看護師の残業は多い?平均時間・残業代・減らすための工夫について紹介
「残業が多くてつらい・・・」
「みんなは月にどれくらい残業してるんだろう・・・」
と感じることはありませんか?
看護師の残業は、1人の力だけで決まるものではありません。
勤務形態の特性、入退院や急変などの対応、人手不足、研修や勉強会、記録の量など、構造的に残業が多くなりやすいと言われています。
だからこそ「これって普通なのかな」と疑問に感じたときは、 平均的な残業時間の目安を知り、残業が増えている原因を切り分けることが大切です。
この記事では、看護師の残業時間の実態と原因、残業代の考え方、診療科や職場による差、残業を減らすための現実的な工夫について紹介します。
看護師の残業時間ってどれくらい?

看護師として働いていると、定時で帰れない日が続くことも珍しくありません。ただ、忙しさに慣れてしまうと「これが普通なのかな」と感じてしまい、自分の残業時間が多いのかどうか判断しづらくなります。
まずは、一般的な看護師の残業時間の目安を知ることが、今の働き方を見直す第一歩になります。
看護師の平均的な残業時間
日本看護協会によると、 5〜10時間未満までの残業が最も多く、20時間以上の割合は比較的少ないです。1ヶ月の残業時間の平均は「5.1時間」と報告されています。
看護師の月あたり残業時間
| 残業時間帯 | 割合 |
|---|---|
| 0時間 | 3.4% |
| 0〜1時間未満 | 10.8% |
| 1〜4時間未満 | 32.1% |
| 4〜7時間未満 | 22.5% |
| 7〜10時間未満 | 15.4% |
| 10〜15時間未満 | 9.8% |
| 15〜20時間未満 | 2.3% |
参考:日本看護協会|2024年病院看護実態調査 報告書(p22)
他職種との比較
日本医労連の調査では、就業時間後に何らかの時間外労働を行っている割合は、 リハビリ職が69.4%、看護職員が61.7%と高く、看護師は他職種と比べても残業が発生しやすい職種」であることが示されています。
さらに、2時間を超える長時間残業の割合を見ると、医師が最も高いものの、看護職員も8.5%と事務職より高い水準にあります。
加えて、改正労働基準法で定められた上限時間「月45時間・年360時間」にもつながりやすい 「120分以上の残業」をしている人は、全体で6.6%にのぼっています。
なぜ看護師は残業が多すぎといわれるのか

看護師の残業は、個人の働き方や要領だけが原因ではありません。
業務の性質や職場環境そのものに、残業が発生しやすい要因がいくつも重なっています。ここでは、実際のデータをもとに残業が生じやすい理由を整理します。

不規則な勤務形態
看護師の勤務はシフト制が基本で、早出・遅出・日勤・夜勤・準夜勤など勤務時間が不規則であることが多いです。
業務の特性上、引き継ぎや申し送りが必要となり、 引き継ぎや申し送りが必要となり、勤務終了前後に時間が押しやすい傾向があります。また、夜勤明けでも会議や委員会、記録対応が重なり、結果として残業になるケースも少なくありません。
突発的な入退院や急変への対応
医療現場では、予定通りに業務が進むとは限りません。
予定外の入退院や急変対応が入ると、その日の業務計画は大きく崩れます。 特に急性期病棟では、業務が重なると記録作成が後ろ倒しになりやすく、申し送り後に記録業務が残って残業につながりやすいです。
緊急時のサポート体制が整っている病院では役割分担によって残業を回避できる場合もありますが、人員配置に余裕がある病院は多くありません。
また、プライマリーナース制を取っている病院では、急な退院が決まった際に休日でもサマリーを記載する必要が生じ、休日出勤や時間外労働につながる場合もあります。
慢性的な人手不足
多くの医療機関で、慢性的な人手不足が続いています。
厚生労働省によると、 看護師(保健師・助産師を含む)の有効求人倍率は2.06倍で、全体の1.24倍を大きく上回っています。これは1人の看護師を2つの事業所が取り合っている状況を示しています。
欠員が出てもすぐに補充されない状況が続き、限られた人数で業務を回さなければならないため、1人あたりの負担が増加しています。結果として、業務が定時内に終わらず、残業が常態化しやすくなっています。
参考: 厚生労働省|一般職業紹介状況(令和6年5月分)について
院内研修や勉強会への参加
厚生労働省によると、 参加が業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、指示を受けて業務に必要な学習等を行っていた時間は労働時間に該当するとされています。
しかし、日中の業務が忙しく時間が取れないため、勤務時間外に実施され、それが残業として積み重なっているのが現実です。
参考:厚生労働省|労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
今のあなたの状況は?
看護師は残業代が出ないって本当?

労働基準法上、残業代の未払いは違法です。看護師も例外ではなく、本来は勤務時間外の労働には残業代が支払われるべきです。
しかし、実際の現場では業務の特性上、残業をしていても残業代として反映されにくい状況があります。ここでは、残業代が出にくくなる背景を整理します。
看護師に残業代が出ない理由
毎日残業をしている割に、残業代が給料に反映されていないと感じる看護師は少なくありません。緊急対応や記録業務、研修など、残業が発生する場面はさまざまです。
日本看護協会の調査によると、 始業前の情報収集や申し送りを行う「前残業」を時間外労働として扱っている病院は21.5%にとどまり、62.9%の病院では扱っていないという実態があります。
下記に実際の看護現場で見られる残業代が反映されにくくなる理由について表形式でまとめました。
| 現場の出来事 | 残業代に反映されにくい理由 |
|---|---|
| 緊急対応 | 突発的な業務のため事前申請ができず、結果的に残業として計上されないことがある。 |
| 看護記録 | ケアや緊急対応に追われると看護記録の作成やカルテ確認などが後ろ倒しになりやすく、勤務時間外に行う。事前に時間の予測ができず、実際の稼働時間より少なく計上される場合も多い。 |
| 前残業 | 始業前の情報収集や申し送りは自主的な労働と見なされ、労働時間として計上されない場合が多い。特に夜勤前で受け持ちが多い日は、1時間前から出勤するケースもある。 |
| 研修や勉強会 | 勤務時間外の参加でも「自己研鑽」扱いとなり、労働として認められない場合もある。 |
前残業に関しては下記の記事で詳しく説明しています。
看護師の残業代の計算方法
残業代を考えるときは、まず「残業時間」がどれくらいかを整理します。
残業時間は、基本的に「実際の労働時間-法定労働時間」で求められます。法定労働時間は原則として、1日8時間かつ週40時間までです。
病院によっては、夜勤手当や各種手当が別で支給されることがありますが、 手当があることと残業代の計算は別物です。残業代が少ないと感じるときは、計算式だけでなく 「そもそも残業として申請 集計されている時間が実態と合っているか」を確認することが大切 です。
残業代が支払われないことへの対策
看護師の残業は、急患対応やオペ延長、診療終了間際の対応など、時間で区切れない業務が原因で起こりやすく、「残業は当たり前」という空気が申請のしづらさにつながることもあります。
残業代が適切に支払われていないと感じた場合、次の順で対応することが現実的です。
- 残業の記録を残す
- 就業規則や申請ルールを確認する
- 上司や人事に相談する
- 改善しない場合は労基署や専門家に相談する
残業が発生した場合は正しく申請しましょう!
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診療科や職場ごとの残業時間の違い

同じ看護師でも、働く診療科や職場によって残業時間には差があります。残業が多い原因が業界によるものか、それとも職場によるものなのかを見極めることが、今後の働き方を考えるうえで重要です。
残業が多くなりやすい診療科や職場
日本医労連によると、看護体制や職場によって残業時間に違いがあることがわかります。
下記は、終業時間後60分以上の残業がある看護師の割合を示した表です。
看護体制別 終業時間後60分以上の残業がある割合
| 看護体制 | 割合 |
|---|---|
| 一般病棟(7対1) | 55.8% |
| 一般病棟(10対1) | 50.6% |
| 一般病棟(13対1) | 49.3% |
| 地域包括ケア病棟 | 48.5% |
| 療養病棟 | 28.8% |
職場別 終業時間後60分以上の残業がある割合
| 職場 | 割合 |
|---|---|
| 一般病棟 | 52.4% |
| 訪問看護 | 41.0% |
| 手術室 | 33.4% |
| 介護施設(老健・特養など) | 25.0% |
このデータから、 一般病棟、特に7対1の看護体制では半数以上の看護師が終業後60分以上の残業をしていることがわかります。 急性期や外科系では入退院や急変対応が多く業務量が変動しやすいこと、大規模病院では研修や委員会活動が多いことが背景にあります。
比較的残業が少ない診療科や職場
療養病棟や介護施設では残業が比較的少ない傾向にあります。日本医労連の調査によると、 終業時間後60分以上の残業がある看護師の割合は、療養病棟で28.8%、介護施設で25.0%にとどまっています。
残業が少ない職場とその理由
| 職場 | 比較的残業が少ない理由 |
|---|---|
| 療養病棟 | 患者さんの状態が比較的安定しているため、急変対応が少なく、計画的に業務を進めやすい。 |
| 介護施設 | 医療行為が限定的で、日常生活の支援が中心となるため、時間外労働が発生しにくい。 |
| 外来・クリニック | 診療時間が明確に決まっているため、業務終了の見通しが立てやすく、定時で帰りやすい。予約制の施設では患者数の管理がしやすい。 |
ただし、同じ診療科や職場でも、人員配置や病院の方針によって残業時間は大きく変わります。
同じ病院内でも、部署によって忙しさが大きく異なるため、「看護師だから残業が多い」と一括りにするのではなく、職場環境に目を向けることが大切です。
看護師が残業を減らすために工夫できること

残業が多い状況が続いている場合、今の職場で自分ができる工夫と、環境を変える選択肢の両方を整理して考えてみましょう。
勤務形態を見直す
夜勤回数やシフトの組み方は、残業の発生頻度に大きく影響します。たとえば、夜勤明けに委員会や研修が入りやすい勤務形態では、体力的な負担だけでなく、結果的に残業が増えやすくなります。
二交代制か三交代制か、夜勤の回数や間隔が適切かなど、勤務形態そのものが自分に合っているかを一度見直してみることが大切です。すぐに変更できなくても、相談することで配置や役割が調整されるケースもあります。
業務内容を改善する
残業の原因がすべて業務量にあるとは限りません。記録のタイミングや書き方、優先順位のつけ方を見直すことで、定時内に終えられる業務が増えることもあります。
| 残業になる原因 | 解決策 |
|---|---|
| ケアや処置を優先し、記録は最後にまとめて書く前提になっている |
業務の合間に記録を進め、終業前にまとめて書く量を減らす
処置や観察の直後に要点だけ先に入力し、文章の整形は後で行う
記録のフォーマットやテンプレートを活用し、考える時間を減らす
定型文やショートカットを使い、入力の手数そのものを減らす
音声入力システムなどのICTツールを活用し、記録時間を短縮する
ラウンド後や配薬後など、記録に戻るタイミングを自分の中で固定する
|
| 委員会や研修準備が基本業務に組み込まれていない |
準備作業は勤務内に時間を確保する前提で調整する
通常業務の合間でやる前提にせず、担当業務として時間を確保する扱いにする
委員会を業務分担し、1人1人の負担を減らす
|
個人の工夫だけでは限界があるため、「自分で何とかできること」と「環境の問題」を分けて考える視点が重要です。
残業が少ない部署への異動を検討する
同じ病院内でも、部署によって忙しさや残業の発生状況は大きく異なります。 急性期や外科系病棟から外来や慢性期病棟に異動することで、残業時間が大幅に減るケースもあります。
今の職場をすぐに辞める決断ができない場合でも、異動という選択肢が取れないかを確認することは無駄ではありません。長く働き続けるために、負担の少ない部署を選ぶことも一つの判断です。
残業が少ない職場への転職を検討する
職場の運用や人員体制、残業に対する考え方が長年変わっていない場合、個人の努力だけで残業を減らすのは難しい場合も多いです。そのような場合は、環境そのものを変えることが解決策になることもあります。
残業が少ない職場を選ぶことで、 体力的な余裕だけでなく、プライベートの時間や気持ちの余裕が生まれます。転職は必ずしも「逃げ」ではなく、働き方を見直すための選択肢の一つです。
看護師が働ける場所については、以下の記事で詳しく解説しています。
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まとめ

看護師の残業が多いといわれる背景には、慢性的な人手不足や急変対応、記録業務の多さなど、業界全体に共通する構造的な課題があります。
個人の努力だけで解決できる問題は少なく、診療科や職場の体制、運用の違いによって大きく左右されます。まずは、残業が生じている原因を把握し、今の職場で改善できる余地があるのかを見極めることが大切です。
ただし、業務量や人員体制が変わらず、残業が当たり前の空気が根付いている職場では、 無理を続けるよりも働く環境そのものを見直すことが現実的な解決策になります。実際に、残業が少ない診療科や職場を選ぶことで、同じ看護師の仕事でも働き方は大きく変わります。
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