対し、あん摩マッサージ指圧師は日々の生活に寄り添うパートナーとしての役割を担うため、景気や流行に左右されにくい強みがあります。
高齢者向けの訪問マッサージで将来の需要が見込める
訪問マッサージは、初期費用を抑えつつ高齢化社会の課題を解決できる働き方です。
あん摩マッサージ指圧師は介護現場で機能訓練指導員としても認められており、店舗を構えずに独立開業も目指せます。
医師の同意があれば健康保険を適用できるため、患者の金銭的負担を抑えながら質の高いサービスを継続して提供できる仕組みが確立されています。
高齢者の生活を支える訪問マッサージの強み
外出困難な高齢者の自宅を訪問した身体機能の維持支援ができます。医師の同意を得た上での健康保険適用施術を行えるため、リハビリとマッサージを組み合わせた継続的な生活サポートが可能です。
養成校が少ないため資格保有者が限られ、希少性が高い
養成校が限られていることから、年間の資格取得者数は柔道整復師のおよそ3分の1程度にとどまっています。柔道整復師と比べると資格者数の増加が急激に進みにくく、市場の競争が過度に激化しにくいという特徴があります。
国家試験の合格率は過去5年で84〜88%と高水準で安定しており、計画的な学習で取得しやすい点も安心感があります。
希少性を武器にすることで自費診療分野でも独自のポジションを確立しやすく、特定の地域で信頼を築けば長期的に安定した集客が見込めます。
参考:厚生労働省|第33回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について
参考:厚生労働省|第33回柔道整復師国家試験の合格発表について
国家資格者だけに認められた独占業務がある
国家資格の有無は、法的に「マッサージ」と名乗れるか、保険を使えるかという大きな壁を生みます。
あん摩マッサージ指圧師の免許がないままマッサージという名称を掲げることは法律で禁じられています。
2025年2月に策定された最新の広告ガイドラインでは、患者を呼び込む意図がある情報発信が厳格に制限されており、国家資格者はこのルールのもとで医師の同意を得て健康保険を適用した施術が可能です。
整体師など無資格者とは異なり、機能訓練指導員として介護現場でも活躍できるため、信頼に基づいたキャリアを築けます。
参考:厚生労働省|あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師と無資格者との判別について
あん摩マッサージ指圧師を選ぶデメリット

通える養成校が全国でも非常に少ない
この資格を目指す上で最初にぶつかる壁が、学校選びの難しさです。
国家資格を得るには、養成施設、つまり国が認めた専門学校や大学で3年以上学ぶ必要がありますが、その数は柔道整復師の学校と比べて非常に限られています。
厚生労働省の養成施設データベースによると、あん摩マッサージ指圧師の養成施設は全国でも数十校程度にとどまっています。一方、柔道整復師の養成校は100校以上あり、学校数には大きな差があります。
特に晴眼者、つまり目が見える人が通える学校は都市部に集中しているのが現実です。
学びたいという意欲があっても、住んでいる場所によっては物理的なハードルが非常に高いという現状があります。
学校選びが難しい理由
指や手首を酷使するため身体を壊しやすい
一生の仕事にするためには、自分の「手」を壊さないように管理することが求められます。
指先や手首を酷使するため、腱鞘炎に悩まされる施術者も少なくありません。
「押し続ける」動作が中心となるため、身体の使い方が正しくないと早期に現役を退くリスクがあります。
他にも親指の関節を痛めるリスクや、中腰の姿勢が続くことによる腰痛など、「身体が資本」であることを常に意識した自己管理が求められます。
無資格の整体・リラクゼーション店と価格で比べられやすい
街中に溢れる安価なリラクゼーション店との価格競争は、独立後に直面する大きな悩みになります。
本来「マッサージ」と名乗れるのは国家資格者だけですが、一般の利用者にはその違いが伝わりにくいのが実情です。
2025年2月からは広告ガイドライン、つまり宣伝に関する公的なルールの運用がさらに厳しくなりました。
国家資格者は法を遵守するために誇大な表現を避けなければならず、自由な宣伝を行う無資格店に対して、集客面で不利に感じる場面も少なくありません。
参考:厚生労働省|あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会
転職活動するなら?
柔道整復師を選ぶメリット

柔道整復師の最大のメリットは、手術をせずにケガを治す「外傷処置のプロ」として認められる点です。
柔術から生まれた伝統ある仕事で、骨や関節、筋肉のトラブルを専門に扱います。
骨折や脱臼といった深刻な事態に自分の手で治せることは、他の医療資格にはないこの仕事ならではの強みであり、地域医療やスポーツの現場で高く評価されています。
骨折・脱臼などのケガに応急処置ができる独自の強みがある
医師以外で唯一、骨折や脱臼の応急手当が許されているのは柔道整復師だけです。
ずれた骨を元の位置に戻す徒手整復という、メスを使わず手だけで骨の位置を整える高度な技術を駆使します。
ケガの現場で担う3つの役割
継続的な治療には医師の同意が必要になりますが、現場での第一報に対応できるこの職能は、あん摩マッサージ指圧師など他の資格にはない圧倒的な強みといえます。
自分の腕一本で誰かを助けられるという誇りを持てるのがこの仕事の魅力です。
スポーツトレーナーから介護業界など活躍できるフィールドが広い
ケガの知識を武器に、スポーツから介護まで幅広い現場で必要とされます。
試合中に起きた肉離れなどへその場で対処できるトレーナーとしての需要は非常に高く、以下のような多彩なフィールドで活躍できます。
機能訓練指導員とは、高齢者が自立した生活を送るための訓練を行う専門職のことで、福祉分野でも重宝されます。
最近では美容やスポーツの自費診療、つまり保険を使わない独自のサービス分野でのニーズも高まっており、自分の得意を活かした働き方の選択肢が非常に多いのが現状です。
柔道整復師の働き方の例
整骨院を開業して経営者を目指せる
自分の力で接骨院や整骨院を開き、努力次第で収入を大きく伸ばすことが可能です。
全国の平均年収は約430.2万円ですが、地域によって差があり、都市部ではさらに高い水準を目指せる実利的な側面があります。
| 詳細データ | 収入・経営への影響 | |
|---|---|---|
| 全国平均年収 | 約430.2万円 | 一般的な会社員と同等かそれ以上 |
| 東京都の平均年収 | 約490.8万円 | 地方に比べて50万円以上高い傾向 |
| 保険請求の仕組み | 受領委任制度の導入 | 患者の窓口負担を抑え通いやすさを提供 |
受領委任制度とは
患者が受け取るはずの保険給付を、医療機関や施術所が患者に代わって受け取る仕組みです。患者は医療費の自己負担分だけを支払います。残りの費用は、医療機関などが保険者へ直接請求して受け取ります。
柔道整復師を選ぶデメリット

整骨院の数が多く、競争が激しい
柔道整復師の業界は今、市場が供給過剰、つまりサービスの提供者が多すぎる状態にあります。
実際に、あん摩マッサージ指圧師の受験者が年間1,100人から1,200人程度であるのに対し、柔道整復師の受験者はその約4倍にも達しており、毎年多くの新しい資格者が誕生しています。
独立開業して自分の店を持ったとしても、近隣の競合店と患者さんを奪い合う激しい競争は避けられません。
生き残るためには、人並み外れた技術はもちろん、他店にはない独自のサービスや高い集客スキルを磨き続ける必要があり、経営者としてのプレッシャーは想像以上に大きいものとなります。
保険の審査が厳しくなり、売上が伸びにくくなっている
健康保険を活用した運営が、以前よりも難しくなっています。
柔道整復師が扱う療養費、つまり健康保険から支払われる施術代の取り扱いルールは年々厳しさを増しています。
保険が適用されるのは骨折や捻挫といった急性のケガ、具体的には突然の事故などで起きた負傷に限定されており、単なる肩こりや慢性的な腰痛に保険を使うことは不正請求とみなされます。
不適切な請求を厳格に排除する動きが強まっているため、以前のように保険診療のみで大きな利益を上げることは困難です。
売上を伸ばすには、全額自己負担となる自費診療メニューを柔軟に取り入れる経営努力が不可欠です。
参考:厚生労働省|柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて
施術時の姿勢で腰や膝に負担がかかりやすい
一生の仕事にするためには、自分自身の身体を守るための知識と工夫が欠かせません。
柔道整復師の仕事は患者の身体を支えたり、力を込めて骨を動かす徒手整復、つまり手作業で骨を元の位置に戻す処置を行ったりと、全身を使うハードな肉体労働です。
中腰での施術が長時間続くことで、施術者自身が腰痛や膝の痛みを抱える職業病、つまりその仕事特有の健康問題に悩まされることも少なくありません。
身体を壊して働けなくなれば収入は途絶えてしまいます。
長年現役で活躍し続けるためには、正しい身体の使い方を習得し、自分自身をケアする能力が強く求められます。
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まとめ
あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師のどっちを選ぶべきかは、あなたが「癒やし」と「治療」のどちらを追求したいかによって決まります。
慢性症状を緩和し高齢者の生活を支える指圧師か、スポーツ現場で急性のケガに立ち向かう柔道整復師か、専門性は明確に分かれています。
3年以上の修業期間や多額の学費を投じるからこそ、両者の違いを理解し自分の志向に合う道を選ぶことが大切です。
一生モノの国家資格を手にすれば、理想の働き方を通じて患者さんから感謝される喜びを毎日実感できるはずです。確信を持ってプロへの第一歩を踏み出しましょう。