前方引き出しテスト|前十字靱帯損傷の評価手順と陽性判定基準
前方引き出しテストは、膝を90°屈曲した肢位で脛骨を前方へ引き出し、前十字靱帯(ACL)の制動機能を確認する検査です。ACLは脛骨が大腿骨に対して前方へ滑り出るのを防ぐ役割を担っており、損傷すると脛骨の前方移動量が増大します。健側と比較して移動量が大きい場合やエンドポイント(終末感)が軟らかい場合に、ACL損傷が疑われます。
なお、急性期には疼痛や腫脹、防御性収縮の影響で正確な評価が難しくなるため、感度の高いラックマンテストと併用して総合的に判断することが一般的です。
検査の手順
- 患者は背臥位。股関節を約45°、膝関節を90°屈曲させ、足底を床につける。
- 検者は患者の足を軽く固定し、下腿近位部を両手で包み込むように把持する。
- 母指を関節裂隙に、示指をハムストリングス腱に当て、筋の緊張が抜けていることを確認する。
- 脛骨近位部を手前(前方)へ引き出すように牽引する。
- 前方移動量とエンドポイントを、必ず健側と比較して評価する。

実施時の注意点
- 検査前にハムストリングスの緊張を必ず緩める(緊張していると偽陰性になりやすい)。
- 急性期は疼痛・腫脹・防御性収縮の影響で感度が低下する。
- 必ず健側と比較し、左右差で判断する。
- 後十字靱帯(PCL)損傷があると開始肢位で脛骨が後方へ沈下し、偽陽性となることがある。
- 本検査単独では確定できないため、ラックマンテストやNテストと併用する。
陽性の判定基準
前方移動量の程度によって、以下のようにグレード分類されます。健側との左右差が重要な指標となります。
| グレード | 前方移動量 | 解釈 |
|---|---|---|
| 1+ | 0〜5 mm | 軽度の弛緩 |
| 2+ | 5〜10 mm | 中等度の弛緩 |
| 3+ | 10 mm 以上 | 高度の弛緩(完全断裂を疑う) |
健側と比較して前方移動量が大きい場合や、引き出した際のエンドポイントが軟らかい(soft end point)場合に陽性と判断します。
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前十字靭帯損傷の徒手検査一覧
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