FNSテスト(大腿神経伸展テスト)|正しい測定手順・陽性基準・鑑別のポイント
FNSテスト(大腿神経伸展テスト)は、大腿前面の痛みや上位腰椎の神経根障害を評価する神経学的検査です。
坐骨神経系を評価するSLRテストと対をなす検査として、リハビリや整形外科の臨床で広く用いられています。
FNSテストは、膝を屈曲し股関節を伸展させて大腿神経を伸張させる手技のため、「逆ラセーグテスト(reverse Lasègue test)」とも呼ばれます。
大腿神経とその由来である上位腰椎神経根(L2〜L4)の伸張性・過敏性を評価する誘発テストです。
評価する神経根とSLRテストとの違い
FNSテストは大腿神経(上位腰椎)を、SLRテストは坐骨神経(下位腰椎〜仙椎)を評価します。
症状の部位に応じて使い分け、大腿前面痛を訴える神経根症ではFNSテストを併せて実施します。
| 項目 | FNSテスト | SLRテスト |
|---|---|---|
| 評価する神経 | 大腿神経(上位腰椎) | 坐骨神経(下位腰椎〜仙椎) |
| 主な神経根 | L2・L3・L4 | L4・L5・S1 |
| 体位 | 腹臥位 | 仰臥位 |
| 操作 | 膝屈曲+股関節伸展 | 膝伸展位で下肢挙上 |
| 主な症状部位 | 大腿前面 | 下肢後面 |
FNSテストの実施手順
腹臥位で骨盤を固定し、膝屈曲と股関節伸展を組み合わせて大腿神経を伸張させます。
- 患者を腹臥位にする(腹部に枕を入れ、腰椎の前弯を緩めると評価しやすい)。
- 検査者は骨盤・殿部を手で固定し、腰椎の代償運動を防ぐ。
- 患側の膝を屈曲させ、踵を殿部へ近づける。
- 股関節を他動的に伸展させ、大腿神経を伸張しながら大腿前面の症状を確認する。

実施時の注意点と鑑別
神経性の陽性所見と筋由来の伸張痛を鑑別することが重要です。偽陽性の原因や実施上のポイントを押さえておきましょう。
- 神経走行に沿った放散痛が陽性所見。大腿四頭筋の短縮による局所の突っ張り感(放散しない)と鑑別する。
- 大腿四頭筋・腸腰筋の緊張、股関節・仙腸関節の病変では偽陽性となりうる。
- 骨盤をしっかり固定し、腰椎の代償運動を防ぐ。
- 疼痛が強い場合は無理に行わない。
- 感度・特異度は報告により幅が大きいため、単独で判断せず他の所見と併せて総合的に評価する。
陽性所見と判定基準
大腿前面〜鼠径部に放散痛やしびれが再現されれば陽性です。正常では大腿前面に軽い突っ張り感が出る程度にとどまります。
陽性の場合、上位腰椎神経根の圧迫(L2/3・L3/4椎間板ヘルニアなど)が示唆されます。放散痛の分布から、おおよその神経根レベルを推定できます。
| 放散痛の分布 | 示唆する神経根 |
|---|---|
| 鼠径部〜大腿前内側 | L3 |
| 下腿中央付近まで | L4 |
FNSテストが陽性となる主な疾患
FNSテストは主に上位腰椎椎間板ヘルニアで陽性となりますが、大腿神経や上位腰椎神経根を障害しうる以下の病態でも陽性となることがあります。
- 上位腰椎椎間板ヘルニア(L2/3・L3/4など)
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腸腰筋膿瘍・後腹膜腫瘤
- 糖尿病性大腿神経症(糖尿病性筋萎縮)
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