訪問看護のオンコールがきつい理由5選!手当の相場やストレスを和らげる方法も紹介

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訪問看護のオンコールを「きつい」と感じている看護師は少なくありません。主な理由としては、いつ呼ばれるかわからない緊張やストレス、不眠になりやすいことや生活リズムの乱れなどが挙げられます。

本記事では、訪問看護師としてオンコールを経験した筆者が以下について解説します。

  • 訪問看護のオンコールがきつい理由
  • 訪問看護のオンコールの実際
  • 訪問看護のオンコール回数や手当の相場
  • オンコールの日のスケジュール例
  • 訪問看護のオンコールのストレスを和らげる方法

記事を参考にしていただき、負担が軽減する工夫を知り、自分に合った働き方を考えてみてください。

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訪問看護のオンコールとは

訪問看護のオンコールとは、日中の業務終了後に自宅などで待機し、利用者や家族からの連絡に対応する仕組みです。

夜間や休日でも連絡が入る可能性があり、電話相談で解決できる場合もあれば、緊急訪問を行って体調確認やケア、看取りに対応する場合もあります。オンコールには、利用者が安心して在宅で生活するための、重要な役割があるのです。

厚生労働省の報告によると、介護保険の「緊急時訪問加算」、医療保険の「24時間対応体制加算」の届出をしている事業所数は、調査数の約9割です。届出ありの事業所の利用者は、約6割が加算に同意しています。

看護師は24時間365日対応する必要があるため、当番制で待機することになります。こうした体制は精神的負担・身体的負担となり、「訪問看護がきつい」と感じる要因の一つです。

参照:訪問看護「訪問看護における24時間対応体制と緊急時の状況」/厚生労働省 p38

訪問看護のオンコールがきつい理由5選

訪問看護は、在宅医療を支えるやりがいのある仕事です。しかし、オンコールでは、緊張感や不眠、生活リズムの乱れなどにより「きつい」と感じる場面もあります。代表的な5つの理由を見ていきましょう。

1.いつ呼ばれるかわからない緊張感やストレスがある

オンコールの日は、「電話が来るかもしれない」という緊張感の中で過ごすため、精神的なストレスとなります。実際には何も起こらない日もありますが、待機中は緊張感が続くため、気持ちが休まりません。

必然的に外出や趣味なども制限されます。オン・オフの切り替えができずに、負担を感じやすくなるのです。

2.不眠になりやすい(寝れない夜もある)

「寝ている間に呼ばれるかもしれない」という不安で、眠りが浅くなり、途中で覚醒しやすくなります。また、オンコールでの訪問後は、脳が興奮状態となっているため、帰ってからも眠りにくくなるのです。

電話がなくても熟睡できず、日中に眠くなったり、集中しづらくなったりすることもあります。こうした状態が続くと、心身の疲労を招き、業務にも影響を与えるケースも少なくありません。

3.生活リズムが乱れる

オンコールで夜間に呼び出されると、翌日の生活リズムが乱れてしまいます。睡眠時間が短くなったり、食事や休息のタイミングが不規則になったりして、体調も崩れやすくなります。

また、体調不良の方や終末期の方が多い場合は、オンコールの回数も増え、慢性的な寝不足となるケースも少なくありません。生活リズムの乱れは心身の負担となり、私生活にも影響を与えることがあります。

4.呼び出しが重なる場合もある

利用者の体調変化は予測が難しいです。同じ時間帯に呼び出しが重なるときもあり、一人体制では、優先度の判断を迫られる場面もあります。

訪問が長引くと、他の利用者を待たせてしまうことになり、より大きな精神的負担となって「きつい」と感じるときもあります。

5.自分の担当以外の利用者に対応することもある

オンコールでは、普段自分が担当していない利用者の対応を行う場合もあります。病状を十分に把握していない状態で判断が求められるため、緊張感が高まります。

十分な情報がない場合には、対応への不安や負担が増し、「オンコールがきつい」と感じる要因となることもあるのです。

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訪問看護のオンコールの実際

訪問看護のオンコールは、電話相談と緊急訪問が主な業務です。利用者の状態によっては看取りにも立ち会い、本人と家族のケアを行います。事業所によってマニュアルが整備されていないところもあるため、知識や経験が求められる場合も多いです。

1.電話相談

オンコールは、利用者や家族からの電話連絡を受けることから始まります。たとえば、発熱時の対処方法や服薬を忘れてしまったときの対応、インスリンについての相談などです。

緊急性がないケースでは、電話で状況を確認し、薬剤の使用方法や症状が緩和できるケアなどアドバイスをします。的確なアセスメント力や指導力が求められます。

2.緊急訪問

電話での対応が難しい場合や緊急性がある場合は、利用者を訪問します。深夜や早朝に出向くことも多く、心身の負担を感じるときもあります。

急変時は迅速な判断や処置が必要となり、家族への丁寧な説明も欠かせません。主治医への連絡や救急要請が必要となることもあります。緊急訪問は毎回発生するわけではありませんが、責任が重いため、ストレスを感じる看護師も多いのです。

3.看取り

訪問看護では、利用者の最期に立ち会う「看取り」も重要な役割です。夜間に呼吸が停止しそう、あるいは呼吸が停止したとの連絡が入り、訪問することもあります。

利用者の「人生の最期」という、非常に重要な場面に立ち会うこととなるのです。主治医と連絡をとりつつ、家族のフォローやエンゼルケアを行います。感情的な負担を感じることもあり、十分な心構えが求められます。

【2025年最新】訪問看護のオンコール回数と手当相場

オンコールの頻度や手当の金額は、事業所や地域によって異なります。日本看護協会のデータをもとに、平均的な回数や手当相場、労働基準法での扱いについて解説します。

1.平均的なオンコール回数

訪問看護のオンコール回数は、事業所によって異なり、月数回の相談で済む事業所もあれば、週1〜2回以上訪問している事業所もあります。

「緊急時訪問看護加算」と「24時間対応体制加算」に同意している利用者数、病状によっても左右されます。

日本看護協会が2022年9〜10月に調査した訪問看護事業所の夜間勤務体制に関する質問結果によると、1か月間でオンコール対応した回数は平均「19.6回」、緊急訪問をした回数は平均「10.0回」でした。

<1か月間でオンコール対応した延べ回数と緊急訪問をした延べ回数(2022年8月)>

平均(回) 詳細
1か月間でオンコール対応した延べ回数 19.6 ・「5〜9回」が17.9%と最も多い。
・次いで「4回以下」が17.6%
・「50回以上」とする事業所も8.6%存在
1か月間で緊急訪問をした延べ回数 10.0 ・「4回以下」が32.8%で最も多い。
・次いで「5〜9回」が22.5%

参照:2024年度 診療報酬・介護報酬改定等に向けた訪問看護実態調査 /公益社団法人 日本看護協会 p21・22

2.オンコール手当の相場

2024年度「看護職員の賃金に関する実態調査(看護職員個人調査)」による、訪問看護ステーション勤務者におけるオンコール手当額は、以下のとおりです。

<訪問看護ステーションにおける1回あたりのオンコール手当(2024年12月)>

回答者数 1回あたりの平均手当額(円) 2024年12月の平均回数(回)
オンコール:待機のみ 537 2,233 7.7
オンコール:電話対応 445 609 5.0
緊急訪問(手当額は時間外手当を除く) 429 1,791 2.3

参照:2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書/公益社団法人 日本看護協会  p208

病棟勤務の場合は、夜勤をすれば実労働で必ず手当が発生します。

同調査によれば、正規雇用フルタイムで夜勤をしている看護師は、1か月の夜勤手当額が平均3万2,192円でした。月4回夜勤をするとすれば、1回当たり8,000円以上手当がつく計算です。

一方、訪問看護のオンコール手当については、拘束時間や業務内容に対して、金額が十分でないと感じる方もいるようです。

3.オンコール手当と労働基準法の関係

オンコール手当と労働基準法の関係を見ていきましょう。

訪問看護では、オンコールで訪問した時間は「労働時間」となり、時間外労働の対象となります。一方、自宅で待機している時間は、原則として労働時間に含まれないケースが多いです。22:00〜翌日5:00までの訪問は、労働基準法に基づき割増賃金が発生します。

オンコール手当と時間外労働・深夜勤務の取り扱い

・時間外労働:所定労働時間(1日8時間・週40時間など)を超えた場合は、25%以上の割増が必要深

・深夜労働:22時〜翌日5時までの間に労働した場合は、25%以上の割増が必要

・時間外+深夜が重なる場合:両方が加算され、50%以上の割増が必要

割増賃金は重複して発生することもあります。たとえば通常勤務(8:30〜17:30)の看護師が、オンコールで22:00〜23:00に訪問した場合、1時間は 「時間外労働」+「深夜労働」 にあたり、50%以上の割増賃金が支払われます。

参照:労働基準情報:FAQ(よくある質問)法定労働時間と割増賃金について教えてください。/厚生労働省

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訪問看護のオンコール日のスケジュール例

オンコールの日は、日中の勤務終了後にそのままオンコール体制となる場合が多いです。コールがありそうな利用者(状態変化があった方や終末期の方など)については、事前に申し送りを受けておくと不安を軽減できます。

待機中は、電話連絡にいつでも対応できるよう準備を整えておくことが大切です。

以下は、オンコール日のスケジュール例です。

<オンコール日のスケジュール例>

時間 項目 内容
17:30 退勤 ・自家用車で帰宅
・運転中に電話が鳴ることもある
・ケアマネジャーなどから連絡が来ることもある
18:00 入浴 ・早めに入浴を済ませる
・携帯電話は着信音量を大きくし、すぐに出られる場所へ
19:00 夕食 ・簡単に済ませられる食べ物にする
20:00 普段どおり過ごす ・連絡がなければ、普段どおりに過ごす
23:00 就寝 ・枕元に携帯電話を置き就寝
・何もなければ朝まで眠る
6:00 起床朝の準備 ・朝の準備
・出勤準備
・朝の時間帯に訪問する場合、日勤のスケジュール調整が必要となるため、管理者に連絡
8:00すぎ 出勤 ・自家用車で出勤

訪問看護のオンコールのストレスを和らげる方法4つ

オンコールの負担を完全に無くすことは難しいですが、工夫次第でストレスの軽減が可能です。普段から十分に情報収集をする、日中のうちにできる対応をするなど、実践しやすい4つの方法を紹介します。

1.普段から十分に情報収集をしておく

オンコール時に慌てないためには、日中の訪問で得た情報をきちんと整理しておくことが大切です。利用者の病状や服薬状況、家族のサポート体制を把握しておけば、電話相談の際も落ち着いて対応できます。

また心配な利用者がいる場合、可能であれば日中に同行訪問をして、状態を確認しておくのがベストです。

記録は丁寧に書くことを心がけましょう。他のスタッフがオンコールを担当する際にも役立ちます。事前準備の徹底が、ストレスを和らげるのに効果的です。

2.日中のうちにできる対応をしておく

夜間のオンコールを減らすには、日中の訪問でできるだけ先回りしたケアを行うようにしましょう。

事前に、利用者や家族に体調変化に備えたアドバイスをしておくのが大切です。安心して過ごせるように工夫すれば、オンコールの負担も軽減できます。

3.利用者や家族に対応をアドバイスしておく

オンコールの相談は「この症状で病院へ行くべきか」「薬を飲み忘れたらどうするか」といった内容が多いです。事前に対応の目安を伝えておけば、ご自身で対応できる場合があります。

利用者や家族が、必要に応じてご自身で対処できるようアドバイスを行っておけば、安心感につながるでしょう。さらに、看護師の負担軽減にも役立ちます。

4.事業所でバックアップ体制を整える

オンコールを一人で抱え込むと、負担は大きくなります。事業所内で複数人がサポートできる体制を整えておくことが重要です。

たとえば、緊急時に別のスタッフへ相談できる仕組みや、ICTツールを活用した情報共有などが挙げられます。組織としてバックアップ体制があるかどうかは、働きやすさにつながるポイントです。

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訪問看護のオンコールに関するよくある質問

訪問看護のオンコール勤務を検討する際に、多くの看護師が気になる疑問があります。翌日の勤務や子育てとの両立、代行サービスの有無など、よくある質問に回答します。

1.訪問看護のオンコール翌日の勤務はどうなりますか?

多くの事業所では、オンコール翌日も通常どおりの勤務となります。夜間に呼び出しがなかったときは問題ありませんが、深夜に訪問対応があると、十分な睡眠がとれないまま日中の業務に入ることになります。

代休の有無や勤務体制は事業所ごとに異なるため、転職を考える際は、事前に確認しておくことが重要です。残業代として支払われるケースや、時間休として加算されるケースなどがあります。

2.訪問看護のオンコールと子育ては両立できますか?

小さなお子さまがいるご家庭では、オンコールとの両立が難しいと感じられる場合もあります。お子さまの体調不良や家庭の予定など、さまざまな事情によって、負担が大きくなることもあるでしょう。

家族や身近な方の協力体制の有無や、事業所でオンコール免除や回数調整ができる制度があるかどうかも、両立を考えるうえで重要なポイントです。状況に応じて、オンコール勤務のない職場を検討するのも一つの方法です。

3.訪問看護のオンコールは看護師以外もできますか?

訪問看護のオンコール対応は、基本的に看護師が担当します。病状の判断や処置の必要性があるため、専門的な知識と資格が求められます。

ただし、一部の事業所では、看護師以外のスタッフが電話を一次受けし、看護師に引き継ぐ体制をとっているところもあるようです。最終的な判断は看護師が行うのが一般的です。

4.訪問看護のオンコール代行サービスはありますか?

最近では、看護師のオンコール代行サービスもあります。特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅事業所といった介護施設では、オンコール代行サービスを利用している事業所もあるようです。

ただし、訪問看護では基本的に認められていないといえます。平成15年度「介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成15年5月30日」では、以下が示されています。

Q:緊急時訪問看護加算における24時間連絡体制の具体的な内容について

A:当該訪問看護ステーション以外の施設又は従事者を経由するような連絡体制に係る連絡相談体制及び訪問看護ステーション以外の者が所有する電話を連絡先とすることは認められない。

引用:介護サービス関係Q&A「人員・設備及び運営基準」及び「報酬算定基準」等に関するQ&A/厚生労働省 p43・連番696

訪問看護では、連絡先は必ず訪問看護ステーションが担い、看護師が責任を持って対応する体制が必要です。負担を分散するためには、シフト調整やICT活用、人材確保などを工夫することが現実的な方法といえるでしょう。

とはいえ、訪問看護のオンコール体制をどのように整えるかは、多くのステーションが抱える課題です。「オンコールがきつい」と感じている看護師の方も少なくないでしょう。

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