あん摩マッサージ指圧師に向いている人は?メリットデメリット・他資格との違いについて解説
「あん摩マッサージ指圧師は自分に向いているのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
あん摩マッサージ指圧師は、慢性的な肩こりや腰痛を抱える人から介護が必要な高齢者まで、幅広い人の日常を支える専門職です。しかし、向き不向きをしっかり見極めないまま資格取得に進むと、就職後に「思っていた仕事と違った」と感じるケースも少なくありません。
この記事では、あん摩マッサージ指圧師に向いている人の特徴をはじめ、メリット・デメリット、鍼灸師・柔道整復師との違いまでをまとめて解説します。
資格取得を検討している方にとって参考になる内容となっています。
あん摩マッサージ指圧師に向いてる人の特徴

あん摩マッサージ指圧師は厚生労働省が認める国家資格であり、医師以外で「あん摩・マッサージ・指圧」を業として行うことが認められている専門職です。
技術と人柄の両方が問われるこの仕事では、向き不向きが長く活躍できるかどうかを大きく左右します。ここでは向いている人の特徴を紹介していきます。
体力に自信がある人
施術の現場では、1日に8〜10名程度を連続して担当することも珍しくありません。
一回の施術は数十分に及び、その間は立ちっぱなしで一定の圧をかけ続けるため、足腰への負担は想像以上に大きくなります。長時間立ち続けても集中力を維持できる体力と持久力がある人が向いています。
さらに、施術者自身のコンディションが悪いと患者の満足度にも直結します。不規則な勤務が続く中でも、自分のコンディションを安定して管理できる人が、この仕事に向いています。
コミュニケーション能力がある
患者の心の声に深く耳を傾けられる人は、施術の効果そのものを高めることができます。身体の痛みは日常のストレスと結びついていることも多く、言葉だけでなく表情や身体の動きから状態を読み取るスキルが求められます。
社交的である必要はなく、むしろ落ち着いた内向的な性格の人のほうが、患者が安心して本音を話せる雰囲気をつくりやすい傾向があります。
以下のような細やかな配慮を自然にできる人は、「この人なら任せられる」という信頼を得やすく、指名やリピートにもつながります。
- 相手の痛みのペースに合わせた、急かさない案内
- 難しい言葉を避けた、わかりやすい説明
- 室温やタオルの厚みへのさりげない気配り
向上心がある人
国家資格の取得はあくまでスタート地点です。現場では多様な症状に直面し、解剖学や生理学の知識は常にアップデートされています。
また、技術を磨くだけでなく、競争が激しい業界で集客につながるオリジナルメニューの開発や新しいサービスを考える柔軟な発想も求められます。壁にぶつかっても原因を分析しながら前に進める粘り強さが、一流への道を開きます。
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、あん摩マッサージ指圧師の「仕事の価値観」として「専門性」のスコアが4.1と最も高い数値を示しています。
「もっと上手くなりたい」「患者に喜んでもらいたい」という気持ちを持ち続けられる人が、あん摩マッサージ指圧師として生涯現役で活躍できます。
| 仕事の価値観 | 数値 |
|---|---|
| 専門性 | 4.1 |
| 社会貢献 | 3.6 |
| 自律性 | 3.9 |
| 影響力 | 2.9 |
| 安定 | 2.9 |
今のあなたの状況は?
あん摩マッサージ指圧師になるメリット

あん摩マッサージ指圧師は、国家資格としての信頼性を持ちながら、働き方の自由度が高い職種です。
取得後の働き方は一つではなく、自分のライフスタイルや目標に合わせて柔軟に選択できる点が大きな特徴です。ここでは、あん摩マッサージ指圧師として働くうえでの主なメリットを紹介します。
活躍できる場所が多い
あん摩マッサージ指圧師は、治療院やマッサージ院、訪問マッサージ、介護施設など幅広い現場で活躍できる資格です。勤務先によって働き方もさまざまで、正社員として働くほか、パートや業務委託として活動する人もいます。
訪問マッサージではフリーランスとして働き、ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことも可能です。
ライフステージの変化に応じて働き方を調整しやすいことも、この資格の魅力のひとつですね。
年収が平均水準で伸び代がある
あん摩マッサージ指圧師の収入は、勤務形態や経験、働く地域によって大きく異なります。
施術数に応じて収入が増える歩合制の職場も多く、経験や実績を積むことで収入アップを目指すことも可能です。また、訪問マッサージなどで独立開業することで収入を伸ばしている人もいます。
資格取得後の努力や働き方によって収入の幅が広がりやすい点も、この職種の特徴です。
高齢化によって需要が伸びている
日本では高齢化が急速に進んでおり、令和6年版 高齢社会白書によると、65歳以上の人口は約3,623万人で、総人口の約29.1%を占めています。
こうした背景から、介護や慢性的な身体の不調へのケアニーズは年々高まっています。
あん摩マッサージ指圧師が担う手技療法や訪問マッサージは、高齢者に多い筋肉のこわばりや慢性的な痛みのケアに対応できるため、高齢社会と密接に関わる分野です。
国家資格という信頼性を背景に、長期的に必要とされる専門職として活躍できる点は大きなメリットのひとつですね。
あん摩マッサージ指圧師になるデメリット

あん摩マッサージ指圧師はやりがいのある職種である一方、働く前に知っておきたい現実もあります。就職後の労働環境や収入面など、事前に把握しておくことで後悔のない選択につながります。
ここでは、代表的なデメリットをお伝えします。
国家資格の割に給料が高くない
厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、あん摩マッサージ指圧師が含まれる「その他の保健医療従事者」の平均年収は約459万円(従業員10人以上の施設)です。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」における全国の給与所得者の平均給与460万円と比較すると、わずかに下回っています。
3年以上の養成課程と国家試験を経て取得する資格としては、期待を下回ると感じる方もいるでしょう。ただし、収入は勤務先や働き方、経験・スキルによって大きく変わります。
| 参考 | 対象 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 令和5年 賃金構造基本統計調査 | その他の保健医療従事者 | 約459万円 |
| 令和5年 民間給与実態統計調査 | 全国の給与所得者 | 460万円 |
※その他の保健医療従事者にはあん摩マッサージ指圧師が含まれます(従業員10人以上の施設)
固定給で安定を取るか、歩合制や独立開業で成果に応じた収入を目指すか自分に合った働き方を選ぶことで、収入アップの可能性は十分にあります。
参考:厚生労働省|令和5年 賃金構造基本統計調査
参考:国税庁|令和5年分 民間給与実態統計調査
あん摩マッサージ指圧師の平均年収に関しては下記の記事を参考にしてください。
拘束時間が長く勤務が不規則
職場によっては、診療の準備や後片付けを含め、長時間労働が求められることがあります。
特に早朝や深夜、土日祝日も営業している施術院では、勤務時間が不規則になりやすい環境です。変則的なシフトが続くと、体力面だけでなく精神的にも負担がかかる場合があります。
勤務先によって働き方のパターンはさまざまで、介護施設では早番・遅番・夜勤のシフト制、治療院では夕方から夜にかけての繁忙や土日出勤が必要なケースもあります。
| 勤務先の種類 | 主な勤務時間帯 | 休日・勤務形態の特徴 |
|---|---|---|
| 治療院(マッサージ院・接骨院など) | 昼〜夜にかけてが中心 | 土日営業の院が多く、平日休みが一般的 |
| 介護施設 | 日勤が中心だがシフト制の場合もある | 土日を含む不定休が多い |
| 訪問マッサージ事業所 | 日中(9:00〜18:00前後)が中心 | 土日休みの事業所が多いが、事業形態により異なる |
| スポーツトレーニング施設 | 早朝・夜間など利用者の練習時間に合わせる | 土日祝にイベント・大会対応が入ることもある |
勤務形態によっては家族や友人と時間を合わせにくくなり、家族や友人との時間を大切にしたい方は、職場選びの段階で勤務形態をしっかり確認しておくことが重要です。
競争が激しい
厚生労働省の統計によると、あん摩マッサージ指圧師の就業者数は令和4年末で121,565人と増加傾向にあります。
施術所については、あん摩・マッサージ・指圧のみを行う施術所は減少していますが、はり・きゅうと併せて行う複合型の治療院は増加しており、全体として治療院の数は増えています。
さらに、無資格でも営業できるリラクゼーションサロンが増加しており、実質的な競争は激化しています。
出典:厚生労働省|柔道整復の施術に係る療養費に関する現状と課題
転職活動するなら?
あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師・柔道整復師の違い

あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師はいずれも国家資格ですが、得意分野や法的に認められた施術内容は大きく異なります。
各資格の違いを正しく理解することが、後悔しないキャリア選びへの第一歩です。
鍼灸師との違い
あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師の最大の違いは、施術方法にあります。
鍼灸師は鍼や灸を用いてツボを刺激し、身体の働きを整える施術を行います。神経痛や冷え、自律神経の乱れなど、体質や慢性症状へのアプローチが特徴です。
働き方にも違いがあり、鍼灸院は治療院や鍼灸院で勤務し開業も可能です。
| 項目 | あん摩マッサージ指圧師 | 鍼灸師 |
|---|---|---|
| 施術方法 | もむ・押す・さする | 鍼・灸などの道具を使用 |
| 得意な症状 | 慢性的な肩こり・腰痛・疲労など | 神経痛・冷え・自律神経の乱れ・慢性症状など |
| 医療保険 | 訪問マッサージで適用可(医師の同意が必要) | 神経痛・リウマチなど特定疾患で適用可(医師の同意が必要) |
| 開業 | マッサージ院・訪問施術など | 鍼灸院・治療院勤務など |
柔道整復師との違い
あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師は、対応する症状の性質が根本的に異なります。
柔道整復師は骨折・脱臼・捻挫といった急性の外傷を専門とし、整復や包帯固定を行います。スポーツ現場での応急処置や、整骨院・接骨院での外傷対応が主な活躍の場です。
介護施設や訪問ケアの現場で、一人ひとりの身体に丁寧に向き合うスタイルは、地域社会に根ざしたケアを担いたい人に向いています。
| 項目 | あん摩マッサージ指圧師 | 柔道整復師 |
|---|---|---|
| 対応する症状 | 慢性的な不調・肩こり・腰痛など | 骨折・脱臼・捻挫などの急性外傷 |
| 施術内容 | もむ・押す・さする手技 | 整復・固定・リハビリなど |
| 主な活躍現場 | マッサージ院・訪問マッサージ・介護施設など | 整骨院・接骨院・スポーツ現場など |
| 開業 | マッサージ院や訪問施術など | 整骨院・接骨院 |
| 医療保険 | 訪問マッサージで適用可(医師の同意が必要) | 骨折・脱臼・捻挫など外傷で適用 |
柔道整復師師を目指す方は下記の記事を参考にしてください。
お探しの求人は?
まとめ
あん摩マッサージ指圧師に向いているのは、体力・コミュニケーション能力・向上心の3つを備えた人です。
あん摩マッサージ指圧師は、介護施設や訪問マッサージ、治療院など活躍の場は幅広く、正社員から開業まで自分のライフスタイルに合わせた働き方を選べる点が大きな魅力です。
一方で、給与が全国平均とほぼ同水準であることや、不規則な勤務体制、競争の激化といった現実もあります。
鍼灸師や柔道整復師とは施術方法や対応できる症状が大きく異なるため、「道具を使わず手技一本で勝負したい」「慢性的な不調を抱える人に寄り添いたい」と感じる方に特に向いている職種といえます。
高齢化が進む日本において、この資格の需要は今後も安定して伸びることが見込まれます。自分の特性と照らし合わせながら、納得のいく選択をしてください。