あん摩マッサージ指圧師はやめとけといわれる5つの理由|メリットや活躍できる場所も紹介
「人の役に立つ仕事がしたい」
「手に職をつけて、誰かの痛みや不調を直接改善できる仕事に就きたい」
そんな想いであん摩マッサージ指圧師を目指す一方で、「やめとけ」という声を聞くこともあります。
この記事では、「やめとけ」といわれる理由を詳しく解説した上で、働くメリットや向いてる人の特徴、活躍できる場所についても紹介していきます。
あん摩マッサージ指圧師はやめとけと言われる理由

あん摩マッサージ指圧師を目指そうと思っても「やめとけ」と言われるのには、いくつか理由があります。主な理由とされるのは以下の5つです。
- 国家資格のわりに平均年収が高くない
- 身体的な負担が大きい
- 生活リズムが不規則になりやすい
- 人間関係で悩むことが多い
- 競合が多い
まずはその理由からみていきましょう。
国家資格のわりに平均年収が高くない
厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」では、あん摩マッサージ指圧師が含まれる「その他の保健医療従事者」の平均年収が約459万円(従業員10人以上の施設)と報告されています(参考※1)。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、全国の給与所得者の平均給与が460万円(参考※2)であり、データをまとめると以下のようになります。
| 参考 | 対象 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 令和5年 賃金構造基本統計調査 | その他の保健医療従事者 | 約459万円 |
| 令和5年分 民間給与実態統計調査 | 全国の給与所得者 | 460万円 |
※その他の保健医療従事者にはあん摩マッサージ指圧師が含まれます(従業員10人以上の施設)
全国平均と比較すると、あん摩マッサージ指圧師の収入はやや低い水準といえます。最低3年間養成校に通い、国家試験に合格して取得する資格としては、期待より低いと感じる方もいるかもしれません。
ただし、収入は働き方や勤務先、経験、スキルによって大きく変わります。安定した固定給で働く人もいれば、歩合制や独立開業で成果に応じて大きく稼ぐ人もいます。自分に合った働き方を選ぶことで、収入アップの可能性は十分にあります。
参考※1:厚生労働省|令和5年 賃金構造基本統計調査
参考※2:国税庁|令和5年分 民間給与実態統計調査
身体的な負担が大きい
1日に何人もの方を担当し、長時間の立ち作業が続くことで、手や腰を痛める人も少なくありません。
しかし、正しい施術姿勢や体の使い方を身につけ、日頃から身体のケアを習慣化することで、50代、60代でも現役で活躍している施術者は多くいます。
実際、厚生労働科学研究によると、あん摩マッサージ指圧師の平均年齢は約51歳とされており、年齢を重ねても続けやすい職種といえます。
参考:厚生労働科学研究費補助金|あん摩マッサージ指圧施術所の就業実態を把握するための研究(令和5年度)
生活リズムが不規則になりやすい
福祉施設ではシフト制で早番・遅番・夜勤といった勤務パターンがあります。治療院では夕方から夜にかけて忙しくなったり、土日祝日の勤務が必要な場所もあります。
働き方の一例を下記の表にまとめました。
| 勤務先の種類 | 主な勤務時間帯 | 休日・勤務形態の特徴 |
|---|---|---|
| 治療院 | 昼から夜にかけて | 土日営業が多く、平日休みが一般的 |
| 介護福祉施設 | 日勤が中心だがシフト制の場合もある | 土日を含む不定休が多い |
| 訪問マッサージ事業所 | 日中(9:00〜18:00前後) | 土日休みが多いが、事業形態により異なる |
| スポーツトレーニング施設 | 早朝や夜間など、利用者の練習時間による | 土日祝も利用者に合わせる |
そのため、家族や友人と時間を合わせたり、プライベートの時間を確保したりするのが難しくなることがあります。規則的な生活を送りたい人や、家族との時間を優先したい人にとっては、職場選びが重要になります。
人間関係で悩むことが多い
あん摩マッサージ指圧師の施術院は少人数での運営が多く、職場の人間関係が悪化した場合でも異動が容易ではありません。従業員同士の関係が密接であるため、一度問題が発生すると解決が難しいことが多く、ちょっとした不和でも大きなストレスにつながる可能性があります。
職場の雰囲気に馴染めない場合、仕事を続けることが困難になりやすい可能性もあります。
競合が多い
厚生労働省の統計によると、あん摩マッサージ指圧師の就業者数は令和4年末で約12万人と増加傾向です。
(2012)
(2014)
(2016)
(2018)
(2020)
(2022)
施術所については、あん摩・マッサージ・指圧のみを行う施術所は減少していますが、鍼灸と併せて行う複合型の治療院は増加しており、全体として治療院の数は増えています。さらに、無資格でも営業できるリラクゼーションサロンが増加しており、実質的な競争は激化してます。
参考:厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
今のあなたの状況は?
あん摩マッサージ指圧師として働くメリット

「やめとけ」と言われる理由がある一方で、あん摩マッサージ指圧師にはやりがいや魅力もあります。ここからは、あん摩マッサージ指圧師として働くメリットについて紹介します。
働き方の選択肢が広い
正社員だけでなく、パートやアルバイト、フリーランスなど、さまざまな働き方が可能です。
子育て中の人がパートタイムで働いたり、自由な時間がほしい人がフリーランスとして活動したりと、それぞれの生活に合わせた働き方を選べます。さらに、治療院、訪問マッサージ、介護施設、スポーツ関連施設など、働く場所も多岐にわたります。
高齢化によって需要が増加している
高齢化に伴い、身体機能維持や介護予防、在宅ケアなどの分野で、あん摩マッサージ指圧師を必要とする場面が増えています。
特に訪問マッサージでは、自宅や施設で施術を受けたいという人が増えており、介護保険や医療保険を活用したサービスとしても定着しつつあります。また、治療院や介護福祉施設でも高齢者の身体ケアを目的とした施術が求められており、求人も増加傾向にあります。
矢野経済研究所の調査によると、柔道整復・鍼灸・マッサージを含む施術業界全体の市場規模は2023年に約9,850億円と推計され、前年より約3%増加しています。
こういったデータからも、施術分野全体の需要が拡大している事が分かります。
参考:株式会社矢野経済研究所|柔道整復・鍼灸・マッサージ市場に関する調査(2024年)
ケアマネージャー資格の取得が可能になる
あん摩マッサージ指圧師として5年以上の実務経験と900日以上の勤務実績があれば、ケアマネージャー試験の受験資格を得られます。
- あん摩マッサージ指圧師の資格を持っている
- 人を対象にした援助業務として5年以上従事している
- 実際に働いた日数が900日以上ある
試験は都道府県ごとに実施され、合格後に実務研修を修了するとケアマネージャーとして登録されます。
ケアマネージャーは、ケアプランの作成や利用者・家族への相談支援を担う専門職です。あん摩マッサージ指圧師として培った身体機能やリハビリの知識を活かせるため、将来のキャリアを広げたい人にとって魅力的な選択肢の1つです。
参考:厚生労働省 |職業情報提供サイト jobtag「介護支援専門員/ケアマネジャー」
「ありがとう」を直接感じられる
利用者さんから直接「ありがとう」「楽になった」という言葉をもらえるのは、この仕事の大きなやりがいです。
施術後に「痛みが和らいだ」「また来週もお願いします」と、施術直後の変化を喜ぶ利用者さんの姿を目にすることができます。また、継続的に関わることで症状の改善を一緒に見届けられる。のも、あん摩マッサージ指圧師ならではの魅力です。
あん摩マッサージ指圧師に向いている人の特徴

ここまであん摩マッサージ指圧師のメリットについて紹介してきました。では、実際にどんな人がこの仕事に向いているのでしょうか。特徴を見ていきましょう。
体力に自信がある人
1日に複数の方を担当し、施術が続く日は長時間身体を動かすことになるため、一定の体力が必要です。
腱鞘炎や腰痛のリスクもあるため、定期的なストレッチや筋トレ、十分な睡眠と栄養管理など、自分の身体のケアを習慣化できる人が向いています。正しい施術姿勢を身につけることで、長く現役で活躍できます。
コミュニケーション能力がある人
利用者さんの不調を丁寧に聞き取り、的確に理解するためには、コミュニケーション能力が重要です。
痛みや不調の原因は人それぞれ異なり、症状を正確に説明できない方も多くいます。そのため、言葉だけでなく、表情や身体の動きから情報を読み取るスキルも求められます。
日々のコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことで、指名やリピーターを得やすくなり、安定した収入にもつながります。施術の技術だけでなく、利用者さんに寄り添う姿勢が長く活躍するために大切です。
向上心がある人
国家資格取得後も、新しい技術や知識を学び続ける必要があります。
競争が激しい業界で活躍するためには、高い技術力とともに、集客につながる新しいサービスを考える能力も求められます。最新の施術法を学んだり、利用者さんのニーズに合わせたオリジナルメニューを開発したりといった工夫が必要です。
「もっと上手くなりたい」「利用者さんに喜んでもらいたい」と前向きに学び続けられる人は、あん摩マッサージ指圧師として長く活躍できます。
転職活動するなら?
あん摩マッサージ指圧師が活躍できる場所

あん摩マッサージ指圧師はさまざまな場所で活躍できます。ここでは、主な5つの働き先を紹介します。
治療院
治療院には以下のような種類があります。
- マッサージ院
- 鍼灸院
- 整骨院
- 接骨院
肩こりや腰痛、筋肉の疲労など、身体の不調を抱えた方が訪れます。利用者さんの症状に合わせて施術を行い、痛みや不調の改善をサポートします。
治療院によって得意分野や方針が異なるため、就職前の確認が大切です。スポーツ選手のケアを専門とする院や、高齢者向けの施術に力を入れる院など、それぞれに特色があります。
・利用者さんに合わせた施術で痛みや不調改善のサポートをする
・スポーツケア専門、高齢者向けなど院ごとで特色が異なる
訪問マッサージ事業所
訪問マッサージ事業所では、自宅や施設に訪問し、マッサージや身体機能訓練を行います。利用者さんの生活環境に合わせて歩行練習やトイレ、入浴、家事などの動作、外出の訓練を行います。高齢化が進む中で在宅ケアの需要は増えており、今後もあん摩マッサージ指圧師が活躍できる就職先として期待されています。
また、残業が少なく、ライフスタイルに合わせて働きやすいという特徴もあります。副業としてや、家事・育児と両立しながら働く人もいます。歩合制を導入している事業所もあり、努力が収入に反映されやすい点も魅力のひとつです。
・利用者さんの生活環境に合わせた施術を行う
・高齢化社会で需要が増加している
・残業が少なく、副業や家事育児との両立がしやすい
・歩合制で努力が収入に反映されやすい
美容サロン
美容サロンでは、ボディケアやリラクゼーション、フェイシャルケアなどを通じて、美容と健康の両面から利用者さんをサポートします。あん摩マッサージ指圧師としての知識を活かし、筋肉のこりをほぐすだけでなく、血行促進や姿勢改善など、美容面を意識した施術も行います。
接客やコミュニケーションが重視され、カウンセリングやリピート客を増やす工夫が評価される働き方です。
・美容と健康の両面から利用者さんをサポートする
・昼から夜にかけた勤務が中心で、土日祝の出勤が必要な場合もある
介護福祉施設
介護福祉施設では、高齢者や身体の不自由な方の身体機能維持や改善のための施術を行います。指定通所介護施設では機能訓練指導員を1名以上配置することが義務付けられており、あん摩マッサージ指圧師はこの役割を担うことができます。
高齢化が進む中で、機能訓練指導員の需要は今後も高まると予想されています。なお、施設によっては送迎業務を兼務することもあり、車の運転が求められる場合があります。
参考:厚生労働省|指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)
・機能訓練指導員として勤務する
・高齢化社会で需要が増加している
スポーツ関連の職場
スポーツ関連の職場とは、下記の場所を指します。
- スポーツトレーニング施設
- 実業団チーム
- プロスポーツチーム
- フィットネスクラブ
アスリートの健康管理やパフォーマンス向上のためのサポートを行います。具体的には、試合前後のケアやリハビリ、筋肉の疲労回復、ケガの予防などです。
フィットネスクラブやスポーツジムでは、利用者向けのボディケアを提供する施設も増えています。アスレティックトレーナーの資格を併せ持つことで、トレーニング指導やリハビリなど、より専門的な業務にも携わることができます。
・アスリートの健康管理やパフォーマンス向上を行う
・アスレチックトレーナーの資格取得で業務の幅が広がる
まとめ

あん摩マッサージ指圧師が「やめとけ」と言われる理由とともに、メリットや活躍できる場所について紹介しました。
給与面や体力面などが理由で「やめとけ」といわれることもありますが、「人の役に立ちたい」「手に職をつけたい」という想いを実現できる仕事です。しっかりと情報を集め、職場選びを慎重に行うことで、後悔のないキャリアを築けるでしょう。
医療キャリアナビでは、あん摩マッサージ指圧師の求人を紹介しています。LINEのみの登録も可能ですので、ぜひお気軽にご利用ください。