デイサービスの管理者は大変?負担の内訳と抱え込まない工夫

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デイサービスの管理者は大変だといわれます。現場に入りながら書類を仕上げ、稼働率を気にしながら職員の相談にも乗る。気づけば自分の仕事が後回しになっている、という方も多いのではないでしょうか?

ただ、「大変」とひとことで片づけてしまうと、次の一手が見えません。管理者の負担には、人に任せられるものと、法令上どうしても管理者に残るものが混ざっています。この2つを切り分けないまま「もっと頑張ろう」と抱え込むと、消耗するばかりです。

この記事では、デイサービスの管理者が大変といわれる理由を整理したうえで、負担を4つの種類に分けて、どこまで任せられるのかを確認していきます。あわせて、見るべき経営数値の絞り込み方と、続けるか迷ったときの判断材料もまとめました。

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デイサービスの管理者が大変といわれる理由

デスクで頭を抱えて悩むデイサービスの管理者

まずは、実際に管理者が抱えている業務の中身を確認します。

デイサービス(通所介護)の管理者は、法令上「専らその職務に従事する常勤の管理者」を置くことが原則とされています。一方で、事業所の管理上支障がない場合には、同じ事業所の他の職務や、他の事業所・施設の職務に従事してもよいとされています。

この「兼務してもよい」という例外規定が、多くの事業所で標準的な働き方になっているのが実情です。

現場と管理業務を兼ねている

デイサービスの管理者の多くは、生活相談員や介護職員、機能訓練指導員などを兼ねています。人員基準では、生活相談員か介護職員のうち1人以上は常勤であることが求められており、小規模な事業所ほど管理者がその1人を担うことになりがちです。

送迎に出て、入浴介助に入り、レクリエーションを回し、利用者さんが帰った後にようやくパソコンに向かう。この流れになると、管理業務は必然的にサービス提供時間外へ押し出されます。

しかも管理業務は「空いた時間にやればいい仕事」ではありません。通所介護計画の作成は、法令上管理者の業務として明記されています。

利用者さんごとに目標と具体的なサービス内容を記載した計画を作り、本人や家族に説明して同意を得て、交付するところまでが一連の流れです。利用者数が増えれば、それだけ計画の作成と見直しの件数も増えていきます。

通所介護計画は最初から最後まで管理者の業務

作成
通所介護計画を作成する
管理者
説明
利用者本人と家族に内容を説明する
管理者
同意
利用者本人から同意を得る
管理者
交付
作成した計画を利用者に交付する
管理者
人員配置の要件
生活相談員・介護職員のうち1人以上は常勤でなければならない

稼働率や収支の責任を負う

通所介護の報酬は、利用者さんが実際に通った回数に応じて積み上がります。1人が休めばその分の収入が消え、逆に定員を超えて受け入れることは原則としてできません。

この上下の幅が狭い構造のなかで、月ごとの数字を合わせていくのが管理者の役割です。

  • 利用者さんの体調不良や入院で、月の途中から急に稼働が落ちる
  • 新規の利用者さんはケアマネジャーからの紹介に左右され、自力で増やしにくい
  • 定員を超える受け入れは原則できないため、上振れで取り返せない
  • 送迎の車両と人員が空かないと、受け入れられる時間帯が限られる

数字を追う立場になると、現場の職員には見えていない焦りを一人で抱えることになります。ここが、現場のリーダーと管理者の大きな違いです。

職員の採用と定着に悩む

シフトが埋まらない、募集をかけても応募が来ない、育てた職員が辞めてしまう。管理者の時間を最も奪うのが、この人の問題だという声は少なくありません。

厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、「医療,福祉」の離職率は13.8%で、産業計の14.2%をやや下回る水準です。数字だけを見れば、突出して高いわけではありません。

ただし介護分野には、そもそも必要な人数が増え続けているという特徴があります。第9期介護保険事業計画に基づく推計では、介護職員の必要数は今後も右肩上がりで増えていく見通しです。

介護職員の必要数の推移

215万人 約240万人 約272万人 2022年度 2026年度 2040年度

※採用しても定着しなければ人手不足は解消しない

つまり、離職率が急激に悪化しているというより、必要な人数が増え続けるなかで採用競争が続いている構図です。1人抜けた穴を埋めるのに時間がかかり、その間のシフトを管理者が埋める、という流れが起きやすくなります。

利用者や家族への対応がある

送迎時間の希望、入浴の順番、他の利用者さんとの相性、費用の説明。現場で判断がつかない話は、最終的に管理者のところへ来ます。

なかでも負担が大きいのが、事業所の方針と家族の希望が食い違う場面です。制度上できないことを説明しながら、関係を壊さないように落としどころを探る作業には、時間だけでなく精神的な体力も使います。

運営基準では、苦情に関して市町村が実施する事業に協力するよう努めることも定められており、対応の記録も残す必要があります。

制度改正への対応が続く

介護保険制度は3年ごとに報酬改定があり、そのたびに算定要件や運営基準が見直されます。加算の要件が変われば、届出をやり直し、記録の様式を差し替え、職員に周知するところまでが管理者の仕事です。

さらに近年は、報酬改定のたびに事業所へ求められる取り組みそのものが増えてきました。この点は本記事の中核になるため、次の章で詳しく扱います。

事故やトラブルの対応を担う

転倒、誤嚥、送迎中の接触事故。事故が起きたときは、市町村・家族・居宅介護支援事業者へ連絡し、必要な措置を講じたうえで、事故の状況と採った処置を記録する必要があります。賠償すべき事故であれば、速やかに損害賠償を行うことも定められています。

こうした対応は予定に組み込めません。予定していた管理業務が丸ごと吹き飛ぶ日があるという前提で月間の計画を組んでおかないと、月末に一気にしわ寄せが来ます。

参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

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負担の種類

デイサービスでストレッチをする高齢者の様子

理由を並べるだけでは、打ち手につながりません。ここからは管理者の負担を4つの種類に分け、人に任せられるものと、管理者に残るものを切り分けていきます。

抱え込みが起きるのは、「全部が自分の仕事だ」と感じているときです。実際には、法令が管理者本人に求めている業務はそれほど多くありません。分類してみると、任せられる余地がどこにあるかが見えてきます。

役割の重複による負担

1つ目は、管理者と現場職種を兼ねていることから生まれる負担です。生活相談員や機能訓練指導員を兼務していると、サービス提供時間中は現場に拘束され、管理業務の時間が確保できません。

ただし、この負担は配置の工夫で減らせる部類に入ります。人員基準では機能訓練指導員について、事業所の他の職務に従事できると明記されており、逆にいえば管理者以外の職員に振り替える余地があるということです。誰がどの職務を兼ねるかは事業所の裁量で決められます。

一方で、通所介護計画の作成は管理者の業務として法令に位置づけられているため、丸ごと他人に渡すことはできません。ここが最初の切り分けの線になります。

経営責任による負担

2つ目は、稼働率と収支に関する負担です。数字の責任は管理者から外せません。ただし、数字を「作る作業」と「判断する仕事」は別物です。

利用実績の集計、加算の算定漏れのチェック、請求データの突合といった作業は、手順を決めれば事務職員や主任クラスに任せられます。管理者が抱えるべきなのは、出てきた数字をどう読み、次に何を変えるかを決める部分です。

制度対応による負担

3つ目は、運営基準で求められる取り組みへの対応です。上位の記事では「法令の勉強が大変」と一行で触れられがちですが、実際には日々の忙しさの正体がここにあります。

現在の運営基準では、虐待の防止、感染症の予防およびまん延の防止、業務継続計画(BCP)、非常災害対策という4つの取り組みが、通所介護事業所に継続的に求められています。厄介なのは、この4つで求められる中身がそろっていないことです。委員会が必要なもの、指針の整備が必要なもの、訓練まで必要なものが混在しています。

継続的な取り組み4本、求められる中身は同じではない
取り組み 委員会 指針 研修 訓練
虐待防止
別途、担当者の配置も必要
感染症対策
委員会はおおむね6か月に1回以上
業務継続計画(BCP)
別途、定期的な見直しも必要
非常災害対策
別途、関係機関への通報・連携体制も必要
○=運営基準でこの体制が明記されている -=この4項目には含まれない(別の要件がある)

一度やれば終わりではなく、委員会・指針・研修・訓練が年間を通じて回り続ける性質のものだ、という点も押さえておきたいところです。

これらを怠った場合の影響は、指導だけにとどまりません。介護報酬上、高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算が設けられており、それぞれ所定単位数の100分の1が減算されます。1回あたりの額は小さく見えても、全利用者・全利用日に及ぶため、年間では無視できない規模になります。

続いて、記録と書類です。運営基準では、通所介護計画をはじめとする複数の記録を整備し、完結の日から2年間保存することが定められています。

身体的拘束等については、緊急やむを得ない場合を除いて行ってはならず、行った場合は態様・時間・利用者さんの心身の状況・やむを得ない理由を記録する必要があります。

そして運営指導です。厚生労働省は「介護保険施設等運営指導マニュアル」を示し、指導の標準化を図っています。運営指導では、こうした記録や委員会の開催実績が確認対象になります。裏を返せば、日々の記録が整っていれば、運営指導のための特別な準備はほとんど不要だということです。直前に慌てて書類を揃える状態こそが、管理者の負担を跳ね上げている原因といえます。

この制度対応の負担は、内容を分解すれば年間計画に落とし込めます。委員会の開催月、研修の実施月、訓練の実施月をあらかじめカレンダーに置いてしまえば、「気づいたら期限が迫っていた」という状態は避けられます。

人に関する負担

4つ目は、採用・育成・人間関係に関する負担です。4つのなかで最も読みにくく、最も時間を取られる部類です。

運営基準では、事業者に対して職員の研修機会の確保が義務づけられ、介護に直接携わる職員のうち一定の資格を持たない人には認知症介護に係る基礎的な研修を受講させる措置も求められています。あわせて、職場におけるハラスメントを防止するための方針の明確化等の措置も事業者の義務です。

つまり「人の問題」は管理者個人の資質の話ではなく、事業所として体制を整えるべき事項として制度上位置づけられています。一人で抱えるべきものではない、という根拠にもなります。

以上の4つを、任せられる部分と管理者に残る部分で仕分けると次のようになります。

4分類で見る負担の仕分け
分類 任せられる部分 管理者に残る部分
役割の重複 機能訓練指導員は事業所の他の職務と兼務でき、振り替えの余地がある 通所介護計画の作成・説明・同意・交付は管理者の業務と定められている
経営責任 数字を「作る」作業(集計・加算漏れのチェック・請求内容の突合) 数字を「読んで決める」判断(稼働・定員に関する対応の意思決定)
制度対応 記録の作成・整理・保存など、決めたルールに沿った実務 委員会の開催・指針の整備・身体的拘束等の記録といった体制の構築と判断
人に関する負担 研修の実施そのものの運営・進行 研修機会の確保やハラスメント防止方針の明確化は事業者の義務として残る

※作業を渡せても、義務の最終責任は管理者に残る

参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」厚生労働省「介護保険施設等運営指導マニュアル」

抱え込まないための工夫

カレンダーと赤鉛筆で年間の予定を立てる様子

負担を4つに分けると、任せられる部分がはっきりします。ここからは、実際に手放していくための進め方を見ていきます。

大切なのは、「余裕ができたら任せる」ではなく「先に任せる範囲を決める」という順番です。余裕は自然には生まれないため、決めた時点で初めて時間が空きます。

任せる業務を決める

最初にやるのは、自分の業務を「管理者に残るもの」と「渡せるもの」に仕分けることです。法令上、管理者本人が担うと明記されているのは通所介護計画の作成と説明・同意・交付、そして事業所全体の管理です。

それ以外の多くは、担当を決めれば移せます。

  • 渡しやすい業務|シフトの一次案作成、送迎ルートの調整、備品や消耗品の発注、行事の企画運営
  • 手順を決めれば渡せる業務|利用実績の集計、加算要件のチェックリスト運用、記録の不備確認、委員会の議事録作成
  • 管理者に残る業務|通所介護計画の作成と説明・同意・交付、加算の届出判断、収支の判断、職員の評価と面談

渡すときは、担当者名と期限、判断に迷ったときの相談先をセットで決めます。「やっておいて」だけでは戻ってきてしまい、結局は管理者が引き取ることになります。

編集部からのアドバイス
  • 任せるときは「担当者名・期限・迷ったときの相談先」を決める
  • いきなり全部を渡さず、まずは1業務だけ移して様子を見る
  • 渡した業務のやり直しを自分で引き取らず手順のほうを直す
キャリアパートナー

記録と手順を仕組みにする

記録が負担になるのは、書く量が多いからではなく、書く人・書く場所・書く時点がその都度変わるからです。ここを固定するだけで、月末にまとめて書き直す作業がなくなります。

まず、整備と保存が求められている記録を洗い出しておきます。保存期間を前提に保管場所とファイル名の付け方を決めておけば、運営指導の際に探し回る時間がなくなります。

整備して保存しておく記録6種類

どれも完結の日から2年間の保存が必要

記録①

通所介護計画

記録②

提供した具体的なサービス内容等の記録

記録③

身体的拘束等の態様・時間・心身の状況・やむを得ない理由の記録

記録④

市町村への通知に係る記録

記録⑤

苦情の内容等の記録

記録⑥

事故の状況及び採った処置についての記録

委員会・研修・訓練は発生してから動くと抜けやすいため、年度初めに実施月をまとめて決めておくと記録の抜け漏れを防ぎやすくなる。

年間で回る取り組みは、あらかじめ月ごとに割り振っておきます。感染症対策の委員会はおおむね6か月に1回以上と頻度が示されているため、開催月を先に決めてしまえば計画に組み込めます。

虐待防止の委員会、業務継続計画の研修と訓練、非常災害の訓練も同様に、年度初めに日程を置いてしまうのが現実的です。

相談できる相手をつくる

管理者は事業所内に同じ立場の人がいないため、判断を一人で背負いがちです。ただ、相談先は事業所の中だけではありません。

制度の解釈で迷ったときは、指定権者である都道府県や市町村の介護保険担当窓口に確認できます。加算の算定要件や届出の可否は、自己判断で進めるより先に確認したほうが結果的に早く済みます。法人内に複数事業所があれば、他事業所の管理者と情報を持ち寄る場をつくるのも有効です。

職員との関係で悩む場合は、ハラスメント防止の措置が事業者の義務である点を踏まえ、法人本部を巻き込む形にします。管理者が一人で調整役を担い続ける構図こそが、消耗の原因になります。

参考:e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」

転職活動するなら?

数字に向き合う考え方

電卓とバインダーで収支を確認する様子

現場出身の管理者がつまずきやすいのが、経営数値です。ただし、見るべき指標を絞れば、日々の判断に使える道具になります。ここでは3つに絞って整理します。

稼働率の見方

稼働率は「定員に対して、実際に何人が通っているか」を見る指標です。通所介護では利用定員を超えて提供することが原則できないため、上限が明確に決まっています。まずは曜日ごとの稼働を出し、どの曜日が空いているかを把握するところから始めます。

意外と知られていないのが、規模が大きくなると1回あたりの単位数は下がるという点です。通所介護費は「通常規模型」「大規模型(Ⅰ)」「大規模型(Ⅱ)」に分かれており、同じサービスでも単位数が異なります。

規模区分による単位数の違い
要介護3・7時間以上8時間未満(1回につき)
02505007501,000単位
通常規模型
900単位
大規模型(Ⅰ)
861単位
大規模型(Ⅱ)
830単位

つまり、利用者数を伸ばせば伸ばすほど収入が比例して増えるわけではありません。規模区分の境目をまたぐときは、単価が下がる分をどう吸収するかを含めて考える必要があります。

もう一つ見落としがちなのが減算です。事業所と同一の建物に居住している利用者さんなどに提供した場合は1日につき94単位の減算、送迎を行わない場合は片道につき47単位の減算となります。稼働率が同じでも、この構成比によって実際の収入は変わります。

加算の算定状況の確認

通所介護には多くの加算が設けられています。すべてを取りにいく必要はありませんが、取れるはずなのに取っていない加算がないかは定期的に確認する価値があります。

代表的な加算と単位数は次のとおりです。要件を満たすには届出が必要なため、現在の体制で満たせるものから順に検討します。

  • 入浴介助加算(Ⅰ)40単位/(Ⅱ)55単位(1日につき)
  • 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ56単位/ロ76単位(1日につき)、(Ⅱ)20単位(1月につき)
  • 中重度者ケア体制加算 45単位(1日につき)
  • 認知症加算 60単位(1日につき)
  • ADL維持等加算(Ⅰ)30単位/(Ⅱ)60単位(1月につき)
  • 口腔機能向上加算(Ⅰ)150単位/(Ⅱ)160単位(1回につき)
  • 科学的介護推進体制加算 40単位(1月につき)
  • サービス提供体制強化加算(Ⅰ)22単位/(Ⅱ)18単位/(Ⅲ)6単位(1回につき)

加算は「算定できる状態にすること」よりも、算定し続けられる記録の運用を作ることのほうが難しい面があります。届出後に要件を満たさなくなると返還の対象になり得るため、要件と記録をひもづけたチェック表を作り、担当者に定期確認を任せる形が現実的です。

職員配置と収支の関係

人件費は費用の大きな部分を占めます。ただし、削れば良いというものではなく、人員基準を下回れば減算の対象になります。

通所介護の介護職員は、利用者数が15人までの場合は1以上、15人を超える場合は超過分を5で除した数に1を加えた数以上を確保することとされています。つまり利用者数が5人増えるごとに、必要な介護職員が1人分ずつ増える計算です。この段差を意識せずに受け入れを増やすと、人件費だけが先に増えることになります。

介護職員の必要数は利用者15人までが1人、以降は5人ごとに1人増える
1人
2人
3人
4人
5人
15人まで
16〜20人
21〜25人
26〜30人
31〜35人
※超過分を5で除した数に1を加えた人数が必要な介護職員数
あわせて配置が必要な職種
看護職員
単位ごとに専従1人以上
生活相談員
提供時間帯を通じて1人以上
機能訓練指導員
1人以上(兼務可)

なかでも機能訓練指導員は他の職務との兼務が認められているため、ここをどう組むかで人件費の効率は変わります。

数字を見るときは、単月ではなく3か月程度の推移で見ます。1か月の落ち込みは体調不良や季節要因で説明がつくことも多く、単月で判断すると打ち手を誤りやすくなります。

参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」

管理者を続けるか迷ったときに

2つの選択肢を示すブロック

ここまで読んで、「工夫の余地はあるが、それでも厳しい」と感じた方もいると思います。続けるか離れるかは本人が決めることですが、判断の材料は整理できます。

改善できる部分を切り分ける

最初に確認したいのは、負担のうち何割が改善可能な部分なのかです。前半で分けた4つの種類に当てはめると、次のように見立てられます。

  • 役割の重複|兼務の組み替えや人員配置の見直しで改善しやすい
  • 経営責任|作業を任せ、判断だけ担う形にすれば負担は下げられる
  • 制度対応|年間計画に落とせば平準化できる。ただしゼロにはならない
  • 人の問題|法人本部の関与や採用方針の見直しが必要で、管理者単独では動かしにくい

改善しやすい部分に手を付けても状況が変わらないなら、原因は事業所の体制や法人の方針にある可能性があります。その場合、同じ場所で努力を重ねても解決しにくいという判断材料になります。

辞めどきのサイン

判断に迷うときは、次のような状態が続いていないかを見てみてください。どれか一つに当てはまるから辞めるべき、という話ではなく、複数が重なって長期化しているかどうかが目安になります。

  • 人員基準を満たすために管理者が常時現場に入り続けている
  • 必要な記録や委員会の実施が後回しになり、指摘のリスクを自覚している
  • 改善案を法人に上げても検討されない状態が続いている
  • 休みの日に事業所からの連絡対応が常態化している
  • 体調の不調が続き、受診をすすめられている

とくに、法令上求められる取り組みに手が回らない状態が続いている場合は、個人の頑張りの問題ではなく体制の問題です。責任だけが管理者に集まる構造になっていないかを確認してください。

今のあなたの状況は?

現場に戻るという選択肢

管理者を降りて現場職に戻る選択もあります。「一度上がった役職を降りるのは後退だ」と感じる方もいますが、キャリアの積み方としては珍しくありません。

法人内で役割を変える相談ができれば、環境を大きく変えずに負担だけを下げられる場合もあります。管理者を経験した人が現場に戻ったときに得られるものと、あらかじめ確認しておきたい点は次のとおりです。

管理者経験を活かして現場に戻ると
得られるもの
通所介護計画の作成・説明・同意・交付を担った経験を活かした支援ができる
加算の要件や算定の仕組みを理解した上で現場に入れる
起こりうること
役職手当分の収入が減る可能性がある

収入面は、話を進める前に必ず確認しておきたい点です。役職を外れるタイミングと手当の扱いを、口頭ではなく書面で確かめておくと安心できます。

管理者の経験が活きる場面

階段を上がるイラストで表したキャリアアップ

管理者の経験は、その事業所だけで完結するものではありません。人員基準、加算要件、記録の運用、職員のマネジメントを一通り回した経験は、他の場所でも通用します。

介護サービス施設・事業所調査によると、通所系のサービスを行う事業所は全国に4万か所を超えています。管理者を置く事業所はそれだけの数があるということです。

通所系サービスの事業所数(令和6年10月1日時点)
通所介護
24,585か所
地域密着型
通所介護
18,921か所
認知症対応型
通所介護
3,370か所
46,876か所 ― 3種類の通所系サービスの合計

他の事業所での管理職

同じ通所介護の管理者として別の法人へ移る道は、最も経験を活かしやすい選択です。運営基準や加算の考え方は共通しているため、立ち上がりが早く済みます。

隣接するサービスへ広げることもできます。たとえば通所リハビリテーション(デイケア)は医療機関などが行うサービスで、通所介護とは目的も配置される職種も異なります。違いを理解したうえで選ぶと、ミスマッチを避けられます。

ただし、同じ通所系でも管理者の要件は一律ではありません。移る前に確認しておきたい違いを整理しました。

通所系サービスの管理者要件の違い

項目 通所介護 地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護
管理者の兼務 管理上支障がなければ他の職務・他の事業所等の職務に従事できる 管理上支障がなければ他の職務・他の事業所等の職務に従事できる 管理上支障がなければ他の職務・他の事業所等の職務に従事できる
管理者の資格・研修要件 定めなし 定めなし 常勤専従+厚生労働大臣が定める研修の修了が必要

※研修修了が管理者の要件になっているのは認知症対応型通所介護のみ

認知症対応型通所介護だけは、厚生労働大臣が定める研修を修了していることが管理者の要件になっています。研修は都道府県などが実施しているため、興味がある場合は早めに受講の機会を調べておくと動きやすくなります。

法人本部や運営支援の仕事

複数事業所を持つ法人では、本部が各事業所の運営を支える役割を担っています。加算の届出管理、運営指導への対応、研修の企画、新規事業所の立ち上げなどが該当します。

現場の管理者を経験していると、基準や加算を「実際に運用できる形」に落とし込める強みがあります。書類の作り方だけを知っている人と、現場で回した人とでは、提案の実用性が変わるためです。

介護ソフトや記録システムを扱う企業で、導入支援や運用コンサルティングに携わる道もあります。制度を理解している人材は、こうした分野でも求められています。

なお、管理者というポジション自体は介護保険サービス全般にあり、通所系以外にも活かす場があります。

独立や開業

自分で事業所を立ち上げる選択もあります。ただし、介護保険の事業者指定を受けるには法人であることが必要とされており、個人事業のままでは指定を受けられません。法人設立、物件の確保、人員の確保、指定申請という順序を踏むことになります。

管理者として人員基準・設備基準・運営基準を一通り経験していれば、指定申請で求められる書類の意味が分かるという利点があります。一方で、資金計画や利用者確保は管理者業務とは別の力が必要になるため、準備期間を十分に取る前提で考えたいところです。

参考:厚生労働省「令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況」e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」

まとめ

デイサービスの管理者が大変だといわれる背景には、現場との兼務、稼働率と収支の責任、人の問題、そして年々増えている制度対応があります。

抱え込みを解くには、まず負担を4つの種類に分けることです。役割の重複は配置の組み替えで、経営責任は作業と判断の切り分けで、制度対応は年間計画への落とし込みで軽くできます。逆に、通所介護計画の作成のように法令上管理者に残る業務もあり、ここは無理に手放せません。

数字については、稼働率・加算の算定状況・職員配置の3点に絞れば十分に扱えます。規模区分によって単位数が変わることや、利用者数が5人増えるごとに必要な介護職員が1人分増えることを押さえておくと、受け入れを増やす判断がしやすくなります。

改善しやすい部分に手を付けても状況が変わらないなら、原因は体制の側にあります。管理者の経験は他の事業所でも本部でも通用しますので、続けるか場所を変えるかは、材料を並べたうえで落ち着いて選んでみてください。

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この記事を書いた人
医療キャリアナビ編集部

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記事の執筆・編集は、医療業界に精通した編集スタッフが担当しています。日々の転職支援業務で得た現場のリアルな情報と、厚生労働省をはじめとする公的機関のデータに基づき、信頼性の高いコンテンツをお届けしています。

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