退院支援看護師とは?役割・仕事内容・1日のスケジュールまで徹底解説

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退院支援看護師に興味はあるけれど、実際にどんな仕事をしているのかイメージがわかない

夜勤がないと聞くけれど、病棟との働き方はどう違うの?

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

急性期病棟でキャリアを積みながら、患者さんの退院後の生活にも関わりたいと感じ始めた看護師にとって、退院支援看護師はとても魅力的な選択肢のひとつです。

この記事では、退院支援看護師の役割や仕事内容、1日のスケジュール例、メリット・デメリット、なるための方法まで、幅広くわかりやすく解説します。

退院支援看護師という働き方が自分に合っているかどうかを判断するヒントにしてください。

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退院支援看護師とは

病室で聴診器とバインダーを持って笑顔の看護師

退院支援看護師とは、入院患者さんが安心して自宅や施設に戻れるよう、入院中から退院後の生活を見据えて支援・調整を行う看護師のことです。

病棟でのケアが「入院中の治療と処置」を中心としているのに対し、退院支援看護師は退院後の生活全体を視野に入れながら、「退院後の生活もしっかり整えてから退院できる」状態を実現するために患者さんやご家族と関わり続けます。

配置される部署は病院によって異なり、

  • 退院支援部門
  • 地域連携室
  • 在宅支援センター

などの名称が使われることが多いです。

近年は地域包括ケアシステムの推進に伴い、病院から在宅・施設へのスムーズな移行を支える退院支援の重要性が高まっており、多くの病院でこうした専任部門の設置が進んでいます。

医療と生活のつなぎ役として、多職種と協力しながら一人ひとりに合った支援を組み立てていきます。

他の職種との役割の違い

PCを前に多職種と相談する看護師

退院支援看護師は、病棟看護師や医療ソーシャルワーカー(MSW)と連携して働きますが、それぞれの役割は明確に異なります。

違いを理解することで、退院支援看護師に求められる視点やスキルがより明確になります。

退院調整看護師との違い

「退院支援看護師」と「退院調整看護師」は似た言葉ですが、意味が異なります。退院支援看護師は、患者さんとご家族が退院後の生活をイメージしながら、自分たちで意思決定できるよう側で支える役割です。

一方、退院調整看護師は、その意思決定を踏まえて必要な介護サービスや在宅環境を実際に整える、実務的な調整を行います。

退院支援看護師は、患者さんの心理的サポートから具体的なサービスの手配まで、幅広く関わります。

病棟看護師との違い

退院支援看護師も病棟看護師も同じ看護職として患者さんに関わりますが、退院後の生活を整えることに力を注ぐか入院中の治療・療養生活を支えることに力を注ぐかという役割の違いがあります。

病棟看護師は、入院中の治療・処置・日常的なケアを中心に担い、日勤・夜勤の交代制で勤務しながら病棟内の医師やコメディカルスタッフと連携し、目の前の患者さんの状態に向き合うことが仕事の軸となります。

一方、退院支援看護師は日勤のみの勤務が多く、入院時から退院後まで継続して患者さんを追いかける視点が求められます。院内にとどまらずMSWやケアマネジャー、訪問看護師といった院外の多職種とも連携しながら、患者さんが退院後も安心して生活できる環境を整えていくことが主な役割です。

医療ソーシャルワーカー(MSW)との違い

退院支援看護師と医療ソーシャルワーカーは、どちらも患者さんの退院に向けて動きますが、アプローチの視点が異なります。

退院支援看護師は看護師免許を持ち、医療的な観点からアセスメントや調整を行います。一方医療ソーシャルワーカーは、社会福祉士・精神保健福祉士などの資格を持ち、経済的な問題、家族関係、生活環境といった社会福祉の視点から患者さんを支援します。

対立する関係ではなく、お互いの専門性を補い合いながら連携・協力する関係です。退院支援看護師として働くうえで、医療ソーシャルワーカーとの良好な協働関係を築くことはとても重要です。

職種 退院支援看護師との違い それぞれの役割
退院調整看護師 退院に向けた実務的な調整に特化しており、退院支援看護師が担う意思決定支援などは含まない 退院支援看護師は支援と調整を一連の流れとして幅広く担い、退院調整看護師はその中の実務調整を専門に行う
病棟看護師 入院中の治療・療養生活を支えることが主な役割で、退院後の生活を見据えた調整・連携は担わない 退院支援看護師は入院時から退院後まで継続して関わり、院外の多職種とも連携しながら退院後の生活を整える
医療ソーシャルワーカー 社会福祉士・精神保健福祉士などの資格を持ち、経済・家族関係・生活環境など社会福祉の視点から支援する 退院支援看護師は看護師免許をもとに医療的な観点からアセスメント・調整を行う。対立ではなく連携・補完の関係

退院支援看護師の仕事内容

患者さんと書類の説明と同意確認を行う看護師

退院支援看護師の仕事は、入院時から退院後まで患者さんの経過に沿って段階的に進んでいきます。各フェーズで求められる役割を順に確認しましょう。

入院時:スクリーニングとアセスメント

入院早期に行う「スクリーニング」は、退院支援が必要な患者さんを見つけ出す作業です。

独居・高齢・在宅での医療処置が必要・認知機能の低下など、退院後の生活にリスクがある患者さんをリストアップします。病棟スタッフからの情報収集も大切な業務のひとつです。

スクリーニングで抽出された患者さんについては、下記の様なより詳しい「アセスメント」を実施し、退院後の生活に何が必要かを判断していきます。

  • 病状・生活背景
  • 家族状況
  • 経済状況
  • 本人の希望

入院中:退院支援・調整の実施

アセスメントをもとに、実際の退院調整を進めます。業務の一例は下記になります。

  • 介護サービスの申請・手配
  • 訪問看護・訪問介護などの関係機関との連絡調整
  • 患者さんやご家族への説明と意思決定支援

患者さんの状況は日々変わることも多く、家族の気持ちや患者さんの回復状況に合わせて柔軟に計画を修正していくことも求められます。

退院前:カンファレンスの実施

退院が近づいてきたタイミングで、退院前カンファレンスを開催します。カンファレンスでは、下記のような多職種が一同に集まり、退院後の方針と各職種の役割分担を確認します。

  • 医師
  • 病棟看護師
  • MSW
  • ケアマネージャー
  • 訪問看護師

患者さんやご家族も参加するケースが多く、本人の意向を確認しながら最終調整を行います。

退院後:モニタリングと再調整

退院後も関わりが続くことが、退院支援看護師の特徴のひとつです。

在宅・施設での生活状況を電話や訪問などで確認し、問題が生じた場合はサービスを再調整します。再入院を防ぐ観点からも、退院後のモニタリングはとても重要な業務です。

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退院支援看護師の1日のスケジュール例

パソコンとバインダーで記録作業をする看護師

退院支援看護師の1日は、病棟勤務と大きく異なります。基本的に日勤のみで、夜勤やオンコールがないケースが多いです。

以下に一般的なスケジュール例を示します。

時間 主な業務内容
8:30 出勤・メールや申し送り事項の確認
9:00 病棟ラウンド・スクリーニング(新入院患者の情報収集)
10:00 患者さん・ご家族との面談(意思確認・意思決定支援)
11:00 関係機関への連絡調整(ケアマネジャー・訪問看護など)
13:00 休憩
14:00 退院前カンファレンスへの参加
15:00 書類作成・記録(アセスメントシート、連絡票など)
16:00 翌日の準備・引き継ぎ事項の整理
17:30 退勤

夜勤がなく、残業も病棟に比べると比較的少ないことが多い点は、体力的な面で働きやすさを感じる看護師が多い理由のひとつです。

もちろん業務量や残業の有無は施設によって異なるため、転職時は具体的な働き方を確認することをおすすめします。

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退院支援看護師として働くメリット

車いすの高齢患者さんの手を握り笑顔で寄り添う看護師

退院支援看護師として働くことには、病棟勤務とは異なる魅力があります。転職を考えるうえで、働き方ややりがいの面から確認しておきましょう。

夜勤・オンコールがないケースが多い

退院支援看護師の多くは日勤のみの勤務形態で働いています。

夜勤やオンコールがない分、体力的な負担が病棟勤務より少なくなるケースが多いです。

  • 「急性期病棟で体力的にしんどくなってきた」
  • 「規則正しい生活リズムで働きたい」

と感じている看護師にとって、大きな魅力のひとつでしょう。

ただし、すべての施設が日勤のみとは限らず、病棟を兼任しているケースや施設独自のルールがある場合もあります。求人情報や面接時に勤務形態を必ず確認するようにしてください。

患者さんの退院後の生活まで継続して関われる

病棟看護師の関わりが入院中で終わることが多いのに対し、退院支援看護師は退院後の生活まで見届けることができます。

患者さんやご家族から「安心して家に帰れました」と感謝の言葉をいただける場面もあり、医療の継続性を実感しながら働くことができます。

「患者さんが自宅に帰って元気に過ごせているか知りたい」「治療して終わりではなく、生活全体を支えたい」という思いを持つ看護師さんにとって、やりがいは大きいです。

多職種との連携でキャリアの幅が広がる

退院支援看護師は、医師・MSW・ケアマネジャー・訪問看護師・薬剤師など、多様な職種と日常的に関わります。病院内のネットワークにとどまらず、地域の関係機関とのつながりも自然に広がっていきます。

この経験は、将来的なキャリアの幅を大きく広げる土台になります。管理職、訪問看護、地域包括支援センターなど、様々な方向へのステップアップが視野に入るようになります。

退院支援看護師として働くデメリット

資料を見ながら課題について考える看護師

退院支援看護師として働くうえで、事前に知っておきたいデメリットもあります。転職後に「思っていたと違った」とならないよう、現実的な面も確認しておきましょう。

給与が病棟より下がる場合がある

退院支援看護師は日勤のみのケースが多く、夜勤手当がなくなる分、月収が3.5万〜5万円程度下がる可能性があります。

年収換算では40万〜60万円の差になることもあります。看護師の基本給は勤続10年の非管理職でも約24.7万円が目安で、年収の多くを夜勤手当などの手当が占めているためです。

病棟看護師の平均年収が約520万円に対し、退院支援看護師は約480万円程度になるケースが多く見られます。転職前には基本給の水準や各種手当の有無を必ず確認しておきましょう。

病棟看護師と退院支援看護師の年収差
病棟看護師
約520万円
退院支援看護師
約480万円

出典:日本看護協会「2023年病院看護実態調査」

成果が見えにくく、難しい判断を1人で迫られることがある

病棟では患者さんの回復が直接目に見えやすいですが、退院支援の仕事は成果が見えにくいことがあります。調整がうまくいっても感謝の言葉が直接届きにくいこともあり、達成感を感じにくいと感じる方もいます。

また、少人数の部署では身近に相談できる同僚が限られ、難しい判断を一人で抱えてしまうこともあります。自分なりのストレス解消法や、上司・関係職種との相談ルートを確保することが、長く働き続けるためのポイントになります。

病棟のようなチームの一体感が得にくい

退院支援部門は少人数で構成されることが多く、病棟のような密なチームワークとは異なる環境です。

自律的に動くことが求められる分、主体性や自己管理能力が必要になります。「みんなで動くチームが好き」という方には、最初は少し孤独に感じるかもしれません。

逆に「自分のペースで専門性を高めたい」という方には、向いている環境といえます。

退院支援看護師になるには

研修でメモを取りながら学ぶ看護師

退院支援看護師になるために、特別な資格は基本的に必要ありません。

ただし、多くの病院では一定の臨床経験を求めており、3〜5年以上の病棟経験を応募条件としているケースが多いです。明確な基準は施設によって異なりますが、急性期・慢性期を問わず、病棟での実務経験があることがまず求められます。

ここでは、スキルアップに役立つ研修について解説します。

①日本看護協会の育成プログラム活用する

日本看護協会では、退院支援に関する研修プログラムを提供しています。

2026年度は「療養生活を支え、看護をつなぐ入退院支援」(研修番号108)というeラーニング研修が実施されており、入退院支援の実践的な知識を体系的に学べる機会となっています。

参考:日本看護協会「研修番号111:療養生活を支え、看護をつなぐ入退院支援」

②退院支援・地域連携に関する研修やセミナーに参加する

日本看護協会の研修以外にも、地域の都道府県看護協会が主催する研修や、病院内外の退院支援・地域連携に関するセミナーが定期的に開催されています。

所属施設の教育担当者に相談したり、看護協会のウェブサイトを定期的に確認したりすることで、スキルアップの機会を積極的に探していきましょう。

退院支援看護師になる方法
  • 必要な資格看護師免許のみ。特別な資格は不要。
  • 求められやすい条件3〜5年以上の病棟経験を求める施設が多い。
  • 学習方法日本看護協会・都道府県看護協会の研修やeラーニングを活用する。
  • おすすめ資格ケアマネジャー資格があると介護保険の知識が深まり連携しやすくなる。
  • 優遇されやすい経験訪問看護師の経験があると、退院後の生活へのイメージを持ちやすくなる。

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退院支援看護師の経験を活かした働き方

在宅患者さんのもとを訪問する笑顔の看護師2人

退院支援看護師として経験を積んだ先には、さまざまなキャリアの選択肢があります。「退院支援の経験って、その先にどう活きるんだろう」と感じている方に向けて、具体的な働き方を紹介します。

退院調整部門のリーダー・責任者

経験を積み重ねることで、退院支援部門のリーダーや責任者として後輩の指導・部門マネジメントを担うポジションを目指せます。

スクリーニング基準の整備や院内ルールの改善、他部署との連携体制の構築など、現場を動かす立場として組織全体に影響を与える役割です。

経験を積んだ先の道として、リーダー職を視野に入れる看護師も多いです。

病棟の管理職

多職種連携・調整・コーディネートの経験は、病棟師長や看護管理職としての素養に直結します。

退院支援で培った俯瞰的な視点や、院内外の関係機関との交渉・調整の経験は、病棟全体を管理する立場になったときに大きな強みになります。

「臨床の技術だけでなく、組織を動かす力も身につけたい」という方にとって、退院支援の経験はそのまま管理職への足がかりになります。

訪問看護・在宅領域への転向

退院支援を続けるうちに「退院後の患者さんのその後が気になる」「もっと生活に近い場所で関わりたい」と感じるようになる方も少なくありません。そうした思いが強くなったとき、訪問看護や在宅医療への転向を選ぶ看護師も少なくありません。

退院支援を通じて身につけた地域ネットワークや在宅サービスの知識、ケアマネジャーや訪問看護師との連携経験は、転職先でもそのまま活かせます。

患者さんの生活により深く関わりたい方に特に向いている選択肢です。

病院以外の働き方

退院支援の経験は、病院の外でも幅広く通用します。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの福祉施設では、入所者の状態変化に応じた医療連携の調整役として活躍できます。地域包括支援センターでは、地域に暮らす高齢者の生活を支える相談窓口として、退院支援で培った社会資源の知識が直接役立ちます。

「病棟や病院という場所にこだわらず、もっと広い視点で人の生活を支えたい」と感じている方には、退院支援看護師を目指すことで選択肢が思っている以上に広がります。病院以外の働き方に興味がある方は下記の記事も参考にしてみてください。

まとめ

バインダーを抱えて開放的な笑顔の看護師

退院支援看護師は、患者さんが安心して退院後の生活を送れるよう、入院時から退院後まで継続して関わる看護師です。

病棟看護師や医療ソーシャルワーカーとは異なる専門的な役割を担い、多職種と連携しながら、医療と生活のつなぎ役として活躍します。

  • 退院支援看護師は、入院時のスクリーニングから退院後のモニタリングまで一連の支援を担う
  • 日勤のみの勤務形態が多く、体力的な負担が病棟より少ないケースが多い
  • 患者さんの退院後の生活まで継続して関われるのが大きなやりがい
  • 看護師免許があれば応募できる求人が多く、特別な資格は基本不要
  • 退院支援での経験は訪問看護・管理職・地域連携などキャリアの選択肢が広がる

退院支援看護師に興味を持ったら、まずは現在の施設の退院支援部門のスタッフに話を聞いてみたり、日本看護協会の研修を受講してみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

一歩踏み出すことで、新たなキャリアの可能性が広がります。

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